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単為結果性トマトの着果および果実肥大ならびに種子形成に関する研究

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単為結果性トマトの着果および果実肥大ならびに種

子形成に関する研究

著者

大川 浩司

内容記述

学位授与大学: Osaka Prefecture University(大阪

府立大学), 学位の種類: 博士(応用生命科学), 学

位記番号: 論生命第37号, 学位授与年月日:

2012-02-20, 指導教員: 小田雅行.

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大阪府立大学博士(応用生命科学)学位論文

単為結果性トマトの着果および果実肥大

ならびに種子形成に関する研究

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緒 言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 用語・略記の説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 第1章 様々な環境条件下における単為結果性トマトの着果および 果実肥大特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 第1節 様々な時季における単為結果性トマトの着果および 果実肥大特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19 第2節 高温および低温条件下における単為結果性トマトの着果および 果実肥大特性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 試験1 高温処理の影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22 試験2 低温処理の影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 試験1 高温処理の影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 試験2 低温処理の影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 第3節 高温期および低温期における遮光による弱光条件が単為結果性 トマトの着蕾および着果に及ぼす影響 ・・・・・・・・・・・ 35 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36 試験1 高温期における弱光条件の影響 ・・・・・・・・・・ 36

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試験2 低温期における弱光条件の影響 ・・・・・・・・・・ 36 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 試験1 高温期における弱光条件の影響 ・・・・・・・・・・ 37 試験2 低温期における弱光条件の影響 ・・・・・・・・・・ 40 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43 第2章 単為結果性トマトの種子形成に関与する要因 ・・・・・・・・ 47 第1節 交配親の組み合わせおよび交配時期が単為結果性トマトの種子 形成に及ぼす影響 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47 試験1 交配親の組み合わせが種子形成に及ぼす影響 ・・・・ 47 試験2 開花の前後における子房の大きさの変化 ・・・・・・ 48 試験3 交配時期が種子形成に及ぼす影響 ・・・・・・・・・ 48 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 試験1 交配親の組み合わせが種子形成に及ぼす影響 ・・・・ 49 試験2 開花の前後における子房の大きさの変化 ・・・・・・ 51 試験3 交配時期が種子形成に及ぼす影響 ・・・・・・・・・ 51 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 第2節 受粉・受精・胚珠発達過程での組織観察による単為結果性 トマトの種子形成阻害要因の検討 ・・・・・・・・・・・・・ 58 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58

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試験1 柱頭上における花粉の発芽と花柱内の花粉管伸長 ・・ 61 試験2 受粉後における胚珠の発達 ・・・・・・・・・・・・ 61 試験3 オーキシン(IAA)を含む人工発芽床上における 花粉発芽率および花粉管伸長 ・・・・・・・・・・・・・ 63 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63 第3章 植物成長調節物質による単為結果性トマトの種子形成促進 ・・ 69 第1節 オーキシン作用阻害剤パラクロロフェノキシイソ酪酸(PCIB) の処理が単為結果性トマトの種子形成に及ぼす影響 ・・・・・ 69 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 69 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 70 第2節 ジベレリン生合成阻害剤パクロブトラゾール(PBZ)の処理が 単為結果性トマトの種子形成に及ぼす影響 ・・・・・・・・・ 73 材料および方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 74 考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76 総 括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 81 摘 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87 謝 辞 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 90 引用文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91 summary ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104

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トマト(Solanum lycopersicum L.)の原産地は,南アメリカの西部高原地域と され,有史前にインディアンの移動に伴ってアンデス高原から中央アメリカやメ キシコに伝播されたと考えられている(斎藤,1988).16 世紀にイタリアに伝 播され,ヨーロッパ全域に広がったが,17 世紀までは好事的な栽培に過ぎなか った.その後,南欧において生食用から加工用として急速な発展を遂げた.東洋 にはポルトガル人によって伝えられ,17 世紀にはジャワや中国での記録が残さ れている. わが国へのトマトの渡来は 18 世紀初期であるが,当初は観賞用として取り扱 われ,好事的栽培の域を出なかった.明治初期に開拓使によって野菜として再輸 入されたが,一般の嗜好には合わなかった.第二次世界大戦後,1960 年以降の 高度経済成長期になって食事の洋風化が進むとともに,生産が飛躍的に増加した. 現在の生産量は年間 75 ~ 80 万トンで,国産野菜の年間産出額約 2 兆 1000 億円 のうち約 2000 億円を占めており,わが国の農業政策上,最も重要な野菜の 1 つ となっている(細井,2006). トマトの生育適温は,その生長および着果などからみて,昼間28 ~ 24 ℃,夜 間17 ~ 10 ℃である(門馬,2001).需要の増加にともなって,施設・資材を利 用した栽培が盛んとなり,トマトの生育に適していない時期にも栽培できるよう になった.わが国の平坦な温暖地では,以前は,春から初夏の適温を利用する栽

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成栽培の端境期がなくなったことから,現在では周年にわたってトマトが生産さ れるようになっている. このように,トマトの生産が施設栽培主体になったことで,経済栽培を行う上 では確実に着果させることが不可欠となった.トマトの花は,筒状の葯の内側が 開裂して花粉を放出する.その花粉が,開葯と同時に伸長してくる花柱の柱頭に 付着して受粉に至る.このほか,物理的な振動によって葯の先端の小孔から花粉 がこぼれ出て受粉することもある.花はやや下向きに開花することから,昆虫の 訪花や風による振動でも受粉できる.したがって,露地栽培では受粉は容易に行 われるものの,施設栽培では昆虫の訪花や風の進入が遮られるため,何らかの人 為的な着果処理を行わなければ,着果率は大きく低下して経済栽培が不可能とな る. そこで,わが国におけるトマトの施設栽培では,着果を安定させるために 1960 年代から 1990 年代前半まではパラクロロフェノキシ酢酸(以下,4CPA) やクロキシホナック(以下,HCPA)などの合成オーキシンによる着果促進処理 (Ho・Hewitt,1986)が一般的に行われてきた.開花期におけるこれらの合成オ ーキシン処理は,受粉・受精に不適な高温や低温条件下でも安定した着果と果実 肥大を誘導し(Kataoka ら,2009),施設栽培におけるトマトの生産性向上に大 きく寄与してきた.しかし,合成オーキシンを花房に噴霧処理するには多大な労 力を要し,開花前の花芽や高温下での処理は,果皮と胎座部の間に空隙を生じる 空洞果が発生しやすい(Abad・Monterio,1989;藤村ら,1962;藤村ら,1965; 片岡ら,1994;山崎ら,1961). 一方,ヨーロッパでは古くからポリネーター(花粉媒介昆虫)の保護や利用が 行われてきた.1987 年にベルギーの Roland de Jonghe によって確立されたセイ ヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)の大量増殖技術により,年間を通し

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(池田・忠内,1992).わが国でも,1991 年 12 月からセイヨウオオマルハナバ チの導入(小出・林,1993)が始まると,合成オーキシン処理に比べて大幅な省 力化が可能なことから(松浦,1993),急速に生産現場へ普及した.近年では, 在来種のクロマルハナバチ(Bombus ignitus)(以下,両方をまとめてマルハナ バチと略記する.)も含めて,わが国では年間約7 万群が利用されるようになっ ている(国武・五箇,2006;光畑・和田,2005). 一般に,種子の発達にともなって果実は肥大し(Eeuwens・Schwabe,1975; Ozga ら,1992),トマトでは 1 果重と種子数の間には正の相関関係が認められ る(Dempsey・Boynton,1965;Gorguet ら,2005;Groot ら,1987).したがっ て,マルハナバチの訪花活動により受粉・受精が正常に行われ,有種子果になっ た場合には果実は正常に肥大する.しかし,マルハナバチは活動可能な温度域が 狭く,夏季には高温防止対策(飛川・石倉,2008;池田・忠内,1995;小出・林, 1993),冬季には最低夜温の確保が必要となる(浅田,2003).また,トマトの 花粉発芽率は35 ℃以上の高温で減退し(藤井,1946),花粉稔性は 10 ℃以下の 低温でも低下(Fernandez ら,1994)することから,受粉しても受精に至らず, 種子数が減少して果実が肥大しにくくなると考えられる.施設内の高温を抑制す る方策として,施設の高軒高化(鈴木,2006)や遮光カーテンによる被覆(井出 ら,2011;吉田ら,2002)が,また,冬季の温度確保のための方策として,断熱 性の高いフィルムによる内張被覆(勝野・木村,1985;竹前ら,1986)や加温設 定温度の高温化が行われているが,いずれもコストの増加が避けられない.また,

