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心大血管手術における脳梗塞発生の危険因子としての脳動脈狭窄に関する検討

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原  著 〔東女医大誌 第64巻 第1号頁  27∼35 平成6年1月〕

心大血管手術における脳梗塞発生の危険因子

としての脳動脈狭窄に関する検討

東京女子医科大学 放射線医学教室(主任:重田帝子教授)

       豊 由 菖 手

(受付平成5年9月9日) The Risk of Cerebral Artery Stenosis in Patients Undergoing Cardiovascu互ar          Surgery Using Extracorporeal Circulation

       Masako TOYODA

Department of Radiology(Director:Prof. Akiko SHIGETA)      Tokyo Women’s Medical College   Forty patients scheduled for cardiovascular surgery were angiographically examined for cerebral artery stenosis before their operation. Of the 33 patients who underwent surgery,12 were found to have slight, moderate or severe cerebral artery stenosis, Of these 12 pat圭ents,20f 4 patients with moderate−severe stenosis of the internal carotid and/or vertebral artery experienced cerebral infarction postoperatively. No cerebral infarctions were detected in 80ther patients who had slight cerebral artery narrowing, and in other 21 patients with no cerebral artery narrowing.   The hypotension during cardiac surgery in.patients with cerebral artery stenosis can be a malor risk factor for cerebral infarction.          目  的  胸部大動脈瘤をはじめとして,心大血管手術時 に,その補助循環手段として体外循環が用いられ る.その際に,術後の神経症状の発現を見ること があり,その頻度は,0.3∼5.2%と報告1)∼7)されて いる.一方,胸部大動脈瘤の手術においては,術 中,二時的に大動脈を結紮し,鎖骨下動脈および 左椎骨動脈の血流を遮断せざるを得ない場合があ り,この場合に脳および頸部脊髄の虚血を起こす 可能性がある.また,体外循環中は,心停止はも とより,心房内血圧の消失,肺循環系の血流消失 と共に血圧の低下が余儀なくされる.内頸動脈や 椎骨動脈に動脈硬化性の狭小化を有する場合に は,頭蓋内循環圧低下による神経症状の発現頻度 がさらに高くなることが推測される.  Hiseら8)は,体外循環を併用した心疾患の術後 に神経症状を呈した症例に,術後,脳血管撮影を 行い,その約15%に脳動脈の狭小化を認めており, これは術中の心臓側より流出した塞栓によるもの であり,これが脳虚血の原因となったであろうと 考察している.  著者らは,術中に鎖骨下動脈の一時的な結紮を 余儀なくされると推察される胸部大動脈解離ある いは胸部大動脈瘤患者に対して,頸部脊髄の栄養 経路を検索する目的で,1988年7月より,術前の 脳血管撮影および頸部脊髄血管撮影を行ってき た.その過程で,頸動脈あるいは椎骨動脈に狭窄 のある患者の術後に脳障害によると思われる予後 不良例があることを経験した9).今回は,この経験 をもとに,術前から存在した脳血管の狭窄と開胸 術術中および術後の脳血管障害発生の関係を知る 目的で開胸術術前に脳血管撮影を施行した症例に

(2)

表1 開胸術予定前に脳血管撮影を施行した症例一覧 動脈径狭小化 体外循環 症例 年齢・性 原 疾 患 右IC系 左IC系 V−B系 術式 方法  時間 ih:m) 大動脈クラ 塔v時間 ih:m)   血圧 U0涛ォ齢 (h:m) 予  後 1 71M

