*1
乗客の行動観察による自動改札機の評価の試み
新 美 明 夫
Evaluation of Automatic Ticket Checker by Passenger s Behavior
Akio Niimi
問
題
近年の驚異的な半導体技術の進歩によって,コンピュータが小型化,低価格化し,われわれ の生活のあらゆる分野に急激に普及してきたことは,すでに周知の事実である。この急速な普 及の形態として,坂村(1982)は数年前,二つの方向を予測し,ほぼその通りに進んできたと いってよい。一つは言うまでもなく,オフィスや家庭へのコンピュータの導入であり,坂村の 言うニューメディアとしてのコンピュータの普及である。とくに,パーソナル・コンピュータ やワープロ専用機のこの数年来の普及には目を見張るものがある。これらは,いずれも,その 機器の利用者がコンピュータとして意識しながら使用するものであり,「見えるコンピュータ」
といってよかろう。
第二の普及形態は,坂村によれば,インテリジェント・オブジェクトとしてのコンピュータ であり,「見えるコンピュータ」に対して「見えないコンピュータ」の普及である。半導体技 術の進歩はマイコンチップの小型化,高性能化を可能にし,さまざまな機械の中に組み込まれ,
「知的」な機能が付加されるようになった。銀行の現金自動支払機から各種の自動販売機,エ アコンや炊飯器などの家電製品にいたるまで,われわれは,実はコンピュータを操作している ことなど意識せずに使用している。
ひと昔前までは,コンピュータはひとにぎりの訓練された専門家が扱うものであった。現在 では,「見えるコンピュータ」にしろ,「見えないコンピュータ」にしろ,その利用者は,とく に訓練を受けていない一般大衆が中心である。コンピュータの適用範囲の拡大が,その利用者 の範囲をも,質・量ともに急激に変化させたのである。このような利用者側の変化は,当然な
*1 本稿は,1989年度の本学科卒業生である小林恭子と神谷紅美衣が卒業研究の一貫として収集した データを利用し,全面的に再分析して,まとめなおしたものである。
がら,機械の提供者側にも影響を及ぼさざるをえない。最高の機能を発揮するような機械を作 り,その機械にあわせて人を訓練するというこれまでの考え方から,機械を人にあわせること への発想の転換が強調されるようになってきたのである(田村,1987)。人間と機械の境界面 をより人間的なものにすることを目標に,Human lnterfaceをキーワードとした学際的な学会 が毎年開催されるようになったのも,この方向の流れを示す現象であろう。専門家ではない利 用者の立場に立った評価ということを,機械の製作者側も無視できなくなってきたのである。
ほんの10数年ほど前に国内でも発売されるようになったパーソナル・コンピュータは,専門 家と同じだけの技量がなければ,使いこなせるものではなかった。そのため,一時的なブーム で売れはしたものの,結局は使われずに死蔵されることが多かったのである。それはマニア向 けではあっても,非専門家である一般ユーザを意識して作られた機械ではなかったのである。
しかし,利用者層の拡大とともに,パーソナル・コンピュータは,ハードウェア,ソフトウェ アともに,大きな改良の努力がなされることによって,ビジネス用としても,個人用としても 一定の役割を果たしうるまでに成長してきている。それは十分とは決していえないが,機械と して高性能かどうかというだけの観点ではなく,利用者にとって使いやすいかどうかという観 点からの評価がなされる商品になってきたということであろう。
パーソナル・コンピュータの場合,利用者が拡大し,非専門家が利用することが前提となっ てくるにしたがって,その評価は利用者にとって使いやすいものであるかどうかという観点か らなされるようになってきた。それは,とりもなおさず,利用者の側の評価が製作者にフィー ドバックされるようになってきたということである。それが可能になったのは,利用者が購入 者である場合が多いことが重要な要因であろう。使いにくいものであれば,一時的なブームが すぎれば,その製品は売れなくなってしまう。そのような製品は数知れずあるが,逆に「使い やすいインタフェース」を売りものにした任天堂のファミリー・コンピュータが,パソコン以 上の売上げを長期間にわたって記録していることは,そのよい傍証であろう。家電製品であれ ば,なおさらである。機械に弱い主婦が使いこなせないような製品は見向きもされないであろ
う。
このように,利用者が購入者である場合には,利用者の側の評価が製作者にフィードバック されることが比較的可能である。機械の提供者は,利用者のニードを取り込んだ製品作りをし ようとするだろう。問題は利用者と購入者が異なる場合である。製作者は利用者が購入者であ る限りにおいて,その評価を尊重するのであって,購入者と利用者が異なれば,当然,購入者 の評価の方がより重要なのである。その場合,購入された機械の直接的な影響は,購入者とは 異なる実際の利用者が受けることになる。「見えるコンピュータ」で例をあげるならば,経営 者の過大な期待でなされたOA化によって,職場での肉体的・精神的な負荷が増大し,「テク ノストレス」や「OA症候群」として現在大きな問題となっていることがあげられるだろう。
小林(1987)は,すでに1970年代に「『使い易さ』についての使用者の側と機器を使わせる側 の二面性の問題」が出てきていたことを指摘している。
