• 検索結果がありません。

博 士 ( 医 学 ) 村 下 十 志文 学 位 論 文 題 名

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "博 士 ( 医 学 ) 村 下 十 志文 学 位 論 文 題 名"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 医 学 ) 村 下 十 志文

学 位 論 文 題 名

Temperature‑response studies of the detrimental effects of multidose versus        singledose cardioplegic solution in the rabbit heart

( 家 兎 摘 出 心 に お け る 心 筋 保 護 液 multidose 投 与 法 の 温 度 依存 性 効果 に 関す る 研究)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

I研究 目的

  開 心術 中にお ける心 筋保護 にお いて, 晶液性 心筋保 護液が 臨床 的及び 実験的にも優れた効果が あ ること は広 く認め られて おり, またそ の投 与法と して虚 血直後 の初 回注入にひき続き虚血中も 間 欠 的 に 投 与す る 方 法 (multidose法 )が 初 回 の み の1回 投 与 法 (singledose法)に 比し有 効 で あ り , 臨 床的 に もmultidose法 が 広 く用 い ら れて いる。 しか しなが らこれ らの心 筋保護 液の 組 成,投 与法 の検討 は成人 (成熟 心)を 用い た結果 であり 新生児 (未 熟心)においてはその有効 性 にっい て疑 問がも たれて きてお り,特に新生児開心術の成績の不良な原因のーっとも考えられ,

未 熟 心 の 心 筋保 護 法 が 見直 されて きて いる。 実験的 には現 在使用 され ている 心筋保 護液のsln‑

gledose法 が 未熟 心 で も あ る 程度 有 効 で あ るこ と が 確 認 され て い る が, 低温下 のmultidose法 で は むしろ 傷害的 に働く との 報告が ありい まだ議 論が多 い。 本研究 では未 熟心に おけ るsingle‑

dose法に 対 す るmultidose法 の 効果 を 常 温 か ら 低温 に か け 広 範囲 の 虚 血 温 度の 条 件 下 で 検討 し ,その 温度 依存性 効果を 明らか にする こと を目的 とした 。

H対 象 と 方 法

  生 後7―10日 のNew Zealand White rabbit(100―150g) の 摘 出 心 (約600mg)を用い ,左室 灌流 モ デ ル で あ るisolated working heart modelを 使用し た。pentob arbitalに て麻酔 して心 臓を 取り 出し, 大動脈 にカニ ュレ ーショ ンした 後,Langendorff冠灌流 を55cmH:0の圧で 行な っ た。 続 い て 左 房 にカ ニ ュ ラ を 装着 し14cmH:0の 左房 圧 を 前 負 荷と し ,55cmHよ0の 後負荷 にて working灌 流 を20分 間 行 な い 虚血 前 の 心 機 能( 心 拍出量 等)の 評価 を行っ た後プ 口トコ ールに

(2)

従 っ た 虚 血 条 件 ( 温 度, 時 間, 心筋 保 護液 投与 法 )と した 。 虚血 後15分 間のLangendoff再灌 流を 経 て再 びworking再 濯流 を20分 問行 い虚 血 後の 心機 能 を再 度評 価 し, その 回 復を 虚血 前 値 に対 す るパ ーセ ン トで 標示 し た。 灌流 液 はKrebs Henseleit bicarbonate buffer(NaCl 118.5, NaHCOヨ25.0,KC14.8,MgSOユ1.2,KH:PO。1.2,glucose 11. Omm0171itre)を用 い95

%0ユ 十5%COユ を 吹 送 しpH7.4(37℃ ) に 保 っ た, 心 筋保 護液 はSt.Thomas液(NaClllO, NaHC0ユlO,KC116,MgC1よ1.2mmol/litre) を使 用し , 実験 条件 に 応じ 注入 温 度を 変え た 。

m実験 プ口トコール及び 結果

実験1: multidose法の 温度依存性効果

    各 温 度下(37,34.5,32,28,20,15,10℃ )の 虚血 保 存に おけ るsingledose法に 対す る   multidose法の 相対 的 効果 を明 ら かに する た め, まずpilot studyを行 い 各温 度におけるsln‑

