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広葉樹シリンギルリグニンの生合成と分解反応性に 関する研究

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(1)

広葉樹シリンギルリグニンの生合成と分解反応性に 関する研究

堤, 祐司

https://doi.org/10.11501/3083869

出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(農学), 論文博士 バージョン:

権利関係:

(2)

,...-

第5章 アルカリ性条件下でのシリンギル型およびグアイアシル型 リグニンモデル化合物の戸-0-4結合の開裂反応速度

第1節 序

木材成分を化学的に利用する代表例の一つにセルロースを利用す るパルプの生産があり、 化学的処理を川いて木材Ijlのリグニンを分 解 ・ 除去(脱リグニン)することで化学ノマルプは製造されている。

このような点から、 蒸解 ・ 漂白過程に おける脱リグニン反応をf(j(:明 する目的で、 リグニンモデル化合物を用いた分解反応機構に関する

数多くの基礎的研究が行われてきた。 また、 Goringらは紫外線顕微 鏡を用いて組織化学的に脱リグニン過程を観察し、 脱リグニン速度 はリグニンと薬品とのアクセシビリティーの違いよりもむしろリグ ニンの化学構造の違いに依存すると批定している1 7・ 1 8 )。 また、

ChangとSarkanenは脱リグニン速度はシリンギルリグニンとグアイア シルリグニンの比率に比例すると報告し1 9 )、 Chiangらは脱リグニン

速度はリグニン量よりもむしろリグニンの構造に依存するという見 解を示した7 5 )。 これらの知見から、 広葉樹の}J}íリグニン速度が針葉

樹に比べて速い理由は、 広葉樹のリグニン含有量が針葉樹に比べて 少ないことと、 広葉樹リグニンにはシリンギル単位が存在すること に起因すると考えられるようになった54)。 しかしながら、 これまで のリグニンの分解反応に関する研究の対象として用いられてきたの は主として針葉樹材、 針葉樹リグニン20 )およびグアイアシル型のリ グニンモデル化合物であり21 )、 これらと比べてシリンギルリグニン の化学的分解反応に関する基礎的知見は極めて少ないのが現状であ る。 そこで本研究では、 リグニンの多様な結合隊式の仁いで約50%を占

- 60 -

(3)

める戸-0-4結合を有するグアイアシルーグアイアシル( G G )型、 シリ

ンギルーグアイアシル( S G )型とシリンギルーシリンギル( S S )別の リグニンモデル化合物を用いてアルカリ性条件下でのシリンギルリ グニンとグアイアシルリグニンの戸-0-4結合の開裂速度を比較した。

1lムにU

(4)

可...-

第2節 ソーダおよびクラフト処理におけるリグニンモデル化合物 の分解とその反応速度論的検討

2. 1 実験

2. 1. 1 モデル化合物の合成

Fig. 18に示す6種のモデル化合物をkirkら76 l、 I[osoyaら77 )、

RalphとYoung78lの方法を参考にして合成した。 グリセロール型のモ デル化合物GG- n、 SG- IIおよびss- nはthrθo異性休を用いた。

GG-I : R=H G G-II : R =CH20H

山骨

SG-I:R=H SG-II : R= CH20H

SSー1: R=H SS-II: R=CH20H

Fig. 18. Model compounds cmployed.

つUFO

(5)

2. 1. 2 モデル化合物の処理ニ方法

窒素気流下でソーダ薬液(OII-; 0.1 M)およびクラフト薬液

( OII-; 0.1 M" SII-; 0.015 M)に6桁のリグニンモデル化合物を熔

解し、 反応液rjlの濃度を5 mMとした。 Fi g. 19に示すステンレス銅製

リアクター(100 ml)に基質溶液75 mlを封入した後、 リアクター内 を卜分に窒素で置換した。 反応温度は1100Cから1100Cまで100Cおき に設定し、 リアクターを所定温度のグリセリン浴に投入して反応を

行った。 リアクター内に設置したプローブをレギュレーターに接続

し、 反応沼度をモニターすると同時に士1 OC以内で制御した。 投入後 5分以内に設定温度まで上昇させ、 設定洞度に到達したH寺を反応開始 としてサンプリング(約4 m 1 )行い、 以後は経時的にサンプリング

を行った。

CooJing Jacket

SmpJe Out

Fig. 19. Apparatus used in the kinetic cxperiments.

FO

(6)

'F'

2. 1. 3 定量分析

室温まで冷却したサンプルから正確に3 mlを取り、 0.5 M Naーリン 酸緩衝溶液(pl[ 3)を2 m 1 )JIIえて111和した後、 1-メチルグアイアコ ールのアセトニトリル溶液(5 m 1 )を内部標準として加えた。 反応 液中のモデル化合物の残存量と戸-0-1結合の開裂によって生成した グアイアコール(G A )あるいは4-メチルシリンゴール(M S )量を逆

相カラム(NOVAPACK C18、 溶離液; 10 mM Na-リン酸緩街液/アセト ニトリル)を川いたIIPLCで定量した。 あらかじめ標l拍を川いて作成 した検量線からモデル化合物の残存長とGAとMSの生成量を求め、 反 応開始時のモデル化合物濃度から算山した理論量に対するmol %で表 示した。

モデル化合物の処理は基質濃度に対して過剰j量のOIIーとSIIーを川い ることにより擬一次反応条件で行い、 基質の減少とGAおよびSAの仕 成に関する速度式はそれぞれln bとln a/a-xで示した。 ただし、 bは

基質の濃度とし、 aとxはそれぞれ生成物の理論濃度と定量濃度とし

。た

2. 2 結果と考察

2. 2. 1 グリコール型モデル化合物の反応

グアイアシル核のみから構成されるリグニンモデル化合物guaia­

cylglycol-ß -guaiacyl ethcr (GG-l )とguaiacylglyccrol-ß- guaiacyl ether ( GG- n )はソーダ蒸解やクラフト蒸解における

ß -0-4結合の開裂を研究するためにfT]し、られており、 開裂速度や反

応機榊あるいは反応温度や添加試薬の影響等についての知見が得ら - 64 -

(7)

れてきた79-83)。 グリセロールモデル化合物GG- 11ではアルカリ性条 件 下で 側鎖r位のヒドロキシメチル基がホルムアルデヒドとして遊 離すると同時にß -aroxystyreneを生成する反応が起きること80)や、

T位の水隊基の解脱が起きること8l )が報告されており、 これらの反 応はß -0-4結合の開裂反応と競令することも知られている( J4 i g .