利用者が購入者であれば,気に入らない,あるいは自分にとって害のありそうな製品は買わ なければよい。あるいは,買ってしまっても使わなければよい。製品が自分に与える影響を利 用者は自分でコントロールできる可能性を有しているのである。しかし,購入者と利用者が異 なる場合は,利用者はその製品が与える影響を自分でコントロールすることは困難である。社 内文書をワープロ化することが義務づけられれば,ワープロを使わざるをえないのである。十 分な労働環境の整備がなされないまま,性急に導入されたOA機器が引き起こしてきたさまざ まな問題は,おもに利用者の個人的な適応能力に帰属され,そこで明らかになったかもしれな い機械の不十分さは,その機械の製作者にフィードバックされにくい傾向があるのである。利 用者にとって使いやすい,やさしいインターフェース(Human Interface)をもつ機械は,利 用者と購入者とが異なる場合に,より実現しにくいといえるであろう。
Human Interfaceの提唱者の一人である田村(1987)は,物理,科学,数学といった物の原 理にあわせて作られてきた従来の機械を批判し,人の原理としての,「生き物の原理」「心の原 理」「文化の原理」「社会の原理」に整合したインタフェースをもつ機械を実現することを提唱 している。機械の評価は田村の言う,人の原理に基づいたものである必要があるだろう。そし てこの観点は,利用者が購入者である場合にももちろんであるが,利用者と購入者が異なる場 合に,より強調されねばならない。そして,そのためのさしせまった課題は,利用者の観点か らの評価方法の開発であろう。本稿ではこのような観点から,利用者と購入者が異なる機械の 一例として,自動改札機を取り上げ,利用者の観点から評価を試みようとするものである。
利用者と購入者が異なるコンピュータ関連機器の代表格はもちろん「見えるコンピュータ」
であるオフィスのOA機器である。これらの機器の影響については,すでに大きな社会問題と なっているが,それは,OA機器がそれだけ社会に浸透し,その影響が個人的な問題をはるか に越えて一般化したことを示すものであろう。利用者の観点からの評価もすでに組織的な研究 がされはじめている。それに対して,購入者と利用者とが異なる「見えないコンピュータ」に ついては,それほどの関心が払われていないように思われる。このような「見えないコンピュー タ」には,人手の省力化を目的としたさまざまな自動機が含まれる。比較的単純な動作をする 各種の自動販売機から,複雑な預貯金業務を人間に代わって行う銀行の現金自動支払機まで,
さまざまな自動機がすでに一般化している。このような機械の場合,職場に導入されたOA機 器と異なり,その利用者は子どもから老人までのはるかに広範囲な人が含まれ,それだけその 評価基準は厳しいものが要求されるはずである。当然これらの機械に関しても,利用者と購入 者のギャップを埋める努力がなされねばならないだろう。本稿で,「見えないコンピュータ」
の一例である自動改札機を取り上げたのは,このような観点からである。
これまで人間が行っていた仕事を,機械がとってかわることが,業務の自動化であり,自動 機はその担い手である。自動化の最大の目的は業務の効率化であり,改札業務の自動化もその 例外ではない。「日本特有のラッシュを無理なくさばくため工夫された自動改札機は,関西の 私鉄を中心に定着し(田村,1987)」たといわれるが,改札業務の自動化は,ラッシュアワー
時に集中して必要とされる改札要員の削減が大きな目的であったであろう。鉄道の利用者に とって,改札を受けることは基本的に不愉快な行為である。改札とは,正当な料金を払って,
その交通機関を利用しているかどうかを,利用直前と直後に検閲を受けることであり,事前に 料金を支払っていることを考えれば,検閲する者が,駅員であろうと,自動機であろうと,さっ
さとすませてほしい行為であり,なければないほうがよいのである。これまで基本的には駅員 による改札であったところに,自動改札機が導入されたのであれば,自動機による改札が,こ れまで以上の負担をかけないことを利用客が望むのは当然のことである。これに対して現金自 動支払機や自動販売機は,現金の支払や物の販売の過程そのものが自動化の対象となっている。
現金の支払や物の販売は,利用者にとってない方がよい改札業務とは違って,利用者が望む行 為なのである。自動改札機の場合,この利用者の構えの大きな違いによって,それだけ,自動 機の購入者(設置者)と利用者(乗客)の評価基準のズレもより大きくなると考えられる。こ れが,各種の自動機の中で,とくに,自動改札機を取り上げた理由の一つである。さらに,そ の利用者が,老若男女にわたり,一般大衆全般を対象にした機械の典型であることも理由の一 つである。
本稿では,自動改札機を,その利用者の観点から評価するにあたって,現場での利用者の行 動を実際に観察するという,比較的素朴で,実施も容易な方法を採った。このような方法で,
どこまで利用者の観点からの評価が可能であり,どの程度,望ましい機械のイメージが提言で きるかを探索することが目標である。
観 察 1
[目 的]
問題の項でも述べたように,自動改札機は,ラッシュ・アワー時における混雑の緩和と,改 札業務に割かれる人手の省力化を目的として設置されたものである。設置者としては,自動改 札機が駅員と同程度には利用されることが当面の目標であろうし,最終的には改札業務の無人 化が目標であろう。また,鉄道の利用客にとってみれば,改札とは,不正乗車でないかの検閲 を受けることであり,正当な料金を支払っている大部分の客にとっては,ないほうがよいこと である。少なくとも自動機による改札が,駅員による改札以上の負担をかけないことが最低条 件である。
本学の所在する名古屋市を中心とする地域の主要な鉄道には,JR,名古屋鉄道(名鉄),名 古屋市営地下鉄(地下鉄)があり,このうち,名鉄と地下鉄の改札業務は自動化されている。
名鉄は駅員による改札(駅員改札)と自動改札機による改札(自動改札)の2本立てであり,
