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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地 球 環境科 学)陳    宏 偉

     学 位論 文題名

A phylogenetic and taxonomlCStudyontheSubfamily     SteganlnaeDiptera , DrOSOphilidae )

     ( カブ トショウジョウバェ亜科に関する系統分類学的研究      ( 双翅 目、シ ョウジ ョウバ ェ科) )

学位論文内容の要旨

  現在までに地球上から知られている約175万種にのぼる生物種の中で,ショウジョウ/くェはヒトと ならんで最もよく研究されている生物種であろう,一般にショウジョウバェというとキイロショウジョウ バ ェ(Drosopカm田 ぬ 閲 田sfめ を 指 す の で あ る が , そ れ は シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ 科 (Family Drosophilidae) に属す1種にす ぎない .ショウ ジョウバェ科のハエはこれまでに世界から約3500種 が報告さ れ,双翅 目,無 弁類,ミ ギワバ ェ上科の中の比較的大きな分類群である.この科はカブト ショウジョウバェ亜科(SubfamilySteganinae)とショウジョウバェ亜科(Subfa而lyDrosophmnae)の2 つの姉妹 群に分割 され, これまで にキイ 口ショウジョウバェが属す後者についてはよく研究が行わ れてきた,一方,ショウジョウバェ亜科に比べて古い系統群とされるカブトショウジョウバェ亜科に ついては ,記載分 類を除 けばほと んど見 るべき研究がない,しかし,ショウジョウバ工科の起源を 探るためには,カブトショウジョウバ工亜科の系統関係を明らかにすることが不可欠である,また,

そのことはショウジョウバェ亜科の系統解析をする際に外群としてどのような系統群を選ぶべきか,

重要な情 報を提供 する. このよう な目的 意識を持って,本研究では,カブトショウジョウバ工亜科 の中 のGitonina亜 族及 び そ の近 縁 属 の系 統 類 縁 関係 を 分 析し,そ れらの 分類体系 を見直し ,41 新種を記載した.

第一部:バルッチック琥珀から発見されたショウジョウバェ科の最も古い化石属Electrophortica との類縁が指摘されているAm′〇ぬ属を含むGitonina亜族を中心に,カブトショウジョウバェ亜科の 属 と亜属 間の系統関係を分析した,内群としてカブトショウジョウバェ亜科の23既知種と4新種を

分析対象とし,外群としてショウジョウバェ亜科のクロツヤショウジョウバェ( Scapto〔わs〇.脚m

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corac切a)を 選ん だ. オス の成 虫か ら63の 形態形質を選び,分岐分析を行った.その結果に基づ い て 次 の よ う な 属 お よ び 亜 属 の 分 類 体 系 の 見 直 し を 行 っ た . (1) 舶 ″ ね ″ 駟 田J廁 亜 属 を 己euc噺eロ駟属からのc〇朋ロ凵属に移した.(2)ん′叩印舶e面亜属と勵 〇′加a亜属はそれぞれ 月p釦me施 属と4閲め ぬ属 に含 まれ てい たが ,そ れぞ れ独 立の 属に 格 上げ した .そ の結 果, 研究 対 象 と し た 分 類 群 の 中 で 次 の8属 ,4田 ′ 〇 ぬ , ノ ゆ 印 舶P面 , の ∞ 胎 田 恥 , 己 日Uc啣印 駟,

ん′a,艪uc〔棚卸駟,脇′叩印めe面,勵〇′加aとRP髀田¢がそれぞれ単系統群と認められた.ただし,

これ らの 属間 の系 統関 係に つい ては , 己euc〔脚印鰯と脇朋艪uc噺印 靜が1つの単系統群になるこ とが示唆された以外,明確な結論は得られなかった,