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の防止に関する法律(外来生物法)」の特定外来生物に指定され,輸入,飼育, 運搬等が規制されるようになった.在来種のクロマルハナバチについても生態リ スク評価が行われており(米田ら,2008),訪花昆虫の利用には環境に配慮した 対策が求められている. そこで,合成オーキシン処理や訪花昆虫による受粉を必要としない遺伝的に単 為結果性を持つトマトが注目されている.トマトの単為結果性遺伝子としては, これまでに pat,pat-2,pat-3/pat-4 が報告されている(Ficcadenti ら,1999;Fos

・Nuez,1996,1997;George ら,1984;Gorguet ら,2005;Lukyanenko,1991; Mazzucato ら,1998).わが国では,ロシアの品種 ‘Severianin’ 由来の劣性の単 為結果性遺伝子pat-2(Philouze・Maisonneuve, 1978a, b)の導入により,単為結 果性品種(parthenocarpic variety,以下,PA と略記する.)の育成が始まった. pat-2 遺伝子には随伴する劣悪な形質がなく(菅原ら,1990),海外では実用品 種育成の事例もある(Baggett・Kean,1986). また,‘Severianin’ の花器,花粉 はともに正常で,自家不和合性もないため,受粉した場合には健全な種子を有す る果実をつける(Lin ら,1983a).ただし,‘Severianin’ は,草姿が心止まり性, 果皮が黄色,果肉色が淡く,着色後の軟化が早いなどの短所があり,わが国にお ける実用的な PA 育成の素材として利用するには問題が多い(菅原ら,1990). そのため,‘Severianin’ の有する pat-2 遺伝子を ‘Money Maker’ に導入して育成さ れた‘LS-935’ が,実用的な PA の育種素材として利用された(菅原ら,1990;菅 原ら,1992). その結果,1994 年にわが国初の実用的な PA である ‘ ラークナファースト ’ (菅原ら,1995)が,2000 年にはその果実形質を改良した完熟収穫型の ‘ ルネ ッサンス ’ が育成された(菅原ら,2002).‘ ルネッサンス ’ については,高温 あるいは低温環境下における結実特性(池田ら,2003)や,促成および雨よけ栽

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などの日変化および季節変化が大きいわが国の様々な環境条件下における実用的 なPA の着果および果実肥大の特性は,詳細には明らかにされていない. わが国において,これまでに多くの品種が上市されてきた非単為結果性品種 (non-parthenocarpic variety,以下,NP と略記する.)の着果や果実肥大の特性 は,受粉や受精(藤井,1946;藤下,1970;高橋,1964;高橋・武田,1981), あるいは合成オーキシン処理(加藤,1967;宍戸・堀,1989)との関係から検討 され,それらの結果が実際の生産現場で活用されてきた.したがって,PA につ いても,様々な環境条件下での単為結果性の発現による着果および果実肥大特性 を明らかにし,その結果に基づいた栽培管理の実施が,高い生産性をあげるため に必要である. また,PA の F1 採種おける種子生産量は,これまで栽培されてきた NP に比べ て少なく,種子生産コストを上げる要因となっている.このため,種苗会社では 優れた PA を育成しつつあるものの,普及に移せない現状にある.種子の少ない 原因として,これまでに幾つかの作目の単為結果性を有する品種では,雄ずいの 異常(Ercan・Akilli,1996;Mazzucato ら,1999),雌ずいの異常(Reed,2004 ;Okamoto ら,2001;Mazzucato ら,2003),果実内の植物ホルモンの影響(Fos ・Nuez,1996,1997;Fos ら,2000,2001)が報告されている.しかし,pat-2 遺伝子を導入して育成された PA について,その種子形成が阻害される要因は十 分には明らかになっていない.今後,PA を普及していく上で,その種子形成阻

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大特性を検討した.また,トマト栽培では作期の拡大によって生産性を向上させ ることが重要で,適温よりも一層厳しい温度条件下における安定した生産が求め られる.そこで第 2 節では,適温よりも高温あるいは低温の条件下における PA の着果および果実肥大特性を検討した.さらに,夏季では高温抑制のための遮光 カーテン,冬季では暖房効率向上のための内張カーテンが展張され,施設内は弱 光となる.そこで第 3 節では,これらの弱光条件が PA の着蕾および着果に及ぼ す影響について検討した. 第2 章では,PA の F1 採種における種子生産量が少ないことから,その種子形 成に関与する要因を検討した.第1 節では,交配親の組み合わせおよび交配時期 が PA の種子形成に及ぼす影響を検討した.まず,交配親の組み合わせを相互に 替えて,種子親または花粉親のどちらに原因があるかを探ろうとした.また,開 花の前後における子房の大きさの変化を調査し,蕾時,開花時および開花2 日後 に交配した場合に種子形成にどのような影響を及ぼすかを比較した.第2 節では, 受粉・受精・胚珠発達の各過程における組織観察によって,PA の種子形成阻害 要因を探った.まず,柱頭上における花粉の発芽および花柱内の花粉管伸長につ いて調査した.次に,1 果当たりの胚珠数と受粉後における胚珠の発達を調査し た.さらに,これらの結果から示唆された花柱基部における花粉管伸長の抑制機 作を推定するため,オーキシンを含む人工発芽床における花粉の発芽率および花 粉管伸長を調査した. 第 3 章では,PA の種子形成を促進させる方法を検証した.第 2 章の結果から 推定された PA の種子形成を阻害する要因を,オーキシン作用阻害剤あるいはジ ベレリン生合成阻害剤の植物成長調節物質を処理することによって抑制し,種子

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形成を促進できるかを検証した. 最後に,本研究の成果を総括し,単為結果性のトマトの今後の課題と展望につ いて記述した. 用語・略記の説明 1.用語の定義 開花:花弁が完全に外側に展開し,花弁の色が最も黄味を帯びた時 発育不良果:着色が通常の果実に比べて遅れ,つやがなく,肥大が明らかに劣 る果実 2.略記の詳細

4CPA:4-chlorophenoxy acetic acid,パラクロロフェノキシ酢酸 HCPA:(4-chloro-2-hydroxymethylphenoxy) acetate,クロキシホナック GA:gibberellin,ジベレリン

IAA:indole acetic acid,インドール酢酸 PA:parthenocarpic variety,単為結果性品種

NP:non-parthenocarpic variety,非単為結果性品種

PCIB:p-chlorophenoxy isobutyric acid,パラクロロフェノキシイソ酪酸 PBZ:paclobutrazol,パクロブトラゾール

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第1章

様々な環境条件下における単為結果性トマトの

着果および果実肥大特性

第1節 様々な時季における単為結果性トマトの着果および果実肥大特性 単為結果性は,果菜類の省力かつ安定的栽培にとって有用な形質である.現在, わが国で栽培されているキュウリでは,大部分の実用品種が強い単為結果性を持 っている(斎藤,1995).雌雄異花であるキュウリの実用品種では,単為結果性 がなければ施設内では受粉できずに収量が激減してしまう.しかし,実際にはわ が国のキュウリ実用品種の単為結果性は強いため,低温期の施設栽培においても 訪花昆虫による受粉を全く必要とせず,収量への影響もみられない. トマトもキュウリのように単為結果性を有すれば,4CPA および HCPA などの 合成オーキシン処理(Ho・Hewitt,1986),バイブレーターによる振動受粉(浅 田,2003),あるいはマルハナバチによる受粉(池田・忠内,1992;小出・林, 1993)が不要となり,それらに必要な労力や経費を大幅に削減できる.そこで, 菅原らはロシアの品種 ‘Severianin’ が持つ単為結果性遺伝子 pat-2(Philouze・ Maisonneuve,1978a,1978b)をわが国のトマト実用品種に導入することを試み た(菅原ら,1990;菅原ら,1992).その結果,1994 年に初めての実用的な PA (単為結果性品種)でファースト型の ‘ ラークナファースト ’(菅原ら,1995) を,2000 年には完熟収穫型の PA である ‘ ルネッサンス ’(菅原ら,2002)を育 成した.これらの pat-2 遺伝子を劣性ホモで持つ PA を安定して生産するには, 施設栽培での PA の着果および果実肥大特性を明らかにしておく必要がある.し かし,‘ ラークナファースト ’ については菅原・坂森(1996),‘ ルネッサンス ’ については池田ら(2003)および加藤ら(2005)以外にその報告は見当たらない.

