八郎湖 の周辺地域 における濯概水利 の研究
伊 藤 あ ゆ 子
キーワ‑ ド:水田濯概 畑地濯慨 湖沼濯準 八郎湖周辺地域
Ⅰ はじめに
八郎湖の濯慨水利を取 り扱 った研究は、中央干拓 地のみに集中 し、周辺地域については竹内 (1980) が3市町を取 り上げているにとどまっている。
そこで本研究では、湖沼濯概に関する従来の研究 である竹内 (1980)、堀内 (1959)、田林 (1992)を 踏まえ、八郎湖の周辺地域の濯概水利を、次章であ げる水管理組織、受益面積、水利施設、取水方法、
排水方法、水利慣行 と水管理、他の用水源、濯概水 利権、水利用の以上9項 目を調査 し明 らかにする。
Ⅱ 八郎湖周辺地域の濯激水利
八郎湖の水域 は、東部承水路、八郎潟調整池、西 部承水路か ら成 る。その周囲を北は八竜町か ら南 は 天王町までの1市9町が取 り囲んでいる。また、八 郎潟干拓事業で、中央干拓地 とともに造成 された周 辺干拓地が東部承水路か ら八郎潟調整池の沿岸に存 在する。
1. 水管理組織
水管理組織 は、周辺干拓地では7組織、干拓地以 外では、11組織が存在 した。
2.受益面積
受益面積 は、周辺干拓地で1046.9ha、干拓地以外 で3223.8haが存在 した。
3.水利施設
周辺干拓地では共通 して、干拓事業の際に造成 さ れた取水口と排水機場がある。 また、周辺干拓地 と 背後地水田との間に、用水路の役割を担 う高位部承 水路が設 けられている。また、北部干拓第1‑ 7工 区と西部干拓第1‑ 3工区には、揚水機が設置され ている。設置場所 は、北部干拓第1‑ 7工区が排水 機場内、北部干拓第8、 9工区が高位部承水路、西 部干拓第1‑ 3工区が排水機場に隣接 した場所であ る。北部干拓第 8、 9工区揚水機は背後地水田の港
概余剰水を、西部干拓第1‑ 3工区揚水機 は地区内 での濯概余剰水を反復利用 している。また、北部干 拓第 8、 9工区と西部干拓第1‑ 3工区は、用水が パイプラインとなっている。
干拓地以外では、揚水機が共通 して設置されてい る。その中で も、八郎潟調整池側の昭和町新関水利 組合の揚水機2台 と昭和町土地改良区の潟端揚水機
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‑ .̲」第1図 研究対象地域
注 1) 図中内の範 囲1,2,3は、 それ ぞれ第2,4,5 図 に対応す る。
(国土地理院発行1:50,000地形 図 「羽後浜 田」「森岳」
「五城 目」「船川」(1990年修正測量) よ り作成)
水
路
第2図 東部承水路を水源 とす る地域の受益地 と主 要水利施設 (2002年)
注 1) この図の範囲は、第1図の 1と対応する。
注2)図中の番号 は、第1表 と対応す る。
(国土地理院発行1:50,000地形図 「羽後浜 田」「森 岳」「五城 目」「船川」(1990年修正測量) および各水 管理組織への聞 き取 り調査 より作成)
は、干拓事業の際の補償で設置 された1)。その他 に、
東部承水路側の八郎潟町では排水機場が、 また、西 部承水路側の八竜町と若美町の畑地濃蘭地区ではファー ムポ ン ド2)が設 け られている。 なお、八郎潟町の排 水機場 も干拓事業の際の補償で設置 された。 また、
八郎潟町 と若美町渡部土地改良区管内は、用水がパ イプライ ンとな っている。
4.取水方法
周辺干拓地では、取水 口か ら自然傾斜 による取水
第1表 東部承水路を水源 とする地域の水管理組織 と主要水利施設 (2002年)
