原価配分の理論的基礎
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(2) のような立場から, 勁的論の初期にまでさかのぼることによって, 固定資産 と棚卸資産の会計処理を指標として, 近代会計の特質を浮彫にすることを試 みた。 固定資産については, かつて固定資産評価の手段とされていた配分と しての減価償却が, どのようにして期間費用決定の手段に推移するに至った かを考えた。 また棚卸資産については, 期末棚卸における売却時価評価が否 認されどのようにして取得原価に変えられていったか, 同時に期末棚卸にお ける根本が評価そのものにあるのでなく, 期間費用決定にあるとされるに至 ったかを考えてみた。 いずれも,. 原価配分という 会計処理を通じて 近代的. 会計様式がいかに形成されていったかを内在的にたずねたのである。 けれど も, このような分析は, あくまで動的論の初期にみられる固定資産と棚卸資 産の原価配分という個別の会計現象をとらえて, それがいかに新しい会計思 考を準備する契機となりえたかを浮彫にしただけであり, 具体的にどのよう な会計の計算体系を形づくったかを示したのではない。 根本的なことは, そ うした利益を目的とする会計制度の妥当根拠はどこにあるかということであ る。 そこで本稿においては, 主にシュマ ー レンバッハの「動的貸借対照表論 の基礎 」(初版1919年)によって, とくに原価配分にみられる会計処理法を 分析しながら, 期間損益計算としての近代会計制度がどのように基礎づけら れたかを明らかにしてみようと思う。. 第2節. 全体計算による期間損益計算の基礎づけ と原価配分 I. 毎年, 一定期間を決めて決算を行う期間損益計算としての近代会計制度は どのように基礎づけることができるか。 この問遁を明らかにすべく前稿にお いて, 固定資産と棚卸資産の会計処理を取り上げた。 今日, 原価配分の方法 としての減価償却は, 期間損益計算としての近代会計の指標とされる。 けれ. -72. (266)-.
(3) ども, 減価償却が原価配分の手続をとっても. ただちにそのことが近代会計 思考と結びつくわけでは決してないのである。 もとより. 固定資産の原価配 分の意図は, 期間末の固定資産価格を評価することにあった。 原価配分の出 発点は, 固定資産評価のための手段にあったのである。 ところが, 動的論に 到ってこの立場は逆転する。 固定資産評価のための手段としての意味しかな かった原価配分が, ここでは期間費用決定の手段となった。 そして, 固定資 産価額は, 単に, 原価から減価償却額を控除して後の残額として, 未だ費用 化しない部分としての意味しか与えられなくなった。 原価配分の当初の意図 はくずれ. 期間費用決定の手段とされるに至って新しい飛躍を遂げることに なるのである。 けれども原価配分の考え方は, その論理を推し進めることに より近代会計思考を生み出す結果になった。 また棚卸資産の場合も, 古くさかのぽれば, 棚卸資産における会計処理の 中心は期末棚卸の評価にあり, 売却時価で評価された。 けれども, 動的論に より期末棚卸の性格が単に商品の 残高であるに すぎないことが 明らかにさ れ. 売却時価による評価が否認されると共に取得原価評価が妥当とされた。 それと同時に. 期末棚卸評価に対する従来の考え方が逆転し, その根本問題 が評価そのものにあるのではなく, その評価を通じて期間費用の決定にある ことが明らかになった。 その結果それまでの会計思考は妥当性を失い. 固定 資産と同様に棚卸資産の問題も原価配分の問題と考えられるに至ったのであ る。 このように. 原価配分という会計処理が費用を決定するためのものであ ることが認識されるや. 企業会計に対する見方は 一変する。 会計処理にみ られる そうした事実は. 企業会計の 根本課縣を 損益計算に移してきたので ある。 以上のように, 固定資産や 棚卸資産における 会計処理の解明によっ て, 企業会計は利益を計算目的することが明らかにされ, 期間損益計算とし て特質づけられたのである。. -73. (267)-.
(4) II しかしながら, こうした点を考慮しただけでは固定資産や棚卸資産会計か ら財産評価思考が否認され, 既に朋芽しつつあった利益計算思考が確立され たことを説明したにすぎない。企業会計の目的を利益計算としても, その存 立を基礎づけるものが必要である。それならば期間損益計算は何等の基礎づ けも不用だろうか。 しかしながら, これに応えるには期間損益計算はあまり に不確実である。 なんとなれば, そこには先の減価償却計算にみるように, 見積りや判断が介在し, 会計数値には過誤が避け難い。 このような不確実な 期間損益計算を基礎づけるためには, 確実な計算体系をその根本におかねば ならぬであろう。決算制度としての期間損益計算制度の人為性が強調される 時, それを基礎づけるものとして, そこに絶対的な会計計算を想定せざるを えない。 つまり, 期間損益計算が人為化された結果として成り立ったものな らば, 当然そこにはそれに先行する計算体系が存在しなければならない。 期 間損益計算の存立を確実にする絶対的な計算体系とは何か。 これがほかなら ぬ収入, 支出計算であった。 さて, 収入, 支出計算が絶対的性格を与えられるのは, それにふさわしい 資格をもっていたからにほかならない。 第 一に収入, 支出計算は全体的, 包 括的である。 例えば, 建物を現金で購入する。 期間損益計算においては, こ の支出が各期間に減価償却として配分される。 つまり, 期間損益計算におけ る減価償却費は支出の部分としての性格をもち, 支出は期間に配分される減 価位却費を合計した全体としで性格をもつのである。 このことは, 棚卸汽産 原価配分についても同様である。 このように支出の期間配分されたものが費 用と考えると, 費用はあくまである特定期間にのみ関係した意味しかもって いない。 これに対して支出は, 後の利用年度に長期的に, いわば全期間的に 配分されていくのであるから 全体期間に 関係することが わかる (1) 。 ともか (1) こうした事例については, 次の文献に示されている。Schmalenbach, E .• Kaufmふ nisches und Kameralistisches Rechnungswesen. ZfHwuHp 1909/10, S. 349f. Schmalenbach, E., Theorie der Erfo]gsbilanz. ZfhF 1915/16, S. 380. Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. ZfhF 1919, S. 15ff.. -74. (268)-.
(5) く, 支出と費用との関係についてみると, 支出と費用が 一致する 場合があ り, 支出が先に生じて後に費用が計上される場合もあり, 逆に費用が先に計 上され, 支出がその後に生じる場合もある。 収入と収益の関係についても, 収入と収益が一致する場合があり, 収入が生じて後に収益が計上される場合 もあり, 収益計上の後, 収入が生じる場合もある。 かくて, 収益, 費用は当 該期間にのみ妥当する概念であるのに対し, 収入, 支出は超期間的で全体期 間に関係する概念である。 収入, 支出が全体的な性格をもつのに対し, 収益 費用はその部分たる性格をもつ。 この意味において, 収入, 支出は収益, 費 用を包括する概念である。 しかし, 収入, 支出計算は単に包括的, 全体的であるだけではない。 第二 に, 収入, 支出計算は確定的, 具体的である。 例えば費用と支出の関係をみ ると, 「先ず, 通常, 消費し, あるいは使用するであろうものが最初に賠入 されねばならぬのであるから。 支出は費用より早く生ずる。 そうすれば, こ の支出の把握は簿記的に容易にかつ明白に成し遂げられる。」 (2) というのも, 「費用の直接的な把握では, 重要な項目が忘れ去られる危険に会う。」 (3) から である。 このように, 支出は費用把握の出発点に位置する。 また, さらに費 用を測定するためには, 将来の何らかの支出が生ずるかどうか, そしてこの 支出がどれほどの大きさかどうか予測せねばならぬ。 かくて費用の決定は支 出に依拠し, 「支出が未確定のときでさえ, われわれは現在の費用をそれで 測定することを試みる。」 (4) そこで, 「支出が把握されると, それと同時に費 用の把握が済まされるのではない。今や, 先ず支出に対し取得される資産の 損耗の計算上の把握が始まる。」 (5) このようにして, 費用が支出に結びつく ということだけではなく, 費用の前には多くは先ず支出があることが明らか になるのである。 言うなれば, 費用という抽象的な概念は, 具体的な支出を (2) (3) (4) /5). Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. a.a.O., S.42. ebenda. ebenda. ebenda.. -75. (269)-.
