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学位論文題名 Experimental studies on the metamorphismof interstellar organlCmaterialSintheSOlarnebula andmeteoritiCparentbodieS

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Academic year: 2021

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博 士 ( 地 球 環 境 科 学 ) 中 野 英 之

     学位論文題名

    Experimental studies on the metamorphism of interstellar organlCmaterialSintheSOlarnebula     andmeteoritiCparentbodieS

(原始太陽系星雲および隕石母天体における星間有機物の変成作用)

学位論文内容の要旨

分 子 雲 に は 鉱 物 、 星 間 有機 物 ( 分 子雲 有 機 物(MC)十 低密 度 雲 有 機物(DC) ) 、氷 か ら 詮 る0.1ハm程 度の 固 体 微 粒子 ( 星 間 塵) が 存 在 する 。 星 間 塵は 惑 星 系 の材 料 と な った物 質 で あ り 、 原 始 太 陽 系 星 雲 で星 間 塵 か ら10 km程 度の 微 惑 星 が形 成 さ れ 、さ ら に 微 惑星 か ら100 km程 度の 隕 石 母 天体 が 形 成 され る 。 こ の間 、 星 間 塵は 原 始 太 陽系 星 雲 内 で加 熱 を 受 け 、揮 発 性 分 子の 蒸 発 や 熱分 解 ならび に固体 の構造 ・化学 組成が 変化す る「蒸発 変成 作 用 」 を 受け る 。 ま た、 隕 石 母 天体 内部で は、星 間塵中 の鉱物 や有機 物が水 (氷が 融けて で き た) と 反 応 する 「 水 質 変成 作 用 」 を受け る。その 後、隕 石母天 体はさ らに加 熱され 、

水 質 変成 を 受 け た鉱 物 や 有 機物 は 「 熱 変成作 用」を受 ける。 星間塵 の原始 太陽系 星雲や 隕 石 母 天 体内 部 で の 変成 作 用 は 、惑 星 材 料物質 の化学組 成・構 造に大 きな影 響を与 えると 考 え ら れ る 。し か し な がら 、 こ れ まで は鉱物 と氷の 変成作 用に関 する研 究が中心 であり 、星 間 有 機 物の 変 成 作 用に 関 す る 研究 は 行な われて こなか った。本 研究で は、分 子雲や 原始太 陽 系 星 雲 に大 量 に 存 在す る 星 間 有機 物に着 目し、 蒸発変 成実験 および 水質・熱 変成実 験に よ り、 星 間 有 機物 が ど の よう に 変化す るかを 明らか にする 。実験 結果を もとに 、星間有 機 物の 原 始 太 陽系 星 雲 内 での 存 在 状 態や星 間有機 物の蒸 発が星雲 ガスの 酸化還 元状態 に与え る 影 響を 議 論 す る。 さ ら に 、隕 石 母天体 内部で の水質 ・熱変 成過程 による 、有機 物の変 成 過程を議論する。

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実際の星間有機物を手に入れることができなぃため、星間空間で分子雲有機物や低密度 雲有機物が生成される過程を再現する実験で得られた有機物の分析結果をもとに、試薬を 調合して「星間有機物のアナログ物質」を作製した。このアナログ物質を用いて実験を行 った 。 蒸発 変成 は、 アナログ物質(MC+DC)約30 mgを石英ガラス製のるっぽに入れ、

真空チェンバー内(l0̲8 Torr)において80時間一定温度(40〜400℃)で加熱する蒸発変 成実験により再現した。四重極質量分析計を用いて発生ガスの質量分析を行った。また、

蒸発残渣の質量を測定し、元素組成(C,H,N)を元素分析計で測定した。水質変成は、星 間 有機 物の アナ ログ 物質(MC)と水 を混 合(2:3) した 試料 約500 mgをテフロン容器に 封入し、ステンレス製高圧容器内で7日間加熱(100℃,200℃)する水質変成実験により 再現した。実験後、゛‑30℃で72時間凍結乾燥させ、凍結乾燥試料を得た。熱変成は、凍結 乾燥試料約30 mgを真空下(8x10‑8  Torr)で常温から各加熱温度(50〜600℃)まで加熱 し、80時間一定温度に保つ蒸発実験により再現した。実験後、蒸発残渣の質量を測定し、

