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土壌浸透による小型排水処理施設の水質調査と考察 利用統計を見る

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論 文

土壌浸透による小型排水処理施設の水質調査と考察

今岡正美 平山公明 平山けい子 佐藤英夫

      (平成3年8月31日受理)

by Water Quality Survey of a Subsurface Soil Infiltration Plant

MasaharuIMAOKA KimiakiHIRAYAMA KeikoHIRAYAMA HideoSATO       Abstract   There are few data about performance of soil infiltration systems. In many cases, secon− dary treatment sewage is infiltrated into soiL Primary treatment sewage is rarely percolated.   In Yamanashi prefecture, Japan, there is a small treatment plant where primary treatment sewage is infiltrated into soil. The plant has an area of 240 m・and a depth of lm for infiltration with a designe flow rate of 10 m3/d. The water quality observation of the treated sewage shows good results about removal of organic matters, reduction of the number of coliform groups, adsorption of phosphate, and oxidation of ammonia to nitrate.

1.はじめに

 ゴルフ場やリゾート地に散在する建物からの生活排 水に対して,適当な放流先がない場合は,土壌浸透処 理方法が用いられていることが多い。土壌浸透は,排 水を沈澱処理及び生物処理後に行う場合と,沈澱処理 水をただちに土壌処理を行う場合がある。通常前者が 用いられるが,山梨県内の丘陵地にある研修センター は後者による方法が用いられている。このセンターは 昼間にのみ使用され,生活排水の処理は,合併式の処 理方式である。しかし,この沈澱処理水をただちに土 壌浸透処理する方法は,設計方法は確立しているが, 実施例に乏しい。従ってこのセンターの排水の土壌浸 透処理による効果と,環境に対する影響等についての 調査研究を行った。 2.土壌浸透処理装置の概要  排水処理装置の計画排水量は,0.2m・/人/日×50 人=10㎡/日,計画流入水質はBOD150mg/e, SS 135mg/eである。処理装置の排水流出口のBODは20 ㎎/2以下となっている。  センターからの排水は沈澱貯留槽をへた後,土壌浸 透管を通って土壌へ散布,浸透される。設計は浄化槽 の構造基準によっている。汚泥の沈澱貯留槽は3槽よ りなり,滞留時間は約24時間である。土壌浸透管は, 長さ17mの浸透管7本を2m間隔に地表より約40cmの 深さに配置したものである。排水の浸透面積は約240m・ である。  7本の浸透管のうちの一本に相当する面積には,管 の約1m下に幅2mのビニールシートを敷き,試験用 処理装置として,一端に集水管が取りつけられている。 この集水管からの流出水を採水し,土壌浸透処理の流 出水の試料とした。 3.土壌浸透処理機能の調査方法  3−1 土壌処理の機能の概要  土壌による排水の浄化作用は,大地の浄化作用とし て古くから知られている。最近,この作用は,排水の 自然サイクルへの還元という点で見なおされている。 ここで,以前から留意されてきたことは,いわゆる目 づまりによる処理機能の低下である。この対策として, 負荷の調整,予備処理によるSSの十分な除去等の方 法が一般にとられている。また,土壌の粒度や成分を 調整する方法も用いられている。排水は,管から土壌

