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系列を越えて一自動車部品企業の経営戦略-

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系列を越えて一自動車部品企業の経営戦略‑

済 民 穴 沢

1. は じめに

2.系列を取 り巻 く環境変化 と戦略的対応 3.実態調査の結果

4.ま とめ

1.はじめに

戦後 日本経済の飛躍的発展 の中心的役割を担 当 して きたのは製造業で,特 に 自動車 と家電が その柱 とな って い る。70年代後半 に入 って経 済 の ソフ ト化 と サー ビス化の進行 とともに製造業危機論が台頭 したが,いまだに自動車 ・家電 を中心 と した 日本の製造業 は世界 トップ水準 の競争力を維持 している。 この高 い国際競争力 の原動力 はなにか。 この点 に関 して様 々な側面か ら議論 されて き た。いわゆる 「3種の神器」 とまで言われて きた終身雇用制,年功序列制,企 業 内組合 に代表 され る日本 的経営, カ ンパ ン方式,菓議制,TQC等 の合理的 な生産 システム, さ らには集団主義,合意 による意志決定等の人事 ・組織上 の 特徴 など主 に文化 ・制度 的側面か らさまざまな論議がなされて きた。 しか し日 本の製造業の国際競争力を支え るもう一つの重要 な側面 と して中小企業の存在 があ る とりわけ大企業 とその中小下請企業間の長期かっ安定的な分業生産構 追,すなわち系列の存在であ る1)。

1)系列 ・下請を中心 とす る企業間関係の経済合理性 については,拙稿,「日本企業の

国際競争力 と系列 ・下 請構造」商学討究,第43巻第3・4合併号,1993 3月を 参照

79

(2)

ββ 46 4

例えば, 自動車生産のためには約 2万個の部品が必要 とされ るが, トヨタ, 日産等の大企業は完成車の設計,または一部主要部品の設計及び製造 と最終組 立を担当す るだけで,そのほとんどの部品を系列内 (外)の外部経済に依存 し ている。また,製造業分野の大企業の有価証券報告書を見て も,製造 コス トの

7, 8割が外部調達経費であ り,今 日の 日本製造業の成功の真の功労者 は部品 供給の中小下請企業 と言 って も過言ではない。

しか レ ズブル経済以降の 日本経済 はなかなか景気回復の兆 しが見えない。 さ らに急速な円高 と慢性的な労働力不足によって海外進出を含めての全面的な産 業構造の リス トラを余儀な くされている。 この様な環境変化の中で系列を中心 とした円滑な部品供給体制 も大 きく崩れようとしている 従来のよ うに大企業 と中小企業が一体 となって市場競争 に勝ち残 ることがあまりにも困難 になった 状況の下で,国際的な水平分業 という包括的視野に立 って系列の再調整が急務 であ り, これを理論的および体系的に分析す ることが何 よりも必要な時期にき ていると思われ る

本稿では,従来の枠組みがいかなるものであったか。また,それが大 きく壊 れようとしている今,どの様な枠組みを中小企業が模索 しているのか。さらに それはひとつの方向に収赦 してい くのか,それ ともい くつかの経済行動 として 記述で きるのかを自動車産業の部品供給会社を対象に実施 された実態調査を通

して考察 してい くことにす る。

2.系 列 を取 り巻 く環境 変化 とその戦 略的対応 (1)日本 自動車産業の特徴 とその変化

日本の 自動車産業の特徴 は リーン生産 に代表 される多品種少量生産にある。

一般 に自動車産業 はスケールメ リッ トが大 きいグローバル産業で,アメリカで はフォー ド主義か ら始 まって最近のワール ドカーのコンセプ トにいたるまで一 貫 して大量生産によるスケールメ リッ トが追求 されてきた。一方, 日本の自動 車メ‑カーはフレキシブルな生産 システムをベースに,モデル ・チェンジの短

(3)

