• 検索結果がありません。

ベナゼプリルからテルミサルタンへの変更により蛋白尿および左室求心性肥大に改善が認められた犬の2例

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ベナゼプリルからテルミサルタンへの変更により蛋白尿および左室求心性肥大に改善が認められた犬の2例"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

症例報告

ベナゼプリルからテルミサルタンへの変更により

蛋白尿および左室求心性肥大に改善が認められた犬の2例

井口雅之1),中村祐輔1),池田佑介2),伊原木利季2),稲葉晴貴3) 1)いぐち動物病院 〒433‒8122 静岡県浜松市中区上島6‒2‒34 2)三好インター動物病院 〒470‒0217 愛知県みよし市根浦町3‒1‒8 3)稲葉獣医科医院 〒418‒0114 静岡県富士宮市下条533‒2 (受理 2019 年 9 月 17 日) 要   約 運動負耐を主訴に12歳のパピヨンと13歳のヨークシャテリアが紹介来院した。尿検査にて蛋白尿 が認められ,心エコー図検査にて左室内腔狭小化を伴う左室求心性肥大が認められた。これら2症例 はともにアンジオテンシン変換酵(ACE)素阻害薬を半年以上服用していたが,ACE阻害薬の治療効果 が乏しいと判断し,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)への変更を行った。ARBによって2症例 ともに蛋白尿および狭小化していた左室内腔と一回拍出量(SV)は改善した。今後は蛋白尿と左室求心 性肥大を有する犬に対してARBの適応や有効性について更なる検証が必要である。 キーワード: アンジオテンシン受容体拮抗薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,犬,左室求心性 肥大,蛋白尿 動物の循環器 第 52 巻 2 号 53‒59 (2019) はじめに 心疾患や慢性腎臓病(CKD)の進行にはレニ ン・アンジオテンシン・アルドステロン系 (RAAS)の亢進が深く関与し,この活性を抑え る目的でACE阻害薬が臨床応用されてきた1) しかし,主にアンジオテンシンII (AngII)の産 生には全身血圧維持のために作用する循環型 RAASと組織リモデリングの主体を担う組織 型RAASという異なるRAASが存在する2),動 物種によってはACEとキマーゼの機能分担能 力が異なる2,3),キマーゼやカテプシンGなど ACE以外の酵素を介したAngIIの産生経路が 連絡先: 井口雅之 いぐち動物病院 〒433‒8122 静岡県浜松市中区上島6‒2‒34 TEL: 053‒522‒9552 E-mail: [email protected]

(2)

