児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連について
113
0
0
全文
(2) 「児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連について」 学校教育研究科 学校教育学専攻 学校心理学コース. mO6089h水上 貴子. 1.問題と目的. 面ごとにどのような原因帰属の帰属様式(説明スタイ. 子どもたちは毎日様々な出来事に出会い、経験を. ル)を取るか測定するものである。ポジティブ場面とネ. 重ねながら生活を送っている。. ガティブ場面、随伴性を感じやすい場面と随伴陸を感じにくい. 何かの出来事に際会(事件や事故にたまたまであ. 場面を掛け合わせ4場面を設定し、Sehgmanの示. う)したとき、人はその出来事が起きた原因は何か. す3次元ごとに回答を4段階評定で求めた(24項. を認知しようとする。このように出来事の原因を認. 目)。自己受容尺度は、宮沢(1980)の自己受容測. 知することを「原因帰属(causal attribution)」と. 定スケールをもとに、小学生用に質問項目を改めて. いう(蓮宮,2001)。これには各人が特徴的にもつ「帰. 作成した(12項目)。他者受容感尺度は、桜井(1997). 属様式」があり、Sehgman(1991)は楽観的な説. の定義をもとに、それに関わるいくつかの先行文献. 明スタイルと悲観的な説明スタイルという対照的な. に基づいて作成した(12項目)。. 傾向があることを指摘している。楽観的な説明スタ. 〔結果と考察〕児童用’<性尺度は因子分析を行っ. イルを身に付けている場合、多少の困難にも前向き. たが、Sehgmanの示す3次元に基づく因子構造に. に臨んでいくことができるが、悲観的な説明スタイ. は至らなかった。そのため設定場面ごとに分析を行. ルを身に付けている場合、まだ失敗経験のない状況. った。分析ゐ結果、楽観性全体得点において、成田. に対しても向き合うことさえしないような無気力な. ら(1995)の特性的自己効力感尺度との正の有意な. 状態像を示すようになってしまう。. 相関がみられ、妥当性を確認した。自己受容尺度、. 本研究においては、この説明スタイルの違いには、. 塵黒星度については先行研究に基づいて項目. 受容《自己受容・他者受容感》という要因が関わっ. を設定したため妥当性はあると判断した。いずれの. ているのではないかと考え、検討することとした。. 尺度も高いα係数を示し、信頼性が確認された。ま. 自己受容については、「自己の諸側面をあるがままに. た、自己受容尺度・他者受容感尺度の因子分析(主因. 受け容れること(宮沢,1980)」と定義し、他者受. 子法、バリマックス回転)を行ったところ、いずれも1因. 容感は「自分が周りの人から受け入れられている、. 子構造と判断した。. 認められているという気持ち(桜井,1997)」と定. (2)調査皿:楽観性と自己受容他者受容感との関連. 義し、これらの受容と楽観性および無気力感との関. 〔目的と方法〕調査1の質問票、尺度を用いて質問. 連について検討することを本研究の目的とする。. 紙調査を行い、楽観性と自己受容・他者受容感との. 2.児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連. 関連を検討した。調査対象は5・6年児童(150名)。. (1)調査1:各尺度の作成. 〔結果と考察〕児童用〉く性質問票は、調査1と同. 〔目的と方法〕先行研究をもとに、児童用〉く性尺. 様、Sehgmanの3次元に基づく因子構造には至ら. 度(質問票)、自己受容尺度、他者受容感尺度を作成. なかったため、調査1と同様の区分によって分析を. し、その信頼性、妥当性の検討をした。調査対象は. 進めた。また、楽観性とは反する状態像を示す無気. 6年児童である。児童用’く性尺度は、設定した場. 力感と、全体得点において負の相関関係が示された.
(3) ことから改めてその妥当性が確認された。自己受容. 見られた。また、他者受容感がより関連があった。. 尺度は、因子分析(主因子法・プロマックス回転)を. 無気力感は楽観性と反する状態像を示しているこ. 行い2因子構造《噌己への無条件の肯定的な思い」. とから、この結果は、先の楽観性との関連の結果を. 「自己の特性を知っている」》を採用した。他者受容. 支持するものと考えられる5また、無条件の受容が. 感尺度は因子分析(主因子法、バリマックス回転)を. ないと楽観性の低下のみならず無気力感を増大させ. 行い、1因子構造を採用した。. るものと思われる。. 楽観性と自己受容・他者受容感との関連を検討す. 無気力感尺度は、因子分析(主因子法、プロマック. るため自己受容・他者受容感得点(平均値±1/2SI)プ. ス回転)を行い、「倦怠感」「消極的友人関係」「将来. をもとに得点の高中低の3群にわけ、各群を独立変. の展望・自己効力感の欠如」「学業に対する積極的な. 数、楽観性得点を従属変数とする一要因分散分析を. 関わりの欠如」の4因子構造を採用した。これは、. 行った。その結果、自己受容「自己への無条件の肯. 概ね笠井ら(1995)の結果と類似するものであった. 定的な思い」と他者受容感において有意な差がみら. こどから、無気力感は比較的安定した構造になって. れた。この2つの受容ついて、‘無条件’の受容を示. いると考えられる。. しているという共通点があると考えられた。その後、. 3.子どもたちの楽観性が伸びていくため}ご. 自己受容1他者受容感(説明変数)の楽観性(目的. 以下のような観点から、子どもたちの楽観性が伸. 変数)今の関連の強さを検討するため、重回帰分析 (強制投入法)を行った。その結果、自己受容「自. びていくことに関して論述した。. (1)オプティミストとペシミスト. 己への無条件の肯定的な思い」「他者受容感」におい. (2)学習性無力感と随伴経験. て関連が認められた。以上のことから、楽観性と受. (3)教育における働きかけの可能性. 容感には関連があることがわかり、それは自他から. (4)原因帰属と受容との関連. の無条件の受容であることが示唆された。. (5)一待つ’ことの教育における意義. (3)調査H:無気力感と自己受容、他者受容感との関連. 4.総合考察. 〔目的と方法〕調査Hの結果をもとに、無気力感と. 本研究では、児童の原因帰属と自己受容・他者受. 自己受容・他者受容感との関連について分析を行っ. 容感との関連について検討を行った。さらに、無気. た。また、無気力感についてはその因子構造につい噛. 力感と自己受容・他者受容感との関連についても検. ても先行研究との比較を行った。. 討を行った。その結果、いずれにおいても自他から. 〔結果と考察〕無気力感と自己受容・他者受容感と. の‘無条件’の受容が関わっていることが示唆され、. の関連について、先と同様の自己受容・他者受容感. 他者受容感が楽観性や無気力感に最も強い影響力を. 得点の群分けを用いて、各群を独立変数、無気力感. もつことが示された。このことから、子どもたちの. 得点を従属変数とする一要因分散分析を行った。そ. 楽観性が伸びていくために、子どもが他者受容感を. の結果、楽観性と向様に自己受容「自己への無条件. 感じられるかかわりを行うことが有効であると考え. の肯定的な思い」と他者受容感において群間に差が. られる。そのかかわりとはどのようなものかについ. みられた。次に、自己受容・他者受容感を説明変数、. て、本研究では、関わる側の‘待つ’姿勢にそれが. 無気力感を目的変数とする重回帰分析(強制投入法). 表れてくるのではないかと考えるに至った。. を行った。その結果、自己受容「自己への無条件の. 主任指導教員 古川雅文. 肯定的な思い」と他者受容感において有意な関連が. 指導教員. 古川雅文.
(4) 目次 はじめに=. 第1章問題と目的. ●●・. 第1節 問題. …. P. 1. (1)原因帰属と帰属スタイル. … 1. (2)自己受容. … 4. (3)他者受容感. … 5. (4)無気力感. … 6.. (5)原因帰属と自他からの受容との関連. 一学習性無力感の理論から一. … 7. 第2節 目的. …. 9. 第2章児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連1こづいて 第1節〔調査1〕児童用楽観性質問票、自己受容尺度、他者受容感尺度の作成… 10. 1、目的. …10. 2、方法. …11. 1)調査対象 2)調査内容 3)調査時期および調査方法 4)結果の処理 3、結果. …14. 4、考察. …19. 第2節〔調査2〕楽観性と自己受容・他者受容感との関連について 1、目的 ∴・21 2、方法 1)調査対象 3、結果. …. 21. …21 2)調査内容. 3)調査時期および調査方法 4)結果の処理 …23. ①児童用楽観性質問票について ②自己受容尺度について ③他者受容感尺度について1 ④児童用楽観性質問票と自己受容・他者受容感との関連について ノノ汐己受容・磁孝受露得.点の蕩鶴こよる楽翻傑得1点の比較 ガノ飢ヨ受容・勉孝受襯と楽荏との欝孫の強さ〆こつ〃、で 4、考察. … 30. ∫ノ糧縢翻姓醐察rま4・牲燗驚気:力懲沢度との凋欝 ガノβ己受容・磁孝受露の西子鰐ま祖互の殿郵こついで.
