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情報のリッチネスと情報のクレディビリティがサイトの信頼に及ぼす影響

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(1)

情報のリッチネスと情報のクレディビリティが

サイトの信頼に及ぼす影響

中 川

正 悦 郎

Effects of Information Richness and Information Credibility on Website Trust

NAKAGAWA, Shoetsuro

Abstract

More and more consumers today purchase a variety of products and services via online channels. With these changes, the importance of online trust has been suggested as a key factor in the success of an e-business. The objective of this paper is to clarify how a platform-based website’s information richness and information credibility affect its trust. The hypothetical model was developed based on the existing literature and was empirically validated using online survey data obtained from the users of a website for finding restaurants. This data show that information richness has a significant positive effect on the information credibility, perceived value of a website and website trust. Furthermore, information credibility and perceived value themselves have a significant positive effect on website trust. The theoretical and managerial implications of these findings are also discussed.

Key Words

trust, online trust, information richness, information credibility, perceived value キーワード 信頼,オンライン・トラスト,情報のリッチネス,情報のクレディビリティ,知覚価値 Ⅰ はじめに Ⅱ 先行研究 Ⅲ 仮説の設定 Ⅳ 経験的妥当性の検証 Ⅴ 考察 Ⅵ おわりに 25 ― ―

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はじめに

国内における BtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は,2017年時点で16.5兆円を超 え,EC 化率1)も5.79% という水準まで高まっている(経済産業省,28)。また,近年は,「フ リマアプリ」など個人間での取引を容易にする新たなサービスが登場したことにより,CtoC-EC (個人間電子商取引)の市場規模が急拡大している状況である2) このような EC 市場の拡大に伴い,オンライン取引やオンライン上のサービスに対する顧客の 「信 頼」の 重 要 性 が,学 術 的 に も,ま た 実 務 的 に も 注 目 さ れ て い る(Beldad, de Jong, and Steehouder, 2010 ; Flavián and Guinalíu, 2006 ; Hong and Cho, 2011 ; Walczuch and Lundgren, 2004)。なぜなら,オンライン上の取引においては,顧客は見知らぬ相手と取引を行うことが多 く,また,製品を直接手にとって確認することができないため,実店舗などのオフラインにおけ る取引以上に,取引相手やオンライン上で提供されるサービスに対する信頼が顧客の購買行動に 大きく影響を及ぼすからである。 ところで,近年多くみられるウェブサイトとして,2者以上の異なるユーザーグループのマッ チングを図るマルチ・サイド・プラットフォーム型のウェブサイトがある。例えば,飲食店と消 費者とのマッチングを図る飲食店検索サイト,あるいは宿泊施設と消費者とのマッチングを図る 宿泊予約サイトなどは,その典型例としてあげられるであろう。このようなマルチ・サイド・プ ラットフォームにおいては,2種類のネットワーク効果が働くことにより3),そのユーザーベー ス4)が次第に拡大していくことが指摘されている(Hagiu,24;根来,27)。そして,このよ うな特有の効果が存在するために,プラットフォーム型サイトでは,あるサイトのユーザー数が 急速に増加することや,特定のカテゴリーで圧倒的なユーザー数をもつサイトが登場することが しばしば起こりうる。

1)EC 化率の算出対象は物販分野の BtoC-EC であり,電話,FAX,E メール,相対(対面)等も含めた全ての 商取引金額(商取引市場規模)に対する EC 市場規模の割合を示している(経済産業省,2018)。

2)2017年のフリマアプリ市場規模は4,835億円と推計されており,対前年比で58.4% の伸びを示している (経済産業省,2018)。

3)ネットワーク効果とは,顧客がある製品・サービスを利用することで得られる効用が,当該製品・サービ スを利用するユーザー数が増えることにより,さらに高まるという効果である(Katz and Shapiro,1985)。 マルチ・サイド・プラットフォームでは,異なるユーザーグループ間での相互作用により,それぞれの ユーザー数の更なる拡大がもたらされる「サイド間ネットワーク効果」,並びに,あるサイドのユーザー数 が拡大することにより,同一サイドのユーザー数の更なる拡大がもたらされる「サイド内ネットワーク効 果」という2種類のネットワーク効果が働くことが指摘されている(Eisenmann, Parker, and van Alstyne, 2006;Hagiu,2014)。

4)本稿では,あるプラットフォームを利用するユーザーの総数を示す言葉として「ユーザーベース」を用い ている。

亜細亜大学経営論集 第54巻第1号(2018年9月) 26

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中川(2017)では,プラットフォーム型サイトの一例である飲食店検索サイトを対象として, 同サイトにおいて働いている2種類のネットワーク効果に対する消費者の知覚水準が,同サイト の知覚価値,信頼,e ロイヤルティ5)に対して,どのような影響を及ぼすのかについて検討した。 分析結果からは,2種類のネットワーク効果に対する消費者の知覚水準が高まると,サイトの知 覚価値やサイトの信頼に対して正の影響が及ぼされるとともに,これらを介してサイトの e ロイ ヤルティに対して間接的に正の影響が及ぼされることが確認された6)。また,e ロイヤルティの 直接的な先行要因としては,サイトの信頼が特に重要な影響を及ぼすことが確認された。ただ し,中川(2017)では,サイトのユーザーベースの拡大に伴うサイトの情報特性の変化により, サイトの知覚価値やサイトの信頼が高められることを仮定しているものの,サイトの情報特性が サイトの知覚価値やサイトの信頼に及ぼす影響については実証的に示していない。そこで,本稿 では,サイトのユーザーベースの拡大により影響を受けると考えられるサイトの情報特性とし て,情 報 の リ ッ チ ネ ス(information richness)お よ び 情 報 の ク レ デ ィ ビ リ テ ィ(information credibility)という2つの特性に注目し,これらの情報特性がサイトの知覚価値やサイトの信頼 に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。

