• 検索結果がありません。

博 士 ( 工 学 ) 江 戸 昇 市

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 工 学 ) 江 戸 昇 市"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 工 学 ) 江 戸 昇 市

     学 位論文 題名

Structural and Electrical Stabilities of (Y ,Ln) Ba2CU30X     Superconductorsln Atmosphere

    ((Y Ln)Ba2CU30X 高 温 超 伝 導 体 の 結 晶 構 造 お よ び      電 気 的 性 質 の 大 気 環 境 下 に お け る 安 定 性 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  1986年にBednortzとMullerがLa−Ba―Cu―0系にお いて超伝導遷移温度T。が 30Kを越 える高温 超伝導体 を発見レ て以来、 さらに高 いT。を有する数多くの酸 化物 超伝導体 が探索さ れてきた 。一方で 、臨界電 流や臨界磁 場の向上、電子デ バイ ス用薄膜や電力用線材等の開発研究が盛んに行われている。しかしながら、

使用 に際して 重要な大 気環境下 における 超伝導体 の安定性に 関する研究は比較 的少ない。

  YBaZCu30エ(YBCO)高 温超伝導 体およびYをランタノイド(Ln Er,Gd,Sm,Nd) で置 換したLnBa2Cu30エ(LnBCO)の酸素濃度(X)は、雰囲気の温度や酸素分圧によ って 変化する。酸素濃度の減少に対してT,は7>x>6.8 (90K)と6.6>x>6. 5(60K) に平坦領域を示して、xニニ6.4付近でOKまで低下する変化を示す。一方、結晶構 造 は 酸素 濃 度xの 低下に伴 って斜方晶 から正方 品に変化 する。結 晶構造と 超伝 導性 の相関に ついて多 くの報告 はあるが 、構造と 酸素濃度の 関係において研究 者間で著しぃ相違が見られる。

  本論 文 は 、YBCOおよ びLnBCOについ て酸素濃度 、構造と 超伝導性 との関係 、 およ び大気環 境下にお ける本物 質の結晶 構造およ び電気的性 質の安定性を研究 した ものであ る。特に 本物質系 は大気中 の水蒸気 と強く相互 作用レて、その超 伝導性、構造に大きな影響を及ぼすことを明らかにレた。

  本 論 文 は9章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 以 下 、 各 章 の 概 要 を 述 べ る 。   第1章で は 緒諭で 、これま でに発見さ れた酸化 物高温超 伝導体を 組成によ っ て分 類した。 次に、YBCO系 高温超伝 導体の結 晶構造お よび超伝導性と酸素濃度 との関係を整理し、本研究の背景と目的について述べた。

  第2章で は 、結晶 構造およ び超伝導遷 移温度T。 と酸素濃 度xとの関 係を調べ た 。 固相 反 応法 で作製し た多結晶YBCOを 大気中で450〜900℃に6時 間保持し た 後 、 液体 窒 素中 に急冷し て酸素濃度xを6.l<x<6.9に調 整した。 試料の結 晶構 造 は 粉末X線 回 折 法で 、 超伝 導 性 は直 流 四端 子 法 によ る 電気 抵 抗 測定 お よび Hartshornブリ ッジ回路 を用いた 交流磁化率測定で調べた。バルク試料、粉末試 料と も酸素濃 度の減少 に対して 、T。はほ ぼ前述のxの範囲で90K、60Kの平坦領 域を 示し、x=6. 35付 近で常伝 導体になった。一方、斜方晶から正方晶へ構造変 化はノくルク試料でx二二6.35、粉末試料でx‑6.15で生じた。この相違は試料表面

(2)

層と内部の結晶構造の違いによるものと推定された。

  第3章で は 、急 冷方法に よる結晶 構造の違 いとその 原因につい て研究し た。

す な わち 、 正方 晶領域 から急冷 した試料 について 、表面を5ルm削る毎に 粉末X 線回 折法で結 晶構造を 調べた。冷 却速度が 遅い厚い 試料では 、深さ方向に正方 晶か ら斜方晶 へと構造 が分布レ、 試料厚み を薄くし て冷却速 度を速くすると、

正方 晶と斜方 晶の境界 が浅くなる 傾向が明 瞭に観察 された。 これは、表面層の 正 方 晶が 高 温構 造の凍 結によら ないこと を示して いる。酸素 分圧0の液 体窒素 中で の急冷過 程におい て、酸素濃 度が固相 拡散によ って減少 すると仮定して計 算し た結果、 酸素濃度 と構造の深 さ方向分 布を良く 説明でき た。これにより、

斜 方 晶か ら 正方 晶 へ の遷 移 がx二ニ6. 15付 近で 起 こる も の と結 論 され た 。   第4章で は 、急 冷した試 料の結晶 構造と超 伝導性の 大気下にお ける安定 性を 調べ た。急冷 した試料 を大気中で 昇温する と電気抵 抗に異常 な増加が観察され た。 次に、加 熱後の試 料について 直流電気 抵抗と交 流磁化率 の温度依存性を測 定し たところ 、試料は 半導体的な 抵抗変化 を示す常 伝導体に 変化レていた。ま た 、 室温 に おけ る構造 を粉末X線 回折法に よって調 べたところ 、元の斜 方晶の 格 子 定数cと 比 較して約10%も大き な格子定 数をもつ 未知の構造 に変化し てい た。 構造変化 と大気成 分の関係を 調べた結 果、水の 吸収によ り著レい構造変化 が生ずることが明らかになった。