地下鉄は駅員改札はあるものの,磁気乗車券による利用は原則として認めていない。実際に,
地下鉄の場合,磁気乗車券による駅員改札の利用はほとんどみられないが,現場の利用客の行 動観察という方法では,このような条件下では,利用者の観点からの評価はほとんど不可能で
あろう。自動改札と駅員改札とが,同等の選択肢として乗客に提示されている条件下で,はじ めて利用客は双方の改札を比較することができる。このような条件が満たされた上で,それぞ れの改札の利用頻度は,利用者全体の自動改札機への評価のよい指標となるであろう。
観察1では,このような観点から,利用客が改札を受ける際の,改札口の選択行動を実際に 観察することによって,現在用いられている自動改札機を,利用者の観点から評価することを 試みるものである。さらに,同時に観察可能ないくつかの項目を利用者ごとにチェックするこ
とによって,改札口の選択という行動に影響を及ぼす要因を探索することとする。
[方 法]
1.観察対象
駅員改札と,自動改札とが同時に利用客に開放されている鉄道の駅として,名鉄河和線知多 半田駅を設定した。知多半田駅は,一日の利用者数約1万9千人程度の,中程度からやや大き い規模の駅であり,自動改札機の設置台数も4台(乗車用2台,降車用2台)と平均的な駅で
ある。
利用客の改札口の選択行動の観察は,次項のようにビデオテープに収録することで行ったが,
撮影の対象は,改札を出る人,すなわち,降車客を対象とした。これは,自動改札を利用する 場合,乗車時には,切符による利用者も,定期券による利用者も,自動機に乗車券を入れ,通 り抜ける時に抜き取るという,ほぼ同じ行動をとることから,切符か定期券のいずれの利用者 であるかが判定しにくいことによっている。これに比べ,降車時には,定期券の場合には,抜 き取る動作が伴うが,切符の場合には,そのような動作がないことから明確に区別できる。こ
表1 観察対象とした列車の時刻表(知多半田駅発時刻)
上り電車 下り電車
時間帯 発時刻 行先 種別 発時刻 行先 種別
8時 7:58 弥富 準急 7:58 内海 準急
9時 9:00 弥富 普通 9:01 半田(止)普通
10時 9:59 弥富 普通 9:58 河和 急行
11時 10:59 弥富 普通 10:58 河和 急行 12時 11:59 弥富 普通 11:58 河和 急行 13時 12:59 弥富 普通 12:58 河和 急行 14時 13:59 弥富 普通 13:58 河和 急行 15時 14:59 弥富 普通 14:58 河和 急行 16時 15:59 森上 普通 15:58 河和 急行 17時 16:59 佐屋 普通 16:58 河和 急行 18時 17:59 森上 普通 17:56 河和 普通 19時 18:59 佐屋 普通 18:55 河和 普通
の理由から,観察1では,観察対象を,降車客に限定することとした。
知多半田駅には,1日で上下合わせて約240本の電車が発着するが,表1に示すように,こ のうち,午前8時〜午後7時までの毎時00分前後発の上下線の電車を1本ずつ観察対象とした。
知多半田駅発着の電車全体の約10%である。なお,特急電車については,乗車券の他に座席指 定券を要し,改札口で駅員に渡さねばならないことから,意図的に観察対象からはずし,他の 電車の利用客と混じらない時間帯を設定した。
2.観察方法
本観察に先立って,予備的な観察を行い,観察方法の検討を行った。現場で直接記録用紙に 記入する方法では,せいぜい改札口別の利用人数を数える程度しかできないことが明らかに なったので,ビデオカメラで利用者の行動を収録し,後で再生して行動をチェックする方法を 採ることとした。しかし,ビデオカメラ1台では,ラッシュ時に,利用客が重なり合い,一人 一人のチェックが十分にできないこともわかった。そのため,本観察では図1のようにビデオ カメラ2台を用い,駅員による改札口と,自動機による改札口とを別々に収録した。また,適 宜,観察場所を微修正して,もっとも適切な映像がえられるよう配慮した。撮影は電車の到着 直後から始め,利用客が途切れるまで行った。本観察の期日は平日を選び,1989年10月17日㈹
に行った。
観察に使用したビデオカメラはビクター製ビデオムービー・BR−C900である。十数本の VHSカセットに収録した映像は,撮影終了後VHSテープに,ダビングしてつなぎ,次項の観 察項目について,利用客一人一人をチェックした。
降 車 客 の 流 れ
駅員窓口 1
ビデオカメラ
乗車専用 自動改札機 乗車用自動改札機 降車用 自動改札機 乗車用自動改札機 降車用
、
ビデオカメラ
図1 知多半田駅の改札口付近略図
3.観察項目
撮影された映像から,次の観察項目に従って,一人一人の利用客のチェックを行った。観察 項目は,次の6項目である。
①改札口の選択
自動改札を利用したか,駅員改札を利用したかを区別する基本項目である。自動改札機の評 価をする際の指標である。
これ以外の項目は,①の乗客の改札口の選択行動に,何らかの影響を及ぼすと思われる要因 である。これには,大きく二つの種類を設定した。一つは,選択行動をする時点での,利用者 全体に共通した外的な状況を表す外的要因である。いま一つは,利用者一人一人で異なる個人 的な要因であり,乗客の属性要因である。
② 時 間 帯
利用者共通の外的要因を表す観察項目として,時間帯を設定した。ラッシュ時とそうでない 時では,乗客の行動に違いがみられる可能性がある。何時前後の乗客であったかを区別するこ
ととした。表1にみられるように,一撮影時には,上下線1本ずつの乗客がほとんど同時に改 札口を利用するので,上下線どちらの乗客であるかのチェックは行わなかった。
乗客個人の属性要因には,次の4種類の観察項目を設定した。
③乗車券の種類
