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皮膚結核症に就て

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Academic year: 2021

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〔女子慰學研究:第14巻第1號頁 1−6 ●昭手B19年2月〕

皮膚結核症に就て

東京女子讐農專門學校皮膚科泌尿器科i教室

教授讐學博士田 村 一

タ ムラ バジメ

緒 言

大東亜職の勃稜と共に人的資源の確保、國民鷺力の増強が特に痛感されるに至ったが、之に野す る封策の核心を漏すものは先づ結核の問題である。從って其が豫防、早期診噺及治療に關して國家 的に目嬉しい活動が隠々と展開されて來たことは同慶の至りに堪えぬ所である。然し一一一■般に皮膚結 核に就てはまだ深い顧慮が彿はれて居ない様に思はれるので、之に關して當教室の臨躰統計を申心 にして綜詮的に最近の動向を述べたいと思ふ。

一 皮膚結核痺の病型

皮膚結核症とは庚膚に結核1生身攣を呈する諸症の総禰であって、大組次の如く分類されてみる。 A 所謂血紅皮膚結核

エ、尋: 常 性 狼 瘡 (Lupus vulgaris, Tuberculosis luposa) 2、1皮 膚 涜 ガ長 結 核 (Tuberculosis verruco6a cutis)

3、皮 膚. 腺 病(Scrophuloderma,.Tuberculosis colliquativa) 4、潰瘍性粟粒結核(Lupus miliaris ulcerosa, Tuberculosis miliaris u1gerosa)

5、皮膚播種1伏粟粒結核 (Tuberculos2s miliaris disseminata) B 所謂結核疹

1、腺病’性苔癬(Lichen scrophUlosorum, Tubercusosis li6henoides)

、2壌疸性丘疹歌結核疹(Papuio.nekrotische↑uberculide, Tuberculosi§ . papulo−necrotlca)

3、バサン氏硬結性紅斑(Erytherr}a induratum Bazin, Tuberculosis indurata) 4、顔面播種歌粟粒性狼瘡(Lupus miliaris disseminatus faciei s. Tuberculo$is luposa mi1iaris faciei)

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5、陰 董 結 核 疹(Penistuberkulid)

6、糸吉節ナ伏結核Ll生静且辰:炎: (Phlebitis tuberculosa nodosa)

7、悪 液 性 座 ,瘡 (Acne cachecticorum)

8、ダリエー・ルツシt一一氏類肉腫 (Subcutane Sarkoide Darier−Rossy) 9、ブ込2氏良性類肉腫3ζ類狼瘡 (Benigne Sarkgide s・Lupoideβoecle)

10、凍 瘡 歌 狼 瘡:(Lupus pernio),

11、血管類狼瘡(Angiolupoid Brocg ・et Paatrier)

12、環 歌 肉1芽 腫(Graunl.oma annulare)

13、光 澤 苔 癬(Lichen nitidus)

袋に眞正皮膚結核と稻するは實際結核菌に因て嚢現する諸症を意味し、結核疹は結核死菌又は其 毒素に因て起る諸症を意味したものである。而して結核疹の特徴としては(一)、一般に良性なるこ と(二)、播種歌、樹側性に獲生し易い。(三)、徐々に稜生する。(四)、主として慢性結核を有する患 者に養生する。(五)、屡々定型的結核組織像を歓如する。(六)i結核菌の誰明されることが稀であ る。(七)、ツベルクリン反回が不定である、等の諸黙が墨げられてるる。是等の特駁は結核疹なる名 櫓のもとに共臨林離歌を想起するに便宜が多いのしC、今日も猫一般に使用されてるるが、結核疹に封 ずる楽生紅軍に關する解繹は非常に違って來た。師ち結核疹も亦結核菌に因て起るもので、皮膚の アレルギー性反慮と解してみる。從て:煙具皮膚結核と結核疹とを其獲生機醇から隔然と匠摩するこ. とは出車ないことになる。勲爵林上の便宜から「所謂」を附して保存してみるに過ぎなV・のである。 覧 要するに皮膚結核症は上記の如くに多激の病型に分けることが出機るが、其は個入園素質、免疫、 菌の激及再興、感染経路・感染部位等の諸因子によρて獲症準縄が種々相違して來たものと見るこ とが出身るのである。 この外に皮膚結核症と密接な關係にある疾患とし、紅斑性狼瘡、結節性紅斑等が墨げられる。特 に結節性紅斑は其一部が皮膚結核のみならす、内臓結核とも緊密な片子があることが注目されて來 た。この黙に就ては別に論じたV・と思ふ。 今最近十年間(自昭和八年至昭和十七年)に於ける我昇華の皮膚結核症を病母別に示すと次の如 くである。 尋 常 性 狼 瘡 14例 (15.55%)

