免疫組織化学の基礎と応用
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(2) 免疫組織化学の基礎と応用 蓮井. 和久. 鹿児島大学. 大学院医歯学総合研究科・講師. この講義は、2007 年から大学院専門基礎過程の選択科目として開講しているものである。 教科書には、改訂四版 渡辺・中根の酵素抗体法(名倉宏、長村義之、堤寛 編集)学際 企画を用いています。それに、最近のポリマー法の開発等と私の研究への応用等を基礎に しています。. IX. 光顕的酵素抗体法の超高感度法 超高感度法の 抗原(Epitope)の 増幅された 酵素抗体間接法 非特異 目的は、より微 シグナルの 一次抗体反応に での標識抗体シ 反応抑制 よる特異的標識 グナルの増幅 定量的可視化 量な抗原を検出 することである が、しばしば、 感度低 直接法 可視化量大 よりコントラス トの高い染色像 間接法 を得たいとか、 現実的な問題と 感度高 超高感度法 可視化量少 して、貴重な一 次抗体量を節約 多量 分子単位の量 微量 したい等といっ たものである。 1〉超高感度検出系の基準化は、増幅シグナルの定量的可視化が必要であり、一般 超高感度法も、 に、抗原抗体反応と酵素反応であるので、反応の試薬条件、反応温度と反応時間を 一定にする必要がある。2〉検出系の非特異反応の抑制が必要である。3〉抗原回復 方法の検討が必要である。 酵素抗体間接法 に属し、右図上 の非特異反応抑制、一次抗体での抗原の標識、反応した一次抗体シグナルの増 幅、その増幅されたシグナルの酵素反応による可視化である。抗原検出感度の 上昇は、抗原検出閾値の低下を意味し、分子単位の量の抗原の検出では、非特 異反応の抑制が非常に重要になる。 従って、1) 超高感度検出系の基準化は、増幅シグナルの定量的可視化が必要 であり、一般に、抗原抗体反応と酵素反応であるので、反応の試薬条件、反応 温度と反応時間を一定にする必要がある。2) 検出系の非特異反応の抑制が必要 である。 その一方で、抗原の masking 等や抗原の存在様式により、抗原検出感度は左右 されることから、3〉抗原回復方法の検討が必要である。.
(3) 1. CSA 法 (Catalyzed signal amplification method)/ImmunoMax 法) オリジナルな方法は、 sABC 法 + catalyzed HRP反応 Catalyzed reporter deposition (CARD)反応 reporter deposition sABC複合体 X 1,000 倍の増感 (CARD) 反 応 (Labeled streptavidin 法を含む) に よ る sABC 法 の x1000 倍の超高感度免 疫染色である。異化を 受ける tyramide の標識 ビオチン化 Biotinylated 物に FITC やその他の 二次抗体 tyramide 物質もあり、異化沈着 一次抗体 物の検出方法もそれぞ HRP-labeled 抗原 sreptavidin れに対応している。 このオリジナル法は、 CARD 反応と最終的な 増幅されたシグナルの可視化で2度の HRP 反応を利用することから、内因性ペ ルオキシダーゼを非常に強く検出し、sABC 法と沈着したビオチン化タイラマイ ドの検出で2度のビオチンーストレプトアビチン結合反応を利用することから、 内因性ビオチンを非常に強く検出し、シグナル増幅の過程、即ち、超高感度で あることによる 内因性ペルオキシダーゼ 非特異反応の強 の完全な不活化 い検出が、ヒト病 理組織標本への 導入の初期段階 から問題となっ た。 我々は、右図の ように、内因性ペ ルオキシダーゼ の2度の不活化、 一次抗体反応後. 脱パラ フィン. 1 内因性ペル オキシダーゼ の不活化 8 ビオチン化 タイラマイド のCARD反応 HRP反応. 4 アビチン 溶液反応. 抗原 回復 2 抗体の非 特異反応 抑制. 3 一次抗 体反応. 9 HRP-labeled streptavidin反応. 5 ビオチン溶 液反応. 内因性ビオチンのマスク化 ビオチン化 二次抗体反応 6. sABC 反応 7. 特異反応:充分な洗浄(加温したTBST) 10 可視化反応 (DAB反応). 非特異なCARD反応物 の沈着:適度な洗浄(室 温でPBS). HRP反応. の内因性ビオチ ン(ビオチン様蛋白)のアビチン溶液での標識とビオチン溶液での飽和化でマ スク化を行い、加温 TBST による充分な洗浄を行い、modified ImmunoMax 法 (Hasui K, Sato E, Tanaka Y, Yashiki S, Izumo S. Quantitative highly-sensitive immunohistochemistry (Modified ImmunoMax) of HTLV-1 p40tax and p27rex proteins in HTLV-1-associated non-neoplastic lymphadenopathy (HANNLA) with estimation of HTLV-1 dose.