系列 を越えて ‑自動車部品企業 の経営戦略 ‑ 81 縮化による車種の多様化を実現 させてきた。 日本のメーカーは4年 ごとのフル モデル ・チ ェンジの結果,1982年か ら90年の間にモデル数を47か ら84‑ と2 倍近 くに増加 させている. これに対 してアメ リカのメーカーは36か ら53へ と若 干増加 させているが, ヨーロッパのメーカーは企業の合弁の影響 もあってモデ

ル数を49か ら43に減 らしている2)0

日本では,アメリカと違 ってテイラー主義 とフォー ド主義ではな く,労働力 の包括的活用によって競争力の強化を謀 らざるを得なか った理 由として,移民 労働者層の不在や資本の不足等の理由が考え られるが,何 よりも決定的な理 由 は国内市場が狭 くて大規模市場を前提 とした大量生産体制になかなか乗 り出せ なか った点が挙 げ られ る。例えば,1950年代 当時 日本の 自動車産業の年 間生 産量はアメ リカの自動車生産のわずか1.5日分 に過 ぎなか った3)。 従 って 日本 独 自の リーン生産体制を創 るほか他の選択の余地 はなか ったのである。それが CAD,CAM に代表 される自動化技術の普及 によって小規模生産 において も コス ト面で効率的に競争で きるようにな り,また, この様な新技術が小集団活 動をベースとしたQC活動や多能工を中心 とした トヨタのJITを産んだフ レ キシブルな組織風土 にうま くソフ トランディングでき,今 日の 日本 自動車産業 の脅威的な成長の原動力になった世界一効率的な生産 システムが誕生 したので ある4)0

しか し日本の 自動車生産 は1990年の1,349万台を ピークにその後減少傾向を 見せている。売上高経常利益 も90年の4.5%か ら91年 には3.1%,92年 には1.8

% と急速 に悪化 している。 この収益構造の悪化の原因はバ ブル期において多様 な消費ニーズ,高級志向に対応す る形で各 自動車メーカーとも高級仕様車の開 発やバ リエーションの増加 に過当競争 したため,必要以上 に部品数が増加 し, 2)丸山恵也 『日本型生産 システム とフ レキ シビリテ ィ』 日本評論社 1995,100ペー

ジ。

3)Womacketal.,TheMachineThatChangedtheWorld,Macmillan PublishingC0.,1990,Ch.3

4)より詳 しい議論は,拙稿,国際競争力の強化 と経営革新」岡山大学経済学会雑誌 26巻 第 3・4 1995 3月を参照。

(4)

82 46 4

材料費が値上が りしたためである。また, リー ン生産による過熱なスコープ競 争 はメーカーにとっては重複の不経済を,そ して こうした頻繁なモデル ・チェ

ンジの発想がユーザーサイ ドに立 って行われていなか ったので,ユーザー側か〜

らするとモデル ・チェンジによる付加価値のグレー ドア ップがただ単 に価格を 上げるための口実のようにとらえ られ るよう‑にな り,バ ブル後のー価格破壊 に繋 が ったのである。

昨今 日本の各 自動車 メーカーは車種構成の見直 しや不採算車種の撤退を行 い,その部門において はOEM供給を活用す るなど生産効率化のために抜本 的な構造改革の動 きを見せている。その リス トラの焦点 は従来4年 ごとに行わ れていたフルモデル ・チ ェンジサイクルを欧米並 に6‑ 8年 に延長す ること と,車型数 ・部品数の 2, 3割の削減を目標 とす る部品の共通化である。例え ば,ダイ‑ ツ,スズキ,三菱 自動車工業,富士重工業,本田技研工業,マツダ の軽 自動車6社は業界を挙げて部品共通化のために リス ト作成に乗 り出 してい 5) 。 大手 メーカーも,例えば 日産 とマツダが95年のモデルチェンジか らFR 仕様のAT (自動変速機)を共通化す る。また, 自社製品間で も トヨタがエ ン ジン, シャシーの共通化を推進 しているし,本田の場合 においてはモデルチェ ンジをす る際に新型の部品共用比率50%以上をめざ し,アコー ドはすでに60%

