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原著論文 首都圏における女子大学生の朝食欠食と 健康的生活行動との関連 中井あゆみ * 1 古泉佳代 * 2 小川睦美 * 3 吉﨑貴大 * 4 砂見綾香 * 1 横山友里 * 1 安田純 * 1 佐々木和登 * 1 多田由紀 * 5 日田安寿美 * 5 小久保友貴 * 6 外山健二 * 7 井上久

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(1)

首都圏における女子大学生の朝食欠食と  健康的生活行動との関連

中井あゆみ*

1

・古泉佳代*

2

・小川睦美*

3

・吉﨑貴大*

4

・砂見綾香*

1

・  横山友里*

1

・安田 純*

1

・佐々木和登*

1

・多田由紀*

5

・日田安寿美*

5

・ 

小久保友貴*

6

・外山健二*

7

・井上久美子*

8

・川野 因*

*1 東京農業大学大学院農学研究科

〒156-8502 東京都世田谷区桜丘 1-1-1

*2 日本女子体育大学体育学部スポーツ健康学科

〒157-8565 東京都世田谷区北烏山 8-19-1

*3 昭和女子大学生活科学部健康デザイン学科

〒154-8533 東京都世田谷区太子堂 1-7-57

*4 東洋大学食環境科学部

〒374-0193 群馬県邑楽郡板倉町泉野 1-1-1

*5 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科

〒156-8502 東京都世田谷区桜丘 1-1-1

*6 金城学院大学生活環境学部食環境栄養学科

〒463-8521 名古屋市守山区大森二丁目 1723

*7 神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部栄養学科

〒238-8522 横須賀市平成町 1-10-1

*8 十文字学園女子大学人間生活学部食物栄養学科

〒352-8510 埼玉県新座市菅沢 2-1-28

The Association between Skipping Breakfast and Healthy Lifestyle   Behaviour of Japanese Female Students in the Metropolitan Area

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5

*1 Graduate School of Agriculture, Tokyo University of Agriculture Sakuragaoka 1-1-1, Setagaya, Tokyo 156-8502

*2 Department of Sport Wellness Science, Faculty of Sport and Health Sciences,   Japan Women’s College of Physical Education

Kitakarasuyama 8-19-1, Setagaya, Tokyo 157-8565

*3 Department of Human Health and Design, Faculty of Human Life and   Environmental Sciences, Showa Women’s University

Taishido 1-7-57, Setagaya, Tokyo 154-8533

*4 Faculty of Food and Nutritional Sciences, Toyo University Izumino 1-1-1, Itakura, Oura, Gunma 374-0193

*5 Department of Food and Nutritional Science, Faculty of Applied Bio-Science,   Tokyo University of Agriculture

Sakuragaoka 1-1-1, Setagaya, Tokyo 156-8502

*6 Department of Food and Nutritional Environment, College of Human Life   and Environment, Kinjo Gakuin University

Omori 2-1723, Moriyama, Nagoya 463-8521

§[email protected]

(2)

*7 School of Nutrition & Dietetics, Faculty of Health & Social Services,   Kanagawa University of Human Services

Heisei 1-10-1, Yokosuka, Kanagawa 238-8522

*8 Department of Food and Nutrition, Faculty of Human Life Jumonji University Sugasawa 2-1-28, Niiza, Saitama 352-8510

────────────────

  The aim of this study was to explore the effects of breakfast consumption on both healthy life- style and perceived health of college females. The data from 577 female students of four universities  in the metropolitan area were utilized in the present study (53.4% valid response rate). Participants  were  divided  into  three  groups  according  to  their  breakfast  consumption  habits:  Group  1  (456  participants, 79.0%) comprised participants who ate breakfast 7 times a week, Group 2 (63 participants,  10.9%) comprised those who ate breakfast 4-6 times a week, and Group 3 (58 participants, 10.1%)  comprised those who ate breakfast less than 3 times a week. Those who did not eat breakfast every  morning thus accounted for 21.0%, which was consistent with the results concerning 20 year-old  females gained by the National Health and Nutrition Examination Survey. The females who skipped  breakfast had relations to living alone, an irregular life, a nocturnal life, a decline in opportunities of  cooking meals, little intake of energy and nutrients, and high scores of perceived poor health. These  results suggested that, to live a healthy life, it is important for female college students to make a habit  of having breakfast, and that they can have breakfast by both making it a rule to keep early hours  and increasing the opportunities to come in contact with food, to master simple cooking skills and to  make meals.