皮膚涜歌結核8例(8.86%)

皮 膚 腺 病 5{列 (5.55%) 壊疽性丘疹然結核疹16例 (17.78%)

バサン氏硬結性紅斑 21例

直面播種釈粟粒性狼瘡 7例

陰董結’核疹3例

結一朝結核性静脈:炎:13例 (23.33%) ( 7.78%) ( 3.33%) (14,44 % ・)

一 2

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3

ブック馬事狼瘡1例(1.11%)

凍 瘡 歌 狭 瘡 1例(1・11%)

環 歌 肉 芽 腫 1例(1.11%)

計 90例 皮膚科外郭患者総歎エ5397(皮膚結核症0・584%) 帥ちバサン氏硬結性紅斑(23.33%)が最:も多く、壊疽性丘疹駄結核疹(17.78%)、尋:常働良瘡 く15,55%)1結節歌結核性類脈炎(14.44%)、皮膚疵歌結核(8。8%)、 顔面播種歌粟粒性狼瘡 (7.78%)、皮膚腺病(5.55%)等の順である。所で他の大墨の統計と比較してみると、大都市にあ る東大、慶大1阪大等は敦れもバサン氏硬結性紅斑が最高を占め、夫々25・0%・21・8%、16.11% を示して㊧るに拘らす、九大、医大では皮膚軍士結核が最高で夫k20・0%、24・3%を示し、金澤讐 大及東北帝大では尋常性狼瘡が夫々26.65%20.88%で最高を示してみる。離洲特に英國に於ては

尋灘狼瘡が野地に多く・又屡牛型結核菌題因する麟麟結核が他地に多く・見ら勧との糖

がある。之は統計兄上多くの疑義が抱かれ、論駁されて一定してみないが、本邦各地の統計を通覧 して其等の報告を興味深く想起する次第である。執れにせよ皮膚結核の置型は地理的乃至氣象的影 響に多大の彫琢があることは一般に信ぜられてるる所である。 元來皮膚結核症は本邦に於ては欧米に比較して少い。師ち全皮膚疾患々者に讃する比率(%)は 1.10(小池)1.06(阪大)0.96(千葉)0.93(夷大)G.87(慶大)0.82(金大)0.73(東北大)0・65 (九大)0・58(東女讐專)と報告され・大艦約1・0%と謂はれてるる6其理由は俄かに断定し難い が、夙に有色入種は皮膚結核に罹患し難いと唱へられてるる事實からしでも、紫外線の影響、皮膚 色素の多寡が皮膚の結核アレルギー歌態に至大の關係を有するものと推測されてるる。 鼓に當教室の統計に於て特記すべき事項を二、三聖撫して置きたいと思ふ。師ち皮膚結核症例90 例申其性別を観ると女子が71例(79・9%)男子が.19例(21・1%)で断然女子が多激を占めてみ る。陰董結核は勿論皮膚症状結核及顔面播種歌粟粒性狼瘡が男子に多V・ことは他の統計と軌を一に してみるが、全勝として男女の罹患率に隔段の差異があるのは、當病院の性質上女子の患者が多い 結果である。然し他の締計でも皮膚結禄症は女子に多いのは殆んど一致してみるが・.當教室ほど其 差異の甚しいのはない∼。年齢的には21乃至3C:歳が40例(44.44%)次で11歳乃至20歳が 18例(20.00%)で、之は他の統計と一致する。

二 皮膚二三a結二二型

皮膚結核特に狼瘡は結核菌襲見以前から巳に結核症に擬せられてるたが確認されなかった。所が 1882年R.Kochによって結核菌が三見され、綾V・て1883年には1)emrne, DoatrelePoui、 1884年にはKochによって狼瘡から結核菌が謹明或は培養され、狼瘡が結核菌に因ることが確認 されると共に皮膚結核に光明と確固たる基礎が與へられた。然し最初は屠養基が好適でなかったの で分離培養が困難であったがPetroff(19ユ5)P寵解g細瑠(1927)、砺肋(192δ)五∂”6ηs≠6動 r麟甲 3脚r一

