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(1)

THEJOURNALOFJAPANESEASSOCIATION OFDIALYSISPHYSICIANS

日本透析医会雑誌

Vol.16 No.2 2001

[巻 頭 言]

医療改革雑感 日本透析医会専務理事 鈴 木 満…121

[役員交代にあたって]

会長就任ご挨拶 山

親 雄…123

常任理事就任にあたって

医療法人社団心施会府中腎クリニック 杉 崎 弘 章

医療法人小野山診療所 小 野 山 攻

新潟市社会事業協会 信楽園病院 鈴 木 正 司

廣田医院 廣 田 紀 昭…125

[透析医療における

CurrentTopics2001

新しい

Vi tami nD療法

和歌山県立医科大学血液浄化センター 秋 澤 忠 男…128

12

回国際サイコネフロロジー学会のトピックスから

松江青葉クリニック 春 木 繁 一…132 糖尿病腎症由来透析患者の閉塞性動脈硬化症

東京女子医科大学 糖尿病センター 新 城 孝 道…138 相補・代替・伝統医療の透析患者への応用

板橋中央総合病院血液浄化療法センター 阿 岸 鉄 三…150

[危機管理対策]

水害と地域災害対策 クリニックつしま 宗 宮 信 賢

増子記念病院

親 雄…156 兵庫県下の透析施設における医療監視について 兵庫県透析医会会長 後 藤 武 男…161

[臨 床 と 研 究 ]

愛知県腎臓財団集計による糖尿病性腎症透析患者の臨床的評価

春日井市民病院 渡 邊 有 三

名古屋大学医学部大幸医療センター在宅医療部 中 井 滋 新 里 高 弘 前 田 憲 志

増子記念病院

親 雄

東海大学医学部腎不全病態科学 斎 藤 明…165 わが国の臓器移植の現状と展望 太田医学研究所 太 田 和 夫…172

[各支部での特別講演]

透析施設における院内感染対策について 春日井市民病院 渡 邊 有 三…187

目 次

(2)

尿毒症血清中の蛋白結合阻害因子の影響について

京都薬科大学病院薬学教室 辻 本 雅 之 高 良 恒 史 大 西 憲 明 横 山 照 由

白鷺病院薬剤科 平 田 純 生 和 泉 智 太 田 美由希 安 達 真 美

大阪薬科大学臨床薬剤学講座 田 中 一 彦…190 維持透析患者における後天性嚢胞化腎に対する超音波造影法の診断能に関する検討

香川医科大学第二内科 高 橋 則 尋 原 大 雅 森 脇 久美子 松向寺 孝 臣 細 谷 陽 子 人 見 浩 史 藤 岡 宏 清 元 秀 泰 安 岐 泰 晴 大 森 浩 二 河 野 雅 和

香川医科大学総合診療部 福 永 惠

香川県立医療短期大学 湯 淺 繁 一…196

[ 実 態 調 査 ]

4

回透析医療費実態調査報告(その2)

医療経済委員会 透析医療費調査分析作業部会 鈴 木 満 吉 田 豊 彦 山

親 雄…200

[厚生科学特別研究]

透析医療事故の実態調査と事故対策マニュアルの策定に関する研究

主任研究者 平 澤 由 平

分担研究者 内 藤 秀 宗 栗 原 怜 山

親 雄 秋 葉 隆 秋 澤 忠 男

研究協力者 中 井 滋…236 地域災害下における透析医療の実態調査と対応マニュアルの策定に関する研究

―有珠山噴火における透析医療をふまえて―

主任研究者 平 澤 由 平

分担研究者 今 忠 正 吉 田 豊 彦 山

親 雄 杉 崎 弘 章 鈴 木 正 司 秋 澤 忠 男 秋 葉 隆…264

[総会資料と決定事項]

日本透析医会通常総会資料および主な決定事項 専務理事 鈴 木 満

事務局長 加 藤 和 男…288

[た よ り]

静岡県支部だより 静岡県支部長 指 出 昌 秀…315

大分県支部だより 大分県透析医会会長 工 藤 寛 昭…316

常任理事会だより 日本透析医会会長

親 雄…319

投稿規定 321

編集後記 久 保 和 雄…322

お知らせ

14回日本透析医会シンポジウム開催について 314

(3)

去る平成

13

5

月の本会通常総会および通常理事会において平澤由平先生が会長を勇退,名 誉会長に推挙され就任された.後任には,医療制度改革の苦難の道に毅然と立ち向かうべく,山

親雄新会長が誕生した.

小泉政権は,国民の圧倒的支持を得て,聖域なき改革を唱えている.その小泉首相が橋本内閣 時代の厚生大臣のときに,地区医師会の長老某氏(末期がん)が,小泉厚相より大臣室で感謝状 を直接授与された際に,筆者が随行員として立ち会った往時を想いだす.小泉厚相は,感謝状授 与式を終えるなり,われわれ随行員に近づき「この度は,迷惑をかけるが,頼みます」と低頭し,

握手を求め真剣な態度だったことが印象に残る.当時,橋本内閣も,財政危機を声高に叫び,坪 井日医会長もともに修羅になると机を叩いていた頃のことである.

さて,制度改革の中の医療制度改革とは,医療費の削減を意味する.すなわち,国家財政の危 機の中で社会保障制度の抑制は必須となる.日本国に限らず医療費を削減されない国はない.し かしながらわれわれ医会は,この荒波を乗り越え生き残り,国民の腎不全医療を支えていかねば ならない使命がある.前述の坪井日医会長は,21世紀の医療のキーワードは「安全・選択・信頼」

であると断言している.すなわち,その一つを例にするならば,患者から期待される病院とは,

安全対策として「医療事故対策」を完璧に行い,患者が医療施設の安全を確認できるシステムを 備え患者が情報開示により,自ら選択し,選べる医療施設であること,そして患者が医師の裁量 権を信頼することである.

本会は,平澤前会長のもとで厚生省(当時)の理解と支援を得ながら,関係会員の総意により

「透析医療事故防止対策」のための感染症対策を始め,地域災害対策や透析医療事故対策などのマ ニュアルの完成をみたことは周知のことである.さらに,本年度においては,山

新会長を中心 とした新執行部が一丸となって,情報開示に対応する「透析患者管理

IT化」研究推進に伴う会員

向けの情報提供および「透析施設基準」の検討など厚生労働省の支援協力を得て,引き続き事業 活動を推進することとしている.本事業について,少し詳細に述べれば次のとおりである.

本事業は,厚生労働省の厚生科学研究費の補助を得て推進する事業で,「21世紀型医療開拓推

常任理事会だより 121

医療改革雑感

(社)日本透析医会

専務理事

鈴 木 満

[巻 頭 言]

(4)

進」により研究計画を策定し,その目的は,「長期透析に伴う合併症の克服」にある.長期にわたっ て透析治療を受けている患者には,種々の合併症が出現する.血液透析療法が社会的にも認知さ れるに至った現在,透析患者には長期生存,社会復帰,QOLの向上に,また,昨今の状勢下では 医療費の抑制に繋がる各種合併症の予防・治療体制の確立が急務であり,加えてその普及に努め ることが必須になってきている.しかし従来の方法論を継続する限りにおいては,その実現には 相当の時間を要し,近年,激しい速度で変化している社会情勢に対応できないおそれがある.医 療分野でも情報技術革命に能動的に取り組み,その長所を生かして,医療現場と研究者との新た な関係ならびに医療の提供サイドと受け入れサイドとの関係を再創設することが,予防に重心を 置く時代の要請であり,それが結果的に合併症の克服に繋がると考えた.IT化事業は,当会の安 定期慢性維持透析の保険診療マニュアルで定めた実際値をデーターベース化し,検査値と比較対 象となる各検査項目に基準値を設定する.そして基準値対実際値比較の初期的処理と感染症の拡 大防止を目的として作成される.