に達 している6)。 この 自動車産業の リス トラはまさに ピラ ミッ ド構造の系列 のス リム化を意味す る。

(2) 系列のス リム化 と中小部品供給企業の戦略的対応

外国において 日本の系列 に対す る評価は大 きく岐れる まず, 日本への進出 の際に系列 は参入障壁の主な要因 として作用するものと指摘 されている。すな わち系列化がグループ内の取引を先行 させ,反競争的な取引慣行を助長させ る という批判である。 これは日米構造協議等で しば しば議論 されているように, 特に農産物の流通構造や建設業界の談合問題 さらには官庁 と産業界のパイプラ

5)加藤秀雄 変革期 の 日本産業』新評論 1994,110‑111ページ。

6)丸山,前掲書,83‑84ページ。

(5)

系列を越 えて 一自動車部品企業の経営戦略 ‑ 83 イ ンのような非製造業分野における系列の閉鎖性が問題 となる。 どち らか とい

うと生産系列 よりは 「金融系列」または 「流通系列」にあてはまる議論のよう に思われ る。

もう一つが我々の関心事である製造部門における大企業 とそのサプライヤー である中小下請企業 との長期的かつ安定的な分業生産構造が高い生産性の原動 力 となるとい う見解である。すなわち,アセ ンブ リメーカーである大企業 と部 品供給の系列 ・下請企業 との間に存在す る長期継続取引関係 は一種の運命共同 体的な性質を持つ 日本特有の 「関係特有優位」を形成 し,学習 ・情報効果が増 幅され る緩やかなネ ッ トワークとして とらえ られるべ き優れ もの という解釈で ある。 しか し80年代以降 この大企業 と中小下請企業間の蜜月関係が大 きく変貌 を遂げている。特 にホ ンダをのぞ くすべてのメーカーが各種の協力会を組織 し,生産 ・開発体制を構築 している自動車産業の場合において も,最近 には系 列を越えて他の協力会のメ ンバー企業 との取引が急速に増加 している。平成 4 年度の中小企業 自書 によると,親企業 1社 に対す る下請比率が90%を越える「 属型」の割合が5年前の3割か ら2割強に急速に低下 し,複数の親企業 に納入 す る 「取引分散型」下請企業の割合がかな りの勢いで増えている7) 0

日本の (生産)系列 は大企業を中心 とする垂直的な関係か ら徐 々に脱皮 し, む しろ水平的で対等なパー トナー的関係 に突入す る転換期を向かえているとい え る。 もちろん この様 に独 自的な技術開発等を通 じて系列を越えて活躍す る

超部品会社」 として成長で きる企業数 はまだ少ない。 しか し最近の環境変化 (例えば円高等の金融市場の変化,PLCの短縮等の製品市場の変化,高齢化

・人手不足 という労働市場の変化)にうま く対応す るためには,従来の分業生 産 システムを大 きく変えざるを得ない。例えば, トヨタ自動車系大手部品メー カー,アイシン精機 と日産 自動車系のユニシアジェックスは,96年にも中国で 自動車用 クラ ッチを合弁生産す ることで基本合意 した。中国の自動車市場は長 期的に成長が見込まれ るが,単独進出では当面採算 に見合 う生産量を確保で き

7)平成4年版 『中小企業白書』98ー ジ。

(6)

84 46 4

ないと判断,合弁方式で投資 リスクを分散す る。 アイ シンは トヨタが22.2%

を出資する筆頭株主で, トヨタ系列では日本電装に次 ぐ第2位の規模を持 って お り,一方のユニ シアは日産が29.85%を出資す る筆頭株主で, 日産系列では 最大規模の部品メーカーである。 この様に トヨタ ・日産の直系部品メーカーが 系列を超えて合弁生産す るのは, 日本国内で も例がない。投資規模 は数十億円 になる見込みで, うま く行 けば 日本に逆輸入 して トヨタと日産に販売する構想

もあ り,基本部品の共通化にもつなが る可能性がある8)。

そ こで このような環境変化が もた らす系列および企業間関係 に対す る影響を 考えてみると, とりわけ次の3つのシナ リオが予想 される。

まず,円高,国内の労働力減少等の理由で,今後中小部品供給会社の大 々的 な海外進出が予想 されてお り,その課程で国内とは異なるより緩やかな海外系 列が再編成 される その結果,海外でつ くられた安 い標準化部品が大量に日本 国内市場にフィー ドバ ックされる。