先行研究

1 オンライン・トラストに関する先行研究 一般的に,信頼(trust)とは,他者の意図や行動に関する好ましい期待に基づいて,脆弱性 (vulnerability)を容認しようとする意図によって形成される心的状態と定義される(Rousseau et al.,1998)。信頼の定義は,上記以外にもその対象や文脈に応じて様々なものが示されている が,多くの定義において共通する要素としては,不確実性や脆弱性を受け入れることに関連した 一連の信念や傾向を示しており,他者を頼りにしようとする意思,他者に対する確信や好ましい 期待に関わるという点が指摘されている(Doney and Cannon,1997; Rousseau et al.,1998)。

マーケティング研究において,信頼概念は主に流通チャネルにおける売り手企業と買い手企業 の関係性に注目した関係性マーケティングの文脈において多くの研究が行われており,企業間の 長期協力的な関係性を維持するうえで信頼の重要性が指摘されている(Doney and Cannon, 1997; Dwyer, Schrr, and Oh,1987; Ganesan,1994; Morgan and Hunt,1994)。もっとも,このよ うな企業間の関係性だけではなく,企業と消費者の関係性あるいは製品・サービスと消費者の関

5)e ロイヤルティとは,あるeビジネスを繰り返し利用した購買行動を導く,当該 e ビジネスに対する好まし い顧客の態度と定義される(Anderson and Srinivasan,2003)。

6)具体的には,サイド間ネットワーク効果の知覚はサイトの知覚価値を介して e ロイヤルティに正の影響を 及ぼすこと,並びにサイトの知覚価値からさらにサイトの信頼を介して e ロイヤルティに正の影響を及ぼ すことが確認された。また,サイド内ネットワーク効果の知覚はサイトの信頼を介して e ロイヤルティに 正の影響を及ぼすことが確認された(中川,2017)。

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係性など,多様な文脈あるいは対象においても信頼概念の重要性は指摘されている(Beldad, de Jong, and Steehouder,2010; McKnight and Chervany,2002; Rousseau et al.,1998)。さ ら に 近 年 では,インターネットの利用拡大に伴い,オンライン上での取引やオンライン上のサービスを対 象とした信頼,すなわち,オンライン・トラスト(online trust)の重要性が指摘されるように なった7)。オンライン上での取引においては,取引に伴い顧客が感じる知覚リスクが,実店舗な どオフラインでの取引と比較して相対的に高く(Flavián and Guinalíu,2006;Rose, Khoo, and Straub,1999),この高い知覚リスクに対処するためには,オフラインにおける取引以上に,取引 相 手 や 提 供 さ れ る サ ー ビ ス に 対 す る 信 頼 が 重 要 な 役 割 を 果 た す た め で あ る(Flavián and Guinalíu,2006; Hong and Cho,2011; Walczuch and Lundgren,2004)。

これまでのオンライン・トラストを扱った研究を概観すると,その多くは BtoC-EC を対象に 行われており,それらの研究を大別すれば,オンライン・トラストが形成される先行要因を明ら かにする研究,並びにオンライン・トラストが消費者の行動に及ぼす影響を明らかにする研究と いう2つの分野に分類することができるであろう。そこで,以下では,これらの2つの枠組みに より先行研究を整理する。 (1)オンライン・トラストの先行要因

Beldad, de Jong, and Steehouder(2010)は,オンライン・トラストの先行要因に関する研究を レビューし,その先行要因を次の3つのカテゴリーに分類している。すなわち,第1に,顧客・ クライアントに基づく先行要因,第2に,ウェブサイトに基づく先行要因,第3に,企業・組織 に基づく先行要因である。本稿においても,これら3つの視点からオンライン・トラストの先行 要因を整理する。 第1は,顧客・クライアントに基づく先行要因である。これは個々の顧客の個人差要因に注目 するものといえる。代表的要因としては,消費者のオンライン取引の経験あるいはコンピュータ 関連のスキルに関する個人差があげられる。例えば,消費者のインターネットの利用経験の水準 と,EC サイトでの取引に対する信頼の間には正の相関関係がみられることが確認されている (Corbitt, Thanasankit, and Yi,2003)8)。また,消費者の生来的な信頼傾向の影響も指摘されてい る。あ る 対 象 に 対 す る 信 頼 の 水 準 に は 元 々 の 個 人 差 が 存 在 す る こ と が 指 摘 さ れ て い る が (Mayer, Davis, and Schoorman,1995),オンライン取引においても,取引相手や提供されるサー ビスに対する消費者の信頼の水準には,状況的要因によるものではない,元々の個人差が影響す ることが指摘されている(Gefen,2000; Salam et al.,2005)。

7)Bart et al.(2005)は,オフライン関係における伝統的な信頼概念とオンライン・トラストとの違いに関し て,その対象の違いを指摘しており,オンライン・トラストはウェブサイト,インターネットあるいはテ クノロジー等を対象とした信頼であることを指摘している。なお,本稿ではオンライン上のサービス全般 に対する包括的な意味での信頼概念を用いる場合に「オンライン・トラスト」と表記している。