(5) 第3節. 〔調査2〕無気力感と自己受容、他者受容感との関連について…. 1、目的 2、方法 3、結果. 36 … 36 … 36 … 36. ①小学生用無気力感尺度について ② 小学生用無気力感尺度と自己受容・他者受容感との関連について ノノ6己受容・彪孝受容騰;点の蕩底による無気ニカ規点の比較 ガノβ己受蓉㌔彪孝受露と無気)ク癬の灘孫の強さ!こつので. 置ノβ己受蓉・彪孝受癩の驚気ンク癖の昏4西子への殿ぎの槻さ〆こついで. 4、考察. … 45. ノノ無気)ウ藩の西子擁∫ごつので. ガノ鮫:カ、8β己受蓉、彪孝受露との騨. 第3章子どもたちの楽観性が伸びていくために…51 (1)オプティミストとペジミスト. … 51. (2)学習性無気力感(Learned Helplessness)と随伴経験. … 52. (3)教育における働きかけの可能性. … 55. (4)原因帰属と受容との関連. ・一. (5)‘待つ’ことの教育における意義. … 61. 第4章総合考察と今後の課題 第1節 全体を通しての考察 ・一・65. 第2節 今後の課題…. 68. おわりに 引用文献 参考文献 資料編 1、調査用紙(質問紙). 2、文書関係 3、その他. …. 65. T9.
(6) はじめに=. 子どもたちは日々たくさんの出来事に出会い、経験を重ねながら生活して いる。それらは、ポジティブな出来事ばかりではなく、ネガティブな出来事 ばかりでもない。その両方が子どもたちの前に現れてくる。しかし、同じよ うな出来事に出くわしても、その出来事への説明のありようによっては、ポ ジティブな出来事にもネガティブな出来事にもなり得、そのポジティブさ・ ネガティブさの度合いもそれぞれ異なって感じられているのであろう。 出来事をポジティブに説明するか、ネガティブに説明するかによって子ど もたちの日常生活は変わってくる。ポジティブな説明をする傾向をもった子 依生き生きと‘前向き’に生活を送っていけるでおろうし、ネガティブな説. 明をする傾向をもった子は生きにくさややりにくさを感じながらの生活に なってしまうのではないだろうか。それぞれの子どもの、出来事の説明の仕. 方は子どもたちの生活のしゃすさしにくさと関わりをもっていると考えら れる。子どもたちが、自分の生活をより生きやすく過ごしていくには、出来. 事を楽観的に説明できるということがひとつの力になるのではないだろう か。. また、変化の激しい社会の中にあって、出くわす出来事は必ずしも思うよ うにいくことばかりではなく、一生懸命に努力しても、それが報われること. さえも保障されないような時代である。少し前の時代のように、周りの大人. を見て自分を重ねながら自分の将来を何となく思い描くということもでき にくい。しかし、そのような社会においても、何か自分のよさを発揮させて いこうとするとき、やはり出くわすことになった少々の困難さにも向き合っ ていけることは求められる力であろう。思ったようにはいかなかったり、今 がどうやって将来につながっていくのかが見えにくい状況の中でも、そのよ うな日々をぐぐっとこらえて自分らしさを発揮させていくには、自分の身に ふりかかるさまざまな出来事をよりポジティブに捉え、そこから未来への力. や希望を自分で見出していける楽観的な説明スタイルを身に付けることが 有効なのではないかと考えた。. 楽観的な説明スタイルをもっていることによって、少々の困難な状況にも.
(7) 屈することなく、それによって無気力な状態に陥るのでもなく、自分らしさ. を大切にしながら将来への希望をもって時間を重ねていきやすくなるので はないかと思う。それは、自分の人生を自分で選択し、決めていくという自 律的な生き方を支える力となるだろう。それぞれその子固有の可能性をもっ た子どもたちにとって、その自分らしさを光らせていくために、楽観的な説 明スタイルを身に付けるということは、どんな生き方を選んでいくにしろ、 自分の人生を設計していく上でとても強い力となるように思う。. 本研究では、子どもたちが、自分が出くわす出来事の原因を認知しようと する「原因帰属」について検討を行うこととする。さて、では出来事の原因 帰属の説明スタイルの傾向はどのように決まっているのだろうか。これが明 らかになる』. アとによって、学校教育の中で、子どもたちにどのように働きか. けることがより楽観的な説明ズタイルの傾向を高めることができるのか、ま た、悲観的な説明スタイルを身に付けている子はどのようにして楽観的な説 明スタイルを身に付け直すことができるのかについて考えることができる。 そこで、本研究では、児童の原因帰属の測定を行い、それと受容との関連 を明らかにする。そして、子どもたちにポジティブな原因帰属を行っていく. クセを身に付けられるようなかかわりについて考えていく手がかりとして いきたい。. さて次に、本研究で、原因帰属の説明スタイルとの関連があるであろうと注 目した受容ということについて考えていく。本研究においては、受容を、自己 受容・他者受容感という観点から検討している。・自己受容については、自己が. 自己を受容しているかということについてであり、他者受容感とは、自己は他. 者から受容されていると感じているかということについてである。他者受容感 は、他者受容という、自己は他者を受け容れているかということとは方向性が 異なる。. 自己受容・他者受容についての研究は多く見られるものの、他者受容感につ いてはそれほど多くの研究の積み重ねが見られない。しかし、この他者受容感 は、他者から受容されているかどうかをあくまで自己がどう感じているかに注 目し℃いるという点において優れた概念であると考える。なぜなら、いわ・に周. りがある個人を受け容れようとも、いかに教師が子どもを受け容れようとも、.
(8) それは子どもに伝わっていない限りは残念ながら受け容れた‘つもり’になっ ているだけであり、他者受容感からみれば受容したことにはならないことにな るからである。たしかに、教師の受容的なかかわりがどうずれば伝わるのかと. いうことについては正確に判断するのは難しいことであると思う。しかし、他 者受容感という子どもに伝わっているかどうかの結果に関心を寄せることによ って、一方的に、押し付け的に受容した‘つもり’になっていることを問い直 すきっかけになるように思うのである。ゴ. 自己受容と他者受容感の関連については、今後研究を重ねでいきたいと考え てい「. 驍ェ、おそらく相互に関連し合っているものなのではないかと考える。つ. まり、自己を尊重することも、他者を尊重することも、それは相互につながり. 合いながら同じ水準をもつものなのではないだろうか。他者から自己を高く尊 重されて育てば、自己とは尊重されるに値する大切な存在なのかと学び、その 尊重が得られなければ自己は尊重されるに値しない存在なのかと学ぶ。それは、. 学ぶというよりは感じ取るものといった方が適切かもしれない。人は、他者か ら尊重され、自己の尊さを感じられるからこそ、自己の尊さとともに自己の未. 来への希望を抱くことができるのではないだろうか。何か有能な力をもってい る、ということ以上にその存在そのものの尊さを感じられてこそ、自分の中に 秘めた自分らしい力を発揮レよう、発揮したいと内発的に動機づけられるので はないだろうか。楽観的に出来事を説明していくには、未来への希望を抱く力 が必要となる。そのとき、その個人がいかに自己や他者から、その存在を尊重 されていると感じられているのかということが関わっているのではないかと考 え、本研究において、それを自己受容、他者受容感という観点から捉えて検討 していくこととした。. よって、本研究では、児童の原因帰属と自己受容、他者受容感との関連につ いて検討していくことを目的としていくこととした。この研究の成果によって、. 子どもたちがより自己の未来への希望を抱き、自分らしさを思い切り発揮させ られる助けとなることを願いつつ本研究を進めていきたい。. そして、この研究が、それを支える教師にとって、子どもたちへのよりよい 働きかけを探っていく上での小さくとも一つの手がかりとなることができれば 幸いである。ヒ.
