金 e 報
g de
學 會
北陸讐學會第6回學術大會並に総會
(昭和27年11月23日 会場富山県高岡市高岡市公会堂)
1.眼窩側頭部穿通創の興味ある一例 関 川 潤 治
16歳女,今年6月18日登校の途申,貨物自動車上の 建築用鉄筋(直径11〜12mm,長さ6〜71n,先端」字 状に縫曲)に左眼部がひっかかり約10m引きずられ た.鉄棒は内眼角部と鼻根部の中閲の梢ζ上部から突 きささり,眼窩の上外壁を破って側頭部へ突出してい る.「ラボナPtル全州で,穿通方向とは逆の方向に抜 き取り,創の処置を行5.
眼瞼と結膜の漂腫が強く,瞼裂は狡まり約61nm外
林 脩 (農協高岡病院)
方へずれ,外上方へつり上っている.眼球は幸にも保 たれているが,外上尉覗となっている.登く見えぬと い5が,当日午後眼前指数を弁ずる.71日目と83日目 に鼻根部と瞼裂の整形を行う.現在,覗力は0・4,眼 球は2mm陥凹,覗東は萎縮陥凹し,黄斑部に菱形の 萎縮藁がある.眼球運動は次第に恢復しつつあるの で,斜視手術は今冬叉は來春行5予定.
2.富山県一農村にお・ける四大疾病群について 西 田 重 衛 飯 田
作道村における昭和26年1月より12月に亘る疾病調 査の結果重要疾患禍を山に讐えると,循環器疾患中の 脳出血が頂上(死亡)をなし,乳幼児の下痢,感冒性 疾患が圭に中腹(要療養帯),寄生虫病,脚気が主に 裾野(作業能率低下帯)をなしている,想うに疾患は 生活及び労働環境と密接不可分の関係にあり,寧ろそ の所産として疾患が生ずる,掘出軍作農村環境では,
秀 雄 南 隅 毅 (富山県作道村診療所)
白米中心の偏食,人肥による環境汚染,母親の過労,
過食等の悪条件が発生し,更に冬の塞冷と相 まって呼 吸器疾患,消化器疾患,寄生虫病及び脚気を含む全身
病の多発をみる.本村の四大疾患群であり,叉乳幼児 の罹患率は甚だ高い.結核による罹患黎,並びに死亡 i率は近年著滅して來た.
3.富山県作道村における鉤虫寄生率の疫学的考察 西 田
昭和26年8月より翌年5,月の聞,2415名を調査し,
4s均寄生率18.1%で戦後異常の上昇を示し,寄生率 の差を1種A・の角度から検定したが,地域差が最も大 で,照田地域最低,乾田地域最高であった.漏田,乾 潔田,乾田農家別にも,漏田群最低,乾田群最高であ
重 衛 (富山県作道村診療所)
つた.有畑の者は無畑の者より高かったが,その差は 前=:者程大でなかった.非農,小農,中農,大農別,
農耕專從者別3非專從者別,男女別には有意の差な く,田畑の施肥現況調査により,寄坐率の上昇及び差 は♪使用人肥の多寡,腐熟の程度によって生じ,現有
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肥料タンクは鉤虫感染予防に可成りの効果をあげてお り,無畑且つ非農家の抽出調査により,経ロ感染の多
いことを知り得た,
4、正常腎における腎糸構体の内郷細胞数と上皮細胞数の 比についての生物測定学的研究
阿 部 急性賢糸毬体炎の特徴約な病理組織学的変化として の腎糸四体内被細胞の増加について,その病的と生理 的の範囲を明らかにする基礎的研究として,余は人腎 及びその他6種の哺乳動物の腎糸毬体について,正常
忠夫(高岡市)
腎においてはその内被胞細数と上皮細胞数の比が概ね 1対3の比をなすことを明らかにし,その生理的分布 の限界について論及した,
5.邦人胎見胸骨舞隙線の研究 北 村
5ケ月より10ケ月迄の胎児胸骨における碑下線を観 察し次の結果を得た.
鱒隙線は前後面共5,6月齢兇においては不整な走 行を示す.概略的に見て縦走するもの多きも,これに 混じて2,3の横走するを見る.但し胸骨柄において は鱒輝線は不整乍ら中心部化骨点に一致して禍朕に配
壽 :男 (金大石丸解剖)
列するものを見るも明瞭ではない.8,9と月齢の加 わるに從い,柄,体共に化骨点の申心を中心として岡に 放射朕に配列する線型を認め,その線型の周辺にはそ れを同心性に取り巻く線型があり,こ牙/は柄,体の骨 縁においては上下相連絡して骨縁に沿う線系を作る.
創賦突起は概ね終始横走の線型を示す.
6.:急性並びに亜急性黄色肝萎縮症の剖槍三例 高
臨床的に経過日数12日(53歳男),12日(29歳女),
15日(8歳女)なる黄色肝i萎縮症3例の肝臓を圭に病 理組織学的に検索し次の威績を得た.
1)第1例は肝臓間質における結合織増殖が圭要病 変を形成し,目.つ細胞侵潤,{爲胆管壇生を高度に俘っ ている亜急性型のもの.
第U例は肝細胞の変性壊死が組織像を支配してい る急性型に属するもの.
畠 章 (金大宮田病埋)
第m例は以上2例の中閲型と見られる.
2)臨床上病状経過日数は3例共殆んど同一なるに も拘らず,病理組織像では明瞭な椙違を認めた.
3)結合織の増殖による偲小葉形成過程を或る程度 追求し得た.
4)肝細胞壊死の彊度と脂肪変1性の程度は比較的並 行せり.
7.右主幹より生じた気管支癌の一剖芳野
:林
48歳の男子、当初X線三唱に基き軽度の肺浸潤の診 断を受けたが,その後約2カ月にして急激に呼吸困難 現われ突然肺膨張不全を呈するに至り漸く肺門部周辺 の腫瘤を疑うも慨に末期の町域を呈し,ために実態不 明のまま死亡せる症例にして,病理解剖により次の如
武 雄 (高岡市林病院,金大宮田病理)
き所見を得た.即ち右肺門部において,気管支上皮よ り生ぜる円柱上皮癌にしてその腫瘤は気管支腔内及び 気管支周囲に浸潤性拡大1暁増殖をなし特に右気管支腔 内においては示指頭大の腫瘤が気管分岐部に向って延 び更にそれを越えて左気管支腔内に屈入し殆んど気道
を閉聴せる様相を呈せるを認めたり.
追加川村太郎 (金大皮泌科)
第1例,6」歳男,3年來尿閉を繰返し他医により膀 胱癌と診断された.入院時には薦骨部に転移竈があっ た.そこから組織をとって癌と診断した。肺には転移 腫瘍に特異な類円形の陰影が多数に見られる.第2 例,57歳男.2カ月來右肩の塵痛があり,1カ月前か
ら尿閉,レ線像で原発性肺癒と思われる陰影が見ら れる.膀胱紳経支配の隔碍に特有な:Scllramm現象 の他,泌尿器科的に特記すべきことなし.膀胱癌の脊
髄伝移による尿閉である.
質 問 豊田丈一 (農協高岡病院)
気管,気管支の腫瘤に対し,発墨鏡梅干を行ったな らば早期に診断が確定したと思5.我々は最近肺門部 陰影あ り,且つ喘息様発て乍を起す患者について内覗鑛 橡査を行っているが,種々病変を発見することもあ
る.
殊に肺癌,気管,気管支癌の疑あるものに刻し是非 実施すべきであると考える,
8.嚥下性異物(魚骨)の腸管穿通による廻腸周囲炎の一例 高 田
29巌の男子.急性虫垂炎の臨床診断の下に開腹衙を 行った所,誤嚥による魚骨が小腸の一部を穿通して廻 腸周囲炎を起し更に該部の周囲に虫曇の密着していた もので,病理組織学的には魚得:穿通部廻腸及び虫垂は 共に粘嘆層に著変はなく壌膜騒に炎症性細胞浸覇及び 線維素祈出が著明であった.かかる所見よりして魚骨 の廻腸壁穿通に基く廻腸周囲炎とこれに密着せる虫電
三 郎 (金大宮田病理)
の一部に炎症が波及せるために虫垂炎と同様の像を現 わしたものである.