2番 目には, 日本国内において も特定の地域に密集 されている中小下請企業 群が分散化 されるもの と考え られるので,従来の強い企業連結がより緩やかな

ものになる

3番 目には,乗用車の完成車メーカーは悪化 した収益構造を改編す るために 部品の共通化,モデルサイクルの延長,車種構成のス リム化等の戦略を打ち出 してお り, この点 も中小下請企業にとって,系列の範囲を超えて独 自または戦 略的提携を通 じての新たな製品 ・工程上の技術開発を余儀な くさせ る要因 とし て作用す る。

以上 に述べた諸変化に対応す る中小企業の戦略的オプションとしては,

①独 自の技術開発を通 じて系列を越えた 「超部品会社」 として成長,

②系列企業間の戦略的提携 (合弁等)を通 じての業界再編成, (卦系列の枠を超えての取引先の多角化,分散化の推進,

④ コス ト優位性の確保のための海外進出, 8) 日本経済新聞,1995522日記事より。

(7)

系列 を越 えて 一自動車部 品企業 の経営戦 略 ‑ 85

⑤既存の分野か らの撤退等があるもの と想定 され る。

したが って,現実的に最 も有力視 され る 「独 自技術開発型取 引分散型」

海外進出型」の3つの戦略的オプシ ョンの うち, 自動車分野の中小下請企業 がいかなる戟略で生 き残 ろうとしているのかを実証的に考察 してい くことが現 時点 において何 よ りも重要な研究テーマといえよ。以下 その調査結果をまとめ

るとす る。

3.実態調査の結果 (1)調査の概要

本稿で用いる調査データは, 自動車産業 と家電産業 における中小部品供給企 業を対象 とした郵送質問調査書 によって収集 された ものである 調査対象 は19 93 6月18日の週刊東洋経済の法人所得番付 リス トの中の電機 ・電子部品メー

カー1,033社 と自動車部品 メーカー925社であ る。調査期 間 は1994年12月か ら 1995 2月 にかけて行われ,有効回答 は家電部門が工13社 (回収率10.9%), 自動車部門が132社 (回収率14.3%)であ った。調査のために用 い られた質問 票 は今回は紙面の関係で載せ られないが,会社の規模 (総資本金,売上高,経 常利益,研究開発費,従業員数 に関す る過去3年間のデータ)のはかに,経営

1:調査対象の企業 (自動車部品メーカー)の規模 (93年)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 go

零細 ・小 (〜299)

(300‑999)

(1000‑)

(8)

86 46 4

環境,組織構造,技術 と研究開発,系列 ・下請,国際化の5つのグル‑プに分 けられた詳細な質問項 目が用意 された。回答会社の規模 は図1,図2,図3 とお りである。 自動車部品メーカー132社の内訳 は図 1の とお りであるが, の うち従業員数1,000人を超える大企業14社 と従業員数が記入 されていない9 社のデータを除 く中堅 ・中小 メーカー (109社)のみを分析対象 とする。

2:中小自動車部品メーカーの資本金 (93年)

0 40 80 120 160 200 240 280 320 360 (数値 は各区間の下限値、単位 :百万 円)

3:中小自動車部品メーカーの売上高 (93年)

6420

E

2

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XX

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0 : ⊃ ⊂

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.1 .. (数値は各区間の下限値、単位 :百万円)

000LI

OOO9T

OOOST

OOOfT

OOOST

(9)

