目詰まり抑制を目的とした浸透型側溝の性能評価に関する研究
福岡大学工学部 学生員○太田純一 福岡大学工学部 正会員 山崎惟義 福岡大学工学部 正会員 渡辺亮一 福岡大学工学部 正会員 伊豫岡宏樹
福岡大学工学部 正会員 皆川朋子
1. はじめに 都市化が急激に進んだことにより,不浸透域が増
大してきている.更に,近年の局所的集中豪雨の発 生頻度が高くなっており,設計雨量を上回る雨がそ のまま一気に雨水管に流れ込み,内水氾濫を引き起 こしている.愛知県岡崎市では,2008年8月に時間 雨量146.5mm/hを記録,また福岡市内でも2009年7
月に100mm/hを超える降雨を観測しており,都市部
において内水氾濫によって大きな浸水被害が発生し た.図-1は,昭和 51 年以降に日本において時間 50mm 以上の降雨が記録された回数を表しており,
平成 13 年以降急激にその回数が増加していること が分かる.人口や資産が集積する都市部における内
図-1 1時間降水量が 50mm を超えた回数 水氾濫を改善するためには,下水管を大口径に付け 替え・河川断面拡幅等の浸水対策は困難となってき ている.このため,流域全体で雨水の流出抑制を目 的とした総合治水対策の取り組みが行われており,
雨水の浸透に効果があるとされている浸透性側溝・
浸透トレンチの設置対策が実施されており,福岡市 でも天神・博多駅周辺において施工されている.
しかしながら,福岡市博多駅周辺に設置されたポ ーラスコンクリートを用いた透水性側溝は目詰まり による問題が報告されており,目詰まりを解消する 構造の開発が急務となっている.これまでの研究に より,ポーラスコンクリートは砂利とセメントもし くは微量の砂を加えた適切な配合でミキシングして 製造されているため,連続した空隙が多く目詰まり を起こしやすい構造となっていると言われている.
本研究では,この問題を改善するために,本研究 室でこれまでに行なってきた研究結果を踏まえて,
半開口を設けた構造によって,どの程度目詰まりを 抑制できるかに着目して研究を行なった.
2. 供試体の概要
今回使用する供試体はポーラスコンクート素材を 用いた半開口構造コンクリート板で,供試体全面か ら自然浸透をする構造である.半開口ポーラスコン クリートの供試体寸法は 500mm×500mm,厚さは 150mm,空隙がないと仮定した時の供試体の質量(理
論値)は 2556kg,空隙がある時の供試体の質量(測定
値)は2045kg,空隙率は20%としている.
3.実験方法
供試体の構造を写真-1,2に示す.今回の実験で用 いる供試体は裏側に 8 個の半開口がある構造を用い た.供試体表面から自然浸透させるため,供試体の 四方を不透性型枠で囲み,供試体と型枠の隙間から 側面浸透を防止するためにシリコンシーラントを充 填する.供試体を囲む型枠を設け,そこに上部から 水を注ぎ浸透する構造とする.清水実験には水道水 の み を 用 い て い る . 清 水 実 験 で は 供 試 体 上 部 の
120mm上から50mm降下する時間を5回測定し,そ
れぞれの浸透速度を算定する.注水する水道水は水 位50mmを確保するため,毎回80ℓとしている.
濁水実験には水道水と真砂土を用いている.濁水 実験では,まず真砂土を直接供試体表面に投入し,
供試体から水道水が溢れないように注意しながら一 気に上部から注水する.このとき供試体上部から
120mm 上から50mm 降下する時間を20回測定し,
それぞれの浸透速度を算定する.濁水実験でも上か ら注水する水道水は毎回 80ℓ としている.側溝に流
図-2 供試体の構造 写真-1,2 供試体(上:表,下:裏)
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入し目詰まりの原因となる物質は,微細な土粒子が 多いと予想されるため,濁水実験に用いる濁質には 真砂土を乾燥し850μmふるいを通過した試料を用い,
投入する濁質乾燥重量は濃度が 1,000mg/ℓ となる よう設定(既往の研究と同じ実験条件)している.
本来ならば濁質量(濃度)は実施設に流入する雨 水に近いものをとするべきであるが,目詰まりの 影響を短期間で把握するために高濃度に設定した.
4. 実験結果・考察
図-3は,清水実験(浸透速度試験5回の平均浸 透速度を太線で表示,基準線とする.)と濁水実験 を20回行なった浸透速度の関係を,図-4は,濁水 に対する透過率を示している.半開口構造がもた らす浸透効果を明らかにするため,通常構造供試 体と半開口構造供試体に分けて各実験を行い結果 を整理した.図-3から,清水実験における平均浸 透速度の違いを比較すると,半開口構造がある供 試体は,通常構造供試体よりも浸透速度が速くな っていることがわかる. また,この図から,濁水 実験における浸透速度を比較すると,半開口構造 がある供試体の初期浸透速度は早く,どの回数に おいても最も高い浸透速度を示している,また,
清水実験と濁水実験の結果をもとに,濁水に対す る透過率を算定した結果(図-4)から,濁水実験 20回目の透過率は,半開口構造において67%,通 常構造①において 60%,通常構造②においては 35%を示しており,半開口構造供試体が最も高い 透過率となっていることが分かる.また,通常構 造供試体①と半開口構造供試体を比較した場合,
半開口構造の方が通常構造①の供試体よりも僅か に目詰まり抑制効果はあると考えられるが,その 効果は少なかった.
これらの実験結果より,ポーラスコンクリート 構造の浸透性側溝において,半開口構造の方が通 常構造よりも浸透速度が速いことが明らかとなっ た.しかしながら,清水浸透速度からの浸透速度 低下率として透過率を算出して比較すると,半開口 構造による効果は微増である結果が示された.
5. まとめ
清水・濁水実験結果から,半開口構造ポーラスコ ンクリートの方が清水浸透速度は通常構造のポーラ
スコンクリートよりも速くなることが分かった.
また,濁水による浸透速度の低下率に関しては,
半開口構造供試体の方が低下しにくいという結果は 得られたが,通常構造供試体①と比べるとその効果 は僅かであった.今後,同一バッチで作り出された 供試体を作製し,比較検討してみることも必要であ ると考えられる.
6. 今後の課題
今回,実験には目詰まり試料として,真砂土から 得られた土粒子しか用いておらず,実際の現場を想 定して半開口構造の性能評価試験を行う必要があり,
現場施工において,実験区間を設定しその効果を実 証する必要があると考えられる.
謝辞
本研究を行うに当たり,側溝に関するデータや供 試体を提供してくださった,麻生商事株式会社の前 田氏に深く感謝の意を表する.
参考文献
1) 玉井元治;ポーラスコンクリートの製造とこれ からがわかる本,株式会社セメントジャーナル 社,2001 pp80-99
2) 横井昭海;雨水流出抑制に向けた性能評価,平 成22年度福岡大学卒業論文 2010,pp27-59 3) 森山広章;雨水流出抑制に向けた浸能評価に関
する研究,平成21年度福岡大学卒業論文2009,
pp22-38
4) 藤原忠司・宮川豊章・長谷川寿夫・河井徹;水 を 通 す コ ン ク リ ー ト,コ ン ク リ ー ト の は な し
Ⅱ,1993,pp67-71
図-3 清水・濁水実験における浸透速度 比較
図-4 濁水に対する透過率 比較
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