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論文の内容の要旨 氏名:小

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Academic year: 2021

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論文の内容の要旨

氏名:小

専攻分野の名称:博士(医学)

論文題名:ラット脳挫傷モデルにおける選択的P2X4P2X7受容体拮抗薬の効果

外傷性脳損傷では、外傷直後に細胞外液中に大量に放出されるATPがマイクログリア上のP2受容体に 結合すると、マイクログリアの形態は変化して静止型から活性型となる。このマイクログリアの活性化に より大量のサイトカインやケモカインが放出され、二次性脳損傷を引き起こす。本研究は、ラット脳挫傷 モデルを用いてマイクログリア上のP2受容体を拮抗することにより炎症反応を抑制して二次性脳損傷を 防ぐことを目的とした。

脳挫傷モデルとしてラットのcortical contusion injuryCCI)モデルを用いた。コントロールとして dimethyl sulfoxideCCI-Control群)を使用し、選択的P2X4受容体拮抗薬である5-BDBDCCI-5-BDBD 群)、選択的P2X7受容体拮抗薬であるAZ11645373CCI-AZ11645373群)、およびその2剤(CCI-5-

BDBD+AZ11645373群)を脳挫傷中心部に局所投与する群を作製した。正常対照群として処置を行ってい

ないNaïve群と比較した。

Iba-1 抗体によりマイクログリアを免疫染色した結果、CCI-Control群では Iba-1 陽性細胞がnaïve

と比較して著明に増殖しており、その多くは形態学的に活性型マイクログリアであった。次にCCI-5-BDBD 群、CCI-AZ11645373群およびCCI-5-BDBD+AZ11645373群の脳を抗Iba-1抗体で免疫染色すると、外 傷側の大脳皮質や海馬では、CCI-Control群と比べて細胞数も、活性型マイクログリアの割合も明らかに 低かった。次に抗Iba-1抗体を用いてwestern blottingを行い、マイクログリアの定量を行った。CCI 5-BDBDAZ11645373もしくはその両方を投与すると、Iba-1の発現はCCI-Control群と比較して有 意に低下した。活性型マイクログリアが放出する炎症性サイトカインのmRNAの発現をみるためにPCR を行った。Naïve群と比べてCCI-Control群では脳挫傷周囲大脳皮質、脳挫傷から遠い同側の大脳皮質、

外傷側海馬において interleukin-1 betaIL-1β)の有意な上昇を認めた。すべての部位でIL-1βの発現

P2X受容体の拮抗により低下したが、特に脳挫傷から遠い同側の大脳皮質と海馬ではその低下は有意であ った。脳の二次損傷を大きく左右すると報告されているIL-1βをELISA法にて定量した。IL-1βの発現 CCIにより有意に上昇した。CCI-Control群に比べて5-BDBDAZ11645373、およびその両方を投与 した群でIL-1βの発現量が有意に低下した。しかしIL-1βの発現量に投与薬物の違いによる有意な差は認 められなかった。

本研究により外傷後に5-BDBDおよびAZ11645373を用いてP2X4P2X7受容体を拮抗すると活性型 マイクログリアの発現を抑制し、一部のサイトカインの放出も抑制することが分かった。In vivoモデルを 用いて外傷後にグリオトランスミッションを制御することにより、サイトカインの抑制効果が示された研 究結果はこれまでに報告されていない。5-BDBDおよびAZ11645373は、脳挫傷後の二次性脳損傷の主な 要因である過剰な炎症反応を抑制し、有効な治療法となりうる可能性が考えられた。

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