20 )。 そこで先ず、 r位ヒドロキシメチル基を持たないグリコール 剖モデルを用いてß -0-4結合の開裂反応を速度論的に解析した。

kl

k ß -0-4 cleavage

Lignin models

formation of

k 2 ß -aroxy styrene

円、d唱EEAρU Au nu m山nu .,EE--n σb .,EE---EムrA ρu 'hμ +しのU可EEAVJ r qu

ハU'p?i

ハU ed - s m nu ou nU 4し

・1i円\U

十U VJ Fu eiU

9u

ρu ρu rA

- nu

-EEA AU -­

ρu qa v 'ua r -­

ρU 公u

nb hu

nu ハU iA

ハU円ノム】

σb •.• ,A

nドA

J4ig. 21に1300cでソーダ処理した際のモデル化合物GG- 1、 SG- 1、

SS- 1の消費量と、 戸-0-4結合の開裂によってGG- 1とSG- 1から生成 したGA量およびSS- 1から生成したとMS量の関係を示す。 グアイアシ ル核のみで構成されているモデル化合物GG- 1はその消費とGAの生成 速度が三つのモデル化合物の中でもっとも遅く、 フェノール性の水 酸基を有するA環がシリンギル核になったモデル化合物SG- 1ではそ れらの速度が速くなり、 さらにエーテル結合したB環もシリンギル

- 65 -

(8)

司�

型であるモデル化介物SS- 1ではモデル化合物の消費とMSの生成速度 が最も速く、 ß -0-1結合の閃裂がRn�存となった。

モデル化合物の残存量(1 n b)ならびにGAとMSのノド.成吊.( ln al ( a -x) )を反応H寺問の関数としてプロ ットした結果(Fig. 22 )、

GG- 1、 SG-I" SS-lの消費とGG- 1とSG- 1からのGAの生成は直線関 係を示し、 これらの反応は擬一次反応に従うと考えられたが、 SS- 1

からのMSの生成はわずかに直 線からはずれていた。

なお Table 5にはそれぞれのモデル化合物の消費について速度定数 kを示すが、 SG- 1およびSS- 1のkはGG- 1に比べてそれぞれ約3倍 および14倍と大きく、 シリンギル核を持つモデル化合物の反応性が

極めて高いことが速度論的に示された。 また、 戸-0-1結合の開裂速 度定数kJについて同様に比絞すると、 GG- 1のkJは0.5 min-Jと極 めて小さく、 開裂反応はわずかしか起こらないのに対し、 SG- 1の k 1はGG-1の約9倍となり開裂反応は容易に進行した(Table 5)。 一

方、 SS- 1からのMSの生成(ln a/(a-x))と|時間の関係は曲線となっ たためk 1は求めることができなかったが、 Fig. 21からSS- 1の戸- 0-4結合の開裂速度はSG- 1よりもさらに速いことが切らかである。

グリコール型モデルのクラフト処理ではすべての温度条件におい て、 モデル化合物の残存量(1 n b)とGAあるいはMSの生成量(1 n

a/(a-x) )はともに擬一次反応に従った。 各モデル化合物のkとk1

を比較すると、 SG- 1やお- 1はGG- 1よりも大きい速度定数を示し、

SG- 1 IGG- 1の比は処理潟度によって兵なるがkで1.8-2.8、 klで

1.6-2.3となり、 SS- 1 IGG- 1の比はkで4.1-6.6、 k1で4.2-5.0とな った(Table 5)。 よって、 クラフト処理においてもシリンギル岐を 有するモデル化合物はその消費とß -0-1結合の開裂速度が速く、 SS

- 66 -

(9)

死l モデルはGG型やSG型モデルよりも容易に反応 する ことが不された。

(%)

100

ω50

〉・

\

x /ィトa

50

Reaction

---ゴ之、71

100

time

GGー!

口一

150

(min.)

Fig. 21. Reactions of GG- 1, SG- 1, and SS- 1 on treatment with soda liquor at 130 oc .

Legend: ・,企,・: AIl10unts of starting 111atcrials,

ロヲム,0 : Formation of guaiacol or 4- methylsyringol.

- 67

(10)

-0.5

.0 c

-1.0

\ "'Ã...

ム \a .\\

\ \ \ . \\

・ \

\ A \\ \\GGー!

...___

\. ss-l \\

\/ �

t

"",

01 〉、 � SG- f

f ・ �'\..

J I FF- E a // \ \

/ 戸/ゐ / \ 。G-l

u l u

。 GG-LC

-

50 100

1 .5

1.0 コ(白\(ωlM

、ーーノ 0.5

(m in.)

Fig. 22. Plots of pseudo first- ordcr reaction for the consumption of GG- 1, SG- 1, and SS- 1 and for the fonnation of guaiacol and 4- lnethylsyringol on treatmcnt with soda liguor at 130 oc . Legend:・,A,・:ln b,口,ム, 0 : ln (a/ ( a -

x)).

Reaction time

- 68 -

(11)

Temp.

C

GG-l SG- 1 SS- 1 SG- 1 /GG- 1 SS- 1 /GG- 1

K Kl K Kl K Kl

9.0 * σコc..o

22.5 *

56.4 *

2.7 9.0 14.1

vn K

K Kl

110 Soda 120

130 4.0 0.5 10.6 4.5

110 2.8 3.1 7.8 7.0 17.5 13.0 2.8 2.3 6.3 4.2

Kraft 120 7.4 8.1 16.8 14.5 44.6 37.9 2.3 1.8 6.0 4.7

130 23.6 20.6 41. 7 33.2 105 102 1.8 1.6 4.4 5.0

Notes: k refers to consumption of starting materials. kl refers to formation of guaiacol or 4-methylsyringol.

*The reaction did not follow a first order-reaction.

(12)

2. 2. 2 グリセロール型モデル化合物の反応

前節ではグリコール型モデル化合物を用いることで、 ß -0-1結合 の開裂と競合する反応( r {立のヒドロキシメチル基の脱離)の彩響 を避け、 ß -0-4結合の開裂反応を速度論的に解析した。 しかしなが ら、 リグニン巾のß -0-1結合単位は主としてaryl-glyccrol型である ため、 次にこの型のリグニンモデル化合物( G G-II、 SG一日および S S -11 )を用いて検討した。 1200Cでのソーダ処理によるモデル化合 物の消費( 1 n b)をH寺問の関数としてプロ ットした結果(F i g. 23)、

G G-IIとSG-11では直線関係が得られ、 これらの化合物の消費は擬 次反応、に従うと考えられた。 一方、 SS -IIの消費速度はGG- IIやSG- 11

と比べると速く、 反応時間30分前後に屈山点が存在し、 単純な擬 次反応ではないことを示している。 また、 GAとMSの生成( 1 n al

( a -x) )を時間の関数としてプロ ットした結果(Fig. 24)、 GG-IIと S G-11からのGAの生成速度は極めて遅く戸-0-4結合の開裂反応はほと んど起こ っていないのに対し、 SS -IIでは顕著な開裂反応が起こり、

この反応も消費の場合と同様に直線にならなかった。 MikscheはSS­

EからのMSの生成はクラフト処理とソーダ処理ともに擬一次反応に 従い、 k 1の他は両処理でほとんど同じであると報告しているが84)、

彼のデータを時間の関数として解析すると、 ソーダ処理では直線関 係が得られず、 SS -IIのソーダ処理による戸-0-4結合の開裂反応は擬

次反応に従わないものと判断された。

クラフト処理では、 モデル化合物の消費( 1 n a )と戸-0-4結合の

開裂( l n a/(a-x))は三つのモデル化合物とも直線となり、 これら

の反応は擬一次反応に従うと考えられた。 各反応条1'1二での反応速度 定数kとklを算山した結果、 SG- IIのk はGG-IIの約1.8倍となった

-70 -

(13)

が、 k 1は1.1-1 . 3倍であり、 A 環がシリンギル砲であって も ß -0-1 結合の開裂速度は大きく向上しなかった。 方、 S S- 11のkとkJは それぞれGG- 11の1.7-2.9倍、 1.8-2.0伯となり、 ß -0-1結合の閃裂迷 度にはB環のfbJ造がより大きな影響を及ぼし、 シリンギル核椛造を 有することによって開裂されやすくなることが示された(Table 6)。

、、、

ー0.5

D c

-1 .0

-1.5

0

50

100 150

(m i n.) Reaction time

Fig. 23. Plots of pseudo first-order reaction for the consumption of GG-II, SG-II, and SS- II on treatlTICnt with soda liquor at 1200C .