追加重信彌八(金大渡辺病理)
昭和27年2月28日高岡市東病院にて,67歳女子の腹 腔に魚骨を申心として手拳大の腫瘤が形成された興味 ある症例を経瞼しましたので追加致します.
9.視床一大脳皮質聞の機能連絡に関する実駒的研究 第1報 家兎覗床の汎性投射系について
竹 内 茂
最近Dempsy及びMori〜on, M: goun, JasPer等 は,覗床の諸領域の中で,皮質の特定な領域と関係を
もつ核群の他に皮質の広汎な領域と密接な関係を有す る所謂汎性投射系diffuse projection s)・stenlがある ことに注目している.
我々は家兎についてAfi.erdischarge法を用い,視
根 岸 晃 六 (金大精神神経科)
床の汎性投射系の存在を確認すると共に規床におけ るそれらの部位は,Nuc1・reticularis7 intral,iininar nuclei, midline nuclei等の諸核群であることを知り 得た,現在,更に進んでそれらの領域と皮質との関係 を詳細に究明しつつあるが,現在迄の槍索結果につい て報告する.
10.進行麻痺脳における覗蓋四域の病理組織学的研究 瞳孔対光反射中枢経路に関する知見補遺
佐 k 木
進1テ聯痒の重要臨床所見の一」たるArgyll Robertson 瞳孔症1伏の中核をなす憧鋼筆光反射障碍の病理につい ては,今日なを定説がない.私は進行麻痺における瞳 孔対光反射障碍の病理を明らかにすると共に,現在明 らかでない瞳孔対光反射中枢経路を追求するために、
重 行 (金大精油紳経科)
進行麻痺脳13例,及び対照脳26例につい:て,中脳間脳 の移行領域の病理組織学的検索を行った.この橡索に 基いて私は,瞳孔対光反射申枢経略として,覗蓋前域 中間部細胞群→中心割白窟背方・背外側部→:E・W・
核を結ぶ中心灰白層覗蓋前域系を想定した.
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11.方眼紙Gestalt槍査に関する研究 佐 竹
ミリ方眼紙に描かれた幾何学的模様を一・定時間提示 した後,直ちにこれを再生させるという極うて簡便な この覗覚運動樵査が,知能瞳碍や入格欠陥を有し異常 行動を示す者の発見と診断に役立つことが明らかにな
隆 三 (金大精紳沸経科)
つたので,その施行方法,判定基準及び若干の症例の 所見を概説し,一般臨床医家の精帥測定学に対する関 心を喚起し,併せて参考に供したいと考える.
12.皮膚泌尿器結核に対する Iscotin(第一)の経路 川村太郎
皮膚結核7例,泌尿器結接11例の計18例にイソニコ チン酸ヒドラジド(第一Iscotin)を用いた成績を報 告.即ち腎臓結核に対しては46日で著効,膀胱結核で は66日で全治し,固一効果を得るに要する治療日数か らみれは:SMとContebenの中間に位する.叉皮膚
藤田幸雄 (金大皮面心)
結核にてはC(mtebenと同心新鮮で表在性,潰瘍性,
滲出性のものによく効き3陣旧で硬化性,繊維性のも のは効果薄く,バザシ氏硬結性紅斑,陰茎結核疹等に はよく奏効する.なお重篤なる副作用に遭遇しなかっ
た.
13.恥骨後前立腺別出術について 川村太郎
前立腺肥大症の別出術は膀胱を開いて上方から前立 腺に達する恥骨上式,下方からする会陰式及び膀胱前 腔から恥骨後方に入り前立腺被膜を開く恥骨後式があ る.恥骨後式中,MMinは被膜に横切開を加え,東京 逓信土屋博士は縦切開を加えて膀胱迄開き,我々及び 長大荒木助教授も亦後者によった.止血縫合などにお
いては:3 メ多少異なり,我々のものは恥骨上式Harri5
並木重吉 (金大皮当科)
法に近く,後者より広い親野,より容易,且つ安全に したものとも見られる.9例一(うち1例は前立腺結石 を,2例は膀胱結石を合併)を手術,Oxycellulose,
Bag−catheter,水圧吸引装置を使用し,成綾良好.術 式の敗善,輪血輪液の応用,制菌剤などにより前立腺 搦出は極めて安全な手術となった,
14.先天性脊椎側轡症、(挿入椎骨による)の1例 越 村 三 郎
演著等は腰痛を主訴とした26歳男子において主とし て「レ線瞼査を施行し第2,第3腰椎聞右側に目.つ下 面が第3腰椎と完全に融合した傾聴の挿入椎骨を発見 し,このため先天性脊椎響症を惹起し更に潜在性薦骨 披裂を合併している1例を報告した.
張木金治 (金大放射線科)
挿入椎骨の文献を蒐集しその22例につき性別に関し ては男9例,女11例,不明2例でiを認めなく,:叉左 右別に関しては右側9例,左側13例で前同檬に差を認 めなかった.揮入部位は第12胸椎より第3腰椎に至る 間に介在することの多いのを知った.
15.悪性黒色腫と鑑別すべき皮膚腫瘍の1,2 川 村
悪性黒色圖はメラノブラスト(殊に表皮メラノブラ スト)に由來する.皮膚の黒色睡瘍のなかには組織学 的に前者と至く異なるもの,即ちマルピギー系列の壇
太郎(金大皮泌科)
殖を根幹とし,これにメラノブラストの増殖の加わる ものがある.叉犀皮メラノブラストの良性墳殖による 黒色腫瘍もある.悪性黒色興の鑑別診断は患者の生命
に関して重大な意義を有するので,諸外国でも癌対策 の一一rAとして璽要覗されているが,上述の組織学的知
識を活用すれば通常困難ではない・
16.肉芽創よりの吸牧について 宗 野
諸種肉芽創よりの「ヨードナトリウム」,「グアノフ ラシン」及び「ペニシリン」の体内への移行度を比較 測定した.先ず家兎の良好肉芽創,化膿創,並びに肉 芽創の性状を種々敗変せしめることにより吸詳知に差 異あることを知った.即ち良好肉芽創は化膿創に比し 吸牧促進せらる.叉,良好肉芽創においても局所に応 用せられた「アドレナリン山「ヌペルカイン」,沃度 丁幾腐蝕により吸収抑制せられるに反し,「アセチP
重信(金大熊埜御堂外科)
ルビヨリソ」,「ヒアル聞怖ダーゼ」並びに諸種創傷刺 戟剤等により促進せられる,なおその際の肉芽創の組 織学的所見より血管活動性が大で:再生力旺盛なるほど 吸牧も亦大なることを知った.人体肉芽創についても 微量乍ら血中に出現するが良好肉芽創最大にして炎症 性不良肉芽創,馳緩性不良肉芽創の順に移行度小とな
る.
17.肝臓機能楡査の一新法一アクリフラビン法につV・て:(予報)
伝
アクリフラビン法は広義の血宿膠質反応に属し,次 の特徴がある,試藥調製及び操作の容易な二と,判定 の容易なこと,脂肪1血症に影響されないこと,及び実 験動物として家兎を使用し得ることである,臨床的及 び実瞼的肝機能出品時に,他の方法殊にCO法と伺程 度の陽性率を示した,但しこの反応も他の1血濤膠質反 応同心肝回忌障碍に特有ではない.但しCO法では動 物実瞼で障碍初期の脂肪血1症による反応の障碍が認め られる,このことは臨床的にも適用されることを暗示 する,実施方法,試瞼管10本にアクリフラビン水溶液
助信(盆大谷野内科)
を全量5ccとして80m9!dlより35m9/dl迄晶晶的 にfV b,血温0・1cc宛加えて沸縢水中に10分置き第何 番目の試瞼管まで凝固沈澱が現われるかを判定基準と する,正常値3〜4本迄,反応の本態の分析等は今後 にゆずる.