市町村名 水管棚 名 受益uulp杷L蒲(人)L2:.号 水利施設名 水ネlJ施設 備考
周 八竜町 川土地改良区 50.0 70 U1 北部干拓第9工区排水機場 排水機2台 U2北部干拓第9工区揚水機 高位取 水路から蟻水 U3北離干拓第9ヒ部干拓第8工区取水口 鵜川川右岸に設置J̲ヽ 過 U4U5]北部干拓第8工区排水舶工区揚水鴇 排水領2高位昏陣 水路から揚水ロ
千
描 U6北都干拓第8工区取水口 兼静 水路側に設思
琴丘町 先干拓土地改 81̲5 135 C1 北鮮干拓第7工区排水舶 排水繊 2台 区 C2 北部干拓第7工区取水口 部承水路側に珊
C3北部干拓第6工区排水機場 F水機 2台
C4 部泉水路側に鯉
地 C5 E水頒2台、故常中台 ボ'プ ムの銀水
C6北部干拓第5工区取水口 機 1 、水中 、鰍 水路側に社歴/ 1口
C7 水棲2台
C8北野干拓第4I区取水口 鰍 水路側に珊 C9 北部干拓第3工区排水機壕 ー水塊2台、揚水機1台 C1 北静干拓第3I区取水口 東部泉水終鰍 こ設置
dll北鮮干北部干拓第2北部干拓第 1工区排水機鳩 排水機 2息 揚水機1拓第2工区排水舶工区取水口 ポープ 台、
C1 水中ノ、東部承水路伽に設恐/ 1台 C1 排水機2台、揚水機 1台 C1 北評干拓第 1工区取水口
千描
地 琴丘町 山谷村下水利組 ll.3 12 Ml山谷村下揚水機 揚水機高位淋 水路から揚水1台 山谷南沢水利組 12.8 27 M2山谷南沢穣水槻 揚水稚 1台高位離承水韓から放水 八郎潟町 八郎潟土地改良 474.3 659 Hl兵坂排水職場a 揚水機2台、排水機2台
以 HH23一文21袋高酬排架水配機水鳩格揚水機2台.排水機2台
注1)受益面積 と農家数 は、各水管理組織の東部承水路を 水源 とす る地域での数値である。
注2)表中の番号 は、第2図 と対応 している。
(2002年各水管理組織への聞 き取 り調査 より作成)
が行われている。北部干拓第1‑7工区では、 自然 傾斜 による取水が不能 になった場合 に揚水機を稼働
させ、動力 による取水を行 っている。
干拓地以外では、揚水機 による動力取水が行われ ている。
5.排水方法
周辺干拓地では、排水機 による機械排水が行われ ている。各排水機場 には、干拓地用 と背後地用の2 台が設 け られお り、干拓地 と背後地の港概余剰水を 合わせて排水 している。南部第干拓第2工区排水機 場では、第3工区用の排水機 も設置されているため、
背後地用 と合わせて計6台が設 けられている。
干拓地以外では、 自然傾斜 による排水が行われて
:
岳⊂ a . ( . 一 一
周 i 辺 干 拓
地水田一 高位部承水路取水口 < 水の,流れ
0 40m
第3図 北部干拓第3工区断面図 (2002年) 注 1)水平方向への縮尺1:1,000、垂直方向への縮尺1
100。誇張率10倍。
(2002年5月の北部干拓第3工区での測量 より作成)
‑ 2‑
第4図 八郎潟調整池を水源 とす る地域 の受益地 と 主要水利施設 (2002年)
注 1)この図の範囲は、第1図の2と対応する。
注2)図中の番号は、第2表と対応する。
(国土地理院発行1:50,000地形図 「羽後浜田」「森岳」
「五城目」「船川」(1990年修正測量)および各水管理組織 への聞き取り調査より作成)
いる。一方、東部承水路側 の八郎潟町 は、排水機 に よる機械排水が行 われている。
6.水利慣行 と水管理
周辺干拓地では、水利慣行 はとくにみ られない。
