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今日の臨床サポート - 胃切除後症候群 - 評価・治療例

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(1)

薬剤の保険適⽤ ご確認のお願い

「評価・治療例(詳細)」ページの薬剤に、保険適⽤表記を追記させていただきましたので、ご確認をお願いします。

疾患に対して、記載されている薬剤処⽅は保険適⽤があるのかないのか、また、⽤量内なのかを読者が確認できるようにすることを⽬的としていま

す。

この保険適⽤情報は、エルゼビアの責任として、レセプトチェックソフトなどを参考に案を作成しておりますが、先⽣のコンテンツに掲載すること

から、違和感がないかなど、公開前に先⽣に内容をご確認いただけたらと考えております。

添付⽂書記載の保険適⽤の内容が査定の現場の内容と異なることがあります。例えば、筋緊張型頭痛は、厳密にはロキソニンの保険適⽤外です。し

かし、慣習的に⽤いられており査定対象にならないことがあります。このような場合には、“筋緊張型頭痛は厳密にはロキソニンの適⽤外だが、査

定の対象とならないこともある”のような記載を付け加えられたらと考えています。このような記載が必要かどうかについて、先⽣の現場の感覚に

てご指導を御頂戴できたら幸いです。

注釈 

「評価・治療例(詳細)」の下に、以下のような注釈を掲載

薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェックソフトなどで確認し

作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険適⽤外と判断されることを保証するもので

はありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。

疾患のコンテンツの例:⾚芽球癆

疾患のコンテンツについての表現⼀覧

記載(〇〇には病名が⼊ります)

意味

[適⽤内/⽤量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量も範囲内

[適⽤内/⽤量適宜増減2倍以下㊜

○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以内で、添付⽂書の適宜増減の記載

により⽤量内になりえる

[適⽤内/⽤量適宜増減2倍超㊜

○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⽤量は添付⽂書量の2倍超で、添付⽂書に適宜増減の記載はあるが、

⽤量外になる可能性あり

[○○では適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜

○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⽤量は範囲内

[○○では適⽤外/他適⽤⽤量適宜

増減2倍以下/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以

内で、添付⽂書の適宜増減の記載により⽤量内になりえる

[○○では適⽤外/他適⽤⽤量適宜

増減2倍超/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。⽤量は添付⽂書量の2倍超で、添付

⽂書に適宜増減の記載はあるが、⽤量外になる可能性あり

(2)

[適⽤内/⼩児⽤量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量も存在し、その範囲内

[適⽤内/⼩児⽤量外/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量は存在するが、その範囲外

[適⽤内/⼩児⽤量記載無/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤あり。⼩児⽤量が存在せず、成⼈での⽤量範囲内

[○○では適⽤外/他適⽤⼩児⽤

量内/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⼩児⽤量が存在し、

その範囲内

[○○では適⽤外/他適⽤⼩児⽤

量外/㊜○○]

薬剤が、想定した病名に適⽤がなく、他の病名をつける必要がある。その病名で、⼩児⽤量が存在し、

その範囲外

[薬価未収載]

海外の薬剤など

症状のコンテンツの例:全⾝浮腫

症状のコンテンツについての表現⼀覧

記載(〇〇には病名が⼊ります)

意味

[⽤量内/㊜××]

薬剤の⽤量が、病名××に対する⽤量として⽤量内である

[⽤量適宜増減2倍以内/㊜××]

薬剤の⽤量が、病名××に対する添付⽂書量を超えるが2倍以内である。添付⽂書に適宜増減などの記載

がある

[⽤量適宜増減2倍超/㊜××]

薬剤の⽤量が、病名××に対する添付⽂書量の2倍超で、添付⽂書に適宜増減の記載はあるが、⽤量外に

なる可能性ある

[⼩児⽤量内/㊜××]

薬剤の⽤量が、病名××に対する⼩児⽤量として⽤量内である

[⼩児⽤量外/㊜××]

薬剤の⽤量が、病名××に対する⼩児⽤量の範囲外である

[⼩児⽤量記載無/㊜××]

薬剤の⽤量が、病名××に対する成⼈での⽤量範囲内であり、⼩児⽤量は存在しない

[薬価未収載]

海外の薬剤など

(3)

胃切除後症候群

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

■評価・治療例(詳細)

#0248

初診時、フォローアップ時

対象患者・コメントを隠す/表⽰する

※下記は、⼀部を除き、執筆者が過去に診た20⼈の患者で2⼈以上に⾏った事を羅列して頂いています。実際の1⼈の患者に ⾏った内容は、下記の⼀部分であることを了解下さい。

評価⽅針

緊急を要する病態かどうかを症状、画像診断、⾎液検査から判断する。

慢性の病態であれば、栄養状態、貧⾎の有無と、あればその原因の有無を⾎液検査にて診断

する。

残胃がある場合には1年に1度は内視鏡検査を⾏う。

バイタルサイン

バイタル(⾎圧、脈拍)来院時 [ID0501][ID0502][ID0508][ID0509][ID0510][ID0512][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) ⾝⻑・体重 対象: 胃切除後の患者(推奨度1)

コメディカルへの依頼

⾷事指導(少量ずつ頻回に、ゆっくりよく噛んで) [ID0503][ID0504][ID0505][ID0509][ID0511] [ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) ⾷事指導(炭⽔化物をむしろ避け、蛋⽩質を中⼼に) [ID0501][ID0502] 対象: ダンピング症候群を認める患者(推奨度1)

検体検査

CBC [ID0501][ID0502][ID0503][ID0504][ID0505][ID0506][ID0507][ID0509][ID0512] [ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回 Na, Cl, K [ID0501][ID0502][ID0509][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回 TP, Alb [ID0506][ID0507][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回

ALT, AST [ID0508][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度2) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回 BUN [ID0509][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度2) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回 Cr [ID0501][ID0502][ID0509] 対象: 胃切除後の患者(推奨度2) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回 Glu(⾎清) [ID0501][ID0502][ID0509]

(4)

対象: 胃切除後の患者(推奨度2) T-Cho [ID0506][ID0507][ID0508][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回 TG [ID0506][ID0507][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) コメント: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回

CEA, CA19-9 [ID0512]

対象: 胃癌の既往歴の患者(推奨度2) Fe [ID0506][ID0507][ID0509][ID0512] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) ビタミンB [ID0506][ID0507][ID0509][ID0510] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) Cu [ID0506][ID0507][ID0509][ID0510] 対象: 胃切除後の患者(推奨度2) ⾷後3時間⾎糖(Glu(⾎清)) [ID0501] 対象: 後期ダンピング症状のある患者(推奨度2) 動脈⾎液ガス 対象: 内ヘルニアまたはイレウスが疑われる患者(推奨度1)

⽣理・画像検査

X線 腹部 正⾯ [ID0508][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 腹痛のある患者(推奨度2) 腹部エコー [ID0508][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 何らかの症状のある胃切除後患者 コメント: 胃術後の患者は1年に1回、また症状があれば必ず 上部消化管内視鏡 [ID0503][ID0504][ID0505][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 過去1年間に上部消化管内視鏡を施⾏されていない残胃を有する患者(推奨度1) 腹部造影CT [ID0508][ID0509][ID0512][ID0513] 対象: 腹痛があり、内ヘルニアまたはイレウスが疑われる患者(推奨度1) 過去1年間に腹部造影CTを施⾏されていないか、腹部症状を有する胃術後患者 ⾻密度 [ID0506][ID0507][ID0509][ID0511] 対象: 胃切除後で⾻粗鬆症が疑われる患者

