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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 中 嶋 雅 秀

学 位 論 文 題 名

小児急性リンパ性自血病の予後予測因子としての 寛解導入療法初期の尿中リン排泄量の検討

学位論文内容の要旨

  急 陛 リ ン パ 性 自 血 病(ALL)に 対 す る 寛 解 導 入 療 法 初 期 に は , 自 血 病 細 胞 の 崩 壊 と そ れ に 伴 う 細 胞 内 容 ( 核 酸 , リ ン ) の 循 環 中 へ の 放 出 に よ り , 尿 中 リ ン 排 泄 量 ・ 尿 中 尿 酸 排 泄 量 が 増 加 す る こ と が 報 告 さ れ て お り , こ れ に 伴 う 生 化 学 的 な 異 常 は 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 (ATLS)と し て 知 ら れ て い る .こ れ まで の 研 究 に よ れ ば , 腫 瘍 量 の 大 き い 症 例 , 自 血 病 細 胞 の 増 殖 速 度 の 速 い 症 例 , そ し て , 自 血 病 細 胞 の 化 学 療 法 に 対 す る 感 受 性 が 高 い 症 例 でAnSを き た し や す い こ と が 知 ら れ て お り , 寛 解 導 入 療 法 初 期 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 な ら び に 尿 酸 排 泄 量 は 自 血 病 細 胞 の 化 学 療 法 に 対 す る 反 応 陛 を 反 映 し て い る 可 能 陸 が あ る と 考 え ら れ る . 近 年 , 寛 解 導 入 療 法 に 対 す る 初 期 治 療 反 応 陛 が 小 児ALLの 重 要 な 予 後 予 測 因 子 と し て 注 目 さ れ る よ う に な っ た が , 末 梢 血 芽 球 数 や 骨 髄 穿 刺 で の 芽 球 割 合 と い っ た 形 態 学 的 な 方 法 で 評 価 さ れ て お り , 客 観 的 か っ 定 量 的 な 方 法 は 確 立 さ れ て い な い , 本 研 究 で は , 寛 解 導 入 療 法 初 期3日 間 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 な ら び に 尿 中 尿 酸 排 泄 量 を 定 量 し , 疾 患 の 予 後 と の 関 連 に つ い て 検 討 を 行 い , こ れ が 小児ALLの予 後予測因子となり得 るのかどうかにつ いて検討を行った .

【 対 象 と 方 法 】19901月 か ら20039月 の136カ 月 の 問 に 初 発 のALLと 診 断 さ れ , 北 海 道 大 学 医 学 部 付 属 病 院 小 児 科 に 入 院 し た69人 を 対 象 と し た . 入 院 時1歳 未 満 ま た は16歳 以 上 で あ っ た2 症 例 , 入 院 前 に 化 学 療 法 を 受 け た3例 , 寛 解 導 入 療 法 前 お よ び 寛 解 導 ス 療 法 初 期3日 間 の 生 化 学 検 査 の 結 果 が 得 ら れ な か っ た3例 , 寛 解 導 入 療 法 開 始 前 に 死 亡 し た1例 , 第 一 寛 解 期 に 造 血 幹 細 胞 移 植 を 受 け た8例 が 除 外 さ れ , 残 っ た52人 の 患 者 が 検 討 の 対 象 と な っ た . 男 児 は34人 , 女 児 は18人 で , 診 断 時 の 年 齢 は1歳 か ら15歳 で 平 均 は6.5歳 で あ っ た ,11人 の 患 者 で 臓 器 腫 大 を 認 め , 中 枢 神 経 浸 潤 例 は な か っ た . ALLの 診 断 は 骨 髄 穿 刺 に よ る 骨 髄 の 自 血 病 細 胞 のFAB分 類 に 基 づ ぃ て 行 い ,50例 がFAB 分 類Ll2例 がL2で ,L3は い な か っ た . 免 疫 学 的 細 胞 表 面 形 質 で は ,39人 がB細 胞 系 の 細 胞 表 面 マ ー カ ー で あ り(33人 がCD10陽 陛 ,6人 が 他 のB細 胞 系 表 面 マ ー カ ー で , 成 熟B細 胞 型 は な し ) ,6 人 がT細 胞 型 自 血 病 ,5人 がmixed lineage leukea2人 が そ の 他 の 細 胞 表 面 マ ー カ ー を 示し た .細 胞 遺 伝 学 的 分 析 で は ,2例 でTEI, /AML1が 検 出 さ れ ,8例 で 高2倍 体 ( 染 色 体 数50以 上 ) ,1例 で 低2 倍 体 ( 染 色 体 数44未 満 ) が 検 出 さ れ た . 診 断 時 の 血 液 検 査 所 見 は , 白 血 球 数 平 均25300

