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学位論文題名Synthetic Studies on Carbohydrate-Based SurfaCtantS USingReneWableReSOurCeS

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Academic year: 2021

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博 士 (地 球 環境 科 学 )ギ ム ファ ン ジラ サ ック

     学位論文題名

Synthetic Studies on Carbohydrate‑Based SurfaCtantS     USingReneWableReSOurCeS

(再生可能な資源を利用した炭水化物界面活性剤の合成に関する研究)

学位論文内容の要旨

界 面活性 剤は家 庭用洗 剤やク リ―ニ ングプロ ダクト の成分 として 我々の 日常生活に密接に関係 する化学物質であるばかりでなく、食品、化粧品、医薬品などの分野でも広く使用されている。そ れ らは大 きく人 工合成 界面活 性剤と 天然界面 活性剤 に分類 される が、巨 大な市場要求から現在 は 主に石 油化学 製品で ある前 者が大 量生産さ れてい る。消 費され た界面 活性剤のほとんどは環 境中に排出されている。合成界面活性剤は微生物等により分解されにくく、環境汚染物質としても 大きな問題を与えている。また、動植物体内に蓄積され、悪影響を与える危険も指摘されている。

  一 方、動 植物あ るいは 微生物 が産生 する天 然界面 活性剤は 、低い 毒性、 生物分解性および多 様性を有することから、近年非常に注目されるようになった。しかしながら、それらの大量生産は 困難で、生産コス卜が高いなどのマイナス要因を含んでいる。このような理由から、生物資源を原 料 に 化 学 反応 を 施 し た半 合 成 的 な界面 活性剤 の研究 開発が 活発に 行われ ている 。界面 活性剤 は 同一分 子内に 親水性 の置換 基と疎 水性基を 併せ持 つ分子 であり 、前者 は糖質やアミノ酸、後 者は植物油や脂質など再生可能な資源を原料とすることも可能である。

  特に、親水部を炭水化物とした糖質系界面活性剤は、サッカロ―ス、グルコ―ス及びソルピト―

ル など安 価で大 量入手 可能な 原料を用いるため競争価格でも十分対抗できると考えられている。

さ らに、 炭水化 物は生 物の主 要構成成分のーつであり生体親和性が高く、それらを分解する微生 物や酵素は環境中に広く存在する。したがって、糖質系界面活性剤は、生物にやさしく、環境負荷 の 小さな 界面活 性剤と して工 業的にも期待されている。このような背景から、申請者は再生可能 な 資源で ある糖 質を利 用して 新規な 界面活性 剤を開 発し、 生物医 学的分 野や食品加工分野での 応用を目指した基礎的な検討を行った。

  第1章 では 、これ まで行 われて きた炭 水化物 界面活性 剤の紹 介・問 題点お よび本 研究の 目指 す炭水化物界面活性剤について述べた。

第2,章で は、容 易に入 手可能 な単糖 類およ びニ糖類 を原料とする糖質系界面活性剤として、長 鎖 アルキ ル基を 有する チオグ リコシ ドの合成 と性質 について述べた。6種類の糖アセチル誘導体 からルイス酸を触媒としてラウリルチオグリコシドを合成した。ついで、水に対する溶解性を調べた 結 果、単 糖誘導 体はほ とんど 溶解性 がないが 、親水 部分の 大きな ニ糖誘 導体は比較的高い水溶 性を示した。ピレンを螢光プロ―ブとして用いて、高い水溶性を示すラウリルチオマルトシドの臨界

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ミ セル 濃度CMCを調 べたところ、9.32x10一5M(49.1 mg/L)であり、優れ た界面活性剤であること を明らかにした 。

  第3章 では 、 多糖 キトサンを用いる高分 子界面活性剤の合成について 検討した結果を述べてい る 。前 章で 述べ た低 分 子ミ セル は薬 剤運 搬 システムなど生体系へ利用 するためには安定性に問 題があるため、 より安定なミセルが形成でき る高分子界面活性剤の開発 を検討することにした。

