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ラット腰椎後縦靱帯の神経支配に対する形態学的研究 : ニューロペプチド陽性線維の3次元分布について

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Academic year: 2021

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全文

(1)

ラット腰椎後縦靱帯の神経支配に対する形態学的研

究 : ニューロペプチド陽性線維の3次元分布に

ついて

著者

宮本 浩次

発行年

1992-03-23

URL

http://hdl.handle.net/10422/1891

(2)

氏名・(本籍)

学位の種類

学位記番号

学位授与の要件 学位授与年月日 学位論文題目 宮 本 浩 次(滋賀県) 博士(医学) 博士 第119号 学位規則第4条第1項該当 平成4年3月23日 ラット腰椎後椎靭帯の神経支配に対する形態学的研究 −ニューロペプチド陽性線経の3次元分布について− 審 査 委 員  主査 教授  越 智 淳 三 副査 教授  前 田 敏 博 副査 教授  福 田 眞 輔 論 文 内 容 要 旨 〔目 的〕 脊椎靭帯に神経線経が存在する事は知られているがニューロペプチド陽性線経の3次元分布は 明らかにされていない。本研究はラット腰椎後縦執帯に分布するcalcitoningene−relatedpeptide (CGRP)陽性線経、SubstanceP(SP)陽性線経の詳細な3次元的分布を明らかにし、両線経 を形態学的に比較検討する事を目的とする。 〔方 法〕 体重250−500gのWistar系雄ラット24匹を用いた。酸素飽和したKrebsRingerにより濯流・ 脱血後、浸漬固定し、腰椎後縦靭帯を椎間板背側部と椎体隅角部の軟骨の一部と共に採取し wholemount標本として、またBjurholm法に従って腰椎を脱灰し、矢状断あるいは水平断の厚 さ60〃mで連続する凍結切片を作製した。神経線経は免疫組織化学的手法(ABC法)にて染 色し、後縦靭帯に対する分布を観察した。Wholemount標本はcameralucidaにて神経線経を 措出し神経分布図を作成し、特に染色性の良かった標本については神経終末数を算出した。また 後縦靭帯に分布する両線経の由来を同定するために上位腰椎の連続3椎間(Ll∼L。髄節)の片 側または両側の脊髄神経節を切除したラットを作成し、5∼6日間生存させた後、上記方法にて 濯流・脱血・固定後、Wholemount標本にて神経染色を施行し、両線経が消失するか否かを観 察した。 ー126−

(3)

し、し

〔結 果〕 CGRP陽性線経は椎休部浅層・深層と椎間板部浅層に分布する神経叢と椎間板部深層に分布 する神経叢の2種に大別される。脊髄神経硬膜枝は後縦靭帯椎間板部の頭側にて上行枝、下行枝 に分枝し、椎休部で血管と併走、椎休部深層・浅層に横行枝を送り、特に椎休部辺縁に密な神経 叢を形成する。また椎休部では横行枝の一部が反寓枝として椎間板部へ走行し、椎間板部浅層に て粗な神経叢を形成する。一方、椎間板部深層(靭帯付着部)には靭帯辺縁より侵入し椎間板線 維輪の線維走行とはぼ平行に、かつ靭帯の線維問を縫う様に走行する神経叢が存在する。これは 前記の神経叢とは形態学的に異なり、密で複雑な神経走行を示す。神経終末としては自由終末、 円形または楕円形を示す終末、糸球体状の特異な形態を示す終末の3種が存在し、それぞれの割 合は、約70%、約30%、1%未満で椎休部と椎間板部では特に差はなかった。椎間板には線維 輪の浅層まで神経線経が認められるが、線維輪深層・髄核には存在しない。SP陽性線経は CGRP陽性線経と基本的には同様な分布を示すが、椎休部では中央部に密な神経叢が認められ、 神経線経のvaricosityはCGRP陽性線経よりも密である等の相違点も存在する。神経終末は自 由終末、円形または楕円形の終末、糸球体状の終末の3種が存在し、それぞれの割合は約60%、 約40%、約1%であった。ところで脊髄神経節切除実験では、両側において連続3椎間の神経 節を切除した場合、中央の椎問(L2/L,)にてCGRP陽性線維・SP陽性線経とも著明な減少 を示し、Varicosityは非常に粗になっているのが認められた。頭側・尾側の椎問では多数の両線 経が存在し、Varicosityも保たれていた。それに対し、片側切除したラットの後縦靭帯では両線 経の減少は認められなかった。 〔考 察〕 小島はラット脊椎後縦靭帯に分布するacetylcholinesterase陽性線経を証明し知覚神経の1次 線経であるとした。また小島はラット脊椎後縦執帯にSP陽性線経が存在する事を証明したがそ の全体像を捉えるまでには至らなかった。本研究ではラット腰椎後縦靭帯に存在するCGRP陽 性線維・SP陽性線経を免疫組織化学的に染色し詳細な3次元分布を証明した。CGRP陽性線経 とSP陽性線経は椎休部浅層・深層と椎間板部浅層に分布する神経叢と椎間板部深層に分布する 複雑な形態を示す神経叢の2種に大別され、脊髄神経節の切除により消失する事より知覚神経の 1次線経であると証明できた。これらの神経線経は靭帯が特に伸展し易い椎間板部にて靭帯線維 間を縫う様な走行を示し、靭帯の伸展と共に形態の変化を受け易い状態であると考えられる。ま た両線経のvaricosityは著明で神経終末も多数存在する。以上よりCGRP陽性線維・SP陽性線 経は靭帯付着部の侵害刺激を伝達するのみならず固有知覚受容器として、あるいは同受容器の機 能を修飾する事で脊柱の運動や姿勢の制御に関与すると考えられる。またニューロペプチドを神 経終末より分泌し、血流や局所代謝を調節する事で種々の疾患の発症に関与すると推察される。 −127−