自動改札機の対象は,磁気切符ないしは,定期券をもつ乗客である。この項目では,この2 種を区別するとともに,本観察では対象とならない,回数券や特殊切符をもつ者をチェックす
る。
④ 性 別 ⑤ 年 齢
年齢の推定は大ざっぱに,30歳未満,30歳以上一一・60歳未満,60歳以上の3カテゴリーで推定 し記録した。さらに,高校の制服を着ている者については,高校生として特記した。
⑥荷物の量
荷物の多い時,改札口を通過するのは苦痛である。この要因が,乗客の改札口の選択行動に どのような影響を及ぼすのかを検討するため,表2のような基準を定めてチェックした。なお,
全乗客の内,2人が切符を要しない子どもであったが,一人は自分で歩き,もう一人は母親に 抱かれていた。数が非常に少ないため,乗客のデータからは除外し,抱かれていた乳児につい
ては,その母親の荷物を大とすることで処理した。
その他,特徴的な行動などが見られた場合には,随時記録した。
[結果と考察]
1.改札口の選択比率
午前8時から午後7時まで,上下線合わせて24本の電車から降りて,改札口を通過した利用
表2 「荷物の量」の判断基準
ボストンバッグのような片手では重い荷物や,両 手が荷物でふさがっている場合。
大きめの鞄ひとつや,小さめの鞄を二つ。片手が ふさがっている場合。
ト゜㍊
⇔田久鵠㌫
ヂ駄梁
⇒鰍
〃㏄芸
セな カ己 ン
客の総数は699人であった。このうち,自動改札機を利用できる定期券と磁気切符の利用者は 693人であった。残りの6人は,回数券などの特殊な切符を使った者,および乗車券の種類が 不明の者である。乗客の観察を,降車客に限った結果,かなりの識別率を確保できたといえる だろう。以後の分析では,定期券ないし磁気切符の利用者のデータのみに限って,分析を行う こととし,分析対象者の内訳を表3に示した。
表3 分析対象者の内訳
乗車券 定期券 287 性 男性 306 の種類 切 符 406 別 女性 387
60歳以上 36 荷 大 45 年 30〜60歳未満 342 物 中 215 齢 30歳未満 315 の 小 384
(内高校生 93) 量 なし 49
TOTAL=693
改札口を通る際に,駅員改札と自動改札のいずれかが選択可能な乗客が,どちらの改札を利 用したのかの比率を図2に示した。これからわかるように,自動改札に比べて,駅員改札の利 用者はほぼ2倍であり,圧倒的に駅員改札の利用者の方が多い。しかも,図1に示されている ように,降車用の自動改札機は2台置かれており,利用客が改札口を通るコースは駅員改札が
1コース,自動改札が2コースであることを考慮すると,1コースあたりの自動改札の利用比 率は,駅員改札の約1/4となる。さらに,一台一台の自動改札機は,乗車ないし,降車専用で あることを考えると,単純に計算すれば,この比率は約1/8となり,自動改札機1台に期待さ れる能力が,駅員1人分であるとは必ずしも限らないが,この結果は,自動改札機の設置意図
である混雑の緩和を十分に満たしているとはいいがたい。乗客は,自動改札機をかなり意図的 に避けていると推測される。
磁気乗車券の利用客の駅員改札の利用が原則的に禁止されている地下鉄の場合,自動改札を ほとんどの人が利用することはすでに述べた。それにもかかわらず,名鉄でこのような結果が 得られたことは,駅員改札と自動改札のいずれかの選択が許されている場合,乗客は明らかに 駅員改札を好むことを示している。地下鉄の場合には,磁気乗車券をもつ乗客の行動に,駅員 改札の利用の原則禁止という条件が,かなりの圧力を加えていることが推測できよう。今回の 結果は,現在設置されている自動改札機が,乗客にとって必ずしも好ましいものではないこと
を示唆しているといえるだろう。
図2 改札口の選択比率
2.改札口の選択に影響する要因の検討
今回の改札口の選択行動の観察では,実際の選択行動とともに,その選択行動に影響をおよ ぼす可能性のあるいくつかの要因について,試行的にチェックした。これらの要因について,
個々に選択行動との関係を検討することとする。
図3は,各要因ごとに選択行動との関係を示したものである。それぞれについてX2検定を 用いて,その要因効果を検討した結果,時間帯と年齢層では0.1%水準,荷物の大きさでは10%
水準で,有意な効果が認められた。それ以外の性別,乗車券の種類では,どちらの要因も,選 択行動の比率にほとんど差はなく,効果は認められなかった。
時間帯ごとに利用者数は当然大きく異なるが,今回の観察での一時間帯あたりの平均利用者 数(上下線各1本ずつの降車客数)は,約58人である。今回観察した時間帯では,平均より多 い利用者数が観察されたのは,午前8時,9時,および午後5時〜7時の時間帯であり,いわ ゆるラッシュアワーの時間帯と一致する。利用者数は午前8時が139人と群を抜いて多く,他 の平均以上の時間帯の利用者数は60〜74人であった。
選択行動の比率は時間帯ごとに大きく異なるが,時間帯ごとの利用者人数,いわゆるラッシュ
︿時間帯﹀︿乗車券の種類﹀ 時時時時時時時時時時時時890123456789 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
切符
定期券
θ男性則
女性
0 20
■■t自動改札を利用 [:コ駅員改札を利用
40 60 80 100(%)
0 20
X2=74.67***(d.f.ニ11}
40 60 80 100(%)
0 20 40 60
X2=0.17(df=1)
80 100(%)
X2=0、25(df=1)
60歳以上 30〜60歳
満未
30歳
︿年齢層﹀
灘高 校生
︿荷物の量﹀
大
中
小
なし
0 20
■■自動改札を利用 口駅員改札を利用
40 60 80 100(%)