また,高齢者医療制度の創設に対して終末期医療における腎不全医療の位置づけを検討するた めの事業活動を実施する.

(5)

平成

13

5

20

日に開催されました(社)日本透析医会総会にて,平澤先生の後任として会長に推薦 されました.

考えてみますと,初代会長の稲生先生は,東大医科研教授時代には,人工腎臓の開発と腎移植の臨床・研 究に従事され,現在の腎不全治療の礎を築かれました.2代会長の平澤先生は,信楽園病院の臨床および臨 床研究を通じてわが国の腎不全・透析医療を確立し,現在もなお斯界のリーダーであるとともに,透析の保 険適用など治療環境の社会的整備にも多大の功績を残されました.

平澤先生が辞意を表明されたとき,常任理事会のメンバーは誰もが「まだ早すぎる決断」ということで慰 留して参りました.実際,(社)日本透析医会が学問を離れた独自の活動を展開しようとするとき,まじめ な臨床医でかつ「透析医療の良心」ともいうべき先生が会長として存在されたことは,それ自身が(社)日 本透析医会の社会的正義を担保とするものでした.「稲生先生が会長だから」,「平澤先生が会長だから」,安 心して医会活動に協力できたという会員の方々も多かったものと考えております.

翻ってわが身を考えてみますと,私には透析医療に残した大きな足跡もありませんし,指導者としてのカ リスマ性も持ち合わせていないことは,自他ともに認めるところです.したがって,こうした個人的な資質 などすべてを考え合わせると,多くの会員の意見を集約し,最大公約数的な施策を立案・実行することが,

私にあった役目であろうという結論に達し,会長をお引き受けすることになりました.

当面の課題および活動目標は以下の

3

点に絞っています.

1.組織率の向上

現在の会員数は

1, 100

名余,32支部です.会員数は,透析に関与する専門医の約

1/3

と推測されます.

一般的に,支部のある道府県では,会員比率が高い傾向にあることは当然のことと思われます.そのため,

会員数の増強は,まずはすべての都道府県に支部が結成されることが重要です.支部の結成は,Keyman の存在と,災害対策・保険審査などが鍵になると考えています.また,会員の増加については入会の必要性 が理解されることが重要で,経営や施設運営に関する情報の収集や提供による施設の「運営支援」が鍵にな ると考えています.

2.透析医療の標準化

これほど治療の標準化と安全・効率化が進めやすい医療は,透析以外にないという認識があります.当会 から今までに提示されたマニュアルには,保険診療マニュアル・感染防止マニュアル・事故対策マニュアル がありますが,これらはまさに標準化の一部です.今後は施設機能評価マニュアルや施設基準などを提案し,

施設の「診療支援」としたいと考えています.

3.経営の安定

透析施設の経営の安定があればこそ,世界一の治療成績や透析患者の幸せに寄与できることは,衣食足り て礼節を知るの譬え通りです.また,これが医会設立の原点ともいえます.診療報酬改定に対する要望や,

会長就任ご挨拶 123

会長就任ご挨拶

親雄

[役員交代にあたって]

(6)

保険審査に関する活動が,施設の「経営支援」につながると信じています.

以上の活動目標を達成するためには多くの会員のご意見をいただくことが必要で,従来の支部を介した交 流以外に,常任理事会・医会事務局と個々の会員が,医会ホームページを介し直接の交流が図れる仕組みを 立ち上げたいと考えています.また,支部結成については,お願いして,または要請に応じて,常任理事会 のメンバーが地域を訪問し,お話しさせていただくことを考えております.

いずれにしましても,わが国経済の破綻による医療全般にわたる強い逆風(特に透析医療に関しての偏見 とも思える厳しい逆風)の中で,透析患者とその家族,透析施設で働く職員とその家族の幸せのために,当 会の活動を一層充実させる必要があり,すべての会員のご支援をお願い申し上げて,ご挨拶とします.

(7)

透析医会の役目は「適正な透析医療を世に提供すること」を目的とした医師の集団と解釈しています.そ のために学術的な検討も必要ですし,会員の経営基盤を守る経済的な検討も重要と考えています.これらを 踏まえて,次の

2

点を考えてみました.

① 透析療法が始まって

35

年近く経ち,20万人の患者さんのお役にたっております.この「透析療法 の足跡」を残すための博物館のようなものを作れないものでしょうか.今ならコルフ型,キール型など の機種をお持ちの先生方もおられるのではないでしょうか? 一つの文化として残したいと考えており ます.

② 高齢者透析が増加し,介護保険も導入され,自己負担も当然のように導入され,医療財源も多様化の 傾向があります.高齢者透析は「cure」だけでなく,「care」が必要なことが少なくありません.この 辺の学術的,経済的な検討を医会で充分できればと考えております.

会長の山

先生をはじめ理事の諸先生方と協力しながら,会員の皆様のために少しでもお役にたてればと 考えております.皆様のご支援,ご協力をお願い致します.

医療法人社団心施会 府中腎クリニック

(杉崎弘章)

* * *

私の診療所で今年透析歴

30

年目を迎えられた患者さんがおられます.合併症とシャント手術歴は数多い ものがありますが,何とか

ADLは保ちつつ毎日の生活を送っておられます.本人はギネスブックに挑戦と

頑張っておられます.彼女の顔を見ているとキール型ダイアライザーの頃の光景が私の頭に浮かんできます.

この患者さんと同じように私も長い間透析医療に取り組んできました.現代では透析療法は改良,進歩し,

社会的に広く国民に認められる迄になりました.患者数の増える中で,糖尿病性腎不全の増加,高齢化,高 齢患者の導入,長期生存者の合併症の問題等が出現しております.

私の施設でも透析予定日に受診されない患者さんがでて来て,スタッフを困らせています.これらに対応 する私達は,医学的根拠にもとづいて毅然とした態度で接するとともに,患者それぞれの生活の背景にある ものを考えながら接しています.

このように変わりつつある社会情勢の時期に日本透析医会の役員を引きうけることになりました.現状を 踏まえてよりよき医会になるよう微力ながら頑張りたいと思います.会員数増加には何をすべきでしょうか?

それには魅力ある環境作りが必要でしょう.現存する制度を整理し,新たなサービス作りをし,都道府県単 位で考えてもらって,一人でも多くの会員の入会が必要だと思います.

透析医学会との違いを鮮明にし,医会のできる会員還元サービスとは…….ITを利用して会員のあらゆ る質問に答えられるようなシステムを考えるのは無理でしょうか?

質を高めることも非常に大切で,医療ミス,感染症,水質問題等改良すべき問題が見られます.これらの

常任理事就任にあたって 125

常任理事就任にあたって

杉崎弘章 小野山攻 鈴木正司 廣田紀昭

[役員交代にあたって]

(8)

問題を解決していくことが日本透析医会(会員)の発展につながると念じておりますので,会員の協力よろ しくお願いします.

医療法人 小野山診療所

(小野山攻)

* * *

このたび日本透析医会の常任理事を命ぜられましたが,本会のこれまでの歩みを振り返りますと,その責 任の重大さ故の緊張と同時に,この若輩者に務まるのかとやや戸惑いを感じております.