  第5章 では、吸 水した試 料の加熱に伴う結晶構造と超伝導性の変化を調べた。

水を 吸収させ た試料をHeガス流中で 加熱しな がら、重 量変化お よび吸発熱現象 を熱 重量分析 計(TG)および 示差走査熱 量計で測 定レた。 その結果、230〜275℃ に お いて 脱 水に よる重 量減少お よび260℃に ピークを もつ吸熱変 化が観察 され た 。 また 、 脱水 にとも ない超伝 導性が回 復するこ とを磁化率 測定およ びX線回 折法によって明らかにした。

  第6章 で は 、Y原 子 をEr,Gd,Sm,Ndで 置 換 し たLnBCOを 作製 レ 、 水蒸 気 中で の加熱に よる結晶 構造と超伝 導性の変 化、およ び脱水に よるこれらの回復 現象 について 調べた。 その結果、 YBCO系超伝導体と同様の構造変化および超伝 導 性 の変 化 が生 ずるこ とが分か った。さ らに、酸 素濃度x=ニ7付 近のYBCO系お よびLnBCO系超伝導 体に対す る水蒸気中加熱の影響と回復について調ぺた結果、

酸 素 濃 度 を 減 少 さ せ た 試 料 と 同 様 の 変 化 が 生 じ て い る こ と を 確 認 レ た 。   第7章では、x二ニ6.4の粉末試料を用いて水分子の拡散係数を重量緩和法により 調べた。水蒸気中131℃‑‑173℃で恒温加熱した場合の拡散係数は、10一14〜10・13 cm2s・Iと求まり、拡散の熱活性化エネルギーはE=0.83 eVであった。求めた拡散 係数 は、酸素 の拡散係 数に近い値 であり、 これらの ことから 、水はYBCO系超伝 導体中ではOH・として吸収されているものと推測された。

  第8章で は 、YBCO系 超伝導体 の単結晶 をフラッ クス法で 作製し、吸 水による 構 造 変化 を 四軸 回折計 を用いたX線回折法 によって 調べた。こ の結果、 吸水し た 多 結晶 体 で観 察され た構造は 、元の斜 方晶と同 じ方位関係 を保ちな がらc軸 が大 きく伸び 、a軸、b軸 の格子定数 がほぼ等 しくなっ て生じた ものであること が 明 らか に なっ た 。 また 、 この 構 造 変化 がc軸方向 に2倍の周期 をもつ長 周期 構造の生成をともなっていることも明らかとなった。

  第9章は、本研究の総括を述ぺている。

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

石井邦宜 毛利哲夫 工藤昌行 高間俊彦

     学位論文題名

Structural and Electrical Stabilities of (Y ,Ln) Ba2CU30X     Superconductors in Atmosphere

    ((Y , Ln)Ba2CU30X 高 温 超 伝 導 体 の 結 晶 構 造 お よ び      電 気 的 性 質 の 大 気 環 境 下 に お け る 安 定 性 )

  YBa2CU30ー(YBCO)系 高 温 超 伝 導 体 の 発 見 以 来 、 臨 界 電 流 や 臨 界 磁 場 の 向 上 、 電 子 デ バ イ ス 用 薄 膜 や 電 力 用 線 材 な ど の 開発 研究 が盛 んに 行わ れ てい る。 しか しな がら 、使 用に 際 レ て 重 要 な 大 気 環 境 下 に お け る 安 定 性 に 関 す る 研 究 は 少 な い 。 本 論 文 は 、YBCO系 高 温 超 伝 導 体 の 酸 素 濃 度 、 結 晶 構 造 と 超伝 導性 との 関係 、お よ びこ れら に基 づぃ て、 大気 環境 を 模 擬 し た 条 件 下 に お け る 結 晶 構 造お よび 超伝 導性 の安 定 性に つい て研 究し たも ので ある 。   本 論 文 は 9章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 そ の 成 果 は 以 下 の よ う に 要 約 で き る 。   第1章 で は 、YBCO系 高 温 超 伝 導 体 の 結 晶 構 造 お よ び 超 伝 導 性と 酸素 濃度 との 関係 を整 理 レ、本研究の背景と目的について述べた 。