系列 を越 えて一 自動 車部 品企業 の経 営戦 略 ‑ βア

(2)分析方法

前述 したよ うに本稿では主 に後者の自動車部品メーカーの調査資料を用いて 分析を行 うことにす る。なお分析は本稿の目的に添 って技術,系列,国際化の 3つのテ⊥マを中心に行 っている。ちなみに電機 ・電子部品メーカーの調査資 料は今回は単 なるレファレンスデータとして分析 しているが,いずれ本格的な 両産業の比較分析を行 うことに したい。さらに92年か ら93年 までの売上伸び率 を従属変数 とし,技術,系列,国際化を独立変数 とした数量化 Ⅰ類分析を中心 に,中小 自動車部品メーカーの経営戦略がパ フォーマ ンスにどの様な影響を及 ぼすのかをみてい く。最後に今後 どの様な経営戦略を中心に展開 してい くのか を予測することにす る。

(3)技術開発

4の自社技術水準の評価で見 るように,他社技術の補完的導入が必要であ ると答えている企業が55.34%と過半数以上を占めている。続いて, 自社技術 のみで十分競争で きると答えている企業が全体の30.10%,他社技術 に全面依 存 している企業が4.85%の順であ った。 また図5,図6で見 るよ うに研究開 発部 門を持 って い ると答 えて い る企業 が47.57%で,持 って いない企 業 の 49.51%を下回 っている。 さ らに研究員の数 もほとん どが 5,6人未満の規模

4:自社の技術水準の評価 (Q3‑ 3)

0.00% 10 .00% 20.00% 30,00% 40. 0 0% 50.00% 60 .00%

自社技術のみで競争

他社技術 の補完的導 入が必要 他社技術 に全面的に

依存

その他 無回答

(10)

ββ 46 4 5:研究開発部門の有無 (03‑4)

0.00% 10.00% 20.00% 30.00% 40.00% 50.00%

:; *i>

!!

6:研究員 (研究助手含む)の人数 (93 ;0 3‑ 5)

::::i出…出>

0

2 4 6 8 10 12 14 16

(数値 は各区間の下限値、単位 :人)

であ り,20人以上 は7件 に過 ぎない。

これは独 自技術をベースに自社製品を開発 し,積極的に新分野 に進 出 し,下 請取 引依存度 を低下 させてい くことが ほとん どの中小部品 メーカーの とっては 現実的にかな り困難 な状況 にあることを端的に示す もの と理解 され る。言 い替 え ると,下請分業構造の変革 に対応す るために何 よ りも要求 されている技術競 争力の向上が現実的には技術者の不足,高齢化,高賃金等 の壁 にぶっか って し

まいなかなか実現 しに くい ことを現 している。

(11)

系列を越えて一 自動 車 部 品企 業 の経 営 戦 略 ‑ 89

(4)系列 ・下請

中小部品メーカーにとってより現実的な戦略対案 としては,従来の親企業 と の取引関係をより分散化 させ るか,または取引製品数の増加 させバーゲニ ング パ ワーを強化す ることである。今回の調査サ ンプルの中では図 7で示 されてい るように,準専属型 (親企業数 2‑ 5社かつ下請率90%以上, もしくは親企業 1社かつ下請率90%未満)が全体の34.95%を占めて最 も多 く,次に専属型

7:親企業社間の取引関係 (Q4‑1)

0 .00% 5 . 00% 10.00% 15.00% 20.00% 2 5 . 0 0 % 3 0 . 00% 3 5 .00%

分類1 分類2

分類3 分類4

無回答

5I 衰 轟萱藁

> ヽ> ;

sf i 導:;::H:::i:: 洋 式:;中;締 ::.

音詩害毒

(注 )

分類1:親企業数 1社、下請 け率90%以上

分類2:親企業数2‑ 5杜かつ下請 け率90%以上、 もしくは親企業数 1社か つ下請 け率90%未満

分類3:親企業数2‑5社かつ下請 け率90%未満、 もしくは親企業数6社以 上かつ下請 け率70%以上

分類4:親企業数6杜以上、下請 け率70%未満

8:協力会」への加入状況 (04‑2)

0.0% 5.0% 10 .0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 3 5 .0% 40.0% 4 5 .0%

1つの協力会 に加入

複数の協力会 に加入

加入 して いない

無回答

.!

