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* 小売戦略と経営成果*

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Academic year: 2021

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(1)

一条件適合 アプ ローチー

公 彦

Ⅰ は じめ に

消費者 ニーズの多様化 ・個性化 ,経済 の情報化 ・サ ‑ ビス化 ,あるいは大店法改正 に よる規制緩 和 の動 きな ど,小売業 を と りま く環境変化 は ます ます激 しさを増 してい る。 さらにバ ブル崩壊 には じまる近年 の景気後退 は ,消費不況 ともよばれ る よ うに小売業 に も大 きな影響 をお よぼ してい る0 消費者 の買い控 え行動 のなかで消費市場が低迷 し,それ に ともな って小売販売額 もいち じる し く落 ち込 んでい る。 しか し,こ うした景気後退期 において もすべ ての小売商 の経営成果 が低下 してい る わけではない。みずか らの経営資源を最大限に活用 して競争優位 を築 き,市場環童 の変化 に適応 し た戦略 を とってい る小売商 は ,そ うでない小売商に比べ て ヨ リ高い経営成果 をあげてい るはず であ る。

この論文 の 目的は ,小売商 の経営戦略 と経営成果 との関連 を実証 的に検討す る ことにある。 以下 では ,まず この研究で採用す る分析 モデルを説 明 し,つ いで経営成果 ,経営戦略 ,経営特質 ,お よ び市場環境 それぞれ の変数 ブ ロックにおけ る次元を明 らかに し,最後 に経営戦略 と経営成果 との関 連が経営特質 と市場環境 の条件状態 に よって どの よ うに変わ るか を実証 す る。 利 用 され るデ ー タ は ,岡山市 の中小小売商 を対象 として配布 ・回収 され た

1 4 0

サ ンプルであ る1)0

小売戦略 と経営成果 の条件適合 モデル

あ る小売商が ある戦略 を とった場合 に どの よ うな成果 をあげ るかは ,そ の小売商が どの よ うな条 件 の もとにおかれ てい るかに よって異 な って くるだ ろ う。 あ る条件 の もとでは経営成果 を改善す る 有効 な戦略 も,異 な った条件 の もとでは逆 に経営成果 を低下 させ るか も しれ ない。小売戦略 と経営 成果 との関連 は条件 に依存す る とい うのが条件適合 アプ ローチの基本 的な考 え方 である2)

この研究 において採用 され る条件適合 モデルは ,図 1に要約 され る とお りであ る。 図

1

の条件適 合 モデル は ,経営戦略 と経営成果 との関連 が経営特質 と市場環境 とい う

2

つ の条件 に依存す ること を示 している。経営特質 は小売商 の主体的条件 であ り,市場環境 は小売商 を と りま く環境条件 であ るO ここでは ,それぞれ の変数 ブ ロックごとにその現状 と変数 の次元をみてい くことに しよ うO

*この研究は,岡山商科大学附属経営研究所 より平成

5

年度研究助成を受けてなされたものであ り,同研究 所に対 し記 して感謝いたします。

1) この調査は9

4

年4月におこなわれた。岡山市経済局商工観光部商業振興課をつ うじてアンケー ト調査票を 商店街連合会に配布 し,郵送により回収 したC配布サンプル数は

1 , 0 0 0

部 ,回収 された有効サ ンプル数は

1 4 0

部,回収率は

1 4. 0 %

であったC

2)

小売戦略と経営成果との関連を条件適合的にとらえる研究については,田村

( 1 9 8

1)による先駆的業炭があ る。また野口

( 1 9 8 8 )

は,田村の研究の追試的検討をおこなっている。この論文もこうした一連の実証研究 の成果を踏まえたものである。(田村正紀

( 1 9 8

1)

,

大型店問題』千倉書房

,2 3 5 ‑ 2 5 6

ページ ;野 口智雄

( 1 9 8 8 ),

現代小売流通の諸側面』千倉書房

,1 7 9 ‑ 1 9 8

ページ。)

77

(2)

1 小売戦略と経営成果の条件適合モデル (概念モデル)

鮒芦

[重可 享 >回

出所 :田村正

妃 ( 1 9 8

1

),

大型店 問題』千倉書房

,2 3 7

ペ ー ジ,図

9. 1 0

1 経営成果の測定尺度とそのスコア平均

非 や ど や 非 スコア

ちい

に や もい や にらえとな 平 均

P

1.客数は 増えている 5

4‑3

‑2 1 減っている

‑0. 5 4 P2

,客単価は 上昇 している 5

‑4

‑3‑2‑ 1 低下 している

‑0. 2 4 p3.

年間売上高は 増えている

5‑4

‑ 3‑ 2 1 減っている

‑0. 6 2 P4.

粗利益率は 上昇 している

5‑4‑3‑2‑ 1

低下 している

‑0. 3 2 P5.

年間純利益は 上昇 している

5‑4‑3

2 1 低下 している

‑0. 5 4 P6.

売場面積

1

汀至当た りの売上高は 上昇 している

5‑4‑3 ‑2

‑ 1 低下 している

‑0. 61

経 営成果

小売商 の経営成果 は さまざまなかたちを と りうる。 また個 々の小売商が重点的に達成 しよ うとす る成果 目標 も多様 であろ う。 こ うした小売商 の経営成果 の多様性 を考慮 し,経営成果 をあ らわす指 標 として表

1

に示 され る よ うな

7

種 の変数を選 んだ。

近年 の景気後退 は小売商 の経営成果 に どの程度 の影響 を与 えてい るのであろ うか。表

1

の測定尺

5, 4, 3, 2, 1

にそれぞれ

2

, 1

, 0,‑ 1‑ 2

のス コアを当てはめ ,各経営成果変数 のス コア平均 を算 出 した。表 1のス コア平均 にみ られ るとお り,すべ ての経営成果 についてマイナスの ス コア とな ってお り,景気後退 が小売商 の経営成果 に きわ めて深刻な影響 をお よぼ してい る ことが わか る。 と くに年 間売上高 (