  第 二部 :Gitonina亜 族の中の2大分類群の1つであるメマトイ亜属(Amiota)のアジアお よびヨー ロ ッ パ に 分 布 す る53種 ( 日 本 お よ び 中国 から 発 見さ れた10新 種を 含み ,本 亜属 の全 種数 の約 75% に相 当) につ いて ,オス成 虫の31の形態形質による分岐分析を行った.その結果, 次の結諭 を得た.(1)アジア ・ヨーロッパ産の種に関する限り,メマトイ亜属は単系統群である.(2)本亜属 の中 には7つの 単系 統群 が認 めら れた .そ のう ち2っは既存 の種群に対応し,残りの5っ を新しい 種群 とし て設 立し た. ただし, これらの種群間の系統関係については明確な結論が得ら れなかっ た . な お , 研 究 対 象 と し た ア ジ ア ・ ヨ ー ロ ッ パ 産 メ マ ト イ 亜 属53種 の 検 索 表 を 作 成 し た ,

  第三部:Gitonina亜族の中のもう1つの大きい分類群であるマダラメマトイ属(Phortica)のアジァ,

ヨー ロ ッパ およ びア フリ カ産 の68種( 東南 アジ ァ産27新種を含み,本属の約70%に 相当)の系統 関係 を ,オ ス成 虫の58形 態形 質に 基づ ぃて 分岐 分析 した 。そ の 結果 ,次 の結論を得た.(1)マダ ラメマトイ属は少なくとも2つの単系統群からなる,それら をそれぞれ新しくPhortica亜属,Ashima 亜属 と して 設立 した , (2) Phortica亜属には6つの単系 統群が認められ,そのうちの3群は既存の species→complexesに対応して いた.それらを種群として再定義すると同時に,残りの3群もそれぞ れ新しい種群として設立した. (3) Ashima亜属は2っの単系統群に分けられ,それぞれ を種群とし て設 立 した (ー 方は 既存のspeciesーcomplexに対応). しかし,2つの亜属間および それぞれの亜 属 内 の 種群 間の 系統 関係 につ いて は, 明 確な 結論 は得 られ なか った .な お, 研究 対象 とし たア ジア.ヨーロッパ・アフリカ産 のPhortica属68種の検索表を付した.

  以上のように,本研究ではショウジョウバェ科の基幹である可能性のあるメマトイ属あるいはマダ ラ メマトイ属を中心とするいくっかの系統群について,そ の単系統性を明らかにできたが,属間の

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系統関係については結論が得られず,Okada (1989)およびGrimaldi (1990)が提唱した属以上の 分類体系についてもいずれを支持する証拠も得られなかった.これらの問題を解決するためには,

カブトショウジョウバェ亜科のより多くの系統群を解析に含め,形態情報だけでなく分子情報をも 活用したさらなる研究が必要である,

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学位論文審査の要旨 主 査    教授    戸田正憲 副 査    教授    木村正人 副査   助教授   鈴木   仁

     学位論文題名

A phylogenetic and taxonomic study on the subfamily     Steganinae (Diptera , Drosophilidae)

( カ ブ ト シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ 亜 科 に 関 す る 系 統 分 類 学 的 研 究     ( 双 翅 目 、 シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ 科 ) )

  現 在 、 分 子 系 統 学 あ る い は 分 子 進 化 学 の 分 野 で シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ を 材 料 と す る 研 究 が 大 変 盛 ん に 行 わ れ て い る が 、 そ れ ら は ほ と ん ど シ ョ ウ ジ ョ ウ バ 工 亜 科 ( 特 に , キ イ 口 シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ ) を 対 象 と し 、 よ り 古 い 系 統 群 で あ る も う 一 方 の カ ブ ト シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ 亜 科 に 関 す る 研 究 は 極 め て 少 な い 。 申 請 論 文 は 、 シ ョ ウ ジ ョ ウ バ 工 科 の 起 源 と 深 い 関 係 に あ る と 考 え ら れ るGitonina亜 族 に 着 目 し て 、 そ の 近 縁 属 を 含 め た 系 統 類 縁 関 係 を 明 ら か に す る こ と を 目 的 と し 、 そ れ に 基 づ い て 分 類 体 系 を 見 直 し 、41新 種を記載したものである。