(4)

〔結 論〕 ラット腰椎後縦靭帯に存在するCGRP陽性線経、SP陽性線経は知覚神経の1次線経で、椎休 部浅層・深層と椎間板部浅層に分布する神経叢と椎間板部深層に分布する神経叢に大別される。 両神経線経は著名なvaricosityを示し、自由終末・円形または楕円形の終末・糸球体状の終末 の3種の神経終末を持ち、後縦靭帯の知覚を支配すると考えられる。

学位論文審査の結果の要旨

近年、脊柱の捧痛、炎症や変性との関連において後縦靭帯に存在する神経が注目されている。 本研究は後縦靭帯に存在するcalcitoningene−relatedpeptide(以下CGRP)免疫陽性線経と substanceP(以下SP)免疫陽性線経の詳細な分布とその由来を明らかにしたものである。 ラットの腰椎から後縦靭帯を摘出し、全載標本を作成し、あるいは腰椎を脱灰後に切片を作成 し、抗CGRP血清と抗SP血清を用いた免疫組織化学的染色を施し、光顕にて観察した。また、 腰椎の連続3椎間の脊髄神経節を切除したラットから上記と同様に全載標本を作成、同様の免疫 染色を施し観察した。その結果、後縦靭帯には多数のCGRP免疫陽性線経とSP免疫陽性線経が 存在し、両者ははぼ同様の分布を示した。それらの線経は椎休部と椎間板部浅層に存在する神経 叢と椎間板部深層(靭帯付着部)に存在する神経叢に大別された。前者は脊髄神経硬膜枝(洞神 経)の分枝であって、血管に豊富な神経を送るのと同時に椎休部に密な神経叢を形成する。後者 は灰白交通枝の分枝と考えられるが、神経線経は後縦靭帯辺縁より進入し、靭帯付着部で靭帯線 維間を縫う様に走行する特異な形態を示す神経叢を形成する。また、両線経には自由終末、円形・ 楕円形の終末、糸球体状の終末の3種の神経終末が多数存在していた。脊髄神経節切除実験では、 片側切除した場合は明らかでなかったが、両側切除した場合には切除中央の椎間で両免疫陽性神 経線経の明瞭な消失が認められた。 以上、本研究はラット腰椎後縦靭帯に存在するCGRP含有神経線経とSP含有神経線経の詳細 な分布を明らかにするとともに、これら両線経が知覚神経の一次線経である事を示したものであ る。また後縦靭帯の一つの椎問部は両側かつ複数の脊髄神経節由来の両神経線経より支配される 事も明らかにされた。 本研究によって示された後縦執帯に存在するCGRP含有神経線経とSP含有神経線経の分布と その由来は新知見であるとともに、脊柱由来の捧痛発生の機序を解明する上で重要であると考え られ、またリウマチ性脊椎炎、後縦靭帯骨化症の病因解明の手がかりとなりうるものである。よっ て博士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。 −128−

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