質問鈴木茂一(金大)
①Acritl: vin法は肝機能の如何なる部処の温品を 圭体としているか,
②Ac「iflavine類似化合物との関係如何.
18.外科的疾患にお・ける合威樹脂の応用について 高 橋
合威樹脂(Resh真)即ちMet}1y}Ptlethacrylnteの基礎 的曲びに臨床的研究は既に秋山(東大),永井(目大歯 科),増原(東京医科菌科),土肥(日大歯),戸田(名 大),長石(京大),その他多数の人により行われ,異 物作用の少ないこと灘権のないこと,組織によく結合 すること,酸アルカリに犯されないことなどの特徴に よって歯科方面の泊療,並びに外科的疾患に応用され
正 (富山櫻橋病院)
ていることは熟知のことである.
肺結核におけるResin prombe,頭蓋整形,顎骨の 整形(欠損部補綴)に利用されている.
演習はさらに①兎唇3②指骨々折,③直面及び慢性 化膿性骨髄炎,④第4直心指症,⑤簸痕攣縮における 趾の;変型,⑥外傷性鞍鼻,⑦股関節強直等にResin に応用し良好な結果を得たので報告する.
19.BCG・接種量:と「ツ」アレルギーについて
中川栄一紺田
:BCG接種による「ツ」アレルギー獲得賦態を橡する ,
康 英 軒 (金大結研細菌冤疫部)
場合,:BGG−NAzo Tuberculin(AT BCG,,)をもって
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すると,接種量が0・04m9の場合と0・02m9の場合 も殆んど同じく90%(接種後6カ月の成績)の陽転率 を示した・この成績は一一・reに0・04mg接種後6ヵ月の 0】dTuberculin(αr)陽転率50−60%に比し極めて 高度である.結核菟疫を「ツ」アレルギーと李行せし
めて考えるならばAT BCG,,を使用することによる BCG接種者の選定, BCG接種量の適正化に残された 問題の究明は甚だ大切で,以上の成績はこの点の解決 の第一歩を印するものと考える.
20.肺結核塞洞検出に対する諸種レントゲン撮影法の比較槍討(申間報告)
萩 野 卓 肺結核の診療上最大の意義を有する富洞の梅出を圭
眼として,現在迄に行った凱陣撮影269例,脊椎後轡 位亜びに肺炎撮影各87例,高圧撮影ユ35例,その他臥 位撮影,気管枝造影法等に於ける症例ヒついて,これ らの成績を比較樵討し,以て鼓に報告せんとするもの である,
1)室洞;瞼出に当り,最も高率に而も前後関係等の 判定を容易ならしむるものとしては,断暦撮影を挙げ 得る.特に遺残察洞の検出には最適であると考えられ
る,
2)脊椎後軽面立並びに肺炎撮影は,特に鎖:骨或いは 肋骨等に重聴した室洞の楡出には至便であるが,像の 歪の大なることは否めない.
3)高圧撮影の特性は磁漫性陰影中に存する塞洞の 検出には最適であるが,浸潤像等の観察には寧ろ不適
司 (富山県八尾町,金大結研診療部)
と考えられる.
4)斜位撮影は肺門部煎びに心臓後部等の寝洞隠男 に利して最も良い,
5)気管枝造影法,就中経皮的雪洞内注入の場合に は,その輪廓繭びに灌注気管の朕態が明直せられる.
質 問 小林敏雄
演者の断暦撮影にはフイルムを3枚使っている(或 いは3回撮影している).
それに対して,普通撮影1枚を比較するのは無理で はないが3断層撮影で3回撮影したならば,普通撮影
も(例えば背腹,腹背,側面)の3回撮影して比較す るのでなければ意味がないと思う.何枚かの意馬撮影 像と断層以外の写眞1枚を比較するのでは断層が優れ ているこという迄もない。普通の1 )V me影で分らない から,断層撮影の必要性が生れたのである.
21.抗結核剤にお・ける菌耐性の問題について 高 .野
肺結核化学療法の効果利定に対し耐幌即事俘の有無 その頻度及び難易等が占める役割は極めて重視されて いるが,今回私は0−Aminephenol(0・M), STM,
PAS, Tl)1及び1:NAH:の耐性獲得姐何の考査を試み
た.
1)臨床例においては耐性菌発現を見ない抗結核 剤は0 Mのみであると推定された.
徹 雄 (金大結研診療部)
2)耐性獲得が最も容易で諭もその頻度の高いもの はINAI{, STMであり, Tbl, PASは前二者に比
し遙に低い成績を示している,
3)耐性菌発現の時期と減少傾向後における喀擁菌 の壇加という所謂解離現象には4S行的関係の存するも のの檬である.
22.実駒的結核症における抗結核剤の併用的効果
小林二三
過去より引続き実施している実験結核症の化学療法 研究として,今回はその併用効果如何の問題を圭眼と
して試みた成績について鼓に報告せんとす.
1)o−Aminopheno】(0・M)に対する諸種抗結核剤
匠
勝 則
(金大二二診療部)の併用威績は夫々の軍独投.与に比し,何れも遙かに効 果的であり,就中S「rM s一一 O Mが最も優れ,1NAH十
〇 Mもこれに比肩し得る.叉Sulzol十〇・Mにおて はSTM並びにINAHの軍独投与を凌駕しており3
PAS十〇 M, Tbl十〇・M, SulLol十:PASが革巻に比 し逐i欠劣る.
2)各抗結核剤を軍独に投与した場合の効果は
STMが最大, INAIIこれに剥ぎ,更に0・M亜ぴに Tblが追記PAS及びSu】zelにおいては素論であ
るとい5結果を得た.
23.S, T. M.並びにPAS耐性菌による実験的結核海狽の化学i療法について 松 田
私は先にS・T・M・PASを大量投与せる肺結核患者 よりS・T.M・亜びにPAS耐性の結核菌株を分離し,
その性朕については既に報告したが,今回は本菌株を 接種せる海瞑に対し,S・T・M・PAS並びに金沢大学 結核研究所岡本敬授の創製にかsる。−Aminophenol
(O・M・)を以て治療実験を行った,その成績を綜合す
知夫(金大結研細菌面出部)
れば,S・T・M・並びにPAS軽愚群は1司れも対照群と 同程度或いはわずかに良好であって,悪化の傾向を認 めたものはなかった,しかるに一方,0・M・治療群は 対照群並びに他の治療群に比し遙かに良婦なる効果を 認めることが出來た.
24.限局性肺乾酪病巣についての部分的切除並びに別除例 東 野 音信 村 沢
結核化学療法の進歩は肺野の病榮を限局せしめる事 に一応成功したが,この限局性乾酪榮に対する処置に ついて從來は虚脱療法しか残されていなかった.近時 肺切除術の進歩は舞茸術後等の虚脱肺についての病理 組織学的樵索を推進せしめその結果限局性乾酪巣に対 しての虚脱療法の治癒効果が甚だ制限されている事を 敢えている.
我kは如檬な限局性病巣に対しては虚脱療法を行う よりも病輿の選択的切除叉は別除と胸成術を併用する ことがより有利であるとの結論に到達し,昨年5月以
健介 鏑木護郎(金大核研診療部)
來限局性病巣を有する28例について病巣多多術及び部 分切除術を行ったが,その成績は良好であって特に術 後早期喀療菌陽性例軍塗1例,培養陽性例4例の外は 凡て菌陰転化に成功している,而も後者の培養陽性例 は何れも反対側に小閑布巣を有していたものであっ
た.
鼓に吾々は化学療法による病璽の限局化を待って可 及的早期に部分的切除叉は別除を行うべきを主張せん とするものであるt
25.抗結核剤Tb 6について
大 山 馨
私共はTb 6(Solvotebe)の抗結核剤としての作用 について少しく研究し次の様なことを現在迄に知るこ
とができた.
1)試験管内の結骸菌発育阻止作用は1:4万でTbI
(1=8万)より少し劣る.(H2株)
2)P・A.B・Aを加えた培地においてTb 6の結核
浦 上 則 一 (富山県立中央病院)
菌発育阻止作用は減弱される.