ーょヴi

(14)

VFJB

1 .5

1 .0

F戸--、

x

、』ーJ...

、』ー--'

C

- 0.5

ハ�O

��­

� � -

��

0 /0

,0 /

ó O O

50 100 150

(m i n.) Reaction time

Fig. 24. Plots of pseudo first- order rcaction for the f0f111ation of guaiacol and 4- mcthylsyringol on treatlllent with soda liquor at 120 oc .

Legend:: GG- II,ム:SG- II, 0 :SS-II.

つUヴi

(15)

ヨド *

1.7 1.7 1.7

0.6 0.7 1.1

ゲ〉

子、

GG-rr Temp.

C

110 120 Soda 130 140

ss- rr SG-rr / GG- rr rr n

K Kl K vh 、4

K Kl K vh 'A

K Kl

2.6 6.7 17.4

0.5 0.7 1.4

4.3 11.3 30.1

0.3 0.5 1.5

*

* 当ド

110 1.0 1.0 1.8 1.3 2.9 2.0 1.8 1.3 2.9 2.0

Kraft 120 2.4 2.5 4.4 3.2 5.6 4.7 1.8 1.3 2.3 1.9

130 6.7 6.6 11.4 7.3 11.1 12.1 1.7 1.1 1.7 1.8

Notes: k refers to consumption of starting materials. kl refers to formation of guaiacol or 4-methylsyringol.

*The reaction did not follow a first order-reaction.

(16)

2. 2. 3 モデル化合物の反応性に及ぼすJ�:呑核構造の影響

前述のようにGG型リグニンモデル化合物のアルカリ性条件下にお ける反応についてはこれまでに多くの 研究がなさ れてきた7 9 8 3 )。

グリセロール型モデルGG- IIのソーダ処理における分解反応の作速段 階はキノンメチドの生成であり、 この反応は基質に関して一次で、

OIIーに関しては0次の反応と考えられている80)。 また、 キノンメチド は逆アルドール締合によってホルムアルデヒドとß -aroxy styrene を生成することも知られている。 一方、 グリコール型モデルGG- 1の

アルカリ分解反応ではキノンメチドからのプロトン引き抜きが律速 段階となり、 この場合も主たる反応生成物はß -aroxy styreneとさ れている80)。 一方、 GG- 1のソーダ処理における戸-0-1結合の開裂 は、 α位のアルコール性水酸基がアルコラートイオンとして解離し、

隣接のP炭素へ求核的に付加してオキシラン中間休を形成すること によって起こり、 アルコラートイオンの求核付加反応が反応の律速

段階である80)o

一方、 クラフト処理ではSIIーがキノンメチドに求核的に付加した後、

引き続いて隣接する戸炭素とチイランを形成する際に戸-0-4結合の 開裂が起こる。 この反応は速やかに進行することから85・86\ クラ フト処理におけるGG- 1とGG- 11の減少速度とGG- IIからのグアイアコ ールの生成速度はキノンメチドの生成速度によって決定されるもの と考えられている。

以上の反応機構を参考にソーダ処理におけるGG型モデル化合物と SG型モデル化合物の反応を比較すると、 Tablc 5およびTable 6に不 すように、 A環がシリンギル型であるSG- 1のソーダ処理における消

費速度定数kはGG- 1の2.7倍となった。 また、 モデル化合物が50%消 - 74 -

(17)

費されたとき(半減期)その消費量に対するß -0-1結介の閃裂散の 割合を算出すると(Tablc 7)、 SG- 1ではモデルの消沈足に対して 50%以上の戸-0-1結合の閃裂が起こっていた。 このことから、 キノン メチドからのフロトン引き抜きによる戸-aroxy styrcneの生成が主 反応で律速段階とは考えにくく、 むしろα 位のアルコラートイオン の求絞反応が律速段階であり、 A 環シリンギル絞についた2個のメ トキシル基による電子吸引効果によってß -0-4結合の開裂反応が促

進されたためと推察される。 一方、 グリセロール型SG- nのkはGG­

Eの1.7倍となったにもかかわらずß -0-4結合の開裂反応がほとんど 起こっていないことから、 A環がシリンギル型になったことでキノ ンメチドの生成速度(律速段階)が速くなったが、 戸-0-4結合の開 裂と競合する7位の脱出fÊ反応が主として起こっているものと推察さ れる。

クラフト処理におけるグリコール型モデルSG- 1のkとk 1はソーダ 処理におけるよりも大きく、 このことはクラフト処理における律速

段階がキノンメチドの生成であることを示しており、 前山のGG型モ デルで提唱されている反応機構と符合している。 また、 グリセロー ル型モデルSG- nのkはGG- nの1.7-1.8倍であるにもかかわらず、

k 1はわずかに1.1-1.3倍であった(Table 6)。 このことは、 A環が シリンギル核であるとキノンメチド生成速度が速くなるが、 r位の 脱離反応も早いため、 ß -0-4結合の開裂速度に直接大きな影響を与 えないことを示している。

SS型モデル化合物の反応をGG型やSG型のモデル化合物と比較する と、 ソーダ処理!とクラフト処理!ともに詳しく速いモデル化合物の消

費とß -0-4結合の開裂が認められた。 SS型モデル化介物のソーダ処

- 75 -

(18)

、�

却におけるß -0-1結合の開裂は擬 -次反応に従わず、 k 1が1?� 111でき なかったが、 SS- 1では消費量の80%に相当するß -0-1結合の開裂が

起こっており(Table 7)、 P位からのプロトン脱蹴反応(ß -aro­

xy styreneの生成)よりも戸-0-4結合の開裂反応が主反応となって いた。 また、 SS- 1がSG- 1やGG- 1と比較して著しく速いß -0-4紡合 の開裂速度を示したことは、 エーテル結合をしたB環がシリンギル

岐になることがß -0-1結合の開裂に大きく影響することを示してい る。

グリセロール型モデルSS- nのソーダ処理では、 モデル化合物の消 費と戸-0-4結合の開裂がともに擬一次反応に従わず、 さらにお- nの 消費量の80児に相当するß -0-4結合の開裂が起こっていた点が、 GG-

EやSG- nと大きく異なっていた(Fig. 25とTable 7)。 これらの結 果は、 ソーダ処理におけるお- nのß -0-4結合の開裂反応機構が、 前 述のようなα位のアルコラートイオンによるP位への分子内求核反 応とは異なり、 より複雑なものであることを示唆している。

方、 クラフト処理におけるお- 1とお- IIの反応は擬一次反応に 従うことから、 この反応の律速段階はGG型モデルやSG型モデルと同 様にキノンメチドの生成であると考えられた。 SS- 1とSS - IIの消質 量とMS生成量はほぼ一致しており(Table 7)、 また両モデルのk 1 はSG型モデルより大きいことから(Table 5" 6)、 クラフト処理に おいてもB環シリンギル核によって戸-0-4結合の開裂反応は促進さ れることが明らかとなった。

ハbヴ/

(19)

Tablc 7 The relative ratio of ß-0-4 cleavage at thc half-life per i od measurcd at 1300c .

