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小学生を指導するコーチの現状調査 : 沖縄県のコーチング講習会参加者を対象に: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

小学生を指導するコーチの現状調査 : 沖縄県のコーチン

グ講習会参加者を対象に

Author(s)

石原, 端子

Citation

沖縄大学人文学部紀要(22): 61-68

Issue Date

2019-03

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/23888

Rights

沖縄大学人文学部

(2)

〈調査報告書〉

小学生を指導するコーチの現状調査

― 沖縄県のコーチング講習会参加者を対象に ―

 

石原 端子

要 約  本研究の目的は,沖縄県内で小学生を指導するコーチのコーチングの現状と課題 を整理することであった。コーチ 189 名に質問紙調査を実施した結果,コーチの悩 みは 4 つのカテゴリー(コーチング,コーチ,保護者,環境整備)に分かれ,その 悩みの根底には,コーチの役割への過重負担感があると推測された。その問題を解 決するための手順として,まずは,チーム内で,コーチのサポート環境を整備する ための方略を話し合う機会をつくることを提案した。 キーワード:小学生,コーチ,コーチング,沖縄 1.はじめに  日本のスポーツ界は,2012 年に起きた桜宮高校体罰事件をきっかけに,その古い体質や体制 を刷新しようとする流れが始まった。  例えば,2013 年に設置された「スポーツ指導者の資質能力向上のための有識者会議(タスク フォース)」では,新しい時代にふさわしいコーチを「自らが競技者やスポーツそのものの未来 に責任を負っていることを常に自覚して活動する主体である」,そしてコーチングを「競技者や スポーツそのものの未来に責任を負う社会的な活動である」と定義した(文部科学省,2013)。 その上で,コーチに求める役割について「単に指導対象者のパフォーマンス向上や健康 ・ 体力の 維持増進を支えるだけにとどまらず,スポーツを 通じた総合的な人間力の向上(人格形成),さらに はスポーツの意義と価値を守り育て未来へ継承し ていくといった広範囲にわたる」(日本体育協会, 2016)とし,コーチ自らが,その資質能力を向上 させていくことを求めている。  具体的には,グッドコーチに求められる資質能 力を,思考・判断,態度・行動,知識・技能から 形成されるとし,それらの概念を同心円状の図で 示した(図1)。円の中心には,自分自身のコーチ ングを形作る「思考・判断」を核として位置づけ, 次にプレーヤーや社会との良好な関係を築くため に必要な資質能力となる「態度・行動(対自分力, 図1.「グッドコーチに求められる資質能力」

