博 士 ( 工 学 ) 黄 聖 春
学 位 論 文 題 名
粘 性 土 地 盤 の 微 小 ひ ず み に お け る 変 形 特 性 と 非 排 水 強 度 の 評 価 方 法 に 関 す る 研 究
学 位 論 文 内 容 の 要 旨
粘性 土地 盤に お ける 土要 素の 変形 挙 動は 、応 カと ひず みの履歴・載荷時の 応力条件および時間効 果などによって強く影響さ れるっまた、土要素の変形 挙動は強いひずみおよび応カレベルの依存性を 持っている。従って、単調 および繰り返し載荷時の変 形挙動の関係も極めて複雑であり、全過程の変 形挙動を正確に把握するためには、広範囲なひずみ領域(約10‑6ーv 10'lまで)での単調および繰り返 し載荷時の変形特性を詳細 に調べる必要がある。近年 特に、微小ひずみレベル(l0.5以下)での変形 特性 の重 要性 が 認識 され つっ ある 。 これ は、O実 地盤 の変形問題においては0.1%以下のひずみレ ベル での 挙動 が 重要 にな るこ と、 ◎ 原位 置せ ん断 剛性 率Gfと室内試験によ るせん断剛性率Gmaxの 測定値とが一致しない場合 が多いことなどに起因する 。◎の場合、いわゆる乱さない試料を用いた室 内試 験の せん 断 剛性 率Gmaxは 、実 験 精度 、供 試体 の乱 れおよび調査地点と 周辺地盤との地盤特性 の差などの影響を受ける。 室内三軸試験の際の実験精 度上の問題は、主に、ベディングエラーおよび 装置のコンプライアンスに関わっている。
原 位置 せん 断 剛性 率Gf(ひ ずみ レベ ルl0.6程度 )は 原位置弾性波速度Eか ら求める場合が多い。
これは他の原位置試験方法 に比べ、O比較的操作が簡単 であり、また、◎原理上、測定された地盤の 平均的変形係数とみなすこ とが出来る。しかし、弾性 波探査結果から得られるせん断剛性率が原位置 の応 カやひずみ条件 を反映したものであるか否か を確認するためには、原位 置の様々な応カとひず みの 履歴・載荷条件 に対応させた室内試験によっ て、個々の要因の影響を個 別に把握する必要があ る。
一方、地盤の破壊メカニ ズムを究明するにあたって 最も重要なことのーっが、原位置のせん断強度 をいかに正確に把握できるかということである。しかし、地盤から試料を採取するとき、すべての試料は、
機械的乱れおよび応力解放 などの影響を受ける。この 影響を取り除いた原位置の強度を求める方法と し て 、O SHANSEP法 、◎ 再圧 縮 法な どが 用い ら れる が、 特にOは 乱れ の影 響 を除 去で きる 利点 を 有す るにもかかわら ず試料を圧密降伏圧力Peを超 す圧カで圧密するため、二 次圧密やセメンテーシ ヨン作用によって形成され た自然粘士が持っている固 有の構造を破壊し、強度を過小評価するという 批判がある。
以上のようなことから、本研究では、新しく開発した粘性土用の全自動三軸装置と、広範囲のひずみ 領域 に対応出来る微 小ひずみ測定システム、およ び標準圧密試験装置と三軸 装置に装着したベンダ ー エ レ メ ン ト シ ス テ ム に よ る 弾 性 波 速 度 か ら せ ん 断 剛 性 率を 評価 する 手 法に つい て論 じる 。
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さ らに 、本 研 究で 開発 され た 一連 の試 験装 置を 用いた実験結果から微 小ひずみ領域での変形係数 の評価の 重要性を明らかにするとと もに、原位置せん断剛性率Grと乱さない試料による室内試験のせ ん断剛性 率Gmaxとの比較を行ってい るっ
次に、 国内外の50所の異なる地盤 から採取した乱さない粘性土 を用いて一連の圧密非排水 三軸試 験 を 行 い 、SHANSEP法 の よ う な原 位置 非排 水強 度 決定 法の 適用 限界 と 問題 点を 明ら か にし てい る。
本 論 文 は 、 序 論 を 含 み 、7章 か ら 構 成 さ れ る 。 各 章 を 要 約 す る と 以 下 の よ う で あ る 。 第1章で は、 序 論と して 研究 の 背景および目的を明確 にするとともに本論文の概 要を述べている。
第2章で は、 本 論文 と関 連の 深 い既 往の 研究 とし て 、O微 小ひずみ測定のための 試験装置の開発、