複数存在することなどが明らかとなり2),ACE 阻害薬のみではAngII生成経路を抑制できない ことが確認された4)。そこでAngII産生経路の 抑制ではなくAT1受容体のものに作用する ARBが着目され,人医療ではARBの有益性を 調査する臨床試験が数多く実施されている5) 高血圧6),心不全7)そしてCKD6)における有効 性が確立されており,左室肥大8)を有する患者 にも有益性が報告されている。 今回,蛋白尿と左室求心性肥大を有する犬2 例において,ACE阻害薬からARBへ変更する ことで良好な経過を得たので,その概要を報告 する。 症例 症例1はパピヨン,12歳,避妊メス,体重は 4.8 kgであった。運動不耐を主訴に近医より紹 介され来院した。症例は1年以上前よりベナゼ プリル (0.55 mg/kg, BID)を服用中であった。 身体検査では体温は38.1度,心拍数 (HR)は172 回/分,呼吸数は40回/分であった。聴診では 左側心尖部にてグレード4/6の収縮期逆流性雑 音を聴取した。血液化学検査(IDEXXカタリ ストDxTM, 東京)では軽度の高窒素血症(BUN: 54 mg/dL, Cre: 1.1 mg/dL, BUN/Cre 比: 49) が認められた(BUNとCreの参照値はそれぞ れ7∼27お よ び0.5∼1.8 mg/dL)。 血 清Naは 154 mmol/L(参照値144∼160 mmol/L),血清 浸 透 圧 は320 mOsm/kg(参 照 値292∼308 mOsm/kg)であった(表1)。ACTH負荷試験 に て コ ル チ ゾ ー ル 値 はPre: 3.2 μg/dL, post: 12.8 μg/dL(IDEXXス ナ ッ プ シ ョ ッ トDxTM, 東京)であった。尿検査では尿比重は1.022, 尿蛋白/クレアチニン比(UPC)は8.02(表1)で あり,尿路感染は認められなかった。胸部レン トゲン検査では胸椎心臓サイズ(VHS)は11.9椎 体であり心陰影の拡大が認められた。心エコー 図検査のBモード法では右傍胸骨左室長軸断面 にて僧帽弁前尖の肥厚と逸脱が認められた。M モード法では標準化拡張末期左室内径(LVID-Dn)は1.21(参照値1.35∼1.739)),拡張末期心 室中隔壁厚(IVSd)は8.6 mm(4.5 kgの犬の参照 値4.2∼8.5 mm9),以下同様)そして拡張末期左 室後壁厚(LVPWd)は7.8 mm (4.1∼8.5 mm9))で あり,左室内腔の狭小化と左室壁の肥厚が認め られた(図1)。左室流出路血流波形は動的狭 窄波形であり,血流速度は1.54 m/secであっ た。また,パルスドプラ法により大動脈弁口部 で 求 め た 心 拍 出 量(CO)は,1.02 L/min (HR 173 bpm×SV 5.9 ml)で参照値内であったが, 一回拍出量(SV)は低値であった10)(表2)。腹部 エコー図検査では副腎腫大は認められなかっ た。 オ シ ロ メ ト リ ッ ク 法(Vet20, SunTech Medical社,米国)により得られた血圧(BP)は いずれも参照内であった11)(収縮期BP [SAP]: 124 mmHg, 平均BP [MAP]: 98 mmHg, 拡張期 BP [DAP]: 74 mmHg)。心臓は,ACVIM分類 ステージB1の僧帽弁閉鎖不全症と診断したが, 左室求心性肥大が認められた。腎臓は,慢性腎 臓病(CKD): IRISステージ分類1,蛋白尿サブ 表1 症例1におけるアンジオテンシンII受容体 拮抗薬内服前後の各測定値の変化 検査項目 単位 (第1病日)内服前 (第292病日)内服後 体重 kg 4.8 4.75 尿比重 ̶ 1.022 1.022 尿蛋/白クレアチニン比 ̶ 8.02 0.92 血清尿素窒素 mg/dL 54 53 血清クレアチニン mg/dL 1.1 1.1 BUN/Cre比 ̶ 49 48 血清無機リン mg/dL 4.9 5.8 血清アルブミン g/dL 2.3 2.7 血清浸透圧 mOsm/kg 320 310 血清ナトリウム mmol/L 154 148 心筋トロポニンI ng/ml 0.452 0.196

(3)

ステージ: 蛋白尿,そして動脈圧サブステー ジ: 最小リスク12)と診断した。 腎疾患はUPCの高値から蛋白尿に対する治 療が必要だと判断した。犬ではACE阻害薬は 蛋白尿の軽減に対してエビデンスがあるが13) 本症例では治療経過からACE阻害薬は蛋白尿 に対して効果が乏しいと判断し,ARBである テルミサルタン(セミントラ4 mg/ml経口液 猫,ベーリンガーインゲルハイムアニマルヘル スジャパン株式会社,東京)への変更を行っ た。セミントラ使用に際し,CKDにおける尿 蛋白の漏出抑制の適応となる対象動物は 猫 であり 犬 に対しては未認可の薬剤であるこ との了解を得て使用した。テルミサルタン開始 に際してACE阻害薬を休薬しWashout期間に 積極的給水を指示した。テルミサルタンの投与 量は,犬の糸球体疾患に伴う蛋白尿に関する治 療ガイドラインを参考に1.0 mg/kg, SIDに設定 した1)。導入は0.5 mg/kg, SIDから開始し段階 的に1.0 mg/kg, SIDまで漸増した。 テルミサルタンへの変更後の第292病日に LVIDDnは1.49, IVSdは7.4 mmそしてLVPWd は6.4 mmへそれぞれ改善した。また,COは 1.24 L/min (HR 132 bpm×SV 9.4 ml) と ARB への変更前より増加し,SVの上昇およびHR の低下が認められた。BPはやや上昇し(SAP: 139 mmHg, MAP: 113 mmHg, DAP: 103 mmHg), UPC (0.92)の改善が認められた(表2)。 症例2はヨークシャテリア,13歳,避妊メ ス,体重は2.7 kgであった。主訴は半年前から の発咳および運動不耐であり,近医より紹介さ れ来院した。半年前よりベナゼプリル(0.5 mg/ kg, BID)を服用していた。身体検査では体温は 38.7度,HRは148回/分,呼吸数は20回/分で あった。聴診では左側心尖部にてグレード3/6 の収縮期駆出性雑音を聴取した。血液化学検査 で は 高 窒 素 血 症(BUN: 100 mg/dL, Cre: 1.3 mg/dL, BUN/Cre比: 76)が 認 め ら れ た。 血 清Naは158 mmol/L, 血 清 浸 透 圧 は343 mOsm/kgであった(表3)。ACTH負荷試験に てコルチゾール値はPre: 5.8 μg/dLとpost: 11.2 μg/dLであった。尿検査では尿比重は1.028で 図1 症例1における心エコー図検査 上段はBモード画像であり下段はMモード画像であ る。両画像から僧帽弁の逸脱,左室内腔の狭小化 (LVIDDn: 1.21)そして左心室の求心性肥大(IVSd: 8.6 mmとLVPWd: 7.8 mm)を確認した。 表2 症例1におけるアンジオテンシンII受容体 拮抗薬内服前後の血行動態の変化 検査項目 単位 (第1病日)内服前 (第292病日)内服後 心拍数 回/分 173 132 1回拍出量 ml 5.9 9.4 心拍出量 L/min 1.02 1.24 標準化拡張末期左室内径 ̶ 1.21 1.49 拡張末期心室中隔壁厚径 mm 8.6 7.4 拡張末期左室自由壁厚径 mm 7.8 6.4 収縮期血圧 mmHg 124 139 平均血圧 mmHg 98 113 拡張期血圧 mmHg 74 103

