博士学位論文審査報告書
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(2) て述べる。 第1章では、序章を受けて、スポーツ・インテグリティという用語の意味の明確化および その規定、さらに本研究の研究遂行上で必要となるスポーツ・インテグリティ保護・強化に おける教育的アプローチの考え方について暫定的規定が行われた。スポーツ・インテグリテ ィの暫定的規定として、日本スポーツ振興センター(JSC)の定義を援用し「スポーツが様々 な脅威により欠けるところなく、価値ある高潔な状態」が採用された。さらに、教育的アプ ローチについては、スポーツ組織がスポーツの健全性や高潔性を保護・強化することを目的 として、主に関係組織や関係者を対象として行われる取り組みと規定された。なお、第1章 の成果は、下記「スポーツ教育学研究」にて英語論文として掲載、公表された。第2章では、 スポーツ・インテグリティの脅威となる要因の特定と、その用語の発生・拡大に関する経緯 について明らかにされた。スポーツ・インテグリティの脅威となる要因には、 「ドーピング・ 薬物関連」、「八百長・違法賭博関連」、「暴力・ハラスメント関連」、「汚職・腐敗」、 「不正な財的行為」、「差別・不平等」などがあること、スポーツ・インテグリティの脅威 には、主に勝利を目的としたもの及び地位および財的利益を目的としたものに大別できるこ と、さらにそれらが限定的な個人の問題、高いレベルでの犯罪組織の関与などに分かれるこ とが明確にされた。スポーツ・インテグリティという用語の発生経緯については、 2010年 前後から欧州および豪州のスポーツ組織を中心に発生、拡大したことなどが明確にされた。 第3章では、スポーツ・インテグリティ保護•強化におけるスポーツ組織の現状の取り組み の傾向、その特徴、問題点について明らかにされた。スポーツ組織のスポーツ・インテグリ ティへの中心的脅威の対策には、取り組みに関する方針の表明や専門人材の配置、政府機関 などとの外部連携、リスクマネジメントなど11項目があることが明確にされた。また、スポ ーツ•インテグリティの保護•強化の取り組みについては監視、モニタリング、教育的活動や 研修など8項目があることが明確にされ、取り組みの傾向として、通報・相談窓口設置、監 視・検査等のモニタリング、教材開発等の教育的アプローチを含む「教育的活動」などの必 要性が明確にされた。これらの考察を元に、スポーツ組織間の格差に関する課題があること、 スポーツ・インテグリティの取り組みにおける実践性と継続性に関して課題があることが明 確にされた。第4章では、第3章で明らかとなった現状の課題をもとに、スポーツ・インテ グリティ保護・強化に関する取り組みの方向性に関する視点が設定され、今後の取り組みに 対する提案が行われた。今後のスポーツ•インテグリティの取り組みの方向性に関する視点 として、スポーツのAutonomyのあり方、教育的アプローチ、実践性と実効性の3つの視点が 明確にされた。そして、国内における今後のスポーツ・インテグリティの保護・強化に向け た取組みに実践性および実効性を持たせるために、これら3つの視点とこれまでの本研究で の考察を通して得られた成果から、結章では以下の提案がなされた。①今後の取り組みの倫 理的枠組みの必要性と対象に関する提案②今後の取り組みのタイミングに関する提案③ポ ジティブアプローチとネガティブアプローチに関する提案④今後の取り組みの機会および 場に関する提案⑤今後の取り組みの方策に関する提案⑥今後の取り組みの基盤となる考え 方に関する提案である。 本博士学位論文は、現代スポーツが直面するスポーツにおける倫理的アポリアからスポー ツ・インテグリティを如何に擁護し、強化すべきかという重要な問題に正面から取り組んだ 極めてオリジナリティーが高いものである。加えて、考察対象とした文献も内外にわたって 広く網羅されるにとどまらず、精緻に分析・検討を加えている。また、「補論」では本論で の考察、結論を強化し、裏付ける意味以上に、スポーツ・インテグリティに関わる国内外の.
(3) キーパーソンのスポーツ・インテグリティの擁護及び強化に関する諸見解を明確にし、さら に分析を加えながら、今後の研究の方向性を導出していることは意義があると考えられる。 本論博士学位論文は、そのオリジナリティーの高さ、また先行研究の丁寧な分析,先行研 究の分析から導かれる課題設定の妥当性,論文構成上の論理・論述の妥当性を備えており, 博士(スポーツ科学)の学位を授与するに十分値するものと認める。 【本博士学位論文に関係する原著論文】 Takashi KATSUTA , Hidenori TOMOZOE , Mizuho TAKEMURA , Koh SASAKI (2016)Protecting and Enhancing Sport Integrity through Education: Various Approaches by Sports-Related Organizations/Institutions.スポーツ教育学研究. 36(2):31-48.(スポーツ・インテグ. リティ保護・強化への教育的取り組みに関する研究:スポーツ関係組織・機関の取り組みに 着目して) 以 上.
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