Key words : Skipping breakfast, Regular lifestyle, Perceived health, College female

1. 諸   言

 平成 24 年度の国民健康・栄養調査によると、20 歳 代は男女ともに朝食の欠食率が高く、特に女性は 21.2%と報告されている1)。また、男女の大学生で朝 食を「ほとんど食べない」者は自宅生に比べて一人暮 らし生が多く(概ね 6 割)2)、魚介類とその他の野菜 の摂取量が有意に低値であったとの報告3)もある。こ れらの背景として大学生世代は生活面に加え経済面か らも親から独立する世代であり、自己の嗜好や趣味を 優先させることが関わる可能性がある。しかし女性に は、将来、子供を産み育てるといった社会的役割があ るため、朝食欠食や偏食、食の簡便化がもたらす健康 影響が懸念される。それゆえ、大学生世代の女性が朝 食摂取をどのように考え、行動しているかを把握し、

早期に課題を発見し、その解決策を探ることは重要で ある。

 ところで、朝食の欠食は成人期の肥満発症リスクと 密接に関わるだけでなく4), 5)、身体活動量の低下6)、過 体重7)やヘモグロビン A1C8)および空腹時インスリ ン濃度の上昇9)、骨密度の低下10)といった様々な健康 面への悪影響が明らかにされている。また、一週間の 朝食欠食は胃運動を減弱させ11)、精神状態を不安定に させる12)事も報告された。さらに、一日の食事回数の 低下はエネルギーおよび栄養素摂取量や食品群別摂取

量の低下13)~15)をもたらすことに加えて、行動変容ス

テージが低い人ほど16)、また、健康状態を良くない17)

と感じている人ほど欠食回数が多いとも報告されてい る。それゆえ、朝食摂取は食物摂取状況だけでなく、

適切な食事の実践、食意識や主観的健康観などにも影 響する可能性がある。しかし、これまで女子大学生の 朝食摂取状況(欠食回数)と食物摂取状況、食意識、

主観的健康観などを包括的に検討した研究は必ずしも 多くない。また、若年女性を対象とした調査では栄養 士養成施設の学生を対象としたものが多く、栄養士養 成校以外の他の専門領域を修める学生を対象とする研 究は少ない。

 そこで、本研究では首都圏 4 大学に在籍する専門領 域の異なる女子学生を対象に一週間の朝食摂取回数、

食意識や生活習慣、食物摂取状況および主観的健康意 識などを調査し、朝食欠食に伴う食生活上の幾つかの 課題を明らかにし、その解決策について考察すること を目的とした。

2. 方   法

 (1)対象および調査内容

 首都圏 4 大学に在籍している女子学生 1080 名を対 象に、平成 24 年の 7 月~10 月に無記名自記式質問紙 調査を行った。調査を実施するにあたり、予め各大学 の教職員を対象に調査の目的と回収・解析方法などに

(3)

ついて事前に説明を行い、内諾を得た。

 また、本調査は自記式無記名方式であり、調査票の 回収は配布 1 週間以内を目途に事前に用意した回収箱 へ学生たちが自主的に投函(提出)したことによって 研究への参加同意が得られたものと判断した。それゆ え、疫学研究の倫理審査規定による事前の研究倫理審 査は受けていない。ただし、研究の実施にあたっては ヘルシンキ宣言や東京農業大学「ヒトを対象とした倫 理審査規定」に基づき、回答の有無が参加者の不利益 にならないこと、また、データの回答方法や取り扱い などについては事前に当該学生に説明した。質問項目 及び内容は対象者の特性、食事に対する意識、目安量 法による 24 時間の食事記録調査、主観的健康感とし た。

 (2)対象者の特性

 基本事項として、対象者には過去 1 か月間の朝食摂 取状況について 1 週間あたりの平均朝食摂取回数を記 述させた。また、現在の大学における専門教育分野

(栄養学またはその他)、年齢、身長、体重、居住形態 とした。身長(m)と体重(kg)は自己記入させるとと もに、Body Mass Index【BMI;体重(㎏)/身長(m)2】 値を算出した。そして、日本肥満学会の定義に基づき、

対象者をやせ(BMI<18.5)、普通(18.5≦BMI<25.0)、

肥満(25.0≦BMI)に分類した。

 (3)生活リズム

 起床・就寝時刻、朝食、昼食、夕食それぞれの習慣 的な時刻、さらに、これら時刻の規則性について尋ね るとともに、山口らの質問票18)を用いて対象者を朝 型生活者か、夜型生活者かに区分した。即ち、「8 時 間労働をする際の起床時刻」をはじめとする 7 項目に 対してそれぞれ 4 項目のカテゴリーを配置し、回答を 求めた。そして、得られた回答に 1 点から 4 点を付け、