‑0. 62 )お よび売場面積 1

rri当た りの売上高 (

‑0. 6

1) は影響 が大 き

く,需要減少 と生産性低下 の両面 で経営成果 はいち じる しく低 くな っている。

ところで表

1

に示 した よ うな

7

種 の経営成果変数 は ,たが いに密 接 に 関連 して い る可 能 性 が あ るO た とえば ,客数や客単価 が増 えれば年 間売上高 も増 え ,同時に粗利益や純利益 ,売場面積

1m2

当た りの売上高 (物 的生産性)や従業員 1人当た りの売上高 (労働生産性) も増加す るだ ろ う。そ こで ,経営成果 の総合的指標 を得 るために因子分析 をお こな った。表

2

にみ られ る よ うに ,因子分 析 に よ り抽 出 された固有値

1

以上 の国子 は

1

つ であ った。 この因子 に よって

7

種 の経営成果変数 の 総分散 の6

8. 4%が説 明 され てい る。 因子 Ⅰはいずれ の成果変数 の因子負荷量 とも相 関が高 く,総合

的経営成果 を要約 してい る といえ る。 したが って ,小売戦略 と経営成果 との関連を実証す るさい , この総合的経営成果を経営成果 の指標 とす ることにす る0

7 8 一

(3)

2

経営成果変数の因子分析

因子

共通性(h2

)

P1.客数 0. 81 7 0. 6 6 7 P2.

客単価

0. 5 9 0 0. 3 4 8 P3.

年間売上高

0. 8 8 4 0. 7 81 P4.

粗利益率

0. 7 6 7 0. 5 8 8 P5.

年間純利益

0. 9 3 4 0. 8 7 2 P6.

売場面積 1rri当た りの売上高

0. 8 9 2 0. 7 9 6 P7.

従業員1人当た りの売上高

0. 8 5 9 0. 7 3 8

4. 7 8 9

経営戦略

小売商はその経営成果を高め るために さまざまな経営戦略を とる。小売商が と りうる経営戦略は 多様 であるが ,主要な戦略は表 3の ように示す ことがで きるだろ う。

小売商が重視す る経営戦略をみ るために ,表

3

の測定尺度

5,4,3,2, 1

にそれ ぞれ

2

, 1, 0,‑ 1,‑ 2のス コアを当てはめ ,各経営戦略のス コア平均を算 出 した。その結果は表3 ス コア平均に示 されている。

25

種 の経営戦略 の うち比較的重視度が高 くプラスのス コアを とるのは ,商品の種類を絞 り専門化

( 0. 26)

,ダイ レク トメールに よるお客様‑の案内

( 0. 1 8)

,現店舗 の改装

( 0. ll )

である。逆 に重 視度が低 くマイナスのス コアを とるのは ,コンビニエ ンス ・ス トア‑の転換 (‑1.

58)

,ボ ラ ンタ リー ・チ ェーンに加盟 (一1.

50)

,セル フサー ビス方式 の採用 (‑1.

34)

,商品の種類を まった く変 える (業種転換) (‑1.

34)

,フランチ ャイズ ・チ ェーンに加盟 (‑

1. 29)

な どで あ る。全体 と し て ,専門化 ,情報化 ,あるいは店舗施設 の整備 な ど従来の経営形態を踏襲 した戦略が ヨ リ重視 され るのに対 して,店舗組織や業種 の転換 とい った ヨ リ費用 のかか る ドラスチ ックな戦略変更はあま り 重視 されない傾 向がある。 この点は,景気後退 とい う現状 もとで経営成果が低下す るなかで ,小売 商が と りうる経営戦略 も大 き く制約 されていることを示唆 している。

ところで ,蓑 3にあげた ような さまざまな経営戦略はたがいに相反す るものではな く,ある戦略 を採用す る小売商は同時に他 のある戦略を重視 しているか もしれない。そ こで ,多様な小売戦略を 集約 してその戦略 タイプを明 らかにす るために ,戦略変数の因子分析をお こな った。表

4

は因子分 析 の結果を示 した ものである。

抽出 された固有値 1以上の因子は

3

つである。 これ ら

3

つの国子に よって25個 の戦略変数 の総分 散 の45.

6%が要約 されている。因子 Ⅰと高い相関を もつ戦略変数は,顧客データの コンピュータ管

理 ,ダイ レク トメールに よるお客様‑の案 内

,POS

システムの導入 ,受発注 オ ンライ ン

( EOS)

採用 ,商品 ・市場情報を コンピュータで収集 ,ク レジ ッ トカー ドの採用な どである。 これ らは明 ら かに情報化 の側面をあ らわ してお り,情報化 に よって経営の効率化をはかろ うとす る戦略 である。

したが って,この因子を情報化戦略因子 とよぶ ことに しよう。因子 Ⅰは,ボランタ リー ・チ ェーン に加盟 ,フランチ ャイズ ・チ ェーンに加盟 ,コンビニエ ンス ・ス トア‑の転換 ,有名 メーカーの系 列に参加な どと相関が高い。 こ うした戦略は店舗形態 の変更にかかわ ってお り,独立店か ら何 らか の小売販売甑織に加盟す ることに よって規模の経済を追求 しよ うとす る戦略 で あ る。 この こ とか ら,因子 Ⅱは業態転換 因子 とよぶ ことがで きる。国子 Ⅲは ,飲食店 ・サー ビス業な ど小売店 以外 の 業種 の営業 も加 える,商品の種類を まった く変 える (業種転換),御用聞 き ・無料配達等 のサ ー ビス

ー7 9‑

(4)

蓑 3

経営戦略の測定尺度 とその重視度のスコア平均

( N‑1 4 0 )

スコア

非 や ど や 非

に や もい やち いらえとな 平 均 S 1.有名 メーカーの系列に参加 重視す る

5‑4‑ 3‑ 2‑ 1

重視 しない

‑0. 8 4 S2.フランチ ャイズ .チ ェーンに加盟

重視す る

5‑4‑ 3‑ 2‑ 1

重視 しない ‑1.