治療⽅針

術後イレウス、内ヘルニアは緊急⼿術の必要性の有無を判断するのが最優先となる。

⾷後症候群は⾷事療法にて症状の改善を試み、改善が不⼗分な場合には薬物治療を試みる。

消化吸収障害は薬物治療、成分栄養で改善を試みる。

逆流性⾷道炎、逆流性胃炎は⽣活習慣の改善と薬物治療を⾏う。難治性の場合には⼿術も考

慮する。

胆⽯症は症状があれば、⼿術を考慮する。

残胃癌は専⾨医に依頼する。

薬 剤

消化酵素製剤 エクセラーゼ配合カプセル 3錠 分3 朝昼⼣ 次回外来まで [ID0506][ID0507][ID0509][ID0513] 12

(5)

薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 対象: 消化不良症状のある患者 消化器症状を訴える場合 コメント: エクセラーゼ、ラックビー、マグラックスは、適宜併⽤する ⽌痢(整腸薬) ラックビー微粒N [1%] 3g 分3 朝昼⼣ 次回外来まで [ID0506][ID0507][ID0509][ID0513] 対象: 消化不良症状のある患者 消化器症状を訴える場合 コメント: エクセラーゼ、ラックビー、マグラックスは、適宜併⽤する 下剤(塩類) マグラックス錠 [500mg] 1〜3g 分3 朝昼⼣ 次回外来まで [ID0506][ID0507][ID0509][ID0513] [胃切除後症候群は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜便秘症](編集部注:本ページで想定する適⽤病名「胃切除後症 候群」/2015年7⽉) 対象: 消化不良症状があり、ラックビーを処⽅した便秘がちな患者 消化器症状を訴える場合 コメント: エクセラーゼ、ラックビー、マグラックスは、適宜併⽤する 鉄剤 フェロミア錠 [50mg] 2錠 分1 朝⾷後 次回外来まで [ID0506][ID0507] [胃切除後症候群は適⽤外/ 他適⽤⽤量内/㊜鉄⽋乏性貧⾎] 対象: ⾎液⽣化学検査でFe値の低下のある患者。貧⾎がある場合 コメント: フェロミア、シナールは、適宜併⽤する 複合ビタミン製剤 シナール配合錠  1錠 分1  [ID0506][ID0507] 対象: フェロミアを処⽅する患者 コメント: フェロミア、シナールは、適宜併⽤する プロトンポンプ阻害薬 オメプラール錠 [10mg] 1錠 分1 8週間まで [ID0503][ID0504][ID0505][ID0509][ID0513] [胃切 除後症候群は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜逆流性⾷道炎] 対象: 残胃があり、逆流性⾷道炎が疑われる場合 コメント: オメプラール、フオイパン、六君⼦湯、ガスモチンは、症状にあわせて適宜併⽤する 蛋⽩分解酵素阻害薬 フオイパン錠 [100mg] 3錠 分3 次回外来まで [ID0503][ID0504][ID0505] [胃切除後症候群は適⽤ 外/他適⽤⽤量内/㊜術後逆流性⾷道炎] 対象: 逆流性⾷道炎があり、膵液の逆流も疑われる場合 コメント: オメプラール、フオイパン、六君⼦湯、ガスモチンは、症状にあわせて適宜併⽤する 漢⽅薬 ツムラ六君⼦湯エキス顆粒(医療⽤) 7.5g 分3 [ID0503][ID0504][ID0505][ID0509] [胃切除後症候群 は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜胃炎] 対象: 逆流性⾷道炎が疑われる場合 コメント: オメプラール、フオイパン、六君⼦湯、ガスモチンは、症状にあわせて適宜併⽤する セロトニン受容体作動薬 ガスモチン錠 [5mg] 3錠 分3 [ID0503][ID0504][ID0505][ID0509][ID0513] [胃切除後症候群は適

(6)

最終更新⽇ : 2016年4⽉4⽇ <<ページ末尾:#situationDetails6.aspx?DiseaseID=0248&situationno=1>> 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る ⽤外/他適⽤⽤量内/㊜慢性胃炎] 対象: 逆流性⾷道炎が疑われる場合、または胃内容停滞時 コメント: オメプラール、フオイパン、六君⼦湯、ガスモチンは、症状にあわせて適宜併⽤する ⽌痢(腸管運動抑制薬) ロペミンカプセル [1mg] 2カプセル 分2、または頓⽤ [ID0506][ID0507][ID0509] [胃切除後症候群は 適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜下痢症] 対象: 下痢を繰り返す場合 ビタミンB 製剤 メチコバール注射液 [0.5mg] 2アンプル 筋注 [ID0507] [胃切除後症候群は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜ビ タミンB12⽋乏性貧⾎] 対象: ビタミンB ⽋乏がある場合(推奨度1)

コンサルト

消化器外科 [ID0509][ID0512] 対象: 内ヘルニア、絞扼性イレウスを認める患者(推奨度1) 残胃癌を認める患者(推奨度1)

指 導

⾷事指導(少量ずつ頻回に、ゆっくりよく噛んで) [ID0503][ID0504][ID0505][ID0506][ID0507] [ID0509][ID0513] 対象: 胃切除後の患者(推奨度1) ⾷事指導(炭⽔化物をむしろ避け、蛋⽩質を中⼼に) [ID0501][ID0502] 対象: ダンピング症候群の患者(推奨度1)

再診・⼊院の指⽰

⼊院 [ID0509] 対象: 内ヘルニア、イレウスを認める患者(推奨度1) 1〜2週間後再診 [ID0509] 対象: 初診時、新規薬剤を使⽤した場合 1〜3カ⽉後再診 [ID0509] 対象: 症状の安定した患者 推奨度1:明らかに利益が害やコストよりも上回る。必ず⾏う必要があり得る⾏為。 推奨度2:害、コストよりも、利益が上回る可能性が⾼い。半数以上の状況で⾏われ得る⾏為。 推奨度3:利益よりも、害、コストが、上回る可能性が⾼い。半数以下の状況で⾏われ得る⾏為。 推奨度4:明らかに利益が害やコストよりも下回る。医学的に原則禁忌といわれている⾏為。 (詳細はこちら参照) ※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。 尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。 ※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険 適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬 剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。 (詳細はこちらを参照) 12 12

(7)

胃切除後症候群

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

■評価・治療例(詳細)

#0248

イレウス・ダンピング症候群の場合

対象患者・コメントを隠す/表⽰する

※下記は、⼀部を除き、執筆者が過去に診た20⼈の患者で2⼈以上に⾏った事を羅列して頂いています。実際の1⼈の患者に ⾏った内容は、下記の⼀部分であることを了解下さい。

評価⽅針

緊急⼿術を要しないイレウスと判断した場合、24時間ごとの腹部X-P、症状悪化時の腹部造

影CTなどで、⼿術を要しないかどうかを厳重に経過観察する。

ダンピング症候群の診断には75g OGTT(ブドウ糖経⼝負荷試験)施⾏し、1時間後のバイ

タルサインと⾎糖、インスリン、GLP-1、さらに3時間後の⾎糖、インスリン、GLP-1を測

定してもよいが、症状により診断してもよい。

緊急対応

腹部造影CT [ID0509] 対象: 胃術後5年以内は少なくとも1年に1回、進⾏がんでは6カ⽉に1回(推奨度1) イレウスの悪化、全⾝状態の悪化がみられる場合は必ず(推奨度1)

バイタルサイン

⾎圧、脈拍、体温 [ID0501][ID0502][ID0509] 対象: イレウスで保存的に経過観察している場合、または、ダンピング症候群の検査をしている場合(推奨 度1)

検体検査

CBC [ID0509] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は年に1回(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合は毎⽇(推奨度1) Na,Cl,K [ID0509] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1)

ALT, AST [ID0509]

対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1) BUN, Cr [ID0509] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1) CRP [ID0509] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1) ⾎液ガス [ID0509] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1) Glu(⾎清) [ID0501][ID0502][ID0509] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度2) ダンピング症候群の検査をしている場合 インスリン[CLEIA] [ID0501][ID0502] 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度2) ダンピング症候群の検査をしている場合 GLP-1 [ID0501][ID0502]