駕2−17.別***(d∫−2)i
κ2=6.66 (d.f.=1)
0 20 40 60 80 100(%)
X2=7.27*(df=3)
*10%水準 **1%水準 ***O.1%水準で有意
図3 改札口の選択と各要因との関係
との関係は直接的には認められない。図から比較的まとまった傾向として認められるのは,午 後1時〜3時の閑散時における自動改札利用の比率が大きいことと,午後5時一一 7時の帰宅時 のラッシュアワーでの比率がそれに次ぐことである。ただし,午後6時ではこの傾向は逆転し
ている。
次に,年齢層と選択行動との関係は,非常に明瞭である。30歳未満の青年層に比べると中年 層はやや自動改札の選択率が減る程度であるが,60歳以上の老年層となると明らかに激減し,
利用者36人中わずか1人が自動改札を利用したにすぎない。老年層では,自動改札機に対する 明らかな回避傾向があるといってよいだろう。
さらに注目すべきなのは,図3に同時に示しておいたように,高校生の選択行動である。30 歳未満の青年層をさらに,高校生とそれ以外とに分けると,高校生では明らかに自動改札の選 択率が減り,30〜60歳の中年層のそれよりも低くなる。高校生を除いた場合,年齢層と選択行 動との関係はきれいな直線関係となり,年齢とともに自動改札の選択率は減っていくと考えて よい。そのなかで,高校生のこの選択行動は理解しにくいが,高校生の改札口利用は午前8時rt 午後2時,午後5時の3つの時間帯に7割以上が集中しており,現場では,自動改札ががら空
きなのにもかかわらず,制服を着た高校生が駅員改札に列をつくるという状況がみられ,異様
な印象を受けた。これらのことから,高校生の選択行動については,かなり特異な傾向がある と考えられるので,次項以降で,高校生とそれ以外の利用者については個別に検討を加えるこ ととする。
選択行動に効果のあった,最後の要因である,荷物の大きさについては,時間帯,年齢層ほ ど明瞭ではないが,荷物が大きい場合,自動改札の選択率が減る傾向があるようである。これ についても,高校生を除いた場合の効果を考慮する必要があるので,ここでは,その効果の可 能性を指摘するにとどめる。
3.高校生を除いた場合の各要因の効果
前項で指摘したように,高校生の選択行動はかなり特異であると考えられるので,高校生を 除いたデータを用いて,各要因の効果を再検討した。その結果を図4に示してある。
前項と同様に各要因と選択行動との関係をX2検定で検討した。その結果,前項と同様に,
性別,乗車券の種類では効果がみられず,時間帯,年齢層では0.1%水準で効果がみられた。
荷物の大きさでは,前項ではややあいまいな結果であったが,今回は5%水準で有意な効果が みられた。
︿時間帯﹀ 時時時時時時時時時時時時890123456789 1 1 1 1 1 1 1 1
1
1
裏切符竃
題定期券
︿性 別﹀ 男性
女性
0 20
■自動改札を利用
[:コ駅員改札を利用
40 60 80 100(%)
20 40
0 20 40
60歳以上牟 齢30〜60歳辱 30歳未満
X2−8099榊*(df=11)G 物 60 80100(%)の 琶
60 80 100(%)
大
中
1」・
なし
0 20
■自動改札を利用 [:コ駅員改札を利用
40 60 80 100(%)
0 20 40
γ2=22.34**傘(df:=2)
60 80 100(%)
X2=9 45.(df=3)
*5%水準 ***O.1%水準で有意
図4 改札口の選択と各要因との関係 (高校生を除いた場合)
年齢層と選択行動との関係はすでに前項で述べたとおりであるが,時間帯との関係では,午 前8時の最大のラッシュアワー時での自動改札の利用率が全体の平均を越えたことが特徴的で ある。荷物の量との関係では,やはり,荷物が大の場合,自動改札の利用率が減っており,予 想通りであったが,中,小,なしの場合の関係は逆になっていて,直線的な関係とはなってい ない。荷物の大きさは,その大きさがかなり大きくなった場合にはじめて効果が明らかになる と考えた方がよかろう。
4.高校生の改札口の選択行動
高校生についてはそのほとんどが通学中の行動を観察したことになり,選択行動に関連する 要因の内,年齢層,乗車券の種類についてはほとんど意味がない。年齢層についてはもちろん であるが,高校生93人の内,切符の利用者はただ一人であり,他はすべて定期券の利用者であっ
た。
残りの要因について,順次検討していくことにするが,まず,時間帯については,通学時間 帯に利用者が集中するので,各時間帯ごとの検討はあまり意味がないと思われる。そこで,午 前9時までを登校時,午後2時以降を下校時としてまとめて分析した(午前10時〜午後1時ま での高校生の利用者はいない)。その結果を図5に示した。これによれば,全体としてはすで に述べたように,自動改札の利用者は少ないのだが,登校時にはさらに利用者が減ることがわ かる。高校生の登校と最大のラッシュアワーが重なる午前8時の時間帯の,高校生利用者40人 の選択行動の比率は,自動改札1に対し,駅員改札7の極端な比率になっている。高校生を除 いた前項での検討で,午前8時の時間帯における自動改札機の利用者の比率が全体の平均を越 えていることを考え合わせると,駅員改札にたまっている高校生に辟易した一般乗客の一部が 自動改札に回っていることが想像できよう。これに対し,下校時では,かなり自動改札機の利 用者が増え,中年層の利用率をやや上回り,若年層のそれに近づいている。高校生の駅員改札 の選択傾向はとくに登校時に強いことが示唆されている。
登校時
下校時 0
■自動改札を利用 [コ駅員改札を利用
20 40 60 80 100(%)
図5
X2=5.12.(df=1)
*5%水準で有意 高校生の登下校時の改札口の選択比率