(6) ぬきにしては考えられないものであった。 また, 収益については, 例えば商 品の販売の場合,現金販売は言うに及ばず, 信用販売においても結局は収入 に依拠する (6) 。 恣意的な判断が介入する余地が全くない, 確定した数値であ るという収入, 支出計算のこうした性格によって. それは絶対性をもったと 考えられる。 収入, 支出が具体的. 確定的なものであるからこそ, 収益, 費 用はこれに依拠することとなったのである。 抽象的な理念では, 期間損益計 算を某礎づける意味はもちえなかったであろう。. 直. 期間損益計算を構成する収益. 費用が期間限定的な性格であるとすれば, 収入. 支出は期間を超越した全体期間的性格をもつものである。 けれども上 記のように収入. 支出は包括的, 全体的な概念であり, まさにそのことに よって絶対性がおかれた。 こう考えると一期間的に収入と収益. 支出と費用 は 一致しないとしても 設立から 解散に到るまでの 企業の全体期間において は. 収益は収入に, 費用は支出に一致することができる。 その結果. 収入, 支出計算は全体期間における損益計算として示されるのである。 収入, 支出 計算はそのまま期間損益計算としては妥当しない。 けれども. 「個 々の投機 会社, 当座会社のような短期の会社にとり, 通常. 全体企業が解散した時に 成果計算を作成すれば十分である。」(7) この場合, 収入, 支出計算はまさに 現実のものであった。 「そうした 利益を われわれは 全体利益と よぶ。 それ は. 終結され. 解散した営業に応じた利益である。 」 (8) 全体利益の概念は, 単なる理念ではなく制約された状況の下ではあるが短期の企業においては現 実に存在可能なものとされた。 そうした意味をもつ全体利益が永続企業の下 における期間損益計算に関係ずけられたのである。 ここに至って, 全体利益. (6) Vgl., Schmalenbach, E., a.a.O., S. 15. (7) Schmalenbach, E., a.a.a., S. 11. (8) ebenda.. -76 (270)-.
(7) の概念は収入, 支出計算に支えられ, 期間損益計算の存在を根拠づける絶対 的位置を占めることになる。 収入, 支出計算の差額は全体期間における余剰 であるから全体利益とされ, 期間損益計算における余剰である期間利益に対 比される。「費用と収益は支出と収入でない。 もちろん全ての費用は, 通常 支出をもたらし, あるいはそれは既に支出をもたらした。 しかし, 期間損益 計算において, 費用と支出はしばしば同じ期間に属さない。 この意味で費用 と支出は異なるものであるということができる。 そこに期間利益と全体利益 の迩いがある。」(9) このようなことから期間損益計算の計算要素である収益, 費用は, 全体計 算である収入, 支出に基礎をおくのである。「経営が何らかの給付を達成し, あるいはそれがなんらかの費用をなすなら, 収入と支出はそれが他の期間に 属する時, この給付あるいは費用の尺度である。」(10) 具体的に全体計算と期 間損益計算では次のような迩いが生ずる。 「期間が考慮されるぺきでない全 体計算では, この支出と生じる費用との間に差はない。 ·…••収入, 支出計算 で十分である。」 (11) これに対し, 期間損益計算では, 支出と期間費用が一致 するもの(例えば賃金),. 支出の後の 期間に費用となるもの(例えば耐用年. 数の長い家や未消費の材料), 支出の前の 期間に費用となるもの(例えば税 金) がある。 これは収入についても妥当する (12) 0 こうして, 期間損益計算は収入, 支出計算としての全体期間における損益 計算(全体計算) を人為的に限定した計算体系であることが示された。 「経 営経過中のそうした利益計算は比較可能な数値を得るために, 統一的な期間 区分に応じて繰り返される。 われわれはそうした利益計算を期間損益計算と (9) UOJ (11) U2l. Schmalenbach, E.. a.a.O.. S. 14f. Schmalenbach, E., a.a.O., S. 16. Schmalenbach, E., a.a.O., S.17 . Schmalenbach. E., a.a.O., S. 17f. 収入. 支出計算と全体計算との関係については, 次の文献にも言及されている。Schmalenbach, E., Kaufm助isches und Kameralis tisches Rechnungswesen. a.a.O., S. 349. Schmalenbach, E., Theorie der Erfo lgsbilanz. a.a.O., S. 379f.. -77. (271)-.
(8) いう。 」 (13) ここに, 期間利益の合計は全体利益に等しいとするのは, 期間損 益計算の存立を全体計算に依拠することによる当然の帰結であった。 収入, 支出計算が. 企業の創設から解散に到る全体期間における損益計算 として位置づけられることになると, 決算期ごとに行う損益計算は, 必然的 にこうした全体期間の部分計群と考えられうる。 全体期間における損益計算 が収入, 支出計算であれば, その部分計算は収入, 支出の修正としてなされ るであろう。 つまり, 全体期間における損益計算の形態が収入, 支出計算な ら, その部分たる期間計卵は収入, 支出計算の修正としてなされる以外にな い。 この全体期間の部分として位蹴づけられる計算こそ収益, 費用としての 期間損益計算なのである。かくして, 原価配分は全体期間に関わる支出が期 間へ割当られる部分として考えることができよう。. IV そこで, 以上についての理解を容易にするために, 次にシュマ ー レンバッ ハの示す設例を取り上げることにしよう (14) 0 〔設例I〕 (1). 10,000マ)レクの現 金を出資。 20,000マ)レクを借入れる。. (2). 事務設備, 古架等を1,800マ)レクで取得。. (3). 事務所を年600マ)レクで賃借。(後払). (4). 廊品を28,000マルクで購入。 現 金出資. 10,000. 借 入金. 20,000. (支出) 備. 品. 1,800. 仕. 入. 28, 000. (収入). 30,000. 29,800 200. 収入余剰. 船) Schmalenbach, E.. Grundlagen dynamischer Bilanzlenren. a.a.O., S. 11.. U4J 以下の設例は次の文献による。 Schmalenbach. E., Die Bilanz im Lichte der Ver anlagungsbehorden. Schuldentilgung und Einkommen, ZfhF 1915/16, S. 203ff. -78. (272)-.