(8)

薬剤情報を⾒る 薬剤情報を⾒る 対象: 術後5年以内の患者は6カ⽉に1回、術後5年以上の患者は1年に1回(推奨度2) ダンピング症候群の検査をしている場合

⽣理・画像検査

腹部造影CT [ID0509] 対象: 胃術後5年以内は少なくとも1年に1回、進⾏がんでは6カ⽉に1回腹部症状を有する患者(推奨度1) イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1) 腹部X­P [ID0509] 対象: イレウスで保存的に経過観察している場合(推奨度1) 胃術後の患者は1年に1回、症状があれば必ず

治療⽅針

イレウスで経過観察中、全⾝状態の悪化、⾎液検査の悪化、症状の増悪が認められる場合は

絞扼を考え緊急⼿術を⾏う。

イレウスで経過観察中、絶⾷点滴で1週間たっても改善がない場合、⼿術を⾏う。

⾷事療法で改善しない後期ダンピング症候群にはアカルボース(グルコバイ)を投与する。

⾷事療法で改善しないダンピング症候群にはオクトレオチド(サンドスタチン)を投与す

る。

薬 剤

ソマトスタチンアナログ サンドスタチン⽪下注⽤ [100μg] 50〜100μg ⾷前15〜60分 ⽪下注 [ID0501][ID0502] [ダンピン グ症候群は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜ガストリノーマ](編集部注:本ページで想定する適⽤病名「ダンピング 症候群」/2015年7⽉) 対象: ⾷事指導で改善しないダンピング症候群の患者 コメント: サンドスタチン、グルコバイは、症状にあわせて適宜併⽤する αグルコシダーゼ阻害薬 グルコバイ錠 [100mg]3錠 分3 ⾷前 [ID0501][ID0502] [ダンピング症候群は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜ 糖尿病] 対象: ⾷事指導で改善しない後期ダンピング症候群の患者 コメント: サンドスタチン、グルコバイは、症状にあわせて適宜併⽤する

合併症のコントロール

サンドスタチンの⻑期投与では胆⽯症に注意が必要である。 [ID0501][ID0502] 対象: サンドスタチンを投与中の患者

再診・⼊院の指⽰

イレウスにて経過観察中は⼊院とする。 [ID0509] 対象: イレウスにて経過観察中の場合(推奨度1) 推奨度1:明らかに利益が害やコストよりも上回る。必ず⾏う必要があり得る⾏為。 推奨度2:害、コストよりも、利益が上回る可能性が⾼い。半数以上の状況で⾏われ得る⾏為。 推奨度3:利益よりも、害、コストが、上回る可能性が⾼い。半数以下の状況で⾏われ得る⾏為。 推奨度4:明らかに利益が害やコストよりも下回る。医学的に原則禁忌といわれている⾏為。 (詳細はこちら参照) ※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、 著者により作成された情報ではありません。 尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。 ※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険 適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬 剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。 (詳細はこちらを参照)

(9)

最終更新⽇ : 2016年4⽉4⽇

(10)

胃切除後症候群

監修:上村直実 国⽴国際医療研究センター国府台病院

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

■トップページ

#0248

概要

疾患のポイント:

胃切除後症候群とは、胃癌などの胃切除後に起こる合併症で、⾷後30分以内に発症する早期胃

切除後症候群と、⾷後2〜4時間後に発症する後期胃切除後症候群がある。

胃切除(胃全摘、幽⾨側胃切除、噴⾨側胃切除、胃部分切除を含む)の既往があることが診断

の前提となる。

疾患の頻度は胃切除を受けた⼈のなかでは⾼く、部分切除よりも⼤きく胃切除を受けた⼈では

何らかの障害を有する場合がほとんどである。

診断:[ID0011][ID0701]

⼩胃症状、ダンピング症候群、下痢、輸出脚通過障害、輸⼊脚症候群は、ほとんど患者の訴え

のみからの診断となる。そのため、胃切除後でこのような症状があれば診断となる。

術後イレウス、内ヘルニアは患者の腹痛、嘔吐の訴えに加え、腹部X-P、腹部CTにて診断す

る。

逆流性⾷道炎、逆流性胃炎、残胃炎、残胃癌は上部消化管内視鏡にて診断する。

胆⽯症は無症状のことも多く、腹部超⾳波にて診断する。

治療:[ID0014]

それぞれの診断に基づき治療を⾏う。

⾷後症候群はまず、⾷事指導にて症状の軽減を試みる。

消化吸収障害は消化剤の投与にて改善するかを試みる。

鉄⽋乏性貧⾎は鉄剤の経⼝投与にて改善すると同時に、経⼝鉄剤による消化器症状の出現がな

いかを確認する。

巨⾚芽球性貧⾎はビタミンB

製剤の注射にて改善するかを試みる。

逆流性⾷道炎は残胃がある場合には、酸分泌抑制薬、消化管運動賦活薬を投与する。残胃がな

い場合には膵酵素阻害薬、消化管運動賦活薬を投与する。

逆流性胃炎は症状があれば、酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬を投与する。

専⾨医相談のタイミング:[ID0017]

輸⼊脚症候群が⾷事療法にても改善しない場合には⼿術が必要である。

術後イレウス、内ヘルニアで絞扼が疑われるときは緊急に、または1週間絶⾷にて経過をみて

も改善しないときには⼿術が必要である。

⾷道まで胆汁・膵液が逆流する重症の逆流性⾷道炎が薬物治療にても改善しない場合には⼿術

が必要である。

臨床のポイント:

胃切除後症候群とは、外科的胃切除術後に発現した症候群である。

イレウスなど緊急対応が必要なものの鑑別が⼤切である。

ダンピング症候群など代謝異常から⽣ずる症状にも注意が必要である。

評価・治療の進め⽅

※選定されている評価・治療は⼀例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。

■腹痛があり、内ヘルニアまたはイレウスが疑われるときの検査例

絞扼の有無の判断が最重要課題である。

緊急⼿術の必要性ないしは重篤度を知るために、下記の検査がすべて必要である。

○ 絞扼の有無の診断には腹部造影CTが必須である。

1)腹部造影CT

2)動脈⾎液ガス

3)

CBC

[ID0501][ID0502][ID0503][ID0504][ID0505][ID0506][ID0507][ID0509]

[ID0512][ID0513]

■ダンピング症候群の患者の治療例

まず⾏うべき初期治療は⾷事指導である。

12

(11)

著者のCOI(Conflicts of Interest)開⽰: 野村幸世:特に申告事項無し 最終更新⽇ : 2016年4⽉4⽇ <<ページ末尾:#searchDetails4.aspx?DiseaseID=0248>>

多彩な症状があるが、個々の症状に従った⾷事指導を⾏う。

○ ダンピング症候群の患者には⾷事指導を⾏う。

1)⾷事指導(少量ずつ頻回に、ゆっくりよく噛んで) [ID0503][ID0504][ID0505]

[ID0506][ID0507][ID0509][ID0513]

2)⾷事指導(炭⽔化物をむしろ避け、蛋⽩質を中⼼に) [ID0501][ID0502]

追加情報ページへのリンク

胃切除後症候群に関する

詳細情報

胃切除後症候群に関する評価・治療例(詳細) (2件)

初診時、フォローアップ時

イレウス・ダンピング症候群の場合

胃切除後症候群に関する

エビデンス・解説

(13件)

胃切除後症候群に関する

画像

(9件)

※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、  著者により作成された情報ではありません。  尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。 ※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、エルゼビアジャパン編集部によって記載⽇時にレセプトチェッ クソフトなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険 適⽤外と判断されることを保証するものではありません。また、検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬 剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛させていただいています。 (詳細はこちらを参照)