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一方,わが国における施設栽培トマトの主要作型には,促成,抑制,半促成お よび夏秋栽培があり,ほぼ一年を通じて平坦地から中山間地までの広範な地域に おいてトマトの栽培が行われており,作型や地域を問わず,安定した生産が求め られる. そこで,本節ではわが国の主要作型の開花時期に当たる春季,初夏季,秋季お よび冬季において,pat-2 遺伝子を持つ PA の着果および果実肥大特性を,pat-2 遺伝子を持たない NP(非単為結果性品種)のそれらと比較検討し,栽培環境が 大きく異なる中で,PA の着果が安定し,果実が肥大するか否かを検証した. 材料および方法 供試材料は,PA として ‘ ルネッサンス ’ を,NP として ‘ 桃太郎ヨーク ’(対 照品種)を用いた.試験は,わが国のトマト主要作型における開花時期を想定し, 春,初夏,秋および冬という環境の大きく異なる時季に,いずれもガラス温室内 で行った.単為結果性の発現,合成オーキシン,受粉・受精による着果を比較す るため,花(花蕾)の処理として,除雄,除雄+4CPA,振動受粉に,単為結果性 品種の実際の栽培を想定して花(花蕾)の処理を行わない放任を加え,計4 種類 の花(花蕾)の処理を行った.除雄は開花 1 ~ 3 日前に雄ずいを除去し,除雄 +4CPA は除雄した花を開花当日に 4CPA 液(濃度 15 mg・L-1)に浸漬した.また, 振動受粉は開花当日に花を振動させた.なお,開花は花弁が完全に外側に展開し,

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た.花房当たりの処理花数は3 花で,その他の花はすべて除去し,調査対象果数 は 1 処理区当たり春季および冬季は 24 果,初夏季は 18 果,秋季は 12 果とした. 換気温度はいずれの時季も28 ℃とし,最低は 10 ℃を維持するように加温した. また,両品種とも複合液肥(OK-F-2,大塚化学(株)製,N:P2O5:K2O=14:8:16)を 用いて養液土耕栽培を行った.調査項目は,正常果数,発育不良果(着色が通常 の果実に比べて遅れ,つやがなく,肥大が明らかに劣る果実)数,有種子果数, 開花から収穫までの日数,1 果重,種子数および空洞程度とした.空洞程度は果 実を赤道面で横断して,0(無)~ 4(甚)の 5 段階で評価し,Σ(空洞指数 × 果 実数)/調査果実数を算出した.なお,発育不良果および尻腐れ果は果実肥大特 性の調査対象から除外した. 結 果 開花期 各時季における両品種の開花期は,春季が4 月上旬~中旬,初夏季が 6 月中旬 ~下旬,秋季が10 月上旬~中旬,冬季が 1 月中旬~ 2 月上旬であった. 着果数(正常果数および発育不良果数) ‘ ルネッサンス ’ の着果率は,初夏季の除雄+4CPA 区が 94 %であった以外, 時季および花(花蕾)の処理に関係なくいずれも100 %で,かつ,そのすべてが 正常果であり,発育不良果は全く発生しなかった(第1-1 図). ‘ 桃太郎ヨーク ’ の着果状況は以下のとおりであった(第 1-1 図).春季の場 合,着果率は除雄+4CPA 区が 100 %,振動受粉区が 96 %で,そのほぼすべてが 正常果であったが,放任区は 83 %で,その半数が発育不良果であり,除雄区は 58 %で,そのすべてが発育不良果であった.初夏季の場合,着果率は除雄

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夏季 ,秋 季お よび 冬季 におけ る 花 ( 花 蕾 )処 理 が 単 為 結 果 性 品 種 ‘ ル ネ ッ サ ンス’ およ び非 単為 結果 性品 種 ク’ の着 果 率に及 ぼす 影 響 開花 数× 10 0 通 常 の 果 実に比 べ 遅 れ ,つや がな く, 肥大 が明 らか に劣 る果 実 振動 放任 除雄 除雄 振動 放 任 除雄 除雄 振 動 放任 除雄 除 雄 振動 放 任 発 育不良 果 正常 果 A 春季 初夏 季 秋季 冬 季 + 4CP A +4 CP A +4 CPA 受 粉 受 粉 受粉 受 粉 y 振動 放任 除 雄 除 雄 振 動 放 任 除雄 除雄 振動 放任 除雄 除雄 振 動 放任 A 春季 初夏季 秋季 冬季 +4 CP A +4 CP A +4 CP A 受 粉 受粉 受粉 受粉

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果であったが,除雄区では全く着果しなかった.秋季の場合,着果率は除雄 +4CPA 区および放任区が 92 %,振動受粉区が 100 %で,そのすべてが正常果で あったが,除雄区は 77 %で,そのすべてが発育不良果であった.冬季の場合, 着果率はいずれの処理でも 96 %以上であったが,除雄+4CPA 区でそのすべてが, 振動受粉区で約3 割が正常果であった以外は,いずれも発育不良果であった. 有種子果 両品種とも,いずれの時季でも除雄区および除雄+4CPA 区では有種子果は全 く発生しなかった(第1-2 図). ‘ ルネッサンス ’ の有種子果率は,春季,初夏季および秋季では振動受粉区が いずれも 92 %であったが,放任区は振動受粉区に比べて大幅に低く,冬季では 振動受粉区が9 %,放任区が 0 %と極めて低率であった. ‘ 桃太郎ヨーク ’ の有種子果率は,初夏季および秋季では振動受粉区および放 任区とも100 %であったが,春季では振動受粉区が 96 %,放任区が 48 %,冬季 では振動受粉区が46 %,放任区が 0 %であった. 果実肥大特性 開花から収穫までの日数は,いずれの時季においても,‘ ルネッサンス ’ では 処理区間に差はなかったが(第 1-1 表),‘ 桃太郎ヨーク ’ では除雄+4CPA 区が 他の処理に比べて短い傾向で,特にそれは初夏季および秋季で顕著であった(第 1-2 表). 1 果重は,いずれの時季においても,‘ ルネッサンス ’ では処理区間に差はな かった.‘ 桃太郎ヨーク ’ でも除雄+4CPA 区と振動受粉区の間に 1 果重の差はな かったが,放任区は両区に比べて軽かった. 1 果当たりの種子数は,いずれの時季でも両品種とも振動受粉区が放任区に比 べて多かった.

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季, 秋季 およ び冬 季に おける 花 (花 蕾 ) 処 理 が 単 為 結 果 性 品 種 ‘ ル ネ ッ サ ン ス’お よび 非単 為結 果性 品種 ク’ の有 種子果 率 に 及 ぼす影 響 数/ 着果 数× 100 振動 放任 除雄 除雄 振動 放任 除 雄 除雄 振動 放 任 除雄 除 雄 振動 放任 A 春季 初夏季 秋季 冬季 +4C PA +4CP A +4C PA 受粉 受粉 受粉 受粉 振動 放任 除雄 除雄 振動 放任 除 雄 除雄 振動 放 任 除雄 除 雄 振動 放任 A 春季 初夏季 秋季 冬季 +4C PA +4CP A +4C PA 受粉 受粉 受粉 受粉

