レーマン「原価理論」についての一考察(二)
その他のタイトル Cost Theory of M.R. Lehmann (II)
著者 山上 達人
雑誌名 關西大學商學論集
巻 4
号 7‑8
ページ 600‑619
発行年 1960‑03‑30
URL http://hdl.handle.net/10112/00021738
︹I︺
第二章
原 価 概 念 の 規 定
レーマン
﹁原
価理
論﹂
われわれは︑前章において︑レーマン原価理論の理論的基底が︑彼の経営経済概念と経営経済価格
論にあることを知った°即ち︑﹁生産単位としての経営﹂が原価発生の基盤であり︑主観的な﹁経営経済
価格﹂の導入が原価認識の出発点であることを︑レーマンの所説に即してあとづけた︵本誌四巻五号︶︒
それでは︑個別経営活動の実践において如何なる原価が認識・分類され︑どのようにして捕捉さ
れるか︒レーマン原価理論の具体的内容についてみてみようーー︒
原価概念の規定と原価の分類
原価概念の規定にあたって︑レーマンは上位概念である費用
および給付概念から出発して︑費用は経営経済上経済過程の実
行に必要である凡ゆる種類の犠牲︵価値の費消︶であり︑給付 レーマソ﹁原価理論﹂についての一考察口
︵山
上︶
は経済的に到着したものすなわち価値の発生であると規定す
る︒ではこの費用概念から原価概念はどのようにして導き出さ
れるか︒先ず﹁原価計算論一版﹂の規定をみてみよう︒
﹁原価計算に関する概念は原価計算がかかわりをもつ諸問題
から生じてくるところの目的概念である︒このことはなかんず
2 く原価概念について妥当する︒﹂そして原価は﹁諸Mの財や諸M
についての
山
上
一 考 察 口
達
六四
人
レーマン﹁原価理論﹂についての一考察口
山︵
上︶
の価値の調達によって生ずる貨幣あるいは貨幣価値の支出では なく:・⁝むしろ経済活動によって惹起せらるるところの諸財や
筍
諸価値の消耗あるいは消費﹂である︒そして次に原価計算に おける原価概念と簿記における費用概念を区別して︑最後に
﹁原価を定義して一定の経営給付を仕上げるに必要な諸財ある
り
︑
いは諸価値の消耗なり﹂という︒費用と原価の区分は︑周知の
ように次の如く区別される(‑︱表︶︒すなわ 価 ち 原 価 は 基 本 原 価
1 ( 1
目的費用⁝経営の経済原¥//的目的活動により生ずるところの費用に照応
する原価構成分︶と付加原価︵それに照応す 価 価 原 原 才 別 る 費 用 構 成 分 を も た な い と こ ろ の 原 価 構 成 基 付
︱︱分︶からなる︒さて以上の費用と原価とはそ 表
の概念上の区別であったが︑レーマソは更に ー 用 用 ー 費 費 性 的 次 の よ う に い う
︒
﹁ こ の 両 概 念 の 間 に は 更 に 中
/ 目
\ 薄 記 お よ び 原 価 計 算 に お い て 相 異 な る 評 価 原 則が行われることによりもう︱つの区別が指
用費
摘される﹂︒すなわち﹁簿記はそれ自体のうち に既往計算の性質を帯びるものであるに反し︑原価計算は実際 上は︱つの現在計算とみなされるべきものである︒その結果︑
簿記が目的費用として記帳し︑原価計算が基本原価として記帳 するところの同一財の消耗額が相異なる価格によって計算され
G l るという可能性を生ずる﹂と述べ︑同一財の消耗は消耗分羅か らみれば同じであるが目的費用および基本原価算出の甚礎とな
レーマンは︑第四版において﹁⁝原価財費用に主観的に種々 の地位を与え得るということが考えられ⁝特にこの関係におい
て以下の費用およ
び成果の大きさの
クイプが区別され
8 る
﹂と
いっ
て︱
︱︱
表を示している︒
日原価計算的原価
および原価計算的
成果︑口経営収益
性計算のための費
用お
よび
成果
︑
曰簿記決算技術の
意味の費用および
成果︑四自己資本
12 表 成 果 計
1借 方
a)売上収益 b)凡ゆる種類の材料費 C)外部用役費 d)減価償却費
e)特別危険費(例:信用販売の)
f)共同社会牲(税及びその他公課)
労務費 g)賃金及び給料 h)営業者の計穿給料
利 子 費
j)他人資本の利子 4.6彩 k)他人資本の利子 1.4彩 l)自己資本の利子 4.6彩
一 般 危 険 費 m)総資本の利子 1.6彩 n)残 高
ハ 五
0 0 0 0
方3心貸
1 8 1 8 1 1 0 0 0 0 5 0 0 0 0 0 0 5 0 0 0 0 0 2 0 0 2 8 4 6 7 0 6 1 3 0 7 6 0 9 2 8 9 6 0