3)マウスについて轟性試験を行ったが腹腔内注射 ではLDi,o=1230mg/kgであった,
4)臨床実験は6人の肺結核患者と1名の結核性膿 胸の患者にtrb 6を用い肺結核患者では2名,膿胸の 患者1名に病機の好転を認めた.
26.イソ昌コチン酸ヒドラヂドの臨林成績 幅 田 実 斎 藤 安
吾々は入院中の肺結核患者15例に1:NAHを投与し た結核,略ξ孚数に下熱,食慾壇進等所謂中毒症状の
・三山喜作 浅地充(富山市民病院内科)
好転を見た.夏にS・M・耐性例に於て感性例と同様 に症状の敗善せる例を見た.叉投与期間に於て副作用
[ 132 ]
として僅に一過性の頭痛,食慾不振等が挙げられるの みであり,血液像,肝機能等にも一定の影響を詔めて いない.
本物質の結核化学療法剤の価値判断には胸部X線像
の変化,ガフit ・一の消長等肺結核に関する本質的な事 項についてなお長期間に亘って多数の観察が必要であ
ろ5.
27.イソ=コチン酸ヒドラジドによると思われる眼底甲州の一例
林 脩
52歳の男子.8年前から糖尿病に罹り,一昨年1月 から肺浸潤として療養していたが,昨年六月頃から変 覗症が起り,同10月申旬から覗力が急減したとて同11 月7目眼耕へ來診.視力.右0・03左0.3(共に矯正不 能)外眼部に異常なく,稽ζ古い結核性網膜脈絡炎が ある(右眼に高度).1週後の内科入院時は,X線槍査 では,左肺上野に浸出憔の陰影を,右肺下野に線朕の
窪 田 保 (農協高岡病院)
陰影を認める・以後一般療法,ルチン剤内服Insu]in
療法を続け,今年4月からSM とPASの併用療 法を行ったが,眼底には著変がなかった.9月から
INAH 1日0・059を3回に分服を始めた所,40日 臥総:量2・Ogに至って,殊に右眼に網膜出血を起し た.上記の外には,全く原因が認められないので,本 剤内服に因るものであろうと考えられる,
28。肺結核のINAH療法について
上 坂 竹茂
藤 記 義 一実験症例は主としてSM及びPAS治療を既に受け 未だ軽快に至らない混合桃肺結核にて主滲出性33例,
圭巌壁性40例であり,使用量は1日0・1乃至0・2瓦に て奉均使用全量9・5瓦,断酒使用期間68日である.
73例の肺結核症の5ケ月間の臨床成績及びその他の 槍査成績に依り次のことを認めた.
1・副作用は73例申頭痛4例.血癌,喀由1 5例(全例 を副作用と見るのは困難である),腹痛2例,眩量1
例を認めた.
庭 田 清 隆(国立療養所古里保養園)
IL主滲出性肺結核には特にS・M, PAS耐性者1こ おいても優秀な治療成績を上げ,数例はレ線写眞も著 明に敗善された.
m・:主増殖桂肺結核においては微輩排菌者に陰性に なる者多きも約3ケ月後より排菌数の増加を認めた.
IV.使用後2ケ月にして既に耐性の上昇を認め検疾 その他の症状も漸壇の結果より長期軍独治療には不適 である.
29.肺結核のPAZO:L療法について:
上 坂 巻添
高 田 英 之室興野混合性肺結核の:重症者にして,S・M・:PAS,
TBI無効例8例にPAZOL療法を約80日乃至90日間 実施しこれをPAZOL(A)群とし,同程度の患者4
例にsurFATHIAZOL及びPASを投与しこれを
仮りにPAZO:L(B)群と一した.
その結果A群は全症例に解熱傾向を認め,孚数は赤 沈値の減少を示した.
喀疾中の結{亥菌は1乃至4ケ月に亘り減少を見た が,5,6ケ月後再び曝露を示した.
体重には著明な影響を見ないが食慾不振例は何れも 食慾の回復を見た.
広沢徳三(国立療養所古里保養園)
血液所見は白血球数理多は正常値に近づき,エナジ ン噛好性白血1球は約2%壇卸し,淋巴球も幾分興野し
た.
PAZOL例はPAS軍独群に比し殆んど3分の1の
みが抵航性の上昇を認めた,
ヘバトサルフアレン試験成績は孚数が2ケ月後より 至期間中減少を示した.
以上少数例であるが肺結核の化学療法としてSM抵 抗性患者並びに1 AS, TBI奏効不充分な症例にも PAZOL療法を相当期間使用する事は好影響を与うる ことを認めたi爽第である.
30,オルトアミノフェ 山 田
オルトアミノフエノール(OM)粉末吸入に関して 昨年の本学会で装置,方法,肺結核に対する治療成績 の一部を報告したが,その後行った基礎実験で次の結 果を得た,
1)OM粉末は吸入によって健康犬体の肺胞迄到達
する.
2)その際の山内濃度は4〜13,3γ/9を示し,右
ノール粉末吸入療法について(第2報)
良行(金大結研細菌冤疫部)
肺〉左肺,右肺では上一中〉下葉,左肺では上=下〉
申葉の傾向が見られた.
3)OM粉末吸入肺結核患者の血清,尿中において もOMは結核菌発育阻止有効濃度に存在する,
その後の治療成績も前回誌面良好な結果を得,粉末 吸入はOM投与の有力な一手段であることを知った・
31.o−Aminopheno1療法研究旧事の概要 鈴 木
o−Aminophenol(略称=0・M)が抗結核剤であるこ とは1943年当研究所に於て創見されたのであるが,今 や本研究に協同二二している機関だけでも23ケ所に及 び,その症例数も約1,GOO例に達しているのである,
今回,これら研究陣の内容とこの症例数を批乱し,
茂 一 外30名 (金大結研診療部)
特に当診療部に於ける過去8ケ年約400余例の治療所 見についても述べ,O・MがPASに対して充分に置 換されても有効であることの実証を示し,大方の御批 判を迎がんとするものである.
32.結核患者の精棘医学的治療の経験 巴 陵
R・B・Catte]1等の人格測定法によって,結核患庸 の入格をしらべると,結核患者は一般に,紳経症的,
内向的,分裂病的であり,日.つ心緊張力,意志の衰弱 をみとめることができる.安静療法においては,この 点に留意して,患者の意志鍛練,信念,態度の:再編成
宣儲(高岡市)
にっとめることにより,治癒の転向を早めるものであ る.それには,患者の優越の要求,覚醒の要求,活動 の要求を満足せしめるよ5な精紳作業をそれぞれの患 者の二二と環境とに応じて処方してやるべきものであ
る.
の
33.結核例に対する化学療法の槍討と反省 (1) 一過性肺浸潤
倉重外幾雄
一過性肺浸潤の原因は必ずしも軍一なものでなく,
結核,レフレル践症候群,原発性異型肺炎,寄生虫に よる肺浸潤等に分けられる,肺結核として化学療法或 は人工気胸を行っているものの申に上述のものが欝か らず含まれていることは想像に難くない.而して泊療
淡 中 章 二 (石川県中央病院内科)
の効果が過大に詳価されている場合がある.勿論予後 は可良であるので結果的にいって特殊な治療を要しな いが初診時には先ず結俵と診断し易いから充分な臨床 樵査と頻回のレ線樵査を行って2,3週間の観察期間 を置いた後治療を決めてもよいと思われる.
(2)乾酪性肺炎
3斗.結核症に対する化挙療法の槍討と反省
② 乾酪性肺炎
倉重外幾雄
③ 結核 腫
淡 中 章 二 (石川県中央病院内科)
1.良好な経過を示している2例と,死の転帰をと
[ 134 )
つた1例についての報告である.前者は夫,々 SM−
OM, SM−Pasによる併用療法につづいて,病勢の抑 制後更に気胸を併施している,後者は,SMの軍独療 法であるが,それに先立って気胸を施し,病集の拡 大,増悪を招致する結果となった.
2.乾酪性肺炎は抗結核剤と気胸の適宜の併用によ って治徳に導く事は可能である.
この際先ず,速効性のSMと爾來の抗結核剤とによ って,原漏話並びに周局炎或いは散怖巣を可及的吸牧 せしめる必要がある.