元素分析計、赤外分光計、透過型電子顕微鏡、ラマン分光計を用いて分析を行ナょった。

  蒸発変成実験では、分子雲有機物の 大部分が100℃までに、低密度雲有機物は180℃ま でに蒸発することが分かった。また、発生ガスの質量分析により、これらの有機物の大部 分は分解を伴って蒸発することが分かった。実験結果をもとに、原始太陽系星雲の温度分 布を示すモデルを用いて原始太陽系星雲内での星間有機物の存在状態を推定した。その結 果、原始太陽系星雲内で星間塵中に有 機物が存在したのは2.1AU(1AU=太陽地球間の距 離)よりも外側の領域であり、2.1 AUよりも外側では低密度雲有機物が、2.7AUよりも 外側では低密度雲有機物に加え分子雲有機物が存在していることが明らかになった。また、

実験結果をもとに、星間有機物の蒸発が原始太陽系星雲の酸化還元状態に与える影響を議 論した。星問有機物を含む星間塵が原始太陽系星雲内で濃集したとき、星間塵の完全蒸発 により、2.4 AU付近に星雲ガスの局所的ナょ強還元状態(C/O与1)が実現できることがわ かり、強度に還元的詮隕石(E型)の成 因が明らかになった。このことは、小惑星・隕石     ―1515―

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形成過程を議論する際に星間有機物が重要な役割を果たしていることを示している。

水質・熱変成実験から、100℃で水質変成をさせた試料を400℃まで加熱した場合、Allende 隕石のC,N含有量をうまく説明でき、Allende隕石が経験した母天体の最高加熱温度にも よく一致することがわかった。また、200℃で水質変成をさせた場合、200‑300℃の加熱で Orugeil隕石のC,N含有量を説明でき、Orugeil隕石の水質・熱変成の温度とよく一致する

こ とがわか った。さらに、600℃まで加熱した試料は、B‑7904隕石のC,N含有量だけで なく、B‑7904隕石が経験した隕石母天体での加熱温度とも一致することが分かった。本 研究により、炭素質隕石中の有機物のC,N含有量の違いは、有機物が受けた水質変成温 度や熱変成温度を反映していることを明らかにした。赤外分光計を用いた分析でも200℃ で水質変成をさせ300℃まで加熱した試料はOrugeil隕石中の有機物のスペクトルとよく 一致することがわかった。透過型電子顕微鏡とラマン分光計を用いた分析から、200℃で 水質変成をさせた試料を加熱(200〜400℃)すると、グラファイトやアモルフアスカーボ ンの他にダイヤモンドが形成されることを発見した。炭素質隕石中のダイヤモンドの起源 として、炭素質隕石母天体での水質・熱変成作用が重要であることを明らかにした。本研 究により、星間有機物と炭素質隕石中の有機物やダイヤモンドとの関連性が明らかになっ

た。

今後は、試料と水の混合比や圧力条件を変えた水質変成実験を行なうことにより、星間 有機物と炭素質隕石中の有機物の関連性がより一層明らかにされることが期待される。ま

た、水質変成試料を用いた衝撃変成実験を行なうことにより、強い衝撃を受けて生成され た隕石中のダイヤモンドの成因を解明することができると期待される。

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学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 教授

香内  晃 前野紀一 水野悠紀子

小笹隆司(北海道大学大学院理学研究科)

     学位論文題名

    Experimental studies on the metamorphism

of interstellar organic materials in the solar nebula     and meteoritic parent bodies

(原始太陽系星雲および隕石母天体における星間有機物の変成作用)

  星 間 分 子 雲 に は 鉱 物 、 星 間 有 機 物 ( 分 子 雲 有 機 物(MC)十 低 密 度 雲 有 機 物(DC)) 、 氷 か ら な る0.1 ym程 度 の 固 体 微 粒 子 ( 星 間 塵 ) が 存 在す る。 星間 塵は 惑星 系の 材料 とな っ た 物 質 で あ り 、 原 始 太 陽系 星雲 で星 間塵 から10 km程度 の微 惑星 が形 成さ れ、 さら に微 惑 星 か ら100 km程 度 の 隕 石 母 天 体 が 形 成 さ れ る 。 こ の間 、星 間塵 は原 始太 陽系 星雲 内で 加 熱を 受け 、揮 発性 分子 の蒸 発や 熱分 解 なら びに 固体 の構 造・ 化学 組成 が変 化す る「 蒸発変 成作 用」 を受 ける 。ま た、 隕石 母天 体 内部 では 、星 間塵 中の 鉱物 や有 機物 が水 (氷 が融け てで きた )と 反応 する 「水 質変 成作用」を受ける 。その後、隕石母天体はさらに加熱され、

水質 変成 を受 けた 鉱物 や有 機物 は「 熱 変成 作用 」を 受け る。 星間 塵の 原始 太陽 系星 雲や隕 石母 天体 内部 での 変成 作用 は、 惑星 材 料物 質の 化学 組成 ・構 造に 大き な影 響を 与え ると考 えら れる 。し かし なが ら、 これ まで は 鉱物 と氷 の変 成作 用に 関す る研 究が 中心 であ った。

