□ 薬剤の保険適⽤ ご確認のお願い
□ 「評価・治療例(詳細)」ページの薬剤に、保険適⽤表記を追記させていただきましたので、ご確認をお願いします。
□ 疾患に対して、記載されている薬剤処⽅は保険適⽤があるのかないのか、また、⽤量内なのかを読者が確認できるようにすることを⽬的としていま す。
□ この保険適⽤情報は、エルゼビアの責任として、レセプトチェックソフトなどを参考に案を作成しておりますが、先⽣のコンテンツに掲載すること から、違和感がないかなど、公開前に先⽣に内容をご確認いただけたらと考えております。
□ 添付⽂書記載の保険適⽤の内容が査定の現場の内容と異なることがあります。例えば、筋緊張型頭痛は、厳密にはロキソニンの保険適⽤外です。し かし、慣習的に⽤いられており査定対象にならないことがあります。このような場合には、“筋緊張型頭痛は厳密にはロキソニンの適⽤外だが、査 定の対象とならないこともある”のような記載を付け加えられたらと考えています。このような記載が必要かどうかについて、先⽣の現場の感覚に てご指導を御頂戴できたら幸いです。
注釈
「評価・治療例(詳細)」の下に、以下のような注釈を掲載薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェックソフトなどで確認し 作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険適⽤外と判断されることを保証するもので はありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
疾患のコンテンツの例:⾚芽球癆
疾患のコンテンツについての表現⼀覧
記載(〇〇には病名が⼊ります) 意味
[適⽤内/⽤量内/㊜○○] 薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量も範囲内 [適⽤内/⽤量適宜増減2倍以下㊜
○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以内で、添付⽂書の適宜増減の記載 により⽤量内になりえる
[適⽤内/⽤量適宜増減2倍超㊜
○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量は添付⽂書量の2倍超で、添付⽂書に適宜増減の記載はあるが、
⽤量外になる可能性あり [○○では適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜
○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⽤量は範囲内 [○○では適⽤外/他適⽤⽤量適宜
増減2倍以下/㊜○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以 内で、添付⽂書の適宜増減の記載により⽤量内になりえる
[○○では適⽤外/他適⽤⽤量適宜 増減2倍超/㊜○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。⽤量は添付⽂書量の2倍超で、添付
⽂書に適宜増減の記載はあるが、⽤量外になる可能性あり
[適⽤内/⼩児⽤量内/㊜○○] 薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量も存在し、その範囲内 [適⽤内/⼩児⽤量外/㊜○○] 薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量は存在するが、その範囲外 [適⽤内/⼩児⽤量記載無/㊜○○] 薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量が存在せず、成⼈での⽤量範囲内 [○○では適⽤外/他適⽤⼩児⽤
量内/㊜○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⼩児⽤量が存在し、
その範囲内 [○○では適⽤外/他適⽤⼩児⽤
量外/㊜○○]
薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⼩児⽤量が存在し、
その範囲外
[薬価未収載] 海外の薬剤など
症状のコンテンツの例:全⾝浮腫
症状のコンテンツについての表現⼀覧
記載(〇〇には病名が⼊ります) 意味
[⽤量内/㊜××] 薬剤の⽤量が、病名××に対する⽤量として⽤量内である
[⽤量適宜増減2倍以内/㊜××] 薬剤の⽤量が、病名××に対する添付⽂書量を超えるが2倍以内である。添付⽂書に適宜増減などの記載 がある
[⽤量適宜増減2倍超/㊜××] 薬剤の⽤量が、病名××に対する添付⽂書量の2倍超で、添付⽂書に適宜増減の記載はあるが、⽤量外に なる可能性ある
[⼩児⽤量内/㊜××] 薬剤の⽤量が、病名××に対する⼩児⽤量として⽤量内である [⼩児⽤量外/㊜××] 薬剤の⽤量が、病名××に対する⼩児⽤量の範囲外である
[⼩児⽤量記載無/㊜××] 薬剤の⽤量が、病名××に対する成⼈での⽤量範囲内であり、⼩児⽤量は存在しない
[薬価未収載] 海外の薬剤など
⼦宮内膜症
北脇 城 京都府⽴医科⼤学 産婦⼈科
■評価・治療例(詳細)
#1722初診時、フォローアップ時
対象患者・コメントを隠す/表⽰する
※下記は、⼀部を除き、執筆者が過去に診た20⼈の患者で2⼈以上に⾏った事を羅列して頂いています。実際の1⼈の患者に
⾏った内容は、下記の⼀部分であることを了解下さい。
評価⽅針
問診、内診、経腟超⾳波断層法、⾎清CA125値、MRIなどを⽤いて、⼦宮周囲の癒着や卵巣 腫瘤の有無をみることにより「臨床⼦宮内膜症」を診断する。
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、出⾎性嚢胞、⽪様嚢腫、悪性卵巣腫瘍と鑑別する。
不妊が存在する場合には、⼀般不妊スクリーニングにより原因を検索する。
検体検査
⼦宮頸部細胞診
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度1)
腟分泌物培養
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
クラミジアAg[EIA]<分泌>
対象: 性交渉のある患者(推奨度2)
CBC, ⽩⾎球分画
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
LDH, AST, ALT, γ-GTP, TP, Alb, T-Bil, BUN, Cr
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
Na, K, Cl, Glu(⾎清), T-Cho, HDL-Cho, TG 対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
CA125, CA19-9 [ID0507]
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
SCC[RIA]
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
⽪様嚢腫との鑑別が必要な場合 PT、APTT
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
内分泌療法を⾏う場合 尿⼀般
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度2)
LH[CLIA]、FSH[CLIA]、PRL、⾎清E2 [ID0503][ID0504][ID0506]
対象: 不妊合併時、卵胞期初期(推奨度1)
⾎清E2、プロゲステロン [ID0503][ID0504][ID0506]
対象: 不妊合併時、⻩体中期(推奨度1)
夫の精液検査 [ID0503][ID0504][ID0506]
対象: 不妊合併時(推奨度1)
⽣理・画像検査
薬剤情報を⾒る
薬剤情報を⾒る
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薬剤情報を⾒る 経腟(経直腸)超⾳波 [ID0505][ID0507]
対象: ⼦宮内膜症を疑う患者(推奨度1)
⾻盤MRI [ID0505][ID0507]
対象: ⼦宮内膜症、⼦宮腺筋症、⼦宮筋腫、卵巣腫瘤が疑われる場合(推奨度2)
⼦宮卵管造影 [ID0503][ID0504][ID0506]
対象: 不妊合併時(推奨度2)
治療⽅針
ポイント:
不妊、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞、疼痛の3項⽬の治療の要因を⼗分に分析する。そのうえで、
