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学 位 論 文 内 容 の 要 旨
論 文 提 出 者 長谷川 智哉
論 文 審 査 委 員
(主 査)朝日大学歯学部 教授 吉田 隆一
(副 査)朝日大学歯学部 教授 近藤 信夫
(副 査)朝日大学歯学部 教授 玉置 幸道 論 文 題 目
-TCP/Te-CP セメント覆髄薬の練和液の検討
論文内容の要旨
【目的】
う蝕の進行に伴い歯髄に細菌が侵入すると, 歯髄組織に破壊が起こり, ついには活性を失うこ とで根尖性歯周炎の発症や全身への影響も懸念される. また歯根破折を起こし易くなるなど, 歯 の長期保存のためにも歯髄の保存は重要である. 偶発的露髄の場合は受傷後短時間であれば, 直 接覆髄法により歯髄を保護し健康の回復, 維持が可能な場合がある. そのような症例では直接覆 髄薬として主に水酸化カルシウム(水酸化 Ca)製剤が用いられているが, これは強い抗菌性を有 し, 早期に被蓋硬組織を形成し治癒を促して露髄部の閉鎖をはかる反面, 強アルカリ性で歯髄刺 激が強く, 歯髄の広範囲な壊死を引き起こす可能性が指摘されている. このような背景から生体 親和性が高いと報告されているリン酸カルシウムを主成分とする-リン酸三カルシウム/リン酸 四カルシウム(-TCP/Te-CP)粉末を材料とし, 3種の練和液を用いて覆髄薬を試作し, その物理 化学的性質やラット露髄モデルへ応用し,
-TCP/Te-CP セメントが比較対照としたダイカル
®と同 等の象牙質誘導能をもつことが報告されている. そこで本研究では, 培養ヒト歯髄由来幹細胞 (hDPSC)を用いたin vitro
の評価とラット露髄モデルを用いたin vivo
の評価を行い, 覆髄薬と して応用する際の-TCP/Te-CP セメントに用いる練和液の最適化を試みた.【材料および方法】
1 -TCP/Te-CP セメントの作製
炭酸カルシウムと第二リン酸カルシウム二水塩をモル比 5:6 で機械混合したものを, 1500℃
で5時間加熱し, 得られた焼結塊を粉砕したものをセメント粉末とした. 練和液に1M リン酸二 水素ナトリウム水溶液を用いて粉/液(P/L)2.0 で練和したものをセメント A, 2M リン酸二水素ナ トリウム水溶液を用いて P/L 1.5 で練和したものをセメント B とし, 1M クエン酸の水溶液を用い て P/L 2.5 で練和したものをセメント C とした. 対照として水酸化 Ca 製剤であるダイカル®を用 いた.
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2. セメント浸漬培地の作製円筒形のアクリルリングに上記1のセメントを充填し, 充填直後に-MEM 培地に浸漬した. 上 清を 0.22 m のフィルターを通して滅菌した後, 牛胎仔血清(FBS)を加えて 10%FBS 含有培地とし た. セメント浸漬を行わない 10%FBS 含有-MEM で培養したものを対照(NC)とし, NC を用いてセメ ント浸漬培地を 1/2 ずつ段階的に希釈した.
3. セメント浸漬培地での hDPSC の動態解析
10%FBS 含有-MEM で培養した hDPSC を 96 ウェルプレートに 4000 個/ウェルの密度で播種し, 6 時間後に上記2で作製したセメント浸漬培地に交換した. そして 24 時間後に WST キットを用いて, hDPSC の増殖を評価した. 次に, 同様に培養して細胞毒性検出キットを用いて細胞から漏出した乳 酸脱水素酵素(LDH)活性を評価した. さらに, 3.5cm ガラスボトムディッシュで同様に hDPSC を培 養し, セメント浸漬培地に交換後 12 時間で固定してビンキュリン, アクチン線維の蛍光免疫染色 を行い, 細胞の形態を評価した.
4. ラット露髄モデルでの組織学的解析
ラット上顎第一臼歯露髄モデルを作製し, 4種の覆髄薬で覆髄後の組織を観察した.
【結果】
セメント A, B, C および水酸化 Ca 製剤のセメントを浸漬し段階希釈した培地の細胞毒性, hDPSC の増殖および形態に及ぼす影響について検討したところ, 細胞毒性評価では, セメント A, B, C 浸 漬培地では細胞毒性がほとんど認められず, NC と同等であった. 一方で, 水酸化 Ca 製剤浸漬培地 では 1/8 希釈培地まで濃度依存的に有意に細胞毒性が認められた. 細胞増殖評価では, セメント A, B, C 浸漬培地は NC と同等であったが, 水酸化 Ca 製剤浸漬培地で顕著に細胞増殖が抑制された.
細胞の形態評価では, セメント B における細胞が NC と同様の伸展した形態を示すのに対し, セメ ント A, C では伸展が小さく, 水酸化 Ca 製剤では丸く萎縮した細胞が観察された. さらに, カルセ イン, ヨウ化プロピジウム(PI)染色を行ったところ, NC とセメント B では PI 陽性細胞がほとんど みられないのに対し, セメント A, C では PI 陽性細胞が散見され, 水酸化 Ca 製剤ではカルセイン 陽性を示さない PI 陽性細胞もみられた. ラット露髄モデルを用いた組織学的解析では, 術後7日 目に TdT-mediated dUTP nick end labeling (TUNEL)法で歯髄細胞を評価したところ, TUNEL 陽性 細胞が水酸化 Ca 製剤の覆髄部で多数みられ、セメント A, C においても散見されたのに対し, セメ ント B ではほとんどみられなかった. また, 増殖細胞の有無を評価するため, 抗増殖細胞核抗原 (proliferation cell nuclear antigen (PCNA))抗体を用いて免疫染色を行ったところ, 水酸化 Ca 製剤で覆髄した組織では, PCNA 陽性細胞がほとんど認められなかったのに対し, セメント A, C で はわずかに認められ, セメント B では多数認められた.
【考察および結論】
本研究結果から,