(4) by polymerase chain reaction. DENDRITIC CELLS 7:19-27, 1997)を確立した。. しかし、工程が多く、内因性ビオチンのマスク化が安定しないことが判明し て来た。そこで、2度のビオチンーストレプトアビチン結合反応を1度に減じ ることで、sABC 法を別の酵素抗体法間接法に置換する開発を行った。 酵素抗体法 非ビオチン検出系 ポリマー試薬 酵素標識 多酵素二次 間接法には、 二次抗体 抗体複合体 非特異反応 右図に示すよ 増幅高 (二次と三次抗体) 増幅中 低増幅 Dako CSA II Hasui et al . 2002 うな感度が低 酵素標識 抗FITC抗体 い酵素標識二 次抗体法、2 段階のステッ FITC プを要する 二次抗体 FITC 標識二次 抗体―HRP 標 一次抗体 識抗 FITC 抗 抗原 体法(通称、 非ビオチン検 出系)、複数の HRP を標識した多 HRP 標識二次抗体法、ポリマー法があり、Dako は多 HRP 標識二次抗体法で (Dako CSA II 法)、我々はポリマー法で sABC 法を 置き換えた(New simplified CSA:.nsCSA 法) 。 nsCSA 法は、一 次抗体反応とポリ マー試薬反応の前 処理として抗体の 非特異反応抑制を 行い、CARD 反応 での異化ビオチン 化タイラマイドの 拡散珍訳抑制反応 を行っているが、 Dako CSA II 法は. 脱パラ フィン. 内因性ペル オキシダーゼ の不活化 FITC標識 タイラマイド のCARD反応 脱パラ フィン. Dako CSA II法. 抗原 回復 抗体の非 特異反応 抑制. HRP標識 抗FITC抗体反応. 内因性ペル オキシダーゼ の不活化. 内因性ペル オキシダーゼ の不活化. 一次抗 体反応. 抗体の非 特異反応 抑制. 抗原 回復 一次抗 体反応. HRP多標識 二次抗体反応. 可視化反応 (DAB反応). New simplified CSA (nsCSA)法 抗体の非 特異反応 抑制. ポリマー試薬 反応. この前処理を行っ ビオチン化 ておらずに、実際 HRP-labeld 拡散沈着 可視化反応 タイラマイド 抑制反応 streptavidin反応 (DAB反応) の染色の実施では、 のCARD反応 nsCSA 法の非特異 反応抑制処理を行う必要があった。また、CARD 反応での異化ビオチン化タイ.
(5) ラマイドの拡散珍訳抑制反応の試薬でも、ビオチン化タイラマイドを用いる場 合は、抗体の非特異反抑制処理試薬で対応できたが、Dako CSA II 法の用いら FITC 標識タイラマイドの異化反応は抗体の非特異反抑制処理試薬で完全に阻害 された。 この現象は、ビオチ FITC標識タイラマイド FITC標識タイラマイド ビオチン化タイラマイドと カゼイン とカゼイン と高分子PEG ンと FITC の分子量の 差によるもので、抗体 の非特異反抑制処理 試薬は分子量の小さ なカゼインでビオチン化タイラマイドの異化沈着を阻害しないが、FITC 標識タ イラマイドの異化沈着反応をカゼインは阻害し、20000 前後の分子量の生化学的 に安定なポリエチレングリコールが、FITC 標識タイラマイドの拡散沈着を抑制 し異化沈着を促進した。 2. 超高感度免疫染色における試薬反応の条件等 1) 内因性ペルオキシダーゼの不活化試薬:過酸化水素水の劣化のチェック(30% 過酸化水素水は pH 4.7 であり、劣化するに従い pH が上昇する。内因性ペル オキシダーゼの不活化が不十分と判断した時には、pH をチェックし、pH5 な いし 6 であれば、新しいものに交換する必要がある。) 2) 抗体の非特異反応抑制には、カゼイン溶液が推奨。BSA 等の動物性蛋白を避 ける(二次抗体試薬への抗 BSA 抗体の混入)。 3) 一次抗体希釈液は、TBST(1 ないし 2% BSA-PBS 溶液も可。しかし、二次抗 体試薬への抗 BSA 抗体の混入の問題あり)。 4) 抗体反応時間は 15 分間。(抗一本鎖 DNA 抗体の免疫染色にて、proteinase K 処理後の抗体反応時間を、15 分、30 分、45 分で比較したところ、15 分での 反応が期待する染色を示し、30 分と 45 分では染色強度は増加したが期待しな い細胞を標識した。個々の抗体により最適な抗体濃度と反応時間を決める必 要がある。) 5) 洗浄緩衝液は TBST。可能であれば加温(35-45℃)の TBST 6) 二次抗体を含む試薬の非特異反応抑制が必要。カゼイン溶液が推奨。 7) CARD 反応前の反応後の洗浄は充分に。.CARD 反応後は通常 (フェノール 類の沈着は、従来、組織中の分子との結合で説明されて来たが、繰り返しの TBST の洗浄では、洗い流されることが判明)。 8) CARD 反応にも、非特異反応(拡散沈着)がある。.