本会の発足当時のご苦労は,私の恩師である平澤由平先生が全国を奔走していた姿を目の当たりにしてい た立場でしたから,よく理解しているつもりでした.しかし平澤前会長の辞任挨拶の中で,本会を作り上げ る過程で努力された多数の先輩の先生方の存在が大きいものであったことが,改めて理解できました.

ご存知の如く,わが国は少子高齢化の社会構造に向けて急速に変化しつつあります.福祉国家を目指すと 言われながらも,現実には高齢者の医療費に対する社会の視線が日に日に強くなって行く感じがするのは,

私だけの思い過ごしでしょうか.そして年々,透析患者の高齢化が叫ばれています.

私とて右肩上がりの経済成長が終わったことは,よく理解できているつもりです.しかし透析療法を含む 高齢者の医療環境が日増しに厳しくなる現実から目を背けるわけには参りません.

本会を通して私なりに,世界の最高水準の治療レベルを落とすことなく,納得のいく医療をリーズナブル な報酬で提供し続ける道を模索して見たいと考えて居ります.

現在は透析医学会の常任理事も兼任する立場にありますので,これまで以上に学会と医会との充分な連携,

協力体制を維持することにも役立ちたいと念じております.

諸先輩の先生方,あるいはともに学会,研究会で自由な意見を交換させて頂いている皆様方の暖かいご協 力と,ご鞭撻をお願いし,ご挨拶と致します.

(福祉)新潟市社会事業協会 信楽園病院 内科(腎臓)

(鈴木正司)

* * *

北大医学部を昭和

39

年に卒業後,北大泌尿器科の,故辻一郎先生のもとで泌尿器科全般と腎移植につい て学ばせていただきました.慢性腎不全の治療法として,当時の腹膜かん流や血液透析はまだ未完成で,そ のため腎移植

Reci pi ent

の術前状態はきわめて不良であり,腎移植手術は術後合併症などでなかなか成功 しませんでした.この問題を解決すべく,私たちは腎移植手術を

2

年間中断して慢性血液透析の技術習得 に専念しました.その後,昭和

43

年より血液透析管理下でより良好な術前状態で腎移植を再開するように なって,ようやく移植腎の長期生着が得られるようになりました.

私の透析との付き合いは,このような経緯で,いわば黎明期の透析との出会いで始まり,以来,もう

30

数年以上になりました.昭和

52

年より札幌市にて泌尿器科医院を開業しております.当医会には発会時よ り入会させて頂きました.平成

6

年からは北海道地区よりの理事猪野毛氏の勇退の後を引き継ぐ形で,理 事に御指名いただきましたが,ただ名を連ねていたというだけでした.今,とつぜん常任理事を拝命し,実 のところ慌てふためいている現状です.山崎会長始め当医会運営のエキスパートの諸先生に宜しくお教え願 いたいと存じます.

透析医療の将来像としてはできるだけ少ない数の患者にレベルの高い医療とサービスを供給できるのが望 ましいと考えます.もちろん患者を限定するという意味ではありません.

① 慢性腎不全の治療:さらに腎移植(特に献腎移植)の普及を進め,移植と透析とが相補うバランスが とれたかたちにする.

(9)

② 保存期慢性腎不全の治療:原疾患から腎不全への進展や加齢による腎機能低下などを阻止する治療の 進歩を計る.

③ 原疾患の治療:腎炎・糖尿病性腎症などの予防および治療の進歩を計る.

以上のような事柄がうまく達成できれば,患者にとっても医師にとっても,この医療の将来は明るい気が します.如何でしょうか.

廣田医院

(廣田紀昭)

常任理事就任にあたって 127

(10)

はじめに

透析患者では,活性型ビタミン

D製剤は主として

腎性骨異栄養症の治療に用いられる.腎性骨異栄養症 は腎不全とその治療に起因する代謝性骨疾患の総称で,

線維性骨炎,骨軟化症,両者の混在した混合型腎性骨 病変,および無形成骨に分類される.透析液に使用さ れる水道水の浄化やリン吸着薬に用いられたアルミニ ウム(Al)製剤の禁止から,Alの体内侵入が防止さ れて以来,Alの蓄積が主因であった骨軟化症はほと んど姿を消した.線維性骨炎の病因は

2

次性副甲状 腺機能亢進症で,最近この

2

次性副甲状腺機能亢進 症に新しい治療手段が開発されている.

1 2次性副甲状腺機能亢進症治療の問題点

2

次性副甲状腺機能亢進症には種々の要因が関与す るが(表

1

),主因はリンの体内蓄積と活性型ビタミ ン

Dの欠乏である.活性型ビタミン D製剤について

20

年前にアルファカルシドールが実用化され,

2

次性副甲状腺機能亢進症の予防と治療は完結すると期 待されたが,現実にはその期待は幻に終わった.この 事実は透析期間が増加するに従い管理困難な2次性副 甲状腺機能亢進症発症のリスクが上昇するという日本 透析医学会の調査によっても裏付けられる.

この調査によると,

5

~10年の透析歴に比べ,

15

~20年では

3. 9

倍,20年以上では

7. 3

倍も副甲状 腺摘除術(PTx)あるいは経皮的副甲状腺内エタノー ル注入法(PEIT)のリスクが増加し,2~5年では逆 にリスクは

0. 75

倍と有意に減少するという(図

1

1. これは,従来の活性型ビタミン

D製剤を用いた治療

では,短期的に

2

次性副甲状腺機能亢進症を抑制し えても,10年以上の長期にわたってはコントロール できないことを示している.

この大きな理由は,排泄路を持たない腎不全患者で 生理的レベルの血清活性型ビタミン

D濃度を維持し

ようとすると高カルシウム血症が出現することで,リ ン吸着薬に

Al

製剤が禁忌とされ,カルシウム製剤で

新しい Vi tami nD療法

秋澤忠男

[透析医療における CurrentTopi cs2001 ]

和歌山県立医科大学血液浄化センター

1 2次性副甲状腺機能亢進症の病因 1. リンの貯留

血清カルシウムの低下 ビタミンD活性化障害 副甲状腺に対する直接作用 2. 活性型ビタミンDの欠乏

血清カルシウムの低下 ビタミンD受容体減少

直接的PTH産生・分泌抑制刺激の低下 副甲状腺増殖抑制刺激の低下

3. ビタミンD受容体,post受容体の異常 数の減少

受容体機能の異常

responseelementとの結合阻害 4. カルシウム受容体の異常

受容体数の減少

Ca-PTH S字状曲線の右・上方偏位 5. 骨のPTHに対する反応性低下

PTH受容体減少 PTH血症 ビタミンD欠乏 高リン血症 その他

6. 副甲状腺細胞のsomaticmutation 7. 副甲状腺細胞apoptosisの抑制?

8 遺伝的背景

ビタミンD受容体 カルシウム受容体 PTH受容体

などの遺伝子多型

(11)

代用されるとこの傾向はさらに顕著となった.つまり

2

次性副甲状腺機能亢進症を抑制するのに十分な活性 型ビタミン

Dを投与しようとすると高カルシウム血

症となり,活性型ビタミン

Dを減量するか,リン吸

着薬であるカルシウム製剤を減量し,高リン血症を是 認するかのディレンマに陥らざるをえないわけである.

こうした経緯からカルシウム上昇作用の弱い活性型 ビタミン

Dアナログと,活性型ビタミン D濃度が急

激に上昇し,かつ血中持続時間の短い静注療法用活性 型ビタミン

D製剤の開発が期待された.

