博 士 ( 獣 医 学 ) 山 田 慎 二
学 位 論 文 題 名
オスマダニ由来分子を標的とした 抗ダニワクチン抗原の探索
学位論文内容の要旨
マダニ媒 介性感染 症はマ ダニと宿主の間で病原体の感染環が維持されるために防圧が困 難であり、家畜生産性の低下や家畜の移動制限、家畜改良への障害ぬどの原因となっている。
本 研 究 で は` 特 にTheileria parva (T. pcwva)とその゛ ベクター であるRhipicephalus appendiculatr*ts (R. appendtculatus)に焦点を当て、疋parvaの野外疫学調査およぴ感染宿主の 免疫応答に関して検討し、マダニ媒介性感染症の新たな防除方法として抗ダニワクチンの抗 原探索を行った。
はじめに、ザンビア共和国において分子疫学調査を行った結果、家畜牛とマダニにおいて 高いr parvaの感染率が認められた。更に、疋parvaはRappendiculaNs成 ダニの吸血中期(吸 血開始から約72時間以降)に宿主に移行し、宿主体内でiま原虫増殖に伴い臨床症状の顕性化 と炎症性サイトカイン(IL‑1および11‑6)の過剰発現が認められた。従って、原虫の急激な増 殖 が 炎 症 性 サ イ ト カ イ ンを 誘 導 し、 臨 床 症状 の 進 行 に関 与 し てい る と 考え ら れ た。
次に、新たなマダニコントロ‐ル法として交尾時にオスからメスヘ伝達されるオスマダニ 由 来分子 に注目し 、マダ ニの吸血 および繁殖を抑制する抗ダニワクチンの可能性を検討し た。まず、糟巣由来cDNA libraryから得られた新規遺伝子(R. appzndiculatus Male‑specific Protein: RAMP)の遺伝 子解析と 機能解析を行った。その結果、RAMPはオスマダニの精包中 に含まれ、交尾時にメスマダ三に伝達され.る分子であることが確認きれたが、r‑RAMPによ る抗ダニ効果は得られなかった。更に、オス由来分子でメスの吸血を促進する機能が報告さ れている伽rロガ阿のクローニングならぴに遺伝子解析を.行い、r一voraxlnを抗原とした抗ダニワ クチン効果の検討を行った。その結果、v。raxinは精巣に由来する分子であり、他のマダニ種 のv。faxinと高いアミノ酸相同性を示したことから、.異なるマダニ種間で高度に保存されてい る分子であると考えられた。また、r‐voraxin也免疫によルメスマダニの有意な吸血量と産卵 量の減少がみられた。
本研究で得られた知見から、オスマダニ由来の分子がメスマダニの吸血に影響を及ばし、
有効な抗ダニワクチン候補抗原であることが示された。今後、更ぬるオス由来分子の探索や 他のマダニ抗原との併ゝ用による有効な抗ダニワクチンの開発が重要であると考えられる。
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学位論文審査の要旨
主 査 教 授 大 橋 和 彦
副 査 教 授 片 倉 副 査 准教 授 今内 副査 名誉教授 小沼
学 位 論 文 題 名
賢 覚 操
オスマダニ由来分子を標的とした 抗ダニワクチン抗原の探索
マダ ニ媒 介 性感 染症 ぬ、 マダ ニ と宿 主の 間で病原体の 感染環が維持されるために 防除が困難 であり、家畜生産性の 低下や家畜の移動制限、家 畜改良への障害奄どの原因と なっている。本 研究では、特にTheileria parvaとそのべクターであるRhipicephalus appendiculatusに焦点を当 て、Z parvaの野 外疫学調 査およぴ感染宿主の免疫応答 に関して検討し、さらにマ ダニ媒介性 感 染 症 の 新 た な 防 除 方 法 と し て 抗 ダ ニ ワ ク チ ン 開 発の ため 、候 補 抗原 の探 索を 行っ た 。 はじ めに 、 ザン ビア 共和 国 にお いて 分子 疫学 調 査を行った結 果、家畜牛とマダニに韜いて 工 przr vaの高い感染率 が認められた。さらにEparvaは、R.appendiculatus成ダニの吸血中期(吸 血開 始か ら 約72時間 以降 ) に宿 主に 移行 して 、 宿主体内で艫 原虫増殖に伴い臨床症状の顕 性 化と炎症性サイトカ イン(IL‑lf3およびIL‑6)の過剰発現が認められた。以上の結果より、原虫の 急激 な増 殖 が炎 症性 サイ ト カイ ンを 誘導 して 臨 床症状の進行 に関与していると考えられた 。 次に、マダニの新規 防除法として、交尾時にオス からメスヘ伝達されるオスマダニ由来分子に注 目し、 マダニの吸血および繁殖を抑 制する抗ダニワクチンの可 能性を検討した。まず精巣由 来 cDNA Iibraryから得 られた新規遺伝子(R.appendiculatus Mate‑specific Protein: RAMP)の遺伝 子解析 とその機能解析を行った。そ の結果、RAMPはオスマダニ の精包中に含まれおり、交尾 時 にメスマダニに伝達 きれる分子であることが確認 されたが、大腸菌発現系を用いて調製した組み 換えRAMPの免疫による抗ダニ効果は 認められなかった。さらに オス由来分子でメスの吸血を 促 進する機能が報告されているvoraxina遺伝子のクローニングナょら・ぴに遺伝子解析を行い、そし て組み換えvoraxina(トvoraxina)を調製してそ の抗ダニ効果を検討した。その結果、voraxma は精巣由来の分子で あり、他のマダニ種のvotxlnaと高いアミノ酸相同性を示したことから、異 なるマダニ種問で高 度に保存されている分子であ ると考えられた。そして調製したrlvoraxinaの 免 疫 に よ り 、 メ ス マ ダ ニ の 吸 血 量 と 産 卵 量 に 有 意 な 減 少 が み ら れ た 。 以上より、オスマダ ニ由来の分子がメスマダニの 吸血に影響を及ぼし、有効な抗ダニワクチン候 補抗原であることが 示された。今後さらなるオス 由来分子の探索や他のマダニ抗原との併用によ る有効な抗ダニワク チンの開発が重要であると考 えられる。
本 研究は、ダニを介したで par va感染に対する宿主の免 疫応答の一端を明らかにして、さらに 媒 介ベクターであるダニの新 規防除法として抗ダニワクチン開発に非常に有用な情報を提供して
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いる。よって、審査委員一同は、山田慎ニ君の博士論文は、北海道大学大学院獣医学研究科規 程 第6条 の 規 定 に よ る 本 研 究 科 の 行 う 博 士 論 文 の 審 査 等 に 合 格 と 認 め た 。
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