無治療での経過観察、薬物療法、⼿術療法、そして不妊治療の中から最も適切な治療⽅針を 選択する。
不妊:
腹腔鏡下⼿術が第⼀選択、体外受精-胚移植も有⼒である。内分泌療法は効果が少ない。
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞:
4cm未満:経過観察可能。
4〜7cm:40歳未満なら嚢胞摘出術、40歳以上なら卵巣摘出術が望ましい。不妊合併なら嚢 胞摘出術、疼痛合併なら薬物療法可能。経過観察の場合には悪性化リスクに対する⼗分なイ ンフォームド・コンセントとフォローアップが必要である。
6〜10cm:40歳未満なら嚢胞摘出術、40歳以上なら卵巣摘出術が望ましい。不妊合併なら 嚢胞摘出術を⾏う。
10cm以上:卵巣摘出術の絶対的適応である。
疼痛:
⽉経痛が中⼼の場合:鎮痛剤(NSAIDs)、または低⽤量エストロゲン・プロゲスチン配合 薬を投与。
⾮⽉経時慢性⾻盤痛や性交痛を伴う場合:ジエノゲスト、GnRHアゴニスト、またはダナ ゾールを投与する。
薬物療法無効の場合または不妊症を伴う場合:腹腔鏡下⼿術を⾏う。
薬 剤
NSAIDs(プロピオン酸系)
ロキソニン錠 [60mg] 3錠 分3 毎⾷後、疼痛時 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜変形性関節症]
(編集部注:本ページで想定する適⽤病名「⼦宮内膜症」/2015年11⽉)
対象: ⽉経痛の第1選択
コメント: ロキソニン、ボルタレンは通常いずれか1つを⽤いる。
NSAIDs(アリール酢酸系)
ボルタレン錠 [25mg] 3錠 分3 毎⾷後、疼痛時 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜⽉経困難症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者で疼痛が強い場合 コメント: ロキソニン、ボルタレンは通常いずれか1つを⽤いる。
ボルタレンサポ [25mg]、または50mg 1回1個 疼痛時頓⽤、10回分 [ID0509] [⼦宮内膜症は適⽤外/他 適⽤⽤量内/㊜変形性関節症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者で疼痛が強く、胃腸障害を避けたい場合 コメント: ロキソニン、ボルタレンは通常いずれか1つを⽤いる。
エストロゲン・プロゲスチン配合薬
ルナベル配合錠LD 1錠 分1⾷後 21⽇間服⽤、7⽇間休薬 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜⽉経困 難症]
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薬剤情報を⾒る 対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者(推奨度2)
コメント: ルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ディナゲスト、ミレーナ、ボンゾール、
GnRHアゴニストは通常いずれか1つを⽤いる。
ルナベル配合錠ULD[1錠]1 錠 分1⾷後 21⽇間服⽤、7⽇間休薬 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜
⽉経困難症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者(推奨度2)
コメント: ルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ディナゲスト、ミレーナ、ボンゾール、
GnRHアゴニストは通常いずれか1つを⽤いる。
ヤーズ配合錠[1錠]1 錠 分1⾷後 24⽇間服⽤、4⽇間休薬 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜⽉経困 難症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者(推奨度2)
コメント: ルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ディナゲスト、ミレーナ、ボンゾール、
GnRHアゴニストは通常いずれか1つを⽤いる。
プロゲスチン製剤
ディナゲスト錠 [1mg] 2錠 分2朝⼣⾷後 6〜12カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者(推奨度2)
コメント: ルナベル配合錠、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ディナゲスト、ミレーナ、ボンゾール、
GnRHアゴニストは通常いずれか1つを⽤いる。
避妊薬
ミレーナ52mg[1個] ⼦宮腔内に装着 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜⽉経困難症、過多⽉経]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者(推奨度2)
コメント: ルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ディナゲスト、ミレーナ、ボンゾール、
GnRHアゴニストは通常いずれか1つを⽤いる。
男性ホルモン誘導体
ボンゾール錠[100mg]または200mg錠 400mg 分2 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者の⼀部(推奨度3)
コメント: ルナベル配合錠LD、ルナベル配合錠ULD、ヤーズ配合錠、ディナゲスト、ミレーナ、ボンゾール、
GnRHアゴニストは通常いずれか1つを⽤いる。
GnRHアゴニスト
スプレキュア点⿐液0.15% [15.75mg10mL1瓶] 両側⿐腔内に1回噴霧[300µg] 1⽇3回3〜6カ⽉継続 [ID0510] [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者で疼痛が中程度の場合の⼀部(推奨度3)
コメント: 投与中、必要に応じてすぐに中⽌可能な薬剤である。
ナサニール点⿐液0.2%[10mg5mL1瓶] ⽚側⿐腔内に1回噴霧[200µg] 1⽇2回 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤
量内/㊜⼦宮内膜症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者で疼痛が中程度の場合の⼀部(推奨度3)
コメント: 投与中、必要に応じてすぐに中⽌可能な薬剤である。
スプレキュアMP⽪下注⽤ [1.8mg] 4週ごと ⽪下注 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者で疼痛が強い場合(推奨度2)
コメント: 中等度の強さを認める薬剤である
「ミレーナ」を追 加いたしました。
(以下同)
対象:⇒記入あり ませんでしたがこ ちらでよろしいで しょうか?
対象:⇒記入あり ませんでしたがこ ちらでよろしいで しょうか?
対象:⇒記入あり ませんでしたがこ ちらでよろしいで しょうか?
最終更新⽇ : 2016年4⽉15⽇
<<ページ末尾:#situationDetails6.aspx?DiseaseID=1722&situationno=1>>
薬剤情報を⾒る リュープリン注射⽤キット [1.88mg] 4週ごと ⽪下注 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
対象: ⼦宮内膜症性⾻盤痛を認める患者で疼痛が特に強い場合(推奨度2)
コメント: 効果が強い薬剤である
コンサルト
消化器内科 [ID0512]
対象: 腸管病変を疑う場合 泌尿器科 [ID0512]
対象: 膀胱、尿管病変を疑う場合
再診・⼊院の指⽰
初回は2週間後再診。
薬物療法時は4週間ごとに外来フォローアップ。
腹腔鏡下⼿術時は⼊院指⽰。
対象: ⼦宮内膜症の診断のついた患者
推奨度1:明らかに利益が害やコストよりも上回る。必ず⾏う必要があり得る⾏為。
推奨度2:害、コストよりも、利益が上回る可能性が⾼い。半数以上の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度3:利益よりも、害、コストが、上回る可能性が⾼い。半数以下の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度4:明らかに利益が害やコストよりも下回る。医学的に原則禁忌といわれている⾏為。
