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1.0

0.5

リグニン試料のS/G比は近い値となり、 モデル化合物と高分子リグニ ンの両レベルで整合性が見られたと考えられる。 ただしジオキサン リグニンでは他の2つの試料よりやや大きな値を示したが、 ジオキ サンリグニンの単離過程にグアイアシルリグニンが縮合反応を受け、

( 11 )を与える末端のarylgylcerol- ß -aryl ether単位が減少した

ことに起因すると予想される。 またソーダ処理(蒸解)において木 粉試料のS/G比がモデル化合物およびジオキサンリグニンのそれより 小さな値を示したが、 これは反応系が不均一(国体-液体反応)で ありトポケミカルな影響が反応に大きく現れ、 反応性の高いシリン ギルリグニンの戸-0-4結合開裂が十分に進行しなかったためと考え られる。

Table 9. The difference of the reactivities between syringyl and guaiacyl lignins (S/G ralio) .

Lignin Sample Treatment Model1) Dioxane lignin2)

Soda 4) 10-11

Soda/AQ 1.4 2.0-2.7

Note: These results were given at 1200C.

1) ((2) from ss- n ) /((11) from GG- n).

2) ((2) from BDL) /((11) from BDL) .

Wood meals 3) 2.3 -2.5 1.3-1.6

3) ((2) from birch wood meal) /((11) from birch wood meal) . 4) The ra tj 0 can not be calcula ted. See Table 8.

-115-第5l!í 小括

アルカリ性条件下でのシリンギルリグニンとグアイアシルリグニ ンの反応性の違いを、 ß -0-4結合を持つシリンギル型およびグアイ アシル型リグニンモデル化合物、 広葉樹および針葉樹ジオキサンリ グニン、 広葉樹および針葉樹木粉を用いて比較した。

3種のモデル化合物を用いた検討により、 ソーダ処理およびソー ダAQ処理では、 シリンギル型リグニンモデル(SS- n )の戸-0-4結 合はグアイアシル型リグニンモデル(GG- n )に比べて開裂されやす

く、 分解生成物であるsinapyl alcohol (2)とconiferyl alcohol ( 11 )の生成量から戸-0-4結合開裂の反応性を比較できると考えら れた。

高分子のシリンギルリグニンとグアイアシルリグニンのß -0-4結 合開裂の違いについて比較を行うため、 ブナとクロマツのジオキサ ンリグニンを用いてソーダ処理とソーダAQ処理を行い、 戸-0-4結

合開裂の反応性を比較する指標として(2 )と(11 )の生成量を追跡 した。 その結果、 ブナジオキサンリグニンから(2 )の顕著な生成が

観察され、 シリンギルリグニンの方がグアイアシルリグニンよりも ß -0-4結合の開裂を受けやすいことが明らかとなった。 またブナジ オキサンリグニンのグアイアシル単位の戸-0-4結合開裂反応はクロ マツジオキサンリグニンのそれと差異が認められなかった。

ブナ木粉とクロマツ木粉のソーダ蒸解とソーダAQ蒸解を行い、

同様の比較を行った結果、 ブナ木粉からの(2 )の生成量はクロマツ 木粉やブナ木粉からの(11 )の生成量より大きかったことから、 シ リンギルリグニンの反応性が高いことが示され、 リグニンモデル化

合物およびジオキサンリグニンを用いて得られた結果と符合した。

-116-ether単位に大きく依存することをモデル化合物および高分子リグニ ンの両レベルで確認した。

-117-第8章 総括

広葉樹の組織内におけるシリンギルリグニンとグアイアシルリグ ニンの分布は大きく異なっており、 木繊維二次壁ではシリンギルリ グニンが、 細胞間層とセルコーナーや導管要素細胞壁ではグアイア シルリグニンがその大部分を占めている。 リグニン生合成を制御す る要因を解明する目的で数多くの研究が行われ、 モノリグノールの 生合成過程にはPALやOMTなどの酵素併が、 さらにその重合過程には ペルオキシダーゼが関与することが明らかにされてきた。 しかしな がら、 地物体には数多くのペルオキシダーゼアイソザイムが存在し、

それらの生理機能も多岐にわたるため、 現状では木化に関与するペ ルオキシダーゼは解明されるに至っていない。 このような観点から、

本論文の前半部では広葉樹の木化においてシリンギル型モノリグノ ールとグアイアシル型モノリグノールに対して基質特異性の異なる ペルオキシダーゼが、 それぞれのタイプのリグニン生合成を制御し ている可能性があると考え、 広葉樹の木化に関与するペルオキシダ ーゼの解明を試みた。

まず、 第2章では木化を制御する要因のーっとして水分ストレス

に着目し、 水分ストレスを与えたポプラ培養細胞(カルス)の木化 の程度やシリンギルリグニンとグアイアシルリグニンの組成比の変

動を迫跡した。

水分ストレスを与えるとカルスの成長は著しく抑制され、 同時に

リグニン含有量が顕著に増加し、 特にグアイアシルリグニンの生合 成が活性化されたことから、 水分ストレスは植物細胞の木化の程度 およびシリンギルリグニンとグアイアシルリグニンの組成比を制御