次に性別との関係では,男子にやや自動改札選択の傾向が大きいことが数字上ではみられた が,統計的に有意な水準にはいたらなかった(男子34.3%,女子22.4%,X2=1.57, d. f.=1)。
最後に,荷物の大きさとの関係であるが,高校生の場合の荷物はほとんどが通学鞄か,さら にサブバッグを持っている者がほとんどである。通学鞄のみの場合には荷物の大きさは小,さ らにサブバッグを持っている場合には中と判断されるが,それより大きい荷物を持っている者 はわずか3人,まったく荷物を持っていない者は1人であった。そこで,4カテゴリーに分け た荷物の大きさを,ここでは中以上と小以下の2つに分け,検討を行った。その結果,荷物の 大きさが小以下の場合,自動改札の選択率が見かけ上大きかったが,有意な差を示すにはいた
らなかった(中以上20.0%,小以下32.1%,X2=1.69, d、 f.=1)。
5.数量化ll類による要因の効果の検討
前項まで,改札口の選択行動に影響すると思われる各種の要因を個別に検討してきたが,こ れらの要因は実際には,相互に複雑に関連しあっており,乗客の行動への影響も,単純加算的 なものではないことが予想される。それゆえ,個々の要因の単独効果の分析に加えて,多変量 の同時的な分析が必要となる。そこでここでは,選択した改札口の種類を外的基準とし,各要 因を説明変数とする数量化E類の手法を利用することとし,取り上げた各要因による乗客の行 動の説明可能性を検討することとする。
その結果,分析の精度を示す相関比(η2)は,0.156と非常に低く,取り上げた5種類の要 因のみでは,利用客の選択行動を十分に説明できないことが明らかとなった。分析精度がこの 程度では,これ以上の解釈はほとんど意味がないが,参考までに言及すると,各要因の効果を 示す偏相関係数は,やはり,単独要因でも効果のみられた年齢層(r=0.325),荷物(r=0.208)
が比較的大きかった。時間帯についてはr=0.076と5要因中最低の値を示した。荷物,年齢 層の要因の各カテゴリーへ与えられた,カテゴリーウェイトを検討したところ,個々の要因の 検討でみられた結果と同様の傾向がみられた。
この数量化ll類による分析の結果は,観察1で取り上げた要因のみでは,乗客の改札口の選 択行動を説明するのは難しいことを意味しており,新たな要因の導入の必要性が示されたとい
えよう。
観察 ll
[目 的]
観察1では,自動改札機を,乗客の側から評価する試みとして,実際の利用状況を観察する ことによって検討した。その結果,自動改札機1台あたりに換算すると,その利用状況は駅員 改札の1/4であり,利用客は自動改札機を避け,駅員による改札を受ける傾向が強いことが明
らかとなった。このことは,自動機の設置者側にとってみれば,混雑の緩和と要員の削減とい う当初のねらいが十分に達成されていないことを示すものであるし,利用する乗客の側にとれ ば,自動改札機そのものが利用しにくい問題点をもつ機械であることを示している。
利用客が駅員改札と自動改札のどちらかを選択する際に,どのような要因が影響するのかを 検討するために,観察1では,利用した電車の時間帯,乗車券の種類,荷物の量,性別,年齢 層の5要因を試行的にとりあげ,その効果を検討したが,いくつかの要因においてはその効果 が認められたものの,全体的に十分な説明が得られるにはいたらなかった。
以上のような観察1の結果をふまえ,観察llでは,自動改札機がなぜ利用されにくいか,乗 客の側からすれば,なぜ使いにくいかを,以下に述べるいくつかの観点を新たに加えて探索す ることを目的とする。
新たな観点の第一は,乗客の改札口の選択が許されているという観察条件をさらに厳密にす ることである。観察1では,午前8時から午後7時まで,各時間帯上下線1本ずつをサンプリ
ングしてデータを集めた。自動改札機の利用状況の一般的把握のためにはこの方法は妥当であ ると考えられるが,自動改札機の使いにくさの解明を目的とする観察llでは次のようなデータ の絞り込みが適当であると考えた。すなわち,観察1でも述べたが,自動改札機の利用に影響 する要因を検討するためには,自動改札と駅員改札とが利用客に同等の条件で選択肢として提 示されていることが必要である。観察1で,磁気乗車券の利用者には原則的に駅員窓口の利用 が拒否されている名古屋市営地下鉄を観察対象として不適当としたのはこのためである。自動 改札機の使いにくさの解明を目的とするこの観察llでは,行動観察でそれを探索する以上,こ の原則は,さらに配慮をする必要があるだろう。そこで,自動改札機自体はラッシュアワー時 の混雑解消を当初の目的としたものではあるが,改札口の選択行動には,身動きの取りにくい このような時間帯には,バイアスがかかる可能性がある。観察1の結果では,時間帯によって 利用率が異なり,ラッシュアワー時の多くの時間帯で自動改札の利用率は平均を越えている。
このような時間帯では,乗客の自由な選択ができにくくなる可能性がある。そこで,この時間 帯をはずし,昼間の閑散時を観察期間とした。さらに,自動改札機の使いにくさがその行動に 直接的に反映するであろう,ふだん利用頻度の少ない乗客が利用することの多い時間帯に集中 的に観察を行うことにした。
第2の観点は,利用客の改札口選択の行動に影響すると思われる新たな外的要因の導入のた め,観察対象を増やすことである。これらの外的要因の一つは,改札口への自動改札機の設置 期間の長短である。この要因は,自動改札機への乗客全体の慣れが改札口の選択に及ぼす影響 を検討するのに役立つと思われる。この要因の導入のため,設置期間の異なる2つの駅を観察 対象とした。2つめの外的要因は,乗車と降車の別である。観察1では,乗車券の識別率をあ げるため,観察対象は降車客のみとしたが,ここでは,あえて両者とも観察対象とした。降車 の場合は一時に乗客が改札口を利用するが,乗車の場合はそれほどでもない。時間帯の検討と も関係するが,改札口の利用時の混み具合の効果を簡便に比較できると思われる。第1の観点 との関係や,識別率の引き上げを考慮して,利用頻度の少ない客(家庭の主婦や老人)が乗車 することの多い時間帯(午前9時一一 11時半),降車することの多い時間帯(午後2時半〜4時半)
