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4-1. 固有値と固有ベクトル

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Academic year: 2022

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12月13日講義参考資料

注意:

このノートはホームページ

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/ shimizu/LectLB2017.html

(google検索:「清水達郎」+「RIMS」+「線形代数」)から ダウンロードできます.ただし講義の内容と一致するとは限 りません.

左に太線を引いてあるところは必ずしも理解する必要はあり ません.

定義3.30. V =W1⊕ · · · ⊕Wkを直和分解とする.任意の=jと 任意のwi∈Wi, wj ∈Wjについて

(wi, wj) = 0

を満たすとき,V =W1⊕ · · · ⊕Wkを直交直和分解という.

V =W1⊕ · · · ⊕Wk を直交直和分解とする.各iについてWiの 正規直交基底をひとつとりBi={wi1, . . . , wki

i}とする.

補題3.31. B:=B1∪ · · · ∪BkV の正規直交基底である.

Proof. 明らかに(wia, wbj) =δabδij*1である.

線形部分空間W V の正規直交基底u1, . . . , uk をひとつとり,

それを延長して(必要なら直交化して)V の正規直交基底u1, . . . , un

を得る.

補題3.32. W=⟨uk+1,· · ·, un⟩.

Proof. W⊂ ⟨uk+1,· · ·, un⟩. V の任意の元vv=a1u1+· · ·+ anunのように書ける.v ∈Wとすると,任意のi= 1, . . . , kにつ いて(v, ui) =ai= 0であるのでv∈ ⟨uk+1,· · ·, un.

W⊃ ⟨uk+1,· · · , un⟩. 任 意 の ak+1uk+1 + · · · + anun

⟨uk+1,· · · , un に 対 し ,任 意 の a1u1 + · · · + akuk に 対 し て (ak+1uk+1 + · · · + anun, a1u1 + · · · + akuk) = 0 な の で , ak+1uk+1+· · ·+anun∈W.

補題3.33. V =W⊕W.

Proof. 補題3.32の表示を用いて,W∩W ={0}, W+W =V を確かめればよい.

命題3.34. (W)=W.

*1a=bかつi=jの時に限り1,それ以外は0ということ.すなわち正規直交.

(2)

Proof. 補題3.32より明らか.

引き続きW ⊂V を線形部分空間とする.直和分解V =W⊕W において,v∈Vw∈Ww ∈Wを用いてv =w+wと書 けるとする.写像

pW :V →W, p(v) =wW 方向への正射影という.

W の正規直交基底u1, . . . , ukをひとつとると,pW を具体的に表 示できる:

補題3.35. pW(x) =∑k

i=1(x, ui)ui. 証明の方針.

i(x, ui)ui W は明らかであるので,あとは x−

i(x, ui)ui ∈Wを示せばよい.すなわち任意のy ∈W について (x

i(x, ui)ui) = 0を示す.そのためにはすべてのyについて示 さなくても各ujたちについて(x

i(x, ui)ui, uj) = 0を見れば十 分であった.(x

i(x, ui)ui, uj) = 0は明らかであろう.

補題3.36. 正射影は線形写像である.

Proof. 上の補題から明らか.

3-6. 直交行列,ユニタリー行列

直交行列

Rn を標準内積をもった数ベクトル空間とする.実正方行列A Mn(R)から定まる線形写像

fA:Rn Rn, x7→Ax

が内積を保つとは,任意のx, y Rnに対して (Ax, Ay) = (x, y)

を満たすことをいう.

定義 3.37. fA : Rn Rn が内積を保つようなA Mn(R)を 直交行列という.

定義3.38. A= (aij)i,j∈Mn(R)に対し,AT := (aji)i.j∈Mn(R) をAの転置行列という.

補題3.39. (1) (AT)T =A, (2) detAT = detA,

(3) trAT = trA.

命題3.40. A∈Mn(R)が直交行列であることとATA=AAT =In

であることとは同値である.

(3)

Proof. (fA(x), fA(y)) = (x, y) for anyx, y∈Rn

(Ax, Ay) = (x, y) for anyx, y Rn

⇔xTATAy=xTy for anyx, y∈Rn

⇔ATA=In.

3.41. Aが直交行列なら|detA|= 1である. 

ユニタリー行列

Cnを標準エルミート内積をもった数ベクトル空間とする.複素正 方行列A∈Mn(C)から定まる線形写像

fA:Cn Cn, x7→Ax が内積を保つとは,任意のx, y Cnに対して

(Ax, Ay) = (x, y)

を満たすことをいう.

定義 3.42. fA : Cn Cn が内積を保つようなA Mn(C)を ユニタリー行列という.

定義 3.43. A= (aij)i,j ∈Mn(C)に対し,A :=AT = (aji)i.j Mn(C)をAの随伴行列という.

補題3.44. (1) (A)=A, (2) detA= detA, (3) trAT = trA.

命題 3.45. A Mn(R)がユニタリー行列であることとAA = AA=Inであることとは同値である.

Proof. (fA(x), fA(y)) = (x, y) for anyx, y∈Cn

(Ax, Ay) = (x, y) for anyx, y Cn

⇔xTATAy=xTy for anyx, y∈Cn

⇔ATA=In

⇔ATA=In

⇔AA=In.