(800‐254,000/脚,血清LDH平均2,0591Un(183.20,1401Uゆ,血清リン平均5.7hlg/dl(3.8.15.5mg/m),

血 清 尿酸 平均4.5mg/m(2.617.2m卿) で あっ た, 尿 の生 化学 検 査は ,寛 解 導入 療法 開 始前 と寛 解 導入 療 法 開 始 直 後 の3日 問 行 い ,24時 間 ご と に り ン は 酵 素 法 , 尿 酸 は ウ リ カ ー ゼ 法 に よ り 自 動 生 化 学 分 析 装 置 を 用 い て 測 定 し た . こ の 間 の 患 者 に 対 す る 輸 液 は り ン を 含 ま な ぃ も の を 用 い , 食 事 は 病 院 食 の み に 制 限 し た .19901月 か ら19973月 ま で の 間 に 入 院 し た 児 はH90プ ロ ト コ ー ル ,19974月 か ら20019月 の 間 に 入 院 し た 児 は 日 本 小 児 白 血 病 研 究 会 (JACLSALL97プ ロ ト コ ー ル ,200110 月 か ら20023月 の 間 に 入 院 し た 児 はJACLSJ01pプ ロ 卜 コ ー ル ,20024月 以 降 に 入 院 し た 児 はJACLSAL02プ ロ ト コ ー ル に よ り 治 療 さ れ た . プ ロ ト コ ー ル の 問 で 治 療 を 受 け た 患 者 の 特 隆 や 長

419 ‑

(2)

期 予 後 な ど に 統 計 学 的 有 意 差 は な か っ た , 腫 瘍 崩 壊 症 候 群 の 予 防 は , 十 分 な 補 液 に よ る 尿 量 の 確 保 と , 重 炭 酸 ナ 卜 リ ウ ム に よ る 尿 の ア ル カ リ 化 ( 尿 pH70‑8.0), ア ロ プ リ ノ ー ル の 経 口 で 行 っ た ,

【 結 果 】52人 の 評 価 可 能 な 患 者 の う ち ,2人 (38% ) は 寛 解 導 入 不 能 で , こ の2人 を 含 む10(19.2% ) が 長 期 予 後 不 良 群 ( 寛 解 導 入 不 能 , 再 発 , 原 病 に よ る 死 亡 ) で あ り , 他 が 予 後 良 好 群 ( 寛 解 か っ 生 存 ) で あ っ た , 予 後 不 良 群 の う ち ,7人 が 死 亡 し ,1人 は 非 寛 解 生 存 中 ,2人 が 再 寛 解 導 入 療 法 で 第2寛 解 期 と な っ た , 初 発 時 自 血 球 数 は 予 後 不 良 群 で 高 値 で あ っ た が 統 計 学 的 有 意 差 は な く , そ の 他 の 臨 床 症 状 ・ 検 査 所 見 に は , 予 後 不 良 群 と 予 後 良 好 群 で 明 ら か な 差 は な か っ た , 寛 解 導 入 療 法 初 期3日 間 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 は , 長 期 予 後 不 良 群 で 低 値 で ,1日 目 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 ( 予 後 不 良 群 平 均9Omg/kgvS 予 後 良 好 群 平 均27Omg瓜 〆 日 ,p印 .003) お よ び3日 問 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 の 平 均 (152m飢 ガ 日vs 293m飢 ガ 日 ,p0029) で 統 計 学 的 に 有 意 で あ っ た , 尿 中 尿 酸 排 泄 量 は 長 期 予 後 不 良 群 で 低 値 で あ っ た が 有 意 差 は な か っ た , 予 後 予 測 因 子 と し て の 尿 中 リ ン 排 泄 量 に つ い て 検 討 す る た め に , 患 者 を 寛 解 導 入 療 法 1日 目 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 に よ り2群 に 分 類 し , そ の 予 後 に っ い て 比 較 し た ,Yu孤 −Haoく ニh跚 ら の 報 告 し た 正 常 小 児 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 平 均 値 (1246m飢 づ 日 ) に 較 べ , 低 値 で あ る 群 ( 低 リ ン 排 泄 群 ) と 高 値 で あ る 群 ( 高 リ ン 排 泄 群 ) の2群 に 分 類 し た , こ の2群 の 間 で は , 低 リ ン 排 泄 群 で 白 血 球 数 が 高 値 で 男 児 が 多 い 傾 向 で あ っ た が , 初 発 時 の 臨 床 症 状 や 検 査 所 見 に 統 計 学 的 に 有 意 な 差 は な か っ た .2群 のKapl孤 ・Mder法 に よ る 生 存 曲 線 で は , 高 リ ン 排 泄 群 の5年 無 病 生 存 率 が89658% で あ る の に 対 し , 低 リ ン 排 泄 群 で は426164% で , 有 意 に 長 期 予 後 は 不 良 で あ っ た (p 00024) . 今 ま で に 報 告 さ れ て い る 小 児ALLの 予 後 予 測 因 子 お よ び 尿 中 リ ン 排 泄 量 に つ い て , 単 変 量 解 析 を 行 っ た と こ ろ , 尿 中 リ ン 排 泄 量 低 値 (1246唖 北 ジ 日 未 満 ) の み が 有 意 で あ った (odds比6.5895% 信 頼区 間14430,0, p卸 .015) . ま た , 多 変 量 解 析 で は 尿 中 リ ン 排 泄 量 低 値 の み が 統 計 学 的 に 有 意 な 独 立 し た 予 後 予 測 因 子 で あ る こ と が 示 さ れ た ( Odds75595% 信 頼 区 間 134427p印 , 022) .