(12)

胃切除後症候群

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

■詳細情報

#0248

病態・疫学・診察

疾患情報(疫学・病態) [ID0001]

胃切除(胃全摘、幽⾨側胃切除、噴⾨側胃切除、胃部分切除を含む)の既往があることが診断

の前提となる。

⾷後症候群、消化吸収障害、⼿術操作に関連する障害、その他の障害に⼤別される。

[ID0607]

⾷後症候群は、胃⼿術後⻑期を経過してはじめて現れることはまれである。消化吸収障害、そ

の他の障害はむしろ胃⼿術後⻑期を経過して現れることが多い。

術後⻑期に経過した⼈ではすでに平衡状態になっており、治療を要しない病態と、治療を要す

る病態とがある。

疾患の頻度は胃切除を受けた⼈のなかでは⾼く、部分切除よりも⼤きく胃切除を受けた⼈では

何らかの障害を有する場合がほとんどである。

問診・診察のポイント [ID0002]

胃切除を受けたのがいつのことか、術式、何に対する⼿術か、悪性疾患であればそのステージ

を確認する。

腹痛の有無、胸痛・胸焼けの有無、それらと⾷事との関係を聞く。

体重の変化(⼿術前と⽐較して、最近の増減はどうか)、⾷事摂取量は術前に⽐してどのくら

いかを聞く。

腹部膨満感、下痢、嘔吐、発汗、意識混濁、脳貧⾎などの症状を訴えたときには症状出現と⾷

事との関係を聞く。

診察においては、腹部を視触聴診し、⼿術瘢痕の状態、腹部膨満の有無、腸蠕動⾳の亢進また

は低下、⾃発痛、圧痛の有無を観察する。

眼瞼結膜にて貧⾎、⻩疸の有無を観察する。

診断⽅針

0:想起 [ID0010]

胃切除の既往がある、ということのみで、何らかの胃切除後症候群に属する病態を有している

と想起する。

胃切除の既往の上に何らかの消化器症状を訴えたときには、ほぼ確実に胃切除後症候群である

と想起する。

1:診断 [ID0011]

⼩胃症状、ダンピング症候群、下痢、輸出脚通過障害、輸⼊脚症候群は、ほとんど患者の訴え

のみからの診断となる。そのため、胃切除後でこのような症状があれば診断となる。

消化吸収障害に関しては、患者の訴えに加えて、⾎液検査、⾎清蛋⽩低値、貧⾎などで診断さ

れる。

術後イレウス、内ヘルニアは患者の腹痛、嘔吐の訴えに加え、腹部X-P、腹部CTにて診断す

る。

逆流性⾷道炎、逆流性胃炎、残胃炎、残胃癌は上部消化管内視鏡にて診断する。

胆⽯症は無症状のことも多く、腹部超⾳波にて診断する。

胃内容停滞は繰り返す腹痛、嘔吐、吐気、摂⾷不良、体重減少に加え、腹部X-Pまたは透視に

て胃内容物貯留を確認する。

2:疾患の除外 [ID0012]

消化吸収障害は体重減少がなく、⾎液検査上も異常を認めない場合、除外される。

輸出脚通過障害は、透視にて通過障害がない場合には除外される。

腹部X-Pが正常で、透視にて通過障害がない場合には術後イレウスは除外される。

繰り返すエコー、CTにて胆⽯が認められない場合には胆⽯症は除外される。

治療⽅針

(13)

3:重症度・予後 [ID0013]

予後

胃切除後に起因する症状はあまり治らない。ただし、胆⽯などは切除すれば消失し、イレウス

も解除すれば消失する。薬物治療は症状緩和を⽬的としたもので、予後に変わりはない

重症度

消化吸収障害は体重減少の度合い、⾎液検査における異常の度合いから重症度を判断する。

⾷後症候群は発⽣頻度により重症度を判断する。

⾷後症候群は⾷事内容によって発症に差があるかどうかを参考に重症度、予後を判断する。⾷

事内容により発症しない場合には⾷事の⼯夫で発症を抑えられる。

術後イレウス、内ヘルニアは緊急⼿術の必要性の有無を腹部造影CTにて判断する。

逆流性⾷道炎の重症度は内視鏡下観察のロサンゼルス分類による。

残胃がある場合の逆流性⾷道炎の予後は⽐較的よい。

残胃癌の重症度は内視鏡、腹部CTにより判断し、予後はその進⾏度による。

逆流性

胃炎はあまり症状はないことが多く、変化もない。

4:治療 [ID0014]

⾷後症候群はまず、⾷事指導にて症状の軽減を試みる。

消化吸収障害は消化剤の投与にて改善するかを試みる。

鉄⽋乏性貧⾎は鉄剤の経⼝投与にて改善すると同時に、経⼝鉄剤による消化器症状の出現がな

いかを確認する。

巨⾚芽球性貧⾎はビタミンB

製剤の注射にて改善するかを試みる。

術後イレウス、内ヘルニアは絞扼の有無を診断し、絞扼があれば緊急⼿術とする。

術後イレウス、内ヘルニアは絞扼がなければ、イレウス管の必要性の有無、胃管の必要性の有

無、絶⾷のみでよいかを判断する。

逆流性⾷道炎は残胃がある場合には、酸分泌抑制薬、消化管運動賦活薬を投与する。残胃がな

い場合には膵酵素阻害薬、消化管運動賦活薬を投与する。

逆流性胃炎は症状があれば、酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬を投与する。

5:フォローアップ⽅針 [ID0015]

⾷後症候群、消化吸収障害、逆流性⾷道炎、逆流性胃炎は重症度に応じて、1週間〜3カ⽉に1

度再診する。

保存的に経過をみることとした術後イレウス、内ヘルニアは⼊院のうえ、経時的変化を観察す

る。

6:難治症例の治療 [ID0019]

⾷事指導のみで改善しないダンピング症候群にはアカルボース300mg 分3(⾷前)、オクトレ

オチド 300μg分3(⾷前)の投与を試みる。

輸⼊脚症候群が⾷事療法にても改善しない場合には再吻合術が必要である。

⾷道まで胆汁・膵液が逆流する重症の逆流性⾷道炎が薬物治療にても改善しない場合には、⼿

術(R-Y再建)が必要である。

⾷事療法で改善しない低栄養、体重減少症例には半消化態栄養剤の飲⽤を試みる。

7:治療の中⽌ [ID0016]

胃切除後に起因し、この状態には変化がないため、⾷後症候群、消化吸収障害、逆流性⾷道

炎、逆流性胃炎に対しては⾷事療法、薬剤の中⽌はできない。

逆流性胃炎に対し、残胃全摘除術を施⾏した場合には薬剤を中⽌できる可能性がある。

8:⼊院適応 [ID0018]

術後イレウス、内ヘルニアは⼊院のうえ、絶⾷とする。

慢性の症状では通常、⼊院の必要性はない。⾷事指導を⾏う場合、消化吸収試験を⾏う場合に

は⼊院もあり得る。

12

(14)

9:専⾨医相談のタイミング [ID0017]

輸⼊脚症候群が⾷事療法にても改善しない場合には⼿術が必要である。

術後イレウス、内ヘルニアで絞扼が疑われるときは緊急に、または1週間絶⾷にて経過をみて

も改善しないときには⼿術が必要である。

⾷道まで胆汁・膵液が逆流する重症の逆流性⾷道炎が薬物治療にても改善しない場合には⼿術

が必要である。

イメージ

[ID0601] 胃切除後イレウスの腹部⽴位X­P

多数のニボーが認められる。

1: 著者提供 [ID0602] イレウスの腹部造影CT

(15)

拡張腸管が認められる。

1: 著者提供 [ID0603] 残胃炎の内視鏡像

残胃粘膜には発⾚、浮腫、粘膜の粗造性、過形成性ポリープの多発をみる。胆汁⾊も混じる。

1: 著者提供 [ID0604] 残胃癌の内視鏡像

(16)

⼿前前後壁に癌を認める。奥に残胃⼗⼆指腸吻合部が⾒える。残胃にできた進⾏癌である。

1: 著者提供

[ID0605]【⾮公開画像】

内ヘルニアの腹部CT画像

幽⾨側胃切除後のピーターセンヘルニア。⼩腸間膜根部のWhirl signを認める。

1: Internal hernia complications of gastric bypass surgery in the acute setting: spectrum of imaging findings.