AN

GR

C 3:45 1:47 1:47 脳梗塞 2 57M

AN

GR

C 4:53 2:54 術後死亡零 3 68M

AN

GR

P 2:40 術中死亡 4 49M IIIb 十 GR P 0 5 23F

mb

GR

P 2:30 1:55 0 6 63M

AN

GR

P 1:05 1:05 0 7 69M IIIb 十

GR

P 1:40 1:38 0 8 58M IIIb 十 GR P 3:00 2:40 0 9 60M

AN

十 GR B 1:05 0:55 0:05 10 66M

AN

GR

B 1:23 0 11 62F

MR

MVR

B 2:25 1:30 0 12 69M

ASR

AVR

B 4:03 2:40 0 13 45F IIIb, Marfan

GR

B 6:30 1:25 術中死亡 14 44M 1 GR C 3:20 3:20 1:25 術後死亡 15 43M IIIb

GR

B 2:45 2:35 G 術後死亡 16 62M II GR C 4:45 1:10 2:45 17 63F AN, Aortitis GR, AVR C 1:35 0:30 18 46M IIIb GR, AVR C 19 66F

AN

GR C 7:40 4:15 3:00 2G 43M 1

GR

C 2:47 1:45 2:15 21 66M

AN

GR C 5:35 3:05 22 34F IIIb GR P 1:15 1:20 0 23 38M HIb GR P 1:30 0:05 24 69M

AN

GR P 0 25 48M 王Ilb GR P 1:45 0:55 O:20 26 28F IIIb, Marfan GR P 0 27 59M AN. GR P 2:00 1:40 0 28 72M

AN

GR

P 1:45 1:30 0:15 29 42M

AN

GR B 1:45 1:20 0 30 24M 1 GR B 3:10 一 0 31 47M

AN

GR

B 1:50 1:40 0 32 73F

AN

GR

B 一 33 59F IIIb

GR

B 3:05 1:50 0:10 34 74M

AN

一 35 58M

AN

計 柵 什 36 74F MI 十 十 37 74M

AN

38 51F 1 十 39 71F

AN

一 40 70F

AN

M:男,F:女. AN:胸部大動脈瘤,1:大動脈解離 DeBakey type I,II:大動脈解離 DeBakey type II, m 大動脈解離 DeBakey type III, MI:心筋梗塞, MR:僧帽弁閉鎖不全症, ASR:大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症. +:脳血管狭窄軽度,+:脳血管狭窄中等度,晋:脳血管狭窄高度. GR l graft replacement, MVR:僧帽弁置換術, AVR:大動脈弁置換術. C:完全分離体外循環,P:部分分離体外循環, B:左心バイパス. ・:閉塞性脳血管障害発生例.h:時間, m:分,一:不明.

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ついて,術前の脳血管撮影像と心大血管疾患にお ける開胸術術中および術後の経過について,脳血 管の狭窄の有無とその程度および術中・術後の神 経症状発現の有無を中心に比較検討を行った.         対象と方法  1.対象  心大血管疾患を有し開胸術が予定されている患 者で,本学神経放射線科で脳血管撮:影を施行した 40例を対象とした,男性27例,女性13例で,年齢 は23∼74歳,平均52歳であった.これらの疾患の 内訳は,大動脈瘤19例,大動脈解離18例(DeBak6y type I 4例, type II 1例, type IIIb 13例),弁膜 疾患2例,心筋梗塞1例であった.胸部大動脈瘤 および胸部大動脈解離の37症例は,脊髄動脈の栄 養血管の検索の目的で脳血管撮影が行われ,心疾 患を有する3例では,1例は頸部超音波検査で内 頸動脈の狭窄が疑われ,1例は心血管撮影時に内 頸動脈の狭窄が疑われ,他の1例は長期間(約30 年)の動脈硬化があることより脳血管撮影が施行 された.、  2.方法  脳血管撮影は,大腿動脈または上腕動脈を経由 したセルジンガー法で行われ,全例で両側鎖骨下 動脈を含む全ての脳血管が造影された.また,内