(9) 第1章問題と目的 第1節 問題 本研究では、児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連について検 討する。. (1)原因帰属と帰属スタイル 何かの出来事に際会(事件や事故にたまたまであうこと)したとき、人は その出来事が起きた原因は何かを認知しようとする。このように出来事の原 因を認知することを「原因帰属(gausal attribution)」と呼ぶ。(沢宮,2001). 原因帰属の仕方は個人によって異なるが、Abramsonら(1978)は、それ を各人が特徴的にもつ「様式(style)」によるものと考え、「帰属様式 (attributional style)」≒いう概念を提唱した。. また、Seligman(1991)は、原因帰属には2つの対照的な傾向があること を指摘している。楽観的な説明スタイル(explanatory style)と悲観的な 説明スタイルである。楽観的な説明スタイルでは、自分にとってポジティブ な正の出来事(good event)、すなわち、のぞましい出来事が起きた時、そ. の出来事は内的(interna1:自分自身に関係がある)で、永続的(stable: これからも長く続く)で、全体的(global:あらゆる場合に作用する)な原. 因によるものとして説明される。反対にネガティブな負の出来事(bad event)、すなわち、望ましからぬ、悪い出来事が起きた時、その出来事は外 的(externa1:自分以外に関係がある)で、一時的(un8table:長くは続かな. い)で、特異的(specific:特定の場合にのみ限って作用する)な原因によ るものとして説明される。. 一方、悲観的な説明スタイルでは、ポジティブな出来事について、外的・ 一時的・特異的な原因によるものとして説明される。ネガティブな出来事に ついては、内的・永続的・全体的な原因によるものとして説明される。この ように楽観的な説明スタイルと悲観的な説明スタイルどは、その説明の仕方 に対照的な傾向がある(Table1−1)。. 1.
(10) (Table 1・1). 説明スタイルの対象的な傾向. =楽観的な説明スタイル瓢. ポジティブ場面. ネガティブ場面. 内的・永続的・全体的. 外的・一時的・特異的. =悲観的な説明スタイル=. 並場面. ネガティブ場面. 外的・一時的・特異的. 内的・永続的・全体的. 子どもたちは、毎日の生活の中で様々な出来事に出会うが、その認知の仕 方はそれ. サれ違っている。例えば、給食の用意で1自分の給食だけ机の上に. なかった場合、ある子は、ただ給食がないということを訴える。一方、中に は明らかに大きなショックを受けて、何も言えなくなる子もいるのである。 この違いは、この出来事への帰属様式(スタイル)が違っているからと考え られる。. この出来事に対して、前者は、偶然配り忘れたと説明し、後者は、誰か自. 分を嫌いな子が悪意を持ってやったのかもしれないというような説明をし ているかもしれない。後者の場合、その考えを繰り返すうちに、さらに周り への不信感を募らせたり、不安な気持ちを膨らませたりすることさえある。 このように、同じ出来事に対しても、それぞ九が違った帰属様式を持ち、起 きた出来事に自分なりの説明をつけている。 Seligman(1991)は、「楽観的な」人間とは、楽観的な説明スタイル(帰属. 様式)を持つ人のことであると定義している。逆に、ネガティブな事象が起 こった時にその出来事を悲観的に自分に説明する人は、無力感におちいって しまう。$eligmanによれば、このような説明スタイルは変えることができ る。身に付けた無力感は、自分の行動が有効であることを示すか、失敗につ いての考え方を変えるように教えることで直すことができると言う。また、 あらかじめ自分の力で事態を変えられることを学んでいれば、無気力感に陥 らずにすむ。人生の早い段階でこれを学べば学ぶほど、無力感に対して有効 な免疫力をつけることができる(Seligman)。. 2.
(11) 川井・吉田・宮元・山中(2006)では、児童に対し、ネガティブな事象に 対する認知パタンが自己否定的なものに固定し、それに伴って自己効力感や セルフ・エスティームが低下することを防ぐための授業を考案して、検討を おこなっている。この研究では、ネガティブな事象に対する自己否定的な認 知パタンを意識的に改変(反鯛)するという方法を用いて行い、実験群の方 が、統制群よりも、自己否定的な認知パタンを否定する信念を抱き、.自己効. 力感、セルフ・エスティームともに高まるという結果を得ている。これは Seligmanの言う、身に付けた帰属様式は、楽観的な認知の仕方を学ぶこと によって変えることができるということと一致すると考えられる。. それでは、そもそもその帰属様式は、何に関わって方向づけられているの だろうかという疑問がわく。Seligman(1991)は、不幸な出来事の際、自分 が非常に取り乱すという経験を何度もしてきた人が、そのために悲観的にな るとした。逆に、オプティミスト(楽観主義者)になるめは、不幸のあとで も自分がすぐに立直れる経験をしてきた人たちだ、としている。つまり、一 度定着した帰属様式を強化しながら生活を送っていることになる。しかし、 これでは結果が次の原因を産み出すという循環論に陥っており、なぜ帰属様 式が方向付けられたことについての疑問の答えにはなり得ない。 そこで、よりネガティブでない、悲観的でない帰属様式を行うには、‘あ りのままの自分’がどのように受けとめられているかということが関わって いるのではないかと考えた。自分がどのように受けとめられているかという 内容について、本研究では、自己受容と他者受容感という観点から検討し、 帰属様式を生み出す要因についてρ手がかりを得ようとする。詳しくは(5) で原因帰属と自己受容・他者受容感との関連について記す。. 3.
(12) (2)自己受容 自己受容については、さまざまな研究がなされているが、臨床的には、“評. 価なしにありのままの自己を受け入れること”とされており、一方、実証的 な研究では、自己評価や自尊感情とほぼ同じ意味として、操作的に定義され たものが多く見られる(伊藤,1992)。Rogers(1942)によれば、自己受容を“あ. りのままの自分を好きになること”とし、セラピーの目標として位置づけて いる。. 宮沢(1980)は、自己受容性は自己の諸側面をあるがままに受け容れるこ と、と定義している。そして、自己受容性に関する研究の中での概念規定が 検討され、操作的には自己受容性の4側面を次のように定義している。. 自己理解:自己の諸側面をあるがままに受け容れようとすることであり、自 己に冷静な目を向け、山分のことがよくわかっていると自己認識 していること。. 自己承認:現在の自己を嫌悪否定せず、「自分を投げ出して」しまうことな く、現在の自己をそのまま承認して受け容れること。. 自己価値:自己を無価値な存在としてみたり、自己の存在について無意味感 をもっことがなく、自己の人間的価値を疑わないこと。. 自己信頼:現在の自己および将来の自己の可能性に信頼をよせ、人生や物事 に対する自己の対処能力に自信をもっていること。. 本研究では、宮沢(1980)を自己受容の定義とし、以上のような側面から 自己受容を捉え、自己を受け容れている感じについて測定し検討を行う。. 4.
(13) (3)他者受容感 他者受容:感について、桜井(1997)は「『他者受容感』とは、自分が周り. の人から受け入れられている、認められているという気持ちを意味してい る。」とし、内発的学習意欲の発現プロセスの中で、有能感、自己決定感、. 他者受容感という3つの要素を内発的学習意欲のみなもととしている。そし て、この他者受容感は、内発的学習意欲のみなもととしての機能だけではなく、. 他者受容感を得ていることにより、周りの人の思惑に頓着せず自分が学習し成. 長することに価値を置く熟達目標へと結びつくことが示されている(桜井 1997;吉村・死角2001)。学習活動においては、内発的な学習意欲での取り組 みが重要視され、吉村他(2001)では、先生からの言葉、仲間からの言葉のい ずれにおいても、かつ、失敗場面、成功場面めいずれにおいても、個々人が実 際に嬉しいと強く感じる言葉を他者から与えられた経験が多いほど他者受容野 が高いということが明らかになったとされている。. また、Deci(1996)は、こう述べている。「制御的な外的報酬は内発的動機 づけと自己決定を阻害しやすい、ということである。他方、何をすべきか、ま た、それをどのようにすればよいかについて人々に選択の自由が認められてい る場合には、彼らは内発的に動機づけられる傾向があることが示されている。 報酬や脅威、権威構造などによって拘束される程度が少なければ少ないほど、 人間は内発的に動機づけられていくといえよう(序文)」。人は、自分の選択が. 他者から認められることを通じて、自己が他者から信頼され、尊重されている ことを感じ、ひいては自己が他者から受け容れられていること感じられるので はないかと考える。. 本研究では、先の桜井(1997).を他者受容感の定義とし、それに’関する様々. な研究をもとに、ありのままの自己を他者から受容されているかどうかという ところに力点をおいて質問紙の作成をし、他者受容感について測定、検討を行 う。. 5.