を設定し,それぞれ,乗車客,降車客のみを観察することとした。
上記のような観点をもととして,観察nでは,自動改札機の使いにくさの原因を探索するこ とを目的とする。
[方 法]
1.観察対象
名鉄では昭和62年3月より自動改札機の導入が始まったが(名鉄広報宣伝部,1990),目的 でも述べたように,設置期間の長さが改札口の選択行動に与える影響を検討するため,比較的 長期間設置されている駅として,観察1でも取り上げた名鉄河和線知多半田駅(昭和62年6月 設置,設置期間2年5ヵ月)を,比較的設置期間の短い駅として名鉄常滑線朝倉駅(昭和63年 12月設置,設置期間11ヵ月)を観察対象駅とした。知多半田駅と朝倉駅は,この地方の中心都 市である名古屋市へ出るのには,河和線と常滑線の合流駅である太田川駅を経由する位置にあ り,知多半島のそれぞれ東西岸の駅である。1日の乗降客数は,知多半田駅が前にも述べたよ うに約1万9千人でやや大きな,朝倉駅が約8千人でやや小さめの駅である(平成元年9月,
名鉄調べ)。自動機の設置数はいずれも4台(乗車用2台,降車用2台)である。
表4 観察対象とした列車の時刻表 (朝倉駅,知多半田駅発時刻)
発 上り電車(乗車客) 下り電車(降車客)
駅名
発時刻 行 先 種別 発時刻 行 先 種別
8:59新名古屋 急行 14:34常 滑 急行 設 9:13新一宮 普通 14:51常 滑 普通 置 9:29明 智 急行 15:04常 滑 急行 期 9:43新一宮 普通 15:21常 滑 普通 間_朝 10:00新可児 急行 15:34常 滑 急行 10:13新一宮 普通 15:51常 滑 普通
倉短駅
10:30新可児 急行 16:04常 滑 急行
︶い 10:42太田川 普通 16:21常 滑 普通 11:00新可児 急行 16:34常 滑 急行 11:13新一宮 普通 16:51常 滑 普通
9:04犬 山 急行 14:24半田(止)普通 設 9:35新岐阜 急行 14:28 内 海 急行 置 10:05新岐阜 急行 14:55半田(止)普通
期緬間多 10:35新岐阜 急行 P1:05新岐阜 急行
14:58河 和 急行 P5:25半田(止)普通 半田長駅 15:28内 海 急行 15:55半田(止)普通
︶い 15:58河 和 急行
16:24半田(止)普通 16:28内 海 急行
F
目的に述べたような理由から,観察実施時間は,利用頻度の少ない客が名古屋方面へ出かけ,
帰ってくる時間帯を対象とした。すなわち,平日で,ラッシュアワー時を避け,乗車客は午前 9時〜11時半,降車客は午後2時半一一 4時半に観察を行った。観察実施日は平成元年11月20日
(月)である。観察対象とした電車の時刻表を表4に示しておいた。知多半田駅の上り電車では,
急行のみを対象としたが,これは,先発の普通電車がすべて太田川で後発の急行電車に追い越 されるため,ほとんど利用者がないことから,対象としてはずしたためである。知多半田駅で はこのほかにも,特急電車が利用できるが,観察1と同じ理由で観察対象からはずした。
2.観察方法
観察1と同様の方法で,ビデオカメラ2台を用い,改札口で乗客の行動をビデオテープに収 録した。駅構内と撮影位置の様子を図6に示しておく。
客車
降 自動改札機 乗車用自動改札機 降車用
自動改札機 降車用
(乗車客)
ビデオカメラ
K
の 流
隠隔↑
or/i」 __.._¶
ビデオカメラ1朝倉駅:
(降車客) 」 ≡ 一
れ自動改札機 乗車用 駅員窓口
イ\.
ビデォカメラ (降車客)
(乗車客)
ビデオカメラ
ビデオカメラ
(乗車客)
駅員窓口
降n 車 客 の﹁日 流
(乗車客)
ビデオカメラ
/■
自動改札機 降車用
自動改札機 乗車用
流れ の
客 自動改札機 乗車用
れ
自動改札機 降車用
、_.__.〔 \■
ビデォカメラ 1知多半田駅1 ビデオカメラ
(降車客) 一一 一 (降車客)
図6 朝倉駅,知多半田駅の改札口付近略図
3.観察項目
外的要因として新たに導入した,
項目は次のとおりである。
観察1と共通の観察項目は,
①改札口の選択 ②乗車券の種類 ③荷物の量 ④性別
自動改札機の設置期間の長短,乗車・降車の別以外の観察
であり,観察基準も観察1と同様である。
さらに,乗客個人個人の属性要因として,次の観察項目を追加した。
⑥急いでいるかどうか
改札を通過した後,走りだした人を急いでいる,それ以外を急いでいないとした。
⑦同伴幼児
観察1では,切符を要しない乳幼児の同伴はきわめて少なかったため,抱いている乳幼児の み,母親の荷物を大として処理したが,観察皿では,かなりの数の同伴幼児が見込まれるため,
同伴幼児の区別として,腕に抱いている乳幼児,背中におんぶしている乳幼児,一人で歩いて いる幼児,同伴幼児なしを設定し,同伴する利用客の属性として記録した。
[結果と考察]
1.利用客の内訳
改札口を通過する際に利用した乗車券が磁気切符または定期券であることが,本観察のサン プルとしての有効基準である。観察された利用客を乗降別にすると,乗車客では611名中44名