7 項目の合計得点を算出した(生活リズム得点;ME スコア)。さらに、ME スコアの中央値を求め、中央 値に比べて高い値を持つ者を朝型生活者、低い値の者 を夜型生活者に区分した18)

 (4)食事への意識

 「食事の量は適量か」、「食事を共にする人はいるか」、

「食事に十分な時間があるか」、「現在の食生活をどう 思うか」、「食品選択の知識・技術があるか」、「適切な 食事内容や量を把握しているか」、「食生活を今後のど うしたいか」に対して、「はい(いる)・いいえ(いな い)」の 2 段階、「よい」「どちらともいえない」「問題 がある」の 3 段階、または「ある」「どちらともいえ ない」「ない」の 3 段階で回答を求めた。さらに、食 生活を今後どうしたいかについては「改善するつもり はない」「改善するつもりであるが、実行できていな

い」「近いうちに改善するつもりで、少しずつ始めて いる」「すでに改善に取り組んでいる」の 4 段階、また、

朝食をとるために必要な事については「自分で朝食を 用意する努力」「家族や周りの支援」「早く寝る・よく 寝る」などの 8 項目について「思う・思わない」の 2 段階で回答を求めた。そして、朝食欠食回数が 1 回以 上と答えた者全員に対し欠食理由(10 項目)を回答 させた(複数回答)。

 (5)食事調査

 調査日前日の 24 時間に飲食した全ての食事内容に ついて、料理名、食品名とその概量、調味料などを記 録させた。管理栄養士が日本標準食品成分表 2010 に 基づき 1 日の合計エネルギーおよび三大栄養素摂取量 と、1 日の合計エネルギー摂取量に対するたんぱく質、

脂質、炭水化物由来のエネルギー比率をそれぞれ算出 した。また、熊谷らの方法19)により、10 食品群の 1 週間あたりの摂取頻度を「ほとんど毎日食べる(4 点)」

から「ほとんど食べない(1 点)」の 4 段階で回答さ せるとともに、その合計得点を多様性スコアとして算 出した(4~40 点)。

 (6)主観的健康感

 ここ最近 1 ヶ月以内に感じた動悸、息切れ、立ちく らみ、めまい、頭痛、咳、痰、鼻水・鼻づまり、腹痛、

吐き気・嘔吐、下痢、筋肉痛・関節痛、発熱、食欲低 下、全身倦怠感などに関する 20 項目の自覚症状(あ り:1 点、なし:0 点)についてその有無を複数回答 させるとともに、合計値を体調不良得点として算出し た(0~20 点)。

 (7)統計解析

 回収した調査票のうち一週間あたりの朝食摂取回数 に記載がない者、朝食を毎日食べると言いつつも食事 調査の朝食欄に記載がないものなど、記載内容に不備 があった者(計 44 名)、さらに年齢が 25 歳以上の者(計 3 名)を除いた計 577 名を解析対象とした(図 1)。

 対象者は一週間の平均朝食回数により「7 回」と回 答したもの(以下、Ⅰ群 : 朝食欠食なし)、「週 4 回~

6 回」と回答したもの(以下、Ⅱ群:週 3 日以内の朝 食欠食あり)、「週 0 回~3 回」と回答したもの(以下、

Ⅲ群:週 4 日以上の朝食欠食あり)の 3 群に分けた。

年齢、身長、体重、BMI、ME スコア、体調不良得点、

食事時刻、エネルギー摂取量、主要栄養素摂取量、多 様性スコアの各値は全て平均値±標準偏差で表記し、

正規性のある連続変数には一元配置分散分析の一次式 を、正規性のない連続変数には Jonckheere-Terpstra 検定を用いて 3 群間の傾向性を調べた。また、カテゴ リー変数は χ2検定を用いて評価し、有意差の認めら れた項目には残差分析を行った。統計解析は IBM 

(4)

SPSS Statistics(ver. 20)を用い、統計的有意水準は 5%(両側検定)とした。

3. 結   果

 (1)対象者の特性

 質問票の配布数(1080 部)に対する回収率は 57.8%

(624 部)であり、有効回答率は 92.5%であった。す べての項目に回答の得られた 577 名のうちⅠ群は 456 名(79.0%)、Ⅱ群は 63 名(10.9%)、Ⅲ群は 58 名(10.1 

%)であり、一回でも朝食を欠食した者は全体の 21.0 

%であった。この時、一週間に全く朝食をとらないと 答える女子学生は 5 名であり、女子学生全体の 0.87%

であった。

 対象者の全体平均年齢は 20±1.2 歳であり、傾向性 の検定では朝食欠食頻度に伴って有意に上昇したもの の、年齢幅は小さく、最少年者は 18 歳、最大年齢者 は 24 歳だった。身長、体重、BMI は朝食欠食頻度の 増加による有意な傾向は見られず、平均 BMI は 20.2