(14) (4)無気力感 笠井・村松・保坂・三浦(1995)は、無気力を「精神病の無気力とは異なり、. 心理的な原因で、日常生活のさまざまな場面において意欲の減退を示す状態. 像」とし1その心性を無気力感と定義している。これは、楽観的な説明スタ イルを身に付けた状態とは反する、また悲観的な説明スタイルを身に付けた 状態とは類似する状態像であると考えられる。また、これは学習性無力感が 示す状態とも類似している。. 笠井らは、一般的な中学生・小学生に対し質問紙調査を行い、小中学生の 日常生活のさまざまな場面における顕在的・潜在的な無気力感の様態を明ら かにしている。その結果、小学生では「充実感・将来の展望の欠如」「学習 不適応感」「身体的不全感」「消極的友人関係」「非能動性・無力感」の5因 子が抽出された。その後、船木・熊谷(2005)が、同じ尺度を用rいて行った 調査では、「生活の目標・将来の見通し」「身体的不全感・無気力感」「消極 的友人関係」「学習意欲の欠如」「充実感の欠如」「非能動性」「孤独感」の7 因子が抽出されている。. 本研究では、児童の楽観性を測る質問紙の構成概念妥当性の検討を行うた め、楽観性とは負の相関関係が予想される笠井らの作成した小学生用無気力 感尺度を用いるとともに、無気力感の因子構造についても先行研究と比較し 検討を行う。また、無気力感は、悲観的な原因帰属のスタイルをくりかえし た結果至るとされる無力感と類似することから、自己受容、他者受容感が, 原因帰属のみならず,無気力感にも関連しているかを検討する。. 6.
(15) (5)原因帰属と自己受容・他者受容感との関連 一学習性無力感の理論から一 毎日の生活の中では、ポジティブな出来事やネガティブな出来事炉繰り返 される。先述のように、ここで.人は、それぞれに違った説明スタイルをも って、その出来事を説明していく。ぞは、よりネガティブでない、悲観的で ない原因帰属塗行うには、何が関わっているのであろうか。 Seligman(1991)は、ネガティブな出来事を悲観的に自分に説明する人は、. 無力感におちいってしまうと述べている。そこで、学習性無気力感の理論か ら、悲観的な説明スタイルに関わる要因について考えてみた。 ピーターソン・マイヤー・セリグマン(2000)は、学習性無力感について、. 周囲の環境を自分ではコントロールできないという期待が将来の学習の失. 敗をもたらすとしている。その本質として、学習性無力感は、随伴性 (contingency)、・認知(cognition)、行動(behavior)の3つの基本的要素. から成り立っていると述べている。随伴性とは、個人の行為と期待する結果 との客観的関係である。認知とは、個人が随伴性を知覚したり、説明したり、. 推測する仕方を示す。そして、行動は、(非)随伴性の観察可能な結果とそ れについての個人の行動を示す。. ここで注目するのは、3つのうちの認知という要素である。認知の仕方は 3つの段階で成り立っている。1つは、随伴性を個人が知覚する段階。次は、. 知覚したものを説明する段階。最後は、知覚と説明に基づいて将来に対する 期待を抱く段階である。随伴性の知覚には正確な場合もあるし、不正確な場 合もある。また、知覚を説明する仕方もそれぞれ違っている。すると、最初. の知覚や次のその説明によって最後の段階である将来に対する期待を抱く 段階も違ってくることになる。つまり、知覚と認知によって将来に対するポ. ジティブな期待を抱くことができれば学習性無力感には陥らないと考えら れる。. では、どのような知覚と認知によって将来に対するポジティブな期待を抱 くことができるのだろうか。学習性無力感は、そもそも備わっていた出来事. に向き合おうとする意欲を度重なる非随伴的な体験によって奪うものであ ると考えられる。しかし、もしも自他からの受容という認知があれば、出来 7.
(16) 事に向き合おうとする意欲が奪われるのを避けられるのではないだろうか。 何が起きても(どんな結果になっても)、最後は、「自分や他者は、‘ありの ままの自分’を‘受けとめる’という‘感じ’(自。受容・他者受容感)」を. 持っているとすれば、出来事に向き合おうとする意欲を持ち直せるのではな いかと考えた。それは結果として、ポジティブな期待を非随伴的な体験から 守ることとなり、その期待を抱くことを助けているのではないだろうか。 このとき、自他からの受容は、出来事へ向き合おうとする意欲を守るクッ ションのような機能として関わり、ネガティブな出来事をもう自分ではどう することもできない、自分ではコントロール不訂能な出来事として知覚・認 知することを避け、出来事に向き合い続けることを支えて、無気力感に至ら ない方向へと個人を向かわせるのではないだろうかと考えた。,. そこで、本研究において、児童の原因帰属と自己受容、他者受容感との関 連について検討することとした。また、本研究においては、小学生の無気力 感についても検討する。. 8.
(17) 第2節 目的 第1節■で述べてきたことについて検討するため、本研究においては、 以下の4点を目的とした。. (1)児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連について検討するた めの尺度を作成する。. (2)作成した尺度をもとに、楽観性と自己受容、他者受容感の関連につい て検討する。. (3)作成した尺度と、小学生用無気力感尺度を用いて、無気力慈と自己受 容・他者受容感との関連について検討する。・. (4)子どもたちの楽観性が伸びていくたあに、学校教育ができることにつ いて考察する。. 9.
(18) 第2章. 児童の原因帰属と自己受容・他者受容感との関連について 第1節{調査1〕 児童用楽観性質問票、自己受容尺度、他者受容感尺度の作成 1、目的 児童の楽観性、自己受容、他者受容野について測定するための尺度を作成 し、その妥当性・信頼性を検討する。. 楽観性については、Seligman(1991)らが提唱する3次元説明スタイル(内 在性:内一外的、永続性:永続一一時的、全体性:全体一特異的)の理論に基 づく楽観的帰属様式測定尺度(Attribution Style Questionnaire)を、日. 本の文化的な背景を考慮した上で改変し成人向けの日本版が開発されてい る(沢宮、田上,1997)。また、Seligman et al.(1984)によるChildren’s. Attribution Style Questionnaire(以下、 CASQと略記)をもとに日本版が. 作成され(松林,2003)、その妥当性と信頼性が検討されたが、原版をでぎ るだけ忠実にしたCASQ−J暫定版、それを改善したCASQ−J改定版ともに今後 の再検討が必要なものであった。本研究においては、先行研究をふまえ、小. 学生にとってやりやすくわかりやすい内容で、かつ、Seligmanの3次元説 明ズタイルに基づく因子構造となる尺度の作成を目指し、その妥当性と信頼 性を検討することを目的とする。.. 自己受容については、宮沢(1980)の自己受容性測定スケール(SAI)127 項目が作成されているが、小学生が回答するには問題数が多いことや難しい 内容であること、「私が価値のない人間である」など否定的な表現ボ多く用 いられているため、本研究においてそれらを改めて自己受容尺度を作成し、 その信頼性を検討する。. 他者受容感については、岡沢・北・諏訪(1996)の運動有能感測定尺度の因. 子構造のうちのひとつの因子として「他者受容感」があるものの、その項目 は、「一緒に運動をしょうとさそってくれる友達がいます」など、必ずしも桜. 井が定義した他者受容感を測れているのか疑問である。そこで、本研究にお 10.