  gledose投 与群 の心 拍 出量 回復 率 が55・75% とな るよ うに虚 血時間を決定した 。結果として虚   血温度37, .34.5,32,28,20,15,10℃での虚 血時間は各々1,1.5,1.5,3,10,12,18時   間 に 設 定 さ れ , 各 温 度 に お い て 新 た にsingledose群 とmultidose群 をrandamizationし 各   群 (n二 ニ8/ 群 )の 心拍 出 量回 復率 を 比較 した 。multidose群の 心 筋保 護液 投与は3・18時間   の 虚 血で は60分 毎に ,ま た1・1.5時間の虚血実験 では30分毎に2分間注入した 。各温度下にお   けるsingledose群の心拍出量回 復率は55.7土5.6%,68.5土6.8% ,・73.8土4.1%,54.6土5.3   % ,56.3土7.5%,59.5土7.7% ,81.3土2.3%で あったのに対しmultidose群 では75.7土1.5   %,78.4土4.8%,65.0土5.8%,36.7土5.8%,34.6土7.5%,25.9土6.0%,9.6土6.4%であ   り ,37℃に おい て はmultidose群 がsingledose群に 比し 有 意に 良好 な 回復 率を 示 した が温 度   を 下 げる に従 い その 優位 性 は減 少し ,15℃ 以下 で はsin gledose群より劣り10℃においては有   意 に 劣 っ て お り ,multidose法 に は 温 度 依 存 性 の 効 果 が あ る こ と が 示 さ れ た 。 実験2:一定虚血温度下 における虚血時間 の影響

    実 験1に お いて はsingledose群 の 回復 率が55−75%と な るよ うに 設 定し たた め 虚血 温度 を   下 る に 従い 虚血 時 間を 延長 す る結 果と な った 。そ の ためmultidose法 の温 度依 存 性効 果が 虚   血 時 間 の 延 長 に よ る 結 果 で ある 可 能性 があ る ため 、本 実 験で 倣虚 血 時間 を変 化 させ た時 の   multidose法 の 効 果 を 検 討 し た 。 虚 血 温 度 を20℃ に固 定 し虚 血時 間 を6,8,10,12時間 に   延 長 しsingledose群 ,multidose群 及 び 心 筋 保 護 液を 投 与し ないno cardioplegia群 の3群   (n二二6/群 ) の相 対的 効 果を 比較 し た。 結果 は いず れの 虚 血時 間に お いて もsingledose群   の 回 復 率 が 最 も 良 好 で っ い でmultidose群 ,no cardioplegia群の 順で あ りmultidose群 ,

(3)

  no cardioplegia群の効果tまほば同等であった。従って実験1でみられたmultidose法の温   度依存性効果は延長された虚血時間よりも温度そのものによる影響であることが示された。

実験3: no cardioplegia法に対するmultidose法の効果

    各虚血温度下におけるsingledose群,multidose群,no cardioplegia群(n二二8/群)

  の回復率を比較し各投与法の相対的効果,特にno cardioplegia法に対するmultidose法の   効果を明らかにした。各虚血温度下(37, 20,10℃)における虚血時間,心筋保護液投与法は   実験1と同様に設定した。結果は37℃ではmultidose群がsingledoseより有意に良好な回復   率を示し,またsingle,multidose両群ともno cardioplegia群に比し有意に良好な回復率を   示した。しかし10℃においてはこれらの優劣の関係はまったく逆転しmultidose群はsingle‑

  dose群の みな らずno cardioplegia群 に比 して も その 回復 率は 有意 に 劣っ てい た。

IV考  察

  成熟心(成人)では虚血温度に関係なくmultidose法がsingledose法に比し,優れているこ とは実験的,臨床的にも広く認められているが,新生児家兎摘出心を用いた本研究においては singledose法に対するmultidose法の心筋保護効果は常温虚血では有効であるが温度を下げる に従い減少し,特に極度の低温下(10℃)ではむしろ傷害的に働き,心筋保護液を用いない群に 比してもその効果は劣っていた。これまでの未熟心の心筋保護に関する報告をみると一定虚血温 度下,多くは15―28℃の範囲で行われている。本実験からmultidose法の効果は虚血温度に保存 すること,またこの温度範囲ではmultidose法が傷害的に働くようになっていく境界点である ことから,この範囲のしかも一定温度の実験条件ではその効果の判定が難しいことが考えられ,

今まで多くの報告がされているにも拘わらず結論が一致していない大きな要因と恩われた。

  心筋保護液によるmultidose法の利点としては虚血中に蓄積されるlactate,水素イオンなど の代謝産物のwashout,必要基質の補充及び心筋電気活動の停止など多くの理由が上げられて いるが一方その欠点であるカルシウム,ナトリウム,水分などによる心筋細胞障害,浮腫を助長 することが指摘されている。低温では心筋の代謝速度が遅くまた電気活動も抑制され,さらに未 熟心では成熟心に比べ虚血中の嫌気性代謝が盛んでlactate,水素イオンによる抑制も少ないこ とからwashoutの必要性はさらに減少するため未熟心の低温multidose法ではむしろ欠点の方 が強調されたのではないかと思われる。また一方,multidose法の欠点としてのカルシウム,

ナトリウム,水分などによる細胞障害,浮腫は成熟心では現在用いられている心筋保護液で最小 限に抑えられているが未熟心においてはそうではない可能性があり,新たに未熟心の特殊性を考

(4)