(詳細はこちら参照)
※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険 適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬 剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
⼦宮内膜症
監修:⼩⻄郁⽣ 独⽴⾏政法⼈国⽴病院機構 京都医療センター北脇 城 京都府⽴医科⼤学 産婦⼈科
■トップページ
#1722概要
疾患のポイント:
⼦宮内膜症とは、⼦宮内膜またはその類似組織が⼦宮以外の部位で増殖、発育し、機能する疾 患である。
⽉経痛が88%に、⽉経時以外の下腹部痛・腰痛は46%、性交時痛・排便痛は30%に認められ る。不妊は30〜60%に認められる。
診断:[ID0011]
⾃覚症状、内診所⾒、画像診断(経腟超⾳波断層法やMRI)、⾎清CA125値などを総合的に判 断して、⼦宮内膜症を疑うものを「臨床⼦宮内膜症」とする。なお、⼦宮内膜症の確定診断は 腹腔鏡検査によって直視的に⾏うことが原則である。[ID0502]
内診および経腟超⾳波断層法やMRIなどの画像診断によって⼦宮腺筋症、⼦宮筋腫、卵巣腫 瘍、⾻盤内炎症、妊娠を除外した⼥性の中で、⾎清CA125値が30U/ml以上であれば、⼦宮内 膜症の陽性的中率は93%であり、20U/ml未満の場合には陰性的中率78%である。
MRIにおいて⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、T1強調画像、T2強調画像ともに⾼信号を⽰す。特徴的 な所⾒として、T1強調画像で均⼀な⾼信号を⽰すにもかかわらず、T2強調画像で"shading"と 呼ばれる低信号の部分が認められることがある。
経腟超⾳波断層法による⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の診断:[ID0601]
経腟超⾳波断層法による⾻盤内癒着の診断法:[ID0602]
MRIによる⼦宮内膜症性卵巣嚢胞診断:[ID0603]
重症度・予後評価:[ID0013]
直径4cm未満の場合には悪性の可能性は少なく、10cm以上であれば悪性転化のリスクが⾼く なる。 [ID0507]
治療:[ID0014]
不妊の治療:
不妊に対しては腹腔鏡下⼿術が第1選択であり、体外受精-胚移植も有⼒である。内分泌 療法は効果が少ない。[ID0503][ID0504]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の治療:
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、40歳以上かつ4cm径以上なら卵巣摘出術が必要だが、40歳未 満あるいは10cm未満なら画像診断で充実部分が認められなければ経過観察可能である。
20歳、30歳代では、10cm以上なら卵巣摘出術が必要である。
疼痛の治療:
疼痛に対しては、⽉経痛が中⼼の場合には、鎮痛剤(NSAIDs)または低⽤量エストロゲ ン・プロゲスチン配合薬を投与する。⾮⽉経時慢性⾻盤痛や性交痛を伴う場合には、ジエ ノゲスト、GnRHアゴニスト、またはダナゾールを投与する。薬物療法無効または不妊症 を伴う場合には、腹腔鏡下⼿術を⾏う。[ID0509][ID0510]
専⾨医相談のタイミング:[ID0017]
⼦宮内膜症を疑った時点で産婦⼈科医にコンサルトをする。治療には、体外受精などのそれぞ れの専⾨的治療が必要になる。
評価・治療の進め⽅
※選定されている評価・治療は⼀例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。
■⼦宮内膜症の診断とフォローアップ
感度、特異度ともに必ずしも⾼くはないが、治療効果や再発を検出するためにも必須の評価であ る。
○ ⼦宮内膜症を疑う場合、他のルーチン検査に追加し、下記の検査を追加する。
1)CA125, CA19-9 [ID0507]
■⼦宮内膜症の診断⽅法例
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の鑑別診断、深部病変や癒着の診断にも⽋かせない。
○ ⼦宮内膜症を疑う場合、他のルーチン検査に追加して下記の検査を追加する。
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薬剤情報を⾒る 1)⾻盤MRI [ID0505][ID0507]
■⼦宮内膜症の疼痛治療例 ポイント:
産婦⼈科ガイドラインでは、以下のステップで治療を⾏うことを勧めている。[ID0509]
[ID0510] [ID0511]
1. 疼痛には、まず鎮痛剤(NSAIDs)による対症療法を⾏う。
2. 鎮痛剤の効果が不⼗分な場合や内膜症の進⾏を認めるなど⼦宮内膜症⾃体への治療が必要 な場合は、⽉経痛を認める場合は低⽤量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、⾮⽉経時慢性
⾻盤痛や性交痛を認める場合はジエノゲストを第1選択とし、効果不⼗分時にはGnRHアゴニ スト、ダナゾールを第2選択として⽤いる。
3. 薬物療法が無効な場合または不妊症を伴う場合には、⼿術による⼦宮内膜症病巣の焼灼・
摘除、癒着剝離を⾏う。
⼦宮腺筋症の治療[ID0701]
各薬剤の注意事項:
第⼀選択は、NSAIDsであるが、20%の⼦宮内膜症患者では、鎮痛剤に治療抵抗性であるといわ れている。
ジエノゲスト(ディナゲスト)は出⾎症状の増悪のおそれがあるため、添付⽂書では慎重投与が 必要とされている。
また、エストロゲン・プロゲスチン配合薬(経⼝避妊薬)は、特に⽉経困難症については⾼い有 効性が⽰されており、鎮痛剤でコントロール不良なレベルの疼痛があれば、⼦宮内膜症の進⾏予 防という観点からも早期から投与を検討するべきであると考えられる.
GnRH アゴニストによる治療は、⼦宮体積の縮⼩と症状の軽減が認められる。しかし、効果の持 続時間は短く治療を中⽌するとすぐに再発する。また、GnRH アゴニストは、⾻密度の減少、ほ てりなどの副作⽤を⽣じることが知られている。特に⾻密度の減少は⾻折のリスクを⾼める可能 性があり、6カ⽉の投与期間制限がある。したがって、GnRH アゴニストの適応は治療後早期の 妊娠を希望する症例や術前投与に限定される。
ダナゾールは、肝機能異常やアンドロゲン作⽤(体重増加、ざ瘡)、重篤な⾎栓症の副作⽤を認 め、⻑期には使⽤しづらい薬剤である。
○ 第⼀選択薬として1)〜3)のいずれかを⽤いる。効果不⼗分時あるいは⽉経痛が疼痛の主体である 場合は4)〜6)を、⾮⽉経時慢性⾻盤痛や性交痛を認める場合は7)8)を⽤いる。それでも効果不⼗分時 は9)〜13)を考慮するが、疼痛が強い場合、⼦宮内膜症卵巣嚢胞がある場合、不妊を伴う場合には、
⼿術療法の検討を併⾏する。
1)ロキソニン錠 [60mg] 3錠 分3 毎⾷後、疼痛時 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/
㊜変形性関節症](編集部注:想定する適⽤病名「⼦宮内膜症」/2015年11⽉)
2)ボルタレン錠 [25mg] 3錠 分3 毎⾷後、疼痛時 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/
㊜⽉経困難症]
3)ボルタレンサポ [25mg]、または50mg 1回1個 疼痛時頓⽤、10回分 [ID0509] [⼦宮 内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜変形性関節症]
4)ルナベル配合錠LD 1錠 分1⾷後 21⽇間服⽤、7⽇間休薬 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適
⽤⽤量内/㊜⽉経困難症]
5)ルナベル配合錠ULD[1錠]1 錠 分1⾷後 21⽇間服⽤、7⽇間休薬 [⼦宮内膜症は適⽤
外/他適⽤⽤量内/㊜⽉経困難症]
6)ヤーズ配合錠[1錠]1 錠 分1⾷後 24⽇間服⽤、4⽇間休薬 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適
⽤⽤量内/㊜⽉経困難症]
7)ディナゲスト錠 [1mg] 2錠 分2朝⼣⾷後 6〜12カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜 症]