【 考 察 】 本 研 究 で は , 小 児ALL症 例 に お い て , 寛 解 導 入 療 法 初 期3日 間 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 お よ び 尿 中 尿 酸 排 泄 量 と 疾 患 の 長 期 予 後 に つ い て 検 討 し , 長 期 予 後 不 良 例 で は , 寛 解 導 入 療 法 開 始1日 目 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 お よ び 初 期3日 間 の 平 均 が 有 意 に 低 値 で あ る こ と が 初 め て 示 さ れ た . カ ロ え て , 寛 解 導 入 療 法1日 目 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 低 値 は , 今 ま で の 小 児ALLの 予 後 予 測 因 子 と の 問 に 有 意 な 相 関 は 認 め ず , 多 変 量 解 析 で も , 独 立 し た 予 後 予 測 因 子 で あ る こ と が 初 め て 示 唆 さ れ た , 尿 中 リ ン 排 泄 量 は , 腫 瘍 量 を 反 映 す る と 考 え ら れ る 初 発 時 の 自 血 球 数 や 血 清 LDH値 , 臓 器 腫 大 ( あ る い は 髄 外 腫 瘤 ) と の 関 連 は 無 く , 免 疫 学 的 細 胞 表 面 形 質 に 関 し て も ( そ の 違 い に よ り 細 胞 増 殖 速 度 が 異 な る と さ れ る が ) , 尿 中 リ ン 排 泄 量 と の 間 に 明 ら か な 関 連 は な か っ た . こ の こ と か ら 寛 解 導 入 療 法 初 期 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 は 白 血 病 細 胞 の 化 学 療 法 に 対 す る 反 応 陸 を 反 映 し て お り , そ の た め 予 後 予 測 因 子 と な り 得 る も の で あ る と 考 え ら れ た , 尿 中 リ ン 排 泄 量 と 形 態 学 的 な 治 療 反 応 性 の 評 価 法 と を 比 較 す る と , 形 態 学 的 な 方 法 は 定 性 的 で 主 観 的 な 方 法 で あ る が 尿 中 リ ン 排 泄 量 は よ り 定 量 的 で 客 観 的 な 方 法 で あ り , 尿 中 リ ン 排 泄 量 に よ る 今 回 の 方 法 で は , 末 梢 血 や 骨 髄 中 の 芽 球 の み な ら ず , 肝 , 脾 , リ ン ノ く 節 , 縦 隔 な ど を 含 む 全 身 に 分 布 し て い る 自 血 病 細 胞 全 体 の 治 療 反 応 陸 を 評 価 す る こ と が で き る と 考 え ら れ る た め , よ り 有 用 で あ る と 考 え ら れ た . 実 際 , 今 回 の 研 究 で は , 尿 中 リ ン 排 泄 量 で は52例 中18例 (3460o) が 治 療 反 応 陸 不 良 と 判 断 さ れ た の に 対 し , 形 態 学 的 な 方 法 ( 寛 解 導 入 療 法 開 始8日 目 の 末 梢 血 芽 球 数 ) で は52例 中4 例 (77% ) と 違 い が あ っ た , 実 際 の 長 期 予 後 不 良 例 は10例 (192% ) と 形 態 学 的 な 方 法 で 予 想 さ れ る よ り か な り 多 く , 文 献 的 に も 形 態 学 的 な 方 法 で の 初 期 反 応 陸 良 好 群 の20% 以 上 で 再 発 し た と い う 報 告 が あ り , 形 態 学 的 な 方 法 で は 予 後 不 良 例 を 十 分 に は 判 別 し 得 な い の か も し れ な ぃ . 逆 に , 尿 中 リ ン 排 泄 量 で は , よ り 多 く の 症 例 を 予 後 不 良 群 と 評 価 し て し ま う 可 育 旨 性 も あ り , 他 の 予 後 予 測 因 子 と 組 み 合 わ せ て 判 断 す る な ど の 工 夫 が 必 要 か も し れ な い . 本 研 究 は 限 ら れ た 症 例 数 で あ る た め , 今 後 更 に 多 数 例 で の 検 討 が 必 要 と 思 わ れ る が , 尿 中 リ ン 排 泄 量 に よ る 小 児 心 亠 の 初 期 反 応 陸 の 評 価 は 簡 便 で 有 用 な 方 法 で あ る 可 能 性 が あ る .