PMID 19089479 Emerg Radiol. 2009 Jul;16(4):283-9. doi: 10.1007/s・・・

[ID0606]

(17)

前⽇昼⾷から摂取していないにもかかわらず、残胃内に胆汁⾊の⾷残を⼤量に認める。

1: 著者提供 [ID0607] 胃切除後障害 1: 著者提供 ページ上部に戻る

アルゴリズム

[ID0701] 胃切除後症候群診断のアルゴリズム

胃切除後症候群の診断のアルゴリズムを⽰した。

1: 著者提供 ページ上部に戻る

(18)

栄養状態不良、摂⾷不良

神経性⾷思不振症

アルコール多飲

腹痛

急性胃腸炎

⾍垂炎

貧⾎

出⾎による貧⾎

逆流性⾷道炎

狭⼼症

1.

2.

3.

4.

5.

6.

7.

鑑別疾患

ページ上部に戻る

エビデンス/解説

⾷事療法にてコントロールできない重症のダンピング症候群の患者には、サンドスタ

チンによる治療が勧められる。

重症のダンピング症候群は胃切除後の患者のなかでそれほど頻度が⾼いわけではない

が、軽症も合わせると10〜50%に認められる。そのうち5〜10%は臨床的に問題とな

る程度である。サンドスタチン50μgまたは100μgを⾷前15〜60分前に投与すること

で、有意に症状の改善をみることができる。

詳しく⾒る

グルコバイは後期ダンピング症状の改善に有効である。

詳しく⾒る

蛋⽩分解酵素阻害薬(フオイパン)は術後⾷道炎の治療に有⽤な場合がある。[1]

詳しく⾒る

六君⼦湯は胃癌術後の逆流性⾷道炎の予防、治療に有⽤である。

詳しく⾒る

ガスモチンは術後逆流性⾷道炎に有⽤である。

詳しく⾒る

胃切除術後貧⾎患者のほとんどには鉄剤(フェロミア、フェロ・グラデュメット)を

投与する必要がある。

詳しく⾒る

胃切除術後の貧⾎患者では半数以上にビタミンB

⽋乏があり、メチコバールの静脈

投与または筋⾁注射が必要である。

詳しく⾒る

12

(19)

最終更新⽇ : 2016年4⽉4⽇ <<ページ末尾:#actionDetails4.aspx?DiseaseID=0248>>

8.

9.

10.

11.

12.

13.

リンパ節郭清を伴う胃切除術後には胆⽯ができやすい。定期的に超⾳波検査を施⾏す

る。

詳しく⾒る

胃切除後の患者は⻑期経過しても、何かしらの上腹部症状を有していることが多い。

詳しく⾒る

胃切除後⻑期経過した例で、進⾏性の痙性・運動失調・ニューロパチーが⽣じたとき

は、ビタミンB

⽋乏と同時に銅の⽋乏を疑う。

詳しく⾒る

胃切除術後の患者では⾻粗鬆症の発⽣率が⾼い。

詳しく⾒る

残胃における胃癌の発症率は通常よりも⾼い。

詳しく⾒る

残胃内容物停滞に対しては胃全摘術が必要なことがある。

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症例検索

[https://clinicalsup.jp/jpoc/SearchExternal.aspx?

s=%E8%83%83%E5%88%87%E9%99%A4%E5%BE%8C%E7%97%87%E5%80%99%E7%BE%A4

症例くん]での検索(胃切除後症候群)

(「症例くん」は⽇本内科学会地⽅会の症例報告の検索システムです。⽇本内科学会のID、パ

スワードにてアクセスしてください。)

ページ上部に戻る 1: Postgastrectomy syndromes.

PMID 21889032 Surg Clin North Am. 2011 Oct;91(5):1105-22. doi: 10.101・・・ 12

(20)

胃切除後症候群

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

■エビデンス・解説

#0248

推奨度

2Rs

推奨度

2o

⾷事療法にてコントロールできない重症のダンピング症候群の患者には、サンドスタチンによる

治療が勧められる。

重症のダンピング症候群は胃切除後の患者のなかでそれほど頻度が⾼いわけではないが、軽症も

合わせると10〜50%に認められる。そのうち5〜10%は臨床的に問題となる程度である。サンド

スタチン50μgまたは100μgを⾷前15〜60分前に投与することで、有意に症状の改善をみること

ができる。

まとめ:複数のRCTにてサンドスタチンのダンピング症候群に対する有効性が確認されている。[1]〜[7] 代表事例:例えば、1989年に⾏ったスタディで、10⼈のダンピング症候群の患者が87.5gのブドウ糖を摂取する 60分前にプラセボ、50μg、または100μgのオクトレオチド(サンドスタチン)を投与された結果、 90%の患者で脈拍、⾎圧、⾎糖の改善が認められ、4⼈中3⼈で⻑期投与による改善も認められた。 結 論:このことから、サンドスタチンは重症ダンピング症候群に有効であり、強く推奨される。 追 記:⻑時間作⽤型のサンドスタチンLARには同様の効果が認められたが、⻑期投与におけるQOLにおいては 勝っていた。 なお、⽇本ではいまだにダンピング症候群に対する保険適⽤は通っていない。

1: Mechanisms by which octreotide ameliorates symptoms in the dumping syndrome. PMID 8667198 J Pharmacol Exp Ther. 1996 Jun;277(3):1359-65.

2: Control of dumping symptoms by somatostatin analogue in patients after gastric surgery.

PMID 1929823 Arch Surg. 1991 Oct;126(10):1231-5; discussion 1235-6.

3: Octreotide acetate induces fasting small bowel motility in patients with dumping syndrome.

PMID 2263084 J Surg Res. 1990 Dec;49(6):483-7.

4: Efficacy of octreotide acetate in treatment of severe postgastrectomy dumping syndrome.

PMID 2256759 Ann Surg. 1990 Dec;212(6):678-87.

5: Long acting somatostatin analogue in dumping syndrome. PMID 2691013 Br J Surg. 1989 Dec;76(12):1294-5.

6: Somatostatin analogue SMS 201-995 (octreotide) as a possible solution to the dumping syndrome after gastrectomy or vagotomy.

PMID 2702445 Br J Surg. 1989 Feb;76(2):140-4.

7: Treatment of the dumping syndrome with the somatostatin analogue SMS 201-995.

PMID 2893592 Ann Surg. 1988 Feb;207(2):155-9.

グルコバイは後期ダンピング症状の改善に有効である。

1: エビデンス [ID0501]

1 / 13

サンドスタチンの副作⽤としては胆⽯が知られている。

(21)

推奨度

2RJ

推奨度

2RJ

まとめ:ダンピング症候群に最も有効な薬剤はオクトレオチドであるが、⾷事療法ではコントロールしきれない 後期ダンピング症候群の低⾎糖にはアカルボース(グルコバイ)も有効であることが、複数のケースシ リーズにて報告されている[1][2][3][4]。 代表事例:症例報告において、75gブドウ糖服⽤後3時間の⾎糖値が32mg/dlであり、同時に⾼インスリンが認め られる症例にブドウ糖と同時にグルコバイ100mgを投与したところ、3時間後の⾎糖値は94mg/dlであ り、ダンピング症状は認められなかった。 結 論:このような症例の蓄積により、グルコバイは後期ダンピング症候群に有効であると考えられる。 追 記:⼩児のダンピング症候群にも有効である[5]。 ただし、グルコバイはダンピング症候群には保険適⽤が ない。

1: Pathophysiology, diagnosis and management of postoperative dumping syndrome. PMID 19724252 Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2009 Oct;6(10):583-90. doi:

10.1038/nrg・・・

2: Acarbose attenuates hypoglycemia from dumping syndrome in an elderly man with gastrectomy.