(19) いて、桜井(1997)の定義をもとに、先行研究(内藤・浅川・高瀬・古川・小 泉,1987;古川・大江・内藤・浅川,1992;桜井,1997;Deci,1995)を参考にし. た他者受容感尺度を作成し、その信頼性を検討する。. 2、方法 1プ調査対象 大阪府内の公立小学校の6年生2学級、51名(男子25名、女子26名)。 回収率100%、そのうち項目の多くが無回答、同一の回答のみになってい るものを除く48名を分析の対象とした(94.1%)。. 2)調査内容 調査方法は質問紙法とした。(資料編を参照). ① 児童用楽観性質問票. 小学生が日常生活の中で出会うと予想される4場面を設定し、それらにつ. いて各6項目について回答を求めた。設定した4場面は以下の通り (Table2−1)Q. おはなし①:ポジティブ場面。自分の行為との随伴性を感じやすい場面。 おはなし②:ネガティブ場面。自分め行為との随伴性を感じにくい場面。 おはなし③:ポジティブ場面。自分の行為との随伴性を感じにくい場面。 おはなし④:ネガティブ場面。自分の行為との随伴性を慈じゃすい場面。. 以上の4場面について、次の6項目でたずねた。 ○○には、それぞれ“①ほめられる”“②思うようにいかない”“③運が いい”“④先生に注意される”を入れた。(項目(1)(2)(4)については過去形 にした。). 「○○のは、わたしのせいだ。(内的)」「○○のは、わたし以外のせいだ。(外的)」. 「また○○だろう。(永続的)」「○○のは、たまたまだろう。(一時的)」「ほかのこ とでも○○だろう。(全体的)」「○○ことは、このことだけだろう。(特異的)」. 11.
(20) 児童用楽観性質問票. Table2・1. おはなし① 今日の帰り道、前を歩いていた おじちゃんが手袋,(てぶくろ)を落としたから、. それをひろってrはい」って、わたしたんだ。 その話を、家に帰って おうちの人に話したう、「えらかったね。」ってほめ. られた。 おはなし② ほしいものがあって、お金をもってお店にいくと、 ほしかったものは、もう“売り切れ”になっていた。 もう当分は、入っrてこないとお店の人が言っていた。. おはなし③. .くじ弓1きの券(けん)が3枚あった。さっそく、くじを弓1き1こ行6た。 くじを引いてみたら、一等賞(いっとうしょう)が当たった。. おはなし④ ろうかで友だちと話をしていた。 そしたら、「ろうかでは、しずかにしなさい」って、先生に注意(ぢゆうい). された。. ② 自己受容尺度 宮沢(1980)の自己受容性測定スケール(SAI)27項目を参考に作成した。. 本調査では、宮沢(1980)のSA.1の4側面「自己理解!「自己承認」「自. 己価値」「自己信頼」という餌点を参考に、各側面3項目ずつ作成し、た (Table2・4)。作成の際、小学生にわかりやすい内容にする、否定的な表現 は避iけ.ることに配慮した。. ③他者受容感尺度 岡沢ら(1996)の運動有能感測定尺度の因子構造のうちの「他者受容感」、. 内藤ら(1987)の学校環境適応感尺度の因子構造のうち「友達関係」「教師 関係」、古川ら(1992)の小学生用生きがい感測定尺度の因子構造のうち「友 人関係安定感」「教師関係安定感」、桜井(1997)、Deci(1995)を参考に12 項目を作成した(Table2−5)。. 教示では、「ここのアンケートでは、『あなたのまわりの人』を思い浮かべ. ながら答えてください。rあなたのまわりの人』とは、ふだんからあなたと. 12.
(21) かかわることの多い、友だちや先生、おうちの人などです。」と記載し、す べての項目のはじめに、「あなたのまわりの人の中には…. 」をつけて考. え、回答するように求めた。. ④ 特性的自己効力感尺度(SE). 成田(1995)のSE尺度を用いた。成田(1995)によれば、特性的自己効 力感は、具体的な個々の課題や状況に依存せずに、より長期的に、より一般. 化した日常場面における行動に影響する自己効力感である。SE尺度は、1 因子構造で23項目からなっている。この尺度によって得られる特性的自己 効力感は、児童用楽観性質問票から得られる楽観性の程度と正の相関を示す ことが予測されることから、これを児童用楽観性質問票の妥当性を検討する ために用いた。名称は、「あなたの日常についてのアンケート」として行っ た(Table2−3)。. 3)調査時期および調査方法 2007年1,月下旬。その学校の一人の教師が行った。’いずれの学級でも、. 各教室で集団一斉実施。所要時間は、25∼30分。 4)結果の処理 ①児童用楽観性質問票 それぞれの項目について、「とてもそう思う」∫すこしそう思う」「あまり. そう思わない」「まったくそう思わない」の4段階評定で回答を求めた。. ポジティブ場面(おはなし①③)について、(1)(3)(5)の項目は、 それぞれ内的/永続的/全体的な内容で楽観的な説明スタイルを示すため上. 記の評定段階の順に4∼1点を与え、(2)(4)(6)の項目は、外的/一時 的!特異的な内容で悲観的な説明スタイルの内容のため上記評定段階の順に. 1∼4点を与えた。 一方、ネガティブ場面(おはなし②④)については、(2)(4)(6)は. 逆に楽観的な説明スタイルを示すため上記の評定段階の順に4∼1点を与 え、項目(1)(3)(5)は悲観的な説明スタイルを示すため上記の評定段 13.
(22) 階の順に1∼4点を与えた。 24項目それぞれで得られた得点を合計して楽観性得点とした。楽観性が 高いの傾向であるほど得点は高くなるようになっている。(得点の範囲:24 ∼96点). ②自己受容尺度 ③他者受容感尺度 それぞれの項目について、「とてもそう思う」「すこしそう思う」「あまり. そう思わない」「まったくそう思わない」の4段階評定で回答を求め、上記. の順に4∼1点を与えた。自己受蓉、他者受容感が高い傾向であるほど得点 は高くなるようになっている。(得点の範囲:12点∼48点). ④SE尺度 それぞれの項目について、「とてもそう思う」「そう思う」「どちらともい えない」「そうは思わない」「まったく思わない」の5段階評定で回答を求め、. 上記の順に5∼1点を与えた。逆転項目は、得点を逆転させた。23項目の 合計をSE尺度得点とした。日常場面における自己効力感が高い傾向である ほど得点は高くなるようになっている。(得点の範囲:23点∼115点). 5)結果 ①児童用楽観性質問票について. 評定されたすべての項目を用いて因子分析(主因子解→バリマックス回 転)を行ったところ、固有値1.0以上の基準で8因子が抽出された。因子数 を限定して分析を繰り返し、解籾可能性を検討したが、質問票作成時に想定. していたSeligmanの3次元に基づくような適切な解釈1には至らなかったた め、元の質問構成にしたがって、場面ごとに区分した。区分の中の得点を加 算し、各区分の得点とした。. 児童用楽観性質問票の構成概念妥当性は、楽観性得点とSE尺度から得ら れたSE尺度得点との相関関係により検討した。Table2−2に児童用楽観性質. 問票の場面ごとの区分とSE尺度とのPearsonの相関関係を示す。また、信 頼性の検討のためα係数もともに示す。 14.
(23) SE尺度とは、全体でr=.424と中程度の正の相関を示した。楽観性質問票 の場面ごとの区分では、ポジティブ場面(おはなし①と③)及び自分の行動 との随伴性を感じにくい場面(おななし①と④)ではr>.40と中程度の相 関を示したが、随伴性を感じにくい場面(おはなし②と③)ではr=.33と 弱い相関に留まった。ネガティブ場面(おはなし②と④)に関してはr<.20 とほとんど関連がなく有意差もなかった。相関の程度は、全体得点、ポジ:テ ィブ場面、随伴性を感じやすい場面において中程度の相関であり、随伴性を感 じにくい場面では弱い相関を示した。. α係数は、SE尺度では.86、楽観性全体得点では.76とかなり高かった。個々 の場面ではポジティブ場面では.82と高かったが、他は、.59〈α<.69で若干 小さめであった。. Table2−2 児童用楽観性質問票の場面ごとの区分とSE尺度との相関、平均値、標準偏差、α係数(N=48). 随伴性を 楽観性. ポジティブ ネガティブ. SE 得点 SE尺度との相関係数. 随伴性を. 場面. 場面. 感じやすい. 場面. 感じにくい. 場面. .424鼎. .442*★. .146. .420★★. .331★. 57.60. 33.21. 24.40. 29」5. 28.46. 平均値. 68.17. 樗準偏差. 11.75. 7.97. 6.05. 4.85. 4.02. 5.12. α係数(N=51). .864. .762. .822. .688. .589. .672. また、Seligman(1991)を参考に区分した楽観性の各側面とSE尺度との相 関については、参考のため巻末の資料に掲載した。児童用楽観性質問票との. 相関に用いたSE尺度の項目内容と平均値、標準偏差をTable2−3に宗す。. 15.