2

新しい活性型ビタミン

Dアナログ

活性型ビタミン

D製剤(表 2

)として,カルシトリ オール(cal

ci tri ol

:1,

25

(OH)2

vi tami n D

3)の注射 剤が長く用いられていた米国では,ビタミン

D

2製剤 がこの目的に応用され,pari

cal ci tol

doxercal ci f- erol

が開発された.前者は

19 Nor- 1,25

(OH)2

vi ta- mi n D

2の注射製剤で, プラセボに対して強力な

PTH抑制効果を示す一方,血清カルシウム,リンの

増加は比較的軽度である2.これまで使用されていた

cal ci tri ol

静注剤に対する比較試験では,PTH抑制作 用に差はみられなかったものの,血清カルシウム上昇 作用では,pari

cal ci tol

が有意に軽度であったという.

血清カルシウム上昇作用については,本剤使用に伴い 徐々に腸管と骨からのカルシウム誘導の反応性が,ポ ストレセプターレベルで低下する機序が最近報告され ている3.本剤は

Zempl ar

という商品名でアボット 社から発売されている.

後者の薬剤は

1

α(OH)

vi tami n D

2剤で,静注投与

のほかに,経口の場合は週

3

回透析毎に投与する,

いわば経口ミニパルス製剤として使用される.本剤も プラセボを対象に著明な

PTH抑制効果を示し,血清

カルシウム上昇作用は比較的軽度に保たれた3.しか し,静注や経口

cal ci tri ol

パルス療法との比較試験で の 優 位 性 は 十 分 に 証 明 さ れ て い な い . 本 剤 は

Hectorol

という商品名で

BoneCareInternati onal

社から発売されている.

わが国でもカルシウム上昇作用の軽微な活性型ビタ ミン

Dアナログの開発が試みられ,期待に応えて最

初に登場したのが

maxacal ci tol

(オキサロール注:

中外製薬)であった.

本剤は

cal ci tri ol

22

番目の炭素を酸素に置換し た構造を持つ合成ビタミン

D製剤で,その構造式か

22 oxacal ci tri ol

(OCT)と呼称された.

OCTは cal ci tri ol

よりも血清カルシウム上昇作用を軽微に抑 えつつ,高い

PTH抑制効果を持つことが i nvi t ro

や 動物実験で示されており,その作用機序として,副甲 状腺のビタミン

D受容体(VDR

)対する

affi ni ty

cal ci tri ol

1/8

であるのに対し,ビタミン

D結合蛋

白に対する

affi ni ty

1/500ときわめて弱いこと,

血中半減期が約

100

分と短いこと,VDRに結合する 際に作用する

cofactor

cal ci tri ol

と異なることな どが報告されている.

PTH

の産生・分泌抑制作用は

VDRとの結合に強

く依存し,この結合は

OCT投与後早期に出現するこ

とが確かめられている.一方,血清カルシウムの上昇 はビタミン

D結合蛋白との結合が大きな影響を持ち,

この結合が弱いことと,血中への停滞時間が短いこと でカルシウム上昇作用は抑制されると考えられている.

臨床試験では濃度依存性の強力な

PTH抑制作用が

認められた.血清カルシウムの上昇作用も濃度依存性 であったが,カルシウムや

PTHの変化に応じて投与

新しい活性型ビタミンD製剤 129

2 カルシウム上昇作用の軽度な活性型 ビタミンDアナログ

1 26,27 F61,25(OH2D3

falecalcitriol 2 22 oxa 1,25(OH2D3

maxacalcitol(OxarolR 3 19 Nor1,25(OH2D2

paricalcitol(ZemplarR 4 1α(OHD2

doxercalciferol(HectorolR

1 透析歴が血液透析患者の1年間のPTX,PEIT 発生に与えるリスク

(日本透析医学会:わが国の慢性透析療法の現状19981231 日現在,p649より引用)

(12)

量を調整することで,高カルシウム血症のリスクは軽 減されたという4.また,PTHの低下に伴い,骨代 謝マーカーは減少し,高代謝回転を示す線維性骨炎に も改善が認められたが,cal

ci tri ol

では骨の代謝回転 を過度に低下させ,低回転骨をもたらすリスクが指摘 されている.この点について

OCTでは,2

次性副甲 状腺機能亢進症に起因する繊維性骨炎には強い改善効 果を示す一方,骨代謝の抑制は軽度であることが動物 実験で示されており,低回転骨発症の危険性は低いの ではないかとの期待も持たれている.

本剤のもう一つの特徴は,わが国最初の静注ビタミ ン

D製剤である点で,これまでの経口製剤にはない

高い血中濃度のもたらす効果が期待される.

次いでわが国で開発されたカルシウム上昇作用の軽 微な活性型ビタミン

Dアナログが, fal ecal ci tri ol

(F6

1, 25

(OH)2

D

3)である.本剤は

cal ci tri ol

26

位と

27

位の水素をすべてフッ素で置換した合成ビタ ミン

Dアナログで,経口薬であるが,代謝産物の細

胞内活性が強く,またビタミン

D結合蛋白との親和

性が比較的低いことなどから,

cal ci tri ol

より強い作 用を持ちながら血清カルシウムの上昇作用は軽度とさ れている5.事実同じ経口薬のアルファカルシドール とのクロスオーバー比較試験では,

fal ecal ci tri ol

投 与時とアルファカルシドール投与時で血清カルシウム

に 差 が な か っ た に も か か わ ら ず ,

PTH

抑 制 は

fal ecal ci tri ol

投与時に高度であったと報告されてい る6.本剤はフルスタンとして大正製薬とキッセイ薬 品が本年

6

月から販売する.

3

静注用

cal ci tri ol

製剤

わが国では経口製剤しか市販されていなかった

cal ci tri ol

についても,静注製剤が

6

11

より発売 されている.臨床試験では用量依存性の

PTH抑制効

果と血清カルシウム上昇作用がみられたが7,血清カ ルシウムと

PTHの動きに応じて投与量を調節するこ

とで長期的には

2次性副甲状腺機能亢進症の効果的

な管理が可能であったという.米国では高カルシウム 血症などからビタミン

D

2製剤への転換が図られたが,

食事中のカルシウムや蛋白摂取量が異なるわが国での 効果が注目される.本剤はキリンビールからロカルト ロール注との商品名で発売されている.同じ静注製剤 である

OCTと効果と安全性が比較されることとなろ

う.

このように多数のビタミン

D製剤やそのアナログ

2HPTの治療薬として新たに登場している(図 2

).

しかし血清カルシウムを上昇させずに

PTHの抑制の

みをもたらすビタミン

D製剤は実用化されておらず,

この点からはいずれの薬剤を用いるにせよ,高カルシ

2 新しいビタミンD誘導体の構造式

(13)

ウム血症と過度の

PTH抑制の定期的な監視と適切な

用量の調節は不可欠である.

4

静注用ビタミン

D製剤の新たな使用法

副甲状腺にエタノールを直接注入し,2次性副甲状 腺機能亢進症の治療をはかる方法(PEIT)は,内科 的治療に抵抗する

2

次性副甲状腺機能亢進症に対し,

PTx

に代わる治療法として行われてきた.ドップラー エコー下で血流を確認しつつ腫大した副甲状腺に

PEITを繰り返すと,副甲状腺細胞の壊死から PTH

は下降する.副作用として疼痛や反回神経麻痺がある ため,熟達した術者が解像力の高い超音波診断装置を 用いて施行する必要があるとされる.最近ではエタノー ルに代わり,cal

ci tri ol

などのビタミン

D製剤やビタ

ミン

Dアナログなどを直接注入する方法も考案され

ている.こうした薬剤は注入を繰り返し頻回行う必要 があるものの,反回神経麻痺などの副作用は回避でき る.このような治療は経皮的副甲状腺インターベンショ ンと総称されており,新しい薬物療法とともに有力な

2HPT治療手段になると期待される.