(9) 貸 借 対 照 表 備. 品. 1,800. 借 入 金. 20,000. 商. 品. 28,000. 資 本 金. 10,000. 現. 金. 200 30,000 ... 30,000. 期間中の取引 (1). 商品在高のうち半分を売却。 利益を原価の20%とする。14,000(原価) +2,800(利益) =16,800(売上). (2). 商品14,000を現金仕入。. 期間中の収入, 支出 200. (収入). 16,800. C現金在高) 17,000. C売 上). 600 (賃借料). (支出). 14, 000. C仕. 14,600. 入). 収入余剰. 2,400. 借入金返済. 2,200 200. 現金在高. 貸借対照表と損益叶罪苫は次のようになる。 貸 借 対 照 表 品. 1,800. 減価償却. 180. 備. 借入金. 20,000. 1.620. 返済額. 2,200. 資本金. 10,000. 益. 2,020. 商. 品. 28,000. 現. 金. 200. 利. 12,020 29,820. 29,820. -79. 17,800. (273)-.
(10) 損 益計 算 書 賃 借料. 600. 減価償却. 180. 純利 益. 2,020. 総利 益. 2,800. 2,800. 2,800. この場合. 収入. 支出計算と損益計算は. 売上16,800から仕入14,000と賃 借料600を控除した段階までは一致する。 収入. 支出計算ではさらに期首の 現金残高200が加算され, 収入余剰が2,400となる。 他方, 損益計算では減価 償却額180を控除して利益2,020が計算される。 収入. 支出計算において, 収 入余剰は. 支出以上に収入がある時に生ずる。 それは現金そのものの余剰で ある。 利益が収入余剰より大きいこともあり. 逆に利益に比ぺて収入余剰が 大きい場合もある。 故に「収入余剰は, 損失の際にすらも存在しうるのであ る。 」 (15) これに対し,「利益は, 商人において, 費用を越える収益の余剰であ る。 しかし, 費用・収益は. 支出・収入と全く違う。 」 (16) 以上によって, 収入. 支出計算と期間損益計算の関係が明らかになる。 損 益計算書は収入, 支出計算の変形であり, 人為化された結果である。 収入. 支出計算が絶対的であることは, 収入, 支出計算が損益計算書や貸借対照表 の出発点となる存在であることを意味する。 収入, 支出計算なしには期間損 益計算は存立を根拠づけられないのである。. V 以上の計算例にみるように, 収入, 支出計算を期間区分したものが期間損 益計算である。 支出と費用, 収入と収益は食い迩う。 「故に, われわれは, あらゆる面で支出と費用と同様に, 収入, 給付においても三つの可能性をも US) Schmalenbach, E .• a .a.O ., S. 201. US) Schmalenbach, E.. a .a .O., S. 202. -80. (274)-.
(11) つ。 支出が費用と同一の計算期間に属するか, 他の期間に 属するかである。 すなわち, 支出期間は費用期間より早いか遅いかに と どまることができる。 収入, 給付で も 同様である。」(17) このように , 期間損益計算が収入, 支出計 算の部分計算であることが明らかである。 さて, 期間損益計算が収入, 支出計算の部分計算に す ぎ ぬとすれば, 両者 の計算上の結びつきが必要 に なり, 「 支出と費用, 収入と給付が計算上, 互 いに結合する時, 期間相互を顧慮 して結合する輪を要 した。」(18) そ して, こ れを 結びつける も のと して, 貸借対照表が 位置づけられたのである。 か く て, 「損益計算書は本来的な利益計算を示す一 方, 貸借対照表は未解消のあ らゆる収入と支出, および未解消のあらゆる費用と給付を計算する課題を負 う 。」 (19) このように貸借対照表 には収入, 支出計算と期間損益計算とを結合 する役割が課せられるが, 期間損益計算が全体計算である収入, 支出計算の 部分と して有効 に機能するためには不可欠の要件がな く てはならなかった。 言うまで も な く , それは, 会計数値を確実 に 次期に 引 き継 ぐ ことでなければ ならない。これが他ならぬ「継続性の原則 」 である。 「期間計算は, 一方の 期間計算が他 に結びつ く 時, そ して企業が完全 に終了 し , 全ての期間利益の 合計が全体利益を生ずる時, 継続性の原則を も つ。」 (ヽ0) この会計数値の継続 によって, 「利益が構成される全ての部分は, (21). れる。」. 継続計算の中で完全に 把握さ. か く て, 全体期間の中で見積や判断 による損益計算上の誤りが全. て調整されるのである。 会計数値の継続性は期間損益計算にとり, 「貸借対 照表の継続性と損益計算は一体である。 一 方は他とと も にあり, 他とと も に 倒れる。(22) 」 ほ どの重要性を も ちえた。 ここに 会計数値の継続性は, 期間損 ⑰ Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehren. a.a.O., S. 18. U8l Schmalenbach, E., a.a.a., S. 22 . ⑲ Schmalenbach, E., a.a.O., S. 27 . 図 Schmalenbach, E., a.a.a., S. 12 . (2U Schmalenbach, E., a.a.0., S. 13 . 四 ebenda. -81. ( 275 ) -.
(12) 益計算を貫く根本であることが 明らかである。期間損益計算が何等根拠 を要 せ ぬ完結的なものだとすれば, 期間損益計算はそれ 自 体, 絶対的な 存在であ る。 けれども, 期間損益計算そのものの確実性は 何等保証されない。 かく て , 収入. 支出計算としての全体計算は絶対的性格を賦与され期間損益計算 の存在を基礎づけるのである。 以上のよう にみてくると原価配分の理論的基 礎が明ら か に なる。 原価配分は 全体期間に関わる支出の部分として期間に割 当 てられる費用を意味する。 従って, どのような割当がなされても, 結局, その合計 は 支出 に 等 し くなる。 ここ に 固定資産費用と し ての減価償却や棚卸 資産費用の計上が, 不確実 にも拘らず受け容れられている一つの根拠がある のである。. VI ともか く , 期間損益計舞 は 収入, 支出計算 に 依拠 し たのであ り , 収入, 支 出計算な し に は期間損益計算そのものも存し得なかった。 期間損益計第 は 収 入, 支出計算の部分としての意味しかもちえないことになる。 だ から, この ような考え に立つと, 収入, 支出の部分を期間に割当てるという考え はあっ ても, い か に 帰属させるかということはあま り 問題にならないのである。 例 えば, 固定資産の減価償却 についても, 支出(原価) を期間に配分するとい う思考はあっても, 配分の会計上の意味 について はあま り 問題とされ な かっ たのである。 これ は や は り , 部分と し ての期間費用 の 合計が 支出(原価) に等し く な り さえすればよいと考えられた結果にほかならない。 前述のよう に期間損益計算が結果的に収入, 支出計算に 一致するための不 可欠の要件として, 継続性の原則がお かれた。 継続性の原則 は , 「すべて の 費用, 収益項 目 は , それが過去か現在か, 将来のいずれかの期間計算 に 一 回 だけ, しかも少しも涸れなく 計上せられ る ことを要求す る 原則」 (23) であっ た。 要する に , それ は, 収益あるい は 費用の合計が収入, 支出に 一 致する こ (23) 山下勝治著 「会計学一般理論」 昭和 34年, 67 頁。. -82 (276)-.