(4)

あり,UPCは7.55であった(表3)。尿路感染 は認められなかった。胸部レントゲン検査で VHSは10.8椎体であり心陰影の拡大が認めら れ た。 心 エ コ ー 図 検 査 のMモ ー ド 法 で は LVIDDnは1.00, IVSdは8.4 mm(2.5 kgの犬の 参 照 値 は3.6∼7.4 mm9), 以 下 同 様) そ し て LVPWdは7.8 mm (3.6∼7.4 mm9))で あ り 左 室 内腔の狭小化と左室壁の肥厚が認められた(図 2)。さらに,僧帽弁の収縮期前方運動が認めら れた。左室流出路血流波形は動的狭窄波形であ り,血流速度は3.3 m/secであった。パルスド プラ法で求めたCOは0.56 L/min (HR 153 bpm ×SV 3.7 ml)であり,参照値よりも低下してい た(表4)。腹部エコー図検査で副腎腫大は認 め ら れ な か っ た。BPは や や 高 値 で あ っ た (SAP: 152 mmHg, MAP: 116 mmHg, DAP:

105 mmHg, 表1)。腎臓は,CKD: IRISステー ジ分類1,蛋白尿サブステージ: 蛋白尿,そし て動脈圧サブステージ: 低リスク12)と診断し た。 症例1と同様に,ACE阻害薬からARBへの 変更を行ったところ,第92病日にLVIDDnは 1.22へ 改 善 し,IVSdとLVPWdも そ れ ぞ れ 7.6 mmへ と7.2 mmへ 改 善 し た。 そ し て, SAMと左室流出路動的狭窄も改善した。また, CO は 0.7 L/min (HR: 122 bpm×SV: 5.8 ml) に 増加し,SVの上昇およびHRの低下が認めら れた。さらに,血圧も改善していた (SAP: 130 mmHg, MAP: 120 mmHg, DAP: 104 mmHg)。 UPC (0.54)の改善が認められた(表4)。 表3 症例2におけるアンジオテンシンII受容体 拮抗薬内服前後の各測定値の変化 検査項目 単位 (第1病日)内服前 (第92病日)内服後 体重 kg 2.74 2.7 尿比重 ̶ 1.028 1.022 尿蛋白/クレアチニン比 ̶ 7.55 0.54 血清尿素窒素 mg/dL 100 63 血清クレアチニン mg/dL 1.3 1.6 BUN/Cre比 ̶ 76 39 血清無機リン mg/dL 4.1 4.9 血清アルブミン g/dL 2.4 2.8 血清浸透圧 mOsm/kg 343 304 血清ナトリウム mmol/L 158 144 心筋トロポニンI ng/ml 2.458 未測定 図2 症例2における心エコー図検査 上段はBモード画像であり下段はMモード画像であ る。両画像からSAM, 左室内腔の狭小化(LVIDDn: 1.00)そして左心室の求心性肥大(IVSd: 8.4 mmと LVPWd: 7.8 mm)を確認した。 表4 症例2おけるアンジオテンシンII受容体拮 抗薬内服前後の血行動態の変化 検査項目 単位 (第1病日)内服前 (第92病日)内服後 心拍数 回/分 152 122 1回拍出量 ml 3.7 5.8 心拍出量 L/min 0.56 0.70 標準化拡張末期左室内径 ̶ 1.00 1.22 拡張末期心室中隔壁厚径 mm 8.4 7.6 拡張末期左室自由壁厚径 mm 7.8 7.2 収縮期血圧 mmHg 152 130 平均血圧 mmHg 116 120 拡張期血圧 mmHg 105 104