8)ただし,Aiken and Bousch(2006)は,インターネットの利用経験とオンライン・トラストの間には逆 U 字の関係がみられることを指摘している。

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第2には,ウェブサイトに基づく先行要因である。これはウェブサイトの機能や特性に関わる ものである。代表的要因としては,サイトの知覚された使用容易性(perceived ease of use)が あげられる。例えば,サイト上の効果的なナビゲーションによって,消費者が必要とする情報に 到達しやすい場合には,消費者は当該サイトの使用容易性を高く知覚するとともに,サイトの使 用容易性がサイトの信頼を高めることが複数の研究において確認されている(Bart et al.,2005; Flavián, Guinalíu, and Gurrea,2006; Koufaris and Hampton-Sosa,2004)。また,サイトの情報の 質(information quality)もまた,オンライン・トラストの先行要因として指摘されている(Kim, Ferrin, and Rao, 2008; Liao, Palvia, and Lin, 2006; Wang et al., 2009)。Liao, Palvia, and Lin (2006)は,EC サイトの情報の質を,情報の有用性,完全性,明瞭さ,時事性,簡潔さ,正確 さという次元により捉え,サイトの情報の質が e リテーラーに対する信頼に正の影響を及ぼすこ とを確認している。さらに,オンライン取引においては,消費者が取引に伴うセキュリティやプ ラ イ バ シ ー に 関 す る リ ス ク を 感 じ る こ と が 指 摘 さ れ て お り(Hoffman, Novak, and Peralta, 1999;Wang, Lee, and Wang,1998),サイト上でのセキュリティやプライバシーを確保すること がオンライン・トラストに正の影響を及ぼすことも複数の研究において確認されている(Kim, Ferrin, and Rao,2008;McKnight, Choudhury, and Kacmar,2002;Wu et al.,2012)。

第3は,企業・組織に基づく要因である。この要因としては,まず企業や組織のレピュテー ションがあげられる。このレピュテーションとは,あるコミュニティのメンバーによる推薦や評 価に基づく信頼性の集合的指標を意味する(Jøsang, Ismail, and Boyd,2007)。EC サービスの事 業者あるいはサイトに対するレピュテーションが,オンライン・トラストに正の影響を及ぼすこ と は 複 数 の 研 究 に お い て 確 認 さ れ て い る(Eastlick, Lotz, and Warrington,2006; Jarvenpaa, Tractinsky, and Vitale, 2000; Kim, Ferrin, and Rao, 2008; McKnight, Choudhury, and Kacmar, 2002)。また,実店舗とオンライン・チャネルの双方を有する小売企業の場合には,実店舗での 小売企業との関わりの中で築かれた信頼(オフライン・トラスト)が,オンライン・トラストに 対して正の影響を及ぼすことが確認されている(Kuan and Bock,2007)。

なお,オンライン・トラストが形成される段階に注目し,各段階において,いかなる要因がオ ン ラ イ ン・ト ラ ス ト の 主 な 先 行 要 因 に な り う る か を 指 摘 し た 研 究 も あ る。McKnight, Choudhury, and Kacmar(2000)は,オ ン ラ イ ン・ト ラ ス ト が 形 成 さ れ る 段 階 を 探 索 段 階 (exploration stage)とコミットメント段階(commitment stage)の2段階に分けており,探索段 階は消費者が実際にはオンライン上での取引を行っていない段階であるため,この段階では個人 が持つ元々の信頼傾向,企業や組織のレピュテーション,あるいは第三者による保証や推薦と いった要因がオンライン・トラストに影響を及ぼすとし,コミットメント段階においては,消費 者はオンライン上での取引を実際に行っていることから,消費者の個々の経験に基づいてオンラ イン・トラストが形成されることを指摘している。 (2)オンライン・トラストの影響 次に,オンライン・トラストが形成される結果,消費者の態度や行動にどのような影響が及ぼ 情報のリッチネスと情報のクレディビリティがサイトの信頼に及ぼす影響 29

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されるのかについて先行研究を整理する。

消費者の知覚や態度に対する影響に関しては主に次の研究が示されている。まず,オンライ ン・トラストは,オンライン取引に際して消費者が感じる知覚リスクを低下させることが複数の 研 究 に お い て 確 認 さ れ て い る(Dash and Saji,2007; Jarvenpaa, Tractinsky, and Vitale,2000; Kim, Ferrin, and Rao,2008)9)。また,オンライン・トラストがオンライン上での購買行動に対す る消費者の態度に正の影響を及ぼすことも確認されている(Jarvenpaa, Tractinsky, and Vitale, 2000)。

また,消費者の意図や行動に対する影響としては,オンライン・トラストが高まると,消費者 は取引に際して,EC 事業者に対して自身の個人情報を提供しようとする意図が高まることが確 認されている(Wu et al.,2012)。また,オンライン・トラストは,直接的に消費者の購買意図 を高めることも複数の研究において確認されている(Dash and Saji,2007; Gefen,2000; Hong and Cho, 2011 ; Hsiao et al. , 2010 ; Kim, Ferrin, and Rao, 2008 ; McKnight, Choudhury and Kacmar,2002; Oliveira et al.,2017)。この点について,Gefen(2000)は,オンライン・トラス トが形成されることにより,消費者は e リテーラーが機会主義的行動をとらないであろうという 信念を高めるために,EC サイト上での購買意図が高まることを指摘している。さらに,あるサ イトに対して信頼が形成されると,当該サイトに対する消費者のロイヤルティが高まることも複 数 の 研 究 に お い て 確 認 さ れ て い る(Flavián and Guinalíu,2006; Flavián, Guinalíu, and Gurrea, 2006; Hong and Cho,2011)。