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第 1-1 表 春季, 初夏 季 ,秋季 およ び冬 季に おけ る花 (花 蕾) 処 理が単 為結 果性 品 種 ‘ル ネッ サン ス’ の 果 実肥大 特性 に及 ぼす 影響 調査 開花 から 収 穫 1果重 種 子数 空 洞 Z 時 季 花( 花蕾 )処 理 果 数 ま で の 日数( 日 ) ( g ) ( 粒/ 果) 程度 春 除 雄 2 4 61. 5± 0.5 a y 192. 8± 9.6 a 0.0 ± 0.0 b 0.1 b 除 雄 +4CPA 24 60. 9± 0.6 a 211. 4±1 0.0 a 0.0 ± 0.0 b 0.5 a 振 動 受 粉 24 59. 7± 0.6 a 187. 5± 7.6 a 23.9 ± 5.0 a 0.3 ab 放 任 24 60. 6± 0.5 a 209. 3± 8.4 a 5.9 ± 3.1 b 0.5 ab 初 夏 除 雄 14 42. 4± 0.4 a 155. 5± 8.8 a 0.0 ± 0.0 b 0.1 a 除 雄 +4CPA 11 41. 7± 0.4 a 162. 1± 9.6 a 0.0 ± 0.0 b 0.0 a 振 動 受 粉 14 42. 8± 0.5 a 162. 6± 8.2 a 49.9 ±1 3.5 a 0.0 a 放 任 16 42. 7± 0.3 a 165. 0± 9.5 a 2.1 ± 1.7 b 0.0 a 秋 除 雄 1 2 73. 7± 0.8 a 172. 5± 7.9 a 0.0 ± 0.0 b 0.0 a 除 雄 +4CPA 12 71. 2± 0.8 a 167. 2± 9.2 a 0.0 ± 0.0 b 0.0 a 振 動 受 粉 12 73. 2± 0.4 a 179. 8±1 3.4 a 19.0 ± 8.1 a 0.0 a 放 任 12 71. 7± 1.2 a 154. 8± 6.4 a 11.4 ± 5.1 ab 0. 0 a 冬 除 雄 2 4 83. 9± 1.1 a 208. 6± 6.1 a 0.0 ± 0.0 a 0.1 a 除 雄 +4CPA 23 83. 3± 1.3 a 190. 2± 9.6 a 0.0 ± 0.0 a 0.0 a 振 動 受 粉 24 83. 5± 0.7 a 197. 5±1 0.9 a 0.2 ± 0.1 a 0.0 a 放 任 24 82. 1± 1.0 a 194. 9± 8.7 a 0.0 ± 0.0 a 0.0 a z 5 段階評価( 0 :無, 1 :軽, 2 :中, 3 :重, 4 :甚) 同一時季内の異な るアルファベット間 には 5 %水準で有意差 あり( St ee l-Dwa ss te st ) y 平均値 ± 標準誤差( n= 調査果 数) 同一時季内の異な るアルファベット間 には 5 %水準で有意差 あり( Tu ke y-Kr am er te st )

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春季, 初夏 季 ,秋季 およ び冬 季に おけ る花 (花 蕾) 処 理が非 単為 結果 性 品 種‘ 桃太 郎ヨ ーク ’の 果 実肥大 特性 に及 ぼす 影響 調査 開花 から 収穫 1 果 重 種子数 空 洞 Z 蕾)処理 果数 まで の日 数( 日) ( g ) ( 粒 /果 ) 程 度 雄 X - --- - +4C PA 23 54.0± 0. 7 b y 237 .8± 20. 4 a 0.0± 0. 0 b 1.4 a 受粉 22 56.0± 0. 5 ab 217 .1± 13. 9 a 179 .4 ± 17. 0 a 0.1 b 9 58.0± 1. 5 a 135 .9± 12. 6 b 24 .4± 4. 1 b 0.3 b 雄 W - --- - +4C PA 13 38.5± 0. 6 b 203 .6± 16. 4 a 0 .0± 0. 0 b 0.0 a 受粉 15 41.1± 0. 5 a 201 .3± 10. 4 a 159 .5 ± 15. 6 a 0.0 a 10 42.9± 1. 2 a 120 .9± 9. 9 b 31 .6 ± 11. 4 b 0.6 a 雄 X - --- - +4C PA 10 61.5± 1. 3 b 262 .1± 19. 9 a 0 .0± 0. 0 c 1.3 a 受粉 12 69.4± 1. 8 a 254 .9± 10. 4 a 245 .0 ± 13. 9 a 0.1 b 11 73.9± 2. 8 a 181 .9± 25. 2 b 73 .7 ± 20. 9 b 0.5 ab 雄 X - --- - +4C PA 17 81.9± 1. 5 a 164 .2± 15. 1 a 0 .0± 0. 0 b 0.0 a 受粉 8 84.2± 2. 3 a 138 .1± 16. 2 a 25 .4± 11. 5 a 0. 1 a X - --- - ( 0 :無, 1 :軽, 2 :中, 3 :重, 4 :甚) なるアルファベット 間には 5 %水準で有意 差あり( S teel-Dwass test ) n= 調査 果数) なるアルファベット 間には 5 %水準で有意 差あり( Tu ke y-K ra m er te st ) すべてが発育不良果 のため数値非表示 のため数値非表示

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は少なかったが,‘ 桃太郎ヨーク ’ では春季の除雄+4CPA 区が空洞程度 1.4,秋 季の除雄+4CPA 区が空洞程度 1.3 で,4CPA 液を処理した区でやや発生した. 考 察 本試験における NP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ は,振動受粉の場合に春季,初夏季お よび秋季では着果率は高く,大部分は正常果であったが,冬季では着果率は 96 %であったものの,その約7 割が発育不良果であった.これは,冬季では施設内 の最低温度を 10 ℃で管理したため,雄ずいの花粉稔性が低下し(Fernandez ら, 1994;藤下,1970),振動受粉を行っても受精が不十分となって発育不良果が多 発したためと推察される.放任の場合は,着果した果実のうち春季で約半数が, 冬季で100 %が発育不良果であり,初夏季ではすべてが正常果であったものの着 果率は 56 %にとどまった.このように強制的に振動受粉を行っていない条件に おいては,春季,初夏季および冬季では,NP である ‘ 桃太郎ヨーク ’ の受粉の 機会が大幅に減少して受精に至らないものが多くなったと考えられる.本来,自 家受精植物であるトマトは,風による花器の振動が起きやすい条件では比較的容 易に受粉・受精が行われるが,施設内のような閉鎖的な空間では,花を人工的に 振動して受粉(振動受粉)させる必要性は高い.省力的に受粉を行う手段として 1991 年 12 月にヨーロッパから初めて導入されたマルハナバチ(小出・林, 1993)は,現在,わが国では年間約 7 万群が利用されているが(国武・五箇, 2006;光畑・和田,2005),施設内をトマトの受粉・受精に適した温度に維持す ることは勿論,マルハナバチの活動に適した温度にも注意しなければならない. 一方,PA の ‘ ルネッサンス ’ は,春,初夏,秋および冬のいずれの時季でも, 花(花蕾)の処理に関係なく着果率は 94 ~ 100 %と高く,すべてが正常果で発

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1982)や低温(Vardy ら,1989)の条件下において,その単為結果性の発現は安 定していると報告されているが,‘Severianin’ の持つ単為結果性遺伝子 pat-2 を導 入して育成されたわが国の実用 PA である ‘ ルネッサンス ’ も,本試験で行った いずれの時季でも単為結果性の発現は非常に強く,かつ,安定していると考えら れた.池田ら(2003)も ‘ ルネッサンス ’ は高温や低温の条件下において安定し た結実特性を示したことを報告している.これらのことから,pat-2 遺伝子を持 たない NP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ に比べて,pat-2 遺伝子を持つ PA の ‘ ルネッサン ス ’ は,受精に不利な環境条件下において,優れた着果性と発育不良果の発生の 少なさにより生産性の向上が期待される.また,マルハナバチの導入時には,そ の訪花活動を維持し,かつ,花粉稔性の低下を防ぐために最低 12 ℃以上での温 度管理が必須条件になっているが(浅田,2003),本試験の結果から PA では最 低10 ℃の温度管理が可能になり,冬季の暖房経費の節減も期待できる. ト マトの 種子数と果実肥大 性の間には,正の相関関係 が報告されている (Dempsey・Boynton,1965;Gorguet ら,2005;Groot ら,1987).また,果実 の成長は種子の生産するオーキシンによる細胞伸長ではなく,発達中の種子によ って形成されるシンク能によるとされている(Varga・Bruinsma,1976).本試 験でも,NP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ では種子数の少ない放任区より種子数の多い振 動受粉区で 1 果重が重かった.一方,PA の ‘ ルネッサンス ’ では,種子の有無 と発育不良果の発生および果実肥大性との間に関連が全くなかった.Kataoka ら (2003)は,単為結果性トマトでは偽胚の発育と果実の肥大に同調性がみられる