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4 (1930)の諸氏が壌基を創案、改良とする共に培養方法も進歩した。比較的困鞭皮膚結核症か らも績kと結核菌が分離培養されるに至った。而して皮膚結核は一型菌だけで無く、牛型菌掛れに は鳥型菌に因って惹起されることが知られた。菌型に封ずる検討は専ら所謂眞正皮膚結核に就て行 はれてるるが、其比率は各國に於て差異がある。山崎氏に嫁ると尋常性狼瘡は凋逸では人型79.5% 牛型20・5%、英國では人型51・4%・牛stl 48・6%・皮膚疵歌結核は人型・牛型が相孚ばし、皮膚腺 病は英國では潮型,38.5%であると云ふが喜憂に於ては幽趣菌は勘V・。鳥雑菌は人、牛型に比べて 非常に稀で佐藤(三)氏に縛ると敵米に於ける症例も僅かに14例に過ぎないと云ふ。所で此に關 する本邦の報告は出崎氏に蘇ると53例で、牛型菌8例(尋常性狼瘡1例、涜歌結核5例、皮膚腺 病2例)鳥型菌は2例である。邸ち本邦に於ては歓米に比べて牛型菌に因るものが紗いことが知ら るXのである。

§ 胸部結核kの關係

皮膚結核患者の結核素質に封ずる家族歴、既往症隠線所見等に痒しては當然留意される所で、其 に關する報告も解くない。此等の問題に就て先づ當敏室の症例を考察してみたい。 家族歴の到然してみる39例に就て観るに結核素質の推定されるのは20例邸ち51.28%であるG 既往歴の記載してある52例に就て観ると結核既往症のあるものは18例(34.63%)である。又爵 科劇的に或はレントゲン學的に糖査された27例に於て肺に所見のあったものは7例(25・93%)に 過ぎぬ。而も肺に攣化を認めたものも其事況は一般に良性であった。 此に驕する内外の文壇を見ても、皮膚結核慰者に於ては著明な進行性病攣を呈する者は甚だ勘く 病憂が存在しても其多くは良性乃至陳蕾病竃を認めるに過ぎなV・と云ふのが多く.の一致した観察で ある。又肺結核患者の重篤な為のに皮膚結核を併駕すると云ふことも稀なことが諸家の認める所で ある。之は洵に興味ある事實で、已にKaPosiは皮膚結核患者には肺結核を獲歯し難き傾向あるこ とを認め、又皮膚病攣が免疫塵的に或は内分泌作用にまって肺病憂に防禦的に作用するのではない かとの推論も頻りに行はれた。そして更に進んではKutScheraの如く重症肺結核患者に結核菌を 接種して人工的に皮膚結核を惹起せしめ、其治療に資せんことを企圖さるx程に至った。然し是等 の事實は未だ反駁もあり、病理創建に充分な根族が與へられた事では無いので、其悉くを俄に信ず ることは出來ないが、今後探究すべき問題であると信ずる。 要するに一般に皮膚結核症に於ては、一層肺其他の結核を精査する必要はあるが、概して懸念す る要のあるものは勘V・と考ぺて差支無いのであるが、此問題に算して最近特に注意を喚起されて來 たのは結節性紅斑の問題である。

四 結節性紅斑に就て

結節性紅斑は下腿に墜痛ある鮮紅色め結節を生する急性疾患で、屡々焚熱關節痛を併噛する。而 も好んで若い女性を侵し春秋特に4二6月に多いことは衆知の事實である。我教室の昭和8年から 一一一 4 一一