(24) 特性的自己効力感尺度. Tal)le2・3. NO. (N=48). 項目. 平均値. 標準偏差. 1. 自分が立てた計画はうまくでぎる自信がある。. 3.00. .92. 2. しなければならないことがあっても、なかなか取りかからない。. 2.71. 1.03. 3. 初めはうまくいかない仕事でも、できるまでやり続ける。. 3.56. .95. 4. 新しい友だちを作るのが苦手だ。. 3.12. t24. 5. 重要な目標を決めても、めったに成功しない。. 2.75. 1.00. 6. 何かを終える前にあきらめてしまう。. 3.24. 。99. 7. 会いたい人を見かけたら、向こうから来るのを待たないで、その人の所にいく。. 3.41. 1.准3. 8. 困難に出会うのをさける。. 2.49. 1」4. 9. 非常にややこしく見えることには、手を出そうとは思わない。. 2.59. 1」0. 10. ’友だちになりたい人でも、友だちになるのが大変ならばすぐにやめてしまう。. 3.55. 1.24. 1. 11. おもしろくないことをする時でも、それが終わるまでがんばる。. 3.39. 1.08. 12. 何かをしょうと思ったら、すぐにとりかかる。. 3」4. 1」5. 13. 新しいことを始めようと決めても、出だしでつまずくとすぐにあきらめてしまう。. 3.17. 1.17. 14. 最初は友だちになる気がしない人でも、すぐにあきらめないで友だちになろうと 3.31. .93. する。. 15. 思いがけない問題が起こったとき、それをうまく処理できない。. 2.94. 1.22. 16. むずかしそうなことは 新たに学ぼうとは思わない。. 3.29. 1.15. 17. 失敗すると、一生けん命やろうと思う。. 3.38. .91. 18. 人の集まりの中では、うまくふるまえない。. 2.90. 1.25. 19. 何かをしょうとするとき、自分にそれができるかどうか不安になる。. 2.55. L27. 20. 人に頼らない方だ。. 2.65. .89. 21. わたしは、自分から友だちを作るのがうまい。. 2.79. 1.01. 22噛. すぐにあきらめて.しまう。. 3.20. 1.20. 23. 人生で起きる問題の多くは、処理できるとは思えない。. 2.94. 1.26. ・NOは、項目の提示順を示す. 16.
(25) ②自己受容尺度について. 評定されたすべての項目を用いて因子分析(主因子解→バリマックス回 転)を行ったところ、固有値1.0以上の基準で3因子が抽出された。因子数 を限定して分析を繰り返し、解釈可能性や固有値の変動状況等から考え、1 因子解(因子負荷量.76∼.39)を採用した。Table2・4に因子分析結果を示す。. 自己受容尺度の因子分析結果. Table2・4. NO 6. (N=51). 因子負荷量 臼. 項目. 平均値 標準偏差. わたしは、今の自分を大切にしたい. .76. 3.14. 。98. わたしは、今の自分が好きだ. .76. 2.33. 1.01. 4. わたしは、自分のいいところを、活かして生活することができる. .68. 2.49. 。83. 3. わたしは、大切な人間だ. .63. 2.73. .87. わたしは、生まれてきてよかった. .57. 3.41. .92. 2. わたしは、今の自分に満足している. .52. 2.71. 。99. 1. わたしには、よいところがある. .51. 2.57. .85. わたしは、やると決めたことは、最後までやり通せる. .49. 2.63. .98. 7. わたしは、自分の性格を知っている. .48. 3.12. .89. 8. わたしは、これから何が起こっても、自分なりにやっていける. .46. 2.86. ,87. 9. わたしは、自分の得意なことや苦手なことがわかる. .40. 3.51. .76. 5. わたしは、自分の長所(よいところ)や短所(なおしたいところ)が ,39. 3.04. .94. 10. 11. 12. わかる. 〔全項目〕自己受容. α=.842. 寄与率 32.20. 17.
(26) ③他者受容感尺度について. 評定されたすべての項目を用いて因子分析(主因子解→バリマックス回 転)を行ったところ、固有値1.0以上の基準で3因子が抽出された。因子数 を限定して分析を繰り返し、解釈可能性や固有値の変動状況等から考え1因 子解(因子負荷量.798∼.393)を採用した。Table2−5因子分析結果を示す。. Table2−5. (N=50). 他者受容感尺度の因子分析結果. NO. 因子負荷量F1 平均値 標準偏差. 6. あなたといっしょにいることを大切にしている人がいる. 9. あなたに元気がなかったり、頑張れないときがあっても、. .80. 2.92. .83. 。73. 3.00. .83. .73. 3.08. .83. .71. 3.06. ,84. そのままのあなたを受けいれている人がいる. 5 11. あなたを見捨てない人がいる あなたを大切にしている人がいる. 1. あなたが決めたことを応援する人がいる. .70. 3.02. .82. 8. あなたをはげましている人がいる. .70. 3.08. .80. .67. 2.92. .99. .67. 2.82. ,96. .66. 3.30. .81. 12. あなたのことを決めるとき、勝手に決めないで、あなたに 相談してくれたり、あなたに選べるようにしてくれる人がいる. 4. 10. あなたを気にかけている人がいる あんたの成功を喜んでくれている人がいる. 3. あなたを見守っている人がいる. 。60. 3.08. .83. 7. あなたの失敗をせめたりしない人がいる. 。50. 3.00. .78. 2. あなたがしていることをかわりにやってしまったりしないで、 .39. 2.74. .75. 待つ人がいる 〔全項目〕他者受容感. α=.900. 寄与率 44.05. 18.
(27) 6)考察 調査1では、児童用楽観性質問票(24項目)と自己受容尺度(12項目) と他者受容感尺度(12項目)を小学6年生に実施した。また、児童用楽観 性質問票の構成概念妥当性の検討を行うため、特性的自己効力感尺度(SE) (23項目)も同時に実施した。. 児童用楽観性質問票は、因子分析を繰り返し、解釈可能性を検討したが、. 質問票作成時に想定していたSeligmanの3次元に基づくような適切な解釈 には至らなかったため、項目作成時の元の質問構成による場面ごとの区分 (ポジティブ場面・ネガティブ場面、随伴性を感じやすい・随伴性を感じに. くい)と、Seligmanの3次元(内在性、永続性、全体性)をもとにした区 分とにし、区分ごとに得点を加算、それを各区分得点として分析を行った。. 児童用楽観性質雪明とSE尺度との相関関係は、全項目を含む楽観性得点. で、rr424と中程度の正の相関を示した。また、場面ごとの区分では、ポ ジティブ場面の項目を含む得点、随伴性を感じやすい場面を含む得点で、 r=.442∼.420と中程度の正の相関を示し、随伴性を感じにくい場面を含む 得点ではr=.331と弱い相関を示した。ネガティブ場面の項目を含む得点で. は、その相関関係が見出されなかったが、楽観性得点全体や4場面の区分の. うち3場面の区分から中程度の正の相関が見られた。このことから、SE尺 度と児童用楽観性質問票との関係からは、少なくとも全項目を合計した楽観 性得点については、児童用楽観性質問詰の構成概念妥当性は支持されるであ ろう。. 次に,ポジティブ場面とネガティブ場面に分けて見てみると、永続性ポジテ ィブ場面と全体性ポジティブ場面で、r=.454と正の相関が見られた。しかし、. ポジティブ場面やネガティブ場面に分けてみると、先に示した永続性ポジティ ブ場面と全体性ポジティブ場面でしか相関関係は見られなか『つたこと,またア. ルファ係数も低いものがあったことから,以下の分析では,信頼性と妥当性が 確認された楽観性得点(全項目の合計得点)のみを使用することにした。. 19.