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対他者力)」を置き,それらを総称して「人間力」と明示した。そしてスポーツ指導を行ううえ で必要となるスポーツ医科学の「知識・技能」を,最後に位置づけた。  これらは,スポーツ基本法(2011)に明示された「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営 むことは,全ての人々の権利であり,全ての国民がその自発性の下に,各々の関心,適性等に応 じて,安全かつ公正な環境の下で日常的にスポーツに親しみ,スポーツを楽しみ,又はスポーツ を支える活動に参画することのできる機会が確保されなければならない」とする理念を具現化 しようとする流れである。ところがその一方で,スポーツ界のハラスメント事案は跡を絶たず, 5 年を経た現在においても「日本のスポーツ界最大の危機」(下村,2013)状態は続いている。 2018 年 11 月 28 日には,沖縄でも「サッカーチームの監督が小学生 2 人の頭を蹴り傷害疑い で書類送検」の見出しで記事が載った(琉球新報,2018)。コーチングの現場ではいったい何が 起こっているのだろうか。  Lewin(1935)は,人間の行動は人と環境の関数であるとし,そのことを数式「Behavior = f (Person × Environment)」によって表した。よって,コーチの行動も,個人と環境の 2 要因 から成立しているということになる。つまり,「Person(人)」にあたるコーチの人間力の変化 を期待するだけでなく,コーチをとりまく環境を理解し,その変化を促すことによりコーチの「行 動」を変えることもできるはずである。とりわけ児童期は,多くの子ども達が習い事としてスポー ツを始める時期であり(笹川スポーツ財団,2017),コーチは,安全で楽しいスポーツができる 環境づくりの役割を担う。またそこでのグッドコーチとの出会いは,その後のスポーツ継続にも 多大な影響を及ぼす。  そこで本研究では,沖縄県内で小学生を指導するコーチを対象に,そのコーチングの現状と課 題を整理することを目的とした。 2.方法 1)調査対象者および調査期間  調査対象者は,2015 年度から 2018 年度にかけて, 沖縄県,各市町村教育委員会,および沖縄県体育協会 が主催する指導者講習会への参加者のうち,小学生を コーチング対象にしている参加者 189 名であった。  質問紙調査は,事前に講習会の主催者の許可を得た 上で,筆者が講習会の講師を担当する際に実施した。 また調査対象者には,調査実施前に,調査の趣旨を説 明し同意を得た上で行った。調査対象者の基本的属性 を,表1に示した。 2)調査内容 (1)フェースシート  参加者の個人特性として,性別,年齢,職業を尋ねた。 (2)コーチとしての状況  コーチとしての現状を確認するために,①コーチン グ資格の有無,②選手時代の競技成績,③コーチとし ⏨ᛶ 152 80.4 ዪᛶ 36 19.0 ↓グධ 1 0.5 20௦ 14 7.4 30௦ 66 34.9 40௦ 84 44.4 50௦ 21 11.1 60ṓ௨ୖ 2 1.1 ↓グධ 2 1.1 ⫋ᴗ ᩍဨ㸦ᑠᏛᰯ㸧 14 7.4 ᩍဨ㸦୰Ꮫ㸧 38 20.1 ᩍဨ㸦㧗ᰯ㸧 9 4.8 ୍⯡௻ᴗ 88 46.6 බົဨ㸦ᩍဨ௨እ㸧 21 11.1 ࡑࡢ௚ 17 9.0 ↓グධ 2 1.1 ྜィ 189 100 ᛶู ᖺ㱋 ⾲1. ㄪᰝ⪅ࡢᇶᮏᒓᛶ 沖縄大学人文学部紀要 第 22 号 2019

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ての競技成績,④コーチング対象,⑤指導種目,⑥コーチをすることになった経緯を尋ねた。 (3)コーチングの状況  コーチングの現状を確認するために,①コーチングをする上で最も大切にしていること,②現 在,コーチとして悩んでいること,③日常のコーチング活動のなかで,誰からのどのようなサポー トがほしいと感じているかについて,自由記述により回答を求めた。得られたデータは,KJ 法(川 喜多,1970)を用いて分析した。作業過程では,得られた回答を一つずつ検討し整理集約した。 なお,意味が曖昧な回答,意味が不明な回答は,分析の過程で除外した。 3.結果と考察 1)コーチとしての状況 (1)指導種目 調査対象者の指導する種目 について表2にまとめた。  沖縄県の小学生のスポー ツ少年団への加入者は増加 しており,競技別では,サッ カー,軟式野球,バスケッ トボール,バレーボール, 剣道が増加していると報告 されている(笹川スポーツ 財団,2016)。本調査対象 者の指導する競技でも,そ れらの競技が上位4つに含 まれており,チーム数の増 加とともに指導者の数も相応に増加していると推測される。 (2)競技成績    コーチの選手時代の競技成績の結果を表3に,またコーチとしての競技成績を表4にまとめ た。調査の結果,コーチの選手としての最高成績は,全国出場以上が 25.4%,地方大会出場が 49.2%となり,半数のコーチの競技レベルは地方大会出場レベルであった。また,コーチとして の最高成績は,全国大会出場以上が 12.2%,地方大会出場が 46.0%となり,全国大会に参加経 験のあるコーチは,約 10%であった。 㹌 㸣 㹌 㸣 ㌾ᘧ㔝⌫ 53 28.0 ࢸࢽࢫ 2 1.1 ࣂࢫࢣࢵࢺ࣮࣎ࣝ 47 24.9 య᧯ 2 1.1 ࣂ࣮࣮ࣞ࣎ࣝ 28 14.8 ࢫ࣏࣮ࢶ඲⯡ 2 1.1 ࢧࢵ࣮࢝ 13 6.9 ࢝ࢾ࣮ 1 0.5 ࣁࣥࢻ࣮࣎ࣝ 13 6.9 ➇Ὃ 1 0.5 ᰂ㐨 4 2.1 ᒣᓅ 1 0.5 ࣛࢢࣅ࣮ 3 1.6 㝣ୖ 1 0.5 ✵ᡭ 3 1.6 㔠⟶ࣂࣥࢻ 1 0.5 ๢㐨 3 1.6 ྜẼ㐨 1 0.5 ࣂࢻ࣑ࣥࢺࣥ 2 1.1 ↓グධ 8 4.2 ྜィ 189 100.0 ⾲2㸬ᣦᑟࡋ࡚࠸ࡿ➇ᢏ ᅜ㝿኱఍ฟሙ 4 2.1 ඲ᅜୖ఩ධ㈹ 10 5.3 ඲ᅜฟሙ 34 18.0 ᆅ᪉኱఍ฟሙ 93 49.2 ↓グධ 48 25.4 ྜィ 189 100.0 ᅜ㝿኱఍ฟሙ 0 0.0 ඲ᅜୖ఩ධ㈹ 9 4.8 ඲ᅜฟሙ 14 7.4 ᆅ᪉኱఍ฟሙ 87 46.0 ↓グධ 79 41.8 ྜィ 189 100.0 ⾲3㸬㑅ᡭ᫬௦ࡢ᭱㧗ᡂ⦼     ⾲ 4㸬ࢥ࣮ࢳ࡜ࡋ࡚ࡢ᭱㧗ᡂ⦼