頸動脈系に狭窄の見られた例では対側からの

cross flowをみる目的で前側の総頸動脈圧迫によ る対側の頸動脈撮影(Matas法)を加えた.  脳血管内腔狭小化の程度は,50%未満を軽度, 50%以上75%未満を中等度,75%以上を高度とし て表した.  40例中33例に開胸術が行われたが,用いられた 補助循環は,完全分離9例,部分分離13例,左心 バイパス11例であった.各症例の年齢,性別,原 疾患を表1に示す.          結  果  各症例の脳血管狭窄の有無および程度,手術術 式,体外循環の方法と持続時間,大動脈が結紮さ れた時間,体循環血圧60mmHg以下に低下した時 間,および術中あるいは術後の予後を表1に示す. また,表2に術中あるいは術後に障害の発生した 例のその内容と経過を示す.  手術の行われた33例では,12例に頸動脈または 椎骨動脈あるいはその両者に狭窄がみられた. このうち1例に脳梗塞が発生し,1例が術後に, 他の1例が術中に死亡した.  術後脳梗塞の発現した大動脈瘤の1例(症例1) では,中等度以上の両側内頸動脈の狭窄を認め, 右椎骨動脈は全体に細く,左椎骨動脈起始部に軽 度の狭窄を認めた.両側椎骨動脈のunionでの交 通は不明瞭であった.この症例では,術後より意 識混濁を認め,意識は,術後Japan Coma Scale の1桁で経過していた.術後6日の脳波では,全 般性の脳機能低下を認めた.術後20日目にとられ た頭部CT scanで,左小脳半球,右内包,左視床 に辺縁比較的不明瞭な淡い低吸収値を有する,周 囲構造に軽度のmass effectを有する小梗塞巣を 認めた(図1).この症例では,大動脈結紮が1時 間47分の間行われており,体循環血圧が60mmHg 表2 術中術後障害発生例(脳梗塞術中術後死亡)のうちわけ 症例 脳血管狭小化 死 因 手術より死亡ワでの時間 経      過 1 (+) 脳梗塞発症 術直後よりdrowsyで,術後5日意識レベルー桁 p後6日脳波にて全日性の機能低下 2 (一) 術後死亡 出血 10 日 術直後より意識混濁,顔面を含む左不全麻痺出現 3 (+) 術中死亡 @(剖検(+)) 出血 術 中 13 (+) 術中死亡 出血 術 中 14 (一) 術後死亡 DIC 10 日 術後1日目意識良好,2日目より死亡時までsedationのため意 ッ評価不可 15 (一) 術後死亡 再破裂 15 日 死亡時まで神経症状発現なし

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図1 症例1 開胸術後20日目の頭部CT scan 左内脳半球,右内包,左視床に小梗塞巣を認める. 以下に下がっていた時間は1時間47分であった.  術後に死亡した例(症例2)は,右椎骨動脈起 始部に高度の狭窄が認められると共に,左椎骨動 脈起始部に潰瘍形成を伴う軽度の狭窄を有し,左 頸動脈撮影で,左内頸動脈起始部の軽度の狭小化 とともに,左後交通動脈起始部にも分節性の強度 の狭窄を伴う症例であった(図2).この症例は術 後10日目に死亡したが術直後より意識混濁があ り,顔面を含む左半身不全麻痺が見られ,その全 身状態よりCTは施行されていないため,脳内出 血の発生も完全には否定できないが,術後血圧変 動はみられず急激な血圧上昇がなかったことより 脳梗塞の発生がより強く疑われた症例であった. この症例では,体外循環時間4時間53分,大動脈 結紮時間2時間54分であった.術中体循環血圧が 60mmHg以下に下がっていた時間は麻酔記録で は不明であったが,手術の経過からみて一定時間 の60mmHg以下の体循環血圧の低下があったと 考える.  術中に死亡した例(症例3)は,左内頸動脈の 中等度の狭窄と右内頸動脈および左椎骨動脈の軽 度の狭小化を伴う例であったが,術中大動脈から の出血のために死亡した.同症例では,剖検によ り大動脈に強い動脈硬化性変化が認められた.  脳梗塞発生の症例1と脳梗塞を発症したと考え られる症例2は,ともに高血圧を合併していた.  脳血管に狭窄が見られたが,脳梗塞の発生や予 後不良あるいは死亡の見られなかったものは9例 であった.このうち8例(症例4,5,6,7,8,9, 10,11)は右または左内頸動脈あるいは椎骨動脈 のうちの1本に軽度の狭小化のみが見られたもの である.残りの1例(症例12)では,中等度の狭 窄が左内頸動脈に見られたが,右内頸動脈の Matas testで充分なcross nowが左内頸動脈領 域に認められた.これらの9例では症例9の5分 間を除いて,体循環血圧が60mmHg以下に低下し た例はなかった.  これら脳血管の狭小化のみられた例のうち症例 11は,術前の頸部超音波検査で内頸動脈の狭窄が 疑われ,脳血管撮影が施行された.  手術が行われたもののうち,内頸動脈あるいは 椎骨動脈に狭窄の見られなかった21例のうち18例 では,術中・術後に障害の発生を見なかった.こ れらの体外循環の持続時間は1時間5分から5時 間35分(平均1時間49分)であり,大動脈の結紮 の持続時間は,1時間10分から3時間5分(平均 1時間38分)であったが,体循環血圧が60mmHg 以下になったものは大部分が30分以内であった.