PMID 15673372 J Am Geriatr Soc. 2005 Feb;53(2):358-9. doi: 10.1111/j.1532-5415.2005.・・・

3: Reactive hypoglycaemia due to late dumping syndrome: successful treatment with acarbose.

PMID 11383230 Swiss Med Wkly. 2001 Feb 10;131(5-6):81-3. doi: 2001/05/smw-09667. 4: Long-term effect of alpha-glucosidase inhibitor on late dumping syndrome.

PMID 9918426 J Gastroenterol Hepatol. 1998 Dec;13(12):1201-6.

5: Acarbose treatment of postprandial hypoglycemia in children after Nissen fundoplication.

PMID 11743518 J Pediatr. 2001 Dec;139(6):877-9. doi: 10.1067/mpd.2001.119169.

蛋⽩分解酵素阻害薬(フオイパン)は術後⾷道炎の治療に有⽤な場合がある。[1]

まとめ:幽⾨側胃切除後や噴⾨側胃切除後では、プロトンポンプ阻害薬(タケプロン、オメプラール、パリエッ ト、ネキシウム)を⽤いるが、胃切除後の場合は逆流物に膵液を混じていることも多く、トリプシン活 性を抑えるフオイパンはその有効性を⽰すRCTが⽇本の報告である。[2] 代表事例:術後3カ⽉以上経過している胃切除後の逆流性⾷道炎を有する患者189名にフオイパンを投与したとこ ろ、約70%に症状の改善が認められた。 結 論:胃切除後の逆流性⾷道炎にフオイパンは有効である。 1: 1: 胃⾷道逆流症(GERD)診療ガイドライン ⽇本消化器病学会編 南江堂、2009 2: 2: 佐藤寿雄, 内野純⼀, 松野正紀, 佐々⽊巖, 武藤輝⼀, ⽻⽣富⼠夫, 遠藤光夫, 磯野可⼀, ⾼⽊弘, 斎 藤洋⼀, 折⽥薫三, 杉町圭蔵, 郡司篤晃, ⻘⽊和夫 FOY-305の術後逆流性⾷に対する⼆重盲検⽐較 試験. 臨床医薬1992;8(8): 1893 -1908 .

六君⼦湯は胃癌術後の逆流性⾷道炎の予防、治療に有⽤である。

3: エビデンス [ID0503]

3 / 13

4: エビデンス [ID0504]

4 / 13

(22)

推奨度

2oJ

推奨度

2o

まとめ:⽇本からの報告で、RCTにおいて、六君⼦湯は逆流性⾷道炎の治療、予防に有⽤であった。 代表事例:胃癌切除後に逆流性⾷道炎を認めた患者7例を対象として、六君⼦湯の治療効果を検討した。投与2週 ⽬に約半数の症例に症状の改善を認め、投与4週⽬にはほとんどの症例で症状および内視鏡所⾒の改善が 認められた。上記結果を踏まえ、胃癌切除46例を無作為に2群に分け、六君⼦湯の早期投与による逆流 性⾷道炎の予防効果について検討した。その結果、六君⼦湯は逆流性⾷道炎の予防の⾯でも有⽤であっ た。 結 論:術後早期からの六君⼦湯の投与が逆流性⾷道炎の予防に薦められる。 1: 1: 胃⾷道逆流症(GERD)診療ガイドライン ⽇本消化器病学会編 南江堂、2009 2: 2: ⽔野修吾, ⼭際健太郎, 岩⽥真, ⽥端正⼰, ⽥岡⼤樹, 伊佐地秀司, 横井⼀, 野⼝孝, 川原⽥嘉⽂  胃癌切除後の消化器症状に対するツムラ六君⼦湯の術後早期投与効果 逆流性⾷道炎を中⼼として  Progress in Medicine(0287-3648) 2001;21(5): 1366-1367.

ガスモチンは術後逆流性⾷道炎に有⽤である。

まとめ:胃⾷道逆流症(GERD)診療ガイドラインによれば、レベルIVbのエビデンスであるが、幽⾨側胃切除後の 逆流性⾷道炎に有⽤であったと報告がある。 代表事例:幽⾨側胃切除(DG)・Billroth I(BI)術後の上部消化管内視鏡所⾒を検討し,モサプリドクエン酸 (ガスモチン)の投与意義をretrospectiveに検討した.モサプリドクエン酸投与群は, ⾮投与群と⽐較し て, 残胃炎、⾷物残渣、 胆汁逆流に関して内視鏡上良好な所⾒であった。 結 論:モサプリドクエン酸は術後残胃の運動機能障害を改善する。 追 記:ガスモチンは消化管運動に作⽤する薬剤として⽇本で⽤いられているものである。適応は慢性胃炎に伴 う消化器症状となっている。 1: 1: 胃⾷道逆流症(GERD)診療ガイドライン ⽇本消化器病学会編 南江堂、2009 2: 2:中村理恵⼦, 才川義朗, 清⽥毅, 中村哲也, 吉⽥昌, ⼤⾕吉秀, 久保⽥哲朗, 熊井浩⼀郎, 北島政樹 胃癌遠位側胃切除術後, クエン酸モサプリド・メシル酸カモスタット投与下における内視鏡所⾒の 検討Progress of Digestive Endoscopy 2005;67(2): 35 -39.

胃切除術後貧⾎患者のほとんどには鉄剤(フェロミア、フェロ・グラデュメット)を投与する必

要がある。

まとめ:胃切除術後の貧⾎患者の貧⾎原因には鉄⽋乏が含まれることがほとんどであり、鉄剤の投与が望まれ る。 代表事例:72⼈の胃切除後貧⾎患者を調べたところ、68⼈(94.4%)に鉄⽋乏が認められたという報告がある。 [1] 結 論:胃切除術後の貧⾎患者には鉄剤を投与する。 追 記:胃切除術後の貧⾎患者ではMCVが⼤きい場合、ビタミンB12⽋乏を考えるが、多くの場合は鉄⽋乏も合 併しているため、両⽅の補充を考える。経⼝鉄剤は消化器症状が出る場合があり、その場合は経静脈的 投与(フェジン)を考える。ただし、フェジンはまれにショックを起こす患者がいるので、初回投与時 は注意する。

1: Post-gastrectomy anemia: evaluation of 72 cases with post-gastrectomy anemia. PMID 17364998 Hematology. 2007 Feb;12(1):81-4. doi: 10.1080/10245330600938554.

5: エビデンス [ID0505]

5 / 13

(23)

推奨度

1o

推奨度

2o

推奨度

1o

胃切除術後の貧⾎患者では半数以上にビタミンB

⽋乏があり、メチ

コバールの静脈投与または筋⾁注射が必要である。

まとめ:胃切除後の貧⾎患者ではビタミンB12⽋乏があることが多い。 代表事例:72⼈の胃切除後貧⾎患者を調べたところ、68⼈(94.4%)に鉄⽋乏が認められ、57⼈(79.2%)に ビタミンB12⽋乏を認めたという報告がある。 [1]⼀⽅、葉酸⽋乏はこのうち3⼈のみであったそうであ る。 結 論:胃切除後の貧⾎患者ではビタミンB12の静脈投与または筋⾁注射を定期的に⾏う。 追 記:ビタミンB12は胃粘膜から分泌される内因⼦と結合してはじめて吸収される。そのため、胃切除術後で は⽋乏することが多い。成因からしても、経⼝で補うのではなく、経静脈的または筋⾁注射で補う必要 がある。胃全摘後では、体内に術前からの蓄積があるうちは貧⾎を⽣じないが、蓄積が枯渇すれば、必 ず⽋乏してくるため、定期的な投与が必要である。

1: Post-gastrectomy anemia: evaluation of 72 cases with post-gastrectomy anemia. PMID 17364998 Hematology. 2007 Feb;12(1):81-4. doi: 10.1080/10245330600938554.