水管理 は、排水機場の管理人が行 っている。管理人 の仕事内容 は、水路の ゴ ミ揚 げと取水 口の開閉であ り、排水機 に余分 な水が回 らないように努めている。
干拓地以外では、西部承水路側の八竜町の畑地港 概地区で、散水時間の輪番制が採 られている。 その 他の地域では、水利慣行 はとくにみ られなか った。
水管理 は、揚水機 の管理人が行 っている。管理人 の 仕事内容 は、水路のゴ ミ揚 げと揚水機の運転である。
7.他の用水源
周辺干拓地では、八郎湖か らの水 の他 に、背後地 か らの濯概余剰水 を使用 している。
周辺干拓地では背後地か らの港概余剰水が主用水 源であ り、八郎湖か らの取水 は補助的な意味合 いが 強いとい う。
干拓地以外では、濯概余剰水 の反復利用の他 に、
第2表 八郎潟調整池 を水源 とす る地域 の水管理組 織 と主要水利施設 (2002年)
村 名 水管 卿 名 受 益 鵜OJ こ‑T(T人)g.‑:r番号 水手雌 名水 利 施 設 備考 井川町 川町土地改良区 137」) 442 Ⅸ1 文辞干拓第5工区取水口1 馬場白川左岸に軌賢
DK2 東部干拓第5工区排水舶 排水t鼓2台
ⅠⅨ3 東捗干拓第5工区取水口2 川右脚 こ投直
Ⅱ【4兼併干拓第4工区排水舶 F水城2台 IE5
放【8 東部干拓東部干拓第4第4工区取水口2工区取水口1飯#J川左t掛 こ紺l右脚 こ設匿 飯田川 川町土地改良124.7 270 Ⅰ1 兼併干繍 3工区排水舶 排水機2台
区 Ⅰ2 東部干拓第3工区取水口 掛 目左岸に設澄
Ⅰ3東部干拓第2工区排水舶 排水織2台
Ⅰ4東部干拓第2工区取水口 妹川左岸に設世
Ⅰ5東部干拓第1工区的 鵬 排水織2台 I6東和 1工区取水口 豊川左岸に投匝 昭和町 町土地改良区 84.3 228 81S2 南柑南部干拓第44工区取水口工区排水舶 排水機2台 天王町 良区 442.3 1145 TT2 南柏l甫紺 1工区排水舶1工区取水口 排水織4台
T3 T4
T5 南部干拓第2南部干拓南辞干拓第3第2工区取水口工区排水舶工区取水口 排水触6台
若美町 欄 西部干拓地 126.3 243 Hl西群干拓集1工区取水口1 排水としたパイプライン用の機 2台、排水を水源 男鹿市 区土地改良 tt2 紺 1工区排水舶
H3西部第 1工区取水口2 姐水枕2高位粁 水路に設置台 H4 赫 2工区排水舶 排水としたパイプライ機2台、排水を水源ン用 の H5西部第 2工区取水口 境水機 2台位取 水路に投匿 H6西棟 3工区取水口 高位部承水路に細 昭和町 胤 合 14.5 45 NZl新職汲水鴇1 銀水機 1息 高位部泉水ヽ■
NZ2 新開放水捜2 水路カb鞍水揚水機1台、
町土地改良区 70.0 133 S3㈱ 水損 拓鵬 から揚水
S4白洲 高位鮮東水路から揚水
町 lー土地改良区 987.0 992 SJl 野村地脚 放水機2台 SJ2 野沢揚水機 放水織 1台 SJ3 羽立片山第2境水槻 鏡水機1台 SJ4 羽立片山姐水棲 境水根1台 SJS 中羽立娘水枕 輪水枕1台 SJ6 不軌台放水tk 淡水織 1台 SJT 申分水鏡水披 妨水成 1台 SJ8 沖田台抜水織 … 1台 Sag 雀口北野姐水枕 沸水機 1台
SJl 沖田浪水横 水蝕 1台
SJll 小分揚水推 tB
1
台SJ 上馴 水機1台
SJl 干潟姐水披 . 水1茂1台
S Jl 持谷地地下水輸水機 揚水機 1台 地下水を揚水
S J1 境地 水蝕 娘水城1台
S Jl 帝沼… 妨水枕1台
S Jl 江川上谷地西1号榊 放水機 1台
B Jl江川上谷地文1号冷水塊 銀水領 1台
S Jl江川上谷地西 2号塊水挽 境水塊1台