3.訳いで,その後に心当すべき内科或いは胸部外 科的侵襲の適用を考慮に入れて,藥剤の使用量の限界 に関し周到な方針を樹てるべきであろ弓.
(3}結核腫
1.観察の資料は,結核腫4例,結核腫を含む肺結 核症5例,結核腫標塞出3例計12例から成る.
2.内 訳
資料として取材後,軟化崩派したもの5例,崩壊に 至った迄の期閥.約5ケ月乃蔓1年牛.経過中昼洞を 認めていないものは,12例中1例のみである.
3.化学的療法の影響
(イ)完成した結核腫或いは軟化の兆し,ある結核 腫には全く効果は認められない.
(ロ)結核腫襟室洞と思惟されるもの,3ζは軟化崩 竣直後の結核腫の場合には,効果の認められたものが
存する一■
何れも被包化の未完成であったことが推測される.
(ハ)從って,化学療法及び気胸療法は,(ロ)の場 合に留保される姑息的療法の一つであろ5.
(二) しかし乍ら,結核腫の療法としては,本質的 には個体の医学的,肚会的諸要約の許す赤り,胸部外 科的処理が第一義的であるというべきであろう.
俵.4)
35.石川県における工場珪肺の発生欺況 山 本
窯業労働者(150人)鍮物工(94入)噴砂工(34人)
の精樵(蓄放電式撮影)を実施し珪肺の発生朕況を調 査し,勤続年数3年齢.鉱石,三等の材料の無水瑳酸 含有度との関係を検討,併せてそれら粉塵作業労働者 の体力,心臓機能について測定,工場珪肺が意外に多 く鉱山珪肺に優るとも劣らない重要性のあることを強
三 郎 (鳴和病院内科)
調した.
1.窯業(陶,煉瓦,コン炉,硲子等)材料中SiO2 65%〜80% 含有,噴砂工 砂中Sio278%,珪砂;
殆んど100%鍮物工 砂申SK)270〜80%,
2。3年以内の者では例時的に少数の珪肺前駆期症 発見.三年以上の者ではi欠の如し.
窯
F勤轍陶SI
業 鍮 物 工 噴 砂 工
(・・)1人数1・・SIII計L(F!).△数1 SrlS・i−計 (g.p)
ほ尉圭1
9年以上 12年以上 115年以上
80 37 24 15 6
12.5e/e (13.8e/e)1 90 1 8.5a/a 21.6 i(16.2 )1 zs llo.3 25.0 i(20.8 ) 65 112.3 26.7 e(20.0 )1 51 i15.7 33.3 1(33.3 )i 32 118.7
! 1.Oe/i 9.50/e
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13.81.5 2.0 117.7 3.1 21.8 1
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40.o ho.o iso.o !(io.o i 一 lse.o lso.o
Sr珪肺第一期 SII珪肺第二期症Sp・珪肺前駆期症とす.
3.同一勤年数の群においては年齢高き者に多発す る傾向を認めた.
36.Cortisone療法を試みだ頑固なる気管:支喘息症の一例
s 山 本 三 郎 22歳頃より発病し,最近までに頸腺捌出術,植皮術,
安江良 彦
(砒晶晶瞼心高病院内科)諸種藥剤投与等の治療を受けて著効をみず,更に今年
10月頃より「エピレナシソ」毎夜0・3cc×4〜5回J 注射(3週間継続)せるも尚症状緩解に至らなかった42 歳(♀)の頑固な気管支喘息症に対し,Tllorn,s Test の橡索より脳下垂体前葉一・副腎皮質機能の不全を知
り,Cortisone 50mg 1回雛,工0回の注射を試みて,
現ff.50%程度Thorn s(Testの成績に略it尋行ずる)
にその症状を軽快せしめた1例を報告した,
37.富山市及び周辺地区の蚊に関する研究 野 村
探集した蚊数は13,629匹5属τ5種に分類された.
富山市及び周辺地区の分布朕況は,田園地帯,灘地帯 にはシナハマダラカが,商店鶴住宅街,山間地虫は アカイエカが,海岸地帯はコガタアカイエカが夫々多 かった,蚊族の季節的消長は五濁の上昇と共に底数は 多くなり,梅雨期に一時停頓し,富山市内は7月中旬 と下旬に,動物質は7月初旬,7月中旬,8月初旬に 夫々高い山を形成した.動物に対する嗜好性は,牛,
第1報:
一幸 男 (国立富山病院)
馬,山羊にはシナマダイカが,家兎1,犬,期にアカイ エカが夫々多く,キソイロヤブカは馬に多かった.吸 血蚊はアカイエカ,コガタアカイエ九シナハマダラ カ,オウクロヤプカ,キンイロヤブカ,トウゴウヤブ カ,ムサシ1ハマダラカ,イマダラウスカの8種であ った.次に幼虫の発生場所より見ると,下水は2,372 匹,水槽は1,521匹,水田は482匹,肥溜は235匹で
あった.
38,北陸地方参季の室内気候につbて 今 堀 肇
当地方冬の外界気候は低張遅漏甚だ不健康な気候と されているが,我々が主に生活する室内の気候は如何 か調査した.
外界の李均気温0.5。C,漏度85%に対し,密閉した室 の下部3・5。C,75%,上部4・5。C,75%この室を炭火
(火鉢)で暖房すれば下部10。C,70%,上部20。C,
55%となる.火針では炭火中毒の危険があり,これ以 上の加涯は困難だが,石炭ストーブで更に加温すれば 下部工5。C,65%,上部30。C,35%と上一ドの温度淑度 の差が夏に激しくなる.炭火では室下部は加熱を要す る程乾燥しないが,石炭ストーブでは加熱の必要なこ とが少なくない.この場合金だらい等歯面蹟の容器に 水を煮沸することにより目的を達した.調室下部よb 上部の{黒血増加を著しい,
備置ごたつによる室温上昇は1。C内外に過ぎぬ,
南側日射の強い室は北側の室より10。C内外高温であ る.なお浴室(浴濯42。C浴槽面磧浴室の%)の室温
酒井芳弘 (国立富山病院)
goC,漏度95%9 6あった.
質 問 深石正治 (1)渥度計測場所 (2)当時の天候
〔3)lt気汚染度(炭酸,一酸化炭素の含量3塵埃度)
(4) 室中イオン濃度 ㈲ 室内気流 その他 答
{1)内科診断室,日本間8盤の室.
② 晴雨,雲の日.
(3)一酸化炭素の中毒で頭痛を訴え倒れた程度で測 定はしなかった.
(4),(5)は測定しなかった,
その他裏日本の濁度の高い所で果して室内で換気を 必要とするかど5かを測定しただけです.
39.労働生活の固定が紡績織工員の呼吸力の発育に及ぼす影響について
遠藤弘之助(金大衛生学敢室)
(1)研究目的,暴に同学の井出,鈴木は夫々機業及 び紡績労働生活の固定は女工員の身体繭びに機能の発
育を抑制することを研究発表し特に肺活量発育に悪影 響を与えることを明らかにしたが余は更にかかる労働
[ 136 ]
生活の固定が女工員の呼吸力の発育に及ぼす影響を樵 引し,特に肺活量発育の抑制機序を明らかにした.
② 研究材料並びに方法.富山県下の成熟期年齢層 の紡績女工員637名を対象とし,測定を実施し,勤続 年数一年未満の群(第1群)と四年以上の群(第V群)
とについて比較樵射した.
(3)研究成績.第V群の胸廓発育は低位であり,肺
活量,呼気圧,呼吸筋力も劣り,胸廓旧弊差も小さく,
その呼吸力の発育は抑制されており,第V群の肺活量 が少ないのはその胸廓発育が低位であることのみなら ず,呼吸筋力が劣弱であることが主に吸息運動能力に 悪影響を及ぼし,嫌気量を少ならしめている爲である 鰯と考えられた.
4e.各種衣服材料の衛生学的性質の槍討 富 井
.日常一般に使用される衣服材料81画面ついて,その 厚さ,表面重:及び圧縮率を縁定し,比重悪気雛を計算
した.