=‑i

=:!i

:l...:

学;::I: ;pii三i;.iii;

(12)

90 46 4 9:下請け レベル (04‑3)

0.00% 10.00% 20.00% 30.00% 40.00% 50.00% 60.00% 70.00%

1次下請け 2次下請け 3次下請け その他 無回答

l

質読:琵 ia:i :r gal

10:取引製品数 (Q 4‑ 6)

0.00% 10.00% 20.00% 30.00% 40.00% 50.OP% 60.00% 70.00% 80.00%

1

2‑5

5‑10

10個以上 無回答

l

I,5

:. ::'<:

>:.

:i, 8

(親企業数 1社,下請率90%以上)の29.13%2位,そ して準取引分散型 (親企 業数 2‑ 5社かつ下請率90%未満, もしくは親企業数6社以上かつ下請率70%

以上) と取引分散型 (親企業数 6社以上,下請率70%未満)が ともに12.62%

と続いている。 これだけを見 ると取引分散型よりも専属型が圧倒的に多いが, 8では複数の協力会 に加入 していると答えている企業が全体の41.75%で, 1つの協力会に加入 していると答えている企業 (31.07%)を大 き く上回 って いる ちなみに協力会 に加入 していない独立型 も19.42%と相当数 に上 る。図 9の下請 レベルでは,一次下請企業が65.05%で最 も多 く,2次下請が18.45

%, 3次下請が1.94%と続 いている。最後 に取 引製品数 において は,予想を 反 して,10個以上 と答えた企業が全体の70.87%で圧倒的に多 く,2‑ 5個が

(13)

系列 を越 えて一自動車部品企業の経営戦略‑ 91 13.59%,5‑10個が4.85%,1個が1.94%の順 にな っている。

取引先多角化 にについて平成212月 に中小企業庁が行 った 「下請分業構造 実態調査」によると,専属型,準専属型,準取引分散型,取引分散型がそれぞ 15.8%,36.8%,38.0%,9.4%であ ったので,今回の調査対象である自動 車部品メーカーの場合 には,いまだに専属型の割合が高いのが判 る。 これは前 述 したように系列のス リム化を中心 とす る自動車産業の本格的な リス トラが進 むにつれて必然的によ り分散型 にシフ トす るもの と考え られ るが, もう一つの 解釈 としては,大企業の戦略的方向性 とそれに対応す る中小部品メーカーの動 きとの間に時間的なズ レが生 じているもの と理解 され る いずれに して も,大 企業主導の系列の整理 ・統合が進展す る中で,取引分散化 と取引製品の多角化 は今後 ますます増えてい くもの と思われるので,大企業アセ ンブ リメーカ‑ 1 社の傘下 にきれいな ピラ ミッ ド構造を描いていた従来の 自動車産業の分業生産 構造 は,清成忠男9)が指摘す るよ うに 「逆 ピラ ミッ ド」まで はいかな くとも, かな りス リムな三角形が予想 され る。

(5)国際化

11:国際化 に対する態度 (0 5‑ 1)

0.00% 5.00% 10 .00% 15.00% 20.0 0 % 25.00 % 30.00% 35.00 %

消極的 やや消極的 普通 やや墳極的 墳極的 無回答

9)清成忠男 「わが国における系列と下請け企業の変化」,清成忠男 ・下川浩一編 『 代の系列』日本経済評論社,1992,110‑113ページ。

(14)