リンパ節郭清を伴う胃切除術後には胆⽯ができやすい。定期的に超⾳波検査を施⾏する。

まとめ:リンパ節郭清を伴う胃切除術後には胆⽯ができやすい。 代表事例:リンパ節郭清を伴う胃切除術後には281⼈中85⼈に胆⽯が発症し、9⼈は無⽯胆嚢炎を発症し、うち2 ⼈は死亡した。リンパ節郭清を伴わない胃切除術を施⾏した182⼈中、術後胆⽯発症は9⼈であった。 結 論:リンパ節郭清を伴う胃切除術後には胆⽯ができやすい。定期的に超⾳波検査を施⾏する。 追 記:上記の結果から、胃癌⼿術時に予防的胆嚢摘出術を推奨している学派もいるが、それは過度の⼿術であ る、とする学派もおり、⼀定しない。いずれにしても、術後再発の検索も含め、定期的に超⾳波検査を 施⾏することが推奨される。

1: Cholelithiasis and cholecystitis after gastrectomy for gastric carcinoma: a comparison of lymphadenectomy of varying extent.

PMID 8847037 Hepatogastroenterology. 1995 Nov-Dec;42(6):867-72. 2: [Post-gastrectomy gallstone disease].

PMID 8366612 Nihon Rinsho. 1993 Jul;51(7):1875-8. 3: [Management of post-gastrectomy disorders].

PMID 7838097 Nihon Geka Gakkai Zasshi. 1994 Sep;95(9):554-5. 4: [Cholelithiasis after total gastrectomy for gastric cancer].

PMID 1463258 Ann Ital Chir. 1992 Jul-Aug;63(4):459-62; discussion 462-3.

胃切除後の患者は⻑期経過しても、何かしらの上腹部症状を有していることが多い。

7: エビデンス [ID0507]

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8: エビデンス [ID0508]

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まとめ:胃切除後の患者は何かしらの上腹部症状を有していることが多いので、よく問診を⾏う。 代表事例:79⼈の胃切除後患者からアンケートをとった結果、59⼈(75%)の患者が何かしらの上腹部症状を有 していた。[1] 結 論:胃切除後の患者には、上腹部症状に対し、丁寧に問診をすることが必要である。 追 記:術後⻑期を経過しても症状を有していることが多い。本⼈は慣れてしまっていることも多いので、なか には、治療により改善できる症状もあるので、丁寧に聞き出すことが肝要である。また、⾃覚症状のな い術後障害もあるので、検査も必要である。

1: Prevalence of upper abdominal complaints in patients who have undergone partial gastrectomy.

PMID 11185533 Can J Gastroenterol. 2000 Sep;14(8):681-4.

胃切除後⻑期経過した例で、進⾏性の痙性・運動失調・ニューロパチーが⽣じたときは、ビタミ

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⽋乏と同時に銅の⽋乏を疑う。

まとめ:胃切除後には銅の吸収が悪くなることがあり、術後⻑期を経過すると、銅⽋乏が⽣じることがある。 代表事例:20⼈の胃切除後の⼈と50⼈のそれ以外の⼈の⾎清銅を調べたところ、胃切除後でない⼈に銅⽋乏者は いなかったのに対し、胃切除後の20⼈中3⼈に銅⽋乏の⼈がいた。術後平均20.7年であった。[1] 結 論:胃切除後の⼈に対しては、⾎清銅をときどき調べる。 追 記:胃切除後の⼈は銅⽋乏もあり得ることを念頭に置く。

1: Copper deficiency after gastric surgery: a reason for caution. PMID 19365170 Am J Med Sci. 2009 Apr;337(4):256-8. doi: 10.1097/MAJ.0b013e31818ad0ff・・・

2: Neuropathy progressing to myeloneuropathy 20 years after partial gastrectomy. PMID 16682688 Neurology. 2006 May 9;66(9):1451. doi:

10.1212/01.wnl.0000210490.25919・・・

3: Severe ataxia, myelopathy, and peripheral neuropathy due to acquired copper deficiency in a patient with history of gastrectomy.

PMID 16931615 JPEN J Parenter Enteral Nutr. 2006 Sep-Oct;30(5):446-50.

胃切除術後の患者では⾻粗鬆症の発⽣率が⾼い。

まとめ:胃切除術後の患者では、術後2〜3年以内に⾻代謝障害が発症しており、注意が必要である。 代表事例:60⼈の胃切除術後患者のうち、脊椎⾻折が33%に、脊柱変形が45%に、⾻密度低下が37%に認めら れた。[1] 結 論:胃切除術後患者では、術後2年くらいから⾻密度測定が必要である。[2] 追 記:⾻粗鬆症と診断されたら、専⾨医にコンサルトする。

1: High prevalence of bone disorders after gastrectomy. PMID 9337169 Am J Surg. 1997 Oct;174(4):431-8.

2: Chronological changes in bone mineral content following gastrectomy. PMID 8919278 Surg Today. 1996;26(2):95-100.

3: Bone disorders following total gastrectomy. PMID 7995172 Dig Dis Sci. 1994 Dec;39(12):2511-5.

10: エビデンス [ID0510]

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最終更新⽇ : 2016年4⽉4⽇

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4: Fracture risk after surgery for peptic ulcer disease: a population-based cohort study.

PMID 10423023 Bone. 1999 Jul;25(1):61-7.

残胃における胃癌の発症率は通常よりも⾼い。

まとめ:前治療が胃潰瘍に対する胃切除であっても、その残胃における胃癌の発症率は胃切除をしてない⼈より も⾼い。[1] 代表事例:良性疾患に対する胃切除を施⾏された7,609⼈の患者では胃切除をされていない8,374⼈に⽐し、胃癌 発症の危険度は1.9倍であった。術後2〜5年の間では2.8倍であった。[1] 結 論:残胃を有する患者には定期的な上部消化管内視鏡検査が必要である。 追 記:諸外国の報告では、残胃を有する患者の禁煙などの⽣活の改善のほうが、定期的な上部消化管内視鏡検 査よりも有⽤である、とする報告もある。しかし、⽇本では多くの場合、残胃は定期的に検査を⾏って いる。

1: A cohort study of stomach cancer risk in men after gastric surgery for benign disease.

PMID 8340942 J Natl Cancer Inst. 1993 Aug 18;85(16):1303-10.

残胃内容物停滞に対しては胃全摘術が必要なことがある。

まとめ:胃切除術後、⻑期にわたり残胃内容物停滞が起こることがあり、胃痛、吐気、嘔吐、摂⾷量低下、胸焼 け、体重減少がひどいときには、胃全摘術の適応である。 代表事例:44例の上記症状にて残胃全摘除術を施⾏された患者では、上記症状の胃痛が97%から59%、嘔吐が 97%から31%、吐気が86%から45%、摂⾷不良が57%から7%に減少した。 結 論:残胃⾷物停滞による障害がひどいときには、残胃全摘除術の適応である。 追 記:判断は症状の程度による。

1: Results of completion gastrectomies in 44 patients with postsurgical gastric atony.

