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歴史学習に及ぼす自己生成精緻化及び自己選択精緻 化の効果

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

歴史学習に及ぼす自己生成精緻化及び自己選択精緻 化の効果

著者 豊田 弘司, 辻村 美佐子

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 49

号 1

ページ 143‑148

発行年 2000‑11‑10

その他のタイトル The Effects of Self‑Generated and Self‑Choice

Elaboration on the Memory of Historical Facts

URL http://hdl.handle.net/10105/1403

(2)

奈良教育大学紀要 第49巻 第1弓つ人文・社会)平成12年 Bull. NaraUniv. Educ,Vol. 49, No. 1 (Cult.&Soc.上 2000

歴史学習に及ぼす自己生成精線化及び自己選択精潅材ヒの効果

nn lll I]〕 I.J

(奈良教育大学心理学教室)

辻 村 美佐子

(奈良県立奈良高等学校) (平成12年4)]4H受埋) キーワード: 自己生成粕勧化、自己選択精轟化、 I‑・般的知識

豊W (1987)は、従来の楕離化の定義に関する記述 (Jacoby&Craik,1979 ;太田・原,1980)をまとめ、楕繊化 とは、記銘項LIE二情報を付加することとしているE、そし て、付加される情報が誰によって提供されるかにより精 由化は2つに分けられるJ 一一万は実験者によって付加情 報が提供される場合であり、これを実験者呈示晴耕化 (experimenter‑provided elaboration)と呼ぶr 他方は、被 験者自身が情報を生成し、提供する場合であり、これを

自己生成粕掛化 {sell‑generated elaboration)と呼ぶ, 豊山(1998)は、自己生成精練化に関する研究を展望 し、実験者呈示粘新化よりも有効であるという報告の多 いことを指摘している̲,中でも、自己生成精離化と実験 者呈示精勧化の効果を直接比較した代表的な研究として は、 Presslcy.McDaniel,Turnure,Wood&Ahmad (1987)が 有名であるっ 彼らは、基本文(ex. 「みにくい男がプラス

手ツタ粘Lを貰った二,」)に対して、精練的質問(eヽ. 「何 故、そのPJがそのようなことをするのか,二,」)を設定し、

それに対する答(ex. 「マスクをつくるために」)を被廉 者に答えさせる自己生成精勧化(生成)条件、基本文に 対する理解度を評定させる統制条件、及び実験者がIl示 した止しtl答を含んだ文(ex. 「マスクをつくるためにみ にくい男がプラスチ、ソク粘上を買った.一」)の理解度を評 定させる実験者呈示(呈示)条件における偶発記憶を比 較したp.その結果、生成>呈示≧統制条件という関係が 兄いだされた。̲.彼らは、生成条件が呈示条件よりも記憶 成績がよいのは、精轍的質問によって被験者が自己′仁成 した楕耕化は、 J実験者によって呈示された精離化よりも 被験者の知識構造に‑・致しているためであると解釈L m

このように自己生成楕轟化は効果的な符号化なので、

教科内容の学習に対する応糊可能性が検討され、その有 効性が示されているこつ叫えば、 Woloshyn, Prcssley,

Ll :1

&Schneider (1992)では、カナダの州に関する基本文 (亡X. 「ノバスコシアは軍隊に最もお金を使っている州で ある」に対して、 Why質問(ex.「何故、ノバスコシア ぱ車隊に最もお金を使う州なのか?」)を与え、それに 答えさせる生成群が単に記述文を読む統制群よりも記憶 成績が良いことを示しているL ただし、被験者がwhy質 問に答えるための知識(先行知識)を持つ場合と持たな い場合で自己′[‑j射竜締打ヒの育効性が異なることが指摘さ れている̲,

また、 Woloshyn,Wood&Willoughby (1994)は、理科 教材を‖いた検討を行っているが、ここでも生成群が、

他の群よりも優れた記憶成績を示している.ただし、こ の研究においても、被験者が質問に答えるための知識を 持つか否かという点に注目して、基本文の半数は被験者 がすでに学習している内容、残り半ま射ま残り半数は末学 習の内容を設定している。,そして、被験者が質問に答え るための知識を持つか歪かが自己生成精離化の有効性と 重要な関係があると述べている.