-1 1 8

-PAL活性との間に密接な関係を見いだすには至らなかったが、 百J溶性

( S P 0 )、 イオン結合性( 1 P 0 )、 細胞壁結合性( WP 0 )画分に分凶し たペルオキシダーゼの中で細胞壁に結合したタイプのペルオキシダ ーゼ活性( 1 P 0とWP 0 )とリグニン含有量の問に密談な関係が見いだ され、 リグニン生合成には、 細胞墜に結合したペルオキシダーゼが

強く関与していることが判明した。

第3章では水分ストレスによって誘導されたシリンギルリグニン 含有量の異なるポプラ暗養細胞やシリンギルリグニンを生合成しな いスギ培養細胞を月jいて、 各ペルオキシダーゼ画分のシリンギル型 とグアイアシル型モノリグノールに対する基質特異性を比較した。

第2章で記述した三つのペルオキシダーゼ画分の中でIPO画分がシ ナピルアルコールに対して最も高い特異性を示し、 シリンギル型モ ノリグノールの脱水素重合に関与する可能性を明らかにした。

ペルオキシダーゼのシリンギル型およびグアイアシル型モノリグ ノールに対する基質特異性の差異はシリンガアルダジン( S y )とグ アイアコール( G u )を基質として!日いる活性測定で、 簡便かつ感度

良く推定できることを見いだした。

水分ストレス条件下ならびに非ストレス条件下で培養したポプラ カルスについて、 リグニンのシリンギル/グアイアシル組成比

( S / V比)とIPO回分のシリンギル紘基質とグアイアシル核基質の酸 化速度の比( Sy/Gu比)との関係を検討した結果、 両者の聞には相闘 があり、 さらにシリンギルリグニンを生合成しないスギ培養細胞に はシリンギル核基質に高い特異性を示すペルオキシダーゼ画分は存

-119

-在しなかった。 また、 ポプラから調製した ペルオキシダーゼ両分を 用いてモノリグノールの脱水素重合能力を比較した結果、 IPO阿分の みがシナピルアルコールの脱水素重合を効家的に触姑:し、 広葉樹の シリンギルリグニン生合成にはIPO画分が重要な役割を果たしている ことが判明した。

第4章では、 シリンギル型およびグアイアシル塑モノリグノール に対して特異性の異なるペルオキシダーゼの単離と性質について述

べた。

ポプラカルスのIPO画分から、 疎水クロマトグラフ ィ一、 イオン交 換クロマトグラフ ィ一、 ゲル鴻過クロマトグラフ ィーを用いて、 シ ナピルアルコールに高い特異性を示すカチオン性ペルオキシダーゼ SyPO ( 32kD )、 ならびにコニフェリルアルコールに対する特異性が

高いアニオン性ペルオキシダーゼGPO-2( 55kD)とカチオン'Ifl:ペルオ キシダーゼGPO- 1( 40kD)を単献した。

単離ペルオキシダーゼSyPOとGPO-2を用いて、 シナピルアルコール とコニフェリルアルコールのin vitro における脱水素重合能力を検

討した結果、 SyPOはシナピルアルコールの脱水素重合を、 GPO-2はコ ニフェリルアルコールの脱水素重合をそれぞれ効率的に触媒するこ とが確認された。 また、 シナピルアルコールに特異的なペルオキシ ダーゼ( SyPO)がポプラカルスには存在するのにた}し、 スギカルス には存在しなかった。

以上の結果は、 広葉樹および針葉樹の細胞内において生合成され

たシリンギル担とグアイアシル剖モノリグノールが基質特異性の異 なるペルオキシダーゼによってそれぞれ特異的に脱水素重合される ことを示唆しており、 このことから広葉樹の細胞部位でシリンギル

-120-なお、 このようなリグニンの局在化は立木の生理的意義の他に木 材を化学的に利用する立場においても非常に重要な意味を持つ。 す なわち、 化学構造の異なる2種類のリグニンは化学的な性質が兵な るため、 針葉樹と広葉樹問によって、 また広葉樹の組織や部位によ って木材の反応性が異なることが予想される。 そこで木論文の後半 では、 パルプ化に多用されるアルカリ条件下でのシリンギルリグニ ンとグアイアシルリグニンの分解反応性の差異を比較した。

第5章では、 戸-0-4結合を有するシリンギル型およびグアイアシ ル型リグニンモデル化合物を用いて、 アルカリ性条件下でのモデル 化合物の消費ならびにß -0-4結合開裂について速度論的な解析を行 った。

ss型モデル化合物はSG型やGG型モデル化合物に比べて極めて反応 性が高く、 ソーダ処理でも顕著なß -0-4結合の開裂反応が生じたこ とから、 針葉樹と比べて広葉樹の脱リグニン速度が速いのは広葉樹 リグニン中に存在する反応性の高いsyringylglycerol-ß -syringyl

ether単位に大きく依存すると推察された。

なお、 これまでに多くの研究者らによって提案されてきたGG�モ

デル化合物の分解に関する反応機構はお型モデル化合物の反応を説 明できないことから、 第6章ではシリンギル型リグニンモデル化ム 物のß -0-4結合開裂反応についてより詳細に検討したo

S S- IIをソーダ処理したさい、 ß -0-4結合開裂後のフェニルフロノミ ノイドとしてß -hydroxypropiosyringone (1)とsinapyl alcohol

( 2 )が、 SS-mからはsinapyl alcohol (2)の生成が確認された。

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