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CD300a 受容体によるアポトーシス細胞に対する貪食制御機構の解明

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Academic year: 2021

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全文

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CD300a 受容体によるアポトーシス細胞に対する貪

食制御機構の解明

著者

藤山 聡

発行年

2019

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2019

報告番号

12102甲第9231号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00158131

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-

氏 名

藤山 聡

学 位 の 種 類

博士(医学)

学 位 記 番 号

博甲第 9231 号

学 位 授 与 年 月

平成31年4月30日

学位授与の要件

学位規則第4条第1項該当

審 査 研 究 科

人間総合科学研究科

学 位 論 文 題 目

CD300a 受容体によるアポトーシス細胞に対する

貪食制御機構の解明

筑波大学教授 博士(医学)

土屋 尚之

筑波大学教授 博士(人間・環境学)森川 一也

筑波大学准教授 博士(医学) 坂田麻実子

筑波大学助教 博士(医学) 濱田 理人

藤山聡氏の学位論文に含まれた内容の一部は、今後藤山氏が投稿を予定している研究内容に該当する ため、ここには論文の内容の要旨および論文審査結果の要旨を公開し、全文の公開が可能になった時点 で、学位論文審査報告書を公開する。

内容の要旨

藤山聡氏の博士学位論文は、ホスファチジルセリン受容体であるCD300a の骨髄球系細胞によるアポ トーシス細胞の貪食機構への関与を見出すとともに、その機序を解析したものである。その要旨は以下 のとおりである。 (目的)著者はまず、生体では多数の細胞が常時アポトーシスに陥っており、速やかに貪食されること により、細胞内の免疫原性物質の流出による炎症や自己抗体産生が抑えられており、その過程で骨髄球 系細胞が重要な役割を担うこと、その際、アポトーシス細胞に表出されるホスファチジルセリン(PS)が 貪食細胞上の貪食促進性受容体と結合することで貪食シグナルが伝達されること、しかし、PS を介し たアポトーシス細胞の貪食機序は未だ未解明の点が多く残っていることを述べている。 さらに著者は、CD300 ファミリーの1つである CD300a は PS をリガンドとする受容体であり、骨 髄球系細胞に発現し、PS と結合してサイトカイン・ケモカイン分泌や好中球、Th2、制御性 T 細胞制 御などに関与することが先行研究で知られているものの、アポトーシス細胞の貪食機構への関与につい ては未解明であることを述べている。 著者は、これらの背景に基づき、本研究において、骨髄球系細胞におけるCD300a のアポトーシス細 胞の貪食制御機構における意義を明らかにすることを目的に研究を行っている。 (方法)著者は、CD300a を欠損したマウスを実験に用いている。アポトーシス細胞のin vitro貪 食実験では、マウス胸腺細胞からデキサメタゾンを用いて誘導したアポトーシス細胞を、貪食細胞 に取り込まれ酸性条件になると蛍光を発するpHrodo で標識したのち、マウス腹腔マクロファージ と共培養し、pHrodo 陽性細胞をフローサイトメトリーで検出している。 In vivo貪食実験は、pHrodo 標識アポトーシス細胞をマウスの腹腔内に投与し、所定の時間後に 腹腔細胞を回収して、pHrodo 陽性細胞をフローサイトメトリーにて解析している。また、マウス

(3)

-

において腎細胞にアポトーシスを誘導し、3匹以上のマウスにおいて、1つの腎臓切片あたり5個

所を測定し、病理学的評価を行っている。また、このマウスから腎細胞を単離し、pHrodo で標識

後、Cd300aflox/floxあるいはLyz2CreCd300aflox/floxマウスから単離した腎細胞と共培養し、pHrodo 陽 性腎臓マクロファージをフローサイトメトリーで解析している。 (結果)著者はまず、in vitro 貪食実験により、CD300a 欠損マウス由来マクロファージでは、野 生型と比較して、アポトーシス細胞の貪食が変化すること、同様の現象は、野生型マクロファージ のCD300a を抗 CD300a 抗体で阻害することでも認められることを示している。以上の観察等に 基づき、著者は、CD300a は骨髄球系細胞のサブタイプにかかわらずアポトーシス細胞の貪食に影 響を及ぼすと結論している。 次に著者は、マウス腹腔内にpHrodo 標識アポトーシス細胞を投与する実験により、in vivoにお ける結果がin vitroの結果を支持することを示している。 次に著者は、CD300a のアポトーシス細胞の貪食への影響の機序を解析している。まず著者は、 貪食に関与するPS 受容体である Tim4、MerTK 等の発現は CD300a 欠損によって変化しないこと

を確認している。また著者は、抗MerTK 抗体により MerTK を阻害した条件下においても CD300a

欠損による貪食能への影響が見られたことから、CD300a による貪食制御は MerTK 以外の経路を 介するものと考察している。 著者は次に、既知のPS 受容体に対する CD300a の役割を検討し、その遺伝子欠損マウスにおい てはCD300a 阻害による貪食制御効果が打ち消されることから、CD300a はその PS 受容体を介し たアポトーシス細胞貪食経路を制御することを明らかにしている。 著者はさらに、Cd300a遺伝子欠損マウスを用いて、CD300a による貪食制御を生体内で解析し、 腎機能にも影響を及ぼすことを示している。 (考察)著者は本研究において、骨髄球系細胞に発現するCD300a が PS 受容体を介したアポトー シス細胞貪食を制御することを明らかにするとともに、in vivo モデルにおいて腎機能にも影響を 及ぼすことを示した。今後、さらに詳細な機序を見出すために、PS に対する CD300a と他の PS 受容体との親和性の違いや、それらの相互作用などを検討する必要があると考察している。 また、CD300a によるアポトーシス細胞の貪食制御の生理的意義として、アポトーシス細胞によ る炎症反応の制御に関与する役割があるのではないかと考察している。

審査の結果の要旨

(批評)藤山聡氏は本研究において、骨髄球系細胞におけるCD300a の役割として、アポトーシス 細胞の貪食制御という新たな機能を見出し、その機序を解析している。研究は論理的に構成され、 注意深く進められている。CD300a によるアポトーシス細胞貪食制御の生理的意義についても、炎 症反応制御作用という点から考察が加えられている。質疑応答において、藤山氏が関連分野に関す る深い背景知識と考察を有することも確認された。以上のように、本研究は、興味深い新規知見を 見出した学位論文として、高く評価される。 平成31 年 3 月 4 日、学位論文審査委員会において、審査委員全員出席のもと論文について説明 を求め、関連事項について質疑応答を行い、最終試験を行った。その結果、審査委員全員が合格と 判定した。 よって、著者は博士(医学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認める。

参照

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