しかし、ここでいう知識とは教科の内容に関わる専門 的知識ではない。というのは、楕敵的質問に対する答が 1上答であるか吾がよりも、被験者が自分の知識を利用し て答を生成したか否かが再生成績に影響しているからで ある(Symons & Greene, 1993)ニ特定の教科内容に関す る楕敵的質間にfF̲答するためには専門的知識が必要とな るが、それがなくても ‑般的知識によって答を生成する ことが重要なのである̲l したがって、自己生成楕轍化の 有柳生は、学習事象と被験者のもつ‑一般的知識の関連づ けによって規定されるといえよう,i

そこで、この自己生成精勧化をさらに検討するのであ るが、本研究ではこれまで扱われなかった歴史の教材を 記銘f仲トとすることにした,=,例えば、 「織m信長は比叡 山延暦寺を焼き討ちにした」という基本文に対して「何

(3)

144

豊 田 弘 司 ・ ‑J⊥ 柏 美佐」7

故、織田官長は比叡山延暦寺を焼き討ちにしたのですか」

という晴耕的質問に答えさせる生成条件を設ける.,上述 したように、答が正答であるか否かよりも被験者の一般 的知識と関連づけることが重要であるから、答は必ずし

も歴史的に1二Lくなくてもよい旨を指示する.そして、

車に堪本文の理解度を評定させる条件と記憶成績を比較 するのであるt二 ただし、被験者がもつ一般的知識量は、

自己生成精轍化の有効性を規定する重要な要因である。

というのは、この一般的知識量によって精練的質問に対 して生成される答が規定されるからであるL‑ 事実、

Wood, Willoughby. BolgerlYounger & Kaspar (1993)及び Woloshyn,Wood &Willouehbv (1994)では、知能検査で 測定される‑・般的先日請の得点が高い者は生成する答の質 (適切性)が良くなり、再生率が高まるが、その得点の 低い者は、その質が悪く、再生率が低いことが示されて いるL‑ さらに、答の生成ができない場合も多くなると考 えられる。 Hashtroudi. Parker.DeLisi & Wyatt (1983)は、

記銘項目に対する適切な情報を生成する段階と、その適 切な情報(適切精練化)を手がかりとして記銘項目を認 知構造へ統合する段階があることを指摘しているしもし、

答が生成できないと、記銘項目を認知構造に統合する手 がかりがなくなり、記銘語の再生率は低下することが多 年 これは、 pressleyetal. (1987)のデータにおいても 示されている̲,また、答を生成できた場合でも、その答 が不適切である場合には、それが統合への手がかりとし て機能しないので、再生率の低下をまねく可能性が高tl̀二 したがって、自己生成楕出化における唯一の問題点は、

精敵的質問に対する答を生成できない場合に生じる記憶 成績の低トである,=.

そこで、この問題点に対応するために、精練的質問に 対する答の選択肢を設けて、その中から答を選択させる 方法(自己選択楕勧化)を新たに考案した,こ、異体的には、

基本文(「織U]信長は比叡山延暦寺を焼き討ちにした」) に対する特約的質問(「何故、織柑信長は比叡山延暦寺 を焼き討ちにしたのですか」)の答の選択肢を実験者が2 つ皇示して、被験者に選択させるというものである 先 に紹介した実験者呈示楕勧化は答が1つ呈示されるのみ であるが、自己選択精勧化は呈示された答から被験者白 身が選択するという行為が含まれているEつ 選択するとい う行為は、生成するという行為と同じく、自己が関わる 行為である。高橋(1989)は、被験者が自ら記銘項目を 選択する場合の方が実験者によって慮制的に記銘項目と される場合よりも記憶成績が良くなる現象を自己選択効 栄(self‑choice effect)と呼び、この現象に関する諸研究

(Monty & Perlmuter, 1975; Perlnluter & Monty, 1973こ

perlmuter& Monty, 1982)の展望を行っている‑ そして、

この効果の説明として、被験者が自己選択することによ って動機づけ(Monty, Rosenberger, & Perlmuter, 1973;

perlmuter & Monty, 1973)や注意(Monty, Perlmuter∴

Libon,& Bennet, 1982; Perlmuter & Monty, 1982)が高まる ことがあげられている,̲′この自己選択効果と同じように、

選択肢として対呈示された情報を被験者が選択すること によって、記銘文の知識構造への統合が促進されるしや すくなると期待できる.̲,さらに、実験者呈示楕轍化と同 じく、答が呈示されているのであるから、統合のための 手がかりがないことはありえないこ,このように、自己選 択楕轍化は、自己生成帽縮化の問題点をなくし、答を選 択させることで動機づけや注意が喚起され、記銘文が認 知構造へ統合されやすくなるといえる.J そこで、本研究 ではこれまで検討されてきた自己生成精練化に対する自 己選択精癖化の有効性を検討することにした‑,