S J 浦河地下水鎗水損 妨水tk1台 地下水を揚水
SJ2 帝沼尼払水塊 妨水機 1台 地下水を銀水
S J 江川上谷蚊 2号放水機 披水tB1台
注 1)受益面積と農家数は、各水管理組織の八郎潟調整池 を水源とする地域での数値である。
注2)図中の番号は、第4図と対応している。
(2002年各水管理組織への聞き取り調査より作成)
地下水 と溜池か らの水 を用水源 と している地域がみ られた。天王町では、秋 田市 の新城川の水 を二 田水 路3)によ って導水 してお り、八郎湖 の水 と合 わせて 使用 している。
8.濯概水利権
周辺干拓地の取水施設の濯概水利権 は、すべて許 可水利権であ り、水利権所有者 は農林水産大臣であ る。 また、施設管理 は、各水管理組織 に委託 されて いる。
干拓地以外の取水施設 は、西部承水路側 に位置す る八竜町の畑地濯概地区第1機場 と若美町の五明光 揚水機、福川揚水機 の3つが許可水利権である。水
部
第5図 西部承水路を水源 とす る地域の受益地 と主 要水利施設 (2002年)
注 1) この図の範囲 は、第1図の3と対応す る。
注2)図中の番号 は、第3表 と対応す る。
(Eg土地理 院発行1:50,000地形 図 「羽後浜 田」「森岳」
「五城 目」「船川」(1990年修 正測量) および各水管理組織 への聞 き取 り調査 よ り作成)
利権所有者 は、それぞれ、秋田県知事、若美町土地 改良区、福川土地改良区である。施設管理 は、八竜 町畑地濯概地区第1機場が秋田県知事 となってお り、
あとの2施設は各水管理組織が管理者になっている。
その他の取水施設 は慣行水利権であるが、農林事務 所の資料 に記載 されていない施設 もあった。
9.水利用
周辺干拓地では琴丘町北部干拓地を、 また、干拓 地以外では八竜町の畑地潅概地区を事例 として取 り
第3表 西部承水路を水源 とす る地域の水管理組織 と主要水利施設 (2002年)
市町村名 水管理組織名 受益(hi)地農家(人)数番号 水利施設名水寿1」施 設 備考 八竜町 浜口土地改良区 547.9 659 Lil 埋下揚水機 揚水機 1台
H2
H3畑地潜流地区第 1鴨場畑地縦 地区第2地場 揚水機3台
H4
H5畑地液耽地区第4畑地港概地区第3牧場機壕らの送水はなくL蓮沼から988年以降は範3機頓か
H6 H7 H8 H9
出lo 畑地潜概地区第5芦崎揚水機花谷地娘水塊畑地港概地区第6大谷地揚水機 焼場磯場 退泊開墾 9.6 28 01退泊開墾鏡水塊 水飴 1台 若美町 若美町土地改良区 789̲0 666 Wl 五明光揚水機 水格 1台一ヽ
W2
W3釜谷地揚水機玉の池揚水機 蛤水揚水機 1台塊 1p W4 宮沢揚水機 放水機1台 W5 野石揚水機 幾水機2台 W6 土花揚水機 揚水機 1台 W7福米沢揚水機 揚水機 1台
W8 W9 W10 Wll W12 W13 W14 W15 W16
W17第第第4第第4第3第2123横磯機場機場ファームボンド領域プア‑ムボンドファームポンド 揚水力旺 横堀機2台 福川土地改良区 162,0 114 F1 福川揚水機場 陸水機2台 鹿部土地改良区 146̲0 273WT 瀬端揚水機墳 揚水機2台
注1)受益面積 と農家数 は、各水管理組織 の西部承水路 を 水源 とす る地域での数値である。
注2)図中の番号 は、第5図 と対応 している。
(2002年各水管理組織への聞 き取 り調査 よ り作成)
上 げる。
第6図 は、琴丘町のA農家 の農作業暦 と北部干 拓第1‑7工区の取水実績である。取水量 は濯概期