2 情報のリッチネスに関する先行研究

本稿で注目した第1のサイト情報の特性が,情報のリッチネス(information richness)である。 情報のリッチネスとは,ある時間的間隔においてユーザーの理解を変化させる情報の能力を示す 概念である(Daft and Lengel,1986)10)。ユーザーが,ある情報を利用することにより,適時にあ る事柄の曖昧さ(多義性)を明瞭にでき,かつ,その対象についての理解の水準が高まるとすれば, その情報はリッチネスが高いものであると捉えられる(Daft and Lengel,1986; Oh et al.,2009)。また, 情報のリッチネスの先行要因としては,フィードバックの能力(feedback capacity),複数の手が かり(multiple cues),言語の多様性(language variety),パーソナライゼーション(personalization) が指摘されてきた(Daft and Lengel,1986; Levy and Gvili,2015)11)。ただし,EC サイトやデジ タルメディアを対象とする研究においては,これらに加えて,製品情報の多様性および製品比較

9)オンライン・トラストが取引に伴う知覚リスクを低下させる結果,その知覚リスクの低下を介して,間接 的 に 消 費 者 の 購 買 意 図 を 高 め る こ と は 複 数 の 研 究 に お い て 確 認 さ れ て い る(Dash and Saji,2007; Jarvenpaa, Tractinsky, and Vitale,2000; Kim, Ferrin, and Rao,2008)。

10)一般的に,情報のリッチネスは,コミュニケーション媒体の選択を説明するための概念として用いられて おり,人は曖昧なタスクに従事する際には,リッチネスが高いコミュニケーション媒体を選択する傾向に あるとされている(Daft and Lengel,1986; Oh et al.,2009)。

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の程度(Oh et al.,2012),あるいはリアルタイムでのデータの保存能力(Levy and Gvili,2015) といった要因も情報のリッチネスを高める要因であるとの指摘がなされている。

近年の研究では,サイトの情報のリッチネスが,消費者の情報探索行動や購買行動に対して重 要な影響を及ぼすことが確認されている(Oh et al.,2009; Shiau and Yeh,2012)。Oh et al.(2009) は,EC サイトに対する消費者の態度および利用意図を説明する先行変数として情報のリッチネ スを導入しており,彼らの分析結果からは,サイトの情報のリッチネスは,EC サイトの有用性 (usefulness)および楽しさ(playfulness)に対して正の影響を及ぼし,これらを介して EC サイ トに対する態度および利用意図に正の影響を及ぼすことを確認している。また,Shiau and Yeh (2012)は,サイトの情報のリッチネスが,サイトの実利的価値および快楽的価値に正の影響を 及ぼし12),これらを介して当該サイト上での購買意図を高めることを確認している。さらに, Levy and Gvili(2015)は,消費者が e クチコミを取得するチャネルの相互作用性(interactivity) が高まれば,当該チャネルにおける情報のリッチネスが高められ,さらに情報のリッチネスの向 上は e クチコミのクレディビリティを高めることを確認している。

3 情報のクレディビリティに関する先行研究

本稿で注目した第2のサイト情報の特性が,情報のクレディビリティ(information credibility) である。情報のクレディビリティとは,ある情報がどの程度信用できるものとして知覚されるの かその程度を示すものと定義される(Li and Suh,2015; McKnight and Kacmar,2007)。情報の 受け手は,信用していない情報に対しては注意を払おうとしないために(Gaziano,1988),メ ディア間の競争においては,情報のクレディビリティが重要な影響を及ぼすことが指摘されてい る(Li and Suh,2015; Mackay and Lowrey,2011)。なお,情報のクレディビリティは,信頼と 関連性が高い概念であると考えられるが,次のような識別が指摘されている。信頼は,ある対象 に対する知覚された信頼性(reliability),頼もしさ(dependability),確信(confidence)につい ての好ましい信念に関わるものであるのに対して,情報のクレディビリティは,情報そのものが どの程度信用できるものであるのかを示す概念である(Tseng and Fogg,1999)。このような識 別に基づけば,信頼はその対象が必ずしも限定されていないのに対して,クレディビリティの対 象は情報あるいは情報源に限定されているといえる。また,先述の通り,信頼は不確実性や脆弱 性を受け入れることに関連した一連の信念や傾向に関わる概念である。情報のクレディビリティ が高いことは意思決定に伴う不確実性を低減させる一要因といえるが,意思決定に伴う不確実性 11)例えば,対面でのコミュニケーションは,パーソナルなものであり,自然言語で表される内容だけでな く,声のトーンや身体言語など複数の手がかりが含まれており,さらに即座のフィードバックにより互い の解釈を確認することも可能であるため,情報のリッチネスがきわめて高いものであると指摘されている (Daft and Lengel,1986)。

12)実利的価値とは,タスク関連的,合理的なものであり,製品・サービスの機能的・必需的・実用的側面を 反映するものである。他方,快楽的価値とは,より主観的,個人的なものであり,製品・サービスにより 喚起される感情や情緒を反映するものである(Shiau and Yeh,2012)。

(8)