さらに、本研究の記銘文の内容をすでに知っている場 合(既知項臼)と知らない場合(未知項目)で各精勧化 の有効性は異なると考えられる‑,それ故、この両者を区 別して分析することにした。

既知項Uについては、 一般的知識の多い被験者はその 記銘文に対して楕紐的啓開がなされた場合に適切特級化 を生成することができるが、それの少ない被験者はその 生成が難しい,ニ それ故、高群では生成条件が選択条件よ

りも再生率が高くなるが、低群では生成条件と選択条件 間に妾がないてあろう(実験仮説1主 ‑I一一万、末知項目 については高群でも低群でも楕轍的質問に対する適切精 離化が桂しいので、生成条件と選択条件の間には羊がな いであろう(実験仮説2)‑,記銘文のみを皇示し、その 理解度を評定させる統制条件を加え、上述の2つの実験 仮説を検討するのが本研究の目的である。

なお、被験者が記憶を意図せず、学習材料に対して何 らかの処理をする過程で成立する偶発記憶は、 壷・生 徒が教師から呈示される情報を理解しようとする過程で 自然に成立する記憶と共通性が高いE二,それ故、偶発記憶 手続を用いることは、教授場面での記憶を例証するには 適しているといえる(豊L且1997主 したがって、本研究 では偶発記憶手続を用いることにした。

方 法

実験計画 2 (一般的知識の高低) ×3 (精轍化型;

生成、選択、統制)の要因計画が朋いられた。前者は被 験者聞要因、後者は被験者内要因であるコ

被験者 被験者は大学生66名(男21、女45)であり、

平均年齢は20歳4か目(19歳4か目‑22歳7かH)であ

った二,

材  料 a)方向づけ課題リスト 方向づけ課題リ ストとして、 [」本史教材をもとに、歴史Lの人物とその 人物に関わる事実を組み合わせた記銘文を30文作成し た,̲ また、各文に対する精確細り質問に対する答(理由)

(4)

歴史学習に及ぼす自己生成精微化及び自己選択精微化の効果

Table 1

本研究で用いられた記銘文と精微的質問に対する答(理由)の例

145

記銘文      答(理由)

徳川家康は大坂夏の陣で豊臣秀頼を滅ぼした。 徳川家康は豊臣秀頼に恨みを持っていたから 徳川家康は豊臣秀頼の領地が欲しくなったから 井伊直弼は天皇の許可のないまま日米修好通商条約を結んだ 井伊直弼は天皇の力を軽く見ていたから

井伊直弼はアメリカの力におびえていたから

伊能忠敬ははじめて日本地図をつくった      伊能忠敬は旅行が好きで全国を歩いた経験があったから 伊能忠敬は日本初の地図をつくりひと儲けをしようと思ったから

を示す文も2文ずつつくられた。これらの文は選択条件 において選択肢として呈示されるものであり、 I一一・般的知 識の影響をみるために歴史的に正しい文は含まれていな い。記銘文及び答の文例はTablelに示されている。方 向づけ課題リストは30文からなり、要因計画に対応して 3つの精線化の型を含み、各型に10文ずつが割り当てら れた。ただし、リスト内の系列位置に型の偏りがないよ うに、リストの先頭から3文ずつを1ブロックとし、プ ロ、ソク内に必ず各型に対応する文が1文ずつ入るように 配列した。各型に対応する文をカウンターバランスして 3種類のリストを作成し、どのリストも、氏名、年齢、

男女の別を記入する欄と作業内容を教示した説明文を記 載した表紙、さらに練習のための例文(各精練化型1文 ずつを含む)を印刷したページをつけたB6判34ページ の小冊子にされた。各型に対応する小冊子のページ例は Figlに示されている。なお、どのページにおいても、

記銘文に書かれた史実をすでに知っていたか否かを記入 する欄が設けていた。

b)自由再生テスト用紙 方向づけ課題終了後、自由 再生テストを行うが、そのための用紙が用意された。こ の用紙はB5判用紙の2枚1組で、 1枚目には小冊子の 各ページの一番上に書かれていた記銘文を思い出した順 に記入するように指示した教示文及び氏名欄、 2枚目に は記銘文を書記再生するための罫線が印刷されていた。