(5)

考 察 本2症例はともに初診時BUNが高値を示し ていたが,一般的にBUN/Cre比を求めること で,高窒素血症の原因(腎前性と腎性の違い) は鑑別できる。腎性高窒素血症のBUN/Cre比 は正常比以下の値となるが,腎前性高窒素血症 ではBUN/Cre比が20以上となる14)。今回の BUN/Cre比は2症例ともに高値であったこと から(症例1=47,症例2=76),腎前性高窒素 血症であることが推察された。さらに,2症例 はともに尿比重は低く,UPCが高値であり, 低アルブミン血症も認められることから,糸球 体疾患による水とアルブミンの喪失が疑われ る。また,尿細管障害の可能性もあったが,こ れらの確定診断には腎臓の組織検査が必要であ り,今回は実施できなかった。 今回の2症例はともにARBとしてテルミサ ルタンを選択した。この理由として,AngI投 与高血圧モデル犬に対してロサルタンは効果的 ではなかったがテルミサルタンは有意に血圧上 昇を抑制した報告がある15)。また,持続的な UPCの上昇を示した犬に対し,テルミサルタ ン投与は蛋白尿を改善させた報告がある(治療 前UPC: 約3.0, 治療後UPC: 0.33)16)。さらに, 肺動脈狭窄モデル犬においてARBはACE阻害 薬に比べて右室圧負荷に対する右室リモデリン グを有意に抑制した報告があるため17),求心性 肥大に対する効果も期待した。さらには初めて 動物薬のARBとしてセミントラが販売された ことなどの理由からテルミサルタンを選択し た。 今回は2症例ともARBによってUPCが劇的 に改善し,アルブミン濃度が上昇し,BUN/ Cre比や血清浸透圧が改善した。それに伴い2 症例とも心エコー図検査所見では,LVIDDnや 左室壁厚が改善していたため,左室求心性肥大 の原因は循環血液量の減少による偽性肥大で あった可能性が考えられた(表2, 4)。また, 症例2では初診時にSAMが認められていた。 SAMの成因は,左心室壁の肥厚によって流出 路の血流速度が上昇し,僧帽弁が引き寄せられ るVenturi効果や,乳頭筋の前方偏位や僧帽弁 の伸展など僧帽弁装置の異常,などが挙げられ ている。症例2のSAMは,ARBへの変更後に LVIDDnや左室壁厚の改善とともに改善したこ とから,心臓の形態的変化に伴い生じていた可 能性がある。臨床現場では来院時に既に心疾患 と腎疾患を合併しているケースが多く,初診時 に正確な病態把握は難しいため,求心性肥大の 原因や病態の判断には治療経過をみながら評価 する必要があると考える。 腎疾患では蛋白尿そのものが尿細管間質の線 維化を促進し,ネフロンの破壊が進行すること でCKDが進行する。ヒトでは糸球体障害より も尿細管間質の線維化が糸球体濾過量(GFR)の 低下と関連し,蛋白尿は尿細管間質の炎症や線 維化を引き起こす18)。また,ヒトでは蛋白尿を 減少させることが腎機能の悪化を抑制し,患者 の予後を改善することが報告されている19)。犬 においてもUPCが1.0以上では腎機能の低下速 度が上昇し,生存期間は短縮する20)。さらに, 最近ではUPCが0.5164以上の犬の生存期間は 悪い可能性が示唆されている21)。今回,2症例 ともARBへの変更により蛋白尿の改善が確認 されたことは腎臓の保護につながると期待され る。 ACE阻害薬とARBは同じくRAAS活性抑制 薬に分類される薬剤である。 しかし,ACE阻 害薬はキマーゼなどのACE以外の酵素を介し て産生されるAngIIをブロックできないが,そ