(5)

    図2 症例2 術前脳血管撮影 a.右椎骨動脈起始部に高度狭窄を認める(→). c.豊後交通動脈起始部に高度狭窄を認める(→). b.左椎骨動脈起始部に潰瘍形成を伴う軽度狭窄を認 める(→). しかし,3例で2時間15分から3時間の体循環血 圧60mmHg以下の低下がみられた.  脳血管に狭窄がなかった残りの3例は術中ある いは術後に死亡した.このうち1例(症例13)は 術中の大動脈よりの出血のための死亡であり,1 例(症例14)はdisseminated intravascular coagu− lation(DIC)により術後19日目に死亡したもので 31 ある.この症例では,術後2日目より死亡までは 鎮静剤投与のために正確な意識評価はできなかっ たが,術後1日目は意識清明で,神経症状の出現 は見られなかった.残りの1例(症例15)は,大 動脈解離の例で術後15日目に大動脈再破裂により 死亡した.同症例では手術後より死亡までの間に 神経症状の出現を見なかった.症例15では,体外 循環時間,大動脈結紮時間はそれぞれ2時間45分, 2時間35分であったが,体循環血圧60mmHg以下 の時間はなかったのに対し,症例14では体外循環 時間,大動脈結紮時間ともに3時間20分,体循環

血圧60mmHg以下の持続時間は1時間25分で

あった.  また,脳血管の狭窄がみられた症例で,脳梗塞 発生例と非発生例の間に,年齢による一定の傾向 はみられず,原疾患および手術法にも一定の関係 は見られなかった.  開胸術の行われなかった7例中,3例に強度, 2例に軽度の脳動脈狭小化を認めた.残りの2例 には,脳動脈の狭窄は見られなかった.これら7 例のうち,脳動脈狭小化のみられなかった1例は 大動脈瘤の術前破裂により死亡,軽度の脳動脈狭 小化のみられた1例は原疾患の手術適応がなかっ たこと,3例は全身状態が悪いことにより手術が

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     図3 症例34 脳血管撮影 左総頸動脈は,起始部から閉塞し,左椎骨動脈は,起 始部から閉塞し左甲状頸動脈幹からの側副血行を認め る. みあわされた.全身状態の悪かった3例中,1例 に高度,1例に軽度の脳動脈狭小化を認めた.ま た,他の2例(症例34,36)は脳動脈の著明な狭 小化があることよりそれまでの経験に基づき,手 術が見合わせられた(図3,4)。          考  察  coronary artery bypass術後に神経症状の発現

