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移動形態の負担量と負担感の評価方法に関する研究

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Academic year: 2022

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キーワード:移動負担量,移動負担感,心拍数,エネルギー消費量,等価換算係数 

連絡先:〒468-8502名古屋市天白区塩釜口1-501 名城大学理工学部建設システム工学科 TEL052-832-1151

移動形態の負担量と負担感の評価方法に関する研究 

 

名城大学  学生会員 ○藤井 貴浩  名城大学  フェロー   松井 寛  名城大学  学生会員  西本 将典  名城大学  学生会員  枅川 幸詩   

1.はじめに 

高齢者や身体障害者等が公共交通機関を利用する ため,各交通施設間のバリアフリー化を進めていくことが 重要である.そのため,公共交通機関を利用する際の 乗り換えの経路は,重要な公共空間であるため,円滑な 移動及び移動抵抗の軽減が課題となっている.しかし,

それは経路構造を改善するだけではなく,人間的要因 も一因として考える必要がある.

そこで本研究は,様々な移動形態の特徴を把握する ため,移動形態別実験や移動負担感の調査を行った.

そして,その実験や調査をもとに,移動形態を定量化し,

多方面から評価することを目的とした.

2.移動形態別実験 

異なる移動形態で移動負担量がどのくらい違うのかを 把握するため,心拍数とエネルギー消費量を移動負担 量として,移動形態別実験を実施した.被験者は,20代 の健常男性23名として実験を行った.測定器具として,

心拍数は心拍計(LRR-03メモリー心拍計)を用いて,電 極を胸部に 3 点装着し計測した.エネルギー消費量は 加速度センサと気圧センサを組み合わせた携帯型の移 動形態判別装置(ICC: Intelligent Calorie Counter) を用いて,腰部に装着し計測した.今回計測を行った移 動形態は,「平地歩行」「坂道上り・下り(勾配 5%,勾配 9%)」「階段上り・下り」「エスカレータ(ES)上り・下り」「エ レベータ(EV)待ち・上り・下り」「静止」である. 

そして,その結果から移動形態毎に移動負担量を比 較するため,移動形態毎の移動負担量と時間,平地歩 行の移動負担量と距離の回帰直線を求めた.回帰直線 の相関係数は坂道上り(勾配 5%)のエネルギー消費量 が0.83となり,それ以外の回帰直線は相関係数0.9以 上となった.それぞれの回帰直線をもとに,まず平地歩 行のある距離を基準として,その移動負担量を求め,そ

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

心拍数

エネルギー消費量

図‐1 移動負担量の等価換算係数 

の値から平地歩行以外の移動形態の等価な時間が分 かり,その時間と基準としたある距離の平地歩行の所要 時間との比率によって等価換算係数を導いた(図‐1).こ こでの等価換算係数とは,移動形態毎での移動距離を 換算するための係数である. 

(1)心拍数

平地歩行を基準とした場合,階段上りは約 1.26 倍と 最も負担が大きくなった.坂道上りは勾配5%が1.09倍,

勾配9%が1.18倍となり,5%から9%に上がることで約 1.08 倍大きくなった.階段下り・坂道下りは平地歩行と 同じくらいの負担であった.ES・EV は上り・下りで負担 に大きな変化がなく,ES・EV・静止はそれぞれ約 0.92 倍,約 0.89 倍,約 0.86 倍の順に低い値となり,ES・

EV・静止は精神的・肉体的な負担が少ないと考える.

(2)エネルギー消費量

平地歩行を基準とした場合,階段上りは約 2.29 倍と 負担が大きく,坂道上りは勾配5%が1.30倍,勾配9%

が 2.36倍と最も大きくなった.勾配が5%から9%に上 がることで約2.36倍大きくなった.階段下り・坂道下りは 心拍数と同様に,平地歩行と同じくらいの負担であった.