8)ミレーナ52mg[1個] ⼦宮腔内に装着 [⼦宮内膜症は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜⽉経困難
「ミレーナ 52mg」です が、避妊は病名 ではありません ので記入してお りません。こち らの表記でお願 いいたします。
(以下同)
著者のCOI(Conflicts of Interest)開⽰: 北脇城:講演料(バイエル薬品,持⽥製薬,⽇本新薬,武⽥薬品),
奨学(奨励)寄付など(持⽥製薬,クラシエ製薬,ニチモウ)
最終更新⽇ : 2016年4⽉15⽇
<<ページ末尾:#searchDetails4.aspx?DiseaseID=1722>>
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薬剤情報を⾒る 症、過多⽉経]
9)ボンゾール錠[100mg]または200mg錠 400mg 分2 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/
㊜⼦宮内膜症]
10)スプレキュア点⿐液0.15% [15.75mg10mL1瓶] 両側⿐腔内に1回噴霧[300µg] 1⽇3 回3〜6カ⽉継続 [ID0510] [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
11)ナサニール点⿐液0.2%[10mg5mL1瓶] ⽚側⿐腔内に1回噴霧[200µg] 1⽇2回 3〜6 カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/㊜⼦宮内膜症]
12)スプレキュアMP⽪下注⽤ [1.8mg] 4週ごと ⽪下注 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤量内/
㊜⼦宮内膜症]
13)リュープリン注射⽤キット [1.88mg] 4週ごと ⽪下注 3〜6カ⽉継続 [適⽤内/⽤量 内/㊜⼦宮内膜症]
追加情報ページへのリンク
⼦宮内膜症に関する詳細情報
⼦宮内膜症に関する評価・治療例(詳細) (1件) 初診時、フォローアップ時
⼦宮内膜症に関するエビデンス・解説 (12件)
⼦宮内膜症に関する画像 (13件)
※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険 適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬 剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。
(詳細はこちらを参照)
⼦宮内膜症
北脇 城 京都府⽴医科⼤学 産婦⼈科
■詳細情報
#1722病態・疫学・診察
疾患情報(疫学・病態) [ID0001]
⼦宮内膜またはその類似組織が⼦宮以外の部位で増殖、発育し、機能する疾患である。
発⽣機序は、Sampsonの⼦宮内膜移植説、体腔上⽪化成説、胎児組織遺残説、あるいはこれ らを複合した説が提唱されているが、未だに不明である。
第⼀親等における発⽣が5〜8%である[1]。多くのcommon diseaseがそうであるように、遺 伝的素因をもつ個体に後天的な環境要因が加わって疾患が発⽣する多因⼦疾患と考えられてい る。
性成熟期⼥性の約10%が罹患する良性の慢性疾患であり、エストロゲン依存性に増殖する。妊 娠により改善し、閉経または卵巣摘出術により退縮する。
エストロゲン依存性疾患である⼦宮腺筋症や⼦宮筋腫としばしば合併する。
腹膜病変、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)、深部病変、癒着などを形成す る。[ID0607]
主症状は、⽉経痛、下腹痛、性交痛などの慢性⾻盤痛と、不妊である。
問診・診察のポイント [ID0002]
⼦宮内膜症患者のうち88%が⽉経困難症を訴え、そのうち70%が鎮痛剤を必要とするほどの 強い疼痛を有する[2]。
⽉経時以外の下腹部痛・腰痛は46%、性交時痛・排便痛は30%と、慢性⾻盤痛は⾼頻度に認 められる[2]。
不妊は30〜60%に認められる。しかし、⾃覚症状と病巣の重症度とが⽐例しないことが特徴 である。
内診では、後腟円蓋からダグラス窩に有痛性の抵抗や結節状の腫瘤を触れることが多い。
確定診断は、腹腔鏡あるいは開腹などによって腹腔内所⾒を直視下かつ組織学的に確認する必 要がある[3]、ということが他疾患にない特徴の⼀つである。
⾃覚症状、内診所⾒、画像診断、⾎清CA125値などを総合的に判断して、⼦宮内膜症を疑うも のを「臨床⼦宮内膜症」とする。
診断⽅針
0:想起 [ID0010]
⽉経痛が88%に起こる[2]。⽉経痛がない場合には⼦宮内膜症でない確率が⾼い。
患者⾃⾝からは訴えなくても、⾮⽉経時慢性⾻盤痛、性交痛、排便痛があれば⼦宮内膜症を疑 う。
不妊患者の30〜50%に⼦宮内膜症を合併する。
1:診断 [ID0011]
下記の様な診察・検査により⼦宮内膜症で⽭盾しない状態、すなわち臨床⼦宮内膜症をつけ治 療を開始する。ただし、⼦宮内膜症の確定診断は腹腔鏡検査によって直視的に⾏うことが原則 である。[ID0502]
内診では、⼦宮は後屈で後腟円蓋からダグラス窩に有痛性の抵抗や結節状の腫瘤を触れる ことが多い。直腸診の併⽤が有⽤である。
経腟超⾳波断層法は、簡便で情報量も多いため特に有⽤である。性交経験がない⼥性にお いても、経腟プローブを肛⾨より挿⼊することにより、意外に疼痛が少なく容易に検査を
⾏なうことができる。
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)は、超⾳波検査で壁の肥厚を伴う単房性 ときに多房性の嚢胞として観察される。内腔の移動性の点状エコー(scatter)が特徴的で ある。[ID0601]
経腟プローブで⼦宮後⾯をたどり、直腸が⼦宮と分離しているかを⾒ることによって、ダ グラス窩癒着を診断できる[4]。[ID0602]
⼦宮内膜症の診断や治療中の維持管理において、⾎清中CA125濃度測定が有⽤である。
内診および経腟超⾳波断層法やMRIなどの画像診断によって⼦宮腺筋症、⼦宮筋腫、卵巣
腫瘍、⾻盤内炎症、妊娠を除外した⼥性の中で、⾎清CA125値が30 U/mL以上であれ ば、⼦宮内膜症の陽性的中率は93%であり、20 U/mL未満の場合には陰性的中率78%で ある[5]。
MRIにおいて⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、T1強調画像、T2強調画像ともに⾼信号を⽰す。
特徴的な所⾒として、T1強調画像で均⼀な⾼信号を⽰すにもかかわらず、T2強調画像 で"shading"と呼ばれる低信号の部分が認められることがある。[ID0603]
2:疾患の除外 [ID0012]
付属器炎、⾻盤腹膜炎やその後の炎症性癒着([ID0301])は除外する。
卵巣腫瘤においては、出⾎性嚢胞、⽪様嚢腫、悪性卵巣腫瘍([ID0301])は除外する。
⽪様嚢腫を除外する([ID0603])。MRI脂肪抑制画像により、超⾳波断層法では困難であっ たが鑑別が⽐較的容易となった。
卵巣癌の3.6〜28%に⼦宮内膜症が合併し、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の0.7〜1.6%が悪性転化す る[6][7]。しばしば卵巣悪性腫瘍との鑑別が困難なことがある。[ID0507]
治療⽅針
3:原因疾患・合併疾患 [ID0022]
⼦宮腺筋症、⼦宮筋腫、⼦宮内膜ポリープなどの類縁疾患の合併頻度が多いので、超⾳波、
MRIなどの画像診断を注意深く⾏う。
不妊を合併する場合には、卵管疎通性、卵管采の癒着などを評価する。[ID0702]
4:重症度・予後 [ID0013]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、⼤きいほど、また患者の年齢が⾼いほど、悪性転化のリスクが⾼く なる[7]。直径4cm未満の場合には悪性の可能性は少なく、10cm以上であれば悪性転化のリス クが⾼くなる。4〜10cmであれば、相対的適応として他の諸要因を勘案して⼿術の適応を決定 する。[ID0507]
5:治療 [ID0014]
ポイント:
治療⽅針の決定に当たって考慮すべき要因は、不妊、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞、疼痛の3項⽬に ほぼ集約される([ID0701])。これらが単独または重複して適応となり得る。
無症状であれば治療の絶対的必要性はない。