5

今後の展望

2

次性副甲状腺機能亢進症の病因である活性型ビタ ミン

Dの欠乏に対しては,高カルシウム血症の出現

を防止しつつ

PTH抑制の可能な活性型ビタミン Dア

ナログや活性型ビタミン

D製剤の開発により新たな

治療手段が実用化された.同時に高リン血症について も新たな治療手段が海外では実用化されている.欧米 で市販されているのはカチオンに荷電したポリマーで ある

sevel amer

で(図

3

),本剤は腸管で分解,吸収 されることなく便中に排泄される.リン酸は陰性に荷 電しており,腸管内では陽性荷電の

sevel amer

に吸 着され,排泄されることで高カルシウム血症やアルミ ニウム蓄積を懸念せずに,より簡便にリンのコントロー ルが可能となった7

わが国でもより効果的な

2

次性副甲状腺機能亢進 症の予防と治療のために,こうした新しいリン吸着薬 の

1

日も早い実用化が待たれる.

1) 日本透析医学会:我が国の慢性透析療法の現況―1998 1231日現在;日本透析医学会,1999

2Martin KJ,GonzalezEA,GellensM,etal:19 Nor 1α 25 dihydroxyvitamin D2(Paricalcitol)safely and effectively reduces the levels of intact parathyroid hormone in patients on hemodialysisJ Am Soc Nephrol9;1427,1998

3BrownAJ,FinchJ,TakahashiF,etal:Calcemicac- tivity of19 Nor1,25(OH2D2decreaseswith duration oftreatment.JAm SocNephrol,11;2088,2000.

4TanAU,LevineBS,MazessRB,etal:Effectivesup- pression ofparathyroid hormoneby 1α-hydroxyvita min D2in hemodialysispatientswith moderatetose- vere secondary hyperparathyroidism.Kidney Int,51;

317,1997.

5) 黒川 清,秋澤忠男,鈴木正司,他:透析期腎不全患者に 合併した2次性副甲状腺機能亢進症に対する 22-oxacalcit- riol(OCT)注射剤長期投与の効果.腎と透析,48;875 2000.

6MoriiH,InoueT,FukunagaM,etal:Efficacy and safety oflong-term oralfalecalcitrioltreatmentin pa- tients with renal osteodystrophy. J Bone Miner Metab,16;44,1998.

7Akiba T,Marumo F,Owada A,et al:Controlled trialoffalecalcitriolversusalfacalcidolin suppression of parathyroid hormone in hemodialysis patients with secondary hyperparathyroidism.Am J Kidney Dis,32;238,1998.

8Slatopolsky EA, Burke SK, Dillon MA, et al: RenaGel,a nonabsorbed calcium-and aluminum-free phosphate binder, loweres serum phosphorus and parathyroidhormone.KidneyInt,55;299,1999.

新しい活性型ビタミンD製剤 131

3 Sevelamer(RenaGelRの化学構造

(14)

1

はじめに

去る

2000

6

2

,3日の

2

日間、横浜市のヨコ ハマシンポジアにおいて,第

12

回国際サイコネフロ ロジー学会が開催された.この学会は

2

年に

1

回開 催される国際学会で,これまでは

Norman B.Levy

会長の指導のもとでアメリカ国内各地で開催されてき た.今回は,Levy会長からちょうど

1

年前に急な依 頼があり日本で開催することになった.例年は

3

日 間にわたる学会であるが,今回は予算の関係から

2

日間とせざるをえなかった.

プログラムは,初日を透析関連演題を中心に,2日 目を一般演題と腎移植関連演題を中心に区別して,透 析関係者と腎移植関係者がそれぞれ

1

日だけでも参 加しやすいように配慮をした.

本稿では,初日の透析関連演題からのトピックスを 選んでご紹介したい.

2

特別招待講演

1

「血液透析患者における抑うつと生存」

(DepressionandSurvivalinHemodialysis

Patients

)PaulL.Kimmel,MD,George

WashingtonUniversity

透析患者の死亡率を上げるリスクファクターについ ては身体医学的にはよくわかっている.が,心理社会 的因子についてはまだよくわかっていない.1つの因 子である「抑うつ」(depressi

on

)は死亡率を左右す ることは知られている.とはいっても,過去の研究で それがはっきりと証明されたわけではない.

ワシントン市内の3つの透析施設の協力を得て約

300人の患者で「抑うつ」に関しての調査研究(a prospecti vecohortstudy wi th l ongi tudi nalfol - l ow- up

)を行った.2年間

6カ月ごとに Beck D e- pressi on Inventory

(BDI),年齢,血清アルブミン 値,Kt/V,protei

n catabol i crate

(PCR)を測定し た.対象にはアフリカ系アメリカ人が多く,男性が女 性よりも多い.平均年齢は

55

歳.40% が糖尿病患 者であった.平均アルブミン値は

3. 8

.Kt/Vは

1. 2

. アメリカの透析患者としては平均的なデータである.

BDI

11. 4

.軽度うつ状態をやや上回る程度であっ た.むしろ,かなり適応性がある.社会的サポートや 自身の疾病に対するイメージが生存率の違いに関係し ているようであった.

BDI

と生存率は直接相関して いなかった.

透析患者を

1回調査してなにかをいうのは間違っ

ている.結局,3年間で

6

回調査を行った.そうする と統計学的に有意差が出る.時期を変えて調査を続け てみると,うつ状態と死亡率は関係していた.BDI が

10

点以上あれば,生存期間が短いといえた.

もう

1つ婚姻状態によっても生存率は影響を受け

ている.特に女性のグループではうつの点数とインター ロイキン

1

,ベータエンドルフィンの値に関して,死 因と関係している.同時にこれらは婚姻状態とも相関 していた.男性については,そのような結果は出てい ない.結婚に満足している女性は不満な女性あるいは 男性一般よりも生存期間はずっと長くなっている.

うつ状態にある患者がグループ治療に参加した場合,

参加しなかったグループよりも生存率はずっと長くなっ ている.うつに対する集団精神療法が生存率を改善し た.一方で,抗うつ薬のいいものが出ているが,それ

第 12 回国際サイコネフロロジー学会のトピックスから

春木繁一

[透析医療における CurrentTopi cs2001 ]

松江青葉クリニック 東京女子医科大学腎臓病総合医療センター

(15)

らが本当に透析患者に効果があるのかについては確証 がない.今後の研究課題である.

ニューヨークのある新聞に,アメリカの透析患者の 死亡率が非常に高いという記事が載った.日本ではア メリカに比べて,半数以下になっている.なぜ低いの か? どうも透析技術の違いではなくて,家族の役割 の違い,家族のあり方の違い,家族のサポートの違い がありはしないかと思っている.

2010

年には「抑うつ」は心臓病についで死因の

2

番目になるだろうと予測されている.腎不全のほかに もう

1

つ病気を持てば「抑うつ」の頻度は高くなる.

ネフロロジストによって「抑うつ」が軽視されていな いか? 私の経験ではほかの身体症状や病態と比べて 軽視されていると思う.事実,軽視されやすい.