Model compound Rclative ratio of ß-Q-4 cleavage (見)

Soda Kraft

GG-I 25 81

SG- I 52 92

SS-l 80 90

GG- II 14 90

SG- II 6 74

SS- II 80 95

Notes: mol% of the formation of guaiacol or 4-methylsyringol consumption of starting material

- 77 -

X 100

(20)

なお、 S S- IIの消費量とMSの生成長を1100Cでのソーダ処.f1Hとクラ

フト処理で比較すると(Fig. 25)、 U\発物質の消費とMSの生成とも にソーダ処理の方がクラフト処理より速く、 他 の 反応温 度での結 果 は省時するが、 両処理での反応性の迷いは特に低い処X1H1品皮( 110 Oc

で顕著に現れた。 この現象は、 G G- 11やS G- IIではソーダ処到!とクラ フト処理ともにモデル化合物の消貨とß -0-1結合の開裂が擬一次反 応に従い、 しかも両処理:が同じkの他を示したことと大きく;凡なっ

ており(Table 6)、 S S- IIのみがソーダ処理で擬一次反応に従わな いことや顕著なß -0-4結合の開裂反応が起こったことと深く関述し

ている可能性がある。

(% )

100

-~~~A\ 人一一.--- 4- Kraft

\へ\ .-Soda

一。一〉

5 0

__o

___

o_Soda _____0--二ノ

ー一一

δ-Kraft g三戸云一一玄

50 100

-

150

- 1mi nj Reaction time

Fig. 25. Reactions of SS- II on trcatment with soda liquor and kraft liquor at 110 oc .

Legend:・, ... : Alnounts of starting lnatcrials,

口,ム: Formation of 4- methylsyringol.

。KUウt

(21)

第3節 小括

広葉樹リグニンと針葉樹リグニンのアルカリ'陀ノマルプ化条件下に おける反応性の違いを明らかとするため、 リグニン結合様式の約

50児を占めるとされるß -0-4結合を有するお型" SG型、 GG型の2量体

リグニンモデルを用い、 モデル化合物の消費とß -0-4結合の開裂に ついて速度論的に解析した。 SS型モデル化合物はSG型やGG型モデル 化合物に比べて極めて反応性が高く、 GG型やSG型モデルではほとん

ど戸-0-4結合の開裂反応が起こらないソーダ処理でも顕著な開裂反 応が起こり、 かつ擬一次反応には従わないことが明らかとなった。

このことより、 アルカリ蒸解において広葉樹の方が針葉樹よりも脱 リグニン速度が速い理由は、 広葉樹リグニンが反応性の高し、syrin-

gylgl ycerol-ß -syringyl ether単位を有していることに大きく依存 すると結論された。 なお、 これまでに多くの研究者らによって提案 されてきたGG型モデル化合物の分解に関する反応機構ではお型モデ ルのそれを説明できず、 SS型モデルとGG型モデルでは反応機構が異 なっている可能性が示唆された。 そこで次章ではSS型モデル化合物 の反応機構についてさらに詳細に検討した。

ハwuウI

(22)

第6章 ソーダ処理における お型リ グ ニ ンモデル化介物のß -0-1 結合の開裂機構

第1節 序

古íJ章において6都のモデル化合物をJTIい、 ソーダ処理とクラフト 処理におけるモデル化合物の消費とß -0-1結合の開裂について比較 した。 その結果、 SS型モデルの反応速度'はGG型やSG型モデル化介物 と比べて著しく速く、 特にソーダ処理ではSS型モデルで顕著な戸一 0-4結合の開裂が起こり、 その反応は擬一次反応に従わないこと、 お よび従来のGG型モデル化合物で提唱されている反応機織79-83)では、

この反応を説明できないことが切らかとなった。

しかしながら、 SS型のモデル化合物の反応に関してはMikschcによ る研究例84 )が見られるにすぎないことから、 木 章ではSS型モデル化 合物のアルカリ性条件下での反応をより詳細に検討するため、 3積 のお型モデル化合物(Fig. 26)を用いてソーダ処理を行い、 分解生

成物の同定と定量を行った。 また、 クラフト処朗、 ソーダアントラ キノン(ソーダA Q )処理との比較も行った。

CH30

?

H20 H

CH一一O

CH,OH

CH3

R2

55-11: R1=H, R2=CH3 55-111: R1=H, R2=H 55-IV: R1=C2H5, R2=H

Fig. 26. Model compounds employed.

- 80 -

(23)

HU 門\U門\.u

ri ρv hH +しρU

可』EAVJ 円EOn ri VJ 円、u'BEE-VJ .れ+しρu m A吐

βμ' 可EEAハuri nu pu VJ 'EEA σb 'BEE-VJ 同応.U反

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2. 1 実験

2. 1. 1 モデル化合物の処理

窒素気流下でソーダ薬液 (OII-; 0.1 M)、 クラフト薬液(OII- ; 0.1 M" SII- ; 0.015 M)あるいはソーダAQ薬液( 0 II -; O. 1 M" A Q

1.0 mM" グルコース; 10 mM)にモデル化合物SS- IIを溶解し、 反 応液中の濃度を5 mMとした。 基質溶液2 mlをガラスアンプルに入れ、

窒素で十分に置換した後封入した。 ガラスアンプルをステンレス製 のリアクターに入れた後、 所定温度のグリセリン浴中で反応を行っ た。 反応温度は1000Cから1200Cまで100Cおきに設定した。 所定時間 反応させた後、 リアクターを急冷して反応を停止させた。

2. 1. 2 分解生成物の同定

反応液を塩酸酸性( pII 2-3)とし、 反応生成物をClIC13で3回抽出

した。 CHC13層を合わせてNa2S04で乾燥した後、 溶媒を減圧下で留去 した。 残漬をピリジン :無水酢酸( 1: 1 )を用いてアセチル化した後、

GC-MS分析に供した。 戸-hydroxypropiosyringone (1)は分解生成 物からHPLCを用いて直接分取した後、 N, 0- b i s ( t r i m e t h y 1 s i 1 y 1 ) -

acetoamide: ピリジン( 1: 1 )を用いてTMS誘導体とし、 GC-MS分析に 供した。 以下同定された分解生成物のGC- MSデータを示す。

( a)戸- Hydroxypropiosyringone ( 1) diTMSi ether: 370(M+, 67%),

355(100%), 280(18%), 265(23%), 254(24%), 253(83児), 250(24%),

- 81 -

(24)

196(21%), 73(52%), 44(23%).

(b) 1-Syringyl-2-propen-1-one ( 10) monoacctatc: 250(M+, 5%),

226(38%), 208(100%), 181(24%), 181(61%), 180(17%), 167(29%),

43(25児).

(c) Sinapyl alcohol ( 2) d iacctate: 291(M+, 27%), 253(65%),

252(out of range), 210(62%), 209(89%), 193(46児), 182(21%),

181(58%), 161(100児), 149(51%), 133(38児), 43(60児) .