9 9 9 9 9 9 9 9 ,
1 8
ーー
算一
25 16 62 94 76
る価格からみれば必ずしも等しくないという︒つまり簿記と原 価計算においては評価原則が異なるのである︒このことは経 営経済価格の本質に根ざすものであり︑経営計算のためには原 価比較の基礎からも︑費用補償の立場からもそれに適当な価格 が求められるということである︒如何に経営取引活動の経済性 の測定と管理を合理的に行うことが出来るかという立場から︑
色々の原価財について種々の主観的価格が適用されるのであ る ︒
13 表 1を用
帰屈項目:
1. 特別経営費用 『)l特別減価償却 2. 財務費用,特別1入資本利子
付加項目:
1. 特別経営費用 a)原価財の評価変更
原価計募価値<簿記価値 b)収益財の評価変更
原価計算価値>簿記価値 2. 財務費用
投資収益の借記
勘 定 ク ラ ス 2
その他の費用及び収益 帰属項目:
1. 特別経営収益 (例)発明品の売上 2. 財務収益,投資からの特別収益
付加項目:
1. 特別経営収益 a)原価財の評価変更
原価計算価値>簿記価値 b)収益財の評価変更
原価計算価値<簿記価値 2. 財務収益
計算利子の特別貸記 収益
原価(+)
帰属項目:
凡ゆる種類の直接に簿記で把握された 原価
付加項目:
1. 原価にして同時に財務収益
(例) 計築利子
2. 原価にして同時に自己経営収益
(例) キリハの石炭消費:
3. 原価にして同時に外部桑営収益
(例) 外部修繕給付の請求権受入 4. 評価の変更にして同時に特別の経
営収益
原価計算価値>簿記価値
勘 定 ク ラ ス 4
正規の経営費用 原価(‑)
党上(‑) 売上(+)
勘 定 ク ラ ス 8
正規の経営収益 帰属項目:
凡ゆる種類の直接に簿記で把握された 売上
付加項目:
1. 売上にして同時に財務費用
(例) 投資収益の貸記 2. 売上にして同時に自己経営原価
(例) 自己消費に対する石炭要求 3. 売上にして同時に外部経営原価
(例) 他部門に対する修繕給付 4. 評価変更にして同時に特別経営費
用
原価計算価値>簿記価値
(注)
4. 評価の変更にして同時に特別経営 費用
原価計算価値<簿記価値
クラス 2••• 財務成果勘定 クラス 4••• 原価種類勘定
クラス 8••• 原価負担者に関する成果計窮勘定
収益性計算のための費用および成果︑国価値創造計算のための 前給付原価および価値創造︒今︑この表を参照しながらそれぞ れの特徴をみると簿記費用は︑⑮材料費@外部用役費⑭減 価 償 却 費
⑨ 特 別 危 険 費
① 共 同 体 費
⑤ 賃 金 給 料 お よ び 他 人
資本利子(.J•K)の合計、すなわち一〇八、五二五マルク、
>ーマン﹁原価理論﹂についての一考察口
︵山
上︶
したがって簿記上の成果は九︑四七五マルクである︒自己資本 収益性計算の場合には︑営業者の計算給料⑯が上記の簿記費用 にプラスされる︒したがって費用は一︱四︑五二五マルク︑成
果は一︱‑︑四七五マルク︒そこで原価計算的費用は︑⑮ー⑤項目
および伽の計算給料に︑三︑七︱
‑ 0
マルクすなわち①・①・⑩
項目︵①は自己資本利子︑
皿は一般危険費たる総資本利
子︶を加算したもので︑一︱
七 ︑
0四五マルク︑したがっ
て成果は九五五マルクとな
る︒次に経営収益性計算の場
合は︑⑮ー⑮項目すなわち︱
︱1 11︑三二五マルクが費用で
あり︑成果は四︑六七五マル
ク︒最後に価値創造計算にお
いては︑前給付原価は五〇ヽ000
マル
ク︵
⑮ー
個項
目︶
︑ 成果すなわち価値創造は六 八 ︑
000
マル
クと
なる
︒
さて︑このような主観的価
格としての特徴をもつ原価の
概念規定をレーマソに則して
整理すると次のようである︒
4. 評価変更にして同時に特別経営収 益
原価計算価値<簿記価値
六六
14 表 原価計算的費用及び原価計算的収益の区分
レーマン﹁原価理論﹂についての一考察口 売 上 計 算
経 営 、"A.. I 借 方 I
売上:計算額 1,460,000 原価計算的割引 36,000 経営"B,.のための修繕から
の収益
売 上 1,449,000 1,485,0001 1,485,000
経 営 B.. I 借 方 1 貸 方 売上:計算額 750,000 原価計算的割引 18,000 自己消費のための製造からの
収 益 40,000