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濃度によっては空洞果が発生しやすいことが知られている(Abad・Monterio, 1989;藤村ら,1962;藤村ら,1965;片岡ら,1994;山崎ら,1961).本試験で も,NP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ では,4CPA 液の処理によりいずれの時季でも正常果 率は非常に高くなり,初夏季および秋季では収穫所要日数が短く,また春季およ び秋季では空洞程度が高くなった.一方,PA の ‘ ルネッサンス ’ は,4CPA 液処 理の有無が開花から収穫までの日数や1 果重に及ぼす影響はみられず,空洞程度 に及ぼす影響も少なかった.片岡(2004)は,開花時に HCPA300 mg・L-1 で花房 を浸漬処理した場合,PA の ‘Severianin’ でも空洞果が発生したと報告している. ただし,本試験とは合成オーキシンの種類が異なり,処理濃度や品種間の比較は 行っていない.本試験で検討した 4CPA の濃度は,実際栽培で行われている 15 mg・L-1のみであったため,他の濃度での影響は不明であるが,この濃度に関する 限り,PA は NP に比べて人為的に与えた 4CPA 液の影響を受けにくいと考えら れる.また,PA の ‘ ルネッサンス ’ は,いずれの時季でも合成オーキシン処理 を全く不要にできることから,処理労力の低減にも大きく寄与できると考えられ る. 以上のように,わが国の主要作型の開花時期に当たる春季,初夏季,秋季およ び冬季において,PA の ‘ ルネッサンス ’ は振動受粉や合成オーキシン処理を行 わなくても,着果率が高く,かつ果実が十分に肥大することが明らかになった. これらの栽培は,いずれも3 ~ 4 段で摘心し,1 花房当たり 3 花に制限したもの で,生育株は栄養的に良好な状態であったと推測される.わが国の平坦な温暖地 では,一般的には5 ~ 7 段摘心の短期栽培を年 2 回組み合わせた作付体系や,15 段以上で摘心する年 1 作の長期栽培が主に行われており,1 花房当たりの着果数 も通常は4 果に制限する場合が多い.年 1 作の長期栽培のような同化養分の競合 が激しい条件でも,PA が安定して単為結果性を発現するかを検討する余地があ

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第2節 高温および低温条件下における単為結果性トマトの着果および果実肥大 特性 ロシアのトマト品種 ‘Severianin’ が持つ単為結果性遺伝子 pat-2 を導入して育 成された PA(単為結果性品種)である ‘ ルネッサンス ’(菅原ら,2002)につい て,第1 節では,わが国の主要作型の開花時期に当たる春季,初夏季,秋季およ び冬季のいずれの時季でも,着果率が非常に高く,かつ,発育不良果が全く発生 せず,単為結果性の発現は安定していること,種子の形成や 4CPA 液処理(15 mg・L-1)が, 1 果重,開花から収穫までの日数に影響を及ぼさないことを明らか にした.しかし,わが国の栽培環境は,温度,日射,湿度などの日変化,季節変 化が大きく,栽培中に様々な環境ストレス条件下におかれる場合が多い.トマト の販売単価が低迷している現在,作期の拡大によって生産性を向上させることは 重要であり,一層厳しい温度条件下における安定した生産が求められている. そこで本節では,施設内における高温および低温条件が pat-2 遺伝子を持つ PA の着果および果実肥大に及ぼす影響について検討した. 材料および方法 試験1 高温処理の影響 供試材料は,PA として ‘ ルネッサンス ’ を,NP(非単為結果性品種)として

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ーキシン,受粉・受精による着果を比較するため,除雄,除雄+4CPA,振動受粉 の3 種類の花(花蕾)の処理を行った.除雄は開花 1 ~ 3 日前の花蕾から雄ずい を除去し,除雄+4CPA は除雄した花を開花当日に 4CPA 液(15 mg・L-1)に浸漬 した.また,振動受粉は開花当日に花を振動させた.花房当たりの処理花数は 3 花で,その他の花はすべて除去し,調査対象果数は 1 区当たり 36 果とした.調 査項目は,正常果数,発育不良果数,有種子果数,1 果重および種子数とした. なお,発育不良果および尻腐れ果は,1 果重および種子数の調査対象から除外し た. 試験2 低温処理の影響 供試材料は,試験 1 と同様にした.両品種とも 2003 年 11 月 7 日に播種,12 月 22 日に 7 号ポットに定植し,複合液肥(OK-F-2,14-8-16)を用いて養液土耕 栽培を行った.定植後は換気温度28 ℃,最低温度 12 ℃に設定したガラス温室内 で管理し,第 1 花房開花前の 2004 年 1 月 4 日から最低温度を 6 ℃,9 ℃,12 ℃ に設定した温室に移動し,それぞれ2 段摘心栽培を行った.また,両品種とも試 験1 と同様な花(花蕾)処理を行った.花房当たりの処理花数は 3 花で,その他 の花はすべて除去し,調査対象果数は 1 区当たり 24 果とした.調査項目,1 果 重および種子数の調査対象除外果は試験1 と同様にした. 結 果 試験1 高温処理の影響 第 1 花房開花前(9 月 12 日)~第 2 花房開花期(9 月 30 日)における高温区 の日最高気温の平均値は 39.2 ℃,日平均気温の平均値は 27.4 ℃,慣行区の日最 高気温の平均値は32.2 ℃,日平均気温の平均値は 25.5 ℃であった.

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処理でも着果率は 100 %で,発育不良果は全く発生しなかった(第 1-3 図). NP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ は,除雄+4CPA では高温区および慣行区とも着果率は 100 %で,発育不良果の発生もみられなかったが,振動受粉では高温区が 75 %, 慣行区が89 %と着果率が低下し,高温区でそのすべてが,慣行区でその 25 %が 発育不良果であった.また,除雄では,高温区が 65 %,慣行区が 100 %の着果 率であったが,両区とも着果したすべての果実が発育不良果であった.有種子果 は,両品種とも振動受粉でのみ発生し,‘ ルネッサンス ’ の有種子果率は,高温 区および慣行区ともに39 %,‘ 桃太郎ヨーク ’ の有種子果率は高温区が 0 %,慣 行区が 75 %であった(第 1-4 図).‘ ルネッサンス ’ の 1 果重は,処理区間に有 意な差はなかったが,‘ 桃太郎ヨーク ’ の 1 果重は,慣行区の振動受粉が高温区 および慣行区の除雄+4CPA に比べて軽かった(第 1-3 表).‘ ルネッサンス ’ の 1 果当たりの種子数は,高温区の振動受粉が 9.7 粒,慣行区の振動受粉が 14.0 粒 であった.‘ 桃太郎ヨーク ’ の 1 果当たりの種子数は,慣行区の振動受粉が 50.8 粒であった. 試験2 低温処理の影響 第 1 花房開花前(1 月 4 日)から第 2 花房開花期における日最低気温の平均値 は,最低 6 ℃区が 5.9 ℃,最低 9 ℃区が 8.6 ℃,最低 12 ℃区が 10.6 ℃で,ほぼ 目標の最低温度で推移した.また,日平均気温の平均値は,最低 6 ℃区が 12.8 ℃,最低9 ℃区が 14.9 ℃,最低 12 ℃区が 17.6 ℃であった. PA である ‘ ルネッサンス ’ は,花(花蕾)の処理に関係なく,いずれの温度

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第 1-3 図 高温および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’および 非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の着果率に及ぼす影響 z 着果数/開花数×100 y 着色が通常の果実に比べ遅れ,つやがなく,肥大が明らかに劣る果実 0 20 40 60 80 100 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 着果 率(%) z 発育不良果 正常果 高温 慣行 y ‘ルネッサンス’ 0 20 40 60 80 100 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 着果 率(%) z 高温 慣行 ‘桃太郎ヨーク’

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第 1-4 図 高温および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’および 非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の有種子果率に及ぼす影響 z 有種子果数/着果数×100 0 20 40 60 80 100 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 有種子 果率(%) z 高温 慣行 ‘ルネッサンス’ 0 20 40 60 80 100 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 除雄 除雄+4CPA 振動受粉 有種 子 果率(%) z 高温 慣行 ‘桃太郎ヨーク’

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第1-3 表 高温および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’および 非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の1 果重,種子数に及ぼす影響 調査 1果重 種子数 品種 温度 花(花蕾)処理 果数 (g) (粒/果) ルネッサンス 高温 除雄 35 183 az 0.0 b 除雄+4CPA 36 189 a 0.0 b 振動受粉 36 191 a 9.7 a 慣行 除雄 35 198 a 0.0 b 除雄+4CPA 35 208 a 0.0 b 振動受粉 30 220 a 14.0 a 桃太郎ヨーク 高温 除雄y - - - 除雄+4CPA 36 240 a 0.0 b 振動受粉y 慣行 除雄y 除雄+4CPA 28 272 a 0.0 b 振動受粉 24 189 b 50.8 a z 同一品種内の異なるアルファベット間には5 %水準で有意差あり(Tukey-Kramer test) y 着果した果実のすべてが発育不良果のため,数値非表示

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第 1-5 図 最低温度および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’ および非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の着果率に及ぼす影響 z 着果数/開花数×100着色が通常の果実に比べ遅れ,つやがなく,肥大が明らかに劣る果実 0 20 40 60 80 100

