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角型鋼管横締め工法による線路下横断構造物の構築について

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Academic year: 2022

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図 2.断面図

角型鋼管横締め工法による線路下横断構造物の構築について

西日本旅客鉄道株式会社 大阪工事事務所 広島工事所 正会員 ○新谷 正樹 西日本旅客鉄道株式会社 大阪工事事務所 広島工事所 正会員 宮本 正文

1.工事概要

本工事は、広島市東部地域における道路網整備としての 広島高速道路公社、広島市による広島高速 2 号線および一 般道路の整備に伴い、当該道路と JR 山陽本線が立体交差 する箇所の架道橋および跨線橋を新設する工事である。こ のうち架道橋は JR 山陽本線(上下線)、貨物線(上下線)、

貨物引上げ線、の 5 線の線路直下での構築であるため、開 削工法による施工は困難である。そこで、非開削工法のひ とつである URT 工法を用いた角型鋼管横締工法を採用し た。角型鋼管横締工法は、角型鋼管を仮設としてではなく、

鋼管内部に高流動コンクリートを充填し、PC 鋼線により

横締めを行い、一体化をすることで本設構造物として利用する点が特徴である。

本工法では、鋼管の推進精度が本設構造物の仕上がり、品質に大きな影響を及ぼす。また、今回は角型鋼管 内部の流動距離が約 39m と非常に長く、同程度の延長の施工事例に比べ、横締ケーブルの間隔が狭いため、コ ンクリート未充填箇所や材料分離の発生が懸念された。また、営業線直下(土被り 2.5m)での推進であるため、

軌道変状についても注意を要した。そこで、本論文では、推進精度、推進時の安全対策、コンクリートの充填 試験及び本施工の結果について述べる。

2.鋼管推進精度管理について

図 2 に構造物断面を示す。施工においては、「URT 工法施工の手引」、

「URT 工法技術資料施工編」によるが、推進精度については、「下水道 工事施工管理要領」の管きょ推進工の推進精度±50mm 以内を管理基準 値とした。

鋼管推進精度管理については、鉛直方向では、推進に伴い到達側に向 かって下ることが予想されるため、予め管理基準値内で上げ越し量を持 たせることとした。また、基準管推進中は 1m ピッチでレベル測量を行 い、下り傾向が見られた場合は、鋼管下部の掘削量を抑えることにより、

下り量を減少させる措置を講じた。水平方向では、継手部の余裕代が 16mm であるため、厚さ 8mm の調整プレートを継手部に溶接することに より変位を抑えた。図 3 に推進完了時の設計高さとの差を示す。傾向と して、発進側に比べ到達側が低く、上床版・側壁ともに中央エレメント が内側に寄る傾向であったが、いずれも管理基準値内で推進完了した。

3.鋼管推進時の安全対策

本工事は営業線直下での施工であることから、推進前・中・後に軌道の自動計測(基準値:1 級線整備目標 値)の他、次の対策を講じることで列車運行の安全性を確保した。推進前には、線路直下の地盤に薬液注入を 行い、止水、地盤強化、変状防止を図るとともに、陥没時の対策として切羽付近に土嚢を準備して緊急時に備 キーワード URT、角型鋼管横締工法、非開削推進工、高流動コンクリート

連絡先 〒732-0057 広島市東区二葉の里 3-1-27 (株)西日本旅客鉄道 広島工事所 TEL081-263-4777

-50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50

B4 B3 B2 B1 A B5 B6 B7 B8

エレメント

設計高と(mm)

発進 到達

図 3.設計高さとの差 図 1.工事概要図

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑171‑

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える。特に、上床版推進中は、列車の徐行運転及び軌道監視を行い、支障物等による軌道隆起を防ぐため、① 推進圧力の常時測定、②推進中断時には刃口部の土留設置、③貫通後は、直ちに土留杭との結合を行う。これ らの対策により、列車の安全運行に大きな影響を与えることなく推進施工を完了した。

4.鋼管中埋

(1)中埋試験施工と改善点

本工事は、先述したように延長 39m の鋼管内にコンクリートを充填する必要 があり、かつ横締めケーブルがあるため、人力締固めが困難であることから、

自己充填性を持つ高流動コンクリートを採用した。本工法は、同延長での施工 実績はあるが、横締めケーブルの配置間隔が狭く、縦横の定着具が重複するコ ーナーエレメントにてコンクリート未充填箇所の発生及び材料分離が懸念さ れたため、実物大モデルを製作し試験施工を実施した。

試験体を図 4 に示す。エレメント断面は 1000×1015mm、延長は 39m である。試験施工に用いるエレメント は、2 つの固定側定着具を設置するためにもっとも作業スペースが狭く、未充填箇所が発生する可能性が高い と考えられるエレメントを使用した。試験施工による主な確認項目としては、①エレメント内の作業性、②エ レメント内コンクリートの自己充填性・材料分離抵抗性、③コンクリート充填時のケーブル等の移動・変状の 有無、の 3 点とした。表 1 に試験施工により得られた結果と本施工に向けての改善点を示す。

表 1.試験施工結果と改善点

試験施工 改善点 効果

充填状況 定着具付近の充填良好、

流出側先端部で空隙有 流出口での空気孔の工夫(仕切板)

仕切板(流出口)

形状 流出口付近に2ヶ所の空気孔 仕切板上部にラス型枠、下部にスライド式

鋼管先端部の空隙解消、

充填状況の確認が可能

材料分離 単位粗骨材率98.5%(発生無)

熱収縮チューブ 接合方法

ドライヤー(20~25分)、ガストーチ(5~7分)で比

ガストーチ 作業時間短縮(1ヶ所当り15分短縮)

シース ポリエチレン、FLUXで比較(いずれも変状無) FLUX 施工性向上 ゴムブッシュ 硬度70%(コンクリート漏れ有)

硬度80%(コンクリート漏れ無)で比較 硬度80%を採用 品質向上

(2)本施工

図 5 に鋼管内部での作業状況、図 6 にコンクリート充填状況を示す。試験施 工を基にした接合方法の改善により鋼管内部での作業時間を短縮することがで き、コンクリート充填では、仕切板の改善により鋼管先端に空気が溜まること なく先端部まで密に充填することが出来た。また、骨材洗出し試験の結果、単 位粗骨材率の最小値が 96%であり、材料分離の発生も見られなかった。

5.まとめ

本工事は、延長 39m に及ぶ角型鋼管横締工法という施工実績の少ない工法で あったが、薬液注入による地盤強化等の軌道に対する安全対策、鋼管推進中の 計測管理・変位抑制、中埋試験施工による施工方法の検討を実施することで、

予見された課題を解決し、精度・品質ともに良好な線路下横断構造物を構築す ることが出来た。今回得られた知見を同種工事に展開することで、施工性、品 質の向上に貢献していきたい。

参考文献

・URT 工法施工の手引、URT 協会、昭和 59 年 9 月改定

・URT 工法技術資料施工編、URT 協会、平成 14 年 3 月

・下水道工事施工管理要領、広島市下水道局、平成 14 年 4 月

図 4.試験体

図 5.施工写真

図 6.充填状況 土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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