±2.2 kg/m2だった。一人暮らしの者はⅡ群とⅢ群が 有意に多く、家族との同居はⅠ群が有意に多かった。

また、専門教育分野は栄養学を専攻する者はⅠ群が多 く、Ⅱ群は有意に少なかった(表 1)。

 (2)生活リズム

 起床、就寝、朝食時刻が決まっていると回答した者 はⅠ群が有意に多く、Ⅱ群とⅢ群は有意に少なかった。

また、起床、就寝、朝食の時刻は朝食欠食頻度が増え るとともに有意に遅くなった。(表 1)。

 生活リズムは I 群に 8 時間労働をする際の起床時刻 を「6 : 30 以前」と回答した者、毎晩 9 時に就寝する ことを「大変容易」と回答した者、毎朝 6 時に起床す ることは「容易に可能」、起床後覚醒までの時間が「0

~10 分」と回答した者、「午前中、非常に活動的」と 答えるものが有意に多く、Ⅱ群とⅢ群は起床時刻が「8 時半以降」、毎晩 9 時に就寝することを「大変難しい」、

毎朝 6 時に起床することは「大変難しく不快」、疲れ や眠気を感じる時刻を「23 : 00 以後」、起床後覚醒す るまでの時間は「41 分以上」と回答する割合が有意 に多かった。生活リズム得点の ME スコアは朝食欠 食頻度が多くなるほど有意に減少した。この時、ME スコアの中央値は 16 点であったことから、16 点以上 を朝型生活者、16 点未満を夜型生活者と分類したと ころ、Ⅰ群に朝型生活者、Ⅱ群とⅢ群は夜型生活者が それぞれ有意な高値を示した(表 2)。

 (3)食事への意識

 食事が適量である、食事を共にする人がいる、十分 な食事時間がある、現在の食生活をよい(どちらかと もを含む)、自分にとって適切な食事内容・量を把握 していると答えた者はⅠ群が有意に多かった(表 3)。

また、食生活を今後どうしたいかについて尋ねた結 果、「改善するつもりであるが、実行できていない」

と答えた者はⅠ群が有意に少なく、Ⅱ群、Ⅲ群は有意 に多かった。

 また、朝食を食べるために必要なことを尋ねた結 果、「家族や周りの人の支援」と回答した者はⅠ群が 図 1 解析対象者のフローチャート

(5)

有意な高値を示した。「早く寝る、良く寝る」と回答 した者はⅡ群、Ⅲ群が有意な高値を示し、「自分で朝 食を用意する努力」「残業時間の短縮など労働環境の 改善」と回答した者はⅢ群が有意な高値を示した。「夕 食や夜食をとりすぎない」、「外食やコンビニ等で手軽 に朝食をとれる環境」と回答する者は 3 群間に有意な 差がみられなかった。「特にない」と回答した者はⅠ 群が有意に高値を示した。

 さらに、朝食欠食者(Ⅱ群、Ⅲ群の合計 121 名)を 対象に欠食する理由を尋ねた結果(図 2)、「身支度等 で忙しい(60.0%)」と答える者が最も多く、次に「もっ と寝ていたい(46.7%)」、「食欲がない(32.5%)」、「時 間がもったいない(25.0%)」と続いた。

 (4)食物摂取状況

 肉類を除く食品群の食品群別摂取頻度得点は、朝食 欠食頻度とともに有意に減少し、食品群別摂取頻度得 点を合計した多様性スコアもⅠ群(27.4 点)、Ⅱ群(24.3 点)、Ⅲ群(22.7 点)の順に有意に減少した(表 4)。

 朝食および 1 日の合計エネルギー摂取量、さらには、

たんぱく質、脂質、炭水化物摂取量は朝食欠食頻度が 増えるとともに有意に減少した(表 4)。しかし、昼食、

夕食および間食のエネルギー摂取量には有意な傾向が みられず、朝食欠食による影響はみられなかった。そ

こで、1 日の合計エネルギー摂取量に対する食事別エ ネルギー摂取割合をみると、朝食由来エネルギー摂取 割合は朝食欠食頻度とともに有意に減少し、昼食およ び夕食由来エネルギー摂取割合は有意に増加した。ま た、合計エネルギー摂取量に対するたんぱく質由来エ ネルギー摂取割合は有意に低下し、炭水化物由来エネ ルギー摂取割合は有意に増加した。

