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トンネル発破工法におけるさし角誘導支援システムの開発

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Academic year: 2022

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(1)

トンネル発破工法におけるさし角誘導支援システムの開発

西松建設

(正)

山下雅之、

(正)

石山宏二、(正) 木村 哲 戸田建設 (正) 内藤将史、(正) 岡村光政

1.はじめに

山岳トンネルの発破工法では、余掘りによる採算性低下という課題がある。このような課題を踏まえ、既報1)3) に おいて切羽発破パターン最外周部にガイドホール(空孔)を配置する制御発破技術を提案し、数値解析や現場実験 によってその効果を確認してきた。

今回、その効果を更に高めるため、最外周孔(発破孔・ガイドホール)を設定パターン通りの位置・方向に穿孔 させるためのさし角誘導支援システムを開発した。本稿では、汎用性やコスト面にも考慮した本システムの構成や 適用方法等について報告する。

2.システムの概要

発破孔の位置やさし角を制御する手法については、施工機械(ドリルジャンボ)メーカー等から様々なシステム が開発・運用されているが、これらについては汎用性(他社機械への設置等)やコスト面等についての課題も少な くない。このような現状を踏まえ、システム開発を以下の方針で進めた。

●汎 用 性:あらゆる機種のジャンボに容易に設置可能となるよう、装置は外付け式とする

●低コスト:穿孔始点位置は切羽マーキングとし、システムはさし角誘導に限定⇒計測機器を最低限に抑える

1

に示すように、さし角は傾斜角(φ)とトンネル軸方向からの水平角(θ)に分離することができる。本シ ステムでは、水平角(θ)はドリルジャンボのブーム関節部(2箇所)の

水平スイング角を合計して求め、傾斜角(φ)はガイドセルと平行が保持

されているブーム先端部(ガイド部)の傾斜角から求めた(図

2

参照)。 鉛直角φ 水平角θ

o o'

穿孔線

切羽マーキング

( 穿孔始点)

α α

放射状の 穿孔終点線

一発破掘進長 発破前の切羽

発破後の切羽 φ

θ

CL

SL

ここで、水平スイング角については設置の簡便性や精度等を考慮してブ ーム関節部にワイヤ式距離計を外付けする方法を採用し、その距離変化か ら各関節部の水平スイング角を求めた。傾斜角(ガイドチルト)について はガイド部に設置した傾斜計から、穿孔長についてはフィードシリンダの 油圧配管に設置した油量計の油量変化からそれぞれ求めた(図

2

参照)。

図 1 さし角概念図

キーワード 余掘り低減、外周孔、さし角制御

連絡先 〒105-8401 東京都港区虎ノ門 1-20-10 TEL.03-3502-0273

数量 センサ分類

2 距離計

2 距離計

1 傾斜計

1 油量計

⑧ フィード 作動分類 ブームスイング ガイドスイング ガイドチル

4 5°

4 5°

4 5°

3 0°

6 0°

4 5°

ブームスイ ング

ガイ ド ス イ ング

ガイ ド チルト

フィ ード 4 ,0 0 0m m

フィ ード 4 ,0 0 0m m

傾斜計

傾斜計 ワ イ ヤー式距離計

ワ イ ヤー式距離計

ワ イ ヤー式距離計 ワ イ ヤー式距離計

本体

本体 油量計

油量計

②&③ ブ ー ム ス イ ン グ ガ イ ド ス イ ン グ

ガ イ ド チ ル ト

②&③

① ガイドセル

ガイドセル

ジャンボ本体

ガイドセル

ワイヤ式距離計①

傾斜計 ワイヤ式距離計②・③

図 2 計測器機の設置状況 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑645‑

Ⅵ‑323

(2)

【オペレータ用モニター画面】

ワイヤー式距離計② ワイヤー式距離計③

傾斜計 ワイヤー式距離計①

ガイドスイング角

ガイドチルト(ガイドセル傾斜角)φ ブームスイング角

ガイドセル水平角θ

さし角 PLC(演算処理コントローラ)