⽉経困難症、下腹痛、性交痛などの疼痛、過多⽉経やこれによる貧⾎、圧迫症状⽉経困難症や 過多⽉経がある場合は、NSAIDs等を⽤いた対症療法対症療法あるいは⼦宮内膜症に準じたホ ルモン療法を⾏う。また、対症療法に抵抗性の場合は根治術・⼦宮動脈塞栓術を検討する。
産婦⼈科ガイドラインでは、以下のステップで治療を⾏うことを勧めている。[ID0509]
[ID0510] [ID0511]
1. 疼痛、には、まず鎮痛剤(NSAIDs)による対症療法を⾏う。
2. 鎮痛剤の効果が不⼗分な場合や⼦宮内膜症⾃体への治療が必要な場合は、低⽤量エスト ロゲン・プロゲスチン配合薬、ジエノゲストを第1選択とし、GnRHアゴニスト、ダナ ゾールを第2選択として⽤いる。
3. 薬物療法が無効な場合または不妊症を伴う場合には、⼿術による⼦宮内膜症病巣の焼 灼・摘除、癒着剝離を⾏う。
⼦宮腺筋症の治療[ID0701]
対症療法・ホルモン療法:
治療には、NSAIDs等を⽤いた対症療法または、⼦宮内膜症に準じたホルモン療法を⾏う。ホ ルモン療法としては、⼦宮腺筋症もエストロゲン依存性であることから、⼦宮内膜症に準じて GnRH アゴニストであるブセレリン (スプレキュア)、ナファレリン(ナサニール)、
リュープロレリン(リュープリン)やジエノゲスト(ディナゲスト)やダナゾール(ボンゾー ル)、エストロゲン・プロゲスチン配合薬であるエチニルエストラジオール・ノルエチステロ ン配合薬(ルナベル)、エチニルエストラジオール・ドロスピレノン配合薬(ヤーズ)などの ホルモン療法が⽤いられる。
第⼀選択は、NSAIDsであるが、20% の⼦宮内膜症患者では、鎮痛剤に治療抵抗性であるとい われている。
ジエノゲスト(ディナゲスト)は出⾎症状の増悪のおそれがあるため、添付⽂書では慎重投与 が必要とされている。
また、エストロゲン・プロゲスチン配合薬(経⼝避妊薬)は、特に⽉経困難症については⾼い
有効性が⽰されており、鎮痛剤でコントロール不良なレベルの疼痛があれば、⼦宮内膜症の進
⾏予防という観点からも早期から投与を検討するべきであると考えられる.
GnRH アゴニストによる治療は、⼦宮体積の縮⼩と症状の軽減が認められる。しかし、効果の 持続時間は短く治療を中⽌するとすぐに再発する。また、GnRH アゴニストは、⾻密度の減 少、ほてりなどの副作⽤が⽣じることが知られている。特に⾻密度の減少は⾻折のリスクを⾼
める可能性があり、6カ⽉の投与期間制限がある。したがって、GnRH アゴニストの適応は治 療後早期の妊娠を希望する症例や術前投与に限定される。
ダナゾールは、肝機能異常やアンドロゲン作⽤(体重増加、ざ瘡)、重篤な⾎栓症の副作⽤を 認め、⻑期には使⽤しづらい薬剤である。
根治術・⼦宮動脈塞栓術:
根治的治療は⼦宮の摘出である。妊孕性温存を⽬的として腺筋症部分のみを切除する⼿術が試 みられている。
⼦宮内膜症の治療における⼿術療法は、薬物療法でコントロールしきれない疼痛の緩和と妊孕 性の改善の 2つを⽬的として⾏われる。
腹腔鏡下⼿術において⼦宮内膜症の病巣切除を⾏った場合と、診断のみにとどめた場合とを⽐
較した結果、切除群で有意に疼痛症状が改善されている。(80% vs 32%)[21]。内膜症病 巣の処置法については、腹腔鏡下の病巣切除術と病巣焼灼術ともに疼痛緩和に効果を認め、両 者の間に有意差はなかった。
不妊治療:
⼦宮内膜症性不妊は、排卵誘発や⼈⼯授精などの通常の治療法には抵抗し、内分泌療法は妊孕 性を有意に改善しない[8]。
腹腔鏡下⼿術で病巣を除去あるいは焼灼することによって術後の妊娠率が上昇する[9]ことか ら、不妊に対しては腹腔鏡下⼿術が第1選択となる[10]。[ID0702]
体外受精―胚移植も有⼒な治療法であるが、⼦宮内膜症群の妊娠率は卵管因⼦群に⽐して低下 する[11]。
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の治療:
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、欧州⽣殖医学会(European Society of Human Reproduction and Embryology 、ESHRE)では、⼦宮内膜症性疼痛または対外受精の採卵時における卵胞 へのアクセスを改善するために3cm以上の嚢胞摘出術の検討を推奨している。嚢胞摘出術が妊 娠を改善するというエビデンスはないとしている[12]。⽇本産科婦⼈科学会取扱い規約では、
40歳以上かつ4cm以上なら卵巣摘出術を必要とし、10cm未満なら画像診断で充実部分が認め られなければ経過観察可能としている。20歳代、30歳代では、10cm以上なら卵巣摘出術を必 要としている[10]。[ID0507]
4cm未満:
経過観察可能。
4〜7cm:
40歳未満なら嚢胞摘出術、40歳以上なら卵巣摘出術が望ましい。不妊合併なら嚢胞 摘出術、疼痛合併なら薬物療法可能。経過観察の場合には悪性化リスクに対する⼗分 なインフォームド・コンセントとフォローアップが必要。
6〜10cm:
40歳未満なら嚢胞摘出術、40歳以上なら卵巣摘出術が望ましい。不妊合併なら嚢胞 摘出術を⾏う。
10cm以上:
卵巣摘出術の絶対的適応。
6:フォローアップ⽅針 [ID0015]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、超⾳波で内部の凝⾎塊が充実部分のように⾒えることがあるが、⽇
を変えて観察することにより消失あるいは移動することが多い。[ID0601]
低⽤量エストロゲン・プロゲスチン配合薬は、投与開始1カ⽉後の消退出⾎より治療効果が現 れ、3カ⽉後にはほぼ最⼤の効果に達する[14]。
7:⼿術適応・⼿術の選択 [ID0020]
腹腔鏡下⼿術で病巣を除去あるいは焼灼することによって術後の妊娠率が上昇する[9]ことか ら、不妊に対しては腹腔鏡下⼿術が第1選択となる[10]。[ID0503][ID0602]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、欧州⽣殖医学会(ESHRE)では、⼦宮内膜症性疼痛または対外受精 の採卵時における卵胞へのアクセスを改善するために3cm以上の嚢胞摘出術の検討を推奨して
いる。嚢胞摘出術が妊娠を改善するというエビデンスはないとしている[12]。⽇本産科婦⼈科 学会取扱い規約では、40歳以上かつ4cm以上なら卵巣摘出術を必要とし、10cm未満なら画像 診断で充実部分が認められなければ経過観察可能としている。20歳代、30歳代では、10cm以 上なら卵巣摘出術を必要としている[10]。[ID0507]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞が増⼤傾向にあるときは、⼿術療法を考慮する。[ID0507]
薬物療法を⾏っているにもかかわらず⼦宮内膜症性卵巣嚢胞が増⼤傾向あるいは⾎清CA125値 が上昇傾向にある場合には、卵巣癌を疑う。[ID0507]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の嚢胞摘出術に当たっては、卵巣予備能(ovarian reserve)の損失を 抑制するために、正常卵巣組織の切除や凝固⽌⾎を最⼩限に留める配慮が必要である。
[ID0505]
薬物療法を⾏っているにもかかわらず疼痛抑制が不⼗分な場合には、⼿術療法を考慮する。
[ID0512]
8:難治症例の治療 [ID0019]
深部病変の合併あるいは強固な癒着がある場合の腹腔鏡下⼿術、疼痛を⼗分にコントロールで きない場合などは、⼦宮内膜症の専⾨医に紹介する。[ID0512]
9:治療の中⽌ [ID0016]
GnRHアゴニストの投与は、⾻塩量低下など低エストロゲン症状による副作⽤回避のため、6カ
⽉以内に中⽌する。[ID0511]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞が増⼤傾向にあるときは、⼿術療法を考慮する。[ID0507]
薬物療法を⾏っているにもかかわらず⼦宮内膜症性卵巣嚢胞が増⼤傾向あるいは⾎清CA125値 が上昇傾向にある場合には、卵巣癌を疑う。[ID0507]
薬物療法を⾏っているにもかかわらず疼痛抑制が不⼗分な場合には、⼿術療法を考慮する。
[ID0512]
10:⼊院適応 [ID0018]
⼿術療法の場合には⼊院の適応となる。
11:専⾨医相談のタイミング [ID0017]
腹腔鏡下⼿術([ID0502])、体外受精([ID0504])、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の悪性化を疑う 場合([ID0507])、疼痛を⼗分にコントロールできない場合([ID0512])などは、それぞれ の専⾨医に紹介する。