厚さの測定は,次の方法に依った.計測部の直径3 糎のマイクロメーターを作り,その下面の鼓物枚上に 資料を置き,更に同じ直径の円板をその上に置く,円 板の上面には小球を,辺縁には銅線を熔接し、銅線に は電池,島流計,高抵抗を直列に入れ,他端をマイク ロメ・・ターに結ぶ.rtイクロメ ・一ター一一を進め,その上 面が小球に触れると両流計が振れる.その際の読みよ
り民謡の厚さを引き資料の厚さを求める,
1李方糎当b1瓦の重量の円板を用いた際の直を厚 さとし,同時に求めた10瓦の重騒を懸けた{直より圧縮 率を求めた.
表面重は資料を円形に打抜き秤量し算出した.
この結果を原料別に観察すると,
1)絹,人絹,アミラソ等の長い繊維に依る製品は 比較的原料の性朕をよく表わす.
2)血綿,スフ等は各性質の偏差が甚だ大で織り 方,糸の性朕に大きな影響を受ける傾向がある.
和 夫 (盆大衛生学教室)
3)同じ織り方のものを比較すると矢張り原料比重 に拙い,毛,絹は比重がスフ,入絹等に比べて軽く表 れてくる.
織り方に依る差異については,
1)ZF織(*,各性質とも変化が大であるが斜・敏織は これに比して一一一reにやし緻密で,比重大で含気量が少 ないものが多い.
2)織子織は薄く,密で含気量少であるが搦み織添 毛織はこの逆となる.
3)メリヤス類は最も比重小含気量大で圧縮率も高
い.
4)起毛したもの,縮み類は同じ原料,同じ織り方 の他の製贔に比して著しく自身屋大で,特に綿ネル,
フランネルでは90%以上となる.各性質の相互関係を みると♪
厚さは表面重との間に高い正の相関が存し,なお比 重とは頁の,含気量とは正の相関がある.圧縮率はこ の翔定範囲では,比重含気量と相関があり厚さとは無 関係である.
4L 本邦胎見の薦骨祠軽叢並びに近部屑盤内動脹の形態について 西 野
1。薦骨示財経叢はL捕.SI.鯖.の脊髄紳経にて構成 されることが最も多い.上盤神経は1』輔.S1,次いで 1・4.S.に,下駄帥経はS1.2.数いで1・i,. Sl.2.に,陰部 紳経はS2.s.次でS2。M.に,後股皮神経はS1.2. x.次 いでSl.2.に,坐骨上演は:L4. r,. Sl.2.3.に起始するこ
とが多い,
2,下腹動版の分岐型は,下腹動脈より先ず上薬動 脈分岐し衣いで所謂下磐内陰部動脈幹が下腹動脈より
哲 夫 (金大解剖学敢室)
分岐することが多い.次いで上磐3下磐,内陰部各動 脈の順に順次下腹動脈より分岐することが多い.上磐 動脈は:Lr).,St,の背髄紳経聞を,下盤動駅はSl.,S2.
間を叉二条を有する時は相隣れる絆経間を,内陰部動 脹はS3.の前を通過することが多い.閉餓動物は一一eg を以て下腹動脈より起始するを普通とし次いで上磐動 脈に起始することが多い,外側薦骨動脈は上磐及び下 腹動脈に起始することが多く叉二条を有するものが多
い.
質問(富山赤十字病院外科)中島工
仙骨紳経叢,骨盤内動脈の三型と骨盤及び腰椎の形 の変化との関係知何,
答
仙骨聯経叢及び近部骨盤内動脈の形態についてのみ 剖見し腰椎,仙椎の形態的変化については調査してあ
りません.
42,後頭蓋窩の人類学的形態学的研究 加 村
1918年Anlenが後頭蓋窩の形態,大いさに関して レントゲン線撮影により野送において窩に異常あるこ とを報告し,1923年Sho, II・がドイツ人成人の正常 者llEびに各種疾患者及び15種類の動物の頭蓋について 計飼し,その後頭蓋窩容積示数はそれぞれ特異な値を 示し注目すべきことを彊馴している.余は北陸地方那 人頭蓋188個につき23項目にわたり橡討した所,年齢
善 一 (金大解剖学敢室)
別,頭蓋津別には大多数に差異はないが,憶差は明ら かに男桃に大である.角度において稽ζ女性に大きい 傾向があり,後頭蓋窩示数は確実に女性が大きい.
Sh{), H.のドイツ人と比較するに北陸人後頭蓋窩は コ稻ζ小さい.思うに本後頭蓋窩は人類学上,比較解剖 学上重要な観察部である.
43.「所謂生理的人工溶液,各種塩類溶液及び二三糖類溶液の 低張性赤血球滲透抵抗力に及ぼす影響について」
辻 赤血球滲透抵抗力測定に際し,溶質の種頒が滲透抵 抗力に及ぼす影響を吟味した.
1)塩化物,硫酸塩,硝酸塩類の溶液ではK:tion が滲透抵抗力に及ぼす影響の大さは,1価のKati・n の方が2価の夫よりも大きくK>Nユ>C・・>Mgなる 恒常な関廉を認めたtなお硫酸塩溶液中では著しく赤 血球滲透抵抗力が堰強する,これはSO4根の存在の ためと考えられる,
域: 入 (金大生理学教室)
2)糖類では二糖類の方が複糖類よりも滲透抵抗力 に及ぼす影響が大きくブドー糖〉果糖〉麦芽糖〉乳 糖〉蕪糖の順に小さくなる,
3)各種の所謂生埋的人工溶液による赤血球滲透抵 抗力を比較するに,夫々溶脱度が甚だしく異なること を見出し,これが原因は,各溶液の組成の違いによる ことを明らかにした,
41.基心臓の房室伝導系に及ぼす代謝関係物質の作用 櫻 井
藍の早出心臓の房室伝導系に及ぼす代謝関係物質の 作用として,含水炭素,クレブス環に属する物質,アミ
ノ酸,脂肪酸,グリセリン及び乳酸等(子等は0・01%
で,酸は苛性ゾーダーで中和して用いた)を添加せる 場合の与えられた週期における房室伝導時間及び恢復 曲線を測定し,次の結果を得た.
1.葡萄臨焦性葡萄酸,酷酸,ブチール酸,乳酸
昭光(金大生理学敢室)
等は何れも房室伝導系の機能を持続的にノ 澁させる が」その他のものは何ら認む夕べき作用がなかった.
2.葡萄糖は伝導系の機能減退した時に初めて利用 ざれ,他のものは馬流初期から利用されるらしいとい 弓点が異なる.
なお,実験は4月から9月に凡って行った,
45.「エリト記事ラルギー」を起せる:岸中毒
窪田 保
井川和夫 (農協高岡病院)
1,從來撮告の無かった富山県において発生した. . 2.本例は「どくささこ」clit。cybe aerrmela】ga
[ 138 ]
Ichimuraによる肢端紅痛症である.
3.検査所見においては,糞便,尿,肝機能及び血 液に異状なく,本症に3例とも自律紳経系検査におい て軽度副交感融経緊張,患部の痛覚3温覚開進を認め
た,
4.各種鎭痛剤,堅物動脈注射,交感紳経遮断剤等 何れも無功であった.
5.プロタチン(トリブロームェタノ ル」が著効 を呈した.
鷲 間 寓田等
吾kは御報告と似たエリトロメラルギー症状を比し た死亡例を剖検した.
死因になる如き臨駄橡索よりの手掛りがありました か,御尋ね致します.
答
心電図においてT波の低下するように思われる.
質 問 泉贋判
興味ある問題でありますが,毒茸より直接毒素の証 明或いは抽出は出來ませんでしたか.
答
「どくささご」発生は略t9,月上旬より10月中旬の
・一闃匇ヤであります.
本例の初診は10月25日で,当時すでに数個残存して いたのみでしたので抽出艶びにその樵討は不可能でし た.來年度茸探取の上樵討の所存です.
なお本「トキシン」につきましては現在未だ不詳で すが三浦氏(東北大)の昭和13年度報告では麦角に類 するものならんかの記載及びその成績を述べてありま
す.