売 上 772,000 790,0001 790,000
貸 方
25,000
︵山
上︶
総成果計算
1 借 方 ! 貸 方
経営"A,.の売上 1,449,000 経営 B,.の売上 772,000
信喜::合::ぢ誓g l,;ti:g!8
その他の費用及び収益の残高 107,860 総 利 益 130,550
2,328,860│ 2,328,860 経 営 経 済
その他の費用及び収益計算
1 借 方 1貸 方
企 業
売上の原価計算的割引 経営 A.. 経 営 B..
仕入の原価計算外割引 経営 A,.
経営"B.. 評価変更 2
経営"A.. 経営 B..
計算利子経営 A.. 経営"B..
経営設備の特別減価償却 発明品の特別売上 顕客の割 供給者の 有価証券及 惜 入 利 子 収 益 残 高
経 営 A.,
36,000 18,000, 10,000
5,000 20,000
23,000
│ 11,250:
50,000 38,000 20,860 5,000 7,500 19,750 18,000 107,860 195,1101盃
原 価 計 算
1 借 方
外部材料購入 原価計筑外割引 評価変更:
原価計罫価値<簿記価値
i
470,000 !
貸 方
10,000 20,000
一︑﹁原価計算の原価は︑製造単位としての産業経り営の領域に関する経営費用である︒
. .
.
したがって経
営外的費用あるいは財務費用は分離されねばならな
ぃ ︒ ﹂
︶ ︒ー二︑﹁⁝原価は正規の経営費用として把握される
﹂︒⁝すなわち経営事象の正常性が考えられねばなら
ず︑したがって特別費用は排除されねばならない︒
三︑﹁原価の下では完全な組織的経営費用を考え︶ ーるべきである﹂︒⁝すなわち計算給料・自己資本利
子・一般危険費・自己製品の自家消費を含む︒
四︑﹁原価計算においては簿記と異った評価が行わ
六七
経 営 B,.
外部材料購入 原価計算外割引 評価変更:
原価計算価値>簿記価値 自己材料消費
外部用役費 経営 A,,による修繕費 減価伯却費
危険費
拿費
総原価
67,000 45,000 15,000 665,000 115,000 38,000
1,425;000 1,455,0001 1,455,000
1借 方 i 貸 方
l 205,000 5,000 50,000 40,000 26,250 25,000 26,500 10,000 305,000 69,700 20,860
773,310 778,3101 778,310
れねばならず︑また原価計算的価値は簿記上の価値の上下に離︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑れ得る︒⁝すなわち原価計算の原価は︑原価計算のために標準と︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑︑ヽヽヽ1なる評価基準の下で計算された完全な正規の経営費用である﹂︒
︵傍
点筆
者︶
レーマソは︑以上のような原価を包括的具体的に示すために―――-•一四表を示して、特に「財務計算(広義)と経営計算(狭
義︶の分離に必要な項目である仕入の計算外割引項目と売上の
計算割引項目﹂の取扱いに注意している︵一四表参照︶︒すなわ
ち︑経営計算の場合には経営外的計算額としての割引控除のみ
ならず︑既に仕入・売上価格に含まれている割引の除去が必要
であるといっている︒表でみられるように︑原価計算たる経営
計算においては仕入価格に含まれている計算割引額はこれを除
去し︑また売上計算において売上価格に含まれている計算割引
額はこれを売上計算から控除し︑この両者をその他の損益計算
たる企業計算において逆に貸借記入を行って︑経営計算におい
ては純粋の製造単位たる経営において発生した経営費用の把握
を行っている︒この計算はレーマンが経営経済を生産領域と財
務領域の統一体であるとみる思考から︑この生産単位としての
経営に発生した価値の費消のみを原価として認識するものであ
る︒すなわち︑仕入の計算外割引と売上の計算割引項目を︑経
営
( 1 1
製造
︶計
算︵
狭義
︶と
企業
( 1 1
財務︶計算︵広義︶の分離の観点
から経営計算より排除して企業計算で行っているのであり︑生
産単位としての経営に発生したものを原価として認識し︑財務 レーマソ﹁原価理論﹂についての一考察口
︵山
上︶
12 11 10 9