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(3)コーチング資格  コーチング資格の有無について,表5に示した。  調査の結果,約 70%のコーチが無資格でコーチングをして いる実態が明らかになった。  スポーツ少年団におけるスポーツ指導者の現状の一つに「実 は少ない有資格者」があげられており(文部科学省,2013), 150 名のコーチを対象にした大橋ほか(2017)の調査でも, 資格保持率が 13.5%であった。本調査もそれらの状況を支持する結果となった。コーチの資格 取得は,スポーツをする子ども達が安全に安心に活動ができる環境づくりを担保するための必要 最低限の条件であろう。またコーチの社会的地位向上にもつながるだろう。 (4)コーチを引き受けた理由  表6には,コーチを引き受けた理由をまとめた。 調査の結果,「周囲に頼まれたから」(36.5%)が最 も多く,「自らの意思で積極的に」(30.2%)を上回っ た。また,その他の理由(11.6%)のなかで最も多 い回答が,「自身の子どもが競技を始めたから」とい う理由であった。これらの結果から,コーチの約半 数(48.1%)は,積極的にコーチを引き受けているわ けではなく実子のクラブ加入などが契機となってい た。よって,最新のコーチング情報を学ぶ機会のないまま,コーチング活動をせざるを得ない状 況があることがわかった。 3)コーチングの状況 (1)コーチングで最も大切にしていること   表7には,「コーチングで最も大切にしているこ と」についての結果をまとめた。  全データ(N=160)を集約した結果,12 個のカ テゴリーが抽出された。最上位は「スポーツを楽し めること」(N=32)であった。あらゆる分野でエキ スパートになった 300 人以上の人の上達の過程を 分析した北村(2015)は,上達過程を導入期,専 門期,熟達期の3つに分け,最初のステップにあた る導入期を,専門期での厳しい練習に耐えうる意欲 を育てる時期とした。そしてこの時期のゴールを, 結果ではなくわくわくする快体験を積み重ねていく ことであるとしている。つまり,この時期のコーチ の役割は,わくわく体験がたくさんできる環境づく りができる人ということになる。したがって,スポーツを楽しめることを大切にしているコーチ が多いことは,理論的にも支持できる良い傾向といえる。 53 28.0 132 69.8 ↓グධ 4 2.1 ྜィ 189 100.0 5㸬ࢥ࣮ࢳࣥࢢ㈨᱁ࡢ᭷↓ 㹌 㸣 ࿘ᅖ࡟㢗ࡲࢀࡓ࠿ࡽ 69 36.5 ⮬ࡽࡢពᛮ࡛✚ᴟⓗ࡟ 57 30.2 ࡑࡢ௚ 22 11.6 ↓グධ 41 21.7 ྜィ 189 100.0 ⾲6㸬ࢥ࣮ࢳࢆᘬࡁཷࡅࡓ⌮⏤ ࣮࣮࢟࣡ࢻ N ࢫ࣏࣮ࢶࢆᴦࡋࡵࡿࡇ࡜ 32 ♩൤సἲࢆఏ࠼ࡿࡇ࡜ 22 ࣔࢳ࣮࣋ࢩࣙࣥࢆྥୖࡉࡏࡿࡇ࡜ 20 ࢥ࣑ࣗࢽࢣ࣮ࢩࣙࣥࢆ࡜ࡿࡇ࡜ 19 ⮬୺ᛶ࣭⮬ᚊᛶࢆ⫱࡚ࡿࡇ࡜ 18 ே㛫ᛶࢆ⫱ࡴࡇ࡜ 12 ࢳ࣮࣒࣮࣡ࢡ࡟ࡘ࠸࡚ఏ࠼ࡿࡇ࡜ 9 Ᏻ඲࡞ሙᡤࢆᥦ౪ࡍࡿࡇ࡜ 8 ᑗ᮶ࡶࢫ࣏࣮ࢶࢆ⥅⥆࡛ࡁࡿࡇ࡜ 4 ⦎⩦ࡢຠ⋡໬ࢆᅗࡿࡇ࡜ 4 ࡞ࡋ 1 ࡑࡢ௚ 11 160 ⾲7㸬ࢥ࣮ࢳࣥࢢ࡛᭱ࡶ኱ษ࡟ࡋ࡚࠸ࡿࡇ࡜ 沖縄大学人文学部紀要 第 22 号 2019

