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Excitonic Coherent Emlssion Process in Semiconductors

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 黒 田   隆

学 ′ 位 論 文 題 名

Excitonic Coherent Emlssion Process       in Semiconductors

( 半導体に おける励 起子コヒ ーレン卜光放出過程)

学位論文内容の要旨

  コ ヒー レ ン トな 光 の 放出 現 象は 、 光 と物 質 との 相 互 作用 が 担う 最 も 基礎 的 か つ単純 な物 理 現象 で あ るが 、 対象 と す る物 質 系 が多 電 子系 で あ る固 体 の場 合 、 放出 過 程が非 常 に 短 時 間 ( 〜10‑12秒 程 度 ) に 進 行 す る 現 象 で あ る こ と か ら 、 必 ず し も 直 接 的 な 実験 が 行わ れ て はい な かっ た 。 また 、 固 体に お ける コ ヒ ーレ ン 卜過 渡 現 象の 理 論的な 取 り 扱 い は 、1970年 代 に 気 体 原 子 集 団 を 対 象 に 実 験 が な さ れ た 「 独 立 な2準 位 原 子 集団 の モデ ル 」 を流 用 して い る もの の 、 その 適 用の 正 当 性が 検 証さ れ て いる わ けでは ない 。 そこ で 本 論文 で は、 固 体 に固 有 な コヒ ー レン ト 過 渡現 象 を探 索 す るこ と を目的 に 、 新 た に2種 類 の 超 高 速 時 間 分解 分 光 法を 開 発し 、 半 導体 の 励起 子 準 位に お け るコ ヒー レ ント 光 放 出過 程 を初 め て 直接 観 測 でき た こと 、 な らび に 、そ の 結 果、 個 体中に お け る 超 高 速 位 相 緩 和 特 性 、お よ び 相関 の ある2つ 量 子 状態 間 の干 渉 現 象( 量 子 ビー ト現 象 )等 の 知 見が 初 めて 得 る こと が で きた 。

  注 目す る 励 起子 準 位 に共鳴する 光パルス を入射す ると、振 動電気分 極が誘起 され、そ こか ら さら に 光 が放 出 される。 放出光は 、パルス 入射ごく 短時間の 間は、入 射パルスと 位相 が 揃っ た 指 向性 の ある 光 ビ ーム ( コ ヒー レ ント 放 出 光) と なる が 、 物質 系 のラン ダム な パー タ ー ベー シ ョン に よ り、 誘 起 分極 の 位相 の 秩 序が 乱 され 、 指 向性 の ある光 ビー ム は急 速 に 減衰 す る( 自 由 誘導 減 衰 )。 こ の減 衰 現 象は 位 相緩 和 と 呼ば れ 、その 特性 時 間( 位 相 緩和 時 間) は 、 固体 に お いて は 自由 度 が きわ め て大 き い こと を 反映し て 、1ピ コ 秒 ( 〜10‑12秒 ) 程 度 と な る 。 位 相 緩 和 過 程 を 観 測 す る こ と に よ り 、 注 目す る 電子 系 と 、格 子 系そ の 他 の自 由 度 との 相 互作 用 強 度の 情 報を 得 る こと が でき、

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さらに応用の面からは、光との相互作用が連続的に持続する時間とも言える位相緩和 時間は、特に光スイッチング等の非線形光学応答特性における最も基本的な物理定数 とも言え、その値を知ることは意義深い。このように位相緩和特性を直接反映するコ ヒーレント光放出過程を観測することにより、多様な物理現象の知見を得ることが出 来るが、以下に述べる様に単純に考え得る時間分解分光ではこの現象を検出すること はできなぃ。

  入射光と位相の揃った放出光は、位相整合条件から、透過ビームもしくは反射ビー ムと同じ方向に放出されることになる。したがって時間幅が十分に短い共鳴パルスを 試料に入射し、透過パルスの時間形状を測定すれば、その信号の時間遅れの部分にパ

´レス入射後も位相緩和時間程度は持続しつつ減衰するコヒーレント放出光が検出され る はず である。近年のレーザー技術の進歩により、時間幅が1ピコ秒以下の超短パル ス光源は既存の方法(モードロックパルスレーザー法)で生成でき、さらに超高速の 時間分解能が要求される透過光パルスの時間形状の測定も、エレクトロニクス技術を 用いる限り不可能であるが、非線形光和周波混合法を適用することにより可能となる。

しかし、より本質的な問題点として、コヒーレント放出光はごく弱く、見かけ上系と 相互作用しない弾性散乱成分に打ち消され、結果的に測定される信号は光パルスの試 料内の伝播時間のみを反映し、コヒーレン卜過渡信号は何ら検出できないことがある。

そこで申請者は、見かけ上系と相互作用しない反射成分を除去するために、試料にブ リュスター角で共鳴光パルスを入射し、その反射パルスの時間形状を測定することを 考え(時間分解ブリュス夕一角反射分光法と呼ぷ)、これを実践した。すナょわち、よ く 知ら れているように、屈折率が実数となる非共鳴領域におぃては、p偏光の光に対 し反射率がゼロとなる入射角が存在し、これをブリュスター角と呼ぶ。共鳴光パルス をブリュスター角反射配置で試料に入射すると、反射パルスには見かけ上系と相互作 用しなぃ非共鳴反射成分は著しく減少し、コヒーレントな誘起分極からの放出光のみ が検出されることになる。