12:⼿術後フォローアップ [ID0021]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞に対する腹腔鏡下嚢胞摘出術の術後再発率は6.1〜56%である[15]。
[ID0505]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞に対して、腹腔鏡下嚢胞摘出術の⽅がレーザー焼灼術より再発率が低 い。[ID0505]
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞再発のリスク因⼦は、rAFSスコアが⾼い、⼿術時の年齢が若い、薬物療 法歴である[16]。
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞術後の再発予防に、GnRHアゴニストの6カ⽉間投与[17]、低⽤量エス トロゲン・プロゲスチン配合薬の24カ⽉間連続投与が有効である[18][19]。[ID0508]
イメージ
[ID0601]
経腟超⾳波断層法による⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の診断
a:内腔にscatterがみられる。
b:内腔の充実性部分は悪性卵巣腫瘍との鑑別が必要。
1: 著者提供
[ID0602]
経腟超⾳波断層法による⾻盤内癒着の診断法
a:⼦宮の縦断⾯(⽮状断)が画⾯中央にみえるようにプローベを操作する。
b:下腹部を圧迫したり離したりする動作と、プローベを1〜2cm程度の振幅で前後に動かす補助 動作を加える。ダグラス窩(*)に注⽬し、癒着がなければ⼦宮と直腸とがずれ動くが、逆に癒着 があれば臓器が⼀体化して動く様⼦が観察できる。
[ID0603]
MRIによる⼦宮内膜症性卵巣嚢胞診断
a: T1強調像では⾼信号。
b:脂肪抑制併⽤T1強調像では抑制がみられない。
c:T2強調像ではshadingがみられる。
1: 北脇 城: イラストでみる産婦⼈科診療 第8回⼦宮内膜症. 産と婦 2012; 79: 1325-1332.
[ID0604]
⼦宮内膜症の診療⽅針
⼦宮内膜症の診断・治療にあたっては、まず正確な臨床⼦宮内膜症の診断のもとに、不妊、疼痛、
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞の3項⽬の治療の要因を⼗分に分析する。そのうえで、無治療での経過観 察、薬物療法、⼿術療法、そして⽣殖補助技術(ART)の中から最も適切な治療⽅針を、患者との
⼗分な協議により選択する。
1: 著者提供
[ID0606]
産婦⼈科診療ガイドライン:婦⼈科外来編2014
B:勧められる、C:考慮される。
1: ⽇本産科婦⼈科学会/⽇本産婦⼈科医会.産婦⼈科診療ガイドライン:婦⼈科外来編 2014,P91,94、2014
[ID0607]
⼦宮内膜症の病変
⼦宮内膜症の病変は、⼤別して腹膜病変、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞(卵巣チョコレート嚢胞)、深部 病変があり、周辺組織と癒着を形成する。
1: 著者提供
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アルゴリズム
[ID0701]
⼦宮内膜症の診療⽅針
⼦宮内膜症の診断・治療にあたっては、まず正確な臨床⼦宮内膜症の診断のもとに、不妊、疼痛、⼦宮 内膜症性卵巣嚢胞の3項⽬の治療の要因を⼗分に分析する。そのうえで、無治療での経過観察、薬物療 法、⼿術療法、そして⽣殖補助技術(ART)の中から最も適切な治療⽅針を、患者との⼗分な協議によ り選択する。
1: 著者提供
[ID0702]
⼦宮内膜症不妊患者の治療⽅針
下腹痛や腰痛を主訴とする疾患:
機能性⽉経困難症
⼦宮奇形
⼦宮位置異常
⼦宮筋腫
⼦宮腺筋症
⼦宮頸管狭窄症
⼦宮傍組織瘢痕症 Taylor症候群 など
炎症性疾患:
⼦宮付属器炎
⾻盤腹膜炎
⾻盤内膿瘍 など
腫瘍性疾患:
卵巣腫瘍
出⾎性嚢胞、⽪様嚢腫
線維腺腫、嚢胞線維腺腫などの類内膜腫瘍 悪性卵巣腫瘍
⼦宮体癌 消化器腫瘍
直腸癌 他臓器癌 Schnitzler転移 膀胱腫瘍 など
1: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約 第2部第2版 治療編・診療編、P61、⾦原出版、2010
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鑑別疾患
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エビデンス/解説
1.
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8.
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11.
⼦宮内膜症性疼痛は、少なくとも⽉経痛、慢性⾻盤痛、性交痛に分類して問診する。
疼痛の程度はvisual analog scale (VAS)によって評価する。
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⼦宮内膜症の確定診断は腹腔鏡検査によって直視的に⾏うことが原則である。
詳しく⾒る
不妊を訴える患者のうち「臨床⼦宮内膜症」と診断された場合には、腹腔鏡下⼿術が 第1選択となる。
詳しく⾒る
⼦宮内膜症性不妊に対して、体外受精-胚移植は有⼒な選択肢である。
詳しく⾒る
4〜5cm以上の⼦宮内膜症性卵巣嚢胞を合併する不妊に対しては、腹腔鏡下嚢胞摘出 術を⾏うことが勧められる。
詳しく⾒る
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞を合併する不妊に対しては、嚢胞内容液吸引またはアルコール 固定後に体外受精-胚移植を⾏うことが勧められる。
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4cm以上の⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、腹腔鏡下嚢胞摘出術または卵巣摘出術を⾏うこ とが勧められる。
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⼦宮内膜症性卵巣嚢胞に対する嚢胞摘出術後の再発予防には、GnRHアゴニストを6カ
⽉間または低⽤量エストロゲン・プロゲスチン配合薬を24カ⽉間連続投与が勧められ る。
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⽉経痛を中⼼とする疼痛を訴える患者に対しては、鎮痛剤(NSAIDs)、または低⽤量 エストロゲン・プロゲスチン配合薬の投与が勧められる。
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⾮⽉経時慢性⾻盤痛や性交痛を伴う場合には、ジエノゲスト、GnRHアゴニスト、ま たはダナゾールの投与が勧められる。
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⼦宮内膜症性疼痛抑制の⻑期維持には、低⽤量エストロゲン・プロゲスチン配合薬、
ジエノゲスト、GnRHアゴニスト+アドバック法、あるいはGnRHアゴニストに引き続 く低⽤量ダナゾール漸減/中⽤量/低⽤量エストロゲン・プロゲスチン配合薬/ジエ ノゲスト順次投与法が勧められる。
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12.薬物療法による疼痛抑制効果が不⼗分、あるいは深部⼦宮内膜症を伴う場合には、腹 腔鏡下⼿術を⾏う。
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ガイドライン
関連するガイドライン
⼦宮内膜症性不妊患者の治療⽅針
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PMID 12699256 Obstet Gynecol Clin North Am. 2003 Mar;30(1):21-40, vii・・・
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3: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約第1部.東京.⾦原出版.1993.