(6) 参考文献 1. Hasui K, Takatsuka T, Sakamoto R, Su L, Matsushita S, Tsuyama S, Izumo S, Murata F. Improvement of supersensitive immunohistochemistry with an autostainer: a simplified catalyzed signal amplification system. Histochem J. 34:215-22. 2002 2. Hasui K, Murata F. A new simplified catalyzed signal amplification system for minimizing non-specific staining in tissues with supersensitive immunohistochemistry. Arch. Histol. Cytol. 68(1):1-17, 2005 3. Hasui K, Wang J, Tanaka Y, Izumo S, Eizuru Y, Matsuyama T. Development of ultra-super sensitive immunohistochemistry and its application to the etiological study of adult T-cell leukemia/lymphoma. Acta Histochem. Cytochem. 45 (2): 83–106, 2012 特許. 特許 2003-366044 (平 15.10.27) 免疫組織化学的染色による抗原の検出方法 特許 2004-234558 (平 16.8.11) 免疫組織化学的染色による抗原の検出方法 3. 三次抗体ポリマー試薬法 ビオチンフリー法の一つとして 開発されたポリマー法はポリマー 法間接法(二次抗体標識ポリマー 法 : secondary antibody-labeled polymer (sALP) method)であり、最. 酵素と三次抗体を担体の ポリマーに結合し た複合体(三次抗体ポリマー法). 二次抗体. 二次抗体 ポリマー試薬. 近。三次抗体ポリマー法(thirdary antibody-labeled polymer method)が 一次抗体 一次抗体 抗原 抗原 商業的に供給されて来た。 Intercalated antibody-enhanced 二次抗体ポリマーリンカー 三次抗体ポリマー法で、二次抗体 polymer (iAEP) method 三次抗体ポリマー法 を 用 い る も の は ntercalated antibody-enhanced polymer (iAEP)法であり、二次抗体ポリマー試薬を用いるもの は 云 わ ば 二 次 抗 体 ポ リ マ ー リ ン カ ー 三 次 抗 体 ポ リ マ ー 法 (secondary antibody-labeled polymer-linker thirdary antibody-labeled polymer (sALP-liker tALP) method)である。 実際に、市販の二次抗体を用いて、iAEP 法の検討を行うと、抗原回復処理に 依存するようであるが、二次抗体反応と三次抗体ポリマー試薬反応の前に抗体 の非特異反応の抑制が必要であり、また、二次抗体の交叉性や混入成分等の問 題があるようである。商業的の供給されている sALP-liker tALP 法でも、この検 討が必要であるようだ。.
(7) 5. 超高感度法の抗原検出感度について 超高感度法の nsCSA 法は、 抗原検出 Dako CSA II 法よりも、二次抗 感度 体ポリマー法と多酵素標識二 次抗体法との差だけ、より高 感度である。 また、三次抗体ポリマー法 の感度は、二次抗体ポリマー 法(sALP 法) (Dako EnVision 等)が改良型 ABC 法や sABC. New system (Hasui 2005). 三次抗体 ポリマー法. CSA II. CSA法. Modified ImmunoMax法. X1,000. ポリマー法 間接法 ポリマー法 直接法 間接法. sABC法 Protein A法 PAP法. 直接法 煩雑さ. 法と同感度、iAEP 法が sALP 法の x10 倍未満、sALP-liker tALP 法(Dako EnVision Flex+や Leica Bond polymer 法) が sALP 法の x100 倍未満と考えられている。 しかし、超高感度法の抗原検出感度は、抗原回復法、一次抗体反応の抗体濃 度や時間等の基準化を行って検討すべきであり、凡そ、通常感度検出法で検出 できない抗原を iAEP 法で検出出来たら、その抗原検出感度は一桁上がり、その 抗原量は一桁少ないと判断し、同様に、sALP-liker tALP 法で検出出来たら、2 桁抗原検出感度は上がり、抗原量は2桁少ない、そして、CSA 法で検出出来た ら、3 桁抗原検出感度は上がり、抗原量は 3 桁少ないとの理解であろうと思われ る。 現実には、癌増殖遺伝子や癌抑制遺伝子の産生産物は、癌組織細胞では、通 常ないし三次抗体ポリマー法で検出されているが、これらの遺伝子の生理的発 言は CSA 法でしか検出されていないことから、CSA 法の x1000 倍(3桁)の抗 原検出感度は意味のあるものであるようだ。 6.. 超高感度免疫染色の標的 CSA 法の超高感度免疫染色では、 分子レベルでの検出が可能となり つつあり、シグナルを受けて変化し たリン酸化分子や、核等の機能部位 に移動したシグナル分子であるよ うだ。 従って、超高感度免疫染色は、免疫染色による機能解析の領域を切り開く。 当然、リン酸化分子やシグナル分子の特異的抗体の供給に依存しているのは当 然である。.
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