する頻度は,retrospective studyでは,

0.3∼2%1)∼4), coronary artery bypass surgery の合併症に関するretrospective studyでは神経 症状の発現する頻度は,4.7∼5.2%と報告されて おり5)用7>,弁置換や心先天奇形術後では,33∼53% に術後神経症状が発現したとの報告もある10).  心大血管疾患の開胸術術後の神経症状発現の原 因としては,体外循環時の血管のクランプやcan− nulationが行われる部位からの塞栓および空気 塞栓,破砕された赤血球などがあげられている. Hiseら8)は,心大血管手術後神経症状が発現した 30例について,術後に脳血管撮影を施行し5例に 脳動脈内灘の狭小化を認め,これは中枢側からの 塞栓の結果であろうと考察している.しかし,こ れらの脳動脈の狭小化は論文中の表示写真より考 えて,術前よりあったものが含まれていることも 推察され,術前に既に存在した脳動脈の狭窄が術 中の脳梗塞発生の原因となった可能性が十分ある と考えられる.  今回の著者の訟訴血管術前の脳血管撮影の検討 では,33例中12例(36%)に何らかの脳動脈の狭

窄が認められ,そのうちの少なくとも2例

(16.6%)に脳梗塞の発生を見ている.このうち1 例(症例1)は,CTで脳梗塞の存在が確認されて おり,CT上の低吸収が比較的淡いこと,辺縁が明 瞭でないこと,軽度のmass effectを有すること より時間的に開胸術あるいはその直後に起こった ものであるとして差支えないと考える.他の1例 (症例2)は,脳梗塞であることをCTで証明され ていないが,前述のごとく脳梗塞と判断して間違 いないものと考えられる.  Furlanら11)12)は, coronary artery bypass graft 前に施行した脳血管撮影で,内旨動脈に90%以上 の狭窄を認めた症例の6.2%に術後狭窄と同側の 脳梗塞が認められたと報告している.  今回の著者の検討では,両側鎖骨下動脈を含め た全脳血管撮影の行われた症例のみを対象として おり,脳動脈の狭窄が必ずしも強度でなくとも複 数血管にそれが存在している場合には術後脳梗塞 の発生の原因となる可能性を示している.また, 症例25のように中等度の狭窄が一側の頸動脈に あっても,前交通動脈を介した対側よりの十分な cross Howの見られる場合にはこの狭窄による脳 梗塞の発生の可能性は減少することも考えられ る.  Reedら13)は, coronary artery bypass graft後 のTIAを含むstrokeのリスクファクターとして は,頸動脈雑音,TIAの既往歴,心不全既往歴, 術後心房細動,僧帽弁逸脱,心筋梗塞既往歴,術 中心肺バイパス2時間以上を挙げており,重篤な 心不全,術中心肺バイパス時間の長いものは,特 にリスクが高いと述べている.また,Reedら13)は, 同時に術中最低血圧や大動脈クランプの時間の長 さは,術後strokeのリスクの中では程度の低いも のとしてあげている.今回の著者の検討では,脳 血管の狭窄が見られず,術中術後に特に問題の見

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        図4 症例36 a.左椎骨動脈起始部に高度狭窄を認める(→).

・靴、 c.総総頸動脈遠位側から内頸動脈起始部に軽度狭窄 を認める.

難燃霧

幅、

b.右内頸動脈起始部に軽度狭窄を認める.     〆〆

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   骸勲∵1、

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難 ・鐙・㌶1一鱗・   ∼%   、,    肢     駕・㌦     \     、  、

1罫:霧

海爺

  / lr,〉薮1こ‘{Fき d.右前大脳動脈起始部に高度狭窄を認め(→),右中 大脳動脈水平部の血管壁に不整を認める. られなかったものに,血圧低下時間の長いものも 3例(症例16,19,20)含まれていた.  脳動脈では,起始部に強い狭窄があっても,末 梢血管抵抗が上昇しなけれぽ,脳内の」血流はよく 保たれることが知られている.しかし,体外循環 時は,脳循環が生理的な拍動流から定常流となり, autoregulationは消失する.血中酸素濃度が正常 と仮定した場合,autoregulationを保つことがで

きるのは,正常成人では最高血圧が60∼140

mmHgとされており,この範囲を逸脱すると,血 圧の変化に応じて脳血流は変動する.脳血流を正 常範囲に保つには最低60mmHgの収縮期圧が必 要とされるが,高血圧症例では,autoregulation 範囲の上方偏位によりさらに高い血圧が要求され