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PMID 18164001 Fertil Steril. 2008 Nov;90(5):1583-8. doi: 10.1016/j.fe・・・
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PMID 9130884 Fertil Steril. 1997 May;67(5):817-21.
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PMID 19249702 J Minim Invasive Gynecol. 2009 Mar-Apr;16(2):142-8. doi・・・
最終更新⽇ : 2016年4⽉15⽇
<<ページ末尾:#actionDetails4.aspx?DiseaseID=1722>>
17: Patterns of and risk factors for recurrence in women with ovarian endometriomas.
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18: Impact of GnRH agonist treatment on recurrence of ovarian endometriomas after conservative laparoscopic surgery.
PMID 18377899 Fertil Steril. 2009 Jan;91(1):40-5. doi: 10.1016/j.fert・・・
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PMID 18973896 Fertil Steril. 2010 Jan;93(1):52-6. doi: 10.1016/j.fert・・・
20: Postoperative oral contraceptive exposure and risk of endometrioma recurrence.
PMID 18241819 Am J Obstet Gynecol. 2008 May;198(5):504.e1-5. doi: 10.・・・
21: A randomized trial of excision versus ablation for mild endometriosis.
PMID 15950657 Fertil Steril. 2005 Jun;83(6):1830-6. doi: 10.1016/j.fe・・・
⼦宮内膜症
北脇 城 京都府⽴医科⼤学 産婦⼈科
■エビデンス・解説
#1722推奨度 1Rs
推奨度 1JG
⼦宮内膜症性疼痛は、少なくとも⽉経痛、慢性⾻盤痛、性交痛に分類して問診する。疼痛の程度 はvisual analog scale (VAS)によって評価する。
⼦宮内膜症患者の88%が⽉経痛を訴え、⽉経時以外の下腹部痛(71%)、腰痛(57%)、排便痛(30%)など の⾮⽉経時慢性⾻盤痛、さらに性交痛も56%と⾼頻度に認められる[1]。⼦宮内膜症性疼痛は、すべてを⼀括する のではなく、⽉経痛、慢性⾻盤痛、性交痛の最低3種類に分類して問診すると、その後の治療およびその⽅針決定 に参考になる。疼痛の種類および程度の評価には、VAS([ID0661])を⽤いるのが簡便でありかつ実践的であ る。これらの疼痛をきたす病巣には、腹膜病変、⼦宮内膜症性卵巣嚢胞、および深部病変(ダグラス窩、直腸腟 中隔)の3種類がある。
1: 武⾕雄⼆(主任研究者):厚⽣省⼼⾝障害研究「リプロダクティブヘルスからみた⼦宮内膜症の実態 と対策に関する研究」平成9年度研究報告書.1998.
[ID0661]
Visual analog scale (VAS)
全く痛みがない状態を0、実際には味わったことはないが想像できる究極の激痛を10と仮定して、⾃分の痛みの程度 を⽰してもらう。
1: 著者提供
⼦宮内膜症の確定診断は腹腔鏡検査によって直視的に⾏うことが原則である。
⼦宮内膜症取り扱い規約第1部[1]では、直視的所⾒を⼦宮内膜症によって直接ひき起こされる所⾒(1次所⾒)と 間接的に⽣じた所⾒(2次所⾒)とに⼤別している。さらに1次所⾒を⾎性⾊素によって着⾊された⾊素性病変 と、着⾊されていない⾮⾊素性病変とに分類している([ID0662])。進⾏期分類としてはrevised American Society for Reproductive Medicine (r-ASRM)分類[2]が国際的基準として⽤いられている([ID0663])。病 巣、癒着、そしてこれらの拡がりを点数化するとともに、腹膜および卵巣表⾯の病巣について、⾚⾊(⾚⾊、⾚
桃⾊、透明)、⽩⾊(⽩⾊、⻩褐⾊、腹膜⽋損)、⿊⾊(⿊⾊、⻘⾊)に分類し、それぞれの病巣タイプの頻度 をパーセントで記載することが特徴である。[ID0664]
1: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約第1部.東京.⾦原出版.1993.
2: Revised American Society for Reproductive Medicine classification of endometriosis: 1996.
PMID 9130884 Fertil Steril. 1997 May;67(5):817-21.
[ID0662]
⼦宮内膜症の直視的所⾒分類
1: エビデンス [ID0501] 1 / 12
2: エビデンス [ID0502] 2 / 12
⼦宮内膜症の直視的所⾒には、直接ひき起こされる所⾒(⼀次所⾒)と間接的に⽣じた所⾒(⼆次所⾒)とがある。
1: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約第1部.P3、東京.⾦原出版.1993.
[ID0663]
Revised ASRM分類
Revised AFS分類を改編して、病変を量的だけではなく質的に評価するために、⾚⾊、⽩⾊、⿊⾊に分類し、それぞ れの⽐率を記載することになった。
1: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約第2部第2版 治療編・診療編、P12、⾦原出 版、2010
[ID0664]
Revised ASRM分類(病変の⾊調別分類)
推奨度 1S/CSJG Revised AFS分類を改編して、病変を量的だけではなく質的に評価するために、⾚⾊、⽩⾊、⿊⾊に分類し、それぞ れの⽐率を記載することになった。
1: Revised American Society for Reproductive Medicine classification of endometriosis: 1996.
PMID 9130884 Fertil Steril. 1997 May;67(5):817-21.
不妊を訴える患者のうち「臨床⼦宮内膜症」と診断された場合には、腹腔鏡下⼿術が第1選択と なる。
無治療での⾃然妊娠予後は、原因不明不妊では33.3%に対して、⼦宮内膜症Ⅰ・Ⅱ期では20%、Ⅲ・Ⅳ期では 5.1%と低下する[1]。⼦宮内膜症性不妊に対する通常の排卵誘発と⼈⼯授精による不妊治療による妊娠率は、
オッズ⽐0.45と有意に低下する[2]。また、内分泌療法は病巣を縮⼩し、疼痛を軽減することには効果があるが、
こと妊娠率に関してはプラセボと⽐較してオッズ⽐0.74と有意差がない[3]。Ⅰ・Ⅱ期の⼦宮内膜症性不妊に対し ては、腹腔鏡下に病巣をできるだけ除去した場合には、腹腔鏡下に診断しただけの場合よりも有意に術後の妊娠 率が上昇する[4]ことから、腹腔鏡下⼿術が第1選択となる[5]。
1: The prognosis for live birth among untreated infertile couples.