2 9 S3.ボランタ リー .チ ェーンに加盟

重視す る

5‑4‑ 3‑ 2‑ 1

重視 しない ‑1.

4 0 S4

,コンビニエンス .ス トアへの転換 重視す る

5‑4‑ 3‑ 2‑ 1

重視 しない

‑1. 5 8 S5

.セルフサービス方式の採用 重視す る

5‑4‑ 3‑ 2‑ 1

重視 しない ‑1.

3 4 S6.クレジッ トカー ドの採用

重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 2 5 S7.POSシステムの導入

重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 61 S8.

受発注オンライン

( EOS)の採用

重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 7 3 S9.

顧客デ‑タのコンピュータ管理 重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 0 6 S1 0.ダイ レク トメールによるお客様‑の案内

重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

0. 1 8 S

ll.商品 .市場情報を コンピュータで収集 重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 5 8 S1 2.

現店舗の改装 重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

0. l l S1 3.

現店舗の売場面積の拡大 重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 6 6 sl 4.

立地条件のよい場所に移転 重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 5 5 S1 5.

新たに店舗を増やす 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 6 6 S1 6.

商品の種類を絞 り専門化 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

0. 2 6 S1 7.

高級品中心の品揃え 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 3 3 S1 8.

大衆品 .安価品中心の品揃え 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 40 S1 9.

商品の種煩を拡大 (多様化) 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 3 8 S2 0.

廉価販売の促進 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 3 8 S2

1.商品の種類をまった く変える (業種転換) 重視する

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない ‑1.

3 4 S2 2.

御用聞き .無料配達等のサービス強化 重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1

重視 しない

‑0. 8 7

S2 3.

営業時間の延長

S2 4.

飲食店 .サービス業な ど小売店以外の業種の営業 も加える 重視す る重視す る

5‑4‑3‑2‑ 1 5‑4‑ 3‑ 2‑ 1

重視 しない重視 しない

‑0.

‑1

. 6 1 0 9

強化 ,立 地 条 件 の よい場所 に移 転 ,営 業 時 間 の延 長 ,廉 価 販 売 の促 進 な どと関連性 が高 く,業種 , 価 格 ,サ ー ビス ,お よび立 地 に おけ る転 換 を あ らわ す 国子 で あ る こ とか ら ,価 格 ・サ ー ビス ・業 種 ・立 地 転 換 因子 で あ る とい え る。経 営 成 果 の規 定 因 を分析 す る さい に と りあげ る戦 略 は ,以上 の 情 報 化 戦 略 ,業 態 転 換 戦 略 ,お よび価 格 ・サ ー ビス ・業 種 ・立 地 転 換 戦 略 の

3

つ の戦 略 タイ プで あ

る。

経 営特 質

経 営特 質 は小 売 商 の経 営 戦 略 と経 営成 果 を 関連 づ け る主体 的条 件 で あ る。 ここで検 討 され る経 営 特 質 に は大 き くわ け て

2

つ の側 面 が あ る

。 1

つ は経 営 形 態 にか か わ る‑ ー ド面 の特 質 で あ り, も う

1つ は経 営 者 意識 に関す る ソフ ト面 の特 質 で あ る。

‑ ‑ ド面 の経 営 特 質 を測 定 す る指 標 と して選 ばれ た の は ,表

5

に示 す よ うな1

2

種 の変 数 で あ り, いず れ も小売 商 の経 営特 質 を物 理 的 に特 徴 づ け る もの で あ る。 ノ、‑ ド面 の経 営 特 質 の タイ プを 明 ら か にす るた め に ,経 営特 質 変 数 の 因子 分析 を お こな った。 表

6

に み られ る よ うに 固有 値 1以上 の

3

つ の 因子 が 抽 出 され , これ ら

3

つ の 因子 に よって経 営 特 質 変 数 の総 分 散 の

51. 9 %

が要 約 され て い

(5)

4

経営戦略変数の因子分析

( N‑1 4 0 )

数 ̲ 国子 Ⅰ 因子

国子 Ⅲ 共通性(h2)

S1.

有名メーカーの系列に参加

0. 41 8 0. 5 2 9* ‑0. 0 8 2 0. 4 61 S2

.フランチャイズ .チェーンに加盟

0, 1 9 9 0. 7 9 6

*

0. 0 8 0 0. 6 8 0 S4.コンビニエンス .ス ト7‑の転換 ‑0. 0 2 0 0. 6 3 5 * 0. 3 6 7 0. 5 3 9 S5.

セルフサービス方式の採用

0. 0 31 0. 4 8 9 0. 4 3 5 0. 4 2 9 S6.クレジットカー ドの採用 0. 6 4 5 * 0. 0 8 3 0. 21 1 0. 4 6 7 S7.POSシステムの導入 0. 7 2 0

*

0. 1 7 4 0. 2 8 8 0. 6 31 S8

.受発注オンライン

( EOS)の採用 0. 7 0 6

*

0. 21 7 0. 2 5 3 0, 6 0 9 S9.

顧客データのコンピュータ管理

0. 8 2 8* 0. 1 01 0. 2 4 5 0. 7 5 6 S1 0.ダイレク トメールによるお客様への案内 0. 7 4 7 * 0. 0 4 0 0. 1 9 6 0. 5 9 8 Sl l.

商品 .市場情報をコンピュータで収集

0. 6 6 7 * 0. 1 3 5 0. 4 0 2 0. 6 2 5 S1 2.

現店舗の改装

0. 4 2 5 0. 1 6 9 0. 3 8 8 0. 3 5 9 S1 3.

現店舗の売場面積の拡大

0. 2 4 6 0. 2 8 2 0. 41 8 0. 31 5 S1 4

.立地条件のよい場所に移転

0. 1 6 5 0. 3 3 6 0. 5 7 6 * 0. 4 71 S1 5.