(13) ... .. ...... ... . .......... . . .. . . . . . . . .. とを保証するものであ っ た。 またそれのみ保証されればよいのである。 こう. ... して, 「その結果 , 個 々の 費用 と か収益の期間帰 属 の 関係 を厳密 に問題 と す . . . . . . . . るとい う こ と よ り も, すべての費用, 収益項目が, 漏れな < . いずれかの期 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . (24) 間 に 必ず計上せられねばならないことに璽点がおかれる」 (傍点筆者). .. こ. とに な る 。 では. 期間損益計卵は. 収入. 支出計算 に 基礎づけられ. それに 依拠 し た だ け で 十分なのだろうか。 期間損益計算が収入,. 支出計算 に 依拠. し, それに よ っ て基礎づけられることに なると, 期間損益計算はただ全体計 算の部分で あ る に す ぎ ず. それ 自 体と し て独立性はなくな っ て し まうことに な る 。 けれど も , 現実には期間損益計算は存 立するのであ り , それ 自 らとし ての意味を貫 く ことに よ っ てはじめて期間計舞た り うるはずである。 それな らば, 期間損益計算の独立性はどのようにして基礎づけられるのだろうか。 この点は原価配分そのものの根拠を明らか にすることでもある。 すべての費 用, 収益がいずれかの期間に 漉れ なく計上されさえすればよいという原理と ともに , な おかつ, そこに 期間損益計算そのものを 基礎づける原理はないだ ろ うか。 このことを近代会計を特徴づける会計処理である原価配分を中心 に 考えてみたいと思う。. 第3節. 期 間 損益計算 に 内 在す る 原理 と 原価配分 I. 既辿のように, 期間損益計算は, 収入, 支出計算としての全体計算 によっ て基礎づけられた。 期間利益の合計は支出計算から導かれる全体利益に 等し くなければ ならぬ。 期間損益計錐は 全体計算の 部分として 存在する に す ぎ ず, 期間収益, 費用の合計は収入, 支出に 一 致しさえすればよいのである。 ところが, このような考え方に よると, 費用, 収益の期間帰属は問題とな ⑳. 同上。. - 83. ( 277)-.
(14) ら ず, 「 そ こ では期間の損益計算は, 必ずしも当該期間の経営成績を正し く 表現す る ような利潤を表示しな く ともよ く , 重要なことは, 全体損益計算の どこかに, ればよい」. 一 (I). 切の費用, 収益項目が, 漏れな く 計上せられ る ようになってい. ことにな る 。 もはや計上 さ れ る 期間収益, 費用の大き さ はいか. にしてもよ く , 期間損益計算そ のものが意味を失うことにな る のであ る 。 こ れは期間損益計算が全体計算に依拠す る ことによ る 当然の帰結であった。 そ れでは, 期間損益計算は, 全体計算によってのみ基礎づけ ら れ る だけであろ うか。 考えを進めてい く と, 全体計算の観点とは別に原価計算はその存立根 拠をそ のもののうちにもつことがわか る 。 そ して, 以下に示す考え方は, 前 述の全体計算にもまして期間損益計算の存在を基礎づけてい る のであ る 。 期 間損益計算を収入, 支出計算によって基礎づけ る だけでな く , そ のもののう ちに基礎づけ る ためには, 当該期間の収益, 費用を限定し. 大き さ を決定す る 根拠は何かを明 ら かにしなければならない。 このことは, 期間損益計算制 度を理解す る 上で重要な意味をもってい る 。. II 収益についてはひとまずおいて期間費用の計上根拠について考えてみ る 。 シュマ ー レンバ ッ ハにおいて費用は正しい利益を計算す る ために費 消 さ れた ものであり, 費消理由のいかんを問わないという会計上の性格が明らかに さ れてい る (2) 。 むろん, 費用が, 目的概念であ る ことやそ の範囲を明らかにし たところで, 常識を出 る ものではない。 そうした費用の計上がいかな る 原理 に基礎づけ ら れてい る か, そ の意味を追求す る ことが大事なことであ る 。 費 用の期間帰属が何に根拠をお く かが明確に示 さ れ る のは. 引 当金と減価償却 の場合であ る 。 引 当金については, それが利益留保でな く , 費用として負担 さ れ. 負債に (1) 山下勝治著 「会計学一般理論」 昭和 34年, 68頁。 (2) Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. ZfhF 19 19 , S. 32 .. -84. ( 278 ) -.
(15) 比することので き る勘定とした上で, 「現在の 損失危険を損失確率に見合う 負債によって計上しない貸借対照表は, 誤った貸借対照表である。 」(3) とし, 「正しい損益計算は, そ の中に作用している発生の モ メ ン ト の 尺度 に 従って , 4. 個 々の 年度に 危 険に 備えた負債の 形成 に 関 係しな け れば ならない。」( ) と言 う。 ここに, 引 当金の 計上が正しい損益計算の ためであるととも に , そ の 根 拠が 「発生の モ メ ン ト 」 にあることを指摘する。 そ して, 正しい損益計算と 発生の モ メ ン ト は不可分 の 関係におかれているのである。 引 当金についての この ような計上根拠は, 減価償却費の計上根拠にも全く妥当するものと考え るのである。 ただ異なるところは, 前者が将来支 出 の 部分を貸記し 前配分 (Vorverteilung) する方法であるの に 対し, 後者が支出を 借記し,. 以後の. 期間に 配分すると いう後配分 (Nachverteilung) の 方法をとる点だ け であ る。 両者はともに 原価配分 (Ko stenverteilung) と理解されている。 シュマ ー. レンバ ッ ハは,. 引 当金や 減価償却の 計上根拠に ついて, 発 生の モ メ ン ト. (Verursachungsmomen te)あるいは発生するモ メ ン ト (die verursachenden Momente) という概念を 示しているが,. これが期間損益計算に ひ そ む根本. 思考であると考えていることは 疑いない。 引 当金を説明して, 「例えば, 債 務者 の 損失の 原因が, 信用供与にあるとする。 信用供与が1915年 には何らの 損失をもたらさず, 1 916年 に 大 き な損失をもたらすなら, 損益計算の 意味に おいて, 1916年 に のみ損失を負担するのは正しくないように 思われる。 」(5) と 述べる。このような考え方はな にも引当金だ け でなく, 既に修繕費の計上に ついてもみられたところである (6) 0 では, 発生の モ メ ン ト という考え方が何故に 重要であろうか。シュマ ー レ (3) S chmalenbach, E., S teuere inkommen und Bi lanze inkommen. ZfhF 1915/ 16, S . 334 . (4) ebenda. (5) S chma lenbach . E. • a.a.O. , S. 336. (6) こ の こ と は例えば S chmalenbach, E.. Die Verbu chung von Re para turen. ZfhF 19 07/08, s. 474 に示さ れている。. -85. ( 279 ) -.