  論 文 は 、3章 よ り 構 成 さ れ て い る 。 カ ブ ト シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ 亜 科 に 関 す る 形 態 、 分 類 、 系 統 関 係 な ど の こ れ ま で の 研 究 を 概 説 し た 後 、 第1章 で は 、 材 料 と し て カ ブ ト シ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ 亜 科 の15属 あ る い は 亜 属 か ら27種 を 選 び 、 電 子 顕 微 鏡 、 実 体 顕 微 鏡 な ど の 観 察 に よ り63個 の 形 態 形 質 を 取 り 出 し 、 分 岐 分 析 を 行 っ て い る 。 そ の 結 果 、 LeucophengaヽApenthecia、Amiotaの3属 は 多 系 統 群 で あ る こ と を 明 ら か に し 、 (1) Nロ門ね門gD′砂ぬ亜属を工eHc叩轟ピ門靜属からC,ロc甜翻恥属に移し、(2)nr叩e門所ecぬ亜 属 と 朋Drncロ 亜 属 を そ れ ぞ れ ノ ゆe門 所Pc血 属と ィmfD細属 から 独立 の属 に格 上げ する と い う 分 類 体 系 の 改 訂 を 行 っ た 。 こ の こ と に よ り 、 上 記3属 の 多 系 統 性 が 解 消 さ れ 、 研 究 対 象 と し た 分 類 群 は9つ の 単 系 統 属 に 整 理 さ れ た が 、 そ れ ら の 属 間 の 類 縁 関 係 に つ い て は 未 解 決 の 課 題 と し て 残 さ れ た 。 こ の 部 分 の 研 究 で 特 に 評 価 で き る 点 は 、1) 混 乱 し て い る カ ブ ト シ ョ ウ ジ ョ ウ パ ェ 亜 科 の 系 統仮 説を 整理 でき る可 能性 があ り、 かつ 、

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ショ ウジ ョウ バ工 科の 起源 を探 るの に重 要な Gitonina 亜族を研究対象として選んだ 着眼 力、 2 ) 系統 推定 に意味があると考えられる形質を発見し、それらを今後の研究 に 役 立 て る こ と が で き る よ う に 明 確 に 定 義 し た 客 観 性 で あ る 。    第 2 章 と 第 3 章 は 、 カ ブ トシ ョ ウ ジ ョ ウ バ エ 亜 科 の 2 つの 大 き な分 類群 Amiota と Phortica について系統解析と分類体系の改訂を行っている。両分類群とも、新しく記 載 され た多 くの 新種 を含ん で世 界の 70 % 以上 の種 を研 究対 象と し、 1 新亜 属を 創設 し、 15 の 種群 を定 義あ るい は再 定義 し、 全観 察種 について検索表を作成した。この 総説 的研 究は 、こ の2 つの分類群に関してこれまでに行われた研究の中で最も優れて おり、今後、この方面の研究をする際には必ず弓1 用しなければならない重要な研究で あると認められる。

   以 上の よう に、 本研 究は ショ ウジ ョウ バ工 科の 基幹である可能性のあるGitonina 亜族を中心とするいくっかの系統群について、その単系統性を明らかした。一方、属 間の系統関係については結論が得られず、また、Okada (1989) およびGrimaldi (1990) が提唱した属以上の分類体系についてもいずれを支持する証拠も得られなかったが、

今回 の分 類体 系の 改訂 は混 乱し てい るカ ブ卜 ショ ウジョウバエ亜科の系統仮説を整 理 す る き っ か け を 与 え る も の で あ り 、 そ の 意 義 は 高 く 評 価 さ れ る 。    申請者は、本研究を通じて、系統分類学者として必須の、意味のある形態形質を抽 出する深い洞察カと観察眼を培い、分岐分析の理論を理解し、その技術を修得して、

単な る記 載分 類に とど まら ない 総説 的研 究を 遂行 する充分な能カを身にっけたと判 断さ れる 。ま た, 第2 章は,既に国際誌に受理されており,他に参考論文として添え られ た6 編の 内5 編 も第 一著 者と して ,国 内の 権威 ある学術誌に公表されたものであ る.

   審査員一同は、これらの成果を高く評価し、また研究者として誠実かつ熱心であり、

大学院課程における研鑚や取得単位なども併せ、申請者が博士(地球環境科学)の学

位を受けるのに充分な資格を有するものと判定した。

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