除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉

着果率(%) z 発育不良果 正常果 6℃ y 9℃ 12℃ 0 20 40 60 80 100

除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉

着果 率(%) z 6℃ 9℃ 12℃ ‘ルネッサンス’ ‘桃太郎ヨーク’

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が,最低 6 ℃区では発育不良果が 61 %発生し,これらはすべて無種子果であっ た.有種子果は,‘ ルネッサンス ’ の最低 6 ℃区を除く両品種の振動受粉で発生 し,‘ ルネッサンス ’ の有種子果率は,最低 9 ℃区が 23 %,最低 12 ℃区が 61 %, ‘ 桃太郎ヨーク ’ の有種子果率は,最低 6 ℃区が 39 %,最低 9 ℃区が 92 %,最 低12 ℃区が 100 %であった(第 1-6 図).‘ ルネッサンス ’ の 1 果重は,処理区 間に有意な差はなかったが,‘ 桃太郎ヨーク ’ の 1 果重は,最低 6 ℃区の振動受 粉が 140g と他処理区に比べて軽かった(第 1-4 表).‘ ルネッサンス ’ の 1 果当 たりの種子数は,振動受粉の最低 9 ℃区が 0.6 粒,最低 12 ℃区が 27.1 粒,‘ 桃 太郎ヨーク ’ の 1 果当たりの種子数は,振動受粉の最低 6 ℃区が 26.7 粒,最低 9 ℃区が87.2 粒,最低 12 ℃区が 129.2 粒であった. 考 察 わが国における一般的な NP の栽培では,近年,着果を安定させるためにマル ハナバチを利用した受粉が行われている(国武・五箇,2006;光畑・和田, 2005).しかし,マルハナバチは高温に弱いため(小出・林,1993),施設に導 入するには最高 30 ℃以下の温度条件が必要とされる.わが国の平坦地における 抑制作型および促成長期作型のトマト栽培では,6 ~ 8 月に播種が行われるため, 開花初期は高温な時期に当たり,マルハナバチの導入による受粉を行うことは難 しい.また,トマトでは開花期に 35 ℃を超えると子房が褐変枯死したり,花粉 の発芽率が急速に減退すること(藤井,1946),開花 9 ~ 5 日前の減数分裂期と 開花当日~ 3 日後の段階にある蕾は高温抵抗性がなく,前者では 35 ℃,後者で は40 ℃で落花し,着果しないこと(高橋,1964)が報告されている. 本試験におけるNP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ は,除雄では高温区が 65 %,慣行区が

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第 1-6 図 最低温度および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’ および非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の有種子果率に及ぼす影響 z 有種子果数/着果数×100 0 20 40 60 80 100

除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉

有種 子果率(%) z 6℃ 9℃ 12℃ ‘ルネッサンス’ 0 20 40 60 80 100

除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉 除 雄 除 雄 +4CPA 振 動 受 粉

有種 子 果率(%) z 6℃ 9℃ 12℃ ‘桃太郎ヨーク’

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第1-4 表 最低温度および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’および 非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の1 果重,種子数に及ぼす影響 最低温度 調査 1果重 種子数 品種 花(花蕾)処理 (℃) 果数 (g) (粒/果) ルネッサンス 6 除雄 24 202 az 0.0 b 除雄+4CPA 24 211 a 0.0 b 振動受粉 23 207 a 0.0 b 9 除雄 22 195 a 0.0 b 除雄+4CPA 23 187 a 0.0 b 振動受粉 23 184 a 0.6 b 12 除雄 24 221 a 0.0 b 除雄+4CPA 24 194 a 0.0 b 振動受粉 22 214 a 27.1 a 桃太郎ヨーク 6 除雄y - - - 除雄+4CPA 22 222 a 0.0 c 振動受粉 9 140 b 26.7 c 9 除雄y 除雄+4CPA 21 204 a 0.0 c 振動受粉 21 203 a 87.2 b 12 除雄y - - - 除雄+4CPA 24 215 a 0.0 c 振動受粉 24 226 a 129.2 a z 同一品種内の異なるアルファベット間には5 %水準で有意差あり(Tukey-Kramer test) y 着果した果実のすべてが発育不良果のため,数値非表示

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から,‘ 桃太郎ヨーク ’ は弱い単為結果性を保持していると考えられたが,その 後の肥大は不十分で,実用に供することは難しい.振動受粉では高温区が 75 %, 慣行区が89 %着果したが,高温区でそのすべてが,慣行区でもその 25 %の果実 が発育不良果であった.振動受粉におけるこれらの発育不良果の発生は,高温に よる子房や花粉の障害によるものと推察される.慣行区の振動受粉で得られた正 常果も,1 果当たり種子数は 50.8 粒で,一般的な 200 粒程度(関口,1988)と比 較して少なかったことから,高温による受精への悪影響がうかがえた.しかし, 4CPA 液を処理すれば,同じ温度条件でも ‘ 桃太郎ヨーク ’ の着果率は 100 %と なり,果実は正常に肥大したことから,日最高気温の平均値が 39.2 ℃という高 温条件下でも人為的に与えた合成オーキシンの効果は非常に高い. 一方,PA である ‘ ルネッサンス ’ は,高温区および慣行区とも花(花蕾)の 処理にかかわらず100 %着果し,発育不良果も全く発生せず,第 1 節と同様に種 子の有無と1 果重に関連はみられなかった.同じナス科果菜類の単為結果性ナス では,高温ストレス条件下において単為結果性の発現は不十分になること(小田 ら,1996;吉田ら,2001)が報告されている.しかし,‘ ルネッサンス ’ の単為 結果性は,NP の受精が不完全となり,4CPA 液の処理を行わないと正常に肥大 しない高温条件下でも発現し,NP での 4CPA 液処理と同等の果実肥大性がある と考えられた.したがって,PA は開花初期が高温期に当たる抑制栽培や促成長 期栽培はもちろん,春から秋にかけて栽培する夏秋栽培でも安定した生産が期待 できる.また,曇雨天後の晴天で異常高温になりやすい春季における施設内でも,

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受粉では最低 9 ℃区および 12 ℃区の場合,正常に受精が行われたものが多かっ たが,最低 6 ℃区では発育不良果の割合が 61 %と高く,これらはすべて無種子 果であった.得られた正常果の1 果重も 140 g と他処理区に比べて軽かったこと から,これらは雄ずいの花粉稔性低下に起因する(Fernandez ら,1994;藤下, 1970)と推察される.藤井ら(1942)は夜間に 5 ℃の低温処理を行っても,昼間 にガラス室で加温して平均 33 ℃で生育させれば,結実に問題はなかったことを 報告していることから,最低6 ℃区において受精が不完全になったのは,日最低 気温の平均値が5.9 ℃の低温条件であったことだけでなく,28 ℃での換気も一要 因と考えられる.一方,除雄+4CPA では最低 6 ℃区でも最低 9 ℃区および 12 ℃ 区と同様に正常果率は高く,本試験で設定した最低温度の範囲では,温度の差異 による 4CPA 液処理の効果の違いはみられなかった.マルハナバチが日本へ導入 される前の,4CPA 液や HCPA 液による着果促進処理が一般的(池田・忠内, 1992)であった 1991 年 12 月以前は,開花時の温度管理を厳密に行う必要性は低 かった.しかし近年では,マルハナバチの活発な行動や花粉稔性の向上によって 受粉を確実に行うため,最低を 12 ℃以上とする温度管理が行われている(浅田, 2003).冬期のトマト生産では光合成産物の転流促進や呼吸による消耗防止のた め,前夜半を比較的高温に保ち,後夜半を低温で管理することが望ましい(吉岡 ・高橋,1981)とされていることから,マルハナバチの活動等を主眼にした温度 管理は,光合成産物の順調な転流や,呼吸消耗の軽減による果実の正常な肥大を 図るには,必ずしも適していないと推察される. 他方,PA の ‘ ルネッサンス ’ では,最低 6 ℃区の着果率は花(花蕾)の処理 にかかわらずすべて100 %で,いずれも果実の肥大は正常であった.有種子果の 発生も全くなかったことから,日最低気温の平均値が 5.9 ℃という低温条件下で も単為結果性の発現は強く安定していると考えられた.したがって,冬季のトマ

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り,光合成産物の転流促進と呼吸による消耗防止を主に考慮した管理が可能とな る.すなわち,施設暖房のための燃料代の節減によって,トマトの生産コストが 低減できると考えられる. なお,花芽分化時期に長期間低温遭遇すると,子室数が増加し,乱形果が多発 することが報告されている(藤村ら,1964;太田ら,2002;斎藤・伊藤;1971). 本研究の低温処理試験は2 段摘心栽培で,第 1 花房の開花直前から低温を処理し たために乱形果は発生しなかったが,花房ごとに連続的に花芽が分化する長期栽 培では,長期間の低温管理は乱形果発生の危険性がある.したがって,低温でも 安定した PA の単為結果性は,光合成産物の転流促進や呼吸消耗の軽減を目的に した夜間の変温管理で活かすべきと考えられる.