(6)

れに対してARBはACE以外の経路を介して産 生されるAngIIも受容体レベルでブロック可能 な点が異なっている。ARBはAngIIの作用部 位であるAT1受容体に作用するためACE阻害 薬と比較し,血管収縮,線維化そして細胞増殖 の抑制効果が期待できる。また,ARBはAT2 受容体を阻害しないため,AngIIがAT2受容体 に結合し血管拡張,線維化抑制ならびに細胞増 殖抑制などの有益な作用をもたらすことが報告 されている22)。 これらAT 1受容体とAT2受容 体への作用の違いが2剤の効果の差につながっ た可能性がある。 進行したCKDではAngIIが輸出細動脈を強 く収縮させることで糸球体内圧を上昇させ, GFRを維持している。そのため,RAAS活性 抑制薬の導入期には糸球体内圧が低下しGFR が低下する可能性があるため注意が必要とな る。このGFRの低下による血清Creの上昇は, 犬の場合に0.5187 mg/dL以内であれば許容さ れる12)が,今回の2症例はともにARB投与後 にその範疇で維持されていた。同様にBPに関 しては,標的臓器の損傷リスクが最小限となる SBP: 150 mmHg以下ならびにDAP: 95 mmHg 以下にすることが治療の目安であり,SBPは 120 mmHg以下にならないよう配慮することが 推奨されている12)。ARB変更後の血圧は2症 例ともに低血圧は認められなかった。よって ARBへの変更は比較的安全に実施可能だと考 えられた。 今回,蛋白尿と左室求心性肥大を有する犬に 対しACE阻害薬からARBへ変更することで, UPCとCOの改善が確認された。しかし,左室 求心性肥大の鑑別に至っていないこと,RAAS 活性や腎血流量などは測定していないことなど いくつかの制限があった。今後は症例数を増や しARBの効果のさらなる検討を行う必要があ り,獣医療でのARBを用いた臨床研究が進み, ARBを用いることのエビデンスが確立される ことを期待する。 文 献

1) Brown, S., Elliott, J., Francey, T., Polzon, D., and S. Vaden (2013): Consensus recommenda-tions for standard therapy of glomerular disease in dogs. 27, S27-S43.

2) Miyazaki, M., Takai, S., Jin, D. and M. Mura-matsu (2006): Pathological roles of angiotensinII-produced by mast cell chymase and the effects of chymase inhibition in animal models.

, 112, 668‒676.

3) Uechi, M., Tanaka, Y., Aramaki, Y., Hori, Y., Ishikawa, Y., Ebisawa, T. and S. Yamamoto (2008): Evalution of the renin‒angiotensin system in cardiac tissues of cats with pressureoverload cardiac hypertrophy. 69, 343‒

348.

4) Biollaz, J., Brunner, H. R., Gavras, I., Waeber, B. and H, Gavras (1982): Antihypertensive therapy with MK 421: angiotensin II-renin relationships to evaluate efficacy of converting enzyme block-ade. 4, 966‒972.

5) 多田裕子,赤澤 宏,小室一成 (2014): 降圧薬 のエビデンス: ARBとACE阻害薬。臨床循環器,

4, 20‒29.

6) Makino, H., Haneda, M., Babazono, T., Moriya, T., Ito, S., Iwamoto, Y., Kawamori, R., Takeuchi, M. and S., Katayama (2008): Microalbuminuria reduction with telmisartan in normotesive and hypertensive Japanese patients with type 2 dia-betes: a analysis of the incipient to overt: angiotensin II blocker, telmisartan, investi-gation on type 2 diabetic nephropathy (innova-tion) study. 31, 657‒664.

7) Heren, B. S., Musini, V. M., Bassett, K., Taylor, R. S. and J. M. Wright (2012): Angiotensin receptor blockers for heart failure.

(7)

40.pub2

8) Axelsson, A., Iversen, K., Vejllstrup, N., Ho, C., Norsk, J., Lanqhoff, L., Ahtarovski, K., Corell, P., Havndrup, O., Jensen, M. and H. Bundqaard (2015): Efficacy and safety of the angiotensin II receptor blocker iosartan for hypertropic cardio-myopathy: the INHERIT randomized, double-blind, placebo-controlled trial.