(8)

る.脳動脈に狭窄がある場合にはその狭窄部より 末梢では,arterial pressureはさらに低く,auto・ regulationも下限より低くなり,脳血流はそれよ り低くなることが想定される.また,脳動脈の狭 小化部位では,相対的に血管抵抗が増大し,定常 流では末梢に十分な1血液が供給されない状態とな りうる.  症例2のように術前よりある脳動脈の高度の狭 窄が,術後の脳梗塞発生の原因となり得ると想像 されるが,症例1のように脳動脈の狭窄が極端に 強いものでなくても,体外循環時の定常流での低 血圧とも大きな関係を有して術後の神経症状の発 現を惹起させる原因の一つとなり得ると考えられ る.今回の検討でも,脳梗塞の発生例が高血圧を 有する患者であったこともこれと大きな関係を有 するものと考えられる.また,逆に,体外循環時 間が長く,血圧低下の持続時間の長いものでも, 脳動脈の狭窄がなく,高血圧の既往もなく,auto− regulationが良く働く例では,脳梗塞の発生をみ なかったことも充分理解できる.  本研究の手術例33例のうち,術中大動脈よりの 出血による死亡の2例(症例3,13)を除くと, 11例の脳動脈狭窄例のうち脳動脈の狭窄が比較的 強く,複数の血管に及んでいるもので術中体循環 血圧の極端な低下のあったもの2例(18%)に脳 梗塞の発生をみており,脳血管の狭窄がないもの 20例,軽度のもの8例および中等度であっても一 本の脳血管のみにそれがみられ,対側よりの側副 路がみられた1例の計29例では,術中の体循環圧 の低下の有無にかかわらず,脳梗塞の発症をみな かった.以上の事実はReedら13)が述べるように, 術中の体循環圧の低下が脳障害の発生の直接因子 としては大きな関係を持たないが,これに強度の 脳動脈の閉塞や複数脳動脈の中等度以上の狭窄が 加わると,術後に脳梗塞を主とした脳障害の発生 を来し得ることを示しているものと考えられた. さらに,高血圧の合併もcerebral autoregulation の上方偏位と関係して,術後脳障害の発生を助長 させるであろう.  本研究は,大動脈解離あるいは大動脈瘤手術の 際の術前の頸部脊髄の栄養血管の経路の検索から 派生的に行われたものであり,症例の大部分が胸 部大動脈疾患であり,心疾患が対象となったもの も脳血管障害のrisk factorを有する患者であっ た.心疾患で手術の対象となるものには,小児心 奇形を除き,その多くの例で動脈硬化や高血圧な ど脳血管障害のrisk factorを有するものが含ま れている.中等度の脳血管狭窄を有し,術中出血 で死亡した症例3でも剖検で強い動脈硬化性変化 が証明されていた.この意味では,このような患 者に対して,術前の脳血管撮影が不可欠とも言え るが,全ての患者に対してcerebral four vessel studyを行うことは現実には不可能であることか ら,より簡便で侵襲の少ない検査法が求められる. 頸部超音波検査も有効であると考えられ,本研究 の対象の1例でも頸部超音波によって内頸動脈の 狭窄が疑われて脳血管撮影が行われている.しか し,頸部超音波検査は,椎骨動脈や鎖骨下動脈の 診断には不向きである.また,磁気共鳴血管撮影 法も近年無侵襲な検査法として広く使用されつつ あるが,これも椎骨動脈起始部の診断には今なお 難点を有している.五大血管撮影や冠動脈撮影時 に大動脈での造影剤注入による頸部および頭蓋血 管のdigital subtraction angiography(IA DSA) も有用と考えられ,静脈内造影剤注入によるIV DSAも比較的侵襲の少ない検査法として有効で あろう(この場合はWillis輪を中心とした側副血 行路の検討はできない).いずれにしても,強く脳 血管の狭窄の可能性が疑われる患者に対しては Willis輪を中心とした側副路の状態の観察も含め て術前の脳血管の状態の注意深い検索が必要と考 えられた.さらに,術中完全分離体外循環を用い る場合には左頸動脈と左鎖骨下動脈が,また,部 分分離体外循環が用いられる場合には,左椎骨動 脈が完全に閉塞していることを前提として考慮す る必要がある.一方,このような脳動脈狭窄が診 断された場合には心門血管手術および体外循環の 方法についての検討も必要であり逆行性脳縮流法 などもこれに対する対処法の一つとも考えられ る.          結  語  開胸術術前の脳血管撮:影所見と術後神経症状発