ES・EVも同様に,上り・下りで負担に大きな変化がなか

った.ES・EV・静止はそれぞれ約0.42倍,約0.27倍,

約 0.27 倍と低い値となり,ES・EV・静止は肉体的な負 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-565- 4-283

(2)

担が少ないと考える.そして,ES・EVは心拍数とは異な り,ES・EVに大きな違いが見られ,ES はEVの約 1.6 倍大きな負担があることが分かった.

3.移動負担感の調査 

アンケートの内容としては平地歩行を100mする負担 感を基準として,移動形態毎の移動負担感と比較する ため,等価換算係数で表した.なお,階段は段数,ES・

EVは時間で表現している.平地歩行100mに相当する 値を横軸,選択率を縦軸に表したものを例として図‐2に 示し,集計して得た選択率が 50%のときを等価な値とし た.また,移動負担感を係数として扱うために距離・歩 数・時間といった位置づけを行い,基準となる平地歩行 100mと比較することによって換算することとした.そこで,

階段を距離と距離で比較するために,距離=段数×歩 幅(1段を1歩の歩幅と仮定する)とし,ES・EVを距離=

歩行速度×時間という位置づけにより等価換算係数を算 出した.この際の歩幅・歩行速度は人間工学基準数値 数式便覧(P285)を参考にした.  

そして,調査結果から平地歩行100mを基準とした場 合,図‐3により,階段上りが約4.23倍と大きくなった.一 方,階段下りでは階段上りよりも低いが約 4.11 倍と大き な値を示した.ES・EV は平地歩行よりも肉体的な負担 が少ないのに若干高い値になった.それは機械的な移

動をする ES・EV が心理的に大きな抵抗感を与えてい

ると考える.また坂道上りの勾配が 5%から 15%で約 2.19倍となり,坂道下りでは約1.63倍大きくなった.次 に図‐4,図‐5 の年代・性別から見ると,階段上り・下りが 大きな変化をしており,階段上り・下りともにすべて男性 より女性の方が高い値となり,男性では 60 代以上のみ が 高 い 値 にな り , 女 性 では 年 代 とともに 高 くな っ た.

ES・EVともに20代以下の女性が最も高く,ESでは性 別を問わず60代以上が高くなった.また,坂道では60 代以上が最も高くなる傾向が多かった.

4.おわりに 

今回の研究結果より,移動形態の負担量と負担感の 度合いを以下のように述べることできる.階段上りは他の 移動形態より心理的に負担を感じて,移動負担が大き かった.階段下りは階段上りと同じくらい心理的な負担 を感じているが,移動負担が平地歩行と同じくらい大き かった.ES・EVは他の移動形態より移動負担が少ない が,負担感が平地歩行と同じくらい感じていた.

0 50 100

10 40 60 80 100

距離(m)

(

) 等価な距離

図‐2 坂道上り(勾配 5%)

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

図‐3 平地歩行 100mを基準とした等価換算係数

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0

20代以下 30〜50代 60代以上

図‐4 男性による年代別の等価換算係数

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0

20代以下 30〜50代 60代以上

図‐5 女性による年代別の等価換算係数  今後は,高齢者の移動負担の特徴を把握し,高齢者 と若者を比較する.そして,公共交通機関の乗り換え経 路の移動負担を計測し,より円滑な移動及び移動抵抗 の軽減するための経路を検討する. 

【参考文献】 

1)山地 啓司:心拍数の科学,1981.4,pp1~7

2)煤孫 光俊:移動形態と歩行速度を考慮した消費カ ロリーの無拘束推定,計測自動制御学会東北支部,

第202回研究集会(2002.7)

3) 佐 彦 藤 方 : 人 間 工 学 基 準 数 値 数 式 便 覧 ,1992,

pp.285

実験で使用した,移動形態判別装置(ICC)は,仙台地 域の知的クラスター創成事業インテリジェントモニターグ ループで開発中の機器である.

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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参照

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