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6)コーチとしての悩み  表8には,「コーチとしての悩み」についての結果をまとめた。全データ(N=144)を集約し た結果,コーチング,コーチ,保護者,環境整備の4つの大カテゴリー(大項目)が抽出された。 それぞれについてさらに集約した結果,コーチングからは 10 個,コーチからは3個,保護者か らは2個,環境整備からは3個の小カテゴリー(小項目)がそれぞれ抽出された。  これらの結果から,現在コーチが抱える悩みは,コーチングに関することが最も多く(N=87), その内容は,練習時間のこと,言葉で伝えるスキルのこと,気になる子への対応のことなど,多 岐にわたることがわかった。コーチに関する悩み(N=23)からは,仕事や家庭とコーチの仕事 の両立の難しさを抱えつつ,コーチングスタッフの不足により引き受けた仕事を辞めることもで きないでいる様子が伺える。さらに,コーチ同士でも指導方針が異なることがあり,それぞれが 納得できないままコーチング活動を実施している現状があることもわかった。保護者に関する悩 み(N=20)からは,保護者とのコミュニケーションがとれないこと,それが理由でチームの協 力体制を構築することができずにいる現状があることがわかった。環境整備に関わる悩み(N=14) からは,競技人口の減少があがっていた。活動拠点になる施設の確保が難しいことや施設の老朽 化への対応ができていないこと,最新の理論を学ぶ機会が少ないことなどもストレスになってい ることがわかった。 7)コーチが希求するサポート  表9には,コーチが「ほしいサポート(誰からのどのような)」についての結果をまとめた。全デー タ(N=106)を集約した結果,8 つの対象に集約された。  調査の結果,最もコーチがサポートをしてほしい対象は,保護者(N=52)であった。具体的 ኱㡯┠ N ᑠ㡯┠ N ⦎⩦᫬㛫ࡢຠ⋡໬㸪࠾ࡼࡧ☜ಖ 13 ゝⴥ࡛ఏ࠼ࡿ㞴ࡋࡉ 12 Ẽ࡟࡞ࡿᏊ࡬ࡢᑐᛂ 11 ⦎⩦ෆᐜ࡬ࡢᑐᛂ 11 ከᵝᛶ࡬ࡢᑐᛂ 10 ࣔࢳ࣮࣋ࢩࣙࣥ⥔ᣢ࡬ࡢᑐᛂ 8 ⏕ά㠃࡬ࡢᑐᛂ 7 ⮬ᚊ࣭⮬❧ࢆಁࡍࡇ࡜ࡢ㞴ࡋࡉ 6 ᑓ㛛ⓗࢫ࢟ࣝᣦᑟ࡬ࡢᑐᛂࡢ㞴ࡋࡉ 6 ⦎⩦ᡂᯝࢆฟࡍࡇ࡜ࡢ㞴ࡋࡉ 3 ௙஦ࡸᐙᗞ࡜ࢥ࣮ࢳࡢ୧❧ࡢ㞴ࡋࡉ 11 ࢥ࣮ࢳ㝕࡜ᣦᑟ᪉㔪ࢆඹ᭷ࡍࡿ㞴ࡋࡉ 9 ࢥ࣮ࢳ୙㊊࡟ࡼࡿ㈇ᢸࡢቑຍ 3 ࣑ࢫࢥ࣑ࣗࢽࢣ࣮ࢩࣙࣥ 13 ༠ຊయไࡢ⠏ࡁ㞴ࡉ 7 ➇ᢏேཱྀࡢῶᑡ 9 ᪋タタഛࡢᩚഛ࡜☜ಖࡢ㞴ࡋࡉ 4 ᭱᪂ࡢ⌮ㄽࢆᏛࡪᶵ఍ࡢ୙㊊ 1 144 144 87 ࢥ࣮ࢳࣥࢢ ࢥ࣮ࢳ 23 ಖㆤ⪅ 20 ⎔ቃᩚഛ 14  ⾲8㸬ࢥ࣮ࢳ࡜ࡋ࡚ࡢᝎࡳ