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第3節 高温期および低温期における遮光による弱光条件が単為結果性トマトの 着蕾および着果に及ぼす影響 劣性のpat-2 遺伝子の導入により育成された PA(単為結果性品種)の ‘ ルネッ サンス ’ について,春,初夏,秋および冬のいずれの時季でも単為結果性の発現 は強く安定しており(第1 節),最高 39.2 ℃の高温や最低 5.9 ℃の低温のような 正常花粉の発達や受精に適さない温度条件下でも,単為結果性の発現により安定 した着果がみられること(第2 節)を明らかにした. 一方,わが国の平坦な温暖地のトマト主要作型である抑制栽培や促成長期どり 栽培では,育苗期および本圃へ定植後の初期に当たる夏季に,内張遮光カーテン の開閉による高温抑制処理が一般的に行われている.また,促成短期どり栽培や 促成長期どり栽培では,冬季の暖房経費削減のために農業用ビニルなどによる内 張被覆が行われている.どちらの場合も遮光によりトマトは通常よりも弱光の条 件下で栽培されることになる(正木・大野,1981).一般的なトマトである NP (非単為結果性品種)では,日射量が少なくなるに伴い,花の各器官の発育が抑 制されて小さな花となることが報告されている(斎藤・伊東,1967;高橋ら, 1973).弱光による花の各器官の発育抑制は正常な着蕾率の低下に繋がるが, PA の弱光条件下における着蕾特性の知見はこれまでのところ見当たらない.ま た,NP では 100 cal・cm-2 day-1 4.2 MJ・m-2 day-1)以下の日射量は,トマト果実 の肥大抑制を引き起こし(正木・大野,1981),トマトの生育に適する平均日射 量は 13 MJ・m-2 ・day-1 前後である(位田,1977)と指摘されており,日射量と果 実肥大についての知見はみられるものの,弱光条件下における着果特性について は単為結果性の有無にかかわらず,詳細な報告はほとんどない. そこで,本節では,わが国の栽培環境で想定される様々な環境ストレス条件下

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施設内の遮光による弱光条件が pat-2 遺伝子を持つ PA の着蕾および着果に及ぼ す影響について検討した. 材料および方法 試験1 高温期における弱光条件の影響 供試材料は,PA として ‘ ルネッサンス ’ を,NP として ‘ 桃太郎ヨーク ’(対 照品種)を用いた.両品種とも 2003 年 7 月 25 日に播種,8 月 26 日に地床に定 植し,複合液肥(OK-F-2,大塚化学(株)製,N:P2O5:K2O=14:8:16)を用いて養液 土耕栽培を行った.換気温度を 28 ℃に設定したガラス温室内において,第 1 花 房開花前の9 月 3 日から第 3 花房開花後の 10 月 5 日まで遮光率 70 %のアルミ蒸 着寒冷紗を終日被覆処理した弱光区および無被覆の対照区を設け,3 段摘心栽培 とした.単為結果性の発現,合成オーキシンおよび受粉・受精による着果を比較 するため,花(花蕾)について除雄,除雄+4CPA および振動受粉の 3 種類の処 理を行った.除雄は開花 1 ~ 3 日前の花蕾から雄ずいを除去し,除雄+4CPA は 除雄した花を開花時に 4CPA 液(15 mg・L-1)に浸漬した.また,振動受粉は開 花時に花を振動させた.花房当たりの処理花数は3 花で,その他の花はすべて除 去し,調査対象花数は 1 区当たり 45 花とした.調査項目は,処理可能花(花 蕾)数(除雄,除雄+4CPA および振動受粉の処理が可能な花(花蕾)数),正 常果数,発育不良果数,有種子果数,1 果重および種子数とした.なお,発育不

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式養液栽培を行った.換気温度を28 ℃,最低温度を 10 ℃に設定した硬質ビニル ハウス内において,第1 花房開花前の 2004 年 1 月 15 日~ 4 月 19 日(栽培終了 時)まで遮光率 45 %の白色寒冷紗を終日被覆処理した弱光区および無被覆の対 照区を設け,2 段摘心栽培とした.両品種とも,試験 1 と同じ花(花蕾)の処理 を行った.花房当たりの処理花数は3 花で,その他の花はすべて除去し,調査対 象花数は 1 区当たり 30 花とした.調査項目,1 果重および種子数の調査対象除 外果は試験1 と同様にした. 結 果 試験1 高温期における弱光条件の影響 弱光処理期間中(9 月 3 日~ 10 月 5 日)における平均日射量は弱光区が 3.5 MJ・m-2 ・day-1 ,対照区が9.2 MJ・m-2 ・day-1 であった.また,弱光処理期間中におけ る日最高気温の平均値は,弱光区が 32.0 ℃,対照区が 33.9 ℃,日平均気温の平 均値は,弱光区が25.0 ℃,対照区が 25.4 ℃であった. 処理可能花(花蕾)率は,対照区では両品種とも 96 %以上であったが,弱光 区では NP の ‘ 桃太郎ヨーク ’ が 98 %以上であったのに対し,PA の ‘ ルネッサ ンス ’ は 31 ~ 56 %で(第 1-5 表),花房が全く確認できないものや痕跡程度し かないもの(第 1-7 図 A),がく片はあるが明らかに花が小さいもの(第 1-7 図 B),がく片は正常だが葯の発達が不十分なもの(第 1-7 図 C)がみられた.処 理可能花(花蕾)数のうちで着果したものの割合を示す着果率は,‘ ルネッサン ス ’ では,弱光区および対照区ともいずれの処理でも 88 %以上で,発育不良果 も対照区の除雄で 7 %発生した以外に発生はなかった.一方,‘ 桃太郎ヨーク ’ の着果率は,弱光区の除雄+4CPA が 73 %,対照区の除雄+4CPA が 100 %で,す

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光条件 および 花( 花蕾) 処理が 単為結 果性品 種‘ルネ ッサン ス ’ お よび非 単為結果 性品種 ‘桃太 郎ヨー ク’ 果数, 有種子果 数に及 ぼす影 響 w z 着果 率 有種子 花 (花蕾) 処理 処理可能花( 花蕾)率(%) yx 正常果率(% ) 発育不良果率( %) 果 率 (%) 除 雄 5 6 88 0 0 除雄+4CP A 3 1 93 0 0 振動受粉 47 10 0 0 94 除雄 96 93 7 0 除雄+ 4CPA 98 100 0 0 振動受粉 100 10 0 0 15 除雄 98 0 4 1 0 除 雄 +4CPA 98 73 0 0 振 動受粉 100 4 3 6 1 1 除雄 100 0 8 2 0 除雄+4CP A 9 6 1 00 0 0 振動受粉 98 18 61 23 45 花 対象花 数 ×1 00 )数 × 100 (花蕾 )数 ×1 00

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第 1-7 図 高温期における遮光率 70 %の弱光条件下での単為結果性品種‘ルネッサンス’の 花芽障害程度 A 花房が全く確認できないものや痕跡程度しかないもの B がく片はあるが明らかに花が小さいもの C がく片は正常だが葯の発達が不十分なもの