キ卜サンは、セ ル口―スについで地球上に多 量に存在する多糖キチンか ら得られる陽イオン性高 分子である。キ トサンは反応性の高いアミノ 基を有するが、強固な結晶 構造から溶解性の優れた 誘 導体 は少 ない 。そ こで、本研究ではキト サンと3‑ 0‑アルキルグルコ ースと還元的N‑アルキル 化 によ って 高分 子界 面 活性 剤DGCを 調製 する こと を 試み た。 得ら れたDGCの置 換 度は 用い る原 料 の量 比に 依存 する こ とわ かり 、置 換度0.10および0.27の誘導体につ いて分子構造および物理 化 学的 性質 の検 討を 行 った 。構 造は 元素 分 析およびlH―と13C―NMRス ペクトルから確認され、

そ れら の溶 解性 は水 溶 液中 およ び有 機溶 媒 性中 で測 定さ れ た。 さら に、DGC(置換度〓0.10及 び0.27)の 臨 界 凝 集 濃 度CACは そ れ ぞ れ1200お よ び28.1 mg/Lで あ り 、 高 分 子界 面活 性 剤の ミ セ ル 形 成 能 は 導 入 さ れ た ア ル キ ル 基 の 密 度 に 大 き く 影 響 さ れ る こ と が 判 明 し た 。 第4章 で は 、 第3章 の 研 究 で 合 成 さ れ た 界 面 活 性 剤DGCが 水 溶 液 中 で 形 成 す るミ セル の 形状 に つい て光 散乱 で調 べ 、さ らに 形成 され た ミセル内への有機化合物の 取り込み及び放出につい て 検討 した 。ま ず、 濃 度が0.15.0.3及 び0.5 mg/mLであ る3種類 のDGC(置換度=0.27)溶液 の 動的 光散 乱(DLS)を測 定し た 。溶 液温 度25℃に お ける ミセ ルの 平均 直 径は それ ぞれ108.6、 108.2及び121.2 nmで、ミセルのサイズは濃 度にほとんど影響されないことがわかった。ついで、

温度を変えて測定すると、温度上昇と共にミセル直径が大幅に増大することが見出された。さらに、

ミセルヘの物質 取り込みと放出挙動について 、アゾ化合物をモデル物質 とする透析法を用いて検 討した。その結 果、強酸性物質であるメチル オレンジ(MO)がメチルレッド(MR)よりも徐放性が高い こ とが 判明 した 。界 面 活性 剤と の疎 水的 相 互作用に加えて、静電的相 互作用も基質取り込みの 重要な要因にな っていることが示唆された。 次に、水溶性の極めて低い アゾ化合物であるメチル イ エロ‑(MY)お よび ァゾ ベン ゼ ン(AZB)を 用 いて、DGCミセルヘの取り 込み実験と行った。DGCミ セ ル 溶 液 ( 濃 度5 mg/mL)に 対 す るMYお よ びAZBの 溶 解 度 は そ れ ぞ れ3.6お よ び69〃g/mLと 大幅な向上が見 られた。これは、ミセルヘの 取り込みにより難溶性物質 の可溶化に利用できるこ とを示している 。

第5章で は、 本 研究 結果 を総 括 して いる 。本 研究 は 生体 親和 性、 低毒 性、生分解性などの特徴 を 有す る炭 水化 物を 親 水基 とし て利 用し た 新規な界面活性剤の合成を 行い、それらの物理化学 的な性質及びミ セル形成能について検討した ものである。特に、多糖キトサンより得られた高分子 界面活性剤は低 い臨界ミセル濃度で凝集体を 形成し、温度によルミセル サイズが変化することな ど興味ある知見 が得られた。さらに、この高 分子ミセル内へ種々の有機 化合物を取り込み、徐放 できることから 、今後、安定剤または乳化剤 として食品加工への応用や 薬物運搬システム構築な どに関する研究 の進展に大きく寄与すると期 待される。

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学位 論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

坂入 西 春木 野水

信夫 則雄 雅寛 基義

     学位論文題名

Synthetic Studies on Carbohydrate ‐Based Surfactants     Using Renewable Resources

(再生可能な資源を利用した炭水化物界面活性剤の合成に関する研究)

  界面 活性剤は家庭用洗剤等の主成分として我々の日常生活に密接に関係する化学物質で あるばかりでなく、食品、化粧品、医薬品などの分野でも広く使用されている。巨大な市場 要求から現在は主に石油化学製品である人工合成界面活性剤が大量生産されている。消費さ れた界面活性剤のほとんどは環境中に排出されている。合成界面活性剤は微生物等により分 解されにくく、環境汚染物質としても大きな負荷を与えており、動植物体内に蓄積され悪影 響を与える危険も指摘されている。