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な内容としては,指導役や審判役などの役割分担(N=39 )が最も多かった(75%)。そして, 試合や練習を観戦してほしい(N=7),家庭で子どもたちのフォローアップをしてあげてほしい (N=6)が続いた。次にほしいサポートは,専門家からの最新のスポーツ医科学情報(N=19)であっ た。具体的には,競技力の向上や心理的サポートのためのスポーツ心理学理論,けが予防やフィ ジカルの向上のためのトレーニング理論,子ども達の能力を引き出すコーチング理論などの情報 やトップアスリートから直接学ぶ機会を求めていた。アシスタントコーチ(N=13)や指導方法 を共有できる人(N=3)を希求する背景には,「コーチの悩み」(表9)で示されたとおり,コー チ不足による負担が増加していること,コーチングスタッフ同士でも指導方針を共有できないこ と,保護者との協力体制が構築し難いなどの状況により,コーチ一人に負担がかかっていること が推測される。その対応策として,競技経験のある大学生に協力を仰ぐことは,大学生にとって はコーチとしての実践経験を積む場として機能するだろう。そしてさらに,地域と教育機関が連 携することで,コーチをサポートするシステムができる良い機会になると思われる。また,学校 に対しては,教員との連携(N=8),行政に対しては,指導者講習会の機会の増加と情報提供(N=6), 地域の方へは,指導の補助(N=3),職場や家庭には,活動への理解(N=2)を求めていること がわかった。 4.まとめ  本研究の目的は,沖縄県内で小学生を指導するコーチを対象に,そのコーチングの現状と課題 を整理することであった。小学生を対象にコーチング活動を行っているコーチ 189 名に質問紙 調査を実施した結果,以下の課題が明らかになった。 1)課題 ・コーチング資格保有者は,わずか 3 割である。 ・コーチの約半数(48.1%)は,積極的にコーチを引き受けているわけではなく,最新のコーチ ング情報を学ぶ機会のないまま,コーチング活動をせざるを得ない状況がある。 ・コーチとしての悩みは,4 つのカテゴリー(コーチング,コーチ,保護者,環境整備)に分けられ, その根底には,コーチの役割が過重負担になっていることが推測される。 ࢧ࣏࣮ࢺᑐ㇟ ෆᐜ N ᣦᑟ㸪ᑂุ࡞࡝ࡢᙺ๭ศᢸ 39 ヨྜ࣭⦎⩦࡬ࡢほᡓ༠ຊ 7 ᐙᗞ࡛ࡢࣇ࢛࣮ࣟ 6 ᑓ㛛ᐙ ᭱᪂ࡢ⛉Ꮫⓗ⌮ㄽࡢࣞࢡࢳ࣮ࣕ 19 ࢔ࢩࢫࢱࣥࢺࢥ࣮ࢳ Ꮫ⏕࡞࡝࠿ࡽࡢᣦᑟ⿵ຓ 13 Ꮫᰯ ᩍဨ࡜ࡢ㐃ᦠ 8 ⾜ᨻ ᣦᑟ⪅ㅮ⩦఍㛤ദ࡯࠿ 6 ᆅᇦఫẸ ᆅᇦࡢ᪉࠿ࡽࡢᣦᑟ⿵ຓ 3 ᣦᑟ᪉ἲࢆඹ᭷࡛ࡁࡿே άື⿵ຓ 3 ⫋ሙ࣭ᐙ᪘ ⌮ゎⓗᨭ᥼ 2 106 ಖㆤ⪅ 9 㸬ᕼồࡍࡿࢧ࣏࣮ࢺ 沖縄大学人文学部紀要 第 22 号 2019