46.胆石症々歌をを呈して,胆石の認められなかった欝滞胆嚢4例 谷 裕 吉 友 睦
胆石症と至く同様の二二発作を回し,肌石症との診 断にて開腹し,胆石なく,軽度の胆汁の轡滞と炎症及 び胆道附近の淋巴腺腫脹を認め,胆嚢塞腸吻合術にて 疹痛発作の去った4例を経験したので報告し,併せて 疹痛の原因を考察した.即ち鯵滞胆嚢が存在し,胆道
彦 山 田 正(富山県下新川厚生病院)
内圧に少しでも異常を來しておる時,何等かの原因に より軽度でも炎症が加わると,胆石は存在しなくて も,胆石症と旧く同様の症賦を呈したものであろうと 考察した,
47.鼠践ヘルニヤ1こ偶発せる腸管破裂の2治験例
谷 裕
雫生より為熟ヘルニアがあり,若痛なく,放置して いたが,突然張力な腹圧を加えた所,脱出したと思わ れる腸管の破裂を面し,これが還納して急性化膿牲汎
吉友睦彦 (富山県下新川厚生病院)
発性腹膜炎を起した2泊験例を引つづいて経験したの で報告し,併せて腸管の破裂機予について考察した.
48.閉鎖孔嵌頓ヘルハアの一例 後 藤
68歳老婦主訴腹痛嘔吐左下肢紳経痛檬疹痛.下腹部 膨満左下腹部腹壁筋緊張著明腹壁抵抗触知腸蠕動不穏 を認め圧痛著明両下肢股関節にて屈曲位伸展動不可.
開腹術に依り廻腸末端よリロ側50糎廻腸蹄係の腸壁 幅%長さ2・0糎が左閉鎮孔に嵌頓せるを確認す嵌入腸 壁壊死に隆り壊死部を含めて7・0糎腸切除小腸側々吻 合術を行う.
田 薫 明 (富山市信清病院)
閉鎮孔示指頭を容れる広さ,術後経過良好一週平目 に急憐蓋膿性胆嚢炎併発術後2週閲目に死の転機をと
る.
閉門孔嵌頓ヘルニアにおいてはHowohip−Ron)berg s Sympto m下肢屈曲位,膣直腸触診による有痛性抵抗 等は重要なる症状である.
49.Recklinghausen勝機の一例 平 井 基 弘
生來全身皮膚に大小種々の淡禍色億斑を有し,12歳 頃よ:り皮膚に,柔軟な多発性踵瘍を形威し,18歳頃ま で大小種kに増大多発し,初老期の今日更に壇進の傾 向を示して來院した.Reck]ing−hausen氏病の40歳男 子に遭遇し,臨床的楡索の結果即ち;1)皮膚多発性
石 坂 栄 造 (農協滑川病院外科)
腫瘍1「)皮膚異常色素沈着IH)深部肺経腫瘍発生の 臨床症を示した断謂,Jostの完全型を呈し,且つ家
族的にみられたReckling一一:Lansen s phakon}atosis(母 斑症)を有する1例を騨告し併せて若干の考察を試み
た.
50.1「肺壌疽のペニシリン吸入療法」
草野久也 高嶋 学 從來行われているペニシリン筋注,ホモスルフアミ
ン併用療法に依るも或程度以上好転せざる4例の肺壊 症に対し,ペニシリン暇入療法を施行し,遠隔成績に ついては未だ不充分なるも,体温,喀療鼠赤沈,レ 線像,白血球数等の所見より,著効1例,良効1例,
不変1例,悪化1例,という成績を得たので勉に報告
する.
有田 隆 :訓話昭治(富山県下新川厚生病院内科)
追 加
私も昭和21年に原游の盤使用せり.
ロメジンは3ミクロンの粉を吸入させて著効を得た り.しかし,患部に到達しなけばならぬ.
それがためには気圧の樋曲,室澗を有するものには 著効を認めず.
51.不圧,経胸腹式下部食道癌手術例 古 戸 節 郎 黒 田 藤 rp
1.我々は下部食道癌を4s圧で経胸腹式で切除し,
胸腔内で食道,胃吻合術を行った,
2,開胸手衛は高圧下で肺輝輝を防止して行うのが 理想的と思われるが肋膜癒着があったためか,大した 困難を感ずることなく実施し得た,
3.麻痺として,基鵬腰既局麻の併用で著明な る苦痛を俘5ことなく6時間30分の手術を実施し得
た.
4.術前は流動食も掻取し修なかったが,術後通過 良好となりしも縫合不全のため痩形成し,50日R褻弱 死した
室 谷 達 二 (富山市民病院)
5.剖見所見より死因は食道,胃吻合部ではなく胃 切断端の痩形成によることを確認した.
追加(農協高岡病院)豊隣境・一一
食道癌に対し從來ラヂウム療法が行われていたが,
我々の経瞼では総て死の転機をとっている.しかし最 近これが根治手術療法が行われ優秀な祓績があげられ ている,これも内覗鏡の発達により早期診断の可能に なったためである.故にこれが早期診断を行い.これ か根治手術療法を行えば不幸な患者を救い得ると信ず る,なお富山県において本手衛を始めて行われた演者 に対し敬意を表する.
52.抗インシュリン因子の血清化学的研究 山 崎
精紳分裂病の患者血液中に特有な抗インシスリン因 子が含まれているか否かを橡索することが本研究の目 的である.演者はこの抗インシュリン因子について血 清化学的な樵索方法を用いて,精神分裂病患者血清と
敏 雄 (金大精聯紳経科)
脳に器質的変化を伴わざる他の精紳患者血溝及び正常 人lill rsとの比較楡討を加え,抗インシュリン因子の存 在を確認し,併せて抗イソシユリソ閃子の存在意義に ついて解明した.
[ 140 )
53.精祠1病質人格の一類型,察想性欺強者に関する犯罪生物学的研究 高 島
多様な犯罪者類型の中で,慮需,笹笛をもつて他を あざむいて利得を得んとする傾向において,群の東西 を問わず,叉時代の如何を問わず,軌を一にした1群
実 (金大精沸魏経科)
の犯罪者がある.演者はこれらの反肚会表を犯罪生物 学的見地より考察して,この堅想性欺隔者に共通する 人格構造の特質を規定し,解明したいと思5.
54.脳脂蛋白(Lipoprotein)について 山 田 績 一4
J・Folch(1951)の術式に準じて人脳及び牛脳より Proteolipideを抽出することが出血たので,このもの
永森文夫 (金大精紳医学教室)
X血性学的性朕を述べると共にその血液凝固に及ぼす 影響について検索したところを述べる.
55.悪性腫瘍を思わせる亘大有茎子宮筋腫の一例 池 田
37歳の農家の圭婦.3回分娩で腹部著しく膨隆し高 度に繍痩衰弱した患者の開腹手術により,3,6CO瓦の
習 一 (富山県立中央病院産婦人科)
有茎のEi1大子宮筋腫を別出した.
56.卵管結核に合併しk子宮外妊娠破裂の一例について 卒野 宗 治
卵管結核に合併する卵管妊娠は極めて稀である.即 ち結核性病変の軽度な場合に可能であって,高度にな ると不妊となる.余等は1例を経由したので報告す る.患者は41歳で,32歳まで4回経産し,後10年不妊 が続いた.最終月経は8月5日より2日間あり,;欠い で9月27日に卵管破裂の第1回発作をおこして当院に 來下した.胸部にX線上著明な肺浸潤像を証明した.
野村幸男 (国立富山病院産婦人科)
開腹所見は子宮体部及び附属器は密に腸管と癒着し,
卵管及び卵禦固有靱帯に粟粒大の結節を多数認め,卵 管はレトルト朕を呈し且つ屈曲し,割面は乾酪化を起 していた.更に子宮体部に壁内筋腫があb子宮腔は変 形し卵管の病変と相侯って左側卵管膨大部に着床した が,組織の軟弱なために第7週にて破裂していた.
57.妊婦の体重について
村 山
妊婦の体重壇加量の推移を各週911に調査中で詳細な る検討は今後にゆずるも一応…欠の結論を得た.