 (5)体調不良得点

 最近 1 か月間の主観的健康観に対する回答状況を表 5 にまとめた。動悸や息切れ、立ちくらみ、めまいな どの貧血症状には 3 群間に有意な差は見られなかった ものの、頭痛、疲れやすい、食欲低下、全身倦怠感、

のどの痛み、手足の冷えを感じた者の割合は 3 群間で 有意な違いがみられ、Ⅰ群が有意に少なく、Ⅱ群とⅢ 群が有意に多かった。20 項目の体調不良得点を合計 した結果、体調不良合計得点は朝食欠食頻度とともに 有意に増加した。

4. 考   察

 首都圏 4 大学に在籍する女子学生を対象に、朝食欠 食頻度と食意識や食物摂取状況、主観的健康観等との 関わりを調査した。その結果、朝食欠食者は起床・就 寝時刻や食事時刻が不規則で夜型生活者が多く、食品 表 1 朝食欠食頻度と対象者特性の比較

(6)

選択に関わる知識や技術、食生活改善意欲はあるが実 行できない、多くの食品群とエネルギー、たんぱく質 などの摂取量は少ない、主観的体調不良を訴える者が 多く、朝食をとるためには早寝早起きと自分の朝食を 整える努力が必要と答えることが明らかになった。

 (1)対象者の特性

 朝食欠食者は全体の 21.0%であり、平成 24 年度の 国民健康・栄養調査結果とほぼ同値であった(20 代、

22.1%)1)。今回、朝食を欠食するⅡ群、Ⅲ群はⅠ群に 比べて一人暮らしの者が有意に多かった。居住形態に ついては小関らも朝食を「ほとんど食べない」者は自 宅生に比べて一人暮らし生が有意に多いことを報告し ており2)、今回の結果とよく一致した。また、Ⅰ群に は栄養学を学ぶ者が有意に多く、栄養学を学ぶ女子学 生の朝食欠食率(11.9%)は同世代の国民健康・栄養 調査の結果と比べて低いとする報告3)と一致した。こ のことから、朝食欠食は女子学生の居住形態や学問の 専門領域とも関わっている事が明らかになった。

 そして、日本では近年、若年女性のやせ(BMI<

18.5 kg/m2)が増加し、平成 24 年の国民健康・栄養 調査では 20 歳代で 21.8%と報告されている1)。朝食欠 食者割合とやせ割合がほぼ一致することから若年女性 の朝食欠食は“やせ”と関わる可能性がある。この一 方、頻繁に朝食を欠食する者は朝食欠食がまれな人と 比較して 1 日の身体活動量が低く6)、成人の朝食欠食

者に肥満4)や過体重7), 20)の者が多いとの報告があり、

朝食欠食者は朝食摂取者に比べて身体活動量が低い可 能性がある。しかし、今回の研究では対象者の体重や BMI は 3 群間に有意な差がみられなかった。今回の 結果と先行研究の違いには対象者の消費エネルギー量 や体組成、また、今回の身長や体重の値が自己申告値 を用いたことが関わるかもしれない。今回はより多く の調査協力者の確保を優先したため身長や体重を計る 事が難しかった。これらの可能性を検証するためには、

今後は実測値による検討が必要と考える。

表 2 朝食欠食頻度と生活リズムの比較

(7)

表 3 朝食欠食頻度と食意識・知識・態度の比較

図 2 朝食欠食理由

朝食欠食摂取者(Ⅱ群、Ⅲ群:121 人)を対象に朝食欠食の理由としてあてはまると回答した者の割合を示した(値は%、

複数回答)。

(8)

 (2)生活リズム

 起床・就寝時刻や朝食摂取時刻が決まっている者は

Ⅰ群に比べてⅡ群やⅢ群で有意に少なく、Ⅰ群は朝型 生活者が有意に多く、Ⅱ群とⅢ群は夜型生活者が有意 に多いことが明らかになった。先行研究によると、自 宅外通学生は 1 日の総エネルギー摂取量の 68.9%を 16 時以降にとっている事3)が報告されている。本研 究の結果でもⅡ群とⅢ群に一人暮らし生が有意に多 かったことから一人暮らしが夜型生活と関わる可能性 が考えられた。それゆえ、朝食欠食要因を考える際に は一人暮らしという「生活形態」にも注目する必要が あると考えられた。