(9)

生との関連について検討した.  脳動脈の高度の狭窄はこれのみによっても心大 血管手術後の脳梗塞の発生の原因となり得るが, これが中等度であっても広範囲にある場合には, 体外循環時の定常流下の低血圧と関連し,術中あ るい.は術後の脳虚血による神経症状の発現の原因 となりうる.術前には脳血管の状態の検討が不可 欠であり,これにはより簡便で非侵襲的な検査法 の開発が望まれる.  稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を賜わりまし た放射線医学教室重田帝子主任教授に深謝致します. また,終始直接御指導賜りました同小林直紀教授に感 謝致します.なお,本研究の機会をお与え下さり多大 な御協力をいただきました循環器内科学教室細田瑳 一教授,循環器外科学教室小柳 仁教授,橋本明政教 授,麻酔科学教室白井希明助教授ならびに同教室員の 皆様に御礼申しあげます.  本論文の要旨は,第22回日本神経放射線研究会にお いて発表した.       文  献  1)Hutchinson JE III, Green GE, Mekhjian HA    et al: Coronary bypass grafting三n 396 consec−    utive patients, with three operative deaths, J    Thorac Cardiovasc Surg 64:7−16,1974  2)Gonzalez・Scarano F, Hurtig HI:Neurologic    complications of coronary artery bypass graft−    ing:Case control study、 Neurology 31:    1032−1035, 1981  3)Loop FD, Cosgrove DM, Lyt藍e BW et al:An    11−year evolut圭on of coronary arterial surgery   (1967−1978).Ann Surg 190:444−445,1979  4)Co∬ey CE, Massey EW, Roberts KB et al:   Natural history of cerebral complications of   coronary artery bypass graft surgery. Neuro−   logy 33:1416−1421, 1983 5)Reed G正III, Singer DE, Picard EH et al:   Stroke following coronay artery bypass sur−   gery:Acase control estimate of the risk from   carotid bruits. N Engl J Med 319:1246−1250,   1988 6)Turnipseed WE, Berko貸HA, Belzer FO:   Postopeative stroke in cardiac and peripheral   vascular disease. Ann Surg 192:365−368,1980 7)Breuer AC, Fulran AJ, Hanson MR et al:   Central nervous system compllcations of coro−   nary artery bypass graft surgery:Prospective   ana王ysis of 421 patients. Stroke 14:682−687,   1983 8)Hise JH, Nipper ML, Schnitker JC:Stroke   associated w三th coronary artery bypass sur−   gery. AJNR 12:811−814,1991 9)高木 亮,山川稔隆,豊田昌子ほか:胸部大動脈   瘤における術前脳血管・頚部脊髄血管撮影の意義.   日医放線会誌 51:64,1991 10)Bojar RM, Najafi H, De}aria GA et al:   Neurological complications of coronary revas−   cularization. Ann Thorac Surg 36:427−432,   1983 11)Furlan AJ, Breuer AC: Central nervous sys−   tem complications of open heart surgery.   Stroke 15:912−915, 1984 12)Fur漣an AJ, Cracium AR:Risk of stroke   during coronary artery bypass graft surgery in   patients with internal carotid artery disease   documented by angiography. Stroke 16:   797−799, 1985 13)Reed G, Singer D, Picard E et al:Stroke   following coronary artery bypass surgery. N   Engl J Med 319:1246−1250,1988

参照

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