農仲条麿 (水綴)
11月了 !rl131男了月・rrSiT9‑㌔ 7月 了 月l9月lユ0‑A I11月 Ill隼
雄層 函
悪報 きえ
冠水開始 間断冠水 落水 代掻き期 海淵期 0.048m% 0.034m与良
非満載期 0,003m3Is
0 i00,00() ZOO,000 300,000 400,000
5OO.000 GOO.000 (rna)
第6図 北部干拓第7工区における農作業暦 と取水 量 (2002年)
注 1)農作業暦 は、北部干拓第7工区に農地 を もつ、琴 丘 町在住A農家の2002年 の農作業である。
注2)取水実績 は、北部干拓第1‑7工区の2000年度 の数 値である。
(2002年 の農家への聞 き取 り調査および東北農政局西 奥羽土地改良調査事務所資料 :「平成12年度八郎潟干 拓地区取水量報告」 よ り作成)
‑ 4‑
… . .IlA'‑2AJ・二王 皿 ' ・叩 ・○片 ・'04 rllAll'4・t
(メE3''タ旭 品 '遠 ∴∵∴ ∴∴ 轟
収横 棒牲 定植 伏せ込み
(ミニトマト).
(ダイコン) 許可水畳
0
40,000
80,000 120.∝雌 16仇00q 180.OOO 散水時間
& ・・・i ‑‑ 播種 定格 収穫
0.38瓜‡318
〇一‑ 1■ 播種 収穫
第7図 八竜町畑地潅概地区における農作業暦 と取 水量 (2002年)
注1)農作業暦 は、八竜町在住 のB農家の、2002年 の農 作業である。
注2)取水実績 は、八竜町畑地濯概地区第1機場の2002年 度の数値である。
注3)散水時間のa,b, Cは、a:3日に1回1時間、b:
3日に1回1時間30分、C:3日に1回1時間30分、
を表す。
(2002年の農家への聞 き取 り調査および山本農林事務所土 地改良課計画 ・指導班提供資料:「平成14年度八竜町浜 口 土地改良区畑地濯概第1揚水機取水量実績」 より作成)
問の5月か ら増加 し、 8月に最大 となる。 8月 は水 稲の間断冠水を行 っている時期であるため、取水量 は代掻 き期の5月よりも少な くなるのが一般的であ る。 しか し、①干拓地では、代掻 き期取水量 よりも 濯概期の滅水深が多 く見積 もられている。②背後地 水田 も間断冠水を行 っているため、高位部承水路 に 流入する港概余剰水が減少 している。 これ ら2つの 理由か ら、 8月の取水量が増加す るものと考え られ
る。
第7図は、八竜町のB農家の農作業 と畑地濯概地 区第 1機場の取水実績である。八竜町の基幹畑作物 は、 メロンとアスパ ラガスであ り、生産量 はともに 県内第1位である。その他 には、近年、 ミニ トマ ト の栽培が進め られている。 メロンの後作 にはお もに ダイコンが栽培 される。取水量をみると、 3月末か ら9月末までの取水許可期間中、4月が最小であり、
6月が15万m 3とな り最大を記録 している。 これ は メロンに加え、 アスパ ラガスが定植 され、濯概が開 始 されるためであると考え られる。 7月に入 るとメ ロンの収穫が始 まるため、取水量 は10万m 3に減少 す る。 8、 9月の取水量 は約8万m 3とな り、 6月 の半分 くらいになる。 これは、 メロンの収穫後、後
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第8図 八竜町畑地港概地区第3機場濯概範囲の土 地利用 と水利施設 (2002年10月)
(八竜町発行 「1:5,000八竜町管 内図」 および2002年10 月の浜 口土地改良区への聞 き取 り調査、現地調査より作成)