3

特別招待講演

2

「35年間にわたる末期腎不全の心理的インパクト」

(ThePsychologicalImpactof35 yearswith

ESRD

Peter A.Lundin, State University, New York

残念ながら

Lundi n

先生は日本には来れなかった.

が,前日までの筆者(春木)とのメールのやりとりに よって,彼の聴衆に伝えたい内容は筆者と栗原幸江さ ん(在ニューヨーク,MSW)の代読によって十分に 伝わった.むしろ彼が壇上にいないことがこの

spi ri t- ual

な内容を理解するのに思わぬ効果をもたらした.

Lundi n

先生の強い意志,継続した努力,そしてな によりも奥様の献身的な協力が透析生活

35

年を実現 させたと思われる.

筆者は彼と京都での第4回国際人工臓器学会(the

4thMeeti ngof Internati onalSoci etyforArti fi - ci alOrgans,November1417,1983

)で初めて会っ た.タイトルは「TheDoctorasaPati

entUnder- goi ngUremi aTherapy

」というワークショップだっ たと記憶している.彼との往復の

X uのやりとりと

彼の置かれた状況を以下に記載してみる.

2000年 3

8

日の手紙:「私の健康が急速に衰え ています.日本に行けるかどうか自信がなくなってき ました.4月末までには返事をしたいのですが……」.

4

28

日:「私は元気になってきましたが,妻の健 康状態が非常によくありません.6月に日本へ行ける かどうか」.

5

2

日:「妻の生命はあといくばくかと思われる 状態です.とにかく原稿をメールで送ります.みなさ んからの励ましをありがたく思います.おかげで力づ けられています.

私が先に死んで,妻が私を看取ってくれるものと思っ てきました.彼女を失う苦しみには私はとうてい耐え られないと思います.考えてみると,医学部の生活そ してその後も常に彼女の愛に支えられてきました.彼 女が意識を取り戻してもう一度元気になってくれたら いいと思いますが,ちょっとそれはむつかしいかもし れません.眼をさましている彼女を目の当たりにする ことはもっと苦しいかもしれません.昏睡状態でいて くれてほっとする面もあります.今となっては奇跡の みが彼女を救うことができます.私はその奇跡を祈っ ています」.

5

14

日:「昨日彼女を自宅に連れて帰りました.

浮腫がひどくて玄関のステップを上げるのに苦労しま した.隣人が助けを出してくれました.すばらしい隣 人に恵まれて,しかし今後の苦しい生活を覚悟しない といけません.彼女の妹が来てくれて栄養士として援 助してくれます.

春木先生とアメリカではなくて,日本でお会いする ことを愉しみにしてきましたが,妻の健康がそれを許 しません.

私は

22

歳,1966年に発病した.1963年から具合 は悪かった.しかし,私自身は知らなかった.当時

16

歳で蛋白尿.18歳で夜間頻尿.やがて呼吸困難,

朝の吐き気,起座呼吸.1966年初めには入院.当時 私は医学部進学を希望していた.医学を一生の仕事に したい,と.家族は病気のことを知っていたが,私は なにも知らされていなかった.自分が住んでいる地域 では透析はまだ行われてはいなかった.腎移植は入院 している病院でも行われていたが,身内にドナーがい なかった.でも医師になりたいと思い続けていた.父 がシアトルに家庭透析を訓練する施設があると聞いて きた.

今日こうして生きているのは父のおかげである.父 は

2

万ドルを払ってこのプログラムに入れてくれた.

「どんなことがあってもやりとげよう」と思った.「と にかく生き続けるだけだ」と.抑うつや怒り,不安,

なぜ自分だけがという気持ちはいっさいなかった.こ うした感情が生まれたのは「医学部進学は無理だ」と

12回国際サイコネフロロジー学会のトピックスから 133

(16)

のちに言われたときである.透析患者では無理だ,と 考えられていた.10校のうち

7

校は単純に「拒絶」,

面接をしてくれたのは

3

校であった.ある大学では

「来ないのが君のためだ」と言われた.このときが一 番落ち込んだときであった.透析は

10

時間,週

3

回.

夜間に行った.「いちかばちか賭けてみようじゃない か」と言ってくれた人がいた.DownstateMedi

cal Centerの El iA.Fri edman

先生だった.

カリフォルニアを遠く離れてニューヨークで

1

人 で透析をしつつ医学生としての生活を送ることもため らわなかった.チャンスを与えられたからである.マ ウリーンは当時の私のガールフレンドでのちに私の妻 になった.常に私に気持ちを添えてくれた.

5

19

日:「妻が亡くなりました.今,私は沈痛な 日々を送っています.マウリーンは心の友であり,文 字どおりの伴侶でした.一番の親友でした.大切な

soulmate

でした.もう戻ってくることはありませ ん.私の心が和らいだとき,いかに彼女が私の人生に 貢献してくれたかわかるでしょう.妻は亡くなりまし た.初めて私は透析を受けていることの危うさを感じ ています」.

4

シンポジウム

1

「透析中止」

(DiscontinuationofDialysis)

1

)「透析中止―最近の日本での傾向と倫理的問題」

(Di

sconti nuati on ofDi al ysi s- Currenttrends i nJapanandrel atedethi calprobl ems

) 大平整爾

日鋼記念病院

日本では腎移植が大きい制約を受けている.一方で,

透析治療はいつでも,どこでも受けることができる.

最近は,高齢で,重篤な合併症をかかえた患者の透析 治療を始めるべきか,あるいは継続すべきかという決 定を迫られることが多い.腎移植なしに「透析中止」

を決定することは「死の道」につながる.医療者にとっ ても深刻な決定である.

この

40

年間,透析で延命可能になったことについ ては感慨がある.

1986

年,

Neu先生と Kj el l strand

先生が「長期透 析の中止」 という論文 (Neu,S and Kj

el l strand,

CM :Stoppi ng l ongterm di al ysi s- An empi ri cal studyofwi thdrawalofl i fesupporti ngtreatment, N.Eng.J.Med.314;14 20,1986

)を発表した.

私も

1993

年にポスター発表でこの問題について述べ て,大きい反響があった.

1996年 12

月,北海道の慢性透析患者

7, 654名に

ついて検討を行った.このうちのわずか

2

例,5.

9

% にのみ事前指示(advanced di

recti ves

)が行われて いた.透析中止の

105例のうち男性 63

(60%),女 性

42

(40%)で優位の差はない.意識の有無につい ては,意識ありが

66

%,意識なしが

34

%.十分な決 定能力があると認められる患者は

19

例,18%.だれ が透析中止を決定したかについて,患者による決定は

18

%.19例である.さらに,口頭で前もってスタッ フに伝えていた患者が

10

例.合計

29

例,28% にな る.残りの

72

% は,家族とスタッフが一緒に決定を 行った.代理者による決定でだれがイニシアチブをとっ たのかは不明である.おそらく家族であろう.平均年 齢は男性

64. 7

歳,女性

65. 2

歳でほぼ

65

歳.このこ とから,透析中止は高齢者に起きる.透析困難は低血 圧による.正常な透析が行えたのは

22

%.とはいっ てもやがては行えなくなるケースが多い.105例の患 者で,35% は人工呼吸器が着けられていた.IVHを 必要とした患者は

62

%.呼吸器感染症が一番多くて,

77

%.透析中止の時点での透析期間は,1年未満が

29. 5

%,1 5年が

40

%,5 10年が

19

%,10年以上 が

11. 4

% であった.5年未満の短期透析患者が

70

% を占めた.すでに透析開始時に重い合併症を有する高 齢患者であったと推測された.中止後死亡までは

5. 4

日で

1

週間より短い.