PMID 7789569 Fertil Steril. 1995 Jul;64(1):22-8.
2: The effectiveness of ovulation induction and intrauterine insemination in the treatment of persistent infertility: a meta-analysis.
PMID 9363697 Hum Reprod. 1997 Sep;12(9):1865-72.
3: Ovulation suppression for endometriosis.
PMID 17636607 Cochrane Database Syst Rev. 2007 Jul 18;(3):CD000155. doi:
10.1002/146・・・
4: Laparoscopic surgery in infertile women with minimal or mild endometriosis.
Canadian Collaborative Group on Endometriosis.
PMID 9227926 N Engl J Med. 1997 Jul 24;337(4):217-22. doi:
10.1056/NEJM199707243370・・・
5: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約 第2部 治療編・診療編、⾦原出版、2010.
3: エビデンス [ID0503] 3 / 12
推奨度 2S/CS
⼦宮内膜症性不妊に対して、体外受精-胚移植は有⼒な選択肢であ る。
⼦宮内膜症性不妊に対する通常の排卵誘発と⼈⼯授精による不妊治療による妊娠率は、オッズ⽐0.45と有意に低 下する[1]。また、内分泌療法は病巣を縮⼩し、疼痛を軽減することには効果があるが、こと妊娠率に関してはプ ラセボと⽐較してオッズ⽐0.74と有意差がない[2]。したがって、体外受精-胚移植は有効な治療法であるが、⼦
宮内膜症群の妊娠率は卵管因⼦群に⽐してオッズ⽐0.56と有意に低下し、重症群は軽症群よりさらに低下する [3]。そこで、体外受精周期の前にGnRHアゴニストによって3〜6カ⽉投与することによって妊娠率のオッズ⽐が 4倍⾼くなる[4]。[ID0702]
1: The effectiveness of ovulation induction and intrauterine insemination in the treatment of persistent infertility: a meta-analysis.
PMID 9363697 Hum Reprod. 1997 Sep;12(9):1865-72.
2: Ovulation suppression for endometriosis.
PMID 17636607 Cochrane Database Syst Rev. 2007 Jul 18;(3):CD000155. doi:
10.1002/146・・・
3: Effect of endometriosis on in vitro fertilization.
PMID 12057720 Fertil Steril. 2002 Jun;77(6):1148-55.
4: Long-term pituitary down-regulation before in vitro fertilization (IVF) for women with endometriosis.
PMID 16437491 Cochrane Database Syst Rev. 2006 Jan 25;(1):CD004635. doi:
10.1002/146・・・
[ID0702]
⼦宮内膜症不妊患者の治療⽅針
1: ⽇本産科婦⼈科学会編:⼦宮内膜症取扱い規約 第2部第2版 治療編・診療編、P61、⾦原出 版、2010
4: エビデンス [ID0504] 4 / 12
推奨度 2RsJG
推奨度 2S/CS
4〜5cm以上の⼦宮内膜症性卵巣嚢胞を合併する不妊に対しては、腹 腔鏡下嚢胞摘出術を⾏うことが勧められる。
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞は、欧州⽣殖医学会(ESHRE)では、⼦宮内膜症性疼痛または対外受精の採卵時における 卵胞へのアクセスを改善するために3cm以上の嚢胞摘出術の検討を推奨している。嚢胞摘出術が妊娠を改善する というエビデンスはないとしている[1]。腹腔鏡下嚢胞摘出術は凝固蒸散術に⽐較して術後の妊娠率がオッズ⽐
5.21と有意に優れており、再発率、再⼿術率、術後疼痛においても優れている[2]。⼀⽅、粗暴な嚢胞摘出術は術 後に卵巣の予備能(ovarian reserve)が低下する危険性を伴う。早発卵巣機能不全(premature ovarian failure; POF)の発⽣率が2.4%と報告されている[3]。卵巣予備能が⾎中anti-Müllerian hormone (AMH)と相 関する。両側の嚢胞摘出術が⽚側よりAMH低下が強い[4]。嚢胞摘出術にあたっては正常部分の温存に⼗分な配 慮が必要である。その⼯夫の1つとして、⽣⾷で希釈したバゾプレッシンを嚢胞と正常部分の間隙に注⼊してから 嚢胞を鈍的に剥離することが試みられている[5]。
1: ESHRE guideline: management of women with endometriosis.
PMID 24435778 Hum Reprod. 2014 Mar;29(3):400-12. doi: 10.1093/humrep/det457. Epub 20・・・
2: Excisional surgery versus ablative surgery for ovarian endometriomata.
PMID 18425908 Cochrane Database Syst Rev. 2008 Apr 16;(2):CD004992. doi:
10.1002/146・・・
3: Postsurgical ovarian failure after laparoscopic excision of bilateral endometriomas.
PMID 16681984 Am J Obstet Gynecol. 2006 Aug;195(2):421-5. doi:
10.1016/j.ajog.2006.0・・・
4: Impact of laparoscopic cystectomy on ovarian reserve: serial changes of serum anti-Müllerian hormone levels.
PMID 19345350 Fertil Steril. 2010 Jun;94(1):343-9. doi: 10.1016/j.fertnstert.2009.02・・・
5: The vasopressin injection technique for laparoscopic excision of ovarian endometrioma: a technique to reduce the use of coagulation.
PMID 20226404 J Minim Invasive Gynecol. 2010 Mar-Apr;17(2):176-9. doi:
10.1016/j.jmi・・・
⼦宮内膜症性卵巣嚢胞を合併する不妊に対しては、嚢胞内容液吸引またはアルコール固定後に体 外受精-胚移植を⾏うことが勧められる。
嚢胞摘出術後の⾃然妊娠率は23〜67%である[1]。⼀⽅、卵管因⼦群と⽐較したIVF/ICSI(in vitro fertilization / intracytoplasmic sperm injection)の成績は、嚢胞摘出術後に採卵数が低下するが、受精率と妊娠率は有意差 がない[2]。さらに、IVF/ICSI周期前の⼦宮内膜症性嚢胞の治療(吸引または嚢胞摘出術)群と無治療群との⽐
較では、妊娠率に差がない[3]。これらのことから⼦宮内膜症性嚢胞の存在はIVFを妨げないと考えられる。
Tsoumpouら[4]は、嚢胞径が5cm以上であれば嚢胞摘出術を⾏ってからIVFを⾏い、3cm未満であれば直ちに IVFを⾏う。嚢胞摘出術の術後、あるいは3〜5cmであれば3カ⽉間のGnRHアゴニストを⾏ってからIVFを⾏うこ とを提唱している。
1: Pregnancy rates following ablative laparoscopic surgery for endometriomas.
PMID 11870136 Hum Reprod. 2002 Mar;17(3):782-5.
2: Should endometriomas be treated before IVF-ICSI cycles?
PMID 16155094 Hum Reprod Update. 2006 Jan-Feb;12(1):57-64. doi:
10.1093/humupd/dmi03・・・
3: Interventions for women with endometrioma prior to assisted reproductive technology.
PMID 21069706 Cochrane Database Syst Rev. 2010 Nov 10;(11):CD008571. doi:
10.1002/14・・・
5: エビデンス [ID0505] 5 / 12
6: エビデンス [ID0506] 6 / 12