の低下はその他の要因によってももたらされるため,信頼はクレディビリティと比較して,より 広義の概念として捉えることができるであろう。

次に,情報のクレディビリティの先行要因やその影響について整理する。インターネットの普 及初期における研究としては,インターネットという情報源それ自体のクレディビリティが注目 されていた。Flanagin and Metzger(2000)は,インターネットの利用経験と情報源としてのイ ンターネットのクレディビリティの知覚には,正の相関関係があることを確認している。つま り,インターネットの利用経験が増すとともに,利用者はインターネットという情報源をよりク レディビリティの高い情報源として知覚することが確認されている。一方で,インターネット上 で提供される個々の情報のクレディビリティに注目する研究としては主に次のものがあげられ る。McKnight and Kacmar(2006,2007)は,情報取得者が取得した情報のクレディビリティを 高く知覚すると,同情報の意見を採用する意向が高まることを確認している。また,Li and Suh (2015)は,媒体の相互作用性,媒体の透明性,主張の強度が情報のクレディビリティの先行要 因になることを確認している。 4 先行研究における本稿の位置づけ 本稿は,オンライン・トラスト研究において,オンライン・トラストの先行要因とその影響を 扱うものとして位置づけられる。また,オンライン・トラストの先行要因の中でもウェブサイト に基づく先行要因を扱うものであり,特に先行要因としての情報の質に関連するものといえる。 この点に関する先行研究の課題としては,オンライン・トラストの先行要因となる情報の質が 複数の要素から構成されることが指摘されているものの,それらの構成要素間の関係性について は必ずしも明らかにされていないことを指摘できる。それらの関係性を把握することは,情報の 質がいかなるメカニズムによってオンライン・トラストを高めるのかを理解するうえで有用であ ると考えられる。そこで,本稿では,情報の質を構成する要素の一部としても捉えることができ る情報のリッチネスおよび情報のクレディビリティという2つの情報特性に注目し13),これらが どのような関係性のもと,いかなる影響をサイトの信頼に対して及ぼすのかについて,より精緻 な理解を得ることを試みたい。

13)Wang and Strong(1996)は情報の質を構成する各次元について,情報の正確性,客観性に関わる「内在 的側面」,あるタスクに関連した情報の目的適合性,完全性,時事性に関わる「文脈的側面」,情報の表現 方法による理解の容易さ,簡潔さ,表現の一貫性に関わる「表現的側面」,情報に対する「アクセス可能 性」という4つの次元から捉えている。これらの4つの次元はサイト情報の特性に関する分類としても妥 当するものと考えられ,本稿で注目した情報特性である情報のリッチネスは,情報の「文脈的側面」に関 するものであり,また情報のクレディビリティは,情報の「内在的側面」に関するものといえる。 亜細亜大学経営論集 第54巻第1号(2018年9月) 32

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仮説の設定

プラットフォーム型サイトではユーザーベースの拡大に伴い,サイト上でユーザーから発信さ れる情報の多様性が増すとともに,サイト上におけるユーザー間の相互作用性が高まるものと考 えられる14)。それゆえ,ユーザーベースの拡大により直接的には情報のリッチネスが高められる と考えられる。そこで,本稿では,情報のリッチネスによる影響を起点として仮説モデルを検討 していく。 まず,情報のリッチネスと情報のクレディビリティの関係性について検討する。プラット フォーム型サイトにおいては,ユーザーベースの拡大に伴いユーザー間の相互作用性が向上する 結果,サイト上で提供される情報の曖昧さ(多義性)が低下することが考えられる15)。特に, 個々の消費者が投稿するクチコミ情報は,消費者の主観的評価にすぎず,それらの評価間の一貫 性は必ずしも高いとはいえないが,サイト上での消費者間の相互作用性が高まることにより,あ る製品・サービスに対する消費者の評価の一貫性は次第に高まっていくことが考えられる16)。ま た,消費者のレビュー間の一貫性が高まることは,同情報のクレディビリティに正の影響を及ぼ すことが確認されている(Cheung, Sia, and Kuan,2012)。さらに,e クチコミを対象とした研究 においては,情報のリッチネスが,情報のクレディビリティに対して正の影響を及ぼすことを確 認した研究も示されている(Levy and Gvili,2015)。したがって,情報のリッチネスは,情報の クレディビリティを高めると考えられる。 次に,情報のリッチネスとサイトの知覚価値の関係性について検討する。知覚価値とは,製 品・サービスから得られるベネフィットとそれを得るために消費者が費やす様々な犠牲の大きさ との比で捉えられる概念である(Zeithaml,1988;小野,2010)。つまり,知覚価値は,消費者が 製品・サービスに対して投じる様々な金銭的・非金銭的コストに対して,得られるベネフィット の高さを示すものといえる。消費者があるサイトを利用して製品・サービスを評価・選択する際 14)先述の通り,製品情報の多様性は情報のリッチネスの先行要因になりうることが指摘されており(Oh et al.,2012),またコミュニケーション媒体における相互作用性は,情報のリッチネスを高めることが確認さ れている(Levy and Gvili,2015)。なお,本稿では,プラットフォーム型サイト上への投稿内容に対する他 のユーザーからの更なるコメントなど直接的なメッセージのやりとりのみならず,例えば,投稿内容に対 する評価を行う機能など,情報のリッチネスに影響を及ぼしうるユーザーの行動も含めてユーザー間の相 互作用と呼んでいる。 15)ユーザー間の相互作用により,サイト上で提供される情報が多様になる結果,短期的には情報の多義性が 増すことも考えられるが,長期的にみた場合には,店舗などある対象に対するユーザーの評価は次第に収 斂していき,多義性は低下するものと考えられる。 16)プラットフォーム型サイトの中には,供給者たる企業が主導して情報が提供されている供給者主導型のサ イトと消費者が主導して情報が生成されている消費者主導型のサイトが存在すると考えられるが(中川 2017),消費者間の相互作用性の向上が消費者による評価間の一貫性を高めるという関係性は,消費者主導 型のサイトにおいて特に強くみられるものと考えられる。 情報のリッチネスと情報のクレディビリティがサイトの信頼に及ぼす影響 33

(10)