手 続 実験は偶発記憶手続を採用し、集団で実施さ れた。

1)方向づけ課題 被験者に上述の方向づけ課題の小冊 子を配布し、社会科の教材に関する調査なので、協力し てもらいたい旨を説明した。そして、精線化型に対応す る3種類のページがあり、それぞれに対して課題が異な ることを例文をあげて説明した。その後、小冊子の最初 の3ページにある練習をしてもらった。

課題の仕方が理解されたことを確認した後に、被験者 は実験者の合図にしたがい、 30秒ごとに小冊子のページ をめくり、精勧化型に対応する反応(生成条件では、精 紐的質問の答を記入する、選択条件では、精紐的質問の

答として皇示された2文から、ふさわしいと思う1文を 選択する、統制条件では、皇示された記銘文の理解しや

答(理由)は、すべて歴史的には正しくない。

自己生成楕線化(生成)条件

織 田 信 長 は 比 叡 山 延 暦 寺 を 焼 き 討 ち に し た 0

① 織 田 信 長 は な ぜ 、 比 叡 [U 延 磨 .寺を 焼 き 討 ち に し た の で す か 0 =

「ー

② こ の 文 こ吾 か れ て い る こ と を す で に 知 / 〕て い ま し た か 〔) ( ) 知 っ て い た ( ) 知 ら な か っ た

自己選択精勧化(選択)条件

綴田信長は比叡山延暦寺を焼き討ちにした.

①織冊言長はなぜ、比叡‥1延暦寺を焼き討ちにしたのですか。

(どちらかに○)

a 織田信長は延暦寺の個に個人的な恨みをもっていたから。

b 織fflf言良は仏教が嫌いでJ(きな亨を無差別に焼き払‑)ていたからー

②この文に吾かれていることをすでに知っていましたか ( )知っていた     ( )知らなかった

統制条件

権田信長は比叡山延暦寺を焼き討ちにしたo

①この文はわかりやすいですか。

わかりやすい

5    4     3    2

わかりにくい

②この丈に書かれていることをすでに知っていましたか〕

( )知っていた    ( )知らなかった

Fig.1各条件に対応する小冊子のページ例

すさの程度を5段階で評定する)を記入していった。)な お、どのページにおいても、記銘文の史実をすでに知っ ていたか否かの判断を記入してもらった。

2)自由再生テスト 書記自由再生テストを7分間実施 した。被験者は、上述した自由再生テスト用紙を配布さ れ、小冊子の各ページの 一番上に書かれていた記銘文を 思いだした順に書記再生していった。

3) WAIS‑Rテスト 被験者の一般的知識を査定するた めに、 WAIS‑Rの「知識」を1週間後に集団実施した。

被験者は、実験者によって読み上げられた「知識」に含 まれる問題に対する答を配布された用紙に記入していっ た。

(5)

146 豊 田 弘 司・辻 村 美佐子

Table 2 知識高群.低群における楕轍化型ごとの平均自由再′t率 楕線化型

項I Jill‖ir】k       '上成      選出      統制 既知    l'lj

6   亡 U   n U   よ り

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3   5   ハ U   7 乱   [ 5 サ

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︼   3   0   八 日

結 果

WAIS‑Rテスト 「知識」テストの平均点は21.51 (29 点満点)、標準偏差は3.42であった.二 そのうち、 22点か ら28点までの14ft (平均24.07、標準偏差1.75)を知識の 高群、 12点から19点までの14名(平均17.29、標準偏差 2.22)を知識の低群として抽出した,‑,

自由再生率Table2には、晴耕化型ごとの平均自由再 生率が、既知項目と未知項目に分けて示されている二,こ の自由再生率を角変換して、 2 (知識の高低) ×3 (精 勧化型) ×2 (既知.未知)の/Jf散分析を行った'm講 の高低の主効果(F(1.26‑ =12.70.p<.01)が首意であり、

高群が低群よりも自由再生率が高かった,,また、既知・

未知のi二効果(F(う=12.92,p<‑01)も有意であ右上既 知項E]の自由再生率が末Xll項HのそれよI,)も高かった,̲,

さらに、知詣抽〕高低×精線化型×既知・未知の交互作Tll (Fi2.52) =5.92,p<.01)が存意であったし この交互作用に ついて実験仮説に対応させて、既知項目と未知項日ごと

に単純交互作用を検討したところ、既知項目において知 識の高低×粘勧化型の単純交互作目(F(2.104) =2.51, pく.10)が有意傾向であった二,単純・単純主効果検定の 結果、知識の低群では精練化型に主効果は有意でなかっ

たが(F=.58)、高群ではその上効果が有意傾向であった (F=2.48, p<.10),J多重比較を行ったところ、生成条件が 選択及び統制条件よりも再生率が高く(t=2.12,p<.05こ t=1.72,p<.10)、後2者間には若はなかった(t=.50),

・方、末知項Ilにおいては、知識の高低×精練化型の 単純交互作問(F (2.1√。 =3.18,pく.05)が存意であった.