(16) ン バ ッ ハ は. 「 この方法の 基礎となる理解は. も し この 偶発損失が時間的 に配分されぬなら, 年度結果の 比較性が乱されることにある。」 (7) という。 彼 は比較性を重視するが, われわれは発生の モ メ ン ト の もつ意味が比較性を越 えて期間損益計算書の最も根底にある考え方であると思う。 発生の モ メ ン ト が, 損失の実現した年度でな < . そ の 原 因に帰属させ ようとする意味をもつ からである。 発生の モ メ ン ト の考え方が事実ではなく, 理 由に依拠して会計 処理する考えであるとすれば. そ の 原 因帰属は必ずしも正しく確定できるわ け ではない。 そこでは. 会計数値は不確実にな り , 恣意性の介入する余地も 大きく, その 限 り で. 損益計算には過誤が存する (8) 。 それにも拘らず, 期間 損益計算が存立しうるのは. 発生の モ メ ン ト が. 期間損益計算の根本を貫く からである。 発生の モ メ ン ト が期間損益計算にと り 根本的な意味をもつことは. 前節の 全体計算に よ る基礎づけと対比すれば理解できる。期間計算が全体計算に基 礎づ けられ. そしてそれのみが期間損益計算の存在根拠とするならば. 全体 期間において. 一度だ け費用が計上されればよ < . 原価配分そのものが不用 であ り 引 当金 の 設定も必要がない。 とすると. 発生の モ メ ン ト は. 期間損益 計算そのものを根拠づ けていることにな り , この意味において最も重視すべ き基礎づ けである わ け である。 かくて発生の モ メ ン ト は. 原価配分や引当金 の 会計処理を根拠づけ たのである。. ][. 発生の モ メ ン ト の考え方は, 以下の ような会計処理に具体的にみることが できる。 (7) Schmalenbach, E., Steuereinkommen und Bilanzeinkommen. a.a.O., S. 335.. 発生のモ メ ン ト には, 当該期間の経営活動に関係 した費用のみを計上す る 考え方があ る。 (8) Schmalenbach, E., a.a.O.. S. 336 .. -86. ( 280 ) -.
(17) 先ず, 固定資産の 減価配分について取 り 上げることに する。 この場合, 問 題になるの は なんといっても, 源価償却の 配分パ タ. ー. ンである。 こ の 配分の. 基準として 一般 に 期 間 が用いられている。 で は 原価を期間に 配分する場合, ど のような考え方 によるであろうか。 配分の 基準が期間 に あるとしても. 決 して均 等な配分が予定されているわけで は なく, 設備の 使用状況 に応じて不 均等な配分も妥当 とされているの である。 つま り , 配分の パ タ ー ン は 一様で はな く , 設備の 状況 に 応 じ て決定されねばならない (9) 。 ということは , どの ような償却方法を採ったかによって 配分の仕方は 異なるの であるから, 意味 のある期間減価償却費を示そうとする考えがあると理解されねばならぬであ ろう。 固定資産原価が期間に 配分される場合. この期間と は設備の利用期間 として の 耐用年数である。 従って. 利用期間の終末に 到れば. 減価償却も終 る。 こ のよう に 考えると. 「 減価償却の 程度を 利用能力 の 程度によって決め るの が正しいとしなければならない。」 (10) であろう。 かくて. 減価償却法の パ タ ー ン は , 固定資産の 使用能力 の 状況 に 依拠することになる。 で は . 設備 の 使用能力 の 状況と減価償却のパ タ ー ン と は ど の よう に 関係するの であろう か。 均等伯却につ い て は , 資 産 の 使用能力 が終末に到るまで均等である場合. また 使用能力 が等しくなく, 変動が不均等で . 見稜ること の で き ぬ場合 に適 用する。 さらに 使用能力 が増加あるい は 減少する確率が等しい場合に用いら れるという (11) 。. こ こにみるように , 均等償却を適用する場合の 状況 は , 設. 備の 使用能力 が毎期等しい, あるい は 等しいとみなしうることが想定されて いる。 つま り , 均等償却を適用する資産 は . 利用期間中に は そ の 使用能力 に 変動が少なく. 終末とともに不能に なるという特徴 をもっている。 このこと は , 利用期間中に 陳腐化危険が作用することなく, 物的な損耗のみが減価原 (9) Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. a.a.O., S. 50. UOl ebenda. Ull ebenda.. -87. ( 281 )-.
(18) 因として影響することを意味するのである。 けれ ども利用期間中に陳腐化危 険が作用しないことはむしろ少ない。 従 っ て, 均等償却の適用可能性は限ら れるものであったと理解することができよう。 他方, 逓減的減価償却は, 徐 々 に損耗し, 使用能力 が 徐 々 に減少する資産 に適用される。 それは, 大多数の固定資産に妥 当 するという (12) 。 つま り , 利用年度の初期においては, 設備の使用能力 も大であるから, その減耗の度 合も大きいというわけである。 使用能力の減耗とは, 決して物的な減耗のみ を言うのでな く , 嗜好や流行の変化, また技術の進歩のような経済的, 技術 的な減耗をも含めた広い意味をもつのである。 従って, 減価償却の大きさは 当 然に物的減耗のみならず, 経済的, 技術的陳腐 化をも反映したものであっ た。 逓減的減価償却を適用する資産は, 均等償却を適用する資産と明らかに 性格を異にする。 そのことは逓減的減価償却の根拠にみられる。 もしも, 取 替直前の設備の使用価値が取得時と同等であるなら, 取替という事態は起ら ないであろう。 故に, 設備は利用期間の経過とともに徐 々 に使用価値を失う と考えねばならない (13) 。 このような考え方が 逓減的減価償却を 容認する立 場にあるとみることができる。 こ こに, 均等償却を適用する資産との性質の 違いは歴然としている。逓減的減価償却では, 設備の物的減耗のみならず, 経済的, 技術的陳腐化の危険が反映されるのである。 例えば, 建物を例にと ると, 物的に損耗してい く 以上に, 時間の経過とともにその周辺に新しい建 物が建ち環境が変化し, 人 々 の嗜好も変って, 建物は経済的に陳腐化する。 そして, 新しい建物も 時間の経過のうちに 再建されねば ならぬ ほ どになっ た。 (1 4) このような陳腐 化危険は, 設備の利用年度 中に発生する確率は大きい と考えられる。 そして, 設備は新しければ新しい ほ ど (つま り , 利 用の初年 度 ほ ど) 使用能力 も大きいのであるから, 設備利用期間の初期に陳腐化危険. U2l Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer. Bilanzlehre. a.a.O., S. 52 . U3) Schmalenbach, E., a.a.O., S. 52f. U4J Schmalenbach, E., a.a.O., S. 52 . -88. ( 282 ) -.
(19) が生じた時には失う能力も大きい。 故に, 陳腐化危険を考慮すると減価償却 は逓減的な配分の パ タ ー ンとなるであろう。 陳腐化危険が全 く ない場合 ( 均 等償却)はむしろまれであることに 想い到れ ば, 逓減的減価償却の 適用可能 性は大である。シュマ ー レンバ ッ ハが, 逓減的減価償却が大部分の資産に妥 当するというのもこ の よう に 考えてはじめて理解できる。 原価配分の基礎には, 周 知の ように, 時間ととも に 生産量も考えられた。 しかし, 生産量を基礎にした配分の 仕方は限られた状況に のみ適用されるに す ぎず, 通常は時間を基礎にした配分がなされる。 時間を基礎にしても均等 に配分されるというわけではな く , 状況に よって不均 等にも配分されるの で ある。 このことは, 稼働を基礎とするに せよ, 時間を基礎とするに せよそこ に共通するの はやはり期間費用の 大きさを意味あるように決定をしようとの 考えがはたらいていることである。 もし, それがないなら, 状況に 応じた減 価償却の仕方そのものが無意味となってしまうであろう。 減価償却ととも に 発生の モ メ ン ト に依拠するとされたのは引当金の計上で ある。 引当金については, 資本勘定に示される利益留保性の性格のものもあ る。 しかしここで問題にするの は損益計算の 立場から未支出の 費用に対し. 貸借対照表上の 貸方項目として設定され, 債務に近似した負債の性格をもっ もの である (15) 。 その 例として, 「採鉱の結果, 発生が確からしい鉱害 に 対す る引当金」 があ げられる。 鉱害が事実として起るかどうかは不確定である。 けれどもその 可能性が大きい場合, 当期費用に対応する貸借対照表の貸方項 目 (負債)として引当金を設定する。 会計数値が不確定であっても, これを 会計上認識するというの は, 根拠があれば 当該期間の 費用として 計上すべ しとする原理がそこにはたらいているから に違いない。 この 原理こそシュマ ー レンバッ ハが言う発生の モ メ ン ト と考えられる。 未だ確定しない事実であ っても, 当該期間に 帰すべき事由が発生しておれば費用として計上すること を容認するが, この 費用は不確定であるからこれに対応する項目として引当 U5l Schmalenbach, E., aa.O., S. 77 .. -89. ( 283 ) -.