1.妊娠による本邦妊婦の生理的体重壇加量は9.0 1cg前後である.
2.妊娠中期は後期に比し体重の壌加量が大で,且 つ各週別の変動が少ない.
3,妊娠中異常を有した者の壌加量は異常を有せぬ
茂(高岡市民病院)
者に比し大で,目.つ各遇別の変動が大である.
4.経産別による体重壌加曲線の差異は殆んど認め られない.
5.各廻別体重:晶晶量が中期において1ま約450昏後 期には約4009以上を持続的に示すものは異常と焉i故
し注意を要する,
58.最近数年閥における食道異物症の経験 原 田 孝
粗糠食道異物に対し,その除去に関して色々の弊風 があるのは遺憾であるが,我々は過去7年間に取扱つ た食物異物症23例の経験を述べて参考に費したいと思
5.
年齢的には乳幼児及び老人に多く,性的には男子に 多発する,異物の大部分は食道入P部,第1狭完部附 近に多く介在していた.
23例中直建鏡下に搾出に威照したもの12例,直達操 作中胃内に落下せるもの6例,吐出したもの3例,摘 出不能のもの2例であった.その1例は4歳の男児で
米丸年也 (農協高岡病院)
食道周囲炎を起して自家中毒症にて死亡したものであ り,異物は沢庵であった。他の1例は老人の義歯を誤 嚥した症例であって,異物駅子2本を破損したのみで
とれず,松田教授の下で食道外切開を行い,和田博士 の協力によりハンドピース用裂溝様を用い先ず鈎を除 去し,義歯破砕器により少しつつ破確して始めて捌禺 出來た症例である.
なお異物の種類としては魚骨,が多く幼児では貨 幣,老人では義歯がこれに次ぐ.
59.寄生虫による咽喉頭知覚異常として訪れる患者について 豊 田
我々は寄生虫に起因する咽喉頭の知覚異常であろう として,内耕医より紹介される患者が多い.かSる患 者を精診しても咽喉頭に著変をみないことが少くな い.軍に咽喉頭紳経症としては附けらるべきだろう か,私は最近経験した14症例について,咽喉頭に著変 ないものに食道槍査を行い,3例の限局性食道炎,2
文一(農協高岡病院)
例の食道痙攣と考えられる所見を得た,この食道の変 化については寄生虫毒による局所的変化か否かについ て解明しえないが,興味ある事実と考える.なお食道 において変化をみなかった他の症例は寄生虫による反 射性神経症と解すべきと思うが,その本態の検索につ いては將來にゆずりたいと思う.
60.眼疾患に対するコルチゾン及びACTHの効果
:倉 知
約200例の各種眼疾に,コルチゾンの点眼を主と し,その他結膜下注射,球後注射等の局所的応用を試 み,また原田氏病の数例にはコルチゾン或いはACTH の全身的投与(筋注)を行い,これらの結果を総:括的 に述べ,本剤の適応を明らかにした.
眼球前草筆の疾病には局所的利用の方が有利である
与志(盆大眼科)
が,後牢部の疾患或いは至葡萄膜炎では至身的投与で ないと効果を期待出來ない.コルチゾン,ACTHと もに,原因の如何を問わず,急性滲出性変化をよく抑 圧はするが,原因の去らない限り再発の危瞼があるか ら,本剤の使用と同時に原因療法を行う必要がある.
61.男性ポルモンの網膜新陳代謝に及ぼす影響 狩 野
網膜の組織呼吸と生殖線機能との関係について実験 的研究を行い,次の結果を得た.
組織呼吸の測定はワNルブルが槍圧法により,叉実 験動物としては雄性及び雌性の威熟自色家兎を使用し
た,
1)雄憶家兎にアモリシン及びエナルモソを注射す ると,網膜の組織呼吸は充進ずる.
俊 行 (金大眼科)
2)雌性家兎にアモリシンを注射すると,網膜の組 織呼吸は低下する.
3)雄性家兎を去勢すると,網膜の組織呼吸は砥下
する,
4)去勢によって現れるべき網膜組織呼吸の低下は アモリシンの注射によって現れなくなる.
[ 142 ]
62.人角膜並びに網膜新陳代謝
奥 村
誠人眼:角膜33,人寄網膜20につき,その組織呼吸を Warburg樵圧法により測定し次の結果を得た.
1)人眼角膜はリンゲル液で潤したガーゼで眼球を 蔽い2〜4。Cの冷藏庫中で保存すれば,死後叉は摘出 後18時閲迄は略it透明に保ち得.その新陳代謝も略く 正常に近い値を示す.網膜新陳代謝の減少は20時間を
八田吉勝 (金大眼科)
過ぎればQo2は概ね零に近くなるが, Q留は48時間 後でも零とはならない,
2)正常に近いと思われる角膜のQO汲びQ留は
夫々4歳のもの一・1・09,0・99 15eXのもの一1・02,1・15 52歳のもの一〇・84,L29であり,網膜鼻側部分にお いては,Q・2一一17・4,Q霊一+20・2であった.
63.嗅覚及び味覚の臨床的観察 坂 井
正常人及び外來患者142名について嗅覚及び味覚の 臨床瞼査を行って次の結果を得た,
1.健康者の嗅器及び味器は一定の刺戟閾値を有す
る.
2.各主要疾患における両感覚は予期以上に高率に 障碍されることを見出した.
3.嗅覚は各嗅素により一檬に障碍されない,
4.味覚は各直隠により一掴に障碍されない,
5.錯味は味覚降碍の約15%を占め,一般に甘,鍼
信一(金大耳鼻咽喉科)
昧を学事に,酸蛛を甘味に錯覚する.
6.嗅覚正常なものは味覚も概ね良好,嗅覚障碍せ るものは味覚も璋碍されるものが多く,両感覚機能に 密接な関連がある,
質 問 水野淳
嗅覚と味覚とは相関係数にて表現し得るや.
答
「嗅覚と味覚の相関性について」正確な係数的数値 ではない.
64. p−Acetylamino一 Salcyaldehyde Thiosemicarhazone Methylether (Niti Tb)の結核症における実験的並びに臨床的観察
青木外嗣秋田利夫
藤雀彌介 塚本眞惇
本剤はThiosemicarbazonの誘導体にして, Th1と 略it同標の藥理作用を有し,化学的成状も同様である が,海狽及び家兎に対する毒性試験においては甚だ軽 度である.抗結核菌壇殖疎止作用は試験内及びSCC 法においてもTb1と同檬の効力を有し,動物実験に おいても抗結核作用はTb1と優劣は認められない.
馨瑠離開
臨床実験にては症例不適と服用期間が短いため見る べき効果はあまり認められなかったが大体Tb1程度 の効力を有するものの檬であり,且つ副作用の点にお いてはTb1と蓮い殆んど副作用を認めなかった.
以上により本剤はTb1の副作用をとり且つ抗結核 作用において劣らない点,期待される藥剤である,
65.「久留外科教室において治療されたる直腸癌88例の統計的観察」
増 山 最近11年間に久留外耕敢室に入院した直腸癌88例の 統計的観察を行った.5e宮代最多(31・9%),ε0巌以.
下9・1%,男女比は約2対13癌の遺伝的関係llWJ 幽既往症は痔疾患18例(20・4%)・腸チフス・
赤痢及び大腸炎計13例(14・7%),日本伝血吸虫症2例 は共に山梨県人なり,併存ポリープ及びポリポーシス は18 250 ,認めた.初発症斌として血便(37・3
隆 雄 (金大久留外科)
%),便秘及び下痢(29・5%),裏急後重(15・9%)が 最も重要覗さるべきである.組織学的分類は軍純癌9 例(12・5%),円桂上皮癌37例(5L4%),股子朕上皮 癌21例(29・2%),扁Zls上皮癌5例(6・9%)である.根 治手術はすべて一一・一■時的腹会陰術式で72例(81・8%)に直 腸切断術が行われ,8例(11・1%)の直接死亡である・
3年治癒率は58・go/e,5年治癒i率は44・10 ・ る.