単純・単純主効果検定の結栗、知識の低群では精確材ヒ型 の主効果(Frユm =2.50,p<.10)が有意傾向であり、多 重比較を行ったところ、生成及び選択条件が統制条件よ

りも再生率が高かったが(t=2.ll. p<.05: t=1.6且p<.10上 前2者間には差はなかった(t=.43主高群でもその上効果 が有意傾向であったが(F(2.1041 =2.93, p<.10主 多重比較 の結果、選択条件が′卜成条件よりも再′上率が高かったも のの(t‑2.42, p<.05)、他の条件間に善はなかった(選択

と統制の間はt=i.25 ;生成と統制のl昌月まt=1.17主

(白軸まSD 考 察

既知項目の自由再生率においては、高群では生成>選 釈‑統制、低群では生成‑選択‑統制という関係が示さ れた。この結果は、実験仮説1を支持するものであった.I 先にも述べたように、 Pressleyetal. (1987)は、自己牛 成精耕化の効果は、被験者が自己生成した楕耕化が、実 験者によって呈示された精離化よりも被験者自身の認知 構造に適合していることによると述べている.ー そして、

生成される精紐化の適切ノl舶ま、被験者の知細二依存して いる(Woloshyn el al., 1992こWoloshyn etとil.. 1994).本研 究において既知項目に関して高群の被験者自らが生成し た楕線化は、被験者の知識構造に適合したものであり、

豊富な 一般的知識によって生成された粕紐化は適切精練 化であったノ それ故、既知項Hを認知構造へと統合する 上での手がかりとして有効に機能し(Hashtroudi et al..

1983上 その結果として山巾再生率が高くなったといえ よう=.一方、低群の被験者によって生成された精練化は、

高群と同じく被験者の認知構造に適合したものである, しかし、高群に比べて知識が乏しいために生成された粘 耕化は適切性が低かったと考えられる,=,そのために手が かりとして有効に機能せず、再生率が低下したのである̲.

統別条件と差がないことは、被験者が適tJ]精紐化を自己 生成するのが難しいことを反映しているといえよう̲.ま た、有意差こそないものの選択条件が数値の上で最も高 い再生率になっていることは、選択条件において答に対 応する2つの選択肢を呈示され、被験者は自分の認知構 造により適合する方を選び、それを有効な手かかりとし て利用していたと考えられる,,

次に、未知項目の自由再生率においては、高群では選 択≧生成‑統制、低郡では生成‑選択>統制という関係 が示された,この結果は、低群においてのみ実験仮説2 を支持するものであった,‑ 未知項目については高群でも 低群でも精轍的質問に対する適切晴耕化の生成が難しい ので、生成条件と選択条件間に圭がないと予想した1確 かに低群においては知識が豊富ではないので、適切楕縮 化の生成が困難であり、適切楕線化の選択肢が呈示され

ている選択条件との差がなかったといえよう。

(6)

歴史学習に及ぼす自己生成精韻化及び自己選択楕敵化の効果

さらに、注HLたいことは、未知項目であっても、統 制条件よりも選択条f牛が再生率が高いという結果であ る適U用轟IL化(.0'卜戒が困難>‑III

‑3.h,j合には、たとえ実験者

によって皇示された適切楕耕化であっても、有効な手が かりとして機能していることがわかる。ただし、本研究 においては、統制条件が単に記銘丈の理解度を評定させ るものであった̲.統制条件としては、本研究とI司じよう に記銘文のみを呈示する場合(Wololhynetal.,1992こ Martin&Pressley.1991etc.,や適切精糾化に対応する文 を対呈示する場合(Pressleyetal.、1987;WL>odetal‥1993 etc.)がある。選択するという行為が楕離化の有効性を 高めることを確かめるには、後者の統制条件を設定すべ きであり、今後の課題である,̲