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平成3年12月 第42号 中に均等に浸透させる必要があるが,今のところこれ に対する完全な方法はない。  土中に浸透した水分及び溶解物は,上部への蒸発あ るいは植物を通しての蒸散,地中浸透,土粒子への吸 着等により分散する。土粒子に付着した物質は,土壌 生物による好気性または嫌気性の分解により,あるい は土壌に吸着して,排水中から除かれるなど,複雑な 作用を受けていると考えられる。現地の水質調査では, これらの現象の総合的,最終的な結果しか得られない ので,個々の機構の詳細は別に室内実験で調査研究中 である。しかし,土中で起きている現象を実験室で再 現させることは相当困難で,ここでは現地における調 査に関して述べる。  3−2 土壌処理機能の調査方法  (1)毎月の処理水水質調査  毎月1回,土壌浸透処理装置の,沈澱池流入口,土 壌浸透管流入口及び集水口で採水し,表一1に示す水 質項目及び水質試験方法により水質検査を行った。水 質試験項目は,土壌処理の効果を調査するための必要 最小限のものを選んだ。1989年8月の使用開始時から 約1年間は毎月調査したが,その後は適宜調査を継続 している。 表一1 水質試験項目及び水質試験方法 試 験  項 目 試 験      方      法 気 温 JIS K−0102, 4.(温度)(1) 水 温 〃 4.(温度}(2) 透 視 度 〃 6.(透視度) 溶 存  酸 素 〃 32.3 隔膜電極法(セントラル科学株 @   式会社製UD−1による) 生物化学的酸素消費量 〃 16.(BOD,20℃,5日間) 化学的酸素消費量 〃 13.100℃におけるKMnO4による @ 酸素消費量(COD) 全 リ ン 〃 46.1.1 ダイジェスタール(ハック @     社)による分解後モリブデ @     ン青法により測定 pH JIS K−0101, 10.1 ガラス電極法 浮 遊  物 質 下水 試験方法, 3章14節2)ガラスファイバーろ紙法 アンモニア性窒素 〃 3章26節直接比色法 ケルダール窒素 〃      ダイジェスタール(ハック社) R章26節 による分解後アンモニア性窒素 @    を測定 大 腸  菌 群 〃 4章 8節 塩 素 イ オ ン イオンクロマトダラフィーによる 亜硝 酸性窒素 〃 硝 酸 性 窒 素 〃 全 窒 素 ケルダール窒素十硝酸性窒素十亜硝酸性窒素 (2)その他の調査  土壌処理機構を考察するのに必要と思われる毎月の 処理水水質調査以外のいくつかの項目についても調査 した。その内容を示すと,水質の時間変動に関する24 時間連続調査,土壌の浸透速度調査,降水時における 流出水の水質,水道使用量調査,降水量調査等である。 4.調査結果と考察  4−1 毎月の水質調査結果と考察  毎月行った水質調査結果を要約したものを表一2に 示す。データは毎月調査については,2ヵ月ごとの平 均値を示している。  表一2について,水質の経年的な経過と,処理の前 後の変化を考察する。8,9月は処理装置の使用開始 直後でもあり流出水質等は非常によいが,まだ定常的 な状態になっていない時期と考えられる。10月から翌 年6月までは,装置が安定してきた初期の段階で,沈 澱槽に汚泥が堆積して,腐敗槽としても機能するよう になる時期でもある。この間も土壌浸透流出水は良好 な水質を示している。しかし,更に経年的変化を調査 するために,年1∼2回の割合で調査を続ける必要が あると思われるが,現在までのところ流出水水質に著 しい変化の兆候は見られない。  主な水質項目について考察する。沈澱槽流出水の浮 遊物質については設計値の50mg/e以下を示して居 り,支障はないものと思われる。溶存酸素は土壌流入 水はほとんど0であるのに対し,流出水は6mg/e以 上あり,結果的に十分な通気が行われていることを示 している。BODは,流入側の負荷量が設計値に比べ て相当低く,流出水濃度も設計値の20mg/2よりはる かに小さい値を示している。また大腸菌群もほとんど 死滅している。塩素イオンは,沈澱槽の流出入の値が ほとんど同じであるのに対し,土壌流出水はやや減少 傾向を示し,最大は約70%減少している。別におこなっ た室内実験によって,塩素イオンは殆ど吸着されない ことが観察されているので,これは,降雨にともなう 希釈による影響が大きいのではないかと思われる。窒 素については,全窒素のうち,土壌浸透前はアンモニ ア性窒素が大部分を占めているのに対し,土壌浸透流 出水は硝酸性窒素が殆どで,硝化作用が大きいことを 示している。また濃度差からみた除去率は40%以上と なっている。全燐については,除去率90%以上で,こ れは,この装置にみられる一つの特色であり地質によ ると推察される。  これらの結果によれば,現状では,環境に対する影 響はほとんどないと考えられるが,負荷量の増加に備

