122 (45) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
タケ ウチ タカ マサ竹内敬昌(昭和32
博士(医学) 乙第1391号平成5年9月17日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
完全大血管転位症に対する二期的動脈スイッチ手術時における新大動脈基部
の病理組織学的検討 (主査)教授 今井 康晴 (副査)教授 門間 和夫,澤口 彰子論 文 内 容 の 要 旨
目的 動脈スイッチ手術(ASO)においては,旧肺動脈基 部の異常により,将来,新大動脈基部に形態的,機能 的異常が出現する可能性がある.特に二期的手術では, 肺動脈絞掘術(PAB)による組織障害が考えられるの で,ASO時における肺動脈基部中膜の病理組織学的検 討を行った. 対象および方法 d・TGA I型に対する二期的ASO症例18例(A群) と新生児期一期的ASO症例6例(B群)を対象とし, 術中に採取した肺動脈壁中膜の,弾性板層数,密度を 計測し,また弾性板断裂,膠原線維増加,嚢胞状変化 の程度を比較検討した.それぞれの障害程度は,軽症 から重症まで,1~III型,1~III度,1~IV度に分類 し,A群においては, PAB施行年齢, PAB-ASO期間,ASO前カテーテル検査時の左室/暗室圧比(LVp/
RVp), ASO後約1カ月時の大動脈基部径との関連に つき検討した. 結果 弾性板層数及び密度(/mm)は, A群:42.1±10.8, 47.7±11.5,B群二48.5±1G.3,77.1±4.5で,密度は A群が有意に三値であった.弾性板断裂は,A群では 15例(83%)がIII度, B群は1度4例(67%), III度0 例で,A群の断裂が著明であった.膠原線維増加は, A群は10例(56%)がII度以上, B群は5例(83%) が1度で,A群の線維化が進んでいた.嚢胞状変化は, B群には全く認められなかったのに対し,A群では12 例(67%)に出現しており,III度以上の高度の症例も 5例存在した.A堅甲では,乳児期後半に肺動脈絞拒 術を施行した症例は,前半に施行した症例に比して嚢 ・胞状変化が高度となり,LVp/RVp 1.0以上の症例は 1.0未満の症例に比して線維化が強い傾向を認めた.ま た嚢胞状変化が高度であった症例は,ASO後1カ月時 における大動脈基部の拡大がより著明であった.考察
二期的ASOにおいては, PABにより肺動脈基部に 機械的圧迫による虚血をきたすとともに,その近位側 では急激に内圧が上昇し,これらが原因となって組織 学的変化をきたすと考えられる.本来低圧系に存在し, 且つ病理学的異常が出現している解剖学的肺動脈基部 が,患児の生涯にわたり機能的大動脈基部として高圧 系に耐えうるか,楽観できない点である.結論
PAB後二期的ASO症例においては,新大動脈基部
中膜に,弾性板断裂,膠原線維増加,嚢胞状変化等の 組織障害が認められ,長期問にわたる新大動脈基部の 形態,機能の慎重な経過観察が必要である. 728一123