単位としての企業に発生した費用︵財務費用︶を除去せんとする
ものである︒
注1
﹄^ K
a lk u
l at i
o n.'S.35.`
のこ
場合
レー
マン
は数
撒的
費用
概念
と価値的毀用概念およぴ数量的給付概念と価値的給付概念の区
分に
立っ
て製
造原
価計
算と
使用
収益
計算
に次
の等
式を
与え
てい
る ︒
活要昌
浬踪 塁喜 翌・
1 1塁
芸喜 ミ言 届︒
墜1
︐ 蕊
秀H言繭fき
H i走群
H '謎
:・ ー!
m醇 │途
即ち︑これらの原価計算の結果は︑給付羅の原価価格ないし費
用景の収益価格と︑収益財製造の経済性ないし原価財消費︵使
用︶
の経
済性
とい
う価
格︵
単な
る︶
およ
び経
済性
の大
きさ
をも
っ
もの
であ
る︒
("
a . a .
0 . "
SS. 35ー36)
2^^Kalkulation`•1.
Au
fl
S
.
65
.
﹁邦
訳﹂
六五
頁
3^
, K a
lk
ul
at
io
n"
1 .
A u f l
. S .
6
5.
﹁邦
訳﹂
六六
頁
4^
, K a
lk
ul
at
io
n"
1 .
A u f l
. S
.
66
.
﹁邦
訳﹂
六七
頁
5"
Ka
lk
ul
at
io
n"
1 .
f l A u
. S
S. 6869.—「邦訳」六九頁
6"
Ka
lk
ul
at
io
n"
1 .
A u f l
. S
.
69
.
﹁邦
訳﹂
九六
頁 7評価論については本稿本章四節︑組織論については
‑ ^K a
l ku l
a ti o
n "
4 .
A u
f l .
V II I
. 参照
︒
86
^K
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"
4 .
A u f l
S.
. 3
7.
^
,
Ka
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io
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S
S. 4 0
│ 41 .
^ ^K a
l ku l
a ti o
n "
S
.
4 1 .
"
Ka
kl
ul
at
io
n"
S
. 4 1 .
"
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at
io
n"
S
.
4 2 .
ハ八
レーマン﹁原価理論﹂についての一考察口
︹ 二 ︺
原 価 の 分 類 と 捕 捉
︵山
︶上
原価は生産単位としての経営において具体的にどのように区
分され捕捉されるか︒原価は︑原価種類・原価場所・原価負担
者に分類捕捉されるが︑ここでは特に原価種類から︑原価がど
のように区分されるかということを中心として考察しよう︒な
ぜならば原価の第一次的分類である原価種類への区分が︑原価
性の問題にとって重要であるからである︒ではレーマンの価値
概念ー物財の利用の相対的な評価による価値の認識ーが原価性
問題において︑どのように投影されているのであろうか︒
原価の区分観点は種々であるが︑原価種類による原価の区分
の第一としてレーマンは︑原価財費用の特性から原価を次の七 つの種類に区分する︒すなわち材料費︑労務費︑減価償却費︑
利子費︑外部用役費︑共同体費︑危険費゜
﹁材料費は材料︵原料・補助材料・経営材料︶の消費より生
が ︑
ずる凡ゆる原価の全体であり﹂︑外部支払材料費はもちろん︑
経営内製造材料も含み︑固体・流動・ガス状の如何を問わず︑
エネルギーの費消︵動カ・熱等︶も材料費とされる︒
﹁労務費が第二にあげられ︑労働給付に対して従業員に与え
られた補償の全体が原価種類として把握される︒﹂労務費に
は︑時間補償︵時間賃金・︑給料︶︑給付補償︵出来高賃金・プレ
ミアム・従業員手数料•利益配当・賞与等)が含まれ、特に計
算的給料︵独立企業者給付に対する原価計算的補償︶︑有給休暇
に対する費用︑社会的費用も属する︒
ハ九
﹁減価償却費は種々なる使用財・設備の利用ないし価値減少
心 ︑
により生ずる原価の全体である︒﹂物的設備価値および無形資 産価値の減価償却が含まれ︑また経営目的のための設備資産の みが対象となる︒技術的発展と売上市場の需要の変更予見から
生ずるものも顧慮される
(L
S0
)︒
﹁利子費は製造過程に入って来た資本に対する補償であり︑
借入資本に対する財務利子ではなく
(1
2.