3, 123‒131.

9) Cornell, C. C., Kittleson, M. D., Della, T. P., Haggstrom, J., Lombard, C. W., Pedersen, H. D., Vollmar, A. and A. Wey (2004): Allometric scal-ing of M-mode cardiac measurements in normal adult dogs. 18, 311‒321.

10) Kittleson, M. D. and R. D. Kienle: Normal clini-cal vascular physiology. In: small animal cardio-vascular medicine. Kittleson, M. D. and R. D. Kienle eds., pp. 11‒35, Mosby, St.Louis, 1998. 11) Bodey, A. R. and A. R. Michell (1996):

Epidemi-ological study of blood pressure in domestic dogs. 37, 116‒125.

12) Aciermo, M. J. and M. A., Labato (2005): Hyper-tension in renal disease: diagnosis and treatment.

20, 23‒30.

13) Grauer, G. F., Greco, D. S., Getzy, D. M., Cowq-ill, L. D., Vaden, S. L., Chew, D. J., Polzin, D. J and J. A. Barsanti (2000): Effects of enalapril placebo as a treatment for canine idiopathic glo-merulonephritis. 14, 526‒

533.

14) C. A. Palm: Blood urea nitrogen and creatinine. In: textbook of veterinary internal medicine (8th

ed.), Stephen, J. E., Edward, C. F and E. Cote ed., Saunders, 2017; pp. 250‒252.

15) A. E. Coleman, C. W. Schmidt, C. G. Handsford, L. R. Reno, E. D. Garber and S. A. Brown (2014): Attenuation of the pressor response to exoge-nous angiotensin by angiotensin receptor

block-ers in normal dogs. 28,

1002.

16) A. C. Bugbee, A. E. Coleman, A. Wang, A. D. Woolcock and S. A. Brown (2014): Telmisartan treatment of refractory proteinuria in a dog.

28, 1871‒1874.

17) Yamane, T., Fujii, Y., Orito, K., Osamura, K., Kanai, T and Y. Wakao (2008): Comparison of the effects of candesartan cilexetil and enarapril malete on right ventricular myocardial remodel-ing in dogs with experimentally induced pulmo-nary stenosis. 69, 1574‒1579.

18) Birn, H. and E. I. Christensend (2006): Renal al-bumin absorption in physiology and pathology.

69, 440‒449.

19) Levey, A. S., Cattran, D., Friedman, A., Miller, W. G., Sedor, J., Tuttle, K., Kasiske, B. and T. Hostetter (2009): Proteinuria as a surrogate out-come in CKD: report of a scientific workshop sponsored by the National Kidney Foundation and the US Food and Drug Administration.

54, 205‒226.

20) Jacob. F., Polzin. D. J., Osborne. C. A., Neaton. J. D., Kirk. C. A., Allen. T. A. and L. L. Swanson (2005): Evalution of the association between ini-tial proteinuria and morbidity rate or death in dogs with naturally occurring chronic renal fail-ure. 226, 393‒400.

21) King. J. N., Font A., Rousselot. J. F., Ash R. A., Bonfanti, U., Brovida, C., Crowe, I. D., Lanore, D., Pechereau, D., Seewald, W. and G. Strehlau (2017): Effects of benazepril on survival of dogs with chronic kidney disease: a multicenter, ran-domized, blinded, placebo-controlled clinical trial.

31, 1113‒1122.

22) Givertz, M. M (2001): Manipulation of the re-nin‒angiotensin system. 104, e14‒

参照

関連したドキュメント

テストが成功しなかった場合、ダイアログボックスが表示され、 Alienware Command Center の推奨設定を確認するように求め

および皮膚性状の変化がみられる患者においては,コ.. 動性クリーゼ補助診断に利用できると述べている。本 症 例 に お け る ChE/Alb 比 は 入 院 時 に 2.4 と 低 値

(出所)Bauernschuster, Hener and Rainer (2016)、Figure 2より。.

の改善に加え,歩行効率にも大きな改善が見られた。脳

翻って︑再交渉義務違反の効果については︑契約調整︵契約

賠償請求が認められている︒ 強姦罪の改正をめぐる状況について顕著な変化はない︒

認知症診断前後の、空白の期間における心理面・生活面への早期からの

最終的な認定データおよび特性データは最終製品 / プロセス変更通知 (FPCN) に含まれます。この IPCN は、変 更実施から少なくとも 90