には,サイト上での情報探索に伴い負担する情報探索コストに比して,当該サイトから得られる ベネフィットが高まれば,サイトの知覚価値は高まるものと考えられる。この観点から考える と,サイトの情報のリッチネスが高まれば,消費者が利用可能な情報は多様化し,またその情報 の曖昧さが低下するために,消費者ニーズによりよく適合した選択代替案が選択される可能性が 高まるといえる。それゆえ,消費者が知覚する当該サイトのベネフィットは高まるであろう。ま た,ある媒体の情報のリッチネスが高まると,消費者の当該媒体を利用した情報探索の容易さが 高まることも確認されている(Maity, Dass, and Kumar,2018)。したがって,情報のリッチネス は,サイトの知覚価値を高めると考えられる。 さらに,情報のリッチネスは,サイトの信頼を直接的に高める可能性も考えられる。情報の リッチネスが高まることにより,製品・サービスを評価するうえでの利用可能な情報が多様化 し,その情報の曖昧さが低下すれば,消費者は当該サイトを利用した製品・サービスの選択に伴 う不確実性をより低く知覚すると考えられるからである。以上の検討から次の3つの仮説を設定 する。 H1:情報のリッチネスは,情報のクレディビリティに対して正の影響を及ぼす H2:情報のリッチネスは,サイトの知覚価値に対して正の影響を及ぼす H3:情報のリッチネスは,サイトの信頼に対して正の影響を及ぼす 次に,情報のクレディビリティとサイトの知覚価値の関係性について検討する。情報のクレ ディビリティが高まることにより,消費者は,より確信をもって各選択代替案を評価したうえ で,製品・サービスの選択に至ることができるであろう。また,消費者は,信頼できる情報源か らのメッセージについては,そのメッセージを精査する程度が低下することが確認されている (Priester and Petty,2003)。それゆえ,情報のクレディビリティが高まると,サイト上での情報 探索に際して消費者が負担する情報探索コストは低下すると考えられる。したがって,情報のク レディビリティは,サイトの知覚価値を高めると考えられる。 また,情報のクレディビリティとサイトの信頼の関係性については,情報のクレディビリティ はサイトの信頼を高めると考えられる。なぜなら,消費者がサイト上で提供される情報のクレ ディビリティを高く知覚するほど,消費者は当該サイトを利用した製品・サービスの選択に伴う 不確実性をより低く知覚すると考えられるからである。以上の検討から次の2つの仮説を設定す る。 H4:情報のクレディビリティは,サイトの知覚価値に対して正の影響を及ぼす H5:情報のクレディビリティは,サイトの信頼に対して正の影響を及ぼす サイトの知覚価値とサイトの信頼の関係性であるが,サイトの知覚価値が高まれば,消費者が 亜細亜大学経営論集 第54巻第1号(2018年9月) 34

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情報の クレディビ リティ サイトの 知覚価値 情報の リッチネス H1 H5 H2 H6 H4 H3 サイトの 信頼 負担する金銭的・非金銭的コストに比して,消費者は高いベネフィットを得られると知覚するた めに,当該サイトのパフォーマンスについての確信の程度も高まることが考えられる。また,オ ンライン・サービスの知覚価値が同サービスに対する信頼を高めるという関係性は複数の研究に おいて確認されているが(Harris and Goode,2004;He, Li, and Harris,2012;中川,2017),本稿 の仮説モデルにおいても同様の関係性が認められるかを改めて検証を行う。したがって,次の仮 説を設定する。 H6:サイトの知覚価値は,サイトの信頼に対して正の影響を及ぼす 以上の仮説の関係性は図1で示される仮説モデルとして表される。次に同モデルの経験的妥当 性について調査データにより検証を行っていく。

経験的妥当性の検証

1 検証方法 (1)調査の対象者 設定された仮説を検証するために,マーケティング調査会社のモニターに対するオンライン調 査を実施した。本稿では,プラットフォーム型サイトの代表例として飲食店検索サイトを選択 し,その中でも日本において最も月間利用者数の多い「食べログ」を主に利用している利用者を 対象に調査を実施した17)。はじめに調査対象者を絞り込むためのスクリーニング調査を実施し た。調査対象者は実際に飲食店検索サイトの利用経験が一定以上あることが求められるため,日 本全国に住む20代から60代までの男女に対して,飲食店検索サイトの利用頻度に関する質問を 17)本稿では消費者間の相互作用性の向上がサイト情報のクレディビリティに影響を及ぼすことを仮説の根拠 の1つとしているため,このような関係性を検証するうえでは,消費者主導型サイトが調査対象として適 切であると判断し,その代表例である「食べログ」を主に利用している利用者を調査対象として選択した。 図1 本稿の仮説モデル 情報のリッチネスと情報のクレディビリティがサイトの信頼に及ぼす影響 35

