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第二種自己組織化 : 脳の機能分化とアプリオリな時間空間概念

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Academic year: 2021

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第二種自己組織化 : 脳の機能分化とアプリオリな時間空間概念

津田一郎

Ichiro Tsuda

北海道大学電子科学研究所

Hokkaido University

1. はじめに

自己組織化理論はサイバネティクス研究とともに問題意識が 鮮明になり理論を整備する機 運が高まったと考えられる。そ の流れを受けて、1960年代から1980年代にかけて、特にプ リゴジンらの散逸構造論、ハーケンらの隷属原理によって非平 衡系における秩序形成の理論が定式化された。そこでは、非線 形非平衡系の多くの巨視的協働現象はこの自己組織化原理に よって説明可能であるとされ、自己組織化理論は爆発的に進展 した。すなわち、巨視的秩序状態としての時空パターンが秩序 変数と捉えられ、秩序変数の出現が非平衡開放系の中でいか にして起こるかが定式化された。このように、自己組織化理論 は系を構成する要素としての原子、分子の微視的レベルでの 協働的な相互作用によって巨視的レベル での秩序状態が出現 し、その秩序状態がまた微視的レベルの要素の運動を規定する という形で定式化されている。非平衡開放系は系にエネルギー 散逸を課すので、環境変数は陽には現れず、それは境界条件、

ノイズ項、あるいは分岐パラメーターとして秩序変数の運動を 規定する力学系に隠に現れる。他方で、環境変数を陽に取り扱 うことが必要になる自己組織化現象が存在する。例えば、脳の 機能分化などの分化の問題は、従来の自己組織化理 論では必 ずしも十分に説明しきれない側面を持つ。それは、機能分化の 問題は、系全体にかかる拘束条件を満たすように系を構成す る成分要素(あるいは部品)が組織化されていく現象であるか らである。別の例としては、神経細胞が密に集合すると、細胞 間にephaptic couplingが生じ、それによって拡散的に広がっ た電場が支配的になり、むしろ個々の神経 細胞の活動はこの 場によって再定式化されなくてはならない。こういった機能分 化や機能単位の再定式化に関する自己組織化をここでは第二 種自己組織化と呼ぼう。我々は、結合写像系に伝搬情報量最大 化などの変分的な拘束条件を通して環境変数を導入すること で、 ニューロンの分化や大脳皮質における機能モジュールの 分化に関する数理モデルを構築し、 詳細に解析した。解析結 果は第二種自己組織化の存在を示唆している。他方、ラット脳 の海馬では場所を特定する場所ニューロンや時間経過を特定す る時間ニューロンが発見され ている。海馬はこれらの細胞に よってGPS機能だけでなく、ワープ機能も獲得し、想像力の 源になっている可能性がある。これらのニューロンがいかにし て構築されたかを第二種 自己組織化の観点から考察すること は、カントのアプリオリな時間、空間概念が人の脳において実 現されるか否かの問題に神経科学からの回答を与えることにな るだろう。

連絡先:津田一郎,北海道大学電子科学研究所

参考文献

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1

The 29th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2015

3I4-OS-02b-4

参照

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