3.46. Aがユニタリー行列なら|detA|= 1である. 

Proof. 1 = det(AA) = detAdetA = detAdetA = |detA|2.

4 固有値と固有ベクトル,行列の対角化

4-1. 固有値と固有ベクトル

(4)

A∈Mn(C) =Mn,n(C)をn次正方行列とする.複素数λ∈C 0でないベクトルxλCn

Axλ=λxλ

を 満 た す と き ,λA の固有値,xλA の 固 有 値 λに 属 す る 固有ベクトルという.λxλ = λInxλ ともかけるので,上の式は次 のように言い換えることもできる:

(A−λIn)xλ= 0

補題 4.1. λ Cに対し,∃xλ Cn s.t. (A−λI)xλ = 0 det(A−λI) = 0.

定義4.2. det(λI−A)λの多項式と見たものを,Aの固有多項式 という.

固有多項式の定義からわかるように,固有多項式の解が固有値で ある.したがってn次正方行列の固有値は最大でn個である.

補題4.3. A∈Mn(C)の固有多項式の根*2λ1, . . . , λnとするとき,

λ1+· · ·+λn= trA, λ1· · ·λn= detA.

証明は固有多項式を因数分解すればわかる(いわゆる 解と係数の 関係 ):

|λIn−A|= (λ−λ1)· · ·−λn).

. [問] (解説) A=

( a b c d

)

∈M2(C)の固有多項式は

|λI2−A|=λ2(a+d)λ+ (ad−bc)

である.よって固有値は λ+±= ((a+d)±

(a+d)24(ad−bc))/2∈C の2つ(判別式が0のときは1つ)である.たとえ行列の成 分はすべて実数であっても,固有値は実数とは限らない.固有 値λ±に属する固有ベクトルを求めるには,連立方程式

(A−λ±I2)xλ± = 0

を解けばよい.一般に,固有値λに属する固有ベクトルをすべ て集めると線形部分空間になっていて,それをλの固有空間 という.定義4.4参照.

*2すべて固有値だが,重複もある.

(5)

(1) A= (

1 1 0 2

)

∈M2(C)の固有多項式と固有値,さらに各固 有値の固有空間を求めよ.

(2) A= (

1 1 0 0

)

∈M2(C)の固有多項式と固有値,さらに各固 有値の固有空間を求めよ.

(3) A= (

2 1

4 2 )

∈M2(C)の固有多項式と固有値,さらに 各固有値の固有空間を求めよ.

(4) A=



1 1 0 0 2 0 0 0 i



∈M3(C)の固有多項式と固有値,さらに 各固有値の固有空間を求めよ.

定義4.4. A∈Mn(C)の固有値λについて,

Wλ={xλCn|(A−λIn)xλ= 0} ⊂Cnλの固有空間という.

補題4.5. 固有空間は線形部分空間である.

Proof. 一つの証明方法は,A−λInを左から掛けるという写像が線

形写像であることを用いるもの.その線形写像の核(ker)がλの固 有空間である.他の証明として加法・スカラー倍について閉じている ことを確かめてもよい.

命題 4.6. A Mn,n(C)が相異なる固有値λ1, . . . , λnを持つとす る.各λiに属する固有ベクトルxi Cn をひとつづずつ任意にと る.このときx1, . . . , xnはCnの基底である

(6)

Proof. 線形独立であることを示せばよい*3a1x1+· · ·+anxn = 0 を0を表す線形結合とする.iをひとつ固定する.

0 = (A−λ1In)· · ·(A−λi1In)(A−λi+1In)· · ·(A−λnIn)(a1x1+· · ·+anxn)

= (A−λ1In)· · ·(A−λi1In)(A−λi+1In)· · ·(A−λn1In1)((λ1−λn)a1x1+· · ·+ (λn1−λn)an1xn1)

= (A−λ1In)· · ·(A−λi1In)(A−λi+1In)· · ·(A−λn2In2)

((λ1−λn1)(λ1−λn)a1x1+· · ·+ (λn2−λn1)(λn2−λn)an2xn2)

=· · ·=

= (λi−λ1)· · ·i−λi1)(λi−λi+1)· · ·i−λn)aixi.

λ1, . . . , λn はすべて相異なるのだったから,ai = 0.同様にして a1 = · · · = an = 0がわかるので,x1,· · · , xn は線形独立であ る.

ひきつづきA∈ Mn,n(C)が相異なる固有値λ1, . . . , λn を持つと する.各λiに属する固有ベクトルxiCnをひとつづずつ任意にと る.このときX :={x1, . . . , xn}Cn の基底なのであった.線形 写像

fA:CnCn, v7→Av

の基底Xに関する表現行列をAXとする.表現行列の定義から,

(f(x1), . . . , f(xn)) = (x1, . . . , xn)AX.

xiが固有ベクトルであることから,

(f(x1), . . . , f(xn)) = (Ax1, . . . , Axn)

= (λ1x1, . . . , λnxn)

= (x1, . . . , xn)

 λ1

. .. λn

.

よって

命題4.7. A∈Mn(C)が相異なるn個の固有値持つとき,異なる固 有値に属する固有ベクトルをならべた基底によるfAの表現行列は対 角行列である.

予習:参考書 8.1節 ( 対角化 )

*3Cnの線形独立なn個の元は生成系になり,したがって基底となるのだった.

参照

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