【 結 語 】 寛 解 導 入 療 法 初 期 の 尿 中 リ ン 排 泄 量 は , 小 児ALLの 治 療 の 初 期 反 応 陛 を 評 価 す る の に 有 用 で

420 ‑

(3)

あり,新たな予後予測因子となる可能性がある,今回の報告は症例数が限られているため,今後の症 例の蓄積が必要である.

‑ 421 ‑

(4)

学位論文審査の要旨 主査    教 授    有賀    正 副査   教授   佐々木文章 副査    教 授    今村 雅寛

学 位 論 文 題 名

小児急性リンパ性自血病の予後予測因子としての 寛解導入療法初期の尿中リン排泄量の検討

  

急 性 リ ン パ 性 白血 病(ALL) に 対す る寛 解導 入療 法初 期に は, 白血 病細 胞の 崩壊 と それ に 伴う 細胞 内 容の 循環中ーの放出により,尿 中リン排泄量・尿中尿酸排泄量が増加するこ と が報 告さ れ てお り,これに伴う生化学的な 異常は腫瘍崩壊症候群(ATLS) として知られて いる, これまでの研究によれば,腫瘍量の大きい症例,自血病細胞の増殖速度の速い症例,

そ して ,自 血 病細 胞の 化学 療法 に対 する 感受 性が 高い 症例 でATLS を き たしやすいことが 知 られ てお り ,寛 解導入療法初期の尿中リン 排泄量ならびに尿酸排泄量は白血病細胞の化 学 療法 に対 す る反 応性を反映している可能性 がある,近年,寛解導入療法に対する初期治 療 反応 性が 小 児ALL の 重要 な予 後予 測因 子 とし て注目されるようになったが,末梢血芽球 数 や骨 髄穿 刺 での 芽球割合といった形態学的 な方法で評価されており,客観的かつ定量的 な 方法 は確 立 され てい ない .本 研究 では ,寛 解導入療法初期3 日問の尿中リン排泄量なら び に尿 中尿 酸 排泄 量を 定量 し, 小児

ALL

の 予後 予測因子となり得るのかどうかにっいて検 討を行 った.

  

対 象 は , 初 発 の小 児ALL の患 者52 例で ある ,尿 生化 学検 査は 寛解 導入 療法 開始 前 と寛 解 導入 療法 開 始直 後の

3

日 間行 い,

24

時 間 ごと にりンは酵素法,尿酸はウリカーゼ法によ り 自 動 生 化 学 分 析 装 置 を 用 い て 測 定 し た , 化学 療法 は,

1990

年1 月 から

1997

年3 月 の間 は

H‑90

プ ロ 卜 コ ー ル ,

1997

4

月 か ら

2001

9

月 の 問 は 日 本 小 児 白 血 病 研究 会(JACLS)

ALL‑97

プロ 卜 コー ′レ,2001 年10 月から2002 年3 月はJACLS ALL‑01p プロトコー′レ,2002 年

4

月 以 降 は

JACLS ALL‑02

プロ トコ ール であ り, プロ 卜コ ール 間で 患者 の特 性や 長 期予 後 など に統 計 学的 有意差はなかった,腫瘍崩 壊症候群の予防は,十分な補液と尿のアルカ リ化, アロプリノールの経口で行った,

  52

人 の評 価 可能 な患 者の うち ,2 人(

3

.8 % )は 寛解 導入 不能 で, この

2

人を含む10 人

19.2

%) が 長期 予後不良群(寛解導入不能 ,再発,原病による死亡)であり,他が予後 良 好群 (寛 解 かつ 生存)であった.初発時白 血球数は長期予後不良群で高値であったが統 計学的 有意差はなく,その他の臨床症状・検査所見には,2 群間で明らかな差はなかった,