慮 した 心筋保 護液の組成,投与法の再検討が必要である。

学位論文審査の要旨

  体外 循環 ・開心 術にお いて術 中の心 筋保 護法は 重要な 課題で ある 。教室 でもこの問題にっいて 詳 細 な研 究 を 続 け て きて いる が,開 心術中 の心 筋保護 液投与 として 虚血 中に間 欠的に 投与す る multidose法 が 初 回 のみ 投 与 す るsingledose法に 比較し 有効 である ことは 臨床的 ,実 験的に 認 めら れてい る。し かし この投 与法の 検討は 成熟 心を用 いた結 果であ り,未 熟心でtま低温multi・ dose法 は む し ろ傷 害 的 に働 くと の報告 があり 未だ議 論が 多い。 本研究 では未 熟心に おけ る心筋 保 護 液投 与 法 の 効 果 を広 範 囲 の 虚 血温 度 の 条 件下 で検討 し,multidose法には 温度依 存性効 果 のあ ること を明ら かに した。

  実験 には 生後7〜  10日 の家兎 摘出 心を用 い,左 房灌流 モデ ルであ るユsolated working heart modelを 使 用し た 。 前 負 荷 ,後 負 荷 を 一 定に し 心拍 出量 を測定 し虚血 後の回 復率を 比較 した。

最 初 に各 虚 血 温 度(37,34.5,32,28,20,15,10℃ ) に お け るsingledose法とmultidose法 の 効 果を 比 較 し た 結 果,37℃ にお い て はmultidose法がsingledose法 より有 意に 良好で あった が 温 度を 下 げ る に 従 いそ の優 位性は 滅少し ,28℃ ではそ の効果 が失 われ10℃ におい ては 極度に 劣っ ていた 。また 心筋 保護液 を用い ないno cardioplegia法と比較した場合,37℃ではmultisin― gledose両法 と もno cardioplegia法 に 比し 優 れ て い たが ,10℃ にお い てはこ れらの 優劣 の関 係 は 全 く 逆 転 し multidose法 に は 温 度 依 存 性 の 効 果 が あ る こ と が 示 さ れ た 。   一般 的 に 低 温 では 心 筋 代 謝 が抑 制 さ れ る た めmultidose法 の効果 が減少 するこ と,さ らに 未 熟 心で は虚血 中の嫌 気性代 謝が盛 んでlactate, 水素 イオン などの 代謝産 物に よる抑 制が少 ない こ と からwashoutの 必 要性 が よ り 減 少す る た め , む しろmultidose法 の 欠点で ある細 胞障害 , 浮 腫 が強 調 さ れ た も のと 考 え ら れ る。 さ ら に , 未熟 心 に お い ては 現 在 の心筋 保護液 組成で は multidose法 の 欠 点 が最 小 限 に 抑 えら れ て い な い可能 性があ り,新 たに 未熟心 の特殊 性を考 慮 した 心筋保 護液の 組成 ,投与 法の再 検討が 必要 である 。

三 顯

達  

  慶

邊 畠

田 北

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

  口頭発表にあたって安田教授より未熟心と成熟心の年令上の区別,構造的相違点,および動物 種間にみられる相違,北畠教授より低温multidose法の傷害機序,Ca―ブ口ツカ―の効果につ いて質問があったが,申請者はおおむね妥当な回答を行った。また,安田,北畠教授には個別に 審査を受け合格と判定された。新生児などの未熟心に用いられる術中心筋保護法にっいて低温で はmultidose法がかえって傷害性に働くことを指摘した本研究は臨床的意義が大きく,学位授 与に値すると考える。

参照

関連したドキュメント

   第6 章で は,夕 張新 炭鉱に おける 湧水の 物理的 及び 化学的 性状に っいて 述べ ている 。湧水 の物 理 的性状 に関し ては, 水温 及び水 圧の計 測結果

   僧帽弁逆流モデル犬において,ANP およびBNP の血漿濃度は非代償性心不全群に

 肺高血圧症患者の診療において右室駆出率は治療効果判定や予後予測に有用な指標である。右室駆

では「隠れ肥満」と体脂肪率正常群間では血漿アディボネクチン濃度に有意差はみられな

   【方法】ハートレイ系雄性モルモットの摘出心ランゲンドルフ灌流装置(大動脈圧 30mm Hg 、左室拡張終期圧10 mmHg) により検討した。30 分間の安定化後、虚血前値と し て

   口頭発表において、宮坂教授よりEMDS

これらの情報を参考として今回の研究を進めた。組織学的に glioma 組織内ヘ浸潤する単核球の 相対的な数量は,他臓器癌のそれに比較して著しく少数である。これはin vitro

   現在、鉄筋コンクリート部材のねじり挙動を変形も含めて評価できる手法として、鉄筋 コンクリート