13
.1
表参照︶︑⁝故4
に利子費としては只︑原価計算的に経営に必要な資本の計算利
子が
考察
され
る⁝
﹂︒
以上の原価種類は︑経営が四種の要素原価財ー材料・労働・
具体的使用財・資本利用ーをもって稼動することから生ずるも のであるが︑更に経営は外部から複合性格をもつ原価財を入手 する︒したがって次の二つの原価種類が生ずる︒
6
﹁外部用役費は外部経営用役の受入れによって生じ﹂また︑
﹁各々の経営は常に意識的ではなくとも︑全体︵国家的保護・
法的安全・経営者の予備教育︶の代理者としての国家の一般的 サービスを日常受入れ⁝⁝ここで経営に対していわゆる共同社
会費あるいは外部負担費が生ずる﹂︒これには全体が凡ゆる経営 に課した取引税・営業税・地税が属し︑また雇主負担の社会保 障額も含まれる︒
最後に﹁危険費は危険の引受に存在する経営の特別給付の補
8
償として把握される﹂︒危険費は経営において一種の自己保険 をかけ︑照応する引当をなすような危険の引受からの原価のみ
を包含する︵貸倒引当金・保証給付引当金等︶︒
原価種類への原価の第二の区分は︑責任帰属への原価の区分 でありかかる区分観点から︑山負担者別個別費②場所別個別 費③場所間接費が区分され︑最後に第一
1一の区分として︑計算 範囲︵製造および販売︶への所属性からの区分すなわち製造原 価とそれに照応する販売費の区分があげられる︒そして原価種
︐
類は︑次いで原価場所へ区分され︑最後に原価負担者︵最終給
15 a‑c表
a)原価種類による成果計算
原 価
材料の提供 26,000 一手持品増加 400 材料費 25,600 計算給料を含む労務費 減価償却費 利子挫(計舞利子)
外部用役挫 共同体牧 危険摯残 両
25,600 53,600 6,300 3,600 16,100 9,725 2,000 575 117,500
売 上
製品の提供 108,500 ー中間製品在裔の減少1,000 十 II II の増加10,000
売 上 117,5001117,500
117,500
b)原価場所による成果計算
原 価
帰屈製造原価 72,000
+中間製品在高の減少 1,000
‑ II II 増加 10,000 製造原価 63,000 販 売 費
管 理 費 残 高
売 上 製品の提供
63,ooo: 37,325 l
1:600! 575 108,500
108,500
108,500
レーマン﹁原価理論﹂についての一考察口
︵山
上︶
C)原価負担者になる成果計算
︑ ̀
付 I ゜︑
11
製品︶へ区分される︒︵以
上の
一二
つの
原価
区分
の原
理は
一︱
︱
種の経営成果計算に照応するー
一五
表
aIC
参照
︶︒
さて以上述べた原価の区分
を︑個別生産の原価計算の技術
的遂
行に
つい
てみ
ると
︑次
の一
︱︱
つの計算技術的部分領域が生ず
る︒すなわち︑レーマソは前述
の原価の捕捉・計算の実際的適
用としての︑原価計算の技術的
遂行を次のように述べる︒
⑱負担者個別費の分離と捕捉
I調達領域の負担者個別費⁝
山材
料費
:・
︵例
︶仕
入先
で計
算し
て来
た包
装費
︑②
労務
費・
・・
特に
貨車・船荷仕入の場合の荷下し賃金︑③減価償却費⁝直接に把 握された減少量︑④利子費:.仕入先への前払の際の利子ないし 原価計算的割引︑⑤外部用役費⁝仕入運賃・仕入手数料・分析 費・運送保険︑⑥共同体費:・注文者から支払者への税︑⑦危険
費:運送自家保険︒
T I 製造領域の負担者個別費:・ 山・・・製造材料・鋳型•特別工具の支払分、②…製造賃金·危険
原 価 製品グループA
製造原価 3, 7151 販 売 費 2,275 製品グループB
製造原価 40,700 販 売 費 28, 2801 68, 980 製品グループC
製造原価 21,585 販 売 費 11,370 残 高
5,990 売 上
製品グループA
II II B
II II C
0 0 0 0 5 5 0 2 2
9 .
