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近隣ビルに囲まれた営業線直下での地下構造物の築造

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Academic year: 2022

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近隣ビルに囲まれた営業線直下での地下構造物の築造

-東京メトロ銀座線渋谷駅改良土木工事-

東京地下鉄株式会社 ○正会員 沼田 敦 上田 直人 六本木 祥二 1.はじめに

渋谷駅周辺は,平成21年6月22日に都市計画変更 ならびに都市計画決定が行われ,基盤整備事業とし て再開発が進められている.東京メトロではこの基 盤整備事業の一環として,現在の銀座線渋谷駅ホー ムを移設するべく,改良工事を行っている.

本稿はこの改良工事のうち,営業線の直下を掘削 し、変電所等の施設が入る地下構造物を築造する工 事について報告する.

2.工事概要

本工事の施工範囲は約 75m で,3 層 1 径間の地下構 造物を営業線直下に築造するものであり,施工に先 立ち,現状の軌道を仮受け構造に受け替え,営業線 直下にて構造物を築造する.図-1 に施工範囲,図-2 に施工手順を示す.

図-1 施工範囲(新銀座線渋谷駅)

図-2 施工手順

3.施工環境の特徴

写真-1は施工環境を表したものである.施工箇所 の直上には営業線,それを挟んだ両側には近隣ビル があり,3 方を囲まれた中で施工をしなければならな く,非常に狭隘で厳しい施工環境となっている.

本工事の特徴である,①門型構造の作業構台によ る作業スペース確保,②計測管理による近接する営 業線の安全確保,③打設方法の工夫によるコンクリ ートの品質向上,について,施工方法及び留意事項 を以下に示す.

4.門型構造の作業構台による作業スペース確保 施工箇所は近隣ビルに囲まれており,重機及び資 材の搬出入が困難であった.そのため,土留め杭に 作業構台杭(支持杭)を継足し,受桁・覆工板を設 置した門型構造の作業構台を営業線直上に常設して,

作業スペースを確保することで,安全かつ効率的な 重機及び資材の搬出入を可能とした.図-3 は上から 作業構台→営業線→作業エリアといった上下 3 層の 施工状況を示している.

また,営業線直上での施工であり,落下物の営業 線へ影響は大きい.そのため,覆工板の隙間には全 箇所間詰め養生を行うとともに,直下に電車が走っ ていることが一目でわかるように全作業員に注意喚 起等の明示を徹底した.

写真-1 施工環境 図-3 上下3層の施工状況 キーワード :渋谷駅街区土地区画整理事業,列車近接,地下構造物

連絡先 〒110-8614 東京都台東区東上野 3-19-6 東京地下鉄(株)鉄道本部改良建設部 TEL.03-3837-7132

①現状の軌道 ②軌道仮受け完了 ③構造物築造完了

新設地下構造物

(3層1径間)

施工範囲 新島式ホーム

約75m 副都心線

土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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Ⅵ‑582

(2)

写真-2 は常設の鉄板開口を示しており,営業線運行 時間内(昼間)での掘削残土搬出や資材の搬出入を 可能とするために設置したものである.

5.計測管理による近接する営業線の安全確保 営業線を支える軌道仮受け杭に近接して作業が行 われるため,工事による営業線への影響が懸念され る.そのため,機械的計測として軌道仮受け桁(工 事桁)に沈下計・傾斜計を設置した他,連結 2 次元 変位計を設置し,沈下や隆起及び水平変位を常時管 理した.夜間作業では,線路内に入り人的水準測量 や測量機器の点検を行い,常に営業線への安全管理 に努めた。

また,緊急時に備え、作業エリアに非常列車停止 装置を設けることにより,直ちに電車を止められる 状況とした.

6.打設方法の工夫によるコンクリートの品質向上 本構造物は,延長約75m,幅(渋谷方:約12m,

浅草方:約8m),高さ約20mで,総打設量6310㎥,

1日最大打設量447㎥の 3 層 1 径間からなる大規模 な地下構造物である.図-4に本構造物の構築施工範 囲を示す.

最大打設高さは約20mあり、作業構台上の限られ た作業スペースでの配管打設となるため、段取替え に時間を要すため、コールドジョイントによる打ち 重ね部の品質低下が懸念された。

図-4 施工範囲

写真-2 常設鉄板開口 図-5 配管状況

そのため、作業構台上にポンプ車を設置し,常設鉄 板開口を利用して縦配管を下の作業エリアまで配管 し,作業エリア内の横配管にフレキシブルホース(床 版打設時),シャッターバルブ(側壁打設時)を多用 して打設することで,段取替えによる打ち継時間を 短縮し,コールドジョイント発生を防止した。また,

作業構台上・営業線下の飛散養生を徹底し,営業線 内への影響を排除することで,営業時間内(昼間)

の打設を可能にした.図-5にコンクリート打設時の 配管状況を示す.

本構造物の側壁は厚さ1.0 m~1.2mのマスコンク リートであり、側壁下端が床板に拘束されるため,

外部拘束ひび割れが懸念された。そのため,側壁に ひび割れ誘発目地を3.0 m ~3.5 mピッチで設置し,

断面欠損率を30%~50%に設定して,目地設置位置 にひび割れを集中させることで,側壁のひび割れ幅 を許容ひび割れ幅以下に抑制した.また,誘発目地 設置個所の注入チューブには,スポンジゴム層を有 しコンクリートのセメントペーストがチューブ内に 浸入せず,注入時に誘発したひび割れ全体に満遍な く注入材を充填できるものを採用した.図-6に誘発 目地の設置状況を示す.

7.まとめ

厳しい施工環境ながら,安全に地下構造物を築造 することができ,現在,建築・電気工事に引継ぎ,

設備工事が行われている.

土木工事としては,軌道仮受け杭を新設地下構造 物の上床版に盛替え,構築内に盛込まれた軌道仮受 け杭の切断処理を完了している.写真-3に軌道仮受 け杭の盛替え完了を示す.

今後施工予定の渋谷方地下構造物についても,今 回の経験やこれまで培った技術を活かし,安全・品 質・工程を第一に考え,より良い施工を行っていき たいと考えている.

写真-3 盛替え完了 図-6 誘発目地 土木学会第69回年次学術講演会(平成26年9月)

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参照

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