そこ で、 本研 究で は、 星間 有機 物が 原 始太 陽系 星雲 内で 受け る蒸 発変 成作 用、 およ び隕石 母天 体で 受け る水 質変 成・ 熱変 成作 用 を調 べる ため に、 星間 有機 物の アナ ログ 物質 を用い た蒸 発変 成実 験、 およ び水 質・ 熱変 成 実験 をお こな った 。

  ま ず、 原始 太陽 系星 雲内 での 星間 有 機物 の存 在状 態を 明ら かに する ため に、 星間 有機物 の ア ナ ロ グ 物 質 を 用 い た蒸 発実 験を 行っ た。 星間 有機 物の ア ナロ グ物 質約30 mgを 石英 ガ ラ ス 製 の る っ ば に 入 れ 、 真 空 チ ェ ン バ ー 内(10‑8 Torr)に お い て80時 間 一 定 温度 で加 熱 (40‑400℃)した。実験後、蒸発残渣の質量を測定 し、元素組成(C,H,N)を元素分析計で測 定 し た 。 そ の 結 果 、 分 子 雲 有 機 物 は100℃ で 、 低 密 度 雲 有 機 物 は180℃ で 蒸 発 す る こ と が分 かっ た。 実験 で得 られ た蒸 発温 度 を原 始太 陽系 星雲 内で の温 度分 布を 示す モデ ルを使 って 、太 陽か らの 距離 に置 き換 える と 次の 結論 が得 られ た。 原始 太陽 系星 雲内 で、 低密度 雲 有 機 物(DC)が 存 在 し て い た の は2.1 AU以 遠 で あ り、2.7 AU以 遠で は、 低密 度雲 有機 物 に 加 え 分 子 雲 有 機 物(MC)が 星 間 塵 に 存 在 し て い た こと が分 かっ た。 本研 究に より 、原 始 太陽 系星 雲で は、 現在 の小 惑星 帯(2―3 AU)で 星間 有機 物が 残渣 とし て残 るこ とが 始めて

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明らかになった。また、2.4 AU付近での星間有機物の蒸発により、原始太陽系星雲ガスの 局所 的な強還 元状態(C/O=l)が実 現できることが明らかになり、これまで明らかになっ て い な か っ た 強 度 に 還 元 的 な 隕 石 ( E型 ) の 成 因 が 明 ら か に な っ た 。   っいで、隕石母天体での星間有機物の変成過程を明らかにするために、星間有機物を用 いた水質・熱変成実験を行った。水質変成は星間有機物のアナログ物質(MC)と水を2:3に 混合 した試料 (約500 mg)をテフ ロン容器 に封入し 、ステン レス製高圧容器内で7日間 加熱(100℃,200℃)する実験により再現した。熱変成は、水質変成実験後、凍結乾燥試 料 約30 mgを真空下で 加熱(50−600℃ )するこ とにより 再現した 。実験後 、蒸発残渣 の質量を測定し、元素分析計、赤外分光計、透過型電子顕微鏡、ラマン分光計を用いて分 析を 行った。その結果、炭素質隕石中のC,N含有量の違いは、星間有機物が受けた水質 変成温度および熱変成温度を反映していることが分かった。これまで、炭素質隕石中のC, N含有量の違いは、母天体での熱変成の度合いを反映しているものと考えられていたが、

水質変成の温度の違いが、星間有機物の変成作用に大きな影響を与えていることが明らか になった。また、電子顕微鏡による分析の結果、星間有機物の水質・熱変成過程でダイヤ モンドが形成されることを発見した。炭素質隕石中で見っかっているダイヤモンドの起源 にはいくっかの可能性が考えられており、最近の研究では太陽系内でダイヤモンドが生成 される可能性が示唆されている。しかし、太陽系内のどこでダイヤモンドが形成されたの かはまだ明らかになっていない。本研究の成果は、炭素質隕石母天体がダイヤモンドの供 給源と成り得ることを実験的に明らかにしたという点である。このことは、炭素質隕石中 の ダ イ ヤ モ ン ド の 起 源 を 議 論 す る 上 で 非 常 に 興 味 深 い 結 果 で あ る 。   以上、申請者は、星間有機物と炭素質隕石中の炭素質物質(有機物、ダイヤモンド)と の関i陸に関する興味深い新知見を得た。よって申請者は博士(地球環境科学)の学位を 受けるのに充分な資格を有するのもの判定した。

参照

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