6 0 2 7 3
32,955 575
108,500 108,500
七〇
16 表
注 文No.38の事前原価計算: R M
レーマン﹁原価理論﹂についての一考察口
製造材料費
材 料X 5, 775kg, 100kg当り 40RM 材料Y 550kg, 100kg当り 120RM 材料間接費
製造材料=2,970RMの4.5彩
手当︑③:特に例えば鉱山業の埋蔵量減耗費︑山⁝なし︑⑤:・
例えば労働者周旋人の謝礼・製造量の部分特許︑⑥:・例えば醸
造業の酒精専売税︑⑦:・製品保証給付による特別費゜
皿販
売領
域の
負担
者個
別費
・・
・ 田⁝包装材料︑②⁝包装賃金・顧客の場所へ据つけるための賃
金︑③・・なし︑④⁝原価計算割引︑固・:特に売上運賃・阪売手
352590~50 8
3 A 6
292921~80 7
1
る8
6 0 2 5 9 0 1 3 4 8 1 2 9 2 1
ー
40 50 90 53 .6 .̲ 2.
゜7
6 4 2 4 1
4
注文歴:600個 I R M I R M j
2,310 660 133. 65 3,103.6513, 103. 65
654 204. 80 1,798.50 272. 40 2,929. 7012,929. 70 総 材 料 費
製
製造場所C,請負
製造場所E, 256時間,時間当り0.80RM 製造間接費・
場所Cの賃金=654RMの275彩 11 E 11 =204. 80RMの133%
工場原価
︵山
上︶
製造原価 管理間接牲
製造原価=7,298.35RMの6̲6彩 販売間接費
注文に固定的:ー1 2
‑=製造原価1 7,298.35RMの6.4彩 2
管理販売間接費 特別費 II:
包装材料(製造材料と同様に計算)
包 装 賃 金 ( " 賃 金 // ) 物財保証=工場原価2,929.70RMの5飴
ここまでの,,原価 特別費皿及び利瀾付加額:
販売手数料=販売価格の 5 %
塁引舟ご :: 1.25各
貸 倒 損 失 = 11 o. 5彩 計 =9彩
利潤付加=販売価格の 4%
ここまでの,,原価与8,806.SORMの14.95彩 に照応
総注文に対する供給価格=1個当り 16.87RM 利潤=販売価格の4彩=製造原価の4.17彩に照
応 =1個当り 0.67RM 総原価=1個当り 16.20RM
545 720 │l,265
7,298.35 481. 65 特別費I:
注文当り固定的:鋳型及び特別工具 600個仕上: 1個当り l.20RM
344. 50
七
数料・運送保険・販売量の特許︑⑥
. .
.
取引︵売上︶税︑切⁝貸
倒損
失︒
すなわち︑この個別費の種類は︑調達・製造︵加工︶・販売領 域への原価負担者個別費の区分と︑前述の物財費用による原価
l l
ー区分とを結合したものである︒
⑮負担者間接費の捕捉と計算的加工:・
40 90 90
原価種類別の間接費の捕捉と原価点
40 m
場所への分割とを組合せた製造間2
1 0 9 1 1
401'接費配賦表によって行う︒
3 1 6 . c
そして最後に︑原価負担者
'︵個々の注文︶について負担者個別 ー
費と負担者間接費を計算する︵こ
れについては﹁原価負担者への原
価計算﹂と題された原価計算図式
ー一
六表
が示
され
る︶
︒
以上︑レーマンのいうところの
原価種類・原価場所・原価負担者
への原価区分︑特に原価種類によ
る区分︵物財費用の特性からの︑︶
をみた︒レーマンにあっては経営
者が物財に対して︑その効用性︑
稀少性を評価することによって価
値が認識されるのであったが︑か