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頸動脈石灰化と歯周病の関連についての横断研究

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Academic year: 2021

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(1)

歯周病が心臓血管疾患(cardiovascular dis-ease; CVD)の原因となる動脈硬化症のリスク因 子であることが多くの疫学研究より報告されてい るが,CVD の 1 つである脳血管障害の原因とな る動脈硬化症の進行した状態である頸動脈石灰化 と歯周病による歯槽骨吸収との関連性についての 報告はない.そこで,本研究では単純 computed tomography(CT)画像から判定される頸動脈分 岐部石灰化の有無とパノラマエックス線画像によ る歯槽骨吸収率の関連性についての横断研究を行 い,画像診断による歯科医科連携システムの構築 を推進することを目的とした. 2014年から2018年に松本歯科大学病院を受診し た295名(男性:167名,女性:128名),平均年齢 は64.6±11.8歳(年齢範囲:30~95歳)の対象者 に調査を実施した. 全身疾患は,松本歯科大学病院の診療録より, 動脈硬化に関連する全身疾患として,国際疾患分 類に基づき,高血圧,脂質異常症,糖尿病,骨粗 鬆症および悪性腫瘍の有無を抽出した. 画像撮影については,腫瘍やインプラント埋入 などの検査に使用したのは,マルチスライス単純 CT システム A 単純 CTivion16(キヤノンメディ カルシステムズ社,栃木,日本)とパノラマエッ クス撮影装置(AZ3000CM,朝日レントゲン工業 社,京都,日本)で,受光系は CR システム(コ ニカミノルタ社,東京,日本)であった.パノラ マエックス線写真,および単純 CT 画像の読影 は,本院電子カルテシステムに保存されている Digital Imaging and Communications in Medi-cine(DICOM)データを使用し,CR システム と 連 携 し て い る 高 精 査 医 療 用 Liquid Crystal Display PGL21(WIDE Corporation, Gyoenggi– do, Korea)を使用して施行した. 頸動脈石灰化の有無は,単純 CT 画像の水平断 像を用いて,本院に在籍する日本歯科放射線学会

〔学位論文要旨〕

松本歯学 46:113~114,2020

頸動脈石灰化と歯周病の関連についての横断研究

石岡 康明

松本歯科大学 大学院歯学独立研究科 健康増進口腔科学講座 (主指導教員:吉成 伸夫 教授) 松本歯科大学大学院歯学独立研究科博士(歯学)学位申請論文

Cross–sectional study on the relationship between carotid artery calcification and periodontal disease

Y

ASUAKI

ISHIOKA

Department of Oral Health Promotion, Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University

(Chief Academic Advisor : Professor Nobuo Yoshinari)

The thesis submitted to the Graduate School of Oral Medicine, Matsumoto Dental University, for the degree Ph.D. (in Dentistry)

(2)

指導医 2 名が診断し,頸動脈石灰化群と頸動脈非 石灰化群の 2 群に分けた. 歯槽骨吸収率の測定および算出については,パ ノラマエックス線写真から,上下顎第三大臼歯, 過剰歯,インプラントを除外した現在歯数を計測 し,Schei らの方法を用い,全現在歯近遠心部の 歯槽骨吸収率を測定し,それらの平均値を被験者 の歯槽骨吸収率とし,日本歯周病学会員である歯 科医師 1 名が行った. 統計解析は,まず,両群における年齢,現在歯 数,歯槽骨吸収率の比較には t 検定を用い,全身 疾患既往歴の比較にはカイ 2 乗検定を用いた.次 に,頸動脈石灰化と関連する因子を詳細に検討す るために,年齢,高血圧,歯槽骨吸収率を独立変 数とし,頸動脈石灰化の有無を従属変数とするロ ジスティック回帰分析(変数増加法)により検討 した.さらに,年齢,高血圧,現在歯数,歯槽骨 吸収率により頸動脈石灰化のスクリーニングがで きるか否かを receiver operating characteristic curve analysis(ROC 解析)にて検討した.こ の評価基準は,Swets の方法に従い,ROC 曲線 下面積(non–informative area under the receiv-er opreceiv-erating charactreceiv-eristic curve: AUROC= 0.5),Less accurate(0.5<AUROC<0.7), Moderately accurate(0.7<AUROC<0.9), Highly accurate(0.9<AUROC< 1 ),Perfect tests(AUROC= 1 )とした.なお,p<0.05を もって有意とした. 多変量解析を実施した結果,石灰化の有無と歯 槽骨吸収率は独立して有意性を維持した.すなわ ち,説明変数が歯槽骨吸収率のみのオッズ比は, 1.260(95 % 信 頼 区 間:1.197~1.325,p<0.001) であり,年齢因子を追加した場合は,オッズ比は 1.239(95%信頼区間:1.173~1.308,p<0.001), さらに,高血圧を追加した場合でもオッズ比は 1.233(95 % 信 頼 区 間:1.167~1.303,p<0.001) であった. ROC 解析により AUROC は,歯槽骨吸収率, 年齢において0.932,0.815,高血圧,歯数におい て0.685,0.749であり,Swets の方法に従い,0.7 以上であるとスクリーニングの指標として用いる ことが可能であるという点である.よって,歯槽 骨吸収率および年齢は,頸動脈石灰化のスクリー ニングの指標となる可能性が示唆された. 今後は,新たなスクリーニング指標としてパノ ラマエックス線画像から歯槽骨吸収率を簡便に計 測できるツールの開発をし,N 数を増加してい きたい.また,画像は近年,デジタルにて保存可 能であるため,患者の同意を得ることができれ ば,歯科医科において相互に提供することができ る.そして,N 数を増加して結果の確証が得ら れた場合は大学病院のみでなく,歯科医院での ツール実用化へ向けて医科との連携システム構築 の一助となればと考える.さらに,本対象者に縦 断的検討を進め,動脈硬化が進行する年代のみで はなく,若年層からもデータを集めることによ り,動脈硬化および歯周疾患の発症の予測が可能 になると考えられる. 松本歯学 46⑵ 2020 114

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