  一方、動植物あるいは微生物が産生する天然界面活性剤は、低い毒性、生物分解性および 多様性を有することから、近年非常に注目されるようになった。また、生物資源を原料に化 学反応を施した半合成的な界面活性剤の研究開発も活発に行われている。界面活性剤は同一 分子内に親水性の置換基と疎水性基を併せ持つ分子であり、前者は糖質やアミノ酸、後者は 植物油や脂質など再生可能な資源を原料とすることも可能である。特に、親水部に安価で大 量入手可能な炭水化物とした糖質系界面活性剤は、競争価格でも十分対抗できると考えられ ている。さらに、炭水化物は生物の主要構成成分のーつであり生体親和性が高く、それらを 分解する微生物や酵素は環境中に広く存在する。このような背景から、申請者は、生物医学 的分野や食品加工分野での応用を目指して、再生可能な資源である糖質を利用した新規な界 面活性剤の開発についての研究を行った。

  はじめに、容易に入手可能な単糖類および二糖類を原料とする糖質系界面活性剤として、

長鎖ア ルキル基を有するチオグリコシドの合成と性質について検討を行った。6種類の糖ア セチル誘導体からルイス酸を触媒としてラウリルチオグ1」コシドを合成し、水溶性を調べた。

その結果、単糖誘導体はほとんど溶解性がないが、親水部分の大きな二糖誘導体は比較的高     ―1577−

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い水溶性を示した。ピレンを螢光プ口ーブとして用いて、高い水溶性を示すラウリルチオマ ルト シド の臨 界ミ セル 濃度CMCを調べたところ、9.32x10−5M(49.lmg/L)であり、優れ た界面活性剤であることを明らかにした。

  ついで、多糖キトサンを用いる高分子界面活性剤の合成について検討した。オリゴ糖の界 面活性剤は薬剤運搬システムなど生体系へ利用するためには安定性に問題があるため、より 安定なミセルが形成できる高分子界面活性剤の開発を目的とした。キトサンは、セル口ース についで地球上に多量に存在する多糖キチンから得られる陽イオン性高分子である。キトサ ンは反応性の高いアミノ基を有するが、強固な結晶構造から溶解性の優れた誘導体は少ない。

本研究では、キトサンと3ー伊アルキルグルコースと還元的舮アルキル化によって新しい高 分子界面活性剤DGCが合成できることを明らかにした。得られたDGCの置換度は用いる原料 の量比に依存することわかり、置換度0. 10および0.27の誘導体について分子構造および物 理化学的性質の検討を行った。DGC(置換度:0.10及び0.27)の臨界凝集濃度CACはそれ ぞれ1200および28.1 mg/Lであり、高分子界面活性剤のミセル形成能は導入されたアルキ ル基の密度に大きく影響されることが判明した。

  さらに、高分子界面活性剤DGCが水溶液中で形成するミセルの形状および基質取り込み能 について調ぺた。まず、DGC(置換度:0.27)溶液の動的光散乱(DLS)を測定した。溶液温 度25□Cにおけるミセルの平均直径はおよそ120 nmで、ミセルの大きさは濃度にほとんど影 響されないことがわかった。ついで、温度依存性を調べたところ、温度上昇と共にミセル直 径が大幅に増大することが見出された。さらに、ミセルヘの物質取り込みと放出挙動につい て、アゾ化合物をモデル物質とする透析法を用いて検討した。その結果、強酸性物質である メチルオレンジ(MO)がヌチルレッド(MR)よりも徐放性が高いことが判明した。界面活性剤と の疎水的相互作用に加えて、静電的相互作用も基質取り込みの重要な要因になっていること が示唆された。次に、水溶性の極めて低いアゾ化合物であるメチルイエ口ー(MY)およびアゾ ベンゼン(AZB)を用いてミセルへの取り込み実験ところ、溶解度の大幅な向上が見られた。

これらは、ミセルヘの取り込みにより難溶性物質の可溶化に利用できることを示しており、

さらに生体親和性などを検討することにより、生医学材料としての用途が開けると期待され る。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し,また研究者として誠実かつ熱心であり、大学 院課程における研鑽や取得単位なども併せ申請者が博士(地球環境科学)の学位を受けるに 充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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