画面表示(さし角誘導モニター)

油量計 穿孔長

【ジャンボ本体】

フィードシリンダ油量

【ブーム】

図 3 システムの概要

また、各計測データはジャンボ本体に設置されたコントローラで演算され、操作盤に設置したオペレータ用モニ ターに現在のガイドセルの方向や穿孔深度がリアルタイムで表示される(図

3

参照)。

3.さし角の算出手法

図 4 ガイドスイング角θ2の算出方法

2

2 4 5°

O(0,0) P1(x1,0) P2(x2,0)

θ

Q(xa,ya)

P3(0,y1) 4 5°

ガイ ド 回転中心 ガイ ド 回転軌跡

θ: ガイ ド ス イ ングによ る 水平角 P1Q=((Xa-X1)2+Ya2)0.5 :ワイヤ式距離計②の計測値 P2Q=((Xa-X2)2+Ya2)0.5 :ワイヤ式距離計③の計測値 上式からxa、yaについて解く

Xa=(P1Q2-P2Q2-X12+X22)/(-2×X1+2×X2) Ya=(P1Q2-(Xa-X1)2)0.5

 ただし、Ya>0

θ2=90-(tan-1((Ya-Y1)/Xa))

 ここで、P2Q>P1Qなら、θ2の符号は負

P1Q=((Xa-X1)2+Ya2)0.5 :ワイヤ式距離計②の計測値 P2Q=((Xa-X2)2+Ya2)0.5 :ワイヤ式距離計③の計測値 上式から xa、yaについて解く

Xa=(P1Q2-P2Q2-X12+X22)/(-2×X1+2×X2) Ya=(P1Q2-(Xa-X1)2)0.5

 ただし、Ya>0

θ2=90-(tan-1((Ya-Y1)/Xa))

 ここで、P1Q> P2Qなら、θ2の符号は負

(1)傾斜角(φ)

2

に示したブームのガイド部とガイドセルは平行を保持 しているため、ガイドセルの傾斜角はガイド部に設置した傾斜 計の値を直接用いた。

(2)水平角(θ)

ガイドセルの水平角はブームスイング角(θ1)とガイドス イング角(θ2)を合計した角度に相当する。先に述べたよう にこれらはワイヤ式距離計によって算出されるが、ここでは ワイヤ式距離計を2個使用したガイドスイング角の算出方法 について例示する。

4

に示すように、ガイドスイング角はガイド可動側にワ イヤ端部を固定し(図中Q)、ワイヤ式距離計を回転軸(P3) よりも本体側のブーム上に

2

箇所(P1,P2)設置する。ガイ ドスイング時におけるワイヤ長さP1

QおよびP

2

Qの変化から

スイング角θ2が求められる。

4.さし角誘導手法

本システムによるさし角誘導手順を以下に示す(図

3

のモニター画面参照)。

①基準レーザ線にガイドセルの方向線を合わせ、各センサ値を初期化する(毎切羽実施)

②オペレータモニター上で穿孔番号を選択する

③選択した孔番号の設定差し角(水平角・傾斜角)がモニターに表示されるとともに、各センサ によって算出された現在のガイドセルの方向と設定値の偏差がバー表示される

④設定さし角に一致するようにガイドセルを移動させ、設定深度まで穿孔→穿孔終了後②へ戻る 5.まとめ

トンネル発破時の余堀り低減を目指し、廉価で汎用性に優れた最外周孔さし角誘導システムを開発した。今後は 本システムの現場適用実験を重ね、システムの耐久性・操作性の向上に向けた改良を適宜実施していく予定である。

【参考文献】

1)石山ほか:数値解析に基づくガイドホールの破断面平滑効果.土木学会第 63 回年次学術講演会,6-295,2008.

2)内藤ほか:ガイドホールを活用した発破パターンの余掘り低減効果.土木学会第 63 回年次学術講演会,6-296,2008.

3)石山ほか:自由面発破工法の提案.資源・素材学会秋季大会講演集 A21-12,pp65-68,2008.

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑646‑

Ⅵ‑323

参照

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