ホットウオール法によるp‑n不純物添加ZnTe、ZnSe 薄膜及び超格子の作製と評価
著者 榊原 慎吾
雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告
巻 16
ページ 154‑156
発行年 1995‑03‑28
出版者 静岡大学大学院電子科学研究科
URL http://hdl.handle.net/10297/1262
氏 名 。(本 籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件 研究科・専攻の名称 学 位 論 文 題 目
論 文 審 査 委 員
榊
原
慎
吾 (静岡県)
博
士 (工
学)
工博甲第
90
号平 成 6年 3月 23日 学位規則第 4条 第 1項該当
電子科学研究科
電子材料科学専攻
ホッ トウオール法によるp―n不純物添加ZnTe、 ZnSe薄 膜 及び超格子の作製と評価
(委員長)
教 授 教 授 教 授
福
家 藤
安 福
田
俊 郎 洋 安 生
助
川
徳 石
田
明
教 授 助教授
一 広
論 文 内 容 の 要 旨
青色領域付近の短波長 レーザー ダイオー ドお よaLEDは、それぞれ、次世代の高密度記憶容量
CD‐
ROMのビックアツプやフルカラーデ イスプ レーヘの応用が期待 されている。本研究では、それらデバ イスヘの応用 を考 え、ホツ トウォールエ ビタキシー (HwE)法を用い、室温でのバ ン ドギヤツプが青
緑色の
ZnTe、
青色のZnSe、
および、それ らを用いた超格子への不純物 ドービングにより、伝導型制御を試み、さらにpn接 合を形成 した:P型 ドービングでは、ZnTeお よびLTe‐Znse超 格子への窒素 (N) ドープ、n型 ドービングでは、
ZnSe―
ZnS超格子への塩素 (Cl)ドープを新たに提案 した。第1章は、
ZnTe、
ZnSeお よび (Zn、 s、 Se、 Tc)系超格子 における、現在 までの研究状況を示 し、そ れ らの問題点 を明 らかにした。 さらに、伝導型制御 を行 うための ドービング材料、 ドー ビング方法、および超格子への ドービングを新たに提案 したも
第2章 は、pn不 純物 ドープZnTe薄膜、
ZnTc‐
ZnSe超 格子、Znse薄 膜お よびZnSe‐
ZnS超格子のHWE法による作製方法 を述べた。 さらに、作製 した薄膜や超格子の評価方法 について述べた。
第3章は、ZnTe薄 膜および
h■
‐Znse超格子へ不純物 ドープを行い、伝導型制御 を試みた結果につい て示 した。 まfZnTe薄膜では比較的容易 とされるp型制御 において、Li3Pド プで正7L密 度 (p)=3.7×
1015cm‐
3、 抵抗率 (ρ )=20Ω・cmが得 られた。 また、SIMS分析に よ り、Li3Pド プ層 中で酸素 (0)が多 く検出された事に着 目し、水素 (H)を添加することで0を減少 させることに成功 し、p=8.1 x1016cr3、 ρ〒3。lΩ
・cmと 、さらに高い正孔密度 を得 ることがで きた。次 に、ZnTe中 で安定なアクセプタレベルの形成が期待で きる。Nドープを提案 した。ZnSeへ のNドー プは他で報告 されているが、ZnTeへ のNドープは本報告が初めてであるため、ZnTe中 におけるNの活性 化エネルギー (EA)を示 したのは、本報告が最初である。HWE法によ り作製 したNドープZnTe薄 膜 は、p=1。
1×
1017cm‐3、 ρ=1.8Ω ・cmを 示 し、NのEAは 、PL特性 より51meV、 正孔密度の温度依存性 よ り40meVと求め られた。 さらに、SIMS分析によ り、ZnTeのNの存在 を初めて確認 した。一方、ZnTe薄 膜のn型制御は、CIドープを試みた結果、PL特性でClの東縛励起子発光が観測 され、SIMS分析でClの存 在が確認 されたが、低抵抗の ものは得 られず、ホール効果測定 には至 らなかった。ZnTe‐
ZnSe超 格子は、ZnTe層 のみにNを ドープ したp型 超格子 を作製 したところ、X線回折 より、超格 子構造に出来するサテライ トパ ターンを得た。 さらに、PL測定では、量子丼戸間遷移による発光スペ ク トルを確認 した。電気的特性では、p=2.3×1018cm‐
3、 ρ=0.08Ω ・cmを示 し、ZnTe―
Znse超 格子で は、現在 まで報告 されている中で最 も高い正孔密度が得 られた。第4章は、Znse薄 膜および
Znsc‐
ZnS超格子へ不純物 ドープを行い、伝導型制御 を試みた結果について 示 した。ZnSe薄 膜でp型伝導 を得ることが、比較的困難である事 は知 られている。これは、 ドービング されたアクセプタが、空孔や格子間原子 によ り自己補償 されるか らである。本研究では、格子間原子 にな りやすい リチ ウム (Li)に代わ り、Nをアクセプタとして用いる事 によりp=2.4×1017cm‐