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行った。具体的なスクリーニング条件は,過去1ヶ月以内に飲食店検索サイトを利用して飲食店 を選んだ経験が3回以上あることとした。さらに,過去1ヶ月以内に最も利用頻度が多かった飲 食店検索サイトについて回答を求め,同質問に対して「食べログ」を選択した回答者を抽出し, 本調査を実施した18)。その結果,最終的に33名の回答結果が分析対象とされた19) (2)測定尺度 測定尺度は先行研究において採用された測定尺度を参考として,本稿の調査対象に即するよう に作成したものを用いた。各構成概念を測定するために用いた具体的な質問項目は表1で示す通 りである。 まず,情報のリッチネスは,Oh et al.(2009)を参考として作成した3項目により測定してい る。情報のクレディビリティは,Li and Suh(2015)を参考として作成した3項目により測定し ている。サイトの知覚価値は小野(2010)および Parasuraman, Zeithaml, and Malhotra(2005) を参考として作成した3項目により測定している。サイトの信頼は Anderson and Srinivasan (2003)を参考として作成した3項目により測定している。情報のリッチネス,情報のクレディ ビリティ,サイトの信頼,これら3つの構成概念の測定に関わる質問項目については,各質問項 目について「全くそう思わない」から「非常にそう思う」までの7段階のリッカート尺度により 測定している。また,サイトの知覚価値の測定に関わる質問項目については,「非常に劣ってい る」から「非常に優れている」までの評価を求める形式により7段階のリッカート尺度により測 定している。 各尺度の信頼性を確認するために,Cronbach のα 係数を算出したところ,全ての変数で一般 的に基準とされる.70以上の値であり,各測定尺度の信頼性は十分に高いことが確認された 18)調査は2017年4月28日から4月29日にかけて行われた。 19)サン プ ル の 男 女 比 は,男 性 が48.6%(157名),女 性51.4%(166名)で あ っ た。ま た,各 年 代 の 比 率 は,20代 が19.2%(62名),30代 が22.9%(74名),40代 が20.1%(65名),50代 が19.8%(64名),60 代が18.0%(58名)であった。 表1 測定尺度の一覧 構成概念 質問項目 α 係数 AVE 平均 標準偏差 情報のリッチネ ス X1:全体として,このサイトは豊富な情報を提供している X2:このサイトは多様な飲食店の情報を提供している X3:このサイトは様々な方法で飲食店の情報を提供している .790 .570 4.95 5.00 4.70 .951 .986 .987 情報のクレディ ビリティ X4:私はこのサイト上の情報は信頼できると思う X5:私はこのサイト上の情報は事実に基づくものであると思う X6:私はこのサイト上の情報を信じることができる .883 .716 4.58 4.50 4.58 1.026 .960 1.013 サイトの知覚価 値 X7:このサイトを利用するために,あなたが投じた金銭的費用や 労力に対してあなたが得られた全体的な価値 X8:このサイトを利用するために,あなたが支払った金銭的費用 に対してサイトの品質が見合っている程度 X9:競合する飲食店検索サイトと比較した,このサイトのお得感 .847 .656 4.78 4.69 4.63 .987 1.005 1.030 サイトの信頼 X10:飲食店を選ぶために,このサイトは信頼できる X11:私はこのサイトのパフォーマンスを良いものだと信用できる X12:このサイトのパフォーマンスは私の期待に達している .832 .624 4.63 4.65 4.62 1.067 .934 .985 亜細亜大学経営論集 第54巻第1号(2018年9月) 36

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(Nunnally,1978)。また,各測定尺度の収束妥当性については,各潜在変数から観測変数への因 子負荷量および Average Variance Extracted(AVE)によって判断した。各潜在変数から観測変 数への因子負荷量については.70を上回っていることが一般的に基準とされるが(Bagozzi and Yi,1988; Fornell and Larcker,1981),この点について情報のリッチネスに関しては かに.70を 下回っているものがみられたが,他に関しては全て基準を上回っていた。また,AVE に関して は,すべての潜在変数において基準とされる.50を上回っていることを確認した(Fornell and Larcker,1981)。したがって,本稿で用いた測定尺度は良好な収束妥当性を有していると判断で きる。さらに,弁別妥当性の確認としては,潜在変数間の相関パラメータを1.0に固定し,潜在 変数間に完全な相関関係を課した制約モデルのχ2値と,潜在変数間の相関に制約を課さない非 制約モデルのχ2値を算出し,これらのχ値の差異を確認したところ,制約モデルと非制約モデ ルのχ2値差は0.01% 水準で有意であった。したがって,本稿で用いた測定尺度は十分な弁別妥 当性を有すると判断できる(Anderson and Gerbing,1988; Segars,1997)。以上より,本稿で用 いた測定尺度の信頼性および妥当性は基準を満たしていると判断できる。

2 仮説の検証結果

仮説検証にあたっては,全サンプルを用いて,最尤推定法による構造方程式モデリングを用い て分析を行った。まず,分析モデルに対するデータの適合度を示す指標(χ/df.=2.82, GFI=. 935, AGFI=.894, CFI=.962, RMSEA=.076)は,AGFI がやや.90を下回っているものの,他の指 標と併せて判断すれば仮説モデルは良好な適合度を有するといえる(Bagozzi and Yi,1988; Hair et al.,2009)。 そこで,このデータに基づいて仮説検証を行った。まず,情報のリッチネスは,情報のクレ ディビリティに対して有意な正の影響を及ぼしており(β=.707,p<.001),また知覚価値に対 しても有意な正の影響を及ぼしており(β=.405,p<.001),さらにサイトの信頼に対しても有 意な正の影響を及ぼしており(β=.233,p<.01),H1,H2,H3は全て支持された。次に,情 報のクレディビリティは,サイトの知覚価値に対して有意な正の影響を及ぼしており(β=.394, p<.001),またサイトの信頼に対しても有意な正の影響を及ぼしており(β=.580,p<.001),H 4および H5は支持された。さらに,サイトの知覚価値はサイトの信頼に対して有意な正の影響 を及ぼしており(β=.184,p<.01),H6も支持された。以上より,本稿で設定した仮説はすべ て支持されたといえる。

考察

本稿の目的は,プラットフォーム型サイトのユーザーベースの拡大に伴い影響を受けると考え られるサイトの情報特性として,情報のリッチネスと情報のクレディビリティに注目し,これら 2つの情報特性がサイトの知覚価値やサイトの信頼に及ぼす影響を明らかにすることであった。 情報のリッチネスと情報のクレディビリティがサイトの信頼に及ぼす影響 37