 (3)食事への意識

 自分にとって適切な食事内容や量を把握しているも

のはⅠ群が有意に多く、現在の食生活に「問題がある」、

今後の食生活を「改善するつもりはあるが、実行でき ていない」と回答した者はⅠ群に比べて、Ⅱ群、Ⅲ群 が有意に多かった。行動変容段階の関心期にある女子 大学生は実行期や維持期の者に比べて朝食摂取回数が 少なく16)、欠食者に健康的な食事に対する自己効力感 が低いと報告されている22)。また、我々はすでに農学 系男女学生において、自分にとって適切な食事内容や 量を「把握していない」群は現在の食生活を「悪い」

と評価し、今後の食生活を「改善したい気持ちはある が、実行できていない」(関心期)と答えたことを報 告してきた21)。今回のⅡ群とⅢ群の女子大学生は「食 生活を改善するつもりはあるが実行出来ていない」と 答える栄養学以外の学問領域を専門とする者が多く、

表 4 朝食欠食頻度と食物摂取状況の比較

(9)

自分にとって適切な食事内容や量は「どちらともいえ ない」と答えていた。食品選択に関する知識や技術は

Ⅰ群との間に有意な違いが見られないにもかかわら ず、Ⅱ群とⅢ群に「現在の食生活を問題がある」とす る割合が高かった事から、女子学生が朝食を欠食する 背景には食品選択の知識や技術、食生活の自己評価ス キルとは異なる要因が関わる可能性が考えられた。

 一方、朝食摂取に必要なことについて、Ⅰ群は「家 族や周りの支援」というソーシャルサポートの重要性 を挙げたのに対し、Ⅱ群とⅢ群は「自分で朝食を用意 する努力」「早く寝る、よく寝る」など自己の努力や 行動の改善を挙げていた。そして、朝食を欠食する理 由に「身支度で忙しい」、「もっと寝ていたい」などと いった時間に関する項目が挙げられた。高校生までは 家族の支えで生活していた女子学生がひとたび一人暮 らしを始めると、学業以外に掃除や洗濯、買い出し、

調理、片付けなどといった家事全般が自分の仕事とし

て伸し掛かってくる。生活全般の管理運営を自分一人 で行う必要に迫られることとなり、24 時間の生活時 間管理が難しくなるのかもしれない。ゆえに結果的に 夜型生活になり、朝食が犠牲になっている可能性があ る。朝食を摂らない理由として「朝食よりも睡眠時間 が大事」23)、朝食を摂るために必要な支援は「早く寝 る・よく眠る」と答える者の割合が最も高い24)とい う結果は本研究でも観察された。朝食欠食の改善策の 一つとして生活全般にわたる「時間管理能力の育成」

が必要と考えられた。

 (4)食物摂取状況

 本研究では 1 日の合計エネルギー摂取量は朝食欠食 頻度の増加とともに有意に減少したが、昼食、夕食お よび間食のエネルギー摂取量は 3 群間で有意な差はみ られなかった。朝食の欠食によって生じたエネルギー 不足は昼食や夕食で補われることは無かった。さらに、

1 日のたんぱく質、脂質、炭水化物の摂取量、そして、

表 5 朝食欠食頻度と体調不良得点の比較

(10)

食品の多様性スコアは朝食欠食頻度とともに有意に減 少した。

 Levitsky ら13)は朝食欠食群の昼食、間食、夕食お よび飲み物由来の摂取エネルギー量は朝食摂取群と比 べて有意に増加するものの、一日の合計エネルギー量 は朝食欠食群が有意に少なかったと報告している。ま た、欠食回数の増加に伴い、穀物、その他の野菜類、魚 介類、果実類の摂取量が有意に減少し、ビタミン D、ビ タミン B2を除くすべてのビタミン摂取量が少なく14)、 朝食欠食者に食品の多様性スコアが低いこと15)も明 らかにされている。朝食欠食は多様な食品を摂取でき ないという点で今回の調査結果と一致した。Ⅱ群とⅢ 群には、一人暮らし生が多く、食事はスーパーやコン ビニエンスストアで購入したものが多かった。スー パーやコンビニエンスストアでの画一化された食事を 購入するため、食事を一回抜くとエネルギーや多くの 栄養素、更には、食品群が補えない事実が明らかになっ た。すなわち、女子大学生では自ら調理する機会が減 り、食事づくりへの意欲と関心が希薄になっている可 能性が推察された。

 (5)体調不良得点

 本研究では、朝食欠食頻度の高い者は最近一ヶ月間 に頭痛、疲れやすい、食欲低下、全身倦怠感を感じた者 が多かった。また、体調不良得点は朝食欠食頻度に応 じて有意に増加したことから、主観的体調不良は朝食 欠食回数と密接に関わる可能性が示唆された。体調不 良者に朝食欠食者が有意に多いとの報告17)がある。夜 型生活者は朝型生活者と比べて就寝・起床時刻が遅く、