◎ 微小 ひず み領 域で の 変形 挙動 特性 ◎原 位 置せ ん断 強度 決定法について概要を 説明している。特 にOに関 して は 、従 来の 微小 ひ ずみ測定方法の特徴お よび問題点を詳しく取上げ 、本研究で開発し た 測定 装置および方法の 背景を明らかにしている。◎ については微小ひずみ領域 における、動的お よ び静 的試 験結 果か ら 提案 され た構 成式 お よび 局所 変位 計(LDT)によ っ て測 定さ れた変形係数に 関 す る 研 究 に つ い て 述 べ て い る 。 ◎ で はSHANSEP法 、 修 正Bjerrum法 、 半 沢‑ Bjerrum法お よ び土田法をとり あげ、各々の特徴を簡単に紹 介している。
第3章では、本 研究で開発したベンダーエ レメント付き圧密試験装置、 高精度・多機能三軸試験装 置 とこ の装置に附属する 微小ひずみ測定装置(LSMS)な らびにベンダーエレメント 測定システムにつ いて詳細な説明 を行っている。
第4章 では 、 試験 方法 およ び 試験装置の性能確認の ための実験結果を示してい る。室内再構成粘 土 を用 いた様々な試験の 結果から、本研究の目的を達 するに十分な精度の試験結 果が得られること を確認している 。
第5章 は、 本 研究 に用 いた 多 数の粘性土試料に関す る説明を行っている。本論 文の研究課題のー っ であ る原位置非排水強 度決定法の適用上の問題点を 明らかにするためには、対 象とする粘土試料 の原地盤におけ る堆積過程および応力履歴に 関する情報が何より重要である。したがって、調査地点 の 位 置 、 物 理 的 性 質 と と も に 採 取 さ れ た 試 料 に つ い て 知 り 得 る 情 報 に つ い て 記 し て い る 。 第6章は、Oベ ンダーエレメントが装着され た圧密試験装置と◎新しく開発された三軸試験装置によ る試験結果とそ の考察である。まず、Oでは 、本研究および既往の論文か ら引用した室内再構成およ び乱さない試料 のデータを用いて、せん断剛性率を間隙比と圧密応カの関数とする式を新しく提案し、
その式が室内試 験結果および原位置試験結果とよく一致することを示した。◎では、5つの実地盤から 採 取さ れた 試料 に対 し て、 一連 の試 験結 果 から 微小 ひず み領域での原地盤の変 形特性の把握およ び 開発 された微小ひずみ 測定装置の適用性、さらに室 内試験から求めたせん断剛 性率と原位置試験 せ ん断 剛性率の比較から の試料の乱れの程度の判断、 過圧密比および土被り圧を 基準にした圧密履 歴による粘性土 地盤の変形メカニズムなどに 関して述べている。
っぎ に、第3章、第4章 および第6章に記した内容に 対する考察としてO開発され た試験装置の信頼 性、本研究から 提案された式が原位置の変形特性をよく説明できること、また、現在用いられている非 排 水強 度決定法では、強 度はある程度説明可能であっ ても、原位置の粘土の固有 の構造が失われる 結 果 、 原 位 置で の応 カー ひ ずみ 挙動 を正 確 に把 握す るこ とは 困 難で ある こと を説 明 して いる 。
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第7章は、本研究で得られた主要な結諭を明らかにするとともに、本研究の残された課題および今後 の展望について概説した。
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学位論文審査の要旨 主査 教授 三田地利之 副査 教 授 土岐祥介 副査 教 授 石島洋二
学位論文題名
粘性土地盤の微小ひずみにおける変形特性と 非排 水 強 度の 評 価方 法 に 関す る 研究
粘性土地盤に韜ける土要素の変形挙動は、応カとひずみの履歴、載荷時の応力条件お よび載荷時間などの強い影響を受けることが知られている。また、土要素の変形挙動は 強いひずみおよび応カレベルの依存性を持っている。したがって、載荷時の全過程にわ たる地盤の変形挙動を正確に把握するためには、広範囲なひずみ領域(10…〜10‑1程度 まで)での変形特性を詳細に調べる必要がある。都市部での大深度の地盤掘削の場合な ど、地盤の変形を高精度で推定することの必要性が増大していることから、近年特に、
微 小 ひ ず み レ ベ ル (