92 46 4

図12:国際化 している企業向けの質問の回答率

0.00% 10.00%20 .00% 30 . 0 0% 40.00% 50.0 0 % 60 .Oo 70.00% 80.OO 90.00%

回答あ り 回答な し

(荏)実際には 「今後の貴社の海外展開の計画について」(国際化 してい る企業向け ;Q510)に対す る回答率

11と図12で見 られ るよ うに,国際化 に対す る全般的な態度 はかな り消極的 な ものであった。 しか も国際化を積極的に展開 していると答えている企業の海 外事業活動 を直接投資 と技術提携 に分 けてみて も,その進 出先 (または提携先) がアメ リカが一番多 く,アセア ン ・中国 といったいわゆる労働 コス ト削減のた めの進 出が少 ない。 これは親企業に追随す るケースが多いの と,まだ長期的展 望 に立 って海外生産拠点 を確保す るとい った積極的な国際化戦 略の欠如 を現 す。 また海外 において も親企業 との関係 を重視す ると答 えた企業が ほ とん ど で,親企業以外の 日系企業 との関係 を重視す ると答 えた企業 は1社 もなか っ た。 したが って今回の調査 においては大 々的な海外進 出とそれに伴 うよ り緩や かな海外系列の成立 は残念なが ら確認で きなか った。「国内にいて も地獄,港 外 に出て も地獄」 と言 ったある中小企業の経営者の表現通 り,あ くまで も最後 の最後 まで国内で頑張 って,それで もダメだ った ら海外‑ とい う消極的な国際 化の姿勢を垣間みた気がす る

(6)戦時 とパ フォーマンス

ここでは,中小 自動車部品メーカーの売上伸 び率 (92‑93)が3つの戦略的 要因 (技術開発,取引分散,国際化)によって どの様 に影響を受 けるのかにつ いて,数量化 Ⅰ類を用いて分析 している。数量化 Ⅰ類 は①従属変数 に当たる外 的基準が量的データで,②独立変数 となる要因が質的データである時に,従属 変数を複数の独立変数で説明 したい場合 に用いる。数量化 Ⅰ類 は数学的にはす

(15)

系列 を越 えて ‑自動車部 品企業 の経 営戟 略 ‑ 93 ベての独立変数がダ ミー変数である重回帰分析 に等 しい。各要因の各水準 に与 え られ る評点 は「カテ ゴ リーウェイ ト」と呼ばれ,従属変数‑の影響度 を示す。

数表 にあるカテゴ リーウェイ トは,各要因 ごとに (度数を重み とした とき)加 重和が 0になるよ うに標準化 されている。

各要因は,カテゴ リーウェイ トの付値によって量的変数 とみなす ことがで き る。そ こで,従属変数の偏相関係数を計算す ることがで きる。 これは,要因全 体 としての従属変数への影響度 を表す。数表で は慣例 に従 って, カテ ゴ リー ウェイ トの範囲 と偏相関係数を併記 している。 しか し,前者 は少数のはずれ値 (outlier)の影響を受 けやす いので,我 々は もっぱ ら後者 に注 目 して分析 を 進める10)

脚注で説明 したよ うに,売上伸び率に最 も強い影響を与えている変数 は主力 製品である。主力製品は自動車の部品を①ェ ンジン ・トランス ミッション② ボ ディ③エ レク トリカル④イクィップメ ン ト⑤ シャーシの5つのカテゴ リーに分 類 している この分類の中では①エ ンジン ・トラ ンス ミッションと③エ レク ト

リカルが圧倒的に売上伸 び率 に肯定的に寄与 している。 これはやは りエ ンジン または電装部品が高付加,高技術であることと密接 に関係す る 1か ら表 5 までは, この主力製品をダ ミーにおいて,各戦略要因が従属変数である売上伸 び率にどの様 に影響す るかを分析 した もので,いずれ もP値 は有意性を保たれ ている

衰 1で見 るように,独 自技術開発能力を有す る企業がやはり一番売上伸 び率 が高 い (ウェイ ト2.58)。 しか し, 自社技術の補完 と して他社か ら技術導入を 必要 とされ る企業 (ウェイ ト‑1.48)よ りも,他社か らの導入 に全面依存す 10)本来 この 目的だけな ら,一元配置による分散分析で十分 と思われるか もしれない。

しか し実際には,売上伸 び率 は主力製品の違いに最 も大 きく影響を受け,一元配置 だけでは戦略的要因による影響度が見えて こない。数量化 Ⅰ類 は,主力製品の影響 を取 り除いた変動を戦略的要因で説明す ることを可能 に して くれる。なお,主力製 品 と各戦略的要因が独立であることは,事前 に行 った x自乗検定により確認 されて いる。数量化 Ⅰ類の詳細 については,田中豊 ・脇本和昌 『多変量統計解析法 ( 代数学社,1983年)を参照せよ。 また,分析 ツールは筆者の 自作 による ものだが, その解説 は別の機会 に譲 る。