(d) Syringald ehyd e ( 3) monoacetate: 221(M+, 6%), 182(100児),

181(32児), 167(19%), 153(20%), 139(17児), 125(10%), 118(19%),

93(18児), 43(24児)

(d) Ace tosyringone ( 4) monoacetate: 238(M+, 7児), 198(100児),

181(out of range), 153(19%), 126(6%), 13(33%)

分解生成物の同定と定量のために用いた楳品のうち、 syringal­

d ehyd e ( 3)、 acetosyri ngone (4)、 2,6-d imethoxyphe nol ( 6;

syringol)は市販品を必要に応じて精製して用いた。 以下の化合物 は合成した。

( a)戸-IIydroxypropiosyringone ( 1) : acetosyringoneと5当量の パラホルムアルデヒドを0.1 M NaOHに溶解し、 ステンレス製リアク

ターに封入して、 1100Cで40分反応させた。 反応液を塩酸酸性

( pII 2-3)にした後、 CIIC13で抽出した。 CH C13層をNa2S04で乾燥し

た後、 溶媒を減圧下で溜去した。 残溢をシリカゲルカラムクロマト グラフィーで精製し、 CIIC13-hexanc中で結品化させた(mp. 111- 112 .5 Oc ) 。

(b) Sinapyl alcohol ( 2) : Freud enb crgらの方法87 )に従い、

nL n6

(25)

cthyl 4-0-a ccthyl-sinapatcをLiAIH4を川いて還元した。

(c) 2,6-Dimethoxy-1-mcthylphcnol (5; mcthylsyringo,MS)

酢酸中でパラジウム炭素(5 % )を触媒として、 syringaldchydcを接 触還元(II2; 5 kg /cm2,30時間)した後、 溶媒を減j王下で間去した。 得られた淡黄色残法を減圧蒸摺し、 bp. 116 -11 7 Oc (2 m m II g )の間分 を分取した。 得られた留分を冷蔵庫内に数njj間放置すると、 私ljU1化 した(m p. 38. 5 -3 9 . 50C )。

2. 1. 3 定量分析

室温まで冷却した前述の各モデル化合物の処到!液から正椛に1 ml

を取り、 1 mlの0.5 M Na-リン酸緩衝溶液(pII 3)でrll和した後、 ベ ラトルアルデヒドのアセトニトリル溶液(2 m 1 )を内部標準として かlえた。 逆相カラム(NOVA PACK C18'\ 溶離液; 10 mM Na-リン限緩 衝液, pII 3/アセトニトリル)を用いたIIPLCで、 反応液中のモデル 化合物の残存量と生成した4-methylsyringol(5; MS)を含む分解生 成物量を定量した。 これらは、 あらかじめ標品を用いて作成した検 一線と反応開始時のモデル化合物機度から算出した理論量に対する mol児で表示した。

2. 2 結果と考察

2. 2. 1 反応生成物の同定

SS- nをソーダ、 クラフトおよびソーダAQ薬液で1200C、 60分間

処理した時の、 IIPLCクロマトグラムをFig. 27に示す。 ソーダ処理で は主要な分解生成物として5積の物質 が検山され、 クラフ ト処理 や

- 83 -

(26)

1.5.

55-11

Soda

1 2 4

Kraft

2

5

Soda-AQ

2

5

Retention time

Fig. 27. HPLC chrOlnatograms of reaction lnixtures of SS- II after treatlnent for 60 min at 120 oC under soda, kra立and soda- AQ conditions.

Note: See Fig. 29 for product numbers, vcratraldchydc was thc intcrnal s tandard (I.S.).

- 81 -

(27)

ての処理に共通して検山された分解生成物のうち、 ( 5 )は戸-0-1結 合の開裂によりSS- IIのB環より生成したMSであり、 ( 2 )は他ノJの

A環より生成したsinapyl alcoholであることが判明した。 なお、 ソ ーダ処理での分解生成物をアセチル化後GC-MS分析に供した結果、 分 解生成物として、 ( 5 )および(2 )以外にsyr ingaldchydc ( 3)、

acctosyringone (4)の存在が推定され、 これらの標品のGC-MSスペ クトルとの比較およびHPLCでのスパイクテストの結果から最終的に ( 3 )および(4 )であると同定された。 GC-MS分析から、 化合物(1 ) はl-syringyl-2-propen-l-one ( 10)アセテートと推定されたが、 こ の物質の椛造から予想される極性は比較的小さく、 HPLCでR.T 5分付­

近に溶山するとは考え難かった。 そこで、 化合物(1 )をIIPLCで分取 し、 TMS誘導休としてGC-MS分析に供した結果、 ß -hydroxypropio- syringoneと推定され、 合成した同物質のTMS誘導体のGC-MSスペクト ルと、 IIPLCでのスパイクテストでも良く一致したことから同物質と

判断された。 さらに、 合成した化合物(1 )をアセチル化すると定主「

的に化合物(10 )を与えたことから、 最終的に化合物(1 )を ß -hydroxypropiosyringoneと同定した。 分解生成物( 1 )、 ( 3 )、

( 4 )はソーダ処理で特異的に生成された物質であり、 SS- IIの戸- 0-4結合の開裂反応機械と密接な関係があるものと考えられる。

2. 2. 2 シナピルアルコールの生成

SS- nの分解生成物の巾でsinapyl alcohol ( 2)はソーダ、 クラフ トおよびソーダAQ処理に共通して確認され、 フェニルプロパノイ

- 85 -

(28)

ド部分由来のß -0-1結合の開裂反応生成物と考えられたため、 ( 2 )

の収率と戸-0-4結合の開裂によって生成したMSの収率との関係を検 討した(Fig. 29)。 ソーダAQ処理ではMSの生成に対してほぼ定武 的に( 2 )が生成したが88・89)、 クラフト処JIfl:ではMSの30お-15%、l'r良 しか生成していなかった。 この原肉としては、 ß -0-1結イ!?開裂後に

チイラン中間休から元素状イオウの脱離が遅いため2長体化するこ と90-92)などが考えられる。 またソーダ処理においても( 2 )はß - 0-4結合の開裂量( MSの生成量)の25%-30%に相当する車しか生成せ

ず、 フェニルプロパノイド骨格を持つ主分解生成物として( 2 )とと もに( 1 )が椛認されていることから、 ソ一夕ダず処即にあお、けるP一O一4系J

合の開裂反応には二つの経路が存在するものとf准f栓{佐主訊測|リlされるo M i k-

scheはguaiacyl- propandiol- ß -(4-rncthylsyringyl) etherのソーダ 処理( 1.0 M N a 0 H'\ 140 Oc、 30寺問)を行い、 顕著なß -0-4結合の閃

裂反応と同時にisocugenolの生成を確認している84)。 同物質はお- Eからの化合物( 2 )に相当する物質であるため、 guaiacylpropan­

diol-ß -(4-methylsyringyl) ctherとSS- nのソーダ処理では同織の 反応が起こっていると考えられ、 ソーダ処理での顕著なß -0-4結合 の開裂反応とケイヒアルコール類の分解物の生成にはエーテル結合 したB環がシリンギル型であることが重要な意味を持つことが示さ

れた。

- 86 -

(29)

R=COCH3 R=CH3 R=H

R=COCH CH2

Degradation products仕om n10del compound SS- II.