3、 ρ=0.86Ω・cmの pttZnSe薄 膜 を得た。 また、PL特性では、Nに東縛 された励起子発光、 ドナー・アクセプ タ (DA)ペア発光および、そのフォノン発光が観測 され、MBEと同程度の結晶性良好な薄膜であるこ とが示 され、それ らのフォ トンエネルギーよ り、Znse中 におけるNのEA=95meVと なった。 さらに、
SIMS分析により、Znse薄 膜中のNの存在 を確認 した。一方、ClドープによるnttZnSe薄 膜は、ZncL温 度 により、電子密度 (n)=8.4×
1014〜 2.8×
1019cm‐3で変化 し、それ らのPL特性は、全てClの東縛励起 子発光が観測 され、結晶性良好であることが分かつた。 また、SIMs分析 により、膜中のCIの存在が確 認 された。ZnSe‐
ZnS超 格子 は、Znse層 のみにClドープを行 つたn型超格子 を作製 し評価 した。X線回折では、ZnTc‐
ZnSe超格子同様、超格子構造 に由来するサテライ トパ ター ンが多数観測 され、PL特性では、量子井戸間遷移 による発光が支配的な発光スペ ク トルが観測 された。 さらに、電気的特性では、■=7.1×
lo17cm‐3、 ρ=0.34Ω ・cmを示 し、高電子密度の
ZnSe‐
ZnS超格子が、初めて得 られた。第5章 は、NドープpttZnseと Clド ープnttznSeの pn接 合素子 を作製、評価 した結果を示 した。電流
(I)‐
電圧 (V)特性 はVf=3Vの良好 な整流性 を示 し、77Kで青緑色の発光 を確認 した。‑155‑
論 文 審 査 結 果 の 要 旨
青色領域の レーザーダイオー ド等の発光素子は、高密度記録
CD―
ROMの ビックア ップゃフルカラー ディスプレイヘの応用が期待 されているが、使用する半導体材料の電気的光学的特性の制御は今なお 重要な課題 となっている。本研究は、ワイ ドギャップⅡ̲Ⅵ
化合物半導体薄膜及び超格子構造へのp型及 びn型不純物添加をホッ トウォールエ ビタキシー (HwE)法により試み、より広範囲の伝導型制御の実 現 を目的 としてなされた。本論文は5章 か らな り、第1章は序論で、
ZnTe、
znSe及 びそれ らに関連する超格子構造に関する研究 状況 を概観 してその問題点を明 らかに し、伝導型制御 を行 うための不純物添加方法を提案 して本研究 の目的 と意義 を述べている。第2章 ではp型 及びn型不純物 を添加 したZnTe、
znse薄 膜及びhTe‐Znse、
ZnSe‐
ZnS超格子のHWE法による作製方法並 びに薄膜評価方法 を述べている。第3章はZnTe薄 膜及び酎■‐Znse超 格子への不純物添加 を行い、伝導型制御を試みた結果について述 べている。Liドープの場合には、ホ ッ トウォール炉に水素を導入することによりp=8。l X 1016cm‐
3の
正 孔密度 を実現 した。 さらに、NH3ガスを熱分解 させることによ り窒素 (N)ドープを行 つている。p=
1.l X 1017cm‐ 3の
正孔密度 を実現 させ る とともに、正孔密度の温度依存性 よりN不純物の活性化エネル ギー (EA)を40meVと初めて求めている。 また、sIMs分析 によりZnTe中 のNの存在 を確認 してお り、Nが
h■
中で安定なアクセプタレベルを形成することを初めて実証 している。 また、znTe層 にのみNを ドープしたpttLTe‐ znse超 格子 を作製 し、量子丼戸間遷移による発光 をPL測 定により確認するととも に、現在 まで報告 されている中で最 も高い正孔密度p=2.3×1018cm‐ 3を
実現できることを示 している。第樟 はZnse薄 膜及びhSe‐zns超格子への不純物添加 を行い、伝導型制御 を試みた結果について述べ ている。ZnSeはP型伝導を実現 させに くい材料であるが、分子線エ ビタキシー (MBE)法により行われ たNドープをHwE法において も初めて実現 させ、p=2.4×
1017cm‐ 3の
正孔密度を得るとともに、東縛励 起子発光の見 られる良質な結晶を得ている。 また、clドープnttZnse及 蒟 型Znse:Cl―ZnS超格子 を作 製 し、それぞれn=2.8×1019cm‐
3、 n=7.1× 1017cm‐3の
高い電子濃度 を実現 している。さらに、ZnSepn接 合発光 ダイオー ドを作製 し、約3Vの 順方向立上 り電圧及び室温での青緑色発光を 確認 し、Znseの 伝導型制御が充分 に行われている事 を実証 している。第5章 は総括で、研究成果 を経め ている。
本論文は可視発光デバイス用材料であるZnTe,ZnSe及びそれ らを組合わせた超格子の作製並 びに伝 導型制御 を試み、デバイス作製 に十分 な電気的特性 を実現で きることを示 した ものであ り、博士
(工
学)の学位 を授与するに十分な内容 をもつ もの と認定する。