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X8 X11 e8 X9 e9 X7 e7 X5 e5 X6 e6 X4 e4 e11 X12 e12 X10 e10 X2 e2 X3 e3 X1 e1 情報の クレディビ リティ サイトの 知覚価値 情報の リッチネス サイトの 信頼 .839*** .811*** .715*** .876*** .876*** .810*** .851*** .823*** .859*** .745*** .697*** .677*** CMIN/DF: 2.852 GFI: .935 AGFI: .894 CFI: .962 RMSEA: .076 ***=.1%水準で有意,**=1%水準で有意,*=5%水準で有意, .394*** .405*** .184** .580*** .707*** .233** 分析結果からは,情報のリッチネスは,情報のクレディビリティ,サイトの知覚価値,サイトの 信頼のそれぞれに対して有意な正の影響を及ぼすことが確認された。また,情報のクレディビリ ティおよびサイトの知覚価値はそれぞれサイトの信頼に対して有意な正の影響を及ぼすことが確 認された。それゆえ,サイトの情報のリッチネスの向上は直接的にも,また間接的にもサイトの 信頼を高めることが確認されたといえる。ただし,その程度については,直接的な影響よりも間 接的な影響がより大きく,特に情報のクレディビリティを介した間接的な影響が大きいことが示 された。また,サイトの信頼の直接的な先行要因としても,情報のクレディビリティが最も大き な影響を及ぼすことが確認された。したがって,プラットフォーム型サイトの信頼を高めるうえ では,サイト情報のリッチネスの向上を情報のクレディビリティの向上に効果的につなげるため の仕組みが備わっていることが鍵になるものと考えられる。 表2 分析結果と仮説検証のまとめ 仮説 独立変数 従属変数 β 仮説検証結果 H1 H2 H3 H4 H5 H6 情報のリッチネス 情報のリッチネス 情報のリッチネス 情報のクレディビリティ 情報のクレディビリティ サイトの知覚価値 → → → → → → 情報のクレディビリティ サイトの知覚価値 サイトの信頼 サイトの知覚価値 サイトの信頼 サイトの信頼 .707*** .405*** .233** .394*** .580*** .184** 支持 支持 支持 支持 支持 支持 ***=.1% 水準で有意,**=1% 水準で有意,=5% 水準で有意 図2 仮説モデルの分析結果 亜細亜大学経営論集 第54巻第1号(2018年9月) 38

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情報のリッチネスの向上を情報のクレディビリティの向上に効果的につなげるための仕組みと しては,サイトの情報の正確性やその有用性を第三者が客観的に評価する仕組みが有用であると 考えられる。例えば,既に多くのサイトで提供されているが,消費者による製品・サービスのレ ビューに対して,他の消費者がそのレビューの有用性を評価してサイト上で示す機能や,レ ビューを投稿している評価者自体の信頼性を,他のユーザーが評価する機能などが具体例として あげられるであろう。また,プラットフォーム提供者がサイト上の情報を確認し,その客観性や 正確性をある程度担保することも併せて重要であると考えられる。したがって,プラットフォー ム型サイトの提供者が,サイトに対する消費者の信頼を高めていくためには,上記のような仕組 みを設けることにより,サイト情報のクレディビリティを高めていくことが肝要といえるであろ う。

おわりに

本稿の主な学術的貢献は,プラットフォーム型サイトのユーザーベースの拡大に伴い影響を受 けると考えられるサイトの情報特性が,どのような関係性のもとで,いかなる影響をサイトの信 頼に対して及ぼすのかについて,情報のリッチネスと情報のクレディビリティという2つの概念 を導入することにより明らかにできたことである。また,これまでの研究では,オンライン・ト ラストの先行要因として,サイトの情報の質が指摘されてきたものの,情報の質がどのような関 係性のもとでオンライン・トラストの向上につながるのかについては必ずしも明確ではなかった が,この点に関してもより精緻な理解を得られたと考えている。 次に,本稿の実務的貢献としては,分析結果に基づいて,プラットフォーム型サイトに対する 消費者の信頼を高めていくために,とるべき方策について具体的示唆を示せた点である。先述の 通り,サイトの信頼を高めるためには,情報のリッチネスの向上を情報のクレディビリティの向 上に効果的につなげるための仕組みが重要な役割を果たすものと考えられるため,先に示したよ うな仕組みがサイト上に設けられることの重要性が示唆された。 最後に,本稿の限界と今後の課題を示す。本稿では,飲食店検索サイトの中でも消費者主導型 のサイトについてのみ分析対象としており,飲食店主導型のサイトなど特性が異なる飲食店検索 サイトについては分析を行っていない。特性の異なる飲食店検索サイトにおいても本稿のモデル の妥当性を検証する必要がある。また,プラットフォーム型サイトとしては飲食店検索サイト以 外にも多数のカテゴリーのサイトが存在するため,他のカテゴリーのプラットフォーム型サイト においても,同様の関係性が確認されるのかについて更なる検証を行っていくことも必要であ る。また,本稿の分析においては,消費者の個人差要因がモデルの関係性に及ぼす影響について は検討できていない。どのような個人差要因が本稿で示したモデルに影響を及ぼしうるのかを検 討したうえで,消費者の個人差要因を加味した分析を行うことにより,本稿のモデルが妥当性を もつ範囲を吟味していくことも今後の重要な課題であると考えられる。 情報のリッチネスと情報のクレディビリティがサイトの信頼に及ぼす影響 39

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謝辞

本稿は,日本フードサービス学会第13回研究助成を受けて行われた研究過程において実施さ れた第2回調査のデータに基づくものです。この場をお借りして,日本フードサービス学会に厚 く御礼を申し上げます。

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