4:

5:

6:

10:

CH3

Fig. 28.

3HCO

20

(ぎ-一oE)

1 0

。工0

υ一応一hacc一ωー←

0一ω一〉

30

Fonnation of sinapyl alcohol企om SS- II under soda(・),

kraft( 0 ) and soda-

AQ(

 ) trcatments at 120 oc . 20

Yield of MS (mol, 0/0)

。 10

Fig. 29.

- 87

(30)

2. 2. 3 他の分解生成物

S S- IIのソーダ処即ではsinapyl alcohol (2)以外に、 ーヒ反応生成 物として、 f3 -hydroxyprop i osyr i ngone ( 1 )、 syringaldchydc(3)、

acetosyringonc (1)が同定された。 S S- IIのソーダ処即における反 応をより詳細に検討するため、 各処理洞度における反応生成物の定

分析を行った。 Fig. 30に1000cと1200Cで処理(0.1 M NaOII)した 結果を示すが、 化合物(1 )は(3 )および(1 )と比べて速やかに生 成し、 1200C処理では30分、 1000C処理では90分で最大収率(約6%) に達した後に減少した。 これは化合物(1 )が高温 ・ アルカリ性条件

下で不安定であることを示している。 一方、 化介物(1 )の収率はr'ù j毘度とも処理の初期に誘導期が存在し、 以後急激に地)Jrlした。 これ らの生成挙動から(1 )の二次的な反応による(4 )の生成が推測さ れたため、 合成した(1 )を0.1 M NaOII、 1100C、 30分の条件で処理 したところ、 ( 1 )から定量的に(4 )が生成されることが椛認され た。 さらに、 NaOII濃度を1.0 Mに高めてお- IIを処理した実験では、

消費速度とf3 -0- 4結合の開裂速度は0.1 M NaOHの場合と同様であっ たが、 ( 1 )の収事が低下し(1 )の収率が明加することが確認され た。 以上の結果より、 S S- IIのソーダ処理においてf3 -0-4結合の開裂 によって生成した化合物(1 )は、 高渦 ・ アルカリ性条件下で逆アル

ドール縮合により、 化合物(1 )に変換されたものと考えられる。

一方、 1200C処理(O.lM NaOH)におけるsyringaldehydc ( 3)の収 率は1000C処理と比べ約3倍程度高くなったが、 逆にsinapyl alco- hol (2)の収率は1000C処理の方が高く、 また、 1.0 M NaOII処理では、

0.1 Mの場合より化合物(2 )の収率がわずかに減少し、 化合物(3 ) の収率は逆に地方11した。 以上の結果から、 化合物(3 )は(2 )の A

- 88 -

(31)

裂によって生成したB環由来のMSの収率とほぼ一致しており、 Fig.

31に示すように、 化合物 ( 1)- ( 4)はモデル化合物のフェニルプロ パノイド部分から戸-0-4結合の開裂によって生成することが確認さ れた。 しかしながら、 化合物 ( 1 )と ( 4 )の収率の合計は化合物

( 2 )と ( 3 )の収率の合計よりも高いことから、 ß -0-4結合開裂の 結果sinapyl alcohol ( 2)を生成する経路と戸-hydroxypropio- syr ingone ( 1)を生成する経路の二つのうち、 後 者のß-0-4結合の

開裂反応経路の方がより優先的であると考えられた。

なお、 クラフト処理やソーダAQ処理ではSIIーやAIIQ-のキノンメチ

ドα位への求核的付加反応に引き続き戸-0-1開裂が起こり、 この反 応は速やかであるためß -0-4結合の開裂反応が主反応になるとされ ているが85.86.88.89)、 ソーダ処理ではSIIーやAIIQ-の様な戸-0-4結合 の還元的開裂反応をもたらす求核試薬は存在しないにもかかわらず

SS- nの顕著なß -0-4結合開裂反応と分解生成物として ( 1 )と ( 2 ) の生成が確認された。 Mikscheが行ったguaiacyl-propandiol-ß-

( 4-methylsyringyl) ctherの結果84)や本実験の結果は、 ソーダ処理 におけるお型モデル化合物の速やかな戸-0-4結合開裂反応がエーテ ル結合したB環がシリンギル型であるときに特有な反応であること を示し、 この反応はB環の2つのメトキシル基による電子吸引効果 とエーテル結合の両オルト位に位置する嵩高いメトキシル基のため に生じる立体障害によって引き起こされるホモリティ ックな戸-0-4 結合開裂と推定された。

Qd oo

(32)

Yield (mol, %)

M

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(33)

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- 91

ω

(34)

第3節 Syringylglyccroトf3 -syringyl cthcr (SS一皿)の反応

モデル化合物SS- nをJliいたこれまでの検討では、 生成したMSの 次的重合を防止し、 f3 -0-1結合の開裂量を正確にR'fi. fi而するため、 B 環シリンギル核のf3 -0-1結合に対してパラ(立をメチル法で置換した。

しかしながら、 ソーダ処理におけるf3 -0-1結合の開裂反応はエーテ ル結 合したB環の構 造に著しく 影響されることが切らかとなったの で、 木節ではB環シリンギル核にメチル基を持たないSS�I{モデル化

ム物syringylglycerol-f3 -syringyl ether (SS-ill rig. 26)を用 いて検討を行った。

3. 1 実験

3. 1. 1 モデル化合物と処理方法

既報76-78)を参考に、 SS- illを合成し、 θrythro異性休を実験に用 いた。 反応温度を1100Cとした以外は前節と全く同線の方法でモデル 化合物の処理と定量分析を行った。

3. 1. 2 分解生成物の同定

標品とのHPLCによるスパイクテストを行い、 同一物質であること を確認した。

3. 2 結果と考察

3. 2. 1 分解生成物の同定

SS- illをo . 1 M N a 0 II " 110 Ocで処理して得られた分解生成物は、

- 92 -

(35)

ss- mのソーダ処理でフェニルプロパノイド骨格を持つ物質として砕.

認された物質は化合物(2 )のみであり、 sS- 1Iのソーダ処理で生成 したß -hydroxypropiosyringone (1)とその分解生成物 aceto- syr ingone ( 4)は確認できなかった。 すなわち、 ss- mのソーダ処理 では化合物(1 )を生成するß -0-4結合の開裂反応は起こっておらず、

B環のメチル基がお型モデル化合物のソーダ処理における反応経路 に大きな影響を及ぼすことが示された。

3. 2. 2 ソーダ処理におけるsyringylglycerol-ß -syringyl ethcr ( SS- m )の反応速度

1100C、 60分のソーダ処理でお一皿の約75%が消費され、 syringol

( 6 )の収率は35児に達した(Fig. 32)。 これは同ーの反応条件下で のsS- IIの消費量のおよそ3倍、 またß -0-1結合が開裂して生成する B環由来のフェノール生成量の約2.5倍に相当することから、 B環の

メチル基はss型モデルの反応性を抑制していることが明らかとなっ た。 なお、 ss- mの戸-0-4結合開裂によって生成するsyringol量は ss-皿の消費量の約半分程度に相当し、 A環由来の分解生成物である sinapyl alcohol (2)とsyringaldehyde(3)の収率の合計とほぼ一

致していた。 この結果は、 ss- mのソーダ処理におけるß -0-4結合の 開裂反応がお- IIのようなsinapyl alcohol (2)と戸-hydroxypro- p i 0 s y r i ng 0 n e ( 1 )を生成する二つの経路によって進行するのではな く、 sinapyl alcohol (2)を生成する単一の経路によるものである ことを強く示唆するものである。 なお、 A環およびB環由来の分1fl

- 93 -

(36)

止成物収率がss- illの消費量の約半分であることから、 戸-0-1結合の 開裂以外に7位の脱離反応等によってもお-illは消費されているもの と判断される。

100

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合シ/日\\l i

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30 60

Reaction time

90-

(min.)