PMID 19224297 J Gastrointest Surg. 2009 May;13(5):874-80. doi: 10.1007/s11605-009-08・・・

2: Postgastrectomy syndromes.

PMID 21889032 Surg Clin North Am. 2011 Oct;91(5):1105-22. doi: 10.1016/j.suc.2011.07・・・

12: エビデンス [ID0512]

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胃切除後症候群

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

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#0248 出典欄記述⽅法 ※「作図にあたって参考にした⽂献」「さらに詳しく知るための参考資料」の場合は、出典と区別するために「参考⽂ 献:」とご記述いただけましたら幸いです。 ※画像出典表記についてご了承のお願い 先⽣に元図をご提供いただき、それを元に弊社にてイラストを描き起こしている場合は、エルゼビア作成のイラストとし て、出典を割愛させていただいている場合があります。その点ご了承のほどお願いいたします。 ※他社出版社発⾏物からの転載は、⾼額の場合や許諾が下りない場合は、掲載できない場合がありますので、ご了承くだ さい。 ※説明、出典のご記載を頂いている場合は空欄で結構です ①ガイドライン 【編者名】編:【ガイドライン名】【策定年度】年版、p【掲載】or【図版番号】、【発⾏元】、【出版年】 ②雑誌 著者名:表題. 雑誌名 発⾏年(⻄暦);巻(号):⾴-⾴. 〔例1〕⼭⽥⼀郎:中枢神経の構造的特徴.脳と神経 1998;45(7):12-15.

〔例2〕参考⽂献:Hauenstein EJ, Marvin RS, Snyder AL, et al.: Stress in parents of children with diabetes mellitus. Diabetes Care 1989; 12(1): 18-23. PMID: 2714163

③単⾏本

著者名: 表題. 編者名. 書名. 発⾏所所在地(⽇本の出版社の場合は不要):発⾏所,発⾏年(⻄暦);掲載⾴. 〔例1〕⼭⽥⼀郎: 脳と脊髄への⾎液供給. 吉⽥次郎編. 神経科学.エルゼビア・ジャパン, 2003;125.

〔例2〕参考⽂献:Kettenmann H, Ranson BR: Neuroglia. New York: Oxford University Press,1955; 154. ④その他 「××⼤学●●先⽣よりご提供」等、明記してください。 [ID0601] 胃切除後イレウスの腹部⽴位X­P

多数のニボーが認められる。

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[ID0602] イレウスの腹部造影CT

拡張腸管が認められる。

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[ID0603] 残胃炎の内視鏡像

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残胃粘膜には発⾚、浮腫、粘膜の粗造性、過形成性ポリープの多発をみる。胆汁⾊も混じる。

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[ID0604] 残胃癌の内視鏡像

⼿前前後壁に癌を認める。奥に残胃⼗⼆指腸吻合部が⾒える。残胃にできた進⾏癌である。

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[ID0605]【⾮公開画像】 内ヘルニアの腹部CT画像

幽⾨側胃切除後のピーターセンヘルニア。⼩腸間膜根部のWhirl signを認める。

1: Internal hernia complications of gastric bypass surgery in the acute setting: spectrum of imaging findings.

PMID 19089479 Emerg Radiol. 2009 Jul;16(4):283-9. doi: 10.1007/s・・・

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[ID0606] 胆汁逆流を伴った胃内容物停滞の上部消化管内視鏡像

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前⽇昼⾷から摂取していないにもかかわらず、残胃内に胆汁⾊の⾷残を⼤量に認める。

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[ID0607] 胃切除後障害 1: 著者提供

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[ID0671]

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残胃炎の内視鏡像

残胃粘膜に発⾚、浮腫、粘膜の粗造性、過形成性ポリープの多発をみる。胆汁⾊も混じる。

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[ID0701] 胃切除後症候群診断のアルゴリズム

胃切除後症候群の診断のアルゴリズムを⽰した。

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最終更新⽇ : 2016年4⽉4⽇

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胃がん、胃潰瘍などの切除手術を受け、胃 がなくなったり、小さくなった人が術後に起 こす様々な症候群をいいます。食事が少し しか入らない、すぐにお腹がいっぱいにな る、そのために体重が減少するなどの小胃 症状もその一つです。 胃を切除したために食物が一度に腸へ流 れ込むことによって起きる、発汗、めまい、 脈拍の上昇などの不愉快な症状をダンピン グ症候群といいます。 手術後に腸が狭くなったりして腸閉塞が起 きやすくなります。また、食道内へ胃の内 容物が逆流する逆流性食道炎もみられま す。 胃切除後の不都合の中には薬や食 事の工夫により改善されるものもあり ます。 貧血など自覚症状が出にくい病態も あるので定期的に検査を受けましょ う。鉄剤やビタミンB12で改善される貧 血もあります。 腹痛があるときは腸閉塞の可能性も あるので、腹部レントゲン、腹部CTな どで診断します。 腸閉塞が疑われる場合は、入院して 絶食と点滴で様子を見ます。緊急手 術が必要な場合もあります。術後長 年経過していても腸閉塞になる場合も あります。 胃が残っている場合には、1年に1度 内視鏡検査が必要です。 少量ずつ何回にも分けて食事をとるようにしましょ う(1日6回食程度)。 ゆっくりよく噛んで食べましょう。 お酒は少量なら飲んでも構いませんが、ビールの ようにお腹の中で膨らむものは避けましょう。 禁煙しましょう。 食事を十分にとれず、体重が減少するようなら、 食事指導を受けましょう。 腹痛、嘔吐など特別な症状が出たら、すぐに受診 してください。

胃切除後症候群

胃切除後症候群

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専⾨分野 専⾨医 所属学会 経歴 治療アドバイス メッセージ 執筆者

執筆者ご紹介

野村幸世

東京⼤学 消化管外科学

野村幸世 消化器外科学、胃粘膜の発⽣、分化、発癌が専⾨。消化器癌発⽣に関し ては、基礎から臨床まで広くかかわっており、2011年からは東京⼤学医 学部附属病院がん相談⽀援センター⻑。 ⽇本外科学会認定医、⽇本消化器外科学会認定医、⽇本消化器病学会専 ⾨医、⽇本消化器内視鏡学会認定医、⽇本消化器外科学会専⾨医、⽇本 外科学会専⾨医、⽇本がん治療認定医機構暫定教育医、⽇本消化器外科 学会消化器がん治療認定医、⽇本消化器内視鏡学会指導医、⽇本外科学 会指導医、⽇本消化器病学会指導医、⽇本消化器外科学会指導医、⽇本 消化管学会胃腸科認定医 ⽇本外科学会、⽇本消化器外科学会、⽇本消化器病学会、⽇本消化器内 視鏡学会、⽇本消化管学会 ⽇本癌学会、⽇本癌治療学会、⽇本胃癌学会、⽇本乳癌学会、⽇本分⼦ ⽣物学会、⽇本消化器癌発⽣学会

⽇本内視鏡外科学会、American Gastroenterological Association、 American Physiological Society

東京⼤学医学部医学科卒業 東京⼤学医学部附属病院分院外科研修医を 経て国⽴がんセンター、バンダービルト⼤学などでリサーチのトレーニ ングも受ける。 2007年より東京⼤学⼤学院消化管外科准教授 胃切除後症候群としては代表的と⾔われているダンピング症候群も、初 めて患者さんからその症状を訴えられたときは意外と想定することがで きず、診断できなかったことを覚えております。「胃切除後である」と いうことが認識できているようでわかっていなかったのだと思います。 診断する上で、知識と疑ってみる事は⼤切です。 患者さんのあらゆる訴えに⽿を傾け、患者さんの体を⼀つの統合された 宇宙のように理解することは臨床医にとってとても⼤切な事だと考えて います。患者さんの⼼によりそうように治療できる臨床医を⽬指してく ださい。

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