(7.2%)が,降車客では982名中9名(0.9%)が乗車券の種類が識別不能,または特殊切符 の利用者であった。予想通り,乗車客の識別率が悪くなっているが,この程度であれば,問題 はないと思われる。以後の分析では,使用乗車券が磁気切符または定期券の者のみを対象とす る。観察1では,高校生の改札口の選択行動がかなり特異なものであることが示され,別途に 検討したが,今回の観察では,降車客の観察時間帯に一部下校時間が重なり,乗車客では2人,
表5 分析対象者の内訳 乗降車
@の別
乗車 565 車 735
性別 男性 434 乱ォ 866
駅 朝倉駅 654 m多半田駅 646
荷物の量 大 117
?@ 537 ャ 560 ネし 86
一 般 乗 客
乗車券 フ種類
切符 750 闃卲煤@ 550 年齢 60歳以上 155
R0〜60歳未満 619 R0歳未満 526
同伴幼児 腕に抱く 27 w中におんぶ 4 齔lで歩く 7 ッ伴幼児なし 1262
乗降車
@の別
乗車 2 車 238 駅
朝倉駅 93 m多半田駅 147
高 校 生
乗車券 フ種類
切符 6 闃卲煤@ 234
性別 男性 103 乱ォ 137 TOTAL 一般乗客1300 高校生240
降車客には238人の高校生が観察された。これについては,サンプルとして切り放し,別途分 析することとする。
結局,高校生以外の一般乗客として1300人,高校生が240人,有効なサンプルとして得られ たことになる。その内訳を表5に示した。これからわかるように,一般乗客の切符利用者は 57.7%と,観察1の一般乗客の切符利用者の47.7%よりかなり多い。また女性の利用者が男性 の約2倍,老年層の利用者も1割以上おり,当初の期待通り,利用頻度の少ない家庭の主婦や,
老人が相当数サンプルに含まれていると考えられる。
2.一般乗客の改札口の選択比率
今回新たに自動改札機の設置期間の長短と,乗降車時という観点を導入したが,それぞれの 場合における自動改札機の選択率は表6の通りである。
これでみる限り,自動改札機の選択率は観察1の結果よりもかなり多くなっており,ラッシュ アワー時を含み,通勤客がかなり含まれるサンプルよりも,今回のように,閑散時で,利用頻 度の少ない乗客が多く含まれるサンプルの方が,自動改札機の利用者が多いことは興味深い。
しかし,いずれにしても,全体として,自動改札の利用者は駅員改札の利用者よりも下回って おり,観察1で指摘したような問題点は依然として残っている。
表6 一般乗客の自動改札機の選択率 設置期間一長
i知多半田)
設置期間一短 i朝 倉)
乗車時
車時
59.6%
S2.1%
44.8%
S8.0%
全体の自動改札機の選択率 47.3%
調査1の一般乗客 34.7%
(知多半田駅,降車時)
3.一般乗客における,各要因と改札口の選択行動の関係
特異な行動傾向をもつと思われる高校生を除く一般乗客について,各要因ごとに,改札口の 選択行動の比率を図7にまとめて示した。それぞれについて,X2検定を行った結果をも合わ せて示してある。
観察皿で新たに導入した外的要因は,自動改札機の設置期間の長短と乗車・降車の別である。
前者では,設置期間の長い知多半田駅と,短い朝倉駅の間に有意な差はみられなかった。朝倉 駅では,設置後,わずか11ヵ月しか経過していないが,この程度の期間でも導入直後の混乱期 は過ぎ,一定の安定状態に移行していると考えられる。乗車・降車の別では明らかに差がみら れ,乗車時の自動改札の選択率は高い。知多半田駅,朝倉駅とも乗車時に使用することのでき
る自動機は2台であるが,観察1での自動機1台あたりの駅員改札に対しての利用比率1対4 に対して,ここでは1対2程度まで改善されている。降車時の自動改札の利用比率は乗車時よ りもかなり低く,50%に達していないが,観察1と比べるとかなり向上している。これらのこ とから,昼間の閑散時では,むしろ自動改札の利用は活発化しており,その傾向は,乗車時に より強く現れると考えてよいだろう。
観察1と共通の要因で注目されるのは,乗車券の種類である。午前8時から午後7時までの 長期間を観察対象とした観察1では,切符利用者と定期券利用者の間に改札口の選択行動に差 はみられなかったが,昼間の閑散時を対象とした,今回の結果では明らかに両者の間に差がみ
莱 乗車 降 車 型 降車 0
藷短・・朝㈱
期
間長い(知多半田駅)
〉
〈 0 乗 切符
車券の種類﹀ ︿性 別﹀
定期券
性性男女
■自動改札を利用 [コ駅員改札を利用
0 20 40 60 80 100(%)
荷 物 X2=4.88*(d.f.=1)の
2・4・6・8。1・。(%)9
X2=0.50(d.f.==1)
20 40 60 80 100(%)
0
荷 嵩
20 40 60 80 100(%)
X2ニ2.10(d.f.=1)
0 20 40 60 80 100(%)
60歳以上奪 齢30〜60歳辱 30歳未満
X2=18.10***(d.f.=2)
大中小し な
腕に抱いている 背中におんぶ 一人で歩く 同伴幼児なし
憲
い 急いでいる で
い 急いでいないる¢
0
■■自動改札を利用 [:コ駅員改札を利用
20 40 60 80 100(%)
0 20
X2=17.69***(d.f.=3)
40 60 80 100(%)
x2検定せず
0 20 40 60 80 100(%)
X2検定せず
*5%水準 ***O.1%水準で有意
図7 一般乗客の改札口の選択と各要因との関係
られ,切符利用者の6割以上が自動改札を使用しているのに比べ,定期利用者は1/4程度である。
これは,観察1での選択率(1/3)と比べてもかなり低く,昼間の閑散時には,定期券の利用 者はむしろ自動改札機の使用を避ける傾向が高いことを示している。これに対して,名鉄の利 用頻度の少ないと思われる切符の利用者の方が,むしろ積極的に自動改札機を使用していると いえよう。
定期券の利用者が改札を受ける際の,定期券の取扱いには,駅員改札と自動改札では大きな