新たに店舗を増やす

0. 4 0 3 0. 2 7 4 0. 3 7 0 0. 3 7 5 S1 6.

商品の種類を絞 り専門化

0. 4 6 7 0. 0 3 5 0, 2 3 5 0. 2 7 4 S1 7.

高級品中心の品揃え

0. 3 2 5 0. 1 5 0 0. 2 81 0. 2 0 7 S1 8.

大衆品 .安価品中心の品揃え

0. 3 31 0. 0 2 7 0. 4 5 4 0. 31 7 S1 9.

商品の種類を拡大 (多様化)

0. 31 1 0. 1 4 6 0. 41 4 0. 2 8 9 S2 0.

廉価販売の促進

0. 2 4 2 0. 0 4 9 0. 5 0 6 * 0. 31 7 S21

.商品の種類をまった く変える (業種転換)

0. 0 6 7 0. 1 9 3 0. 5 9 5* 0. 3 9 5 S2 2.

御用聞き .無料配達等のサービス強化

0. 2 5 2 0. 0 2 9 0. 5 7 9

*

0. 3 9 9

S2 S2 3. 4.

営業時間の延長飲食店 .サービス業など小売店以外の業種の営業も加える

‑0. 0. 2 01 7 2 7 0. 0. 0 1 2 6 2 7 0. 0. 5 7 6 0 7 9 * * 0. 0. 3 5 9 31 6 S2 5.

廃業する

‑0. 3 7 2 ‑0. 0 7 8 0. 1 2 7 0. 1 61

4. 6 6 4 2. 8 0 4 3. 91 6

率 (%)

1 8. 7

l

l. 2 1 5. 7

注 :*は因子の解釈に用いた変数O る。

因子 Iは ,年 間売上乱 経営範織 ,後継者所有 ,本店 ・支 店 ,お よび売 場 面 積 と強 い相 関 が あ る。 この因子 につ いて プラスの高 い因子得点を もつ小売商は ,法人 の本店 であ り,店舗 の年 間売上 高や売場面積 が大 き く,後継者 がい る傾 向が強 い. したが って , この因子 は企業性 を あ らわす 因子 であ る といえ よ う。 因子 Ⅰに高 い因子負荷量 を もつ のは ,建物所有 ,土地所有 ,営業年数 ,お よび 経営者年数 であ る。 この国子 に プ ラスの高い国子得点 を もつ小売商 は ,経営者年齢 が高 く,営業年 数 も長 く,土地 ・建物 を所有 してい る傾 向が強 い。 この ことか ら,国子 Ⅱを老舗性 因子 とよぶ こと がで き よ う。 因子 Ⅲは ,常時従業者数 とパ ー ト従業者数 と関連 してお り,店舗 の人的規模 をあ らわ す 因子 で ある。 この因子 に高 い因子得点を もつ ほ ど,従業者規模 は大 き くな る。 この うち ,経営成 果 との関連 を分析す るさいに と りあげ る因子 は企業性 と老舗性 である。 その理 由は ,これ ら

2

つ の 因子が いずれ も‑ ‑ ド面 の経営特質変数 を ヨ リ多 く要約 してい る ことと,概念的に ヨ リ重要 であ る と考 え られ るためであ る。

小売商 の経営行動 におけ る経営者意識 の重要性 につ いては ,これ までのい くつか の研究で指摘 さ れ てい る3'。 ここでは小売商 の経営者意識 を経営特質 の ソフ ト面 として分析す る。

8 1 ‑

(6)

5

経営特質の測定尺度 Ⅰ (経営形惹)

M

1.経営組織 1.個人

2.

法人

M 2.

経営者性別 1.女性

2.

男性

M 3.

経営者年齢 1

.2 0

歳未満

2.2 0

3.3 0

4.4 0

5.5 0

6.6 0

歳以上

M 4.

常時従業者数 実数

M 5.

パ ー ト従業者数 実数

M 6.

年間売上高

1.1, 0 0 0

万 円未満

2.1, 0 0 0 ‑3, 0 0 0

万 円未満

3.3, 0 0 0 ‑5, 0 0 0

万 円未満

4.5, 0 0 0 ‑ 1

億 円未満

5. 1

億 円以上

M 7.

売場面積

1.5 0

m2未満

2.5 0 ‑1 0 0

rri未満

3.1 0 0 ‑2 0 0

rli未満

4.2 0 0 ‑5 0 0

Ti未満

5.5 0 0

Hi以上

M 8.

本店 .支店

1

.単独店 (支店を もたない)

2.

支店

3.

本店

M 9

,営業年数 1

.5

年未満

2.5‑1 0

年未満

3.1 0 ‑2 0

年未満

4.2 0 ‑3 0

年未満

5.3 0

年以上

M1 0.

土地所有 1.借地

2.

自己所有

Ml l

.建物所有

1

.借家

2.

自己所有

6

経営特質変数の国子分析 Ⅰ (経営形態)

因子

因子

因子 共通性 (h2)

M

1.経営観織

0. 6 5 2

*

0. 0 7 6 0. 0 2 2 0. 4 31 M 2.

経営者性別

0. 1 4 9 0. 0 9 0 0. 0 41 0. 0 3 2 M 3.

経営者年齢

‑0. 31 0 0. 4 5 2 * ‑0. 0 2 5 0. S ol M 4.

常時従業者数

0. 3 21 0. 01 8 0. 9 5 0 * 1. 0 0 0 M 5.

パ ー ト従業者数

0. 0 6 6 ‑0. 1 01 0. 81 1 * 0, 6 7 2 M 6.

年間売上高

0. 8 7 4 * ‑0. 0 3 2 0. 1 0 5 0. 7 7 6 M 7.

売場面標

0. 4 7 7 * ‑0. 0 4 0 0. 3 2 7 0. 3 3 7 M 8.

本店 .支店

0. 51 3 * ‑0. 1 6 5 0. 0 9 7 0. 3 0 0 M 9.

営業年数

‑0. 01 1 0. 7 6 3 * ‑0. 01 2 0. 5 8 3 M1 0.