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・コーチが希求するサポート対象者は,8 つに分かれる(保護者,専門家,アシスタントコーチ, 学校,行政,地域住民,指導方法を共有できる人,職場・家族)。 2)コーチをサポートする環境整備の必要性  小学生年代のコーチへの報酬額は,個人差があるものの一般的に月 5000 円未満とされている (大橋ほか,2017)。本調査対象者の状況も同様の傾向があると推測される。つまり,ほぼ無償 でのボランティア活動といってよい。しかしながら,本調査結果からも明らかになったように, そのコーチに対するサポート体制は貧弱と言わざるを得ない。文部科学省(2016)は,スポー ツ少年団でより良いコーチングが行われるために必要な項目として,「(コーチング)資格取得の 促進」,「長時間,高頻度の練習制限」,「複合種目の奨励」,「卒団習慣の打破」,「有償,複数指導 者体制」,「マネジメント機能を有する育成母集団」の 6 つをあげている。とりわけ,チームが マネジメント機能を有していることは,コーチをサポートする視点から重要だと思われる。コー チへの過重負担を軽減することは,すなわち,子ども達に生き生きとスポーツできる環境を整え ることにつながる。具体的には,チーム内で,コーチが求めるサポート対象者とどのように繋げ るかについて話し合う機会をつくることが早急の課題であろう。 付記 本研究は,2017 年度沖縄大学特別研究助成費(学術研究奨励費)の助成を受けて実施された。 引用参考文献 川喜多二郎(1970)続・発想法―KJ 法の展開と応用.中公新書:東京 北村勝朗(2015)300 人の達人研究からわかった上達の原則.株式会社 CCC メディアハウス:東京 Lewin, Kurt (1936) Principles of Topological Psychology. New York: McGraw-Hill. p. 216.

文部科学省(2013)私たちは未来から「スポーツ」を託されている 新しい時代にふさわしいコーチング. 株式会社学研パブリッシング:東京 文部科学省(2013):スポーツ基本法 http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kihonhou/attach/1307658.htm(2018 年 12 月 10 日参照) 日本体育協会(2016)平成 27 年度コーチ育成のための「モデル・コア・カリキュラム」作成事業報告書. 日本体育協会(2016)スポーツ少年団現況調査報告書 日本スポーツ少年団登録データの分析(2002 年~ 204 年). 大橋恵・井梅由美子・藤後悦子・川田裕次郎(2017)地域におけるスポーツのコーチの喜びと困惑―コーチ 対象の調査の内容分析―.コミュニティ心理学研究.20:226-242. 琉球新報(2018)https://ryukyushimpo.jp/news/entry-840658.html(2018 年 12 月 10 日参照) 笹川スポーツ財団(2017)子ども・青少年のスポーツライフ・データ 2017―4 ~ 21 歳のスポーツライフ に関する調査報告書―.笹川スポーツ財団

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Survey on the Current Situation of Coaching Primary School Children

Targeting Participants of Coaching Workshop in Okinawa

Masako ISHIHARA  The purpose of this research was to organize the current situation and awaiting solution of coaching elementary school students within Okinawa prefecture. After conducting a questionnaire to 189 coaches, it was presumed that the coaches' distress was divided into four categories; coaching, coaches, guardians and conditioning. What lies at the root of all the distress was overburden that coaches had to shoulder. In solving the problem, suggestions were made to make an opportunity to take measures in order to condition the coaches' supporting environment.

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