一一一方、高群では実験仮説2とは異なり、選択条件が生 成条件よりも再生率が高かったしこれは、末知項目であ るが故に、知識が豊富な被験者であっても、自分で適切 楕紐化を生成することは難しく、選択条件において呈示 された選択肢が有効な手がかけとして機能したと考えら れるしさらに、有意差こそなかったものの生成条件は統 制条件よりも再生率が低かった,ここの結果は、未知項目 に対する適切楕轍化を′主成することに認知的努力が配分 され、肝心の記銘文にはその配分が少なくなったといえ よう‑Kee&Davies(1990)は、対連合学習事態におい て楕勧化に費やされる心的努力と対項Uの記銘に費やさ れる心的努力の総和は年齢にかかわらず、一定であると 主張している二,したがって、本研究の生成条件において はあまりに適切精練化の生成に心的努力が配分された結 果、記銘文そのものの記銘に配分される心的努力が少な くなったのであろうJ

最後に、本研究では自己選択精勧化を新たに考案し、

その有効性を検討したが、一般的知識の低い古にとって はその百m封土自己生成精轍化のそれに甚敵するもので あった.つ適切楕轍化が生成できない場合であっても、適 切精離化を選択することによって、記憶を促進する可能 性のあることが示唆されたのである′ニ.今後は高校生の歴 史の授業への道川の可能性を検討する必要があるEニその 際、自己選択精粗化における選択肢として歴史的に正し くない事実を呈示することの是非等についても考慮する 必要があろう,̲,

要約

付叶Xo)l川'Jは、歴史的事象Mt¥il二おいて甘iii'j知 識の高低による自己1一成楕離化と自己選択楕緑化の効果 を比較することであった,ニ被験者は大学生で、偶発記憶 手続を用いた集酢実験を実施した.I,まず、方向づけ課題 を行い、その後、書記自由再生テストを行った,lその結 果、被験者がすでに知っている記銘文(既知項目)の自

e由

由再生率においては、高群では生成>選択‑統制、低群 では生成‑選択‑統制という関係が示された:一方、未 知項目の自由再生率においては、高郡では選択≧生成‑

統制、低群では生成‑選択>統制という関係が示された̲l これらの結果は、一般的知識の低い者にとっては、自己 選択帽縮化の有効性は自己生成精離化のそれと等しいこ

を′]AI峻するものと解釈された[つ 引用文献

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(7)

148

The Effects of Self‑Generated and Self‑Choice Elaboration on the Memory of Historical Facts

Hiroshi TOYOTA

( Department of Psychology, Mara University of Education, Nara, 630‑8528, Japan)

こ1IK

Misako TSUJIMURA

(Nara Senioi・ High School Nara, 630‑8113, Japan) (Received ApriH, 2000)

The present study investigated the effects of self‑generated elaboration, and selfchoice elaboration on the memory of Japanese historical facts. The subjects perイornled an unexpected free recall test after an orienting task designed to force self‑generated elaboration, self‑choice elaboration, and control conditions. In the self‑generated elaboration condition, each subject was presented with target sentences (e.g., HNobunaga Oda burnt down EmYakuji Temple.‑ 1 , and then asked to answer a 'why'question about each sentence (e.g., "Why did Nobunaga Oda burn down Enryakuji Temple?" ). In the self‑

choice elaboration condition, subjects selected an answer from alternatives to the 'why‑ question about each sentence. In the control condition, subjects rated the comprehensibility of each sentence.

In a recall test of sentences that the subjects had known the historical facts described in them, High Knowledge sub‑

jects, who had high scores in the Information subtest of the WAIS‑R, recalled the self‑generated elaboration sentences bet‑

ter than those of self‑choice elaboration and the control, in which a difference was not observed. Low Knowledge subjects had low scores in the same WAIS‑R subtest. They recalled the self‑generated elaboration, and self‑choice elaboration sen‑

tences (for which a difference was not obser・ved) better than those of the control condition. In a recall test of sentences that the subjects had not known the facts described in them, High Knowledge subjects recalled sentences of the self‑choice elaboration condition better than those of the self‑generated elaboration and control conditions, in which a difference was not observed. Low I血owledge subjects recalled the sentences of the self‑generated elaboration, and self‑choice elaboration conditioils, better than of the control. A difference was not observed between the two elaboration conditions.

The results were interpreted as indicating that self‑choice elaboration, and selfgenerated elaboration, are effective for encoding in memoiy.

Kev Words: self‑generated elaboration, self‑choice elaboration, free recall

参照

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