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・5

昭和17年迄の1e年間に於ける.57例(搬膚科賭の0・37%)蹴て見るも其55例が姓で

あり、而も21歳乃至25歳が22例で最多敬を示し、次では16歳乃至20歳の15例である。

如斯に結節性紅斑は其臨肱症款は特有であるが、其原因は甚だ複雑で、古くは一種の痒氣性疾患 と見倣され、最近に至り各種旧染性疾患(結核、癩、徽毒、第四性病、軟性下疵、淋疾、白癬、急性 陰門潰瘍、腸内菌性痴患、三三、蓮鎖扶球菌乃至葡萄拶こ球菌性疾患)に關聯して起るアレルギー性疾 患と見回す傾向となった。從て本症を直ちに皮膚結核症0中に加へることは多少躊躇するものであ るが、本症と結核との關係が特に濃厚なことが漸次明かにされ、特に初期肺結核に合併することが認 められ認識を更薪されるに至った。本症と結核との關係は巳に7「70μs即%(1868)、Uffelmanre (エ872)、等によって指摘され、Po〃娩(1912)が48{lilの小兇患者に於てツベルクリン反慮が100 %に陽性なることが報告されて以來、此問題k回する内外の二二は殆んど枚學に逗がなV・程である。 然し特に本邦に於ては肺結核との直接二三に就ては比較的二心も淺く、其に關する詳細な研究報告 も蓼々たるものである・三二東北献の仔}轍授は40例に就て二部「レ」素槍査・Mant…二二

漁球沈降遽鼠儲蝋糖等嚇密な糖を齢し謀撫膿表した。其醸ると40例(女

35例・男5例)中22例は顯症肺結核を有し、而も其大慶(20例)は初感染乃至早期結核なるこ とが知られたb我教室の八木講師も昭和16年の東京女讐學會絡會に於て肺結核初期感染と關係あ りと認められる本症の5例を報告した。th> xる際には肺罹患を全く認識せす、結節性紅斑の護現を 契機として精査の結果国見されることが多いのである。この意味に撃て結節性紅斑の原因は必ずし も箪一ではなV・が、少くと馬一戸内科的に或は「レ」線槍査で肺結核の有無をttL分精査することの 必要を痛感するものである。

五 一般診画法及療法

皮膚結核症は既述の如くに四病型は多種多様であるから、其各病型の三二及療法tTL就て一一々七二 するの繁を避けて一般診断法及療法に就て略述して置きたい。 診断法としては矢張リツベルクリン皮膚反回就中Pirquet及Mantoux氏三二が廣く用ひられ てるる。参考の爲に當教室で該反葱を槍した57例の成績を表示すると

PiTquetsehe od. IVfuntom・sehe R.

尋 常 牲 狼 回

心 膚 腺 病

皮 膚 症 釈 結 核

壊疸性丘疹歌結核疹

顔面播種歌栗粒性狼瘡

バサン氏硬結牲紅斑

結節性結核性静脈炎

検査例 3 ・ 3 7 13 5 12 9 ノ 一一@5 1 0 0 0 1 0 0 十 1 3 2 4’ 2 2 2 1 0 2 4 1 6 4 o e 3 5 1 4 3

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6

陰輩結核疹 一3 0 3 0 ⑪

類狼瘡1.0010

凍 瘡 駅 狼 瘡 1 0 1 0 0 言予 57 2 . 20 19 16 誌 (96‘5pte) 皮膚結核症はツベルクリン反慮が陽性を呈することが多吻であるが・外感染(例へば皮膚涜歌 結核)隣接感染(例之皮膚腺病)では其獲生機轄の上に必ずしもアレルギー朕態を必要としないの で陰性を示すことがあるし、又衰弱無反慮歌態(Ersch6pfungs−anergie)(例之潰瘍性粟粒結核) 陽性無反憲歌態(Positive Anergie)(例之類狼瘡)で陽性を示さ瞭こともあるので一定してはみ ない。猫皮膚結核症にi封してはツベルクリン軟膏を貼用する皮表反慮(Epicutane Reaktion)が其 診断上又は其獲生機韓を推察するk好指針を與へることがある。叉最近皆見氏は皮膚結核患者に於 てツベルクリン下腿皮下注射反慮を行ひ、普通のツベルクリン皮膚反慮より窓陽性率高く、而も時 にi薪に結節性紅斑を誘獲したものもあると報.じてるる。

療法に就てはGerson, Sanerbruch, ffermannsderferの無食盤食無療法が、他の結核に野し ては期待に反したに拘らす皮膚結核症には創案者の提唱を裏書する敷果が確認されてるる。叉最近 セブアランチンが皮膚結核殊に顔面播種歌粟粒狼瘡に有敷であρたとの橋本氏の報告がある以外に は依然として從來の光線療法、各種姦物療法が種欧最遠使用されてるるに過ぎぬ。

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