安静時心拍数が高く、自律神経活動レベルは低く17), 18)、 また、食事時刻の前進・後退はともに心臓自律神経活 動の日周リズムの位相を前進・後退させる25)ことも明 らかになった。これらの報告は不規則な食事時刻に加 え、朝食欠食が生体内の概日リズムの乱れを誘い、主 観的体調不良を誘発させる可能性を示唆している。

 一方、欠食頻度の増加に伴って血清鉄が有意に低下 するとの報告26)がある。本研究では立ちくらみやめ まいなどの貧血症状に差は見られなかったものの、貧 血といった具体的疾病発現と朝食欠食の関わりについ ては追跡研究などによる長期的検証が必要になると考 えている。

 (6)本研究の限界

 自記式アンケート調査の為、身長・体重などの多く の項目は対象者の自己申告値である事、断面研究のた め因果関係は特定できない事が限界と考えている。

5. 結   語

 首都圏 4 大学に在籍している専門領域の異なる女子

学生の食意識、生活習慣、食事摂取状況などの健康的 生活行動、主観的健康観を調査し、朝食欠食回数との 関連性を検討した。その結果、女子学生は朝食欠食頻 度とともに体調不良項目が増加し、朝食をとらない(と れない)背景に専門学問領域の違いに加え、一人暮ら しや夜型生活、さらには、食品選択の知識や技術はあ るものの食事を作る(家で調理する)機会が減少して いる様子が観察された。よって、将来的に子供を産み 育てる女子学生にとっての朝食は、学生自身の健康状 態と密接に関わるだけでなく、入学前からの規則正し い生活習慣の確立と朝食を整えるための食材の購入や 保存に関する知識の修得、簡単な料理が作れるなどの 調理技術の育成などを通して齎されることが推察され た。そして、これらの課題解決のためには幼い頃から、

家庭や地域、学校などで様々な食に触れる機会を増や し、自分らしい健康的な食生活が実現できる力を育成 する必要があるだろう。

謝    辞

 本研究は東京農業大学応用生物科学部栄養科学科立 木彩菜さん、野口麻奈美さん、橋爪郁美さん、前澤夏 子さんの卒業研究の一環として実施しました。またア ンケートの配布と回収にお力添えいただきました首都 圏 4 大学の関係者およびご回答頂いた学生の皆様に深 謝します。

文    献

 1) 厚生労働省:平成 24 年国民健康・栄養調査結果の概 要 http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou- 10904750-Kenkoukyoku-Gantaisa-kukenkouzoushinka/ 

0000032813.pdf(2014 年 3 月 17 日取得)

 2) 大関知子、藤吉恭子:朝食欠食習慣を持つ大学生の ための教育に関する研究、J Life Sci Res、9 巻、31-37 頁(2011)

 3) 原田まつ子、吉田正雄、小風 暁、寺田智子、荻野 愛、

苅田香苗:女子短大生の時間帯別の食品群及び栄養 素等摂取量と朝食欠食等に関する実態調査、 日本食 生活学会誌、21 巻、3 号、189-198 頁(2010)

 4) Yunsheng Ma, Bertone E.R., III E. J.S., Reed G.W.,  Hebert J.R., Cohen N.L., Merriam P.A., Ockene I.S. :  Association between eating patterns and obesity in  a free-living US adult population, Am J Epidemiol,  158, 1, 85-92 (2003)

 5) Deshmukh-Taskar  P.R.,  Nicklas  T.A.,  OʼNeil  C.E.,  Keast D.R., Radcliffe J.D., Cho S. : The relationship of  breakfast skipping and type of breakfast consump- tion with nutrient intake and weight status in chil- dren and adolescents : the National Health and Nu- trition Examination Survey 1999-2006, J Am Diet Assoc, 110, 6, 869-878 (2010)

 6) Keski-Rahkonen A., Kaprio J., Rissanen A., Virkkunen 

(11)

M., Rose R.J. : Breakfast skipping and health-compro- mising behaviors in adolescents and adults, Eur J Clin Nutr, 57, 7, 842-853 (2003)

 7) Berkey C.S., Rockett H., Gillman M., Field A., Colditz  G. : Longitudinal study of skipping breakfast and  weight change in adolescents, Int J Obe Relat Metab Disord, 27, 10, 1258-1266 (2003)

 8) Reutrakul S., Hood M.M., Crowley S.J., Morgan M.K.,  Teodori M., Knutson K.L. : The relationship between  breakfast skipping, chronotype, and glycemic control  in type 2 diabetes, Chronobiol Int, 31, 1, 64-71 (2014)  9) Smith K.J., Gall S.L., McNaughton S.A., Blizzard L., 