(28) 自己受容尺度は、まず、因子分析の結果から、その解釈可能性や固有値の変 動状況により1因子が適切と判断された。妥当性については、すでに検討がさ れているものとして他尺度との関連による検討は行わなかったが、宮沢(1980). によって妥当性がみとめられている自己受容性スケールの概念を損なわないよ うに用いて本調査の自己受容尺度を作成したため、妥当なものであると考えら れる。信頼性については、α=.842で高い信頼性係数が得られたため、信頼性 は確認された。. 他者受容感尺度は、まず、因子分析の結果から、その解釈可能性や固有値の. 変動状況により1因子が適切と判断した。妥当性については、この他者受容感 の尺度作成にあたって調査の内容で示したようないくつかの尺度を参考にした が、いずれもすでに妥当性が検討されている尺度であること、また桜井(1997). の定義やDeci(1995)を参考に作成した項目についてはその定義や趣旨をその まま反映した質問項目としたため、妥当性の検討は省いたが、一応妥当性はあ ると考えられる。信頼性については、α=.900で高い信頼性係数が得ウれたた め、信頼性は確認された。. 以上のように、小学生用楽観性質問票、自己受容尺度㍉他者受容感尺度の いずれについても、その妥当性、信頼性が一定の規準を満たしていると考え. られる。楽観性質問票についてはSeligmanの3次元での相関が得られなか ったことから、今後さらなる検討が必要である。. 20.
(29) 第2節〔調査H〕 楽観性と自己受容、他者受容感との関連について 1、目的 調査Hでは、調査1で作成した児童用楽観性質問票と自己受容尺度、他者 受容感尺度を用いて小学生の楽観性、自己受容、他者受容感を測定し、それ らの関連について検討する。. 児童用楽観性質問票について、調査1で、その全体得点には一定の妥当性. が確認されたが、Seligmanの3次元での構成概念妥当性の確認には至らな かった。しかし、全項目を合計した得点については構成概念妥当性とその信 頼性が確認された。本調査では、児童用楽観性質問票との負の相関関係が予 測される小学生用無気力感尺度(笠井ら,1995)を用いて無気力感を測定し、. 楽観性質問票との相関関係によって再度構成概念妥当性の検討を行うこと とする。. 2、方法 1)調査対象. 大阪府内の2っの公立小学校の5・6年生6学級、150名(男子72名、 女子78名)(Table2−6)。. 回収率100%、そのうち項目の多くが無回答、同一の回答のみになってい るものを除き、すべての質問紙について分析可能である125名を分析の対象 とした(83.3%)。. Table2−6. 各学校の対象児童 男子. 女子. .学年別合計i学校別合計. A小学校. 5年生(2学級). 20. 19. 一. 39. a小学校. T年生(2学級). R4. Q3. X6. −. U年生(2学級). Q4. R0. T4. 111. 72. 78. 150. 150. 21.
(30) 2)調査内容 調査方法は質問紙法によることとした。. ① 児童用楽観性質問票 ②自己受容尺度 ③他者受容感尺度 以上は、予備調査「と同様の質問紙、教示で行った。. ④小学生用無気力感尺度 笠井・村松・保坂・三浦(1995)の小学生用無気力感尺度(28項目)を 用いた。笠井ら(1995)は、無気力を「心理的な原因で、日常生活のさまざ まな場面において意欲の減退を示す状態像」と、また、その心性を無気力感 と定義している。この尺度は、「充実感・将来の展望の欠如」「学習不適応感」. 「身体的不全感」「消極的友人関係」「非能動性・無気力礁」の5因子から構 成されている。. 3)調査時期および調査方法 2007年2月中旬。いずれの学級も担任によらて、各教室で集団一斉実施。 所要時間は、35∼50分。. 4)結果の処理 ①児童用楽観性質問票、②自己受容尺度、③他者受容感尺度 以上は、予備調査と同様に結果の処理を行った。. ④小学生用無気力感尺度 (項目は、第3節Table2−13、もしくは資料編を参照). それぞれの項目について「とてもそう思う」「かなりそう思う」「あまりそ. う思わない」「まったくそう思わない」の4段階評定で回答を求め、上記の. 順に4∼1点を与えた。逆転項目は、得点を逆転させた。28項目の合計を 無気力感得点とした。これは、無気力感が高い傾向であるほど、得点は高く なるようになっている。(得点の範囲:28∼112点). 22.
(31) (3)結果. ①児童用楽観性質問票について 児童の楽観性の構造を検討するために、評定されたすべての項目を用いて. 因子分析を繰り返したが、調査1と同様、適切な因子構造に至らなかった。 そのため、本調査でも調査1と同様に元の質問構成にしたがって場面ごとの 区分を設けることとした。. 児童用楽観性質問票の構成概念妥当性の再検討を行うため、小学生用無気. 力感尺度との相関関係を検討した。Table2−7に楽観性得点と無気力感得点 との相関を示す。また、α係数もともに示す。. 無気力感得点とは、全体でr=一.188と弱い負の相関を示した。その他の 区分では、ポジディブ場面(おはなし①と③)ではr=一.229で弱い負の相 関を示した。しかし、ネガティブ場面(おはなし②と④)ではr=一。037、 自分の行動との随伴性を感じやすい場面(おはなし①と④)ではr=一.164、. 自分の行動との随伴性を感じにくい場面(おはなし②と③)ではr=一.136 と1いずれも負の相関傾向を示しつつも有意とはいえない相関関係であった。 α係数は、α=.577∼.768であった。 Table2−7 児童用楽観性質問票の場面ごとの区分と無気力感得点との相関、. 平均値、標準偏差、α係数 (N=125) 随伴性を 無気力感 楽観性. 得点 得点 無気力感得点との相関係数. 随伴性を. ポジティブ ネガティブ. 場面. 場面. 感じやすい. 場面. 感じにくい. 場面 一.164’. 一.188★. 一.229★. ㍉037. 44.57. 58.67. 32.61. 26,06. 29。86. 28.82. 標準偏差. 7.87. 7,54. 5.48. 4・.50. 4.33. 5.22. α係数(N=145). .768. 。686. ,74・4・. 。588. .577. .661. 平均値. 一。136. ※α係数に関しては、他の質問紙に不備があっても、その質問紙について分 析可能な場合は用いることとした。. また、Seligman(1991)を参考に区分した楽観性の各側面と無気力感尺度 との相関については、参考のため巻末の資料に掲載した。. 23.
(32) ②自己受容尺度について. 評定されたすべての項目を用いて因子分析(主因子解→プロマックス回 転)を行ったところ、固有値1.0以上の基準で3因子が抽出された。因子数 を限定して分析を繰り返し、解釈可能性や固有値の変動状況等から考え2因 子解を採用した。Table2−8に因子分析結果を示す。因子の命名は次に示す。. ・第1因子:「自己への無条件め肯定的な受容」 (因子負荷量.84∼146)αニ.812. 第1因子に、.46以上の因子負荷量を示した項目は「わたしは、今の自分 が好きだ」「わたしは、今の自分に満足している」「今の自分を大切にしたい」. などであり、これらの項目は無条件にありのままの自己を肯定的に受容する. ということを表していると解釈されたため『自己への無条件の肯定的な受 容』と命名した。. ・第2因子:「自己の特性を知っている」・ (因子負荷量.65∼.35) α=.613. 第2因子に、。35以上の因子負荷量を示した項目は「わたしは、自分の得 意なことや苦手なことがわかる」「わたしは、自分の性格を知っている」な どであり、これらの項目は自分の性格や特性などをしっているということや その特性への自己効力感を表していると解釈されたため『自己の特性を知っ ている』と命名した。. 24.
(33) Table2−8. 自己受容尺度の因子分析結果 項目. (Nr・146). 因子負荷量. NO. FI. F2. 平均値. 標準偏差. 10. わたしは、今の自分が好きだ. .84. 一.02. 2.49. ,95. 2. わたしは、今の自分に満足している. .78. 一.25. 2.53. .95. 3. わたしは、大切な人間だ. .59. .08. 3.21. .89. 6. 今の自分を大切にしたい. .52. .33. 2.99. .88. わたしは、生まれてきてよかった. .47. 」7. 3.49. .74. 1. わたしには、よいところがある. ,46. .05. 3.00. .71. 9. わたしは、自分の得意なことや苦手なことがわかる. 一.13. .65. 3.47. .70. 7. わたしは、自分の性格を知っている. .02. .57. 3.17. 、89. 5. わたしは、自分の長所(よいところ)や短所(なおし 一.04. .53. 3.02. .88. 」5. .35. 2.80. .86. 11. たいところ)がわかる. 8. わたしは、これから何が起こっても、自分なりに やっていける. ・NOは項目の提示順を示す. 寄与率. 32.23 6.44. :F1:「自己への無条件の肯定的な思い」 F2:「自己の特徴を知っている」. 25.