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%で,正常果率もそれぞれ 4 %および 18 %と低かった.また,弱光区および対 照区とも,除雄では着果したすべての果実が発育不良果であった.有種子果は, 両品種とも弱光区および対照区の振動受粉でのみ発生した.有種子果率は,‘ ル ネッサンス ’ の弱光区が 94 %,対照区が 15 %,‘ 桃太郎ヨーク ’ の弱光区が 11 %,対照区が 23 %であった.‘ ルネッサンス ’ の 1 果重は,対照区では処理区間 に有意な差はなかったが,弱光区では除雄+4CPA >振動受粉>除雄の順であっ た(第 1-6 表).‘ 桃太郎ヨーク ’ の 1 果重は,弱光区および対照区とも除雄 +4CPA >振動受粉であった.1 果当たりの種子数は,‘ ルネッサンス ’ の弱光区 の振動受粉が 42 粒,対照区の振動受粉が 3 粒,‘ 桃太郎ヨーク ’ の弱光区の振動 受粉が5 粒,対照区の振動受粉が 17 粒であった. 試験2 低温期における弱光条件の影響 弱光処理期間中(1 月 15 日~ 4 月 19 日)における平均日射量は,1 月 15 日 (第 1 花房開花前)~ 2 月 15 日(第 2 花房開花期)では弱光区が 5.1 MJ・m-2 ・ day-1 ,対照区が 9.1 MJ・m-2 ・day-1 ,2 月 16 日(第 2 花房開花期)~ 4 月 19 日 (栽培終了時)では弱光区が7.1 MJ・m-2・day-1,対照区が12.4 MJ・m-2・day-1 であ った.また,1 月 15 日~ 2 月 15 日における日最高気温の平均値は,弱光区が 25.9 ℃,対照区が 28.6 ℃,日平均気温の平均値は,弱光区が 15.9 ℃,対照区が 16.1 ℃であった.2 月 16 日~ 4 月 19 日における日最高気温の平均値は,弱光区 が 27.3 ℃,対照区が 30.0 ℃,日平均気温の平均値は,弱光区が 17.9 ℃,対照区 が18.5 ℃であった.

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第1-6 表 高温期における光条件および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’ および非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の 1 果重,種子数に及ぼす影響 調査 1果重 種子数 品種 光条件 花(花蕾)処理 果数 (g) (粒/果) ルネッサンス 弱光 除雄 22 149 cz 0 b 除雄+4CPA 13 257 a 0 b 振動受粉 21 194 b 42 a 対照 除雄 40 178 bc 0 b 除雄+4CPA 44 191 b 0 b 振動受粉 45 180 bc 3 b 桃太郎ヨーク 弱光 除雄 y 除雄+4CPA 32 223 a 0 b 振動受粉 2 57 b 5 b 対照 除雄 y 除雄+4CPA 43 241 a 0 b 振動受粉 8 99 b 17 a z 同一品種内の異なるアルファベット間には5 %水準で有意差あり(Tukey-Kramer test)着果した果実のすべてが発育不良果のため,数値非表示

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光条件 および 花( 花蕾) 処理が 単為結 果性品 種‘ルネ ッサン ス ’ お よび非 単為結果 性品種 ‘桃太 郎ヨー ク’ 果数, 有種子果 数に及 ぼす影 響 w z 着果率 有種子 花(花蕾)処理 処理可能花(花 蕾 )率(%) yx 正常果率(%) 発育不良果率(%) 果率( %) 除雄 10 0 100 0 0 除雄+4CPA 100 100 0 0 振動受粉 100 10 0 0 0 除雄 10 0 10 0 0 0 除雄+4 CPA 10 0 100 0 0 振動受粉 100 10 0 0 0 除雄 100 0 100 0 除雄+ 4CPA 100 93 7 0 振動受 粉 100 80 20 77 除雄 10 0 0 10 0 0 除雄+4CPA 100 47 53 0 振動受粉 100 80 20 87 30 花 対象 花数 × 100 )数 × 100 花 (花蕾 )数 × 100 0

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対照区の除雄+4CPA が 47 %,振動受粉が 80 %であった.また,弱光区および 対照区とも,除雄では着果したすべての果実が発育不良果であった.有種子果は, ‘ ルネッサンス ’ では発生せず,‘ 桃太郎ヨーク ’ の弱光区および対照区の振動受 粉でのみ発生し,有種子果率は弱光区が77 %,対照区が 87 %であった.両品種 とも,1 果重は処理区間に有意な差はなかった(第 1-8 表).‘ 桃太郎ヨーク ’ の 1 果当たりの種子数は,弱光区の振動受粉が 107 粒,対照区の振動受粉が 68 粒 であった. 考 察 本試験において,高温期における遮光率 70 %のアルミ蒸着寒冷紗による弱光 条件下では,‘ ルネッサンス ’ の処理可能花(花蕾)率は 31 ~ 56 %で,対照区 の 96 ~ 100 %に比べて明らかに低く,花芽の発育が不良なものが多発した.斎 藤・伊東(1967)は,NP の ‘ 福寿 2 号 ’ を用いて花芽の発育に対する日射量の 影響を検討した結果,日射量が少なくなるに伴い花の各器官の発育が悪くなって 小さな花となり,がく片,葯,子房がともに小さく,特に葯の発達が抑えられる と報告している.斎藤・伊東(1967)が行った弱光の処理時期は,子葉展開直後 から第1 花房の開花開始までで,処理終了後直ちに圃場に定植して第 1 および第 2 花房の花の形態調査を行っており,対照区に比較して 24 %の日照区では第 1 花房の開花数が大幅に減少した.この原因として,光量の減少により同化産物の 減少あるいは同化産物の消費量が増大し,植物体内の栄養状態が不良になったこ とを指摘している.また,トマトと同じナス科のナスについても,石田(1985) は生育初期からの強度の遮光により花芽が未分化になったり,花芽の発育が遅延 することを認めている.

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第1-8 表 低温期における光条件および花(花蕾)処理が単為結果性品種‘ルネッサンス’ および非単為結果性品種‘桃太郎ヨーク’の 1 果重,種子数に及ぼす影響 調査 1果重 種子数 品種 光条件 花(花蕾)処理 果数 (g) (粒/果) ルネッサンス 弱光 除雄 30 213 az 0 a 除雄+4CPA 30 216 a 0 a 振動受粉 30 220 a 0 a 対照 除雄 30 231 a 0 a 除雄+4CPA 30 235 a 0 a 振動受粉 30 220 a 0 a 桃太郎ヨーク 弱光 除雄 y 除雄+4CPA 28 248 a 0 b 振動受粉 24 262 a 107 a 対照 除雄 y 除雄+4CPA 14 225 a 0 b 振動受粉 24 233 a 68 a z 同一品種内の異なるアルファベット間には5 %水準で有意差あり(Tukey-Kramer test)着果した果実のすべてが発育不良果のため,数値非表示

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10 月 5 日まで終日被覆処理し,第 1 花房から第 3 花房までの処理可能花(花 蕾)数を調査しており,斎藤・伊東(1967)の処理時期とはやや異なる.しかし, ‘ ルネッサンス ’ の弱光区では花房の段位に関係なく花芽の障害がみられ,対照 区では花芽の障害がほとんどみられなかったことから,高温期における遮光率 70 %の弱光条件は,‘ ルネッサンス ’ 体内の栄養状態を著しく悪化させ,花芽の 発育障害を発生させたと考えられる.また,遮光率 70 %の弱光条件下でも,対 照品種とした ‘ 桃太郎ヨーク ’ の処理可能花(花蕾)率は 98 %以上であったこ とから,同化産物が不十分になると推測される弱光条件下では ‘ ルネッサンス ’ は‘ 桃太郎ヨーク ’ に比べて花芽の発育が不良になりやすいと考えられた. さらに,夜温が高いとトマトの花芽の発育が不良になりやすいこと(藤井ら, 1943;斎藤・伊東,1967),栽植密度と花芽の発育の関係では,栽植密度が狭く, 苗の栄養状態が不良な場合に花芽の発育が不良となること(藤井・粕壁,1947) が報告されている.実際の生産現場では,高温期でも遮光率 70 %の寒冷紗を長 期間連続して展張することはないが,本試験での播種時期が 7 月 25 日であった ことも合わせて考慮すると,高温期における ‘ ルネッサンス ’ の正常な花芽育成 のためには,遮光処理は最小限に抑え,高密植条件を防止し,夜温は低くする栽 培管理が重要と考えられる. 次に,高温期における遮光率70 %の弱光条件下でも,‘ ルネッサンス ’ の正常 に発育した花芽(処理可能花蕾)は,除雄により 88 %の着果率を示し,これら はすべて正常果であったことから,厳しい弱光条件下でも単為結果性は発現する と考えられた.ただし,弱光区の着果数は対照区の約 1/2 にもかかわらず,弱光 区の1 果重は対照区に比べてやや軽い傾向であったことから,単為結果性の発現 力については着果数を一定にした条件で今後検討する必要がある.また,弱光区 の除雄+4CPA では,‘ ルネッサンス ’ は 93 %の着果率を示し,1 果重は 257 g と

参照

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