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平成3年12月 第42号 えて,窒素については土壌浸透後の挙動について,燐 については飽和値について等の調査が必要である。  水量負荷については建物内の上水道使用量の分布を 水量負荷については,建物内の上水道の使用量の分布 を表一3に示す。これからみて,値は約1.5m・/日で, 計画水量よりはるかに小さい。このことが原因で処理 水の水質が比較的良いとも考えられるが,すでに10 m・/日の計画水量をこえている日も生じているので設 計値は必ずしも過大とは言えない。しかし,沈澱槽は ともかく,土壌浸透装置の方は,現状は相当安全側に あるので,平均値と最大値の関係を調べ,容量を縮小 することも考えられてよいと思われる。また,この負 荷量の大きい日を選んでの水質検査は行っていない が,定期的な水質検査結果からみて,著しく悪化はし ていないと思われる。  4−2 その他の考察  (1)水質の時間変動  水質の時間変動について,24時間連続採水による調 査を使用開始から2ヵ月経過した頃に行った。データ は省略するが,流入は昼間に限られるのに対し,土壌 浸透処理水の流量は,むしろ夕方から夜間にかけて増 加する。しかし,水質測定結果に関しては著しい時間 変動は見られなかった。  (2)降水量と降水による影響の調査  降雨時の調査は,時間変動調査と同様,いろいろ困 難である。雨の日が連続した時期に行った水質調査の 例を表一4に示す。塩素イオンの検査結果からみると, 雨水によりある程度希釈されていることが推察され, また,全窒素に関してもその傾向がみられるが,その 他の水質測定結果に関しては,定期調査の場合と比較 して,著しい変化は見られなかった。なお,水質検査 の結果,雨水中にはBOD,窒素,燐はほとんど含ま れていない。  降水量は,甲府気象台資料と現地の雨量計によるも のと比較すると,現地のみ降水があるなど多少の差異 が見られる場合もあった。いずれにしても,降雨によ るたとえぽ再溶出等による,影響の確認には,ある程 度の使用期間の経過が必要と思われる。 (3)土壌の浸透速度と滞留時間 土壌の浸透速度の確認と,土壌浸透部分での滞留時 表一4 降雨直後の水質調査結果 表一3 1ヵ月当たり使用水量と1日使用水量の月別分布 年   月 1カ月当たり 1日当たり使用水量区分の月別発生日数(日) g用水量 @(m3) 一一一’一一一一一一一一一一 Z∼1 2∼3 使用水量分布区分(m3/日)    一一一一一一一 @    4∼5 一一一一一一一 U∼7 一一一一一一’ W∼9 A−一←’一一 P0∼ 1989 8 42 21 9 1 9 36 23 5 1 1 10 30 25 6 11 36 19 10 1 12 20 28 3 1990 1 27 27 3 1 2 17 24 4 3 57 19 6 3 2 4 44 24 4 1 1 5 94 14 8 4 2 3 6 38 21 8 1 7 20 23 6 2 8 60 20 7 2 1 1 9 43 19 9 2 10 61 17 10 2 1 1 11 33 22 7 1 12 18 30 1 1991 1 25 24 7 2 17 27 1 3 31 23 7 1 4 50 20 4 2 1 1 5 78 18 6 3 1 2 1 6 34 22 8 7 32 25 5 1

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間の調査を行った。土壌の浸透速度の試験は,H式測 定法1)により行った。これは,現場で浸透速度を測るひ とつの方法である。測定結果は,約260mm/時であった。  また,滞留時間については,土壌浸透処理装置の土 壌浸透管流入口に食塩水を適量注入し,土壌浸透処理 装置の流出水の導電率を測定した。結果を図一1に示 す。この場合の滞留時間は,食塩水の先端が流出する まで約4時間であり,土壌の厚さが約1mであること から,浸透速度の測定結果ともほぼ合致したことにな る。  (4)環境に対する影響  土壌処理の機能がどのようなものであるか土壌の吸 着能力や化学変化等についての基礎的調査が必要と思 われる。これまでのところ,たとえぽ赤玉土等特定の 土壌についての室内実験が一部行われている。今回も, 現地調査とは別に現地の土壌を採取し,実験室におい て現地の状況の再現を試みたが,相当困難が感じられ た。また,土壌処理は,たとえぽ中国の成都市では2), ある程度の規模で行うことが試みられているようで, その基礎的実験が行われている。日本では,現在のと ころ小規模な生活排水が対象であり,その限りでは今 回の調査に関しての環境上の影響も小さいと思われ る。しかし,今後土壌処理を自然環境サイクルの一つ と考えて,比較的大規模なものを対象とする場合は, より慎重な対応が必要と思われる。 5.まとめ  今回の調査は,土壌浸透処理施設の機能調査方法が 確立されていない段階でのことであった。また,下水 流入量の平均値は設計値よりも過小であった。そのた め,処理方式,とくに設計値についての評価について, あるいは,硝酸性窒素の環境上の影響と対策について は,今後の検討に待つところもあると思われる。しか し,この研修センターは立地条件として,適当な放流 先がないこと,地下水位の低いこと,周辺に住宅,井 戸等利用がないこと等,土壌浸透処理に適した場所で あり,流出水の水質は十分満足できるものと思われる。 またBODの著しい減少,殆ど全部のアンモニア性窒 素の硝酸性窒素への酸化,燐の吸着などの状況は,土 壌処理機能が十分働いていることを示している。  この調査研究は,株式会社環境開発による受託研究 であり,その概要を記したものである。 参考文献 1)洞沢 勇 :土壌浸透負荷とH式浸透計について,用水と廃  水,Vol.26, No.11, pp.1180・1183,(1984) 2)白瑛,楊治敏,張祖錫,今岡正美,平山公明:都市排水の人  工土壌による処理,第25回水質汚濁学会講演集,pp.398・399,  (1991)

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