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抗原抗体反応を利用したPCBバイオセンサーの開発と実用化

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 抗原抗体反応を利用したPCBバイオセンサーの開発と実用化 背 景 2003 年に重電機器の絶縁油に微量の PCB(polychlorinated biphenyl)が混入している可能性が報告され、 変圧器の PCB 混入の有無を確認することが必要となった。しかし、従来の PCB 測定法は、長時間を要し、高 価である。当所では迅速で安価な PCB 測定を提供するため、生物の機能である抗原抗体反応を利用した PCB バイオセンサーの開発を行ってきた。多数存在する変圧器の迅速な混入確認のためには、PCB バイオセン サーの実用化が急務である。. 目 的 PCB に反応する抗体を作製し、PCB バイオセンサーとして実用化するとともに、迅速な混入判定手段(ス クリーニング)としての実用性を検証する。. 主な成果 1.PCB に反応する抗体の作製 PCB 抗原を導入したマウスから抗体生産細胞を調製し、絶縁油に混入している 4 種類のカネクロール (PCB 混合物)に反応する抗体の作製に成功した。作製した抗体は、カネクロール間で反応性の差が小さい 特徴を示し、これまでにない PCB 測定に適した性質を有していた。 2.PCB バイオセンサーの実用化 作製した抗体を用いて、測定感度・精度を保ちながら測定操作が迅速になる実用的な測定系を構築し、 PCB バイオセンサーを実用化した(図 2)。実用化した PCB バイオセンサーでは、4 種類のカネクロールを等 量含む絶縁油において 0.1mg-PCB/kg-油から 2mg-PCB/kg-油までの検出が可能であった(図 1)。なお、測 定の迅速性は、並列処理で前処理から測定まで絶縁油 80 試料/日/人程度であった。 3.PCB バイオセンサーによるスクリーニング結果の予測と検証 混入判定を行う絶縁油の PCB 濃度の分布を想定した場合、判定結果を確率論的に予測する方法を初めて 提案した。予測には、PCB バイオセンサーの測定のばらつき(標準偏差)や高分解能質量分析との相関 (傾きと切片)を用いた。110 検体の絶縁油を用いた検証では、予測した偽陰性* 1 並びに偽陽性* 1 の割合と 実測した割合は良く一致し、PCB バイオセンサーのスクリーニング能力に確率論的な裏付けが得られると 共に、予測手法の有用性も確かめられた(図 3)。 以上、抗原抗体反応を利用したバイオセンサーとして、これまでに例のない絶縁油中の PCB の迅速な混 入確認に有用可能な実用品を開発できた。. 今後の展開 0.1 mg-PCB/kg-油未満の測定感度を目指して PCB バイオセンサーの高度化を行う。 主担当者 関連報告書. 環境科学研究所 バイオテクノロジー領域 上席研究員 大村 直也 「生体機能を利用したセンシング(その 7)」電力中央研究所報告: V08053(2009 年 3 月). * 1 :真の PCB 濃度として設定した測定値が基準値を超える試料のうち、スクリーニングにより基準値未満と測定さ れる試料の割合(偽陰性)。真の測定値が基準値未満である試料のうち、スクリーニングにより基準値以上と測 定される試料の割合(偽陽性) 。. 46.

(2) 2.環境/環境・革新技術 絶縁油. 抗PCB抗体. 送液ポンプ. 抗原抗体反応 PCB 未反応抗体 複合体. + 前処理液. Y→ ←Y. 混合 送液. PCB濃度 定 測. セル内 膜担体. Y. Y. 着色 白色 →PCB濃度が低い →PCB濃度が高い 検出セル. Y. PCBバイオセンサー. 2. 未結合抗体 を膜担体上 で捕捉. 図2 PCBバイオセンサーのしくみと測定の手順 前処理した絶縁油と作製した抗体を混合し、抗原抗体反応を起こす。この混合液を注射器にとり、送液ポン プで注射器の先端に付けた検出セルに送液。検出セルでPCB濃度に応じて変化する未反応抗体を捕捉し、捕 捉量を反応の度合い(着色度)としてPCBバイオセンサーで測定し、PCB濃度を決定する。. 相対信号値(%). 0.1mg-PCB/kg-油. 図1 油中PCB濃度測定範囲(左図). 図3 スクリーニング結果の予測と検証(下図) 変圧器から採取した絶縁油110検体をPCBバイオセ ンサーで測定し、種々の判定濃度にて混入判定を 実施した(左下図)。真値とした質量分析から判 定を検証し、偽陽性と偽陰性の実測割合を求め た(右下図)。実測割合は、測定前に提案した手 法により算出した偽陽性及び偽陰性の予測割合 と良く一致した(右下図)。. 2.0mg-PCB/kg-油. 油中のPCB濃度(mg-PCB/kg-油). 基準濃度 0.5mg/k g. 偽陰性あるいは偽陽性割合(%). 判定(カットオフ)濃度 スクリーニング 判定濃度未満. 判定濃度以上. 非混入. 混入の可能性 真値と比較. 誤(偽陰性). 偽陽性(実測). 80 偽陽性 (予測). 60 40. 偽陰性 (予測). 20 00. 誤(偽陽性). 偽陰性(実測). 100. 0.2. 0. 4. 0.6. 0. 8. 判定濃度(mg-PCB/kg-油). 47. 1.

(3)

参照

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