(20) 金を設定したの である。 このよ う に, 引当金を計上することによる会計上の 効 果はひと先ずおいて, 根拠のみを考えてみると, ま さ しく引当金は発生の モ メ ン ト に基礎づけられることがわかるのである。 減価償却や引当金の計上にみられる上記の 事実は, 期間損益計算がま さ し く 発生の モ メ ン ト そのもの によって存在を甚礎づけられていることを示すと いえよ う 。. IV ところで, 原価配分としての 減価償却費や引当金の計上の根拠になる発生 の モ メ ン ト は, 当該期間にのみ関係する費用の 期間帰属を問題とする。 発生 の モ メ ン ト がこのよ う な意味をもつなら ば, 当該期間に関係なく発生した費 用は別に考慮しなければならないであろ う 。 これは期間損益計算そのもの の 基礎づけを 考える上で 看過できない 重要な問題である。 このよ う な考えか ら, 当該期間に関係しない費用に対しては会計上の措置が講ぜられね ばなる ま い 。 ここで, シュマ ー レンバ ッ ハが示した偶発的な費用の 例をみることに する。 偶発的な費用とは具体的に. 大修繕の ほか, 経営の 偶発性, 落雷, 爆発, 嵐, 洪水のよ う な 自 然の 偶発性, 破壊. あるいは他の 偶発作用によ り 惹起 さ れる損失 (16) としている。 このよ う な偶発的な費用は. 期間損益計算にとっ て重大な問題をひき起す。 なぜなら「そ う した偶発費用が支出あるいは価値 低下をもたらす期間に負 担 さ れよ う とするなら. その ために比較性が害 さ れ る。」 (17) からである。 それ故に. この結果を適正にするためには偶発的な費 用に対する特別計算を必要とするであろ う 。 けれ ども, シュマ ー レンバ ッ ハ はこ う した特別計算をなす前に さ しあた り 偶発的な費用を計算上調整する必 要があるとしたの である。 そして必要 と さ れる会計処理は次のよ う に示 さ れ U6) Schmalenbach, E., a.a.O., S . 34 . UTJ Schmalenbach, E., a.a·O., S. 33 .. -90. (284 ) -.
(21) る。 「偶発的な費用は, 費用の 発生の確率に 一致すべき 期間 に 帰属すべき割 当分の規則的, 期間的な引当金 に より, 計算上, 調整される。 」 (18) つまり, 将来生ずる可能性のある偶発的な費用に備えて引当金を設定 し , 実際にそれ が起った時には引 当金に よってその損失を調 整 し ようとするのである。 これ に よって. 全く引当金を設定 し なかった場合 に 比べて偶発的な費用の影響を 小さくすることができるであろう。 このことは. 期間外費用と しての 異常費 用をできる限り期間損益計算に 反映 し ないように し ていたことを意味する。 しか し , こう した処置に よっても偶発的な費用を無 にするこ と はできない。 偶発的な費用はそれが他の 期間 費用とは異質な要素であることが強く意識さ れているも の の . 何らかの 表示形式上の区分さえも求められておらず, 結果 と して期間損益計算に 含められる。 ただ, その影響を会計上緩和するように 引当金を設定することが提示されるのみである。 ところで固定資産 に ついては. 次の場合に当 該期間 に 関係 しない 費用 が 生ずる可能性がある。 滅価償却計算は,. 見積 に よるため実際との 食い違い. が生ずる。 この場合. やはり計算上の 調整 に よって超期間的損益を利益に 反 映 し ないよう工夫 し ていることがわかる。 「減価償却が 過大であっても, そ れらが年度 に 均等に 負担されるのなら, 絶対的利益のみが 撹乱されるだけ で, 相対的利益は撹乱されない。 し か し , 他方で, 利益表示は臨時償却や過 大記 帳の変更に よって 好ま しくない異常な 変動から 保護される。 こ の 長所 は. 絶対的に正 しい利益表示の欠点より大きい。 」ll9) こ の ように. あらかじ め減価償却額を過大に しておくと, たとえ設備 に 危険が生じても, 臨時償却 は少なくすることができ, よって期間利益に 与える影響も小さいだろうとい うわけである。 減価償却計算における耐用年数の見積りについて次の ことが 提示されている。 「あらゆる耐用期間の見積りは不確実な の で , 減価償却に 十分の 大きさが賦与される。 しか し , それ に よって, 期間の初めはあまり に ⑱ Schmalenbach. E., a.a.O., S. 35 . (19) Schmalenbach, E., a.a.O., S. 98.. -91. ( 285)-.
(22) 悪く, 後 にあまり に よ くその利益結果の 中に反映され る 。 しかし, その方法 は連続的な修正 よ り よ い。 過小な見積りは, … … • • •利益数値の比較性におい て害というより有益であ る 。」 (20) ここ に 耐用年数を見積 る ことの不確実性 に 対す る シ ュ マ ー レ ン バ ッ ハ 0) 態度は明白であ る 。 償却額が小さいと陳腐化危 険が生じたとき には臨時償却を必要とす る であろう。 けれど も , この臨時償 却は当該期関 に 関 係のない費用であ る 。 この ような超期間的損益を期間損益 計算に 反映す る ならば期間利益は歪められ る であろう。 そこで, 耐用年数を 小さく見秩って過大 に 償却をしておくと. たとえ危険が生じて も 臨時償却額 は少なく, 期間利益を害うこと も 少ないであろうというわ けであ る 。 当該期間 に 無 関 係な費用としての超期間的損益を期間損益計算にでき る 限 り反映 しない よ うに す る 会計上の意味は, 期間損益計算の 独立性に 帰着す る 。そして, それを貫 く 原理が発生のモ メ ン ト であ る 。それは, 当該期間に 関 係す る 収益, 費用は当期に帰属 すべしとす る 考えを も つことに よ って, 期 間損益計算その も のの存立を基礎づけたのであ る 。 そうであれ ばこそ. 超期 間的損益は, 期間損益計算に とり異質の要素となら ざ る を えなかった。 発生 の モ メ ン ト という語は 初期論稿 に 示された だけで それ以後は明示されなか っ た も のの, シ ュ マ ー レ ン バ ッ ハ 「動的貸借対照表論」 の初版 (1919年) か ら終版(1963年) に 到 る まで根本的な考え 方であったとい え る であろう。. V 以上, 減価償却と引 当金の計上 に みられ る 考え方を通じて期間損益計算の 存立根拠を考えてきた。 減価償却について言えば. 設備の使用能力の減耗に 即した減価償却の配分パ タ ー ンが求められた。 設備の減耗は長期間的には耐 用年数の変化や取替, 更新という会計現象としてあらわれ る 。 設備の利用期 間においていくつかの減価原因が使用能力 に 作用し, 耐用年数に影響す る で あろう。 シ ュ マ ー レ ン バ ッ ハは, 長期的 に示され る こうした会計現象を通 し 図 Schrnalenbach, E.• a.a.O., S. 87 .. -92. ( 286)-.