(34) ③他者受1容感尺度について. α=.891. 評定されたすべての項目を用いて因子分析(主因子解→バリマックス回 転)を行ったところ、固有値1.0以上の基準で2因子が抽出された。因子数 を限定して分析を繰り返し、解釈苛能性や固有値み変動状況等から1因子解 (因子負荷量.792∼.369)を採用した。Table2−9に因子分析結果を示す。. Table2・9. 項目. NO. あなたのまわりの人の中には…. 5. あなたを見捨てない人がいる. 11. (N=137). 他者受容感の因子分析結果. 因子負荷量 F1 平均値 標準偏差. あなたを大切にしている人がいる. ,792. 3.35. .82. 。770. 3.39. .81. 6、. あなたといっしょにいることを大切にしている人がいる. .766. 3.16. .79. 3. あなたを見守っている人がいる。. .701. 3.42. .80. .691. 3.47. ,70. 10. あなたの成功を喜んでくれている人がいる. 4. あなたを気にかけている人がいる. .661. 3.06. .93. 8. あなたをはげましている人がいる. .656. 3.25. .83. 9. あなたに元気がなかったり、がんばれない時があっても、 .595. 3.04. .82. .582. 3.02. .93. .577. 2.92. .90. .532. 3.06. .86. .369. 2.80. .79. そのままのあなたを受けいれている人がいる. 7. 12. あなたの失敗をせめたりしない人がいる あなたのことを決めるとき、勝手に決めないで、あなたに 相談してくれたり、あなたに選べるようにしてくれるひとがいる. 1. あなたが決めたことを応援する人がいる. 2. あなたがしていることをかわりにやってしまったりしないで、. 待つ人がいる ・NOは、項目の提示順を示す。. 寄与率 42.40. F1:「他者受容感」. 26.
(35) ④ 児童用楽観性質丁丁と自己受容、他者受容感との関連について ∫ノβ己受容・彪孝受溶三叉.京の高’底:〆こよる.楽凄1荏得.点の増較. 自己受容・他者受容感得点の高低による楽観性得点の差の比較を行うため、. 自己受容尺度、他者受容感尺度の得点をもとに回答者を高群・中群・低群の 3群に分割した。. 楽観性得点は、児童用楽観性質問表の全項目の合計点を楽観性得点とした。. 自己受容得点は、自己受容尺度の因子分析によって得られた2つの因子それ ぞれについて、項目の評定値を個人ごとに合計して得点を用い、他者受容感. 得点は1因子解のため、全項目の合計点を他者受容感得点として用いた。 群分けは自己受容尺度の各因子の得点、他者受容i感得点をもとに、各得点. の平均値+1!2SD以上を高群、各得点の平均値一1/2SD以下を低群、いずれ 1とも入らなかったものを中群とした。自己受容1「自己への無条件の肯定的 な思い」、自己受容2「自己の特性を知っている」、他者受容野の群分けの基 準は以下の通り。. 自己受容1:(高群)20点以上. (中群)17−19点. (低群)}6点以下. 自己受容2:(高群)14点以上. (中群)12−13点. (低群)11点以下. 他者受容感:(高群)42点以上. (中郡)35−41点. (低群)34点以下. 以上に基づき、自己受容・他者受容感の各群を独立変数、楽観性得点を従 属変数とする一要因分散分析を行った。. その結果(Table2−10)、自己受容1「自己への無条件の肯定的な思い」得 点.(F(2,122)=7.48,p<。01鰍)と、他者受容感得点(F(2,122) =13.12,p<.06ぴ献)に、主効果が認められた。自己受容2「自己の特性を知っ ている」(F(2,122)=4.47,p<.1+)では傾向差が認められた。 Tukey HSD. 多重比較による下位検定を行ったところ、それぞれ次のような結果となった。. 自己受容1では、低群は、他の2群よりも有意に楽観性得点が低いことが わかった(低群く中群:p<.05★、低群く高群:p<.Or)。高群と二二.にほ、楽 観性得点に差はなかった(p>.1n.s.)。. 他者受容感では、二丁は、他の2群よりも有意に楽観性得点が低いことが 27.
(36) わかった(低群く中群:p<.05★、低群く高群:p<.00r*)。高群と虫群.との間 には有意な差は見られな、かった(p>.05n.s.)。. 『己難2では・それぞれの群間に有意な差は見られなかった(いずれも P.〉.05n.s.)。. Table2−10. 自己受容、他者受容感得点の高低による各群の楽観性得点. の平均値と標準偏差 楽観性得点. 高群. (各群). 自己受容1 「自己への無条件の肯定的な思い」. 自己受容2 「自己の特性を知っている」. 他者受容感. N=度数. 平均値(標準偏差). 中群. 61.14(7.15). 59.51(5.90). (n・44). (〉). N=48. 58.70(6.42). N:40. 58.67(7.54). (n=125) 、. 58.67(7.54). (n・44). (n・36). (7.46). 55.31(8.19). 57.84(7,26). 57,25(7.11). (n・45). 全体. (n・42). (n・39). 60.62(7.88). a2.02. 〉*. 低群. 〉*. 54,30 (6,60). N=125 58.67(7、54). N=37. N=125. 〉☆★:P<・01・ソ・P〈・05・(〉):P<40・≒:P>・1n…. 自己受容1「自己への無条件の肯定的な思い」、他者受容感の群間に上記 のような違いが見られ売ことから、次に、自己受容1、他者受容感のいずれ. が楽観性得点に強い影響を及ぼしているのかについて検討を行うこととし た。. 28.
(37) ガノβ己受,容、勉孝受,容癖と奨翻傑との薦1孫の強」さ〆こつ〃、で. 楽観性得点に関して、自己受容1「自己への無条件の肯定的な思い」得点、. 自己受容2「自己の特性を知っている」と「他者受容感」得点がどのくらい 影響しているのかについて検討するため、強制投入法による重回帰分析を行 ったところ、以下のような結果が見られた。目的変数は、楽観性得点である。. 説明変数は、自己受容1得点、自己受容2得点、他者受容感得点である。 分析の結果、〈楽観性得点〉を目的変数とした重回帰分析で、決定変数 R2=.224〔:F(3,121)=11.623 p<.001轍〕であり、標準偏回帰係数は、自. 己受容1 「自己への無条件の肯定的な思い」がβ=.235(p<.05*)、自己受 容2「自己の特性を知っている」がβ=。一〇23(p>.1n.s.)、「他者受容感」が. β=.321(p<.Or嚢)であった。結果をFigure 1に示す。. 自己受容1 「自己への無条件の肯定的な二. .235士. 楽観性得点 一.023n.s.. 「自己の特性を知っている」. 他者受容感. .321★★. :Figure 1 自己受容1・2、他者受容感と楽観性得点との関係モデル. 楽観性得点に関して、自己受容1「自己への無条件の肯定的な思い」と他 者受容野は楽観性に有意な正の影響を及ぼしている。また、他者受容感は、 自己受容1より高い標準偏相関係数を示した。. 29.
Outline
関連したドキュメント
出版社 教科書名 該当ページ 備考(海洋に関連する用語の記載) 相当領域(学習課題) 学習項目 2-4 海・漁港・船舶・鮨屋のイラスト A 生活・健康・安全 教育. 学校のまわり
・学校教育法においては、上記の規定を踏まえ、義務教育の目標(第 21 条) 、小学 校の目的(第 29 条)及び目標(第 30 条)
副校長の配置については、全体を統括する校長1名、小学校の教育課程(前期課
ハンブルク大学の Harunaga Isaacson 教授も,ポスドク研究員としてオックスフォード
学識経験者 品川 明 (しながわ あきら) 学習院女子大学 環境教育センター 教授 学識経験者 柳井 重人 (やない しげと) 千葉大学大学院
小学校学習指導要領総則第1の3において、「学校における体育・健康に関する指導は、児
経済学研究科は、経済学の高等教育機関として研究者を
池田 史果 小松市立符津小学校 養護教諭 小川 由美子 奥能登教育事務所 指導主事 小田原 明子 輪島市立三井小学校 校長 加藤