  実験 に用いた試料は、層状化合物半導体G aSe中、およびZnSe/ZnSSe多重量子井戸 超 格子 中の、ともに2次元量子閉じ込め励起子準位である。報告されているおのおの の半導体での透明領域における屈折率からブリ ユスター角を求め、その角度に入射角 度を設定し、励起子エネルギーに共鳴した超短反射パルスの時間形状をサブピコ秒の

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時間分解能で測定すると、弾性散乱的なバックグラウンドが消失すると同時に、非常 に明瞭なコヒーレント放出光の減衰形状が観測することに成功した。更に、位相緩和 時間の励起強度依存性を観測し、十分な強励起下においては、励起子状態に内在する 非線形性に起因する励起子間散乱現象が、位相緩和過程の主たる要因になることを見 いだした。、さらに、励起子準位がェネルギー的に微細に分裂していることを反映して、

コヒーレン卜光放出信号に時間的な振動構造が表出すること(量子ビート現象)を初 めて実験的に観測することに成功した。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査

副 査 副 査 主 査

教授 教授 教授 助教授

井 上 中 原 野 村 迫 田

学 位 論 文 題 名

久遠 純一郎 一成 和彰

Excitonic Coherent Emlssion Process          in Semiconductors

(半導体における励起子コヒーレン卜光放出過程)

  励起子は、固体の素励起のーっであるため、それ自身が物性物理学上の研究の対象 であると同時に、多くの線型、並びに非線形な光学現象を支配するために重要である。

半導体を中心に多くの固体において、励起子と光との相互作用に関して、これまでに 非常に多くの研究がなされている。しかるに、コヒーレントな光で共鳴励起した場合 の励起子からのコヒーレントな光放出過程、並びに励起子の波動関数のコヒーレント な持続時間(位相緩和時間)に関しては、これまで殆ど解明されていなかった。これ は、実験的に直接観測する適当な手段がなかったためである。励起子の位相緩和時間 は、10 ‑12秒程度と極端に短いこともーつの理由である。

  申請者は、コヒーレントな光放出現象を観測できる原理的に新しぃ方法を開発する こ とに より 、代表 的な 二次 元電子 系半 導体結晶を対象にして、実際にサブピコ秒(1 O ‑13秒) 領域で、この光放出の様相を観測し、その過程を解明した。具体的には、

擬 二次 元系 であるGase結晶 と、ZnSe/ZnSSe多重 量子井 戸の2種 類の 半導 体試料につ いて研究を行った。主な成果を以下に要約する。

1.過渡ブリユスター反射分光法とよぶべき新,しい方法の開発に成功し、線型現象 の範囲でのコヒーレントな光放出現象を世界で初めて観測した。lO ‑12秒以下の超

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短時間光パルスで励起子を共鳴的に励起した場合、そのすぐ直後に放出される指向性 のあるコヒーレント光は、線型光学応答の領域では励起光の強い非共鳴散乱光にマス クされて通常は観測できない。これに対し、ブリユスター角での実験配置を採用する ことにより、この非共鳴光を除去できるはずであるとの着想の下に、コヒーレントな 放出光のみを観測し、その時間発展形状を明らかにした。

2.上 記 の 観 測に 基 づ き 、そ れぞ れの 系にお いて 位相 緩和時 間を 求め るこ とがで き た。この時間は光と励起子とがコヒーレントに相互作用できる特性時間であり、重要 な物理量である。さらに、この励起光強度依存性を測定することにより、強励起下で は位相緩和時間が光強度、すなわち励起子密度に比例して短くなることを明らかにし、

励 起 子 間 散 乱 が 位 相 緩 和 過 程 を 支 配 す る 範 囲 を 定 量 的 に 明 ら か に し た 。 3.四 光 波 混 合放 出 光 の 時間 形状 を初 めて観 測す るこ とによ り、 これ らの 系の励 起 子が共に、均一ひろがりと不均一ひろがりによるスペクトル幅が同程度になっている ことを見い出した。一般に、位相緩和は上記のニつの原因によるニつの変数、即ち、

それぞれのスペクトル幅の逆数の時間定数によって記述される。原子系のような局在 系においては多くの研究によルコヒーレントな過渡現象の描像が解明されている。一 方、多体系である励起子系に関しては未解明であった状況に鑑みて研究を行い、二っ の原因による寄与が同程度の場合の四光波混合放出光の時間形状を観測して、その理 論的説明を与えた。

4.量 子 干 渉 と古 典 干 渉 の実 験的 な区 別が可 能で ある ことを 初め て実 証し た。吸 収 スペクトルにおいて僅かにエネルギーが分離した固有状態が存在すると、実時間にお けるコヒーレン卜な光放出プロファイルはそのエネルギーに対応した周期的な振動構 造を持つ。この干渉効果は、二つの独立な振動双極子間の干渉と、三準位系として取 り扱うことが妥当な量子準位間の干渉、すなわち量子干渉とに概念的には分けられる。

線型の光学応答からは、このニっを実験的に区別することはできないのに対して、非 線形現象である四光波混合では互いに異なった振る舞いを示すことを実験的に検証し、

その理論的な解明も行った。

  以上のように、申請者は全く新しぃ画期的な分光法を開発すると共に、それらの方 法を駆使して、二次元電子系の励起子からのコヒーレント放出光の直接的な観測も含

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めて、放出過程に関する多くの重要な知見を得て解明した。これらの成果は、半導体 物理学、並びに量子光学の分野の進歩に大きな寄与をするものであり、高く評価され る。なお、参考論文9編中の8編は、いづれも権威ある国際誌に発表されている。

  以上の所見に基づき、審査員は一致して申請者が博士(理学)の学位を受けるのに 十分な資格を有するものと認めた。

参照

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