(23) て . 設備の使用能力 の減耗を推定していたということができる。 けれども, 例えば稼働時間や生産量のような設備の使用能力 についてその将来期間 ごと の変化を正しく表現することは不可能である。 たとえ可能だとしてもそれ は 限られた状況であり, 普遍妥当性はもたないのである。. 一. 般 に. 使用能力の. 減耗というの は 抽象的であって, 個 々 の期間 においてはっきりした会計現象 としてとらえることは 困難だというほかない。 このように考えてくると. そ れはその中 に 内 在する原理によって 妥当せしめ られたといえる ので はない だろうか。 使用能力の減耗は客観的 に は把握できぬが, 配分の基礎に使用能 カの減耗があることを想定して, たとえ不確実であるに せよ固定資産原価を 配分することそのもの に意味を見い出したのである。 このよう に考えるので なければ, 減価償却は当初から断念されていたであろう。 なぜなら, そうし た不確実な数値をあえて計上する意味は 見い出せないからである。 このこと は. 引当金の計上についても全く妥当する。 こうして. 減価償却や引 当金の計上 は , 収入. 支出計算としての全体計算 の観点から基礎づけられただけではない。 それは. 期間損益計算そのもの に 内 在する 発生の モ メ ン ト によって 基礎づけられていることが わかるのであ る。. 第4節. 期間損益計算の実際上の課題 と原価配分 I. 以上に明らかなよう に , 原価配分は , 第 一 に収入, 支出計算としての全体 計算によって, 第二に期間損益計算 に 内 在する発生のモ メ ン ト よって存在が 基礎づけられた。 つぎの問題は, 原価配分がこの二つの考えによって基礎づ けられることから, いかなる実際上の処理が生まれるかということである。 収入, 支出計算としての全体計算の観点から は , 減価償却費の計上は十分に は根拠づけられなかった。 というの は , 全体計算の中で一 回だけ費用が計上. -93. ( 287 ) -.
(24) されればよかった からである。 他方, 発生のモ メ ン ト によれば, 期間限定そ のものを根拠づけても引 当金や減価償却費の正しい計上は不可能である。 こ こにわれわれは, 期間損益計算がよりよく機能するために, 実際的問題を考 慮するに到るのである。 といっても, それは上記の根本問題に比べれば重要 性ははるかに少ない。 以下では この問題の 立入った 分析をすることにしよ う。 先ず一例として減価償却計算を取り上げてみる。 逓減的減価償却には費 用計算の確実性を促進する 減価償却率の 自 動調整作用が存在する。 「償却率 があまりに大きく把握されるなら, 設備の簿価は急激に下降する。 減価総額 は簿価に依存するので, ま た 減価償却は 急激に小さくなる。 逆に,. 減価償. 却があまりに低いなら, 簿価は大きくなり減価償却はそれとともに大きくな る。 」 (I) こうして, 「誤って選択され た減価償却率は, 終には 自 動的に修正さ れる。 」 (?) というわけである。 正しい減価償却計算が困難であ る ことを認識す ればするほど, 逓減法のもつこうした 特質は期間損益計算にとって大きな意 味をもった のである。 設備の減耗を客観的な大きさとしてとらえることは 困 難である。 だから, どのような償却法をとるかは, 全く判断に委ねられる。 このような時, どのような償却法を選択しても, 長期的には正しく調整され るという逓減法は考慮に価しよう。 ま た , 「耐用年数の見稜 りの不確実性は 大きいので, 通常の状況下で, 自 動的に調整されるよ う に努める減価償却形 式が選ばれるに価する。 」 (3) 減価償却計算には見積りや判断が介在し, 正し い費用計上は不可能であるとされるなかにあって, 遥減法のもつこうした特 質の意味は大であった。 けれども, 減価償却の 自 動調整作用にみられるよう な考え方は, 減価償却という個別の問題に妥当しえても, 一般性はない。 そ こで, 期間損益計算における不確実性に対する処置として, われわれはさら に普遍性を も っ た 実際的方法を考えなくてはならない。 (1) Schmalenbach, E., Grundlagen dynamischer Bilanzlehre. ZfhF 1919, S. 60 . (2). Schmalenbach, E., a.a.0., S. 69 .. (3) Schmalenbach, E., a.a.O., S. 72 .. -94. ( 288 ) -.
(25) 全体計算と発生のモ メ ン ト は, あくまで期間損益計算を基礎づけたに と ど まる。 実際的には既述のように , 期間限定をしても引当金や減価償却費にみ るように, その大きさを正確に確定するこ と はできな かった。 期間損益計算 のもつこうした限界を克服するため には, 期間限定に 不可避なこうした不確 実性を意識し, 妥当す る 実践的方法を考える以外に ない。 ここ に, 会計方法 の継続性が出現するこ と と な ったのである。. II 会計方法の継続性は, 収入, 支出計算としての全体計卵 と 発生のモ メ ン ト との間の妥協の結果である と いうことができる。 そして, 上述の事由からし てそれは当初 から実践的意味をもっていた。 ところで「利益が経済性の尺度であるべきなら, それは経済性の上昇や下 降を最も著し く 示さ ね ば ならない。 経営がどれほど経済的かは重要である。 しかし, より重要 な のは, 経済性がいかに 変 化しているかである。」 (4) とい うシュマ ー レ ン バ ッ ハの言葉はしばしば指摘されるところである。 このいか に 変化しているかを知 る ため には, 当然比較が必要である。 そもそも比較 と いう場合, そこ に 比較すべき対象が必要である。 そして, ここでは,. 比較. と は他企業との比較では な く 期間の比較を 意味した。 このよう な 考えの下 に. 期間損益計算の主たる要求は稼得される利益数値の比較性 に なるという のである。 では, この比較性は, 具体的にどのよう な会計方法と結びつくの か。 比較性が前後の期間比較の意味であり,このよう な 比較のため に期間損 益計算がどうあるべきかを考える と , せいぜい毎期同 じ条件 に立脚した会計 方法を と るほかは考えられない。 かくて,シュマ ー レ ン バ ッ ハは比較性 に は 計算の継続性が重要な要求であることを述ぺ, また, 計算原則変更の 際 に は 利益計算を比較可能に するた め に 継続性は詳細な分析を要求するとしたので ある (5) 。 このよう に , ひとまず. 比較性と計算方法の継続性が結びつ け られ (4) Schmalenbach, E., a.a.O., S. 9 .. -95. ( 289 ) -.