120

Fig.

32.

TÍlne vs rcaction profile for the consumption of SS-

III( 0 )

and fonnation of 6

(ム), 2(口),

and

3(

)

under soda treatrnent with 0.1 N NaOH at 110 oc .

- 94 -

(37)

SS- nとSS-皿のソーダ処理での反応において、 B環の椛造がß -0

-4結合の開裂速度ならびに反応機構に大きな影響を与えることが切 らかとなった。 一 方、 GG型モデル化合物を用いた報告では、 アル カ リ性条件下ではキノンメチドの生成が反応の第一段階であり、 重要 なステ ップとされていることから78-82)、 SS型モデル化合物のソー ダ処理でのß -0-4結合の開裂反応におけるキノンメチド11�1問休の生 成の役割を調べるためSS- mのフェノール性水酸基をエーテル化した モデル化合物4-0-cthylsyringylglycero卜戸-syringyl ether (SS­

N , F i g 26)を用いて検討した。

4. 1 実験

4. 1. 1 モデル化合物と処理方法

既報78-80)に従いお-Nを合成し、 実験にはthrθ0:θrythro ( 1: 3 )

混合物を用いた。 ソーダ薬液には水の代わりに25%ジオキサン水溶液 を用い、 NaOH濃度は1.0 Mとした。 反応は120.cと140.cで行い、 定一 分析は前節に従って行った。

4. 1. 2 分解生成物の同定

SS- Nの分解生成物として、 4-0-e t h y 1 s y r i n g y 1 g 1 y c e r 0 1 ( 9, F i g .

33 )はTri-TMS誘導休としてGC-MS分析を行い、 フラグメントパター ンから推定した。 他の分解生成物(Fig. 33)は予想される物質と様

品のHPLCによるスパイクテストを行い、 同 一物質であることを確認 - 95 -

(38)

した。 以下にGC-MSデータを示す。

4-0-Ethylsyringylglyccrol triTMSi ether: 488(M+, <1児), 283

ウiAq 司1ム

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4. 2 結果と考察

4. 2. 1 分解生成物の同定

SS- Nの分解生成物としてsyringol(6)、 およびFi g. 33に示す 4 -0-e t h y 1 s y r i n g a 1 d e h y d e ( 7 )、 4-0- e t h y 1 s y r i n g y 1 a 1 C 0 h 0 1 ( 8 )、

4-0-ethylsyringylglycerol (9)の生成が確認された。 化合物(7 )、

( 8 )、 ( 9 )は明らかにA環由来の物質であるが、 フェニルプロパ

ノイド骨格を有する化合物は(9 )のみであり、 化合物(7 )と(8 ) の生成量は(9 )に比べて少量であった。 よって化合物(7 )と(8 ) は(9 )の二次的な分解反応によって生成したものと考えられた。

R

3HCO CH3

7: R=CHO

8: R=CH20H

9: R=CHOHCHOHCH20H

Fig. 33. Dcgradation products from lTIodcl compound SS- IV.

円。QU

(39)

SS- Nはアルカリ水溶液に対する溶解.度が低いため、 ソーダ処.E1Hに おいて水の代わりに25児ジオキサン水溶液を川いた。 このことから、

モデル化合物SS- IIやss- mのソーダ処理とは条f't:が異なるが、 vc- ratrylglycerol-ß -guaiacyl etherを川いてß -0-4結合の閃裂速度

を調べた結果、 30%ジオキサンではほとんど影響がないとする惚告が あることから83)、 SS- Nのß -0-1結合の開裂量をSS- nやss- mの場 合と比較できると考えられる。

1.0 M NaOH、 110.C処理におけるSS- Nの消費と戸-0-1結合の開裂

( syringolの生成量)をFig. 34に示すo SS- Nのθrythro�r�性休は thrθo異性休に比べて消費速度がおよそ3-4倍速く、 これは、 verat- rylgl ycerol- ß -guaiacyl ethcrのthrθo異性休とθrythro異性休のP -0-4結合の開裂速度に関する報告83・9 3 )とよく符合する。 Fig. 31に おいてsyringol(6)の生成量とお- N ( thrθ0:θrythro=l : 3 )の消費

一はほぼ一致していることから、 ß -0-4結合の開裂反応が優先的な 反応と考えられた。 またフェニルプロパノイド骨格を有する分解.ム 成物は4-0-ethylsyringylglycerolだけであったことから、 非フェノ ール性モデル化合物SS- Nのソーダ処理によるß -0-4結合の開裂反応 機構はα位水酸基のイオン化に続く戸位への求核反応によりオキシ

ラン中間休を経由して進行する、 GG型モデルと同憾な機構79 )と考え られた。

なお、 120.C、 90分処理における、 SS- Nの消費量とß -0-1結合の

開裂量はそれぞれ13%と12児であるのに対し(Fig. 31)、 sS - IIでは 53%と43%であるという結果も得られており、 ソーダ処理におけるお

- 97 -

(40)

出モデル化合物の速やかな消費とf3 -0-1結介の開裂にはA環のフェ ノール性水酸基が大きく関与し、 キノンメチド巾間休を経山すると

推測される。

また、 MikscheはSS- 1Iメチルエーテルのソーダ処理( 1100C、 60分)

を行い、 8.6児のf3 -0-4結合の開裂が生じることを報告しているが84)、

B環にメチル基がないSS- Nを同一条件下でソーダ処理した場合の

f3 -0-4結合の開裂量は23児であったことから(Iìig. 34)、 フェノー ル性モデル化合物の場合と同様に、 B環のメチル基はその電子供与

効果により反応を抑制することが再確認された。

100

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� ム

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E

...._, 50

℃一ω一〉

�口

30 60 90

Reaction time (min.)

Fig. 34. Timc course of consumption of SS- IV and formation of 6(・).

under soda trcatment with 1.0 N NaOH at 1400C .