  第2章 で は 、 酸 素 濃 度 を6. l<x<6.9に 調整 した 試料 の 電気 抵抗 およ び交 流磁 化率 を測 定 し、 超伝 導遷 移温 度T。はx二ニ6. 35付近で観測されなくなり 、それ以下では常伝導体になる ことを確認した。さらに、斜方晶から正 方品への構造変化が、バルク試料はxニニニ6. 35、粉 末 試 料 は x=ニ 6. 15と 異 な っ た 酸 素 濃 度 で 生 じ る こ と を 明 ら か に レ た 。   第3章 で は 、 試 料 形 状 の 違 い に よ る 構 造 遷 移 温 度 の 変 化 に つい て実 験し た。 正方 晶領 域 か ら 急 冷 し た 場 合 、 冷 却 速 度 が 遅い 厚い 試料 では 、深 さ 方向 で正 方晶 から 斜方 晶へ と構 造 が 変 化 し 、 試 料 厚 み を 薄 く し て 冷却 速度 を速 くす ると 、 正方 晶― 斜方 晶境 界が 浅く なる こ と を 見 い だ レ た 。 そ レ て 、 こ の 現 象 は 酸 素 分 圧 が0に 等 し い 液体 窒素 中の 急冷 過程 にお い て、 表面 層の 酸素 が固 相 拡散 によ って 減少 する ため に生 ずる こと を計 算から明らかにした。

こ れ ら か ら 、 正 方 晶 ― 斜 方 晶 遷 移 がx‑6.15付 近 で 起 こ る も の と 決 定 レ た 。   第4章 で は 、 酸 素 濃 度 を 調 整 し た 試 料 を 大 気 中 で100〜250℃に 恒温 加熱 し相 変化 につ い

(4)

て研究した。加熱により電気抵抗は異常に増加し、半導体的な常伝導体に変化し、その未 知物質 の格子定数cは元の斜方晶と比較して10数%大きな格子定数をもつ、などのことを 見いだした。そして、構造変化と大気成分の関係を調べた結果、これら著レい構造変化は 水の吸収により生ずることを明らかにした。

  第5章で は、水蒸気圧飽和の大気をシミュレーションレた条件下で吸水させた試料の加 熱に伴う回復現象を研究レた。He気流中で加熱しながら重量変化および吸発熱現象を測定 した結果、脱水は230〜275℃で急激に起こり、以後500℃付近まで緩慢に続く。また、350℃ 加熱後 にc軸の収 縮など結 晶構造は斜 方晶に回復しているが、超伝導性は500℃加熱まで 回復しない、などの事実を明らかにした。

  第6章で は、Y原子 をEr,Gd,Sm,Ndで置換したLnBCOを作製し 、吸脱水にともなう結 晶構造と超伝導性の変化、およびそれらの回復現象について調べた。その結果、YBCO系超 伝導体と同様の構造変化および超伝導性の変化が生ずることを明らかにレた。さらに、酸 素濃度x二ニ7付近のYBCO系およびLnBCO系超伝導体に対する吸脱水の影響と回復について 実験レた結果、酸素濃度が低い高温超伝導体にくらぺ、水に対する耐性は大きいが、回復 は遅れる、などの特徴を明確にした。

  第7章で は、YBCO系高温超伝導体の中の水が水酸基イオンOH―であると仮定レ、拡散係 数を重量緩和法により測定した。その結果、x二ニ6.4の粉末試料の131℃〜173℃における拡 散係数は、10・14〜10・13 CIIl2S‥、拡散の活性化エネルギーは0.83 eVであることを明らかに した。得られた拡散係数は、酸素の拡散係数に近い値である。これらのことから、OH―は YBCO系 超伝 導 体格 子 中 で基 底 面に 配 位 する02・イ オ ンと 協 働 する も のと 推定した 。   第8章で は、YBCO系超伝導体の単結晶をフラックス法で作製し、吸水による構造変化を 四軸回 折計を用いたX線回折法によって調べた。この結果、吸水した多結晶体は、元の斜 方晶と 同じ方位関係を保ちながらc軸が大きく伸び、a軸、b軸の格子定数がほぼ等しくな って生 じたもの であるこ とを明らか にした。また、この構造変化がc軸方向に2倍の周期 をもつ長周期構造の生成をともなうことを見いだした。

第9章は、本論文の総括である。

  これを要するに、著者は、YBa2CU30エ系高温超伝導体の酸素濃度と結晶構造、超伝導性 の関係を明確にレ、大気環境下における水蒸気がそれら性質の安定性に及ぼす影響を明ら か に レ た も の で あ り 、 材 料 工 学 な ら び に 超 伝 導 工 学 に寄 与 する と こ ろ大 で ある 。 よ って 著 者は 、北海 道大学博 士(工学 )の学位 を授与さ れる資格あ るものと 認める。

参照

関連したドキュメント

とが明らかとなった。最近の研究により、 1ncRNAは糸醐包分化、アポトーシス、細胞老

The evaluation method consists of three processes: linear wave theory, pore-elasticity for seabed medium, and empirical sediment flow model mobilized by sea wave traction; in

玩具など適用分野が飛躍的に増大している。非ニュートン流体は、水・空気などのニュ

   第 2 章で は、第 3 章から 第5 章で 用いら れる解 析モデ ルと有 限要素 法に基 づく各種 の要素

[r]

び目的について述べた.内容には過不足は無いと判断される,続いて第 2

[r]