土地所有

0. 1 4 3 0. 7 81 * ‑0. 0 4 6 0. 6 3 2 Ml l

.建物所有

0. 1 71 0. 8 9 3

*

‑0. 0 71 0. 8 3 2 M1 2.

後継者所有

0. 5 2 4 * 0. 1 8 4 0. 1 1 1 0. 3 21

2. 2 2 9 2. 2 81 1. 71 0

率 (%)

1 8. 6 1 9. 0 1 4. 3

荏 :*は国子の解釈に用いた変数。

3)

た とえば,田村正紀

( 1 9 8

1),前掲書

,2 3 5 ‑256

ペ ー ジ ;野 口智雄 ,前掲書

,1 79‑1 98

ペ ー ジ ;石井淳蔵

( 1 989),

小売商業 に おけ る企 業家行動 の条件

『組織科学』

,Vo l . 22,N o . 4,26134

ペ ー ジ :小川進

( 1 9 9 2 a)

,小売商 の企業家行動 と成長機会

『国民経済雑誌』第

1 6 5

巻第 1号

, 71 ‑ 9 4

ページ ;同

( 1 9 9 2 b)

,

流通企業成長 と経営者

神戸大学経営学部研究年報』第

3 8

,2 2 5 ‑ 2 5 7

ページ ;近藤公彦

( 1 9 9 4 ),

小売 業におけ る ミクロ行動 と組織間関係

『岡山商大論叢』,第

3 0

巻第

2

,21 5 ‑ 2 3 4

ページ,を参照せ よ。

‑8 2

(7)

7

経営特質の測定尺度 Ⅱ (経営者意識)

蓋 霊 宝き ≡ 嘉ま や ど苦い や

E 1

.生業志向 今の商売は生活が維持できる程度の収入があれば十分である

5‑4‑3‑2‑ 1

E2.

地元志向

E3.

同族志向 これからもずつとこの場所だけでこの商売を続けていくつも

5‑4‑3‑2‑ 1 5‑4‑3‑2‑ 1

りである

今の商売は子供につがせるつもりである

E4.

資本家志向

E5

.成長志向

E6

.革新志向 従業員を雇用 した り店舗を大きくした りして商売を拡大 した

5‑4‑3‑2‑ 1 5‑4‑3‑2‑ 1 5‑4‑3‑2‑ 1

し、

店から得た利益はできるだけ商売のために再投資するように 心がけている

新 しい商売のや り方について絶えず研究 している

蓑 8

経営者意識のスコア平均

( N‑1 4 0 )

スコア平均

E1.生業志向 ‑0. 4 6 E2

ー地元志向

‑0. 0 3 E3.同族志向 ‑0. 3 6 E4.

資本家志向

0. 0 1 E5.

成長志向

0. 7 2 E6.

革新志向

0. 7 4

田村

( 1 9 8

1) は既存研究 の レビューか ら,企業家精神 を多 元的な経営者意識 か らな る複合概念 と と らえ て い る4)。 こ こ では 田村 の研究 を踏 まえて ,小売商 の もつ さまざまな経営者 意識 を表

7

に示す よ うな

7

種 の変数か らと りあつか うことに す る。小売商 の企業家精神 を創造的な環境適応 の資質 ・能力 と定義すれば

,7

種 の経営者意識 の うち ,生業志 向,地元志 向 ,お よび同族志 向は企業家精神 とは異質 な経営者意識 であ

り,非企業家精神 ともよび うるものである。

小売商 の経営者意識 の実態 をみ るために ,そ のス コア平均 を算 出 した。そ の結果 は表

8

に示 され てい る。 プ ラスのス コ アを とってい るのは ,草新志 向

( 0. 7 4 )

,成長志 向

( 0. 72)

,危険負担志 向

( 0. 1 4)

,お よび資本家志

( 0. 0

1)であ り,これに対 してマイナスのス コアを とってい るのは ,生業志 向

( ‑0. 46)

,同族志 向 (

‑0. 36 )

,お よび地元志 向 (

‑0. 0

3)である。総 じて非生業 ,非 同族 ,非地元志 向が強 く,小売 商 の経営者意識 は企業家精神 的要素が強 い といえ る。

7

種 の経営者意識 の構造 を明 らか にす るために ,因子分析 をお こな った。

蓑 9

はその結果 を示 し た ものである。抽 出 された固有値

1

以上 の因子 は

2

つであ った。 この

2

つ の国子 に よって経営者意 識 の総分散 の52.

5%が要約 され てい る。 因子 Ⅰは ,革新志 向,資本家志 向 ,危険負担志 向,成長志

向 とプラスの高 い相 関が あ り,逆 に企業家精神 とは もっとも対立す る意識 である生業志 向 とはマイ ナスの相 関が ある。 したが って , この国子 は全体 と して小売商 の企業家精神度 を総合的にあ らわす 企業家精神 因子であ るといえ る. 因子 Ⅱは ,地元志 向のみに プ ラスの高 い相 関を もつ地元志 向因子

4)

企 業 家 精 神 概 念 に つ い て は , た と え ば J.

A. Shumpe r t e r ( 1 9 2 6 ) ,The o r i e de r wi r t s c haf t l i c he n Ent wi c k l un g ,2 .Auf l . ,Dunc ke r

&

Humbo

lt(塩野谷祐一 ・中山伊知郎 ・東畑精一訳

( 1 9 8 0 )

,経済発展の 理論』岩波 書 店 ) :

I . M. Ki r z ne r( 1 9 7 3 ) ,Co mpe t i t i o nandEnt r e pr e n e ur s hi p,Uni ve r s i t y o fChi c a go Pr e s s(

田島義博監訳

( 1 9 8 5 ) ,

競争と企業家精神』千倉書房) ;

P. H. Wi l ke n( 1 9 7 9 ) , Ent r e Pr e n e ur s hi p. ' A Co mpar at i v ean dHi s t o r i c alSt udy,Al e xPubl i s hi ng,pp. 5 6 ‑ 7 5;M. Ca s s o n( 1 9 8 2 ) ,TheEnt r e pr e ne ur

,

Ma r t i nRo be r t s o n;P. F. Dr uc ke r ( 1 9 8 5 ) ,I nno vat i o nandEnt r e pr e n e ur s hi p,Ha r pe r

&

Ro w

(小林宏治監訳

( 1 9 8 5 ) ,

イノベーションと企業家精神』ダイヤモン ド社),などを参照せよ。

‑8 3

(8)

9 経営特質変数の因子分析

(経営者意識)

( N‑1 4 0 )

因子1 因子

共通性

( hZ ) E1

.生業志向

‑0. 4 0 3 0. 3 9 5 0. 3 1 8 E2.