Dwyer T., Venn A.J. : Skipping breakfast: longitudi- nal associations with cardiometabolic risk factors in  the Childhood Determinants of Adult Health Study,  Am J Clin Nutr, 92, 6, 1316-1325 (2010)

 10) Kuroda T., Onoe Y., Yoshikata R., Ohta H. : Relation- ship between skipping breakfast and bone mineral  density in young Japanese women, Asia Pac J Clin Nutr, 22, 4, 583-589 (2013)

 11) 脇坂しおり、小橋理代、菱川美由紀、山本百希奈、池 田雅子、坂根直樹、松永哲郎、森谷敏夫、永井成美:

胃電図を指標とした朝食欠食と朝の胃運動の関連の 検討、 日本栄養・食糧学会誌、62 巻、6 号、297-304 頁(2009)

 12) 樋口 寿、藤田朋子、久保美帆:大学生の精神的健 康度に影響する食事因子の検討、 近畿大学農学部紀 要、41 巻、17-25 頁(2008)

 13) Levitsky D.A., Pacanowski C. : Effect of skipping break- fast on subsequent energy intake, Physiol Behav, 119,  9-16 (2013)

 14) 齋藤さな恵、下田妙子:女子大学生の栄養素等摂取量 と欠食との関連、東京医療保健大学紀要、2 巻、1 号、

31-37 頁(2006)

 15) Azadbakht L., Haghighatdoost F., Feizi A., Esmaillzadeh  A. : Breakfast eating pattern and its association with  dietary quality indices and anthropometric measure- ments in young women in Isfahan, Nutrition, 29, 2,  420-425 (2013)

 16) 柴 英里、森 敏昭:トランスセオレティカル・モ デルにおける行動変容ステージから見た大学生の食 生活の実態、日本食生活学会誌、20 巻、1 号、33 頁

(2009)

 17) 八杉 倫、西山 緑、大石賢二:医療系大学生にお ける朝食欠食とライフスタイルとの検討、獨協医学 会雑誌、35 巻、2 号、101-107 頁(2008)

 18) 山口光枝、渡邊敏明、高木絢加、脇坂しおり、坂根 直樹、森谷敏夫、永井成美:女子大学生における生 活リズムの朝型 - 夜型度と朝の自律神経活動の関連、 

女性心身医学、16 巻、2 号、160-168 頁(2011)

 19) 熊谷 修、渡辺修一郎、柴田 博、天野秀紀、藤原 佳典、新開省二、吉田英世、鈴木隆雄、湯川晴美、

安村誠司、芳賀 博:地域在宅高齢者における食品 摂取の多様性と高次生活機能低下の関連、日本公衆 衛生雑誌、50 巻、12 号、1117-1124 頁(2003)

 20) Keski-Rahkonen A. : Breakfast skipping and health- compromising behaviors in adolescents and adults,  Eur J Clin Nutr, 57, 7, 842-853 (2003)

 21) 多田由紀、川野 因、森 佳子、吉﨑貴大、小久保友 貴、日田安寿美、上岡美保、高野克己:大学生にお ける食事に関する知識と生活習慣の関連─農学系大 学における検討、日本食育学会誌、4 巻、4 号、213- 221 頁(2010)

 22) Smith K.J., McNaughton S.A., Cleland V.J., Crawford  D., Ball K. : Health, behavioral, cognitive, and social  correlates of breakfast skipping among women living  in socioeconomically disadvantaged neighborhoods, J Nutr, 143, 11, 1774-1784 (2013)

 23) 田中弘美:女子学生の朝食摂取状況及び疲労に関す る一考察、 北陸学院短期大学紀要、33 巻、89-101 頁

(2002)

 24) 厚生労働省:平成 21 年国民健康・栄養調査結果報告、

http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou/h21- houkoku.html(2013 年 12 月 10 日取得)

 25) Yoshizaki T., Tada Y., Hida A., Sunami A., Yokoyama  Y., Togo F., Kawano Y. : Influence of dietary behavior  on the circadian rhythm of the autonomic nervous  sys tem as assessed by heart rate variability, Physiol Behav, 118, 122-128 (2013)

 26) 矢野義記、森脇千夏、浅田憲彦、池辺淑子、銅城順子、

谷口邦子:朝食欠食と肥満に関する検討:朝食欠食 する肥満者の食事摂取状況の特徴、 総合健診、35 巻、

3 号、317-323 頁(2008)

(平成 26 年 4 月 28 日受付、平成 26 年 7 月 31 日受理)

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