‘ Recovery of 幼児ofonn( 0), eη柏ro form(口), and lnixture (ム)・

06 Qd

(41)

の脱離反応が主反応、となり、 ß -0-1結合の開裂速度は極めて遅いこ とが知られている79-83)。 しかしながら、 本実験でss- nやss-illの ソーダ処理では顕著な戸-0-4結合の開裂反応が観察された。 またB 環にメチル基を有しないお-illの消費速度と戸-0-4結合の開裂速度は ss- nよりも速いことから、 B環のメチル基は反応を抑制することが 明らかとなった。 ß -0-4結合開裂後のフェニルフロパノイドとして、

ss- nからは戸-hydroxyprop i os yr i ngone ( 1 )とsinapyl alcohol ( 2 )の生成が、 ss- illからはsinapyl alcohol (2)の生成が確認さ れた。 なお、 Mikscheもss- nのソーダ処理を1.0 M NaOH、 1400C、 3

時間の条件下で行っているが、 分解生成物として化合物(1 )と( 2 ) を確認するに至っていない84)。 彼の用いた反応条件は本章で採用し た条件と比較して高瓶、 高アルカリ濃度でしかも反応時間が長いた め、 化合物(1 )や(2 )は生成後に二次的反応で消失したものと推

測される。

ソーダ処理にはクラフト処理やソーダAQ処理の様なß -0-4結合 の還元的開裂反応をもたらすSHーやAIIQ一等の求核試薬は存在しないの で、 ss- nから化合物(1 )や(2 )が生成する反応やお-illから化ム 物(2 )が生成する反応を求核置換反応により説明することはできな い。 本章の結果と前山のMikschcによるguaiacylpropandiol-ß -(1-

methylsyringyl) ctherの結果を合わせて考察すると、 エーテル結合 したB環がシリンギル型であるときにだけに見いだされる反応であ り、 A環がシリンギル型であるかあるいはグアイアシル型であるか は影響しない。 しかしながらソーダ処理において、 ss- Nではss- n

- 99 -

(42)

に比べてモデル化合物の消費と戸-0-1結合の閃裂が箸しく抑制され ていたことから55型モデル化合物の顕著 なß-0-1結合の開裂反応に はA環のフェノール性水酸基が必要であり、 反応がキノンメチドIjl

間体を経由して進行することが推測された。 さらに55型モデル化介 物のß -0-4結合はエーテル結合に対して両方のオルト位に嵩高いメ トキシル基が存在することによって起こる立 休附害と電 子吸引効果 によってホモリティ ックに開裂することが、 分解.生成物の同定結果 から推定された。

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(43)

第1節 序

シリンギルリグニンとグアイアシルリグニンのアルカリ性条件下 における反応性の違いを明らかとする目的で、 第5章ではGG型、 SG 型、 SS型の6種のモデル化合物を用いて戸-0-4結合の開裂速度の違 いについて速度論的に解析し、 ソーダおよびクラフト処理条件下に おいてはお型モデル化合物の戸-0-4結合の開裂速度が他と比べ著し く早いこと、 ソーダ処理条件下においてはお型モデル化合物のみが ß -0-4結合の開裂を受けることを明らかとした。 また第6章では、

ソーダ処理におけるお型ß -0-4結合開裂反応で、 フェニルプルパノ イド骨絡を有する分解物として主にsinapyl alcoholが生成すること を示した。 そこで本章ではモデル化合物、 単縦リグニン(ジオキサ ンリグニン)ならびに木材中のプロトリグニンを、 アルカリ性条件

下で処理し、 そのさい生成するsinapyl alcoholおよびconiferyl

alcohol量から、 シリンギルリグニンとグアイアシルリグニンの戸- 0-4結合開裂の反応性を比較しようと試みた。

-101-

(44)

第2節 リグニンモデル化合物による検討

第5および6章で述べたモデル化合物を川いる実験の場合には、

戸-0-4結合の開裂によって遊離するフェノール類を定量することに

よりf3 -0-4結合の開裂量を知ることができ、 このためシリンギル型

とグアイアシル型リグニンモデルの反応性の違いを容易に比較する ことができた。 しかしながら、 木材中のプロトリグニンをはじめと する高分子リグニンではシリンギルリグニンとグアイアシルリグニ ンの反応性の違いを比較するための適切な方法がない。 そこで、 本 節では3種のモデル化合物をソーダ、 クラフトおよびソーダAQ処

理した際の戸-0-4結合の開裂量と各モデル化合物から生成するケイ ヒアルコール類の量との関係を明らかにし、 高分子リグニンの戸-0 -4結 合 開裂におけるシリンギル単位とグアイアシル単位の反応性の 差異をケイヒアルコール類の生成量から比較しうるか知見を得るこ とにしfこo

2. 1 実験

2. 1. 1 リグニンモデル化合物の処理と分析

リグニンモデル化合物としてFig. 18 (第5章)に示したguaia-

cylgl ycerol-f3 -guaiacyl ether (GG-11 )、 syringylgl ycerol-f3 - guaiacyl ether (SG- ll )、 syringylglycerol-f3 -(4-methylsyrin­

gyl) ether ( SS-11 )を用いたo モデル化合物のソーダ、 クラフト ソーダAQ処理を行い、 モデル化合物の消費量、 GAおよびMSの生成

量(f3 -0-4結合開裂量)、 ならびにsinapyl alcohol (2 )あるいは coniferyl alcohol ( 11)の生成量を測定したo モデル化合物の処理

-102-

(45)

2. 2 結果と考第

Tab1e 8に示すように、 ソーダ処理ではお- IIのみで顕著なß -0-4 結合の開裂反応が起こり、 開裂量の約3 0児に相当するsinapy1 a1co­

ho1 (2)が生成したのに対して、 グアイアシルリグニンモデルGG - II やシリンギルグアイアシルリグニンモデルSG- nでは戸-0-4結合の開 裂はわずかであり、 coni fery1 a1cohol ( 11)や(2 )の生成は認め られなかった。 一方、 クラフト処理ではお- nの戸-0-4結合の開裂反 応に基づくMSの生成と(2 )の生成が認められたが、 GG- nやSG- nで はß -0-4結合の開裂反応が起り、 BI.策由来のフェノール類は生成す るにも関わらずA環に由来する分解生成物、 すなわちGG一日からの ( 11 )やSG- IIからの(2 )の生成はほとんど観察されなかった。 ク

ラフト処理におけるケイヒアルコール類の生成や消失に関する反応 機械はこれまでに詳細に調べられているが8 5・8 6・90-92)、 これらの 知見を基にしても、 S S- IIからのみ(2 )が生成された理由は不明で

ある。 なお、 ソーダAQ処理においては、 AHQーとリグニンの反応機 械で説明されているように88・89)、 ß -0-4結合の開裂量と(2 )なら

びに( 11 )の生成量がほぼ一致していた(Table 8)0 Mortimerの研 究ではスブルースをソーダAQ蒸解するとconi fery1 a1cohol ( 11) が生成し94), (11)は脱リグニン反応の初期段階にリグニン末端の guaiacy1glycerol-ß -aryl ether単位から生成する9 5 )とされている。

これらの結果から判断すると、 ソーダおよびソーダAQ処理におけ るsinapy1 alcoho1 (2)やconi feryl a1coho1 ( 11)の生成はリグニ ン末端のarylgl YC8ro1-ß -ary1 ether単位の戸-0-4結合が開裂した

-103-

Fig.  18に示す6種のモデル化合物をkirkら7 6  l、 I[osoyaら77 )、
Fig.  19.  Apparatus  used  in  the  kinetic  cxperiments.
Fig.  21.  Reactions  of  GG- 1,  SG- 1, and  SS- 1  on  treatment  with  soda  liquor  at  130  oc
Fig.  22.  Plots  of  pseudo  first- ordcr  reaction  for  the  consumption  of  GG- 1,  SG- 1, and  SS- 1  and  for  the  fonnation of  guaiacol  and  4- lnethylsyringol  on  treatmcnt  with  soda  liguor  at  130  oc
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参照

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