地元志向

‑0. 0 0 6 1 . 0 0 5 * 1 , 0 0 0 E3

,同族志向

0. 3 9 4 0. 1 4 4 0. 1 7 6 E4.

資本家志向

0. 6 9 9 * ‥0. 2 5 0 0. 5 5 1 E5.

成長志向

0, 6 7 6 * ‑0. 0 2 0 0. 4 5 7 E6.

草新志向

0. 7 6 1 * ‑0. 2 2 8 0. 6 3 2 E7.

危険負担志向

0. 6 8 6 * ‑0. 2 5 1 0. 5 3 3

2. 3 1 3 1 . 3 6 4

( %) 3 3. 0 1 9. 5

注 :*は因子の解釈に用いた変数。

1 0

市場環境変数の測定尺度

非 や ど や 非

ちい

らえ

とな に や もい や

E

1.立地条件は 良 くなっている

5‑4 ‑3

2 1 悪 くなっている

E2

,同業他店 との価格競争は 緩やかになっている 5 ‑ 4‑ 3‑ 2‑ 1 激 しくなっている

E3

.同業他店 とのサービス競争は 緩やかになっている 5

‑4‑3‑2

‑ 1 激 しくなっている

E4.

大型店 との競争は 緩やかになっている 5‑ 4‑ 3 21 激 しくなっている

E5

,商品(または原材料)の仕入原価は 低下 している

5‑4‑3

‑ 2 ‑ 1 上昇 している

E6.

人件費は 減少 している

5

4‑ 3‑ 2

1 増加 している

E7.

その他の常葉経費は 減少 している

5‑4‑3‑2‑1

増加 している

で あ る。 この うち ,国子 Ⅰを経 営 成 果 の規 定 国 を分析 す る さい の主 体 的条 件 と して用 い る こ とにす る。 因子 Ⅰが小 売 商 の企 業 家精 神 度 を ヨ リ集 約 的 に あ らわ す 国子 で あ る こ とが そ の理 由で あ る。

市場 環 境

小 売 商 を と りま く市 場 環 境 を測 定 す るた め に用 い られ た のは ,

蓑1 0

に示 す よ うな

8

種 の変 数 で あ る。

近 年 の景 気後 退 の なか で ,小売 商 は どの よ うな市 場 環 境 に直面 して い るの で あ ろ うか。表 11は表

1 0

の市 場 環 境 変 数 の測 定 尺 度 を ス コア化 し,そ の平 均 を算 出 した結 果 で あ る。 す べ て の環 境変 数 に お い て マ イ ナ ス の ス コアを とって お り,小 売 商 が厳 しい市 場 環 境 に おかれ て い る こ とがわ か る。 と くに立 地 条 件 (

‑0. 6 6 )

,同業 他 店 との価 格 競 争 (

‑0. 5 6 )

,大型 店 との競争 (

‑0. 4 9 )

,同業 他 店 と のサ ー ビス競 争 (

‑0. 4 7 )

な どは大 き くマ イ ナ ス方 向に ふれ て お り,立 地 条 件 の悪化 と店 舗 間競 争 の激 化 を物 語 って い る。

8

種 の市 場 環 境 変 数 を集 約 す る次 元 を探 るた め に 因子 分析 を お こな った。 そ の結 果 は表

1 2

に示 さ れ る とお りで あ る。 因子 分析 に よ って抽 出 され た 固有値

1

以上 の 因子 は

2

つ で あ る。 この

2

つ の 因 子 に よって市 場 環 境 変 数 の総 分散 の

4 8. 2 %

が説 明 され て い る。 国子 Ⅰは ,同業 他 店 とのサ ー ビス競

‑8 4 ‑

(9)

11市場環境のスコア平均

スコア平均

E 1

.立地条件

‑0. 6 6 E2.同業他店との価格競争 ‑0. 5 6 E3.

同業他店とのサービス競争

‑0. 4 7 E4.

大型店との競争

‑0. 4 9 E5.

商品 (または原材料)の仕入原価

‑0. l l

E6.

人件費

‑0. 3 5

E7.

その他の営業経費

‑0. 3 2

12 市場環境変数の因子分析

因子 因子

共通性

(h2 )

E 1

.立地条件

0. 4 2 3 0. 1 3 7 0. 1 9 7 E2

,同業他店 との価格競争

0. 8 9 5

*

‑0. 0 20 0. 8 01 E 3.同業他店 とのサービス競争 0. 9 6 0 * 0. 0 41 0. 9 2 3 E4.

大型店との競争

0. 8 0 6* 0. 1 5 8 0. 6 7 4 E5.

商品 (または原材料)の仕入原価

‑0. 0 0 5 0. 4 7 7 0. 2 2 8 E6

.人件費

0. 1 5 5 0. 5 0 2* 0. 2 7 6 E7

.その他の営業経費

0̲ 1 8 2 0. 7 6 5* 0. 61 8 E8.