寛 解導 入療 法 初期

3

日 問の 尿中 リン 排泄 量 は, 長期 予後 不良 群で 低値 であ り,1 日目の尿 中リン 排泄量(予後不良群平均9.Omg/kg/ 日vs 予後良好群平均27 .Omg/kg/ 日,p 0 .003 )お

422

(5)

よび3 日問の尿中リン排泄量の平均(15.2mg/kg/ 日vs 29 .3 mg/kg/ 日,p ニ〓0 .029) で統計学的 に有意であ った.尿中尿酸排泄量も長期予後不良群で低値であったが,有意差はなかった.

予 後予 測因 子と して の 尿中 リン 排泄 量に っい て検討するために,患者を寛解 導入療法1 日 目の尿中リ ン排泄量により

2

群に分類し ,その予後について比較した,尿中リン排泄量が,

正常小児の 尿中リン排泄量平均値(

12.46mg/kg/

日)に較べ低値である群(低リン排泄群)

と 高値 であ る群 (高 リ ン排 泄群 )の

2

群 に分 類し た .こ の2 群の 間で は, 初発時の臨床症 状 や検 査所 見に 統計 学 的有 意差 はな かっ た,

2

群 の

Kaplan‑Meier

法による生存曲線では,

高 リン 排泄 群の

5

年無 病生存率89 .6 %に対し,低 リン排泄群では42 .

6%

で,有意に長期予 後 は 不 良 で あ っ た

(p=0.0024)

,現 在ま でに 報告 され てい る小 児

ALL

の予 後予 測因 子と 尿 中リン排泄量の単変量解析では,尿中リン排泄量低値(12 .46mg/kg/ 日未満)のみが有意であ り

(Odds

比6 .58 ,95 %信頼区間1 .44‑30 .0 ,p O .015 ),多変量解析では,尿中リン排泄量低値 の みが 統計 学的 に有 意な独立した予後予測因子で あることが示された

(Odds

7

.55 ,95 % 信頼区間

1.34 ‑ 42

7

,p=0 .

022).

  

寛解 導入 療法 初期 の尿中リン排泄量は白血病細 胞の化学療法に対する反応性を反映して お り, その ため 予後 予測因子となり得るものであ ると考えられ,形態学的な治療反応性評 価 法と 比較 して ,よ り定量的で客観的な方法であ り,末梢血や骨髄中の芽球のみならず,

肝 ,脾 ,リ ンパ 飾, 縦隔などを含む全身に分布し ている白血病細胞全体の治療反応性を,

簡 便 ・ 迅 速 か つ 廉 価 に 評 価 す る こ と が で き , 有 用 で あ る と 考 え ら れ た .

  

公開 発表 に際 し、 副査の佐々木教授から,尿中 リン・尿酸に注目したきっかけ,尿中リ ン ・尿 酸の 測定 を寛 解 導入 開始

3

日 間と した 理由 ,急性リンパ性自血病以外の悪性疾患・

固 形腫 瘍な どで の有 用性,について質問があった ,っづいて,副査の今村教授から,治療 プロトコー ルによる尿中リン排泄量の違い,正常リンパ球と自血病細胞のりン含有量の差、

末 梢血 およ び骨 髄の 芽球数と尿中リン排泄量の関 連,寛解導入療法初期の反応性で長期の 予 後を 予測 でき る理 由,急性骨髄性白血病や悪性 リンパ腫での尿中リン・尿酸排泄量,に っ いて 質問 があ った ,っづいて,主査の有賀教授 から,従来の予後因子が今回の研究で有 意 でな かっ た理 由, 将来的に治療に変化があった ときの本因子の有用性,にっいての質問 が あっ た. 最後 に、 フロアーから,腎機能障害時 のりン排泄量の評価についての質問があ っ た , い ず れ の 質 問 に 対 し て も , 申 請 者 は 誠 意 あ る 妥 当 な 回 答 を 行 っ た ,

  

本研究は,小児急性リンパ性白 血病寛解導入療法初期の尿中リン・尿酸排泄量について の検討から,尿中リン排泄量が疾 患の治療反応性の判定に有用であり,新たな予後予測因 子として簡便・迅速かつ廉価に評価しうる方法 であることを示

I

し,今後の治療・研究に大 きな示唆を与えた.

  

審査員一同は,これらの成果を 高く評価し,大学院課程における研鑽や取得単位なども 併せ ,申 請者 が博 士( 医学 )の 学位 を 受け るの に十 分な資格を有するものと判定した.

423

参照

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