Cohenの提唱している「良い死,悪い死」(good death,bad death

)をわれわれの対象者にも当ては めてみた.

105

例中,64名に詳細な記録があった.

そのうち

69

% は「良い死」であったと決定できた.

ほかの例では鎮痛剤を十分に使用できなかったり,苦 しい中での死になっていた.家族への影響も重要な問 題である.透析中止を家族が考え直したというのが

11

% あった.「中止が良かったのか,悪かったのか」

というジレンマに悩んでいる家族もいる.

心理的なショックを受けている看護婦もいた.こう いった状況では医師も大変なストレスを受けていたで あろう.

(17)

「事前指示」を書面で行う習慣は日本にはない.ア メリカと日本では医師の倫理的立場にも大きい違いが ある.アメリカには道徳的個人主義があるが,日本に は基礎となるべき原則,ルールがない.「自らの意思 に基づく医療」は今後考えていくべき課題である.

2

)「透析中止をせざるをえない患者の増加―尿毒 症末期で透析を必要とし,末期がんの告知を行っ たケースについて」

(Increasei

nuremi cpati entsi nwhi chdi al y- si stherapy shoul d bedi sconti nued.A case study ofthe pati ent requi red di al ysi s for end stage uremi a and the noti fi cati on of fatalcanceratthesameti me.

伊藤 晃

名古屋増子記念病院

患者は

69

歳の女性.1987年に膜性腎症の診断を 受けている.1992年横行結腸がんで手術を受けた.

がんの手術は成功した.このときにはがんの告知は受 けていない.1993年

12

月のがん再発までは順調に 経過した.再発は転移性病巣が肺にもあった.外科的 治療は無理であった.このときに「残りの生命は

2

年くらい」と告知.本人が化学療法は拒否したので行 わなかった.突然,腎機能が低下したため,透析療法 を開始した.

この女性は複雑な家庭病理を抱えていた.夫はすで に死亡.長男は拡張型心筋症のため入院中で予後は不 良.次男は身体障害者で無職.一家は長男の妻の収入 で生活していた.夫亡きあと彼女が一家を支えてきた.

が,長男とは不仲,一方患者は次男を溺愛してきた.

親族とは疎遠.長い歴史のある未解決の家族内葛藤が 存在した.患者は残り約

2

年と告げられた.いっさ いの治療は拒否したが,透析を受けることは同意した.

予想の時期よりも早く透析が始まったことで,患者は 怒りをスタッフにぶつけた.医療不信が強まった.攻 撃,敵意.その裏には未解決の家族内葛藤が影を落と していた.「せめて彼女が生きている間に少しでも解 決できないか」と医療側は考えた.スタッフの間で役 割が決められた.まず,長男との面会を実現した.

「心置きなく死ねる」と患者.次男は身体障害があり つつも患者のケアを続けた.「先生,ありがとうござ います」.

長男は患者の死に先立つこと

1

カ月で死亡した.

やがて患者は不眠,夜間せん妄,強い疼痛を示した.

モルヒネが使用された.1995年,家族にがんの実態 を伝えて透析中止.患者は長男の死後

1

カ月で死亡 した.

今後,高齢者,悪性腫瘍で腎不全である患者をどう していくのか問題となるであろう.また,患者のみな らず家族への「いやし」も大切に考えられないといけ ない.その中で患者の死が迎えられることがいいと思っ ている.

3

)「透析中止を決定した患者の家族の感情につい て」

(Senti

mentsofa fami l y ofa pati entwho hasdeci dedtosuspenddi al ysi streatment

) 宇田有希

真仁会

日本でもインフォームドコンセントの必要性が

90

年代に入って叫ばれだしたが,情報開示は進んでいな い.1967年に日本でも透析医療が始まった.透析を 拒否する患者がいなかったわけではない.しかし,いっ たん導入されたら中断することは考えられなかった.

大体,患者は重症となった時点で入院となる.そして,

最期を病院で迎える.この症例は非常に珍しいといえ る.家族の了解のもとで透析を中断するに至った経過 を報告する.

65

歳の男性.13年

6

カ月の透析歴がある.原因疾 患は糖尿病である.52歳で透析に導入となった.裕 福な家庭で育った.実家の土建業を継いでいた.彼の 透析は緊急透析で始まった.しかも,その際に心停止 後の救命を経験している.1999年

3

月,家族の介護 疲労で入院となった.が,帰宅願望が強いために帰宅 した.この頃から感染症が悪化,下肢の激痛,壊疽が あった.切断は不能であった.激痛が続き,妄想が出 現した.「近所の人たちが悪口を言っている.お金を だまし取られた.ババーが俺に死ねと言った」など.

「もういつ死んでもいい.覚悟はできている.だから 入院はさせないでくれ」.患者は家族と離れて入院す ることに強い不安を持っていた.意識低下をきたすま で患者も家族も最期までの延命処置を希望しなかった.

意識レベル低下で透析の継続が不可能になった.入院 を説得したが,家族は「自宅で看取りたい」と.スタッ

12回国際サイコネフロロジー学会のトピックスから 135

(18)

フは戸惑う.カンファレンスを繰り返す.法的に問題 がないかについても検討した.医師の速やかな対応に よっていついかなるときにも責任は持つと家族に保証 を与えたことで家族は自宅での「看取り」を決定した.

1999

6

月3日最終透析.10日後に死亡した.在宅

6

日間はせん妄状態であった.

クリニックだからといって,安定した患者のみを抱 えていくことは今後どうであろうか? 高齢,糖尿病,

長期透析患者は「熟練」を要求している.ターミナル ケア,ハイリスクケア,精神障害ケアのできる専門看 護が求められている.患者と家族の意見を尊重するこ と.家族の介護力を冷静に評価することも大切である.

揺れる患者と家族の心理状態についていき,よく見る こと.不安が表出された場合には医療者の責任を明確 にすること.誠意を持って対応していく姿勢,態度を 保証することが重要である.絶対的な信頼関係があっ てこその透析中止である.

4

)「無題」

C.M.Kj el l strand Aksys,USA 4

つのテーマがある.

a

) 緊急な透析中止も透析死の一因となるという 事実.

b

) 文化的な背景の違い.

c

) なぜ患者は中止するのか?

d

) 透析中止に対する非宗教的で倫理的なアプロー チの必要性.

西欧諸国では「死」すなわち「透析中止による死」

が死因の第

2

位になっている.感染症を超えてであ る.80年代初めまでは経験しなかった.3例に出会っ たことが最初の経験である.その後

20

年間にわたっ て調査を行った.1,

766例中,704

例が死亡している.

そのうち

155

例で透析中止が行われていた.9% で あった.死亡率に占める割り合いは

22

% であった.

近年は明らかに「透析中止」が増えている.22% く らいになってきた. アルバカーキーでの報告では

60

% が中止による死亡といわれている.ニューキャッ スル(イングランド)でも増えている.ミネソタでは 中止を死因としては報告していなかったので,統計上 低く出ている.数字が出始めると,20% という数字 が出ている.カナダ,オーストラリアも

10

数%であ

る.ヨーロッパでは数字は低い.日本では大変に低い.

主要な透析施設では年々高くなる傾向にある.EDTA の報告では

3 4

% にしかなっていない.どうも事実 を隠す傾向がある.