金利負担

0. 0 0 3 0. 3 7 5 0. 1 41

2. 6 0 7 1. 2 51

率 (%)

3 2. 6 1 5. 6

*は因子の解釈に用いた変数。

争 と価格競争 ,お よび大型店 との競争 と強 い相 関が あ り,店舗 間競争 の激 しさを示す 因子 で ある。

この国子 を競争性 国子 とよぶ ことに しよ う。 この因子 につ いてマイナスの国子得点 を もつ小売商 ほ ど,激 しい競争環鄭 こあ るといえ る。 因子 Ⅱは ,そ の他 の営業経費 お よび人件費 との関連 が強 く, 費用性 をあ らわす 国子 であ る。 この因子 につ いてマイナスの因子得 点を もつ小売商は高 い費用構造 を もってい る。経営成果 の規定 因を実証す るさいに用 い る市場環境変数 は , この競争性 因子 と費用 性 因子 である。

経営成果 の規定 困

経営成果 ,経営戦略 ,経営特質 ,お よび市場環境それぞれ の変数 ブ ロックにおけ る次元 を因子分 析 に よ り明 らかに して きた。 因子分析 に よって抽 出 された各変数 ブ ロックの次元を図

1

の条件適合 モデルに組 み込 めば ,実証すべ き分析 モデルは図

2

の よ うにあわ らす ことがで きる。 この分析 モデ ルは ,経営戦略 が総合的経営成果 にお よぼす影響 が ,経営特質 におけ る企業性 ,老舗性 お よび企業 家精神度 ,市場環境 におけ る競争性 お よび費用性 に依存す る ことを示 してい る。分析 モデルを実証 す るさいの操作 的定義 は表1

3

の とお りであ る。

小売商 の採用す る経営戦略が総合的経営成果 にお よぼす影響が条件 に よって どの よ うに異 な るか を実証 す るために用 い られた回帰 モデルは ,つ ぎの よ うに示 され る。

‑8 5

(10)

2

小売戦時 と経営成果の条件適合モデル (分析モデル)

13 分析モデルにおける変数 とその定義

Y

総合的経営成果

2

の困子 Ⅰについての国子得点

1 情報化戦略

4

の因子 Ⅰについての因子得点

Ⅹ2 業態転換戦略

4

の田子 Ⅱについての因子得点

Ⅹ3

価格 .サー ビス .業種 .立地転換戦略

衰 4

の国子 Ⅲについての国子得点

Ⅹ4 企業性

6

の因子 Ⅰについての因子得点

Ⅹ5 老舗性

6

の因子 Ⅱについての因子得点

Ⅹ6 企業家精神度

9

の国子 Ⅰにつ いての国子得点

Ⅹ, 競争性 表1

2

の国子 Ⅰについての国子得点

Ⅹ8 費用性 表1

2

の因子 Ⅱについての因子得点

D

l 企業性 ダ ミー

1 ‑

Ⅹ4

≧0,0‑

4 <0

I)2 老舗性 ダ ミー

1 ‑

Ⅹ5

≧0,0‑Ⅹ5 <0 D3

企業家精神度 ダ ミー

1 ‑

Ⅹ6

≧0,0‑

6 <0 D

4 競争性 ダ ミー

1 ‑

ⅩT

≧0,0‑

7 <0 D5

費用性 ダ ミー

1 ‑

Ⅹ8

≧0,0‑

8 <0

Y

‑ a

o+all )1+a2D2

a3D3+a4D4+a5D5

+blXl+b2DIXl+b3D2Ⅹ

1

+b4D3Ⅹ1+b5D4Ⅹ1+b6D5Ⅹ1 +b

7

Ⅹ2+b

8

DIXZ+b

9

D2Ⅹ2+bl OI )3Ⅹ2+bl l D4Ⅹ2+b1 2D5Ⅹ2 +b. ,Ⅹ3+bl 。DIX。+b1 5I )2Ⅹ3+b1 6Ⅰ )3Ⅹ3+b1 7 Ⅰ ) 4Ⅹ3+b1 8I )5Ⅹ3

しか し, この 回 帰 モ デ ル に よる推 定 結 果 は 良好 な もの で は な か った 。 そ こで , この モ デ ル に含 ま れ る変 数 か らt検 定 量 の低 い変 数 や 従 属 変 数 との相 関 の低 い変 数 を の ぞ きな が ら ,最 良 の モ デ ル を 探 った 。 得 られ た 最 終 的 な 回 帰 モ デ ル は つ ぎの よ うな もの で あ る。

(11)

14 総合的経営成果の条件状態別推定結果

( N‑1 4 0 )

条 件 状 態 l 回 帰

カテ ゴ リー jダ ミーt:業家精神度 既争 陸タ 、‑ 費用 性タ 、‑ 情報化戦略 業態転換戦略

D

3

D 4 I )5 Ⅹ1 Ⅹ2

1

1

1

‑0. 0 8 8 ‑0. 0 1 6 0. 0. 0. 0. 1 1 1 1 3 3 3 3 3 3 3 3

Ⅱ 1 1 0 ‑0. 2 4 7 0. 1 7 7

1 0

1

‑0. 3 2 8 ‑0. 0 1 6

1 0 0 ‑0. 4 8 7 0. 1 7 7

0

1 1

‑0. 3 2 7 ‑0, 0 1 6

0 1 0 ‑0. 4 8 6 0. 1 7 7

0 0

1

‑0. 5 6 7 ‑0. 0 1 6

Yニー0. 726+0. 239

]⊃ 3

+0. 240D

4

+0. 1 5 9D5 +0. 1 77

Ⅹ 1

( 2. 6 45 )a ( 3. 001 )8 ( 2. 0 21 )b ( 1. 461 )C

‑0. 1 9 3Ⅰ )5Ⅹ1+0. 1 3 3D5 ⅩZ

(‑1.

