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2. 多点変位計測システムの開発

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Academic year: 2022

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1周波 GPS 受信機と無線 LAN を用いた 多点変位計測システムのプロトタイプの開発

東京理科大学 学生員 ○高坂朋寛 東京理科大学 正会員  佐伯昌之

1. はじめに

本研究の目的は,安価な1周波GPS受信機と無線LAN を用いた多点変位計測システムを開発することである.

 地震時には,巨大な社会基盤構造物の変形・変位を即時 に把握することが重要である.それを実現するためには,

構造物にセンサを密に多点配置して,各センサの応答を 自動的に収集し,それらの応答を解析してセンサ間の相対 位置を高精度(cm程度)に常時モニタリングする必要があ る.この場合,センサの数は膨大となることから,センサ は極めて安価である必要がある.本研究では,センサとし てパッチアンテナ接続の1周波GPS受信機を使用し,そ の観測データを無線LAN通信を介して自動収集し,PC にて解析することを考える.これを多点変位計測システム と呼ぶこととする.

 本研究では多点変位計測システムのプロトタイプを開発 し,その性能を検証した.

2. 多点変位計測システムの開発

多点変位計測システムのイメージを図1に示す.

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図–1 多点変位計測システムのイメージ

本研究では,GPS受信機と無線LAN通信機能搭載の 計測ユニットと,計測ユニットで受信したGPSデータを 無線LAN通信を介して自動収集・保存し,解析するGPS サーバを開発した.

Key Words: 1周波GPS受信機,無線LAN,安価

278-8510千葉県野田市山崎2641 東京理科大学理工学部土木工学科 応用力学研究室TEL:0471-24-1501(ex 4075) (1) 計測ユニットの開発

計測ユニットに搭載するGPS受信機には,古野社製の 1周波GPS受信機を使用する.1周波GPS受信機とは,

L1搬送波位相出力機能を備えたGPS受信機であり,比 較的安価に購入可能である.L1搬送波位相を解析するこ とで,観測点間の相対位置をcmの精度で同定することが できる.GPS受信機はデータをシリアルで出力するため,

TCP/IPコンバータを用いてプロトコルをシリアルから TCP/IPに変換した後,接続の無線LANカードよりデー タを送信する.

 以上,1周波 GPS受信機と無線LANカード接続の TCP/IPコンバータ,及びそれぞれの機器に電源を供給 するための電源回路を組合わせて計測ユニットを開発し た.図2に計測ユニットの組立図と外観を示す.現段階で は,計測ユニットの連続動作時間は,オキシライド単三乾 電池三本使用で約2時間である.

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図–2 計測ユニットの組立図と外観

(2) GPSサーバの開発

GPSサーバは複数の計測ユニットから無線LAN通信 を介して送信されたGPSデータを一括受信・保存し,測 位解析を行って計測ユニット間の相対位置を同定するソフ トウェアである.GPSサーバプログラムは全てC++で開 発した.本研究では,ノートPCにGPSサーバをインス トールし,操作を行った.現段階ではGPSデータの受信・

保存までが自動で行えるようになっており,測位解析は後 処理で行っている.

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-395- 1-199

(2)

3. プロトタイプを用いた GPS 受信実験と測 位解析

(1) GPS受信実験

開発した多点変位計測システムのプロトタイプを用い てGPS受信実験を行った.実験では計測ユニット3台と GPSサーバを用いた.場所は東京理科大学野田校舎5号 館屋上にて行った.屋上には遮蔽物となるような障害物は なく見通しがよい.また周辺にも大きな建物はなく,GPS 受信実験を行う場所としては良好な環境である.図3に GPS受信実験における計測ユニットとGPSサーバの配置 のイメージを示す.

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図–3 GPS受信実験のイメージ

(2) 測位解析

測位解析では,まず,観測データより10分間のデータ を切り出して干渉測位を行い,観測点 を参照点として観 測点 および の相対位置を推定した.また,このとき,

整数値バイアスの値を決定した.整数値バイアスとは,衛 星から受信機に送信される搬送波のサイクル数を特定する ための値であり,この値を正確に求めなければ位置を高精 度で決定することができない.次に,得られた整数値バイ アスを入力として,観測点 と の位置を1秒間隔で求め た.図4は観測点 の相対位置の変動である.図は上から NS, EW, UD成分に対応する.図の縦軸は相対位置の変 化であり,横軸は観測開始からの経過時間[秒]を示す.図 中の点線は推定値の平均から±3cmの幅を示す.図4よ り水平方向で2 cm以内,鉛直方向で3 cm以内の精度で 相対位置を特定できていることが確認できる.

4. まとめ

本研究では,地震時の社会基盤構造物の変形・変位を即 時に把握するためのシステムとして,1周波GPS受信機 と無線LANを用いた多点変位計測システムを考案し,そ のプロトタイプを開発した.また,開発したプロトタイ

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図–4 観測点間の相対位置の時間変動

プを用いて実証実験を行った.本研究の成果を以下にまと める.

1. 土木構造物の変形・変位を計測するためのセンサと なる1周波GPS受信機を搭載した計測ユニットを,

安価で開発した.

2. 計測ユニットで得られる観測データを収集する手段 として,無線LAN通信を採用し,複数の計測ユニッ トから送信されるGPSデータを一括受信・保存し解 析するGPSサーバを開発した.

3. 多点変位計測システムのプロトタイプを用いてGPS 受信実験を行い,GPSデータを用いて測位解析を行っ た結果,観測点間の相対位置を3cm以下の精度でモ ニタリングできることを確認した.

参考文献

1) 坂井丈泰:GPS技術入門,電機大出版局,2003 2) 土屋淳,辻宏道:新・GPS測量の基礎,社団法人 日本

測量協会,2002

3) 佐伯昌之,堀宗朗,井澗健二:カーナビ改造型1周波 GPS受信機を用いた高精度位置同定システムの開発,

応用力学論文集,Vol.7,pp.891-898,2004 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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