1982

年に

40

例の死亡例について検討し,22例は 自殺,中止,事故であった.21例は心停止となって いた.すべての例で最後は心停止となる.むしろなぜ 中止と報告できなかったのかについて取り上げたい.

医師はこのテーマについて怖じ気づいている.医師 としては死を怖れる.中止を発表すれば恥になると考 えている.非難の手紙や,殺すぞという電話がある.

死が最終的な勝者になったことを認めたくない.また,

訴訟を起こされたくもない.宗教的,社会的規範では どうなのかという問題もある.医師はあらゆる職業の 中でいちばん死に対して怖れを抱いている職業である.

死刑囚よりも怖れている.「すべての手をつくさなかっ た」という非難がある.透析中止はしないと言ってい るほうが都合がよい.が,透析中止はない,と言って いる場合対処のしようがない.実際にはそういうケー スがあったとしても,である.

各国の宗教的背景でこの問題への対応は異なる.白 人のほうが黒人よりも中止例は3倍.高齢者ほど高率 である.高齢,糖尿病,家庭透析,白人,衰弱性疾患,

離婚,介護ホームに居ること,配偶者に先立たれた人,

強い疼痛などがキーワードである.宗教的なことで例 をあげれば,エジプト,イスラエルでは自殺とみなさ れるであろう.カソリック圏でも自殺とされるであろ う.キリスト教国では「死ぬ権利がある」という.宗 教的なことを超えて倫理社会的なシステムが必要であ る.

5

)「透析中止後の“良い死”の保証」

(ThePromi

seofaGoodDeathfol l owi ngDi - al ysi sDi sconti nuati on

Lewi s M.Cohen, MD, Baystate Medi cal Center,Spri ngfi l ed,MA,USA

国によって透析中止の率はさまざまに異なる.アメ リカではますます一般化の傾向にある.

8

つの透析施設で調査を行った.透析中止後の「死 の質」(Qual

i ty ofDyi ng

)についての調査である.

インタビューと最後の

24

時間についてのデータを集 めた.方法は

DDQOD

(theDi

al ysi sDi sconti nui ng

(19)

Qual i ty ofDyi ng

)scoreによる.

131

人の透析中 止による死亡例中,49人,39% はインタビューする には遅すぎてできなかった.79人,60% は本人およ び/あるいは家族にインタビューできた.3人,2% は参加を拒否した.女性が

54

人,59%,男性は25 人,32%.平均年齢は

70

歳.平均透析期間は

34

カ 月.死は中止後平均

8. 2

日で訪れている.センター透 析

80

%,在宅

2

%.白人

60

人,黒人

14

人,ヒスパ ニック

4

人,アジアン

1

人.透析中止の理由は半分 が痛み,あとは苦しさ,呼吸困難.もし十分な緩和ケ アがあれば,もっと楽になったはず.

92

% の患者に おいて,看護婦は見ていて中止したほうがいいと思っ た.10% は中止後

2

日間生きた.36日ないし

40

日 生きた人も

5

人いた.

結果であるが,「大変良い死」(very good death) が

38

%,「良い死」(gooddeath)は

47

%,「悪い死」

(baddeath)が

15

% であった.8人に

1

人が「悪い 死」であった.こうしたケースでは最後の

24

時間に 痛み,動揺,混乱をきたしていた.おそらくは今後は 是正可能だと思う.現在アメリカではそのためのガイ ドラインを作ろうとしている.「死はさけられない」

ものである.死が本人にも,家族にも受け入れられる ようにしていくことが重要である.透析医療の中にも もっと緩和ケアを組み込んでいくようにわれわれは努 力している.

さらにわれわれは「亡くなった方々の追悼サービス」

への招待状を家族全員に送っている.追悼の行事はス タッフと家族を再び結び付ける行事である.「患者が どのような亡くなり方をしたのか」は大切なことであ る.

6

)「透析中止問題における抑うつと自殺」

(Depressi

on and Sui ci dei n Di al ysi sDi scon- ti nuati on

NormanB.Levy,MD

ConeyIsl andHospi tal ,NY,USA

アメリカとカナダの

8

つの透析施設で

prospecti ve studyを行った. 構造的面接を 23

人の患者および

76

の家族に対して行った.

大うつ病は患者と家族の陳述で調査,検出できた.

透析中止の決定は「自殺」と等しいことなのかどうか,

あるいは家族歴に自殺があるかどうかについての質問 も行った.

ただ

1

人の患者が大うつ病を持っていると答えた.

23

人中

2

人,

9

% が「透析中止は自殺だと思う」と 答えた.1人,4% は「どちらかわからない」と答え,

23

人中

20

人,87% は「そう思わない」と回答した.

家族の回答もほぼ似たものであった.

14

% の家族に 自殺歴があった.大多数の患者と家族は透析中止を

「自殺」とは捉えていなかった.

7

)「医師の役割と家族あるいは保護者の役割に焦 点を当てたアドバンスケアプランプロセスの必要 性」

(TheImpl

i canceoftheAdvanceCarePl an- ni ngwi thaFocusontheRol esofthePhy- si ci anand theFami l y/Surrogates.

JeanL.Hol l y,MD Rochester,NY,USA

なかなかに実行されないが,「書面による事前指示」

(wri

tten advancedi recti ves

)がきちんと実行され れば,患者中心の,そして家族中心の医療が医療スタッ フと共有できるはずである.その人のいざというとき のために一生の医療計画をあらかじめ立てておくこと が行われれば,末期医療はより効果的に,適切に行わ れるであろう.そのためには医療スタッフとのコミュ ニケーションが大切であるし,医師―患者関係も良好 なものでありたい.もちろん,ケアプランには医療者 の希望も取り入れられることが大切である.

5

最後に

多くの団体,個人の御協力で非力な筆者が無事にこ の学会を開催できたことについて,あらためて心から 御礼を申しあげたい.各方面からの物心両面の応援に 深く感謝したい.

これを機に日本でもこの領域(サイコネフロロジー)

への関心が拡がっていくことを強く願っている.

12回国際サイコネフロロジー学会のトピックスから 137

図 2 ASO患者の動脈硬化症 糖尿病患者の動脈硬化症で高率にみられる中膜の石灰化(メンケベ ルグ型石灰化)で,単純 X線検査で血管の石灰化像がみられる. 透析患者では高率に観察される. 図 3 足壊疽切断例の頸骨動脈(メンケベルグ型石灰化) 図左の血管横断像は冠状の石灰化を示し,血管内腔が狭 い.図中央上は頸骨動脈の外観である.同血管を X線検 査で撮影すると図下の如き管状の石灰化を呈した血管像 がみられる. 図 4 経皮酸素分圧(TCPO 2 )測定検査 図中央の皮膚を 44℃ に加温する白い電極を装着
図 5 1 レシピエントの年齢別移植腎生着率 (生体腎) (日本移植学会) 図 5 2 レシピエントの年齢別移植腎生着率 (献腎) (日本移植学会) 図 6 1 ドナーの年齢別移植腎生着率 (生体腎) (日本移植学会)
図 7 1 原疾患別移植腎生着率 (生体腎) (日本移植学会) 図 7 2 原疾患別移植腎生着率 (献腎) (日本移植学会) 図 8 1 導入時免疫抑制薬別移植腎生着率 (生体腎) (日本移植学会)
図 10 ドナーとの関係と移植腎生着率 (生体腎) (日本移植学会) 図 11 温阻血時間別移植腎生着率 (献腎) (日本移植学会) 図 12 全阻血時間別移植腎生着率 (献腎) (日本移植学会)
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参照

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