(26) る こ と になった。 発生の モ メ ン ト によって, 固定資産や棚卸資産の 原価配分が意味づけられ ても, 正しい期間限定は不可能である。 前述の 幾つかの 減価償却のパ タ. ーン. は使用能力 の 減耗の 大きさを表現するもの とされた。 けれども実際には, 使 用能力 の減耗を客観的に測定する こ とは困難であった。 のみならず, たとえ 測定でき た に せよ, 利用期間における減耗が直線的なパ タ ー ンや, 逓減的パ タ. ー. ン に正しく合致する こ とは考えられない こ とである。 むしろ, 減耗は不. 規則なパ タ. ー. ンをたどるであろう。 こ の ような こ とを考えれば, こ れらの減. 価償却パ タ ー ン には, 単に固定資産原価の配分の 仕方としての 意味しかもち えなくなってしまう。 つまり, それらは任意に 選択すべき減価償却の 方法と して掲げられ た にす ぎないのである。 こ うした期間損益計算そのもの の 正し い計算が不可能であるとすれば, 各期間損益計算が互いに信頼性をもつよう にする以外にない。 こ こ に, 会計方法の 継続性が意味をもつ こ と に なり, こ の 仕方 こ そ, 発生の モ メ ン ト に基礎づけられる期間損益計算の限界を救うた め に 実際的にとられた処置であ っ た 。 しかし, より考えを深めればどのよう な方法であれ継続されればよいという こ とは, どんな方法を選択しても, 結 局, 全体計算に 一致するという考え方がそ こ に存在するからそうした措置が 意味をもち うるとも言える。 方法の 選択適用は, 全体計算に 支えられて こ そ 可能なのである。 こ こ に 実は, 会計処理方法を選択し, その 継続性 によって 期間比較を可能にする こ とがなされるの である。 こ うし た 比較性を得るた め に なされる会計方法の 継続性は, 実践的に 可能な限りの処置であったといえ よう。 こ うして シ ュマ ー レンバ ッ ハの理論は, こ とごとく利益の 比較性にそ の妥当根拠を帰 せしめる こ とになっ た の であ る 。 こ れは. 彼 の 理論における 一つの 特徴となった。 原価配分にみられる限界を克服するた め の シ ュマ ー レ ン バ ッ ハの 思考は,. こ のような 実践性に 支えられ た といってもよいの であ. る。もとより, 比較性は期間損益計算を基礎づける ほどの 意味をもたない。 (5) Schmalenbach, E., a.a.0., S. 10 .. -96. ( 290 ) -.
(27) しかし, このように考えることによって , シ ュマ ー レンバ ッハ学説における 比較性のもつ意味が会計理論全体の中に位置づけられることになる。 期間相互の比較性は, 期間損益計算の基礎づけとは別に 第二次的に 生じて きた実践上の問題であった。 けれども, 比較性のために会計方法の継続性の もつこうした実践的課題は, 期間損益計算の全体計算による基礎づけと発生 のモ メ ン ト による基礎づけを抜きにしては決して考えられないものなのであ る。. 直. 以上論じてきたところによって, 比較性の考え方が全体計算による期間損 益計算の基礎づけと 発生のモ メ ン ト による 基礎づけとの妥協の 結果 に 由来 することが理解できると思う。 原価配分を例にとると, それは発生のモ メ ン ト によって根拠づけられるが, 厳密な期間限定は困難である。 そこで, 期間 損益計算を有効 に機能させるために実際的な方法がとられねばならぬ。 正 し い期間限定が不可能であれば. 期間 ご との会計数値を意味あるものとする以 外にない。 ここに. 期間利益の比較性の考え方が喚起され, 具体的には会計 方法の継続性が 提示された。 そ れは 単に 期間損益計算をよく機能させるた め の意味しかもたず,. そ の 根本的基礎づけとは 直接関係しなかった。 つま. り, 比較性は原価配分の根拠づけとして出現したのではないから. そ れがな く ても期間損益計算は成り立つのである。 これは比較性が期間損益計算の根 本に関わるものでないことの証左である。 比較性は. そ の意味において実際 的意味しか有しえないし, 原価配分そ のものよりも, そ の内容の充実に関わ る考え方なのである。 期間損益計算の存立を考える上においては. 比較性が 第二義的なものにす ぎないゆえんはここにある。 会計処理の継続性が守られ て も会計数値は確実ではないが, それが妥当性をもつのは. 究極的には配分 される費用の合計が最終的には全体 (原価)に一致するという考えに支えら れているからであろう。 こう考えて く れば, 全体計算の観点や発生のモ メ ン. -97. ( 291 ) -.
(28) ト がいかに期間損益計算0)存立を根本的に支えているかがわかるのである。. 第5節. む. す. び. 近代会計理論は期間損益計算をどのように基礎づけてきたか, このような 問題を原価配分を通して考えてみたのが本稿の意図である。 その結果, 次の ことが明らかになった。 第ーに, 原価配分は全体期間に関わる支出の部分であるところからして, 期間損益計算は全体計算としての収入. 支出計算によって基礎づけられた。 期間損益計算はそれ 自 ら妥当する計算体系である前に, その根拠を確実にす るためにその基礎となる計算体系を出発点においた。 これが収入, 支出計算 であった。 減価償却計算には見積 り があ り , 会計数値は不確定であ り 過誤が 避け難い。 そこで. 原価配分そのものに根拠を与えるよ り も. 絶対的なもの をおきこれに依拠する。 またそのことが, 期間損益計算の存立をよ り 確実に することであった。 そこで確定的な収入, 支出計算を出発点においたのであ る。 これによって, 期間損益計算は, 全体計算たる収入, 支出計算の部分と しての性格が与えられた。 そして, 期間損益計算が全体計算の部分であるこ とを貫 く ために継続性の原則が基本におかれたのである。 このよ う に, 期間 損益計算を全体計算たる収入. 支出計算の部分とすることによって, 会計数 値の継続性が守られれば, 期間計算の過誤は最終的には調整されることがで きる。 原価配分における会計数値は不確実であるにも拘らず, 容認されてい るのはここに窮極の根拠をお く のである。 全体計算としての収入, 支出計算 はまさにそうした意味をもつものとして登場した。 期間損益計算は, 収入. 支 出 計算から創造されたものであ り , 人為された も のであることに究極の根 拠を もつのである。 第二に. 原価配分が 発生の モ メ ン ト に よ って 根拠づけ ら れるこ と か ら し て, 期間損益計算はそのもののうち に存立が基礎づけられた。 それは, 当該 -98. ( 292 ) -.
(29) 期間に関係する損益のみを計上することを要請するもの であり, 原価配分の 理論的基礎であるとともに, 期間損益計算の根本原理である。 以上, 全体計算と発生の モ メ ン ト との二つの考え方が原価配分 の根拠とな るとともに期間損益計算の 存立を基礎づけている。 といっても固定資産や棚 卸資産費用においては確実な費用計上は不可能であるから, 配分の 方法を継 続する こ とによって期間ごとの 会計計算の信頼性を高める方法がとられた の である。 実際に適用 さ れる会計方法の 継続性は こ の ように全体計算と発生 の モ メ ン ト の妥協の結果として位置づけられるであろう。 それは上述の事情か らすれば期間損益計算の 存在を基礎づけるもの ではないが, 実際的意義は軽 視しえない。 原価配分における会計数値は不確実であるが, そうし た 性格の 期間損益計算が制度として確立 さ れている根拠はどこにあるか, という問題 は以上のように考えられるであろう。. -99. ( 293 ) -.
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