747 )C

(

1̲ 6 87 )c

N‑1 40,

哀 2

‑0. 1 7 4

ただ し

,N

はサ ンプル数

,

豆 2は 自由度調整済決定係数 ,回帰係数の下の カ ッコ内数字はt検定量 , その右の a,b,Cは有意水準で, a‑ 1%水準

,b‑ 5%水準, C‑1 0 %水準である。表1 4

は こ の回帰モデルをそれぞれの条件状態 ごとに整理 した ものである。

回帰モデルに導入 された戦略 タイプは情報化戦略 と業態転 換戦略 の

2

つ で あ り,価 格 ・サ ー ビ ス ・業種 ・立地転換戦略 は導入 されていない。 これは情報化戦略 と業態転換戦略が何 らかのかたち で総合的経営成果に明確な影響をお よぼ しているのに対 し,価格 ・サ ー ビス ・業種 ・立地転換戦略 はそ うではない ことを意味 している。

2

つの戦略 タイプを所与 として条件状態 の影響をみ ると,企業家精神度が高いほ ど小売商の総合 的経営成果 は高 くな る憤 向がある。小売商の企業家精神を環境変化に適応す るための主体的行動を 支える基盤 と考 えるな らば ,その重要性 は きわめて高い といわなければな らない。 また競争性が低 いほ ど総合的経営成果は高 くな る。 この ことは,小売業 におけ る店舗間競争が緩やかであるほ ど過 当競争か ら回避 され ,総合的経営成果が改善 され ることを示唆 している。 さらに競争性 と同様 に, 費用性が低 いほ ど総合的経営成果は高 くなる。近年 の景気後退期において大型店 の高い費用構造が その経営成果を圧迫す る大 きな要因 とな っていることが指摘 されているが ,これ と同 じことが中小 小売商について もいえそ うである。

それぞれ の戦略 タイプが総合的経営成果にお よはす影響は ,経 営特 質 お よび市 場環 境 の条件 に よって異な って くる。

第 1に,情報化戦略 の総合的経営成果に対す る影響は費用性 の水準に よってまった く反対に作用 す る。費用性 の高い小売商が情報化戦略を重視す ると総合的経営成果は高 くなるのに対 し,費用性 の低い小売商が情報化戟略を重視す ると総合的経営成果 は低下す る。情報化戦略は小売経営 の効率 化をめざ した ものであるため ,費用性 の高い小売商が この戦略を重視すれば ,経営の効率が向上 し 総合的経営成果を改善す ることがで きる。 しか し,他方で情報化戦略の採用 とその継続的遂行には 常時一定 の投資 を必要 とす る。すでに低費用 の小売経営を達成 した小売 商 に とって情 報化 戦略 の

‑8 7‑

(12)

い っそ うの重視 は過度 の費用負担 につなが り,総合的経営成果 を圧迫す る ことにな るのか も しれ な い。小売経営 の効率化 の観点か ら情報化戦略 の有用性 が指摘 され る ことが多 いが ,この戦略 は費用 性 の高低 に よって総合的経営成果 に対 して正反対 の影響 をお よぼす こ とに注 意 しな け れ ば な らな い 。

2に ,業態転換戦略 が明確 に総合的経営成果 を高め るのは ,費用性 が低 い場合 のみである。業 態転換 は ,他 の

2

つ の戦略 に比べ て既存 の経営資源 の転用 が も っ と も困難 な戦 略 で あ る。 このた め ,す でに低費用構造 を もつ小売商 でなけれ ば業態転換戦略 の重視 は費用 を さらに増大 させ ,そ の 結果 として総合的経営成果 を低下 させ る ことにな る。情報化戦略 と同様 に ,業態転換戦略 もまた中 小小売商 の近代化政策 の

1

つ として推進 され る ことが多 いが ,費用性 の低 い小売商が採用 しては じ めて この戦略 は総合的経営成果 を改善す る ことにつ なが る。

Ⅳ むす び

小売商 の経 営戦略 が経営成果 とどの よ うにむす びつ いてい るかを経営特質 と市場環境 との関連 に おいて分析 して きた。 この研究 で明 らかにな った もっとも重要 な ことは,小売成果 を改善す る唯一 最善 の経営戦略 は存在 しない とい う点 であ る。 この研究 で用 いた条件適合 アプ ローチは ,小売商 の 経営成果 を改善す る経営戦略 は経営特質 と市場環境 に依存す ることを示 してい る。

中小小売商 の近代化 にむけた さまざまな政策 が とられてい るが ,そ うした政策 のなかで しば しば 重視 され る小売戦略 は小売商がおかれてい る条件 に よって ま った く正反対 に作用す る ことがあ る。

そ うであ るとすれば ,条件状態 を考慮せず に一般 的な経営戦略 の採用 を政策的に誘導す ることは , かえ って小売商 の経営成果 を低下 させ ることにつ なが りかね ない。小売成果 を改善す る唯一最善 の 経営戦略 が存在 しない とすれ ば ,個 々の小売商が もつ経営特質 とそれを と りま く市場環境 を十分に 分析 し,それ に適合 した経営戦略 を採用 しなければな らないのである。

参考文献

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図 1 小売戦略と経営成果の条件適合モデル ( 概念モデル) 鮒芦 巨 [ 車 重可 享 &gt; 回 巨 益 出所 :田村正 妃 ( 1 9 8 1 ), 『 大型店 問題』千倉書房 ,2 3 7 ペ ー ジ,図 9
表 2 経営成果変数の因子分析 変 数 因子 Ⅰ 共通性(h2 ) P1.客数 0. 81 7 0. 6 6 7 P2. 客単価 0. 5 9 0 0. 3 4 8 P3
表 4 経営戦略変数の因子分析 ( N‑1 4 0 ) 変 数 ̲ 国子 Ⅰ 因子 Ⅱ 国子 Ⅲ 共通性(h2 ) S1. 有名メーカーの系列に参加 0. 41 8 0. 5 2 9* ‑0
表 5 経営特質の測定尺度 Ⅰ ( 経営形惹) 変 数 質 問 項 目 M 1.経営組織 1.個人 2. 法人 M 2. 経営者性別 1.女性 2. 男性 M 3. 経営者年齢 1 .2 0 歳未満 2.2 0 代 3.3 0 代 4.4 0 代 5.5 0 代 6.6 0 歳以上 M 4
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