(16)

94 46 4

1:自社の技術水準の評価 (03‑ 3)の,売上伸び率 (92‑93)への 影響 (数量化 Ⅰ類 による)

被 説 明変数 :売上伸 び率 (92‑.93),説 明要 因 :Q3‑3,主力製 品

自由度 平均平方和 F値 ‑ P . 有草 性 級 問 2419.20 ?, 302.40 2,55 0.P15

*

級 内 10182.31 86 118.40

12601.50 94

R2 0.19定数項 ‑4.55

個数 ウ エイ ト 範囲 偏相 関係数

Q3‑3 ̲自社技術 のみで競争可 30 258 ,4.27 0.184

他社技術 q)補完的導入必要 54 1.47

他社技術 に全面 的 にp依存 5 2:4L4

その他 6 1.69

主力製 品 トランス ミッション.エ ンジン 8 10.01 18.78 0.426

ボ デ ィ ll ‑8.77

エ レク トリカル 9 7.68

イ クイ ップメ ン ト 19 ‑0.84

シャー シ 22 ‑2.20

2:親企業社間の取引関係 (04‑ 1)の,売上伸び率 (92‑93)への 影響 (数量化 Ⅰ類 による)

,辛 . 自由度 平均平方和 F P 有意性 級 間 2451.26 8 306,41 2.52 0.017

*

級 内 9736.92 80 121.71

12188.18 88

R2 0.20 定数項 ‑5.00

̀ 個数 ウ エイ ト 範囲 偏相関係数

Q4‑1 分類 1(7の注 の通 り) 29 ‑0.ll 3.18 0.111

分類 2 35 1ー14

分類 3 12 1.37

分類 4 13 2.04

主 力製 品 トランス ミッション.エ ンジン 8 10.05 19.81 0.445

ボデ ィ. ̲10 ‑9.76

エ レク トリカル 9 7.93

イ クイ ップメ ン ト 17 ‑2.06

シャー シ 20 1.12

(17)

系 列 を越 え て 一 自動 車 部 品 企 業 の 経 営 戦 略 ‑ 95

3:下請 け レベル (04‑ 3)の,売上伸 び率 (92‑93)への影響 ( 量化 Ⅰ類 による)

被説明変数 、:売上伸び率 (92‑93),説明要因 :Q◆4‑ 3,主力製品

=要 自由度 平均平方和 F P 有意性 級 間 3141.70 8 392.71 3.81 0.001 **

級 内 8140.07 79 103.04 11281.77 87

R2 0.28 定数項 ‑5.02

個数 ウエイ ト 範囲 偏相関係数

Q 4‑3 1次下請 け 65 1.56 17.15 0.314 2次下請 け 19 4.46

3次下請 け 2 ‑4.50

その他 2 12.65

主力製品 トランス ミッション.エンジン 8 10.82 19.57 0.481

ボ デ ィ 9 ‑8.74

エ レク トリカル 9 8.88 イクイ ップメ ン ト 18 1.17

シ ャ ー シ 19 1.08

4:取引製 品数 (04‑ 6)の,売上伸 び率 (92‑93)への影響 (数量 化 Ⅰ類 による)

被説明変数 :売上伸び率 (92‑93),説明要因 :Q 4‑ 6,主力製品

要因 和 ‑ 自由度 平均平方和 F P 有意性 級問 2456.56 8 307.07 2.59 0.014 *

級 内 9730.52 82 118.66 12187.09 90

R2 0.20 定数項 ‑4.67

要因 ■ 準 個数 ウエイ ト 範囲 偏相関係数

Q4‑ 6 1 2 3.50 8.50 0.182 2‑ 5 14 ‑0.88

5‑10 5 7.62 10個以上 .70 ‑0.47

主力製品 トランネ ミッション.エ ンジン 8 10.24 19.91 0.438

ボ デ ィー 9 ‑9.66

エ レク トリカル 9 7.76 イ クイ ップメ ン ト 18 1.36

シ ャ ー シ 21 ‑2.05

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