• 検索結果がありません。

骨芽細胞におけるHeat Shock Protein 27 の一過性過剰発現は分化能に影響を及ぼさずにアポトーシスを抑制する

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "骨芽細胞におけるHeat Shock Protein 27 の一過性過剰発現は分化能に影響を及ぼさずにアポトーシスを抑制する"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

- 23 - - 23 -

学 位 研 究 紹 介

学 位 研 究 紹 介

骨芽細胞における Heat Shock Protein

27 の一過性過剰発現は分化能に影響を

及ぼさずにアポトーシスを抑制する

Transient Over Expression of Heat

Shock Protein 27 Inhibit Apoptosis

without Affecting the Differentiation

Capacity in Osteoblast

新潟大学大学院医歯学総合研究科生体歯科補綴学分野

北見恩美

Division of Bio-Prosthodontics, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences

Megumi Kitami

【緒   言】

 インプラント前処置として行われる骨増成法では,増 殖因子やスキャホールドと共に,細胞を用いる方法が 有効であるとされている。しかしながら,移植時の種々 のストレスにより,移植細胞の生着は抑制され,その 効果が制限されていると考えられている。細胞はスト レスにさらされると,細胞内にストレスタンパク質であ る Heat shock proteins (HSPs) を産生し,この中でも分 子量 27 kDa の HSP27 は,抗アポトーシス作用を示す ことが知られている。そこで,我々は移植細胞において HSP27 を過剰発現させてストレスへの耐性を向上し,細 胞の生着を促進することによって,より効果的な骨増成 が期待できるのではないかとの着想に至った。本研究の 目的は,骨芽細胞における HSP27 の一過性過剰発現が 骨芽細胞の生存と分化に与える影響を解析することであ る。さらに,HSP27 過剰発現骨芽細胞を頭蓋骨欠損部 に移植し,移植細胞の生存と骨形成能について評価した。

【方   法】

 骨芽細胞株 MC3T3-E1 に HSP27 一過性発現ベクター を導入し,HSP27 の過剰発現を行った。HSP27 過剰発 現骨芽細胞における細胞増殖能の評価は MTS 法にて 行い,骨芽細胞分化の評価には Alkaline Phosphatase (ALP)活性染色を,石灰化能の評価には Alizarin Red 染色を用いた。各種骨芽細胞分化マーカーの発現は realtime PCR にて解析した。アポトーシスは TNF-α及 び H2O2にて誘導し,検出には TUNEL 染色を用いた。 細胞移植実験には,雄性 9 週齢免疫不全ラット(F344/ NJcl-rnu)を使用し,頭蓋骨に直径 4.3mm の骨欠損を 作成した。移植細胞追跡のため蛍光色素にて染色した HSP27 過剰発現骨芽細胞をコラーゲンに混和したもの を移植体とし,欠損部に移植した。1,3,7,14 および 28 日目に屠殺し,骨形成を µ-CT および組織学的手法 により評価した。

【結   果】

 一過性の HSP27 過剰発現は骨芽細胞増殖能に影響を 及ぼさなかった。骨芽細胞分化については骨芽細胞関 連遺伝子の発現量に変化は見られず,ALP 活性および 石灰化能にも影響は認められなかった。さらに,HSP27 の過剰発現は H2O2に誘導されるアポトーシスを有意に 抑制したものの,TNF-αに誘導されるアポトーシスの 抑制について統計的有意差は認められなかった。  HSP27 過剰発現の移植骨芽細胞への影響を明らかに するために行った移植実験の結果,移植後 3 および 7 日 後にて HSP27 過剰発現により TUNEL 陽性細胞率が有 意に減少した(図1-A) 。さらに,移植野における新生 骨量をマイクロ CT にて解析したところ,細胞を含まな い移植体と比較し,細胞移植群は骨治癒が促進されたが, HSP27 の過剰発現の有無による骨欠損治癒に有意差は認 められなかった(図1-B)。そこで,蛍光色素にて移植 細胞の挙動を追跡したところ,本研究で用いた移植骨芽 細胞の骨芽細胞,骨質細胞への分化は確認できなかった。

【考察及び結論】

 本研究では,HSP27 の一過性過剰発現が移植骨芽細 胞の生存および骨形成に及ぼす影響を評価した。細胞培 養系において一過性の HSP27 過剰発現は一部の骨芽細 胞関連遺伝子の発現低下を惹起したものの,骨芽細胞の 石灰化には影響を及ぼさなかった。さらに,我々はアポ トーシスの誘導に H2O2と TNF-αの二種の誘導因子を 用いたが,HSP27 によるアポトーシスの抑制は H2O2に 誘導されるものに限定されていた。過去の研究からもア ポトーシスの誘導経路は複数あることから,今後,その 抑制経路についてもより詳細な解析が必要であろう。本 研究では,抗アポトーシス遺伝子である HSP27 を移植 骨芽細胞に導入して,より効果的な骨増成を期する試み を行ったが,細胞の生存率は向上したものの,最終的な 23

(2)

新潟歯学会誌 45(1):2015 - 24 - 24 新生骨量に変化は見られず,移植細胞の骨細胞への分化 は観察されなかった。骨形成能を有する細胞の移植は盛 んに試みられているものの,本研究結果でも見られるよ うに,その効果と働きについては依然として議論が分か れるところである。本研究の結果より,細胞移植は骨欠 損治癒に有効な手段であるが,移植細胞は骨再生のため の骨芽細胞の細胞源としてではなく,宿主細胞へ何らか の影響を与えることで骨治癒を促進している可能性が示 唆された。移植細胞を用いた効率的な骨増成には,より 詳細な移植細胞の働きを明らかにする必要があると考え ている。 図1.HSP27 の移植骨芽細胞および頭蓋骨欠損治癒への影響  (A)HSP27 過剰発現骨芽細胞の TUNEL 陽性細胞率は,移植後 3 日および 7 日において有意 に減少した。(B)HSP27 過剰発現骨芽細胞の骨欠損治癒への影響をマイクロ CT にて解析した。 移植後 4 週において細胞移植群は細胞を含まない移植体と比較し骨治癒を促進したが,HSP27 過 剰発現は新生骨量に影響を及ぼさなかった。

参照

関連したドキュメント

イルスはヒト免疫担当細胞に感染し、免疫機構に著しい影響を与えることが知られてい

糸速度が急激に変化するフィリング巻にお いて,制御張力がどのような影響を受けるかを

 処分の違法を主張したとしても、処分の効力あるいは法効果を争うことに

このうち糸球体上皮細胞は高度に分化した終末 分化細胞であり,糸球体基底膜を外側から覆い かぶさるように存在する.

しかしながら生細胞内ではDNAがたえず慢然と合成

の多くの場合に腺腫を認め組織学的にはエオヂ ン嗜好性細胞よりなることが多い.叉性機能減

第四章では、APNP による OATP2B1 発現抑制における、高分子の関与を示す事を目 的とした。APNP による OATP2B1 発現抑制は OATP2B1 遺伝子の 3’UTR

 従来,輸血を必要としない軽症例では経過観 察されることが多かった.一方,重症例に対し ては,抗胸腺細胞グロブリン(anti-thymocyte