作 を行 わない農家が多 いためであ ると考 え られ る (第8図)。
Ⅲ まとめ
以上、八郎湖周辺地域の濯概水利について考察 し た。結果、以下のことが明 らかになった。
1. 水管理組織 は、周辺干拓地で7組織、干拓地以 外で11組織存在 した。
2.受益面積 は、周辺干拓地で1046.9ha、干拓地以 外で3223.8haであった。
3.水利施設 は、周辺干拓地では干拓事業で造成 さ れた取水 口と排水機場が共通 して設置 されている。
干拓地以外では揚水機があ り、西部承水路側では畑 地濯概施設 も存在する。
4.取水方法 は、周辺干拓地では取水 口か ら自然傾 斜 によって行われている。干拓地以外では、揚水機 による動力取水が行われている。
5.排水方法 は、周辺干拓地では排水機 による機械 排水が行われている。干拓地以外では、八郎潟町を 除いて、 自然排水である。
6.水利慣行 は、八竜町畑地濯概地区を除 き、両地 域 ともに水利慣行 はとくに存在 しない。水管理 は揚
水機 または排水機の管理人が行 っている。
7.他の用水源 は、周辺干拓地では背後地水 田か ら の濯概余剰水を使用 している。干拓地以外では、濯 概余剰水の反復利用 に加え河川か らの導水、溜池 と 地下水の利用がみ られた。
8.濃蘭水利権 は、周辺干拓地の取水施設 において すべて許可水利権である。水利権所有者 は農林水産 大臣であ り、施設管理者 は各水管理組織 となってい る。干拓地以外では、 3つの取水施設のみが許可水 利権を取得 している。水利権所有者 と施設管理者 は、
1つの取水施設が両方 とも秋田県知事 となってお り、
あとの2施設 はどち らも水管理組織 とな っている。
その他の取水施設 はすべで慣行水利権である。 9.水利用 は、干拓地では8月 に最大取水量を記録
している。干拓地以外の八竜町の畑地濯瀧地区では、
取水量 は6月に最大 となっている。
本稿の作成 にあた り、秋田大学教育文化学部の肥 田登先生か ら終始貴重な御助言をいただいた。また、
現地調査 にあたっては、各水管理組織、秋田県庁、
JA、農家 の皆様 に終始暖かい御助言 な らびに御協 力をいただいた。末筆なが ら、深 く感謝いた します。
注
1) 南部干拓第4工区干陸の影響で、背後地水田の
濯概用水源である溜池の水位低下、湧水の枯渇が お こった。そのため、当時の農林省 に、南部干拓 第4工区高位部承水路 に揚水機を設置 して もらっ たとい う (八郎潟干拓事務所編 (1969),pp.417 および水管理組織への聞 き取 り調査 より)。
2) ファームポン ドとは、固場内あるいはその近傍 に設 ける小規模 な貯水槽のことである。
3)二田水路は、1866年 (慶応2)に二田祐蔵によっ て開削 され、新城川上流の秋田市五十丁か ら取水 されている (秋田県土地改良史編纂企画委員会編 (1985),pp.592‑610より)0
文 献
秋田県土地改良史編纂企画委員会編 (1985):『秋田 県土地改良史』秋田県土地改良事業団体連合会, 1097p.
竹内常行 (1980):『日本の稲作発展の基盤一溜池 と 揚水機』古今書院,452p.
田林 明 (1992):つ くば市 における湖沼潅概 シス テムの統合化.地域調査報告,第14巻,65‑74. 八郎潟干拓事務所編 (1969):『八郎潟干拓事業誌』
農業土木学会,815p.
堀内義隆 (1959